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農用自律移動ロボットのナビゲーションに関する研究

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 石 井 一 暢

学 位 論 文 題 名

農用自律移動ロボットのナビゲーションに関する研究

学位論文内容の要旨

  本研究は未来型農業を展望する上で不可欠な農用自律移動ロボットに最適なナピゲーション システムを開発することを目的とした.農用車両は使用される環境が主に屋外のオフロードで あることから,運動の非線形性が著しく,工業分野で使用される線形化手法をそのまま適用す ることはできない.そこで第1に,ニューラルネットワーク(NN)を用いて非線形なまま車両 運動を記述し,制御対象となる車両運動のモデルリングを行らた.第2に,結果の検証と農用 車両を知能化する条件を検討する実験車両を試作した.第3に,農用車両の運動制御に不可欠 な位置・方位計測法を考案し,その有効性を検討した.第4に,農用車両の走行制御法を考案 し,その有効性を検証した.以上の結果から,農用移動ロボットとして運動系,知覚系,制御 系の具備する諸条件を提示した.

車両運動のモデリング

  非線形動力学モデルに適用可能なNNを使用することで車両運動を非線形なまま記述する2つ の順モデルを考案し,それぞれをオフラインモデル,オンラインモデルと呼称した,オフライ ンモデルは初期状態量を与えるだけで,出カの再帰的な入カと各時刻の操作量から,1秒後の 状態量を出カするモデルである.本モデルは予め与えられた走行スケジュールにより走行が可 能であり,車両運動を記述するシミュレータとして使用できる.一方,オンラインモデルは各 時刻の状態量と操作量を与えることで,1秒後の状態量を出カするモデルである.後者は各時 刻毎の状態量が入カされるので,NNの学習機能を活用して走行路面の時間的・空間的変動に も適応可能である.それぞれのモデル精度の比較評価を行った結果,オフラインモデルは学習 に使用した走行バターンに対して,y方向速度3.4cm/s,ヨーレートO.035 rad/sの最大誤差で,

また,学習していない走行パターンに対しても4.6cm/s,0.030rad/sの最大誤差で記述が可能で あった.また,オフラインモデルは重畳誤差により,22秒間走行時の終端にて80cmの誤差を 生じたのに対し,オンラインモデルは36cmの重畳誤差に抑制されることを確認し,本モデルの 逐次学習効果を確認した.

  さらに,NNを用いた運動モデルの有効性を検討するため,線形化手法を用いた物理モデル との精度比較を行った.両者の差は特に非線形性の著しい大舵角領域に現れ,物理モデルはy 方向速度に対して最大4.3cm/sの誤差であるのに対し,NN車両運動モデルは最大2.7cm/sとなっ た.これはNN車両運動モデルは横滑りを考慮さ・れていない物理モデルよりも忠実に車両運動 の記述が可能であることを意味する.

  以上の結果から,農用車両をロボット化する上でその運動を非線形で取り扱うことの優位性 を実 証した. また, 車両運動 を時変 システム としてモ デル化 する手法 も確立できた.

実験車両の試作

  試作車両の仕様および機能を検証するための自動走行実験を行い,車両シミュレータの作成 を行った,その結果,試作車両は予め計画された操舵時系列から予想される走行経路を走行で き,各センサ,アクチューエー夕類は正常に動作することを確認した.また,自動走行によっ

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て 得ら れた デー タか ら 作成 した 車両 シミ ュ レータは,人為操作に見ら れる実舵角変動がなく,

.y方向速度,ヨーレートそれぞれのR.M.S.誤差が学習デ一夕は1.08cm/s,0.04rad/s,未学習デー タは1.06cm/s,O.013rad/sと,人為操作時 と比較して高精度な車両シ ミュレータの作成が可能   となった.

  以上 の結 果か ら, 農 用車 両を ロボ ット 化 する最小限必要な運動機能 および条件を提示した.

