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振り子を利用した動吸振器の設計に関する研究

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Academic year: 2022

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(1)

振り子を利用した動吸振器の設計に関する研究

著者 宋 義林

雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査

結果の要旨/金沢大学大学院自然科学研究科

巻 平成14年9月

ページ 296‑300

発行年 2002‑09‑01

URL http://hdl.handle.net/2297/16458

(2)

氏名 生年月~日 本籍‘

学位一の種.類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目 論文審査委員(主査)

論文審査委員(副査)

宋義林(YILINSONG)

中国 博士(工学)

博甲第479号 平成]4年3月22曰

課程博士(学位規則第4条第1項)

振り子を利用した動吸振器の設計に関する研究 佐藤秀紀(工学部・教授)

神谷好承(自然科学研究科・教授)山崎光悦(工学部・教授)

岩田佳雄(工学部・教授)関啓明(工学部・助教授)

学位論文要 旨

Abstract

ThestudyonthedesignofadynamicvibrationabsorberusingapendulumiscanpiedoutinthispaperbFirstly,

thevibration-controllmgcharacteristicofthesysteminthecaseofparametrlcexcitationisinvestigated,where thependulumisunderstrongnonlinearoscillationsuchaschaoticmotionorrotation・Theoptlmumparameters ofthesystemthatmakctheaverageamplimdeofthemainsystemaroundtheresonancefrequencyofexciting fOrcebethesmallestareobtamedbynumericalcalculationSecondly,anapproximateanalyticmethod,harmonic balancemethod,mcludmghigherapproximateordersfOrthedynamcvibrationabsorbersystemisstudiedThe approximateresultsarefOundtobefairlyconsistentwiththoseobtainedbynumericalcalculationMoreover,the responseofatilteddynancvibrationabsorbersystemwithapendulumisinvestigatedusingnumerical calculationltisfOundthatitsvibration-controllmgcharacteristicbecomesworseifitisundertiltanglesln ordertoimprovethisdefect,thevibrationsystemwithtwopendulumswhichonehasthefrequencyequaltothe mainsystemandanotherhasone-halffrequencyisproposed,andtheimprovementofvibration-controlling characteristicofproposedsystemisverified.

1.緒言

制振問題は機器の精度向上,高速化,静粛化,

強度向上などの観点から工業上重要な課題である.

中でも受動型制振機は価格,簡便性,安定性に優 れており,より有効な機器の開発が望まれている.

振り子を利用した動吸振器は受動型制振装置とし て,復元力としてばねではなく重力だけを利用す るため,構造簡単,取り付け便利,壊れにくいな どの利点があり,優れた制振特性を持つ新しい動 吸振器の開発が求められている.しかし,振り子 を利用した動吸振器系は大振幅の場合には非線形 系であるため,系の解析解を求めるのは非常に困 難である.したがって,振り子を利用した動吸振 器系の応答特性を解明するには,精度の良い数値

解析,より見通しのよい近似解析手法及び振り子 の最適化などを検討することが必要となる.

本論文では,振り子を利用した動吸振器系の振 動特性及びその適用についての研究を行っている.

まず,パラメトリック励振の場合に,振り子系の 大振幅または回転まで含む系の非線形振動特性を 解明するために数値計算手法を用いる.制振特性 の分析により,系の最適なパラメータを求めるこ

とを目的とする.次に,調和バランス法を用い,

簡単に系の振動特性を解明する近似解析法を検討 する.さらに,振り子を利用した動吸振器系の適 用について,系が傾斜した場合に,単振り子式及 び双振り子式動吸振器系の振動特性を明かにし,

系の制振特性が改善されることを示している.

(3)

2.力学モデルと運動方程式 四つの主なパラメータを変化させて振り子の発振 による主系の振動振幅の低減いわゆる動吸振器の 制振特性を,数値的に調べた.パラメータのうち,

分は振り子系の減衰比,几は振り子系と主系の質

量比,9は外力によるばねの静的変位と振り子の 長さの比,浜は振り子系の集中質量と分布質量の 場合の'攪性モーメントの比を意味する.また,主系 の減衰比‘=0.01とパラメトリック共振の条件 p=1/2,主系の共振の条件z=1の近くが設定さ れ,計算では,RKGを用いた.

