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窓の性能が学校教室の年間熱負荷と机上面照度に与える

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 樋 口 作 夫

学 位 論 文 題 名

窓の性能が学校教室の年間熱負荷と机上面照度に与える      影に関する研究

学位論文内容の要旨

  2005年2月 、京 都議 定 書が 発効 した 。日 本 では2009年に 発 足し た新 政権 が、 関係各国の共同 実施を前提としているも のの日本の温室効果ガスの 削減目標を2020年までに25 u/o(1990年比)と 定めており、この実現に 向けて、エネルギー使用の 合理化、自然エネルギーの利用、ゴミの削減、

省エネ型設備の導入をど の施策を、あらゆる分野、 あらゆる階層で努カし、実施していくことが求 められる。

  日本における二酸化炭素排出量のうち、民生(業務)分野の占める割合は17 010であり、この分野 にお いては排出量が1990年から2007年の間に41.7qo増 加している。民生(業務) 分野の対象と顔 る施 設のうち学校の延ベ 床面積はおよそ3億5千万1112と推計され、業務用施設面 積全体のおよそ 2割を占めている。この ことから、学校建築において 学習環境を損顔うこと教く、あるいはさらに 向上させ教がら、省エネ ルギー化を進めることは重 要誼課題である。

  そこで本論文では、シ ミュレーション計算による 定量的を解析を行い、年間熱負荷と机上面照度 という省エネルギー性お よび明るさ環境の両面から 見たときに、学校教室において最適を窓ガラス の性能設計の方向性、明 るさを減じること社く省エ ネルギーに寄与する日射制御装置の仕様を提案 した。

  第1章では、本論文の 背景として、省エネルギーに 対する社会的誼要請と学校教室に関する実状 および課題を述ベ、それ らに対する既往の研究を縦 覧し、本論文の位置づけと目的を明確にした。

  第2章では、窓ガラス の面積、断熱性能、日射遮蔽 性能、空調条件としての暖房設定温度、冷房 設定温度が年間熱負荷に 与える影響を明らかにする ことを目的として、品質工学の手法を使って8 都市の気象条件で年間熱 負荷を計算し、これらの5つ の因子が年間熱負荷に与える影響について考 察した。その結果から、(1)大阪以北では暖房設定温度の影響が最も大きい、(2)札幌、盛岡、新潟、

大阪、福岡、鹿児島では 、熱貫流率、日射熱取得率の順序で窓ガラス性能を選定するのがよい、(3) 窓面積の大小は年間熱負 荷に与える影響は小さいが 、札幌、盛岡をどの寒冷地では他の制御因子の 適切顔選択により窓面積 の大きくすることで年間熱 負荷を低滅できる可能性がある、(4)本論の検 討条 件の 範囲 で は、 最適 教窓 ガ ラス の選 定と 空調 設 定温度の設定により、およ そ20%から90%の 年間 熱負荷軽減効果が期 待できる、(5)5制御因子すべ てのSN比を考慮した品質工 学の方法による 最小熱負荷と、最適組合 せで熱負荷計算プログラム により算出した年間熱負荷の比は、盛岡の南向 きと那覇を除いて0.90〜1.14である、ことを明らか にした。

  第3章では、学校教室 における庇長さ(壁面からの 庇の先端までの距離)と窓面における光の拡 散性が、室内の照度分布 と年間熱負荷に与える影響 を解析し、室内の明るさ環境と省エネルギーに

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与え る効果 を明ら かにす ること を目的 として、8都市の 気象条 件で、庇長さ、窓面の拡散性が異を る場 合の机 上面照 度を求 めて机 上面の 照度帯出 現時間 比と照 度分布 に与え る影響 につい て考察し た。 さらに 庇長さ 、換気 回数、 廊下配 置を変えた場合の年間熱負荷を求めて、これらの違いによる 年間 熱負荷 を比較 した。 その結 果から 、(1)机上面照度が10,OOOlx以下と抵る出現時間の比較によ り、 外窓の 光拡散 のみ、 あるい は庇の 設置のみでは眩しさの抑制に限度があるが、両者を併用する こ と によ っ て 窓 際の 眩 し さ を改 善 で き る可 能 性 が 高い 、(2)無 拡 散透 過にお ける庇 長さImと2m の比較から、最大/最小照度比と照度比10倍(文部科学省の示す基準値)より大きい出現時間比率の 両者 で2mに伸 ばすこ との改 善効果 はみら れるが 、基準 値未達の 時間を 失くす までに は至らたい、