位置 ・方位計測システムの開発

  農 用移動ロボットのナピゲー ションを行う上で不可欠な位 置・方位計測システムを開発した,

  方 位計 測シ ステ ムに 使 用し た磁 気方 位セ ン サ(GDS)は周 辺 磁気 環境 の影 響を 受けやすく,

ま た ,従 来の 傾斜 補正 法 がそ のま まで は車 両 に適 用で きな い とぃ う問 題が ある .そこで.NN を 使 用し た補 正法(GDSネ ット ワー ク) を考 案 し, 静止 状態 で 方位 計測 ・傾 斜補 正を行った結 果, 従来の傾斜補正法では最大二乗誤差が92.7゜,R.M.S.誤差が5.7゜であったのに対し,傾斜 補 正 ネットワークを使用す ることで6,4゜,1.0゜とそ れぞれ6.9%,17.5%になり ,GDSネット ワ ー クの 傾斜 補正 効果 を 確認 した .ま た, 約5゜程 度 の傾斜地において自律走行 実験を行った 結 果 ,GDSネッ ト ワー クを 使用 し ない 場合 は最 大20゜ の方位誤差が生じたのに対 し,使用時は 最 大2゜の 方位 誤 差で 走行 可能 な こと が明 らか とな り ,GDSネ ット ワー クを 使用 した方位計測 法の 優位性を実証した,

  位 置計 測シ ステ ムは , 画像 処理にもとづぃた両眼立 体視法を使用した方式を採 用した.画像 認 識 精度 と計 測速 度が 両 立す るこ とを 目的 に 色度 変換 行列 ,NNを 使用 した 画像 認識法を考案 し , その有効性を検討した .その結果,両者とも約15 0m離れたマーカの認識が可 能であった.

ま た , 静 止 点 計 測 精 度 を 測 定 し た 結 果 ,lOOmX40mの 範 囲 で 最 大 誤 差37cm,60m X40mの 範 囲 で は最 大誤 差13cm以 内 で計 測可能であることを確認 した.さらに,制御則にフ ァジィ制御を 用 い た幅 寄せ 走行 を行 っ た結 果, 走行 距離 約10mで 目 標の幅寄せ幅2.5mに追従可 能であること が 明 ら か と な り , 屋 外 環 境 下 の 位 置 計 測 に 対 す る 本 手 法 の 有 効 性 が 検 証 で き た .   以 上の 結果 から ,農 用 移動 ロボットに必要となる高 精度な知覚システムの構築 が可能となっ た,

車両運動の 非線形制御

  位置 ・方 位 計測 シス テム によ って得られた情報をもとに, 非線形な車両運動を制御す るニュ ーロコント ローラを考案し,その有効 性の検討を行った.

  ニュ ーロ コ ント ロー ラと 車両 シ ミュ レ二 夕を 用い た5種の 目標経路に対する追従制御 シミュ レ ーシ ョン を 行い ,PID制 御と の追 従精 度 比較 を行 うことで 追従制御に対する有効性を 検討し た .そ の結 果 ,車 線変 更走 行に 問題が見られたものの,PID制御は最大誤差14.8cmであ るのに 対し,2.6 cmの誤差で追従可能であっ た.また,試作車両を用いた 追従制御実験を行った結果.

直 線走 行の よ うな ほと んど 操舵 を必要としない走行で特に差 異は認められなかった.一 方,操 舵 を必 要と す る車 線変 更走 行で は,PID制御は最大誤差30.8 cmであったのに対し,ニュ ーロコ ン トロ ーラ は17.3cmと 最大 誤差 を44%程 度 に抑 制す ることが 可能となった.この事実か ら,非 線 形 性 の 著 し い 走 行 に 対 す る ニ ュ ー ロ コ ン ト ロ ー ラ の 有 効 性 が 検 証 で き た .   さら に, ニ ュー ロコ ント ロー ラに自己修正機能を付加する ことで,適応制御への可能 性を検 討 した .走 行 中の 路面 特性 が変 化する直角旋回走行シミュレ ーションを行った結果,オ フライ ンコントローラはR.M.S誤差が12.21cmであったのに対し,オンラインコントローラは2.86cmと,

その誤差を23%に抑制することが可能で あった.