図2に振り子系の減衰比分による系の応答特性 を表す.図2によると,分が小さい時には,振り

子の運動がしやすいため,振動の振幅は急に増大 し,大量のエネルギーを吸収する.その結果,主 系の振幅が大幅に低くなり,制振効果が得られる.

ただし,外力の周波数が系の固有振動数に近づく と,主系と振り子系に非定常振動が出てくる.図 2に応答曲線の上に黒い印で表示するのは非定常

振動の応答振幅である.ごpの値を大きくするにつ

れて,非定常振動の領域は小さくなる.図2を見

ると,ざ,=0.05では,全ての運動は定常振動に

なり,全領域に適切な制振効果が得られている.

したがって,ごPには最適な値が存在することがわ

かる.

また,此9,ノLの変化による系の応答特性お

よび振り子の回転運動を起こす場合の系の応答特 性を調べた.その結果,パラメータにおける最適 条件が存在することがわかった.

それによって,共振前後の外力周波数領域にわ

狡之71;,〃/)i:減:iijfr1:);

Fig.1Autopammetricdynamicvibmtionabsorbersystem 図1にはパラメトリック励振を利用した振り子

式動吸振器系を示す.M,A,cは主系の質量,ば

ね定数,粘性減衰係数であり,’'2,,c8,ノ,ノは

振り子系の質量,減衰係数,支点に対する慣性モ ーメント,支点から重心までの距離である.また,

主系に作用する外力は調和カブ(r)=Fcos”であ

る.

系の運動方程式は

(M+,,zp)jビ+城十kx+、pノ(BSM+タ2cos8)=/(/)(1) Jβ+c80十(mpgj+mp庇)smO=0

(2)

ここで,xは主系の変位,0は振り子の角変位で ある.

方程式(1),(2)は無次元化すると次式になる.

]M川,(,+』)(ソ`M

〃"+22=",+上``+

緤胱。.`)二丁ニラ「…

(3)

β"+2ざpp8'+('2十〃"'')Sin0=O

(4)

ここ|こ

の"2=た/M,ルー加,/M,ご=c/(2Mの")

のp2='7zpgJ/J,座=mp/2/J,x鈍=F/k

M=x/x“,p=の,/の凧,ごp=CO/(2Jのp)

z=の/の〃,9=x〃〃,丁=の"r

また,式(3),式(4)における(')は丁による微分 を表わす.

3.パラメータの変化による系の応答と最適パ ラメータ

動吸振器としての最適制振特,性を求めるために,

0000000654321

コア=HDn

==悪田寓軍配 一==q

0.800.850.900.9s1.001.051.1o

a)mainsystem

ES4321no000000

侭へ①

.01

.03

.05

.10

-Steady

0.80 0.850800.951.0o

b)penduIumsystem

LO51.10

Fig.2Themsponseofthesystemwiththechangeof`,

(几=0.1,9=0.0Mb=0.1ノリ=0.5)

(4)

たって主系応答の平均振幅万を最小にする最適 なパラメータを求めた.図3と図4は最適化した

パラメータの計算結果を示す.具体的に’9,入の

組み合わせの値に対し,‘,を少しづつ変化させ て共振前後の平均応答振幅万を計算し,その最小

となるざ,,を求めた.図3より9= ̄定とした時,入

に対して,万の最小値が存在することがわかる.

図4には几に対応する最適な金を示す.

A蓼薑歳[に勘叶'w'"斗筈〆

(8)

+p2(22/4-p2)B2]

ここで,

魔薑而β臺志川jw-zw㈹’

ただし,ここで|±1-B2/6=1,1-82/12=1と見

なした.

式(7),式(8)において,振り子の振幅BをOと すると,次の主系応答の特性方程式が得られる.

A12=R2/T

(9)

峅蔬i《葱2仲'w,江’2]('0)

式(9)のA1は振り子が振動しない時の主系の応 答であり,式('0)のA2は振り子の一次振動境界と 考えることができる.このことはMathieu方程式 から1次発振境界を導くことにより証明できる.

したがって,A1>A2であれば,振り子が必ず発

振を起こすことが言える.

また,振り子が動くならば,式(7)と式(8)で決 められた主系の振幅Aは等しくしなければならな い.したがって,振り子の振幅とパラメータの関

係として式(11)が得られる.