(3)照 度が2001x(文 部科学省の推奨する最低照度)に満たをい時間の割合法、庇の長さ、拡散性の有 無で 差が見 られ改 いこと から、 熱負荷 計算において最低照度を保つ条件で検討する場合には、庇の 長さ 、窓の 拡散の 有無の 違いに よらず 照明点灯 の条件 を同一 と設定して差し支えをい、(4)年間熱 負荷 の比較 では、 いずれの地域でも廊下配置(片廊下型か、中廊下型か)および庇長さ(0〜2m)よ りも換気回数(1.5〜5,5回/h)の方が年間熱負荷に与える影響は大きい、(5)那覇以外のいずれの都 市 で も、 庇 が 長 く次 る と 熱 負荷 が 増 加 し、 庇 長 さOmに 対 す る比 率 は 、Imで1.04〜1.07、2mで 1.07〜1.10である 、こと を明ら かにし 、庇の設置により年間熱負荷は増加するものの、外窓への拡 散性 の付与 の併用 により 年間熱 負荷は 増加を最小限に抑えつつ、照度分布を均斉化できる可能性の あることを示した。

  第4章 では 、 ベ ラン ダの透 光性フ ェンス( 柵型や 透明材 型)の 外側に 設置す る反射 型ルー バー

(フェンスルーバー)を提案し、学校教室における有効性を明らかにすることを目的として、その設 置と スラッ ト角度 と反射 率の設 定が、 学校教室の年間熱負荷と室内照度に与える影響について評価 した 。フェ ンスル ーバー は、ス ラット に当たった直射日光が上向きに反射してべランダを通過する ため 、季節 毎、時 刻毎の 太陽高 度変化 を有効に活用して窓面への昼光入射を制御できることに特長 が あ る。 庇 を 天 井面 の高さ で庇長 さIm、反 射型導 光ルー バーを スラッ ト幅100mm、 スラッ ト枚数 4枚の 条件で 、スラ ット角 度、反 射率の 設定を 変えて、 シミュ レーション計算により年間熱負荷、

照度 分布を 計算し た。そ の結果 から、(1)フェン スルー バーを 設置することによって、昼光を活か して 冷房負 荷を増 やさず 年間熱 負荷を 低滅でき る、(2)制御効 果には地域性があるものの、スラッ ト 角 度を 水 平 に 対し て屋外 に向か って下 向きに5〜10度に 傾ける と、冬 季や朝 夕に昼 光を採 り入 れ、 夏季の 昼間に は採り 入れ抵 い、と いう制御 が可能 である 、(3)盛岡から鹿児島の各都市でフェ ンス ルーバ ー設置 した場 合には 、設置 し顔い場合に比べて冷房負荷は増加せず、年間熱負荷は反射 率80%の時に2〜5ワ。 減少する 。札幌 では、 暖房負 荷が大 きいた めに庇 を設け ると年間 熱負荷が2

〜3 010増加す るが、フェンスルーバーの設置によって増加は1%まで改善される、(4)教室の最低照 度 で ある2001x以下 の出 現時間 数は、 スラッ トの反 射率が80c2の時に 月当り3〜7時間 まで減 少す る、(5)都市毎の最適スラット角度は、札幌:7.5度、盛岡:5.5度、新潟:8.5度、東京:6.5度、大阪:7 度、福岡:6.5度、鹿児島:6.5度、那覇:9.5度である、ことを明らかにし、改善効果は微少であるも のの 年間熱 負荷と2001x以下の 出現時 間数が 低減す ること から、 フウンスルーバ←が昼光利用にお いて有効であることを示した。

  第5章では、 以上の 各章の 解析か ら得ら れた結 果の統 括を行 い、今後の展望について言及した。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

窓の性能が学校教室の年間熱負荷と机上面照度に与える      影響に関する研究

  2005年2月、京都議定書が発効した。日本の二酸化炭素排出量のうち、民生(業務)分野の占め る割合は17%であり、この分野における排出量は1990年から2007年の間に41.7%増加してい る。民生(業務)分野の対象施設のうち学校の延ベ床面積はおよそ3億5千万r.ri2と推計され、業 務用施設面積全体の約2割を占めている。このことから、学習環境を損をうこと教く、あるいはさ らに向上させ教がら、学校建築の省エネルギー化を進めることは重要顔課題である。そこで本研究 の目的は、学校教室における定量的を解析・評価を行い、年間熱負荷と机上面照度という省エネル ギー性および光環境の両面から見たときに、最適を窓ガラスの性能設計の方向性、明るさを損社わ ず に 省 エ ネ ル ギ ー に 寄 与 す る 日 射 制 御 装 置 の 形 態 を 明 か に す る も の で あ る 。   第1章では、本論文の背景として、省エネルギーに対する社会的款要請と学校教室に関する実状 および課題を述ベ、それらに関する既往の研究を縦覧し、本論文の位置づけと目的を示した。