  以上 の結 果 から ,農 用移 動ロ ボットの時変系・非線形系に 対する非線形適応制御器の 設計に 必要な諸デ ータを提示した.

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

寺 尾 高 井 伊 藤 近 江谷

学 位 論 文 題 名

日 出男 宗 宏 和 彦 和 彦

農用自律移動ロボットのナビゲーションに関する研究

  

本 論 文 は 総 頁 数

163

, 図

112

, 表

24

, 引 用 文 献

105

を 含 む

6

章 から なり ,他 に参 考 論文6編が添えられている.

  

本研究は未来型農業を展望する上で不可欠な農用自律移動ロボットに最適なナピゲーション システムの開発である.農用車両は使用される環境が主に屋外のオフロードであることから,

運動の非線形性が著しく,線形化手法をそのまま適用することはできない.そこでニューラル ネットワーク(NN)を用いて非線形なまま車両運動を記述し,制御対象となる車両運動のモ デルリングを行い,次に,結果の検証と農用車両を知能化する条件を検討する実験車両と車両 の運動制御に不可欠な位置・方位計測法を開発し,最後に,車両の走行制御法を考案してその 有効性を検証したものである.

車両運動のモデリング

  

非線形動力学モデルに適用可能なNNを使用し,車両運動を非線形記述する2つの順モデルを 考案し,それぞれをオフラインモデル,オンラインモデルと呼称した.オフラインモデルは初 期状態量を与えるだけで,出カの再帰的な入カと各時刻の操作量から,1秒後の状態量を出カ するモデルである.これは予め与えられた走行スケジュールにより走行が可能であり,車両運 動を記述するシミュレータとして使用できる.一方,オンラインモデルは各時刻の状態量と操 作量を与えることで,.1秒後の状態量を出カするモデルである.後者は各時刻毎の状態量が入 カされるので,NNの学習機能を活用して走行路面の時間的・空間的変動にも適応可能である.

各モデル精度の比較評価を行った結果,オフラインモデルは学習に使用した走行バターンに対 して,y方向速度3.4cm/s,ヨーレート0.035 rad/sの最大誤差で,また,未学習走行バターンに 対しても

4.6cm/s

,0.030rad/sの最大誤差で記述が可能であった.さらに,オフラインモデルは 重畳誤差により,

22

秒間走行時の終端にて80cmの誤差を生じたのに対し,オンラインモデル は

36cm

の重 畳誤 差に 抑制 され る こと を確 認し,本モ デルの逐次学習効果を確認した.

  NN

を用いた運動モデルの有効性を検討するだめ,線形化された物理モデルとの精度比較を 行った.両者の 差は特に非線形性の著しい大舵角領域に現れ,NN車両運動モデル1よ最大

2.7c m/s

となった.これはNN車両運動モデルは横滑りを考慮されていない物理モデルよりも忠 実に車両運動の記述が可能であった.

実験車両の試作

  

試作車両の仕様および機能を検証するための自動走行実験を行い,車両シミュレータを作成 した.その結果,試作車両は予め計画された操舵時系列から予想される経路を走行でき,各セ

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ン サ,ア クチュ ーエー夕 類は正 常に動 作する ことを 確認し た.また,自動走行によって得られ た データ から作 成した車 両シミ ュレー タは, 人為操 作に見 られる 実舵角 変動がな く,y方 向速 度,ヨーレートそれぞれのR.M.S.誤差が学習データは1.08cm/s,0.04・ra d/s,未学習データは 1.06cm/s.0.013rad/sと ,人為 操作時 と比較 して高精 度な車 両シミュレータの作成が可能とな った,