αB4+6B2+c=0 (11)

これより,振り子系と主系の振幅が式('2),式

(13)によって求められる.

●q=0.005

.q=0.01

050505050505■●ロ●■●印●●●●■988776655443 。。。。。。。_の①①の①

。一

.一

△」2hs へ△

0.000.050.100.150.200.250.300.35

Fig3Theoptimumparameter(UvM)

050505050433221100●●●●●●●●■000000000

H-nUu T=、

T-

U-muZL U=、

△凸、画

:§織騨:ii::::

0.000.050.100.150.200.250.300.35 入

恥4Theoptimumpammeter(分vM)

4.調和バランス近似解法と解析結果

式(1)右辺の励振力は調和力であるため,主系の

定常解は外力と同じ周波数zで,振り子系の定常解

はパラメトリック励振によりγ=z/2の調和振動 を仮定する。すなわち,

皿=ACOS(Zr+`) (5)

,=BCCS(w+・) (6)

式(3),式(4)においてsin8項,cos8項を3次 までテイラー展開し,また,式(5),式(6)を式 (3),式(4)に代入して,同じ項の係数をそれぞれ 等しくすることによって,整理すると,

主系から,

ト等-÷[(¥鶚誇(肘藝M件圭(7)

×(Z(R-z2Xz2/4-p2)+4鱒pRpZ2}B2]

振り子系から

B2=‐は'FZZ三

2α (12)

4,-歳ルハギ),+い)`]('3)

ここで,α,6,cは動吸振器系に依存するパラメー タによって表される係数である.式(12),式(13)

を用いて主系と振り子系の解の個数及びその変化 を簡単に調べることができる.また,近似項 1-B2/6,1-82/12を考慮した場合を改良調和バ ランス解とした.

図5に調和バランス解,改良調和バランス解お よび数値計算結果を示している.その場合,三つ の結果が一致していることがわかる.しかし,

B/汀の値が0.3を超えると,かなりの誤差が出て くることが計算によりわかる.

(5)

,f+2`,lPl8l+ハ2sMIM19W"Sin(al+α)=0(15)

鐙十2`,ZP2亀十〃2sina2+'292迎"sin(82+α)=O(16)

ここで,αは主系の傾斜角であり,添字1,2は それぞれ振り子1,振り子2のパラメータを意味 する.

p,=0.5,ルー1.0とすることにより,パラメト

リック型と共振型の混合型を実現できる.強い減 衰の場合に傾斜角αの変化による系の応答を図7 に示している.

図7によって,傾斜角と周波数の全領域にわた って,良い制振効果が得られることが見られた.

また,単振り子式動吸振器の場合に比べ,主系の

一sこ■bOcsoLbvH凶

50505050332211

RKG

-.灘・篦11二s曇.一二蝋…

0.880900.920.940.960.981.001.021.04 a)Mainsystem Z‘

一s上ablo■CO・bVHM

5050505033221J、⑪00000000

::『-..iDAif二:ツ、

ミロ

制振特性が改善されることを確認した.

0.880.900.920-940-960.981.000.021.Oq

b)PenduIumsysetm

扣輯麺溺、崎、5064200000mm四四

唖唖叫醜叩唖唖四哩哩》

FigSIResolutionsofthemainandpendmumsystems

u=0.5,9=0.0M=0.1,p=0.5,‘=0.01,`p=0.03)

Ⅲ…

a傾斜した系に対する振り子式動吸振器の適 OBOOBSOuDOOg51nO1p51.1o

OBOq850gOOg51pO1D51・10

OS$‐し$QL

ノ112百ziiri 蝋擬

1-J7

悪悪==霊=き=一幸ニーーーニ=田=F===缶汪令

OBOO85Ou900351pO1D5L10

ノヘ)α=00

mPI

7-,F7-,F

=>,二 ≦i;べ>‘

000000扣鋸加頭”鱈旧50率、碩犯頤、

どの

C(

"Z”:`:〃;〃;/76';〃『

FigETUtedvibrationsystemwithtwopendulums

dynamicvibrationabsorber 錘…

OBOqB50gOOS50nO1、051.1o

0BOO・B50ogOOgS1pO1、051.10

実際の振動系では,振動はいつも重力方向とは 限らないしたがって,振り子式動吸振器系が傾 斜した場合の制振特性の変化について調べること は重要である.本論文では,主系にパラメトリッ ク励振と共振をそれぞれ付加した2種類の単振り 子式動吸振器系の制振特性を調べた上で,その利 点を考慮したパラメトリック励振と共振の二つの 振り子を持つ混合型の双振り子式動吸振器を提案

した.その系の力学モデルを図6に示す.