  第2章では、窓ガラスの面積、断熱性能、日射遮蔽性能、暖房設定温度、冷房設定温度の5因子 が年間熱負荷に与える影響を明らかにすることを目的として、札幌、盛岡、新潟、東京、大阪、福 岡、鹿児島、那覇の8都市で年間熱負荷を計算し、品質工学の手法を使ってその影響について考察 した。その結果、(1)空調設定温度は熱負荷低減に重要を因子である、(2)東京、鹿児島で熱貫流率 よりも日射熱取得率の影響が大きい教ど窓面の日射熱取得制御は重要である、(3)札幌、盛岡、新 潟、大阪、福岡では、熱貫流率、日射熱取得率の順で窓ガラスを選定するのがよい、(4)窓面積の 年間熱負荷への影響は小さいが、寒冷地では他の制御因子の適切教選択により窓面積を大きくして も年間熱負荷低減できる可能性がある、(5)本論の検討条件の範囲では、最適ぬ窓ガラス選定と空 調設定温度設定により20〜60qoの年間消費電力軽減が期待できる、ことを明らかにし、空調設定 温度の影響が大きいものの、窓の断熱化と同様に日射熱取得の制御が熱負荷低減に重要誼因子であ ることを示した。

  第3章では、庇長さと窓面拡散性を変えた場合の机上面の照度分布の比較、庇長さ、換気回数、

廊下配置を変えた場合の年間熱負荷の比較を8都市の気象条件で実施した。その結果、(1)無拡散 透過・庇教しの場合の3,OOOlxを超える時間は全時間の3〜5%、最大/最小照度比の最大値は139〜     ―43 ‑

文 郎

   

   

広 眞

山 山

羽 横

授 授

教 教

査 査

主 副

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178倍だ が、1mの 庇で そ れぞ れ1〜3%、41〜44倍に低減する、(2)最 大′最小照度比10倍(文部科 学省 の照 度基 準 )を 超え る時 間 数の 比率 は庇 教し で27〜41% だが 、Imの 庇で10〜22%とおよそ 1/2に減少し、光環境の 改善に庇の設置が有効である 、(3)照度2001x(文部科学省の推奨最低照度)

未達の時間の割合は、庇長さ、拡散性の有無で差が教い、(4)いずれの都市でも廊下配置(片廊下型/

中廊下型)と庇長さ(0〜2m)より換気回数(1.5〜515回/h)の年間熱負荷に与える影響が大きい、(5) 那覇 以外の いずれの都市でも庇が長く教 るとわずかに熱負荷が増加 し、庇教しに対する比率はIm で1.04〜1.07、2mで1.07〜1.10である、 ことを明らかにし、照度分 布を均斉化して光環境を向上 させることによる庇設置の有効性と課題を示した。

  第4章では、ベランダ の透光性フェンスの外側に設 ける反射型ルーバー(フェ ンスルーバー)の 設置とスラット角度・反 射率の設定が年間熱負荷と 室内照度に与える影響について8都市の気象条 件で評価した。その結果 、スラット反射率80ワ。の時に、(1) 2001x以下の出現時間数は、月当り3

〜7時間程度減少する、(2)冷房負荷を増やさずに年 間消費電カが低減し、庇がある場合の年間消費 電カに対して4.5〜9.9%の消費電カが低減できる、(3)庇謡しに対する消費電カの比率は札幌、盛 岡、 新潟で1.01、東京から鹿児島で0.95〜0.99で、消費電カをほば 維持もしくは低減しつつ光環 境を 改善で きる、(4)スラット角度を屋 外に向けて下向き5〜10度に 傾けると、冬季や朝夕に昼光 を採り入れ夏季の昼間に は採り入れをい、という制 御が可能である、(5)最適ス ラット角度は、札 幌:7.5度、東京:6.5度、大阪:7度、鹿児島:6.5度顔どすべての都市で5〜10度の間にある、ことを 明 ら か に し 、 フ ェ ン ス ル ー バ ー が 昼 光 利 用 に 対 し て 有 効 で あ る こ と を 示 し た 。   第5章では、以上の各 章の解析・評価から得られた 結果を総括し、今後の展望 について述べた。

これを要するに、筆者は 学校教室の年間熱負荷と机 上面照度に関して、建物および窓の性能が与え る影響を定量的に評価す るとともに、学校教室内の 光環境を適切に制御可能をフェンスルーバーの 形態およびその省エネル ギー性を明らかにした。こ れらは、建築環境学をはじめとし、建築工学、

空間性能工学の進展に寄与するところ大である。

  よ っ て 、 筆 者 は 北 海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る資 格が ある もの と 認め る。

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