位置・ 方位計 測シス テムの 開発

  方位計 測シス テムに 使用し た地磁 気方位 センサ (GDS)は周 辺磁気 環境の 影響を 受けやすく,

ま た, 従 来 の 傾斜 補 正 法 がそ の ま ま では車 両に適用 できな い.そ こで,NNを使用 した補 正法 (GDSネ ット ワ ー ク )を 考 案 し ,静 止 状態 で方位 計測・ 傾斜補 正を行 った結 果,従来 の傾斜 補 正法で は最大二乗誤差が92.7゜,R.M.S誤差が5.7゜であったのに対し,傾斜補正ネットワーク を 使用 す る こと で614゜,1.0.とそ れぞれ6.9%,17.5%になり ,GDSネッ トワー クの傾 斜補正 効 果を 確 認 し た. ま た , 約5゜程 度 の 傾斜地 におい て自律走 行を行 った結 果,GDSネ ットワ ー ク を使 用 し ない 場合は 最大20゜ の方位 誤差が 生じた のに対し ,使用 時は最 大2.の 方位誤 差で 走 行可 能 な こ とが 明 ら か とな り ,GDSネッ ト ワ ー クに よ る 方 位計測 法の優 位性を 実証し た.

  位置計 測シス テムは ,画像 処理に もとづ ぃた両 眼立体 視法を使 用した 方式を 採用した.画像 認 識精 度 と 計 測速 度 が 両 立す る こ と を目的 に色度変 換行列 ,NNを使 用した 画像認 識法を 考案 し た. そ の 結果 ,両者 とも約15 0m離れた マーカ の認識 が可能 であっ た.ま た,静止 点計測 精 度 を 測 定 し た 結 果 ,100m X40mの 範 囲 で 最 大 誤 差37cm,60mX40mの範 囲 で は 最大 誤 差13cm 以内で 計測で きた. さらに ,操舵 制御則 にフんジ ィ制御 を用い た幅寄 せ走行 を行った結果,走 行 距離 約10mで目標 の幅寄 せ幅2.5mの案路に 追従可 能であ り,屋 外環境 下の位 置計測 に対す る 本手法 の有用 性が確 認でき た.

車両運動の非線形制御

  位 置・方位 計測シ ステム からの 情報を もとに ,非線 形な車 両運動を 制御す るニューロコント ロ ー ラ を考 案 した .ニュ ーロコン トロー ラと車 両シミ ュレー タを用 いた5種 類の目 標経路 に対 する 追従制 御シミ ュレー ション を行い ,PID制御 法と追 従精度 の比較 を行った .その結果,PID 制御 法は最 大誤差14.8cmで あるのに 対し, ニュー ロコン トロー ラは2.6cmの 誤差で あった.ま た, 試作車 両によ る追従 制御実 験では,直線的な走行時で特に差異は認められなかった,一方,

車線 変更さ せた走 行時で は,PID制 御法は 最大誤 差30.8 cmで あった のに対し ,ニュ ーロコント ロ ー ラ は17.3cmと最大誤 差を44%程度に 抑制する ことが 可能と なった .この 事実か ら,非 線形 性の著しい走行に対するニューロコントローラの有効性が検証できた.

  さ らに,ニ ューロ コント ローラ に自己 修正機 能を付 加して 適応制御 への可 能性を検討したと ころ ,走行 中の路 面特性 が変化 する直 角旋回 走行シミ ュレー ション 時で, オフラ インコントロ ーラはR.M.S.誤差が12.21cmであったのに対し,オンラインコントローラは2.86cmとその誤差を 23%に抑制することが可能であったとしている.

  以上 のように ,農用 移動ロ ボット として の運動 系,知 覚系, 制御系の必要条件を提示した本 研究成 果は, 省力・ 省人化 を目指 す次世 代農業 機械の開 発研究 に不可欠なものであり,学術的 にも高 く評価 できる ,よっ て審査 員一同 は,最 終試験の 結果と 併せて,本論文の提出者石井一 暢 は 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 あ る も の と 認 定 し た .

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参照

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