系の無次元方程式は以下で示される.

皿"+25脚'+・1几’

Ⅲ+

q800.850gOOg5umO1pSU、UO

B)α=30Pz

唖回叫叩叩叩叩皿噸四m0,000000000

⑩麹釦西如嘔扣50哩画蠅唖叫唖“魎唾叫哩陰》③

OBOOa50gOq95UJOO1、051.1o

oBOOBSq900g51・OO1p51・10

1+ノ1m+几21M1+ノt291(1+几1M2)

×(BfSin(0,+α)+“2COS(,,+α))+ 92(1+几,+ノ12)入2

×(館sin(必+α)+“2COS(02+α))

1 COSZr

(1+入,+入2)

(14)

Q800B5q900951pOIp51・IO

C)□罰DC

(6)

l)振り子のカオス運動および回転運動までを含 む強い非線形パラメトリック振り子式動吸振器シ ステムの制振特性を,数値解析により明らかにす ると共に,主系応答の平均振幅を最小にする最適 な系パラメータを数値計算により求めた.

2)調和バランス法を用い,高次近似を含む2自 由度動吸振器系の近似解法を検討した.その近似 解法により,パラメトリックな振り子式動吸振器 の応答特性を明らかにし,数値計算結果と比べて 方法の有効性を確認するとともに,簡単に解の特 性を明らかにすることができることを示した.

3)傾斜した振動系に対する振り子式動吸振器の 制振特性を調べた.単振り子式動吸振の制振特性 の分析により,パラメトリック励振と共振の二つ の振り子を持つ混合型の双振り子式動吸振器を提 案し,系の制振特性を,数値解析により明らかに して,主系の制振特1性が改善されることを示した.

40 35 25 20

8.1510 o20 ql8 ql6 膣OL12ql4

0訂。,0008

OLO6 qO4 qO2

O800850gOqg51、001.051.10 q800B5q900951.001050.1o

O8OO850gOq951・OO1D5MO

D)α=DOC

Fig.7TheⅡ℃sponseofmainandtwopendulumsystems withdiHe正、Miltangleainthecaseofpammeter

的=0.5,9,=0.01,入,=0.1,`p,=0.05 and’2=0.M2=0.1,`p2=005 6.結言

以下,本研究で得られた結果をまとめた.

学位論文審査結果の要旨

平成14年1月23日に第1回の学位論文審査委員会,平成14年1月28日に口頭発表会ならびに第2回学 位論文審査委員会を開催し,以下の通り判定した。

急速に高速化,高精度化が進む機械システムにおいて,適切な制振システムの開発は重要な課題である。

本研究は,制振システムの中でも,コストパフォーマンスの高い受動的制振器である振り子型動吸振器を取 り上げ,数式とシミュレーションにより非線形大振幅領域まで考慮した特性解析および最適パラメータ決定 を行うとともに,新しい考え方によるシステムを提案し,動吸振器設計のための有用な資料を得たものであ

る。

まず,系の振動方向が重力方向と一致するパラメトリック励振の発振を利用した動吸振器について,振り 子の大振幅,回転,カオス振動など非線形領域を含む数値シミュレーションにより,応答特`性を明らかにす るとともに,動吸振器としての最適パラメータを求めている。また,調和バランス法による近似解を求め,

パラメトリック振動発生条件を明らかにするとともに,解特性を簡便に分類する特性式を導いている。さら に,傾斜した系にパラメトリック励振方式と共振方式を適用した場合の制振特性を明らかにするとともに,

広範囲に変化する傾斜角に適応するシステムとして両者を併用した双振り子式動吸振器を提案し,特性が改

善されることを明らかにしている。

以上,本研究は動吸振器設計に際して重要な貢献をなすものであり,工学上有用な知見を得たものと認め

られる。よって本論文は博士(工学)の学位に値するものと判断する。

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