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鑑識科学,7(1),61 69(2002) 61 原著 解離試験法と ELISA とを組み合わせた高感度 ABO 式血液型検査法の開発と自動化 渡辺清之 1, 土井裕輔 1, 重田佳昭 1, 鈴木茂 1, 勝孝 2 岡山県警察本部刑事部科学捜査研究所 1, 岡山大学薬学部 岡山

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(1)

―原著―

解離試験法と ELISA とを組み合わせた高感度 ABO 式血液型検査法の開発と自動化

渡辺清之

1

,土井裕輔

1

,重田佳昭

1

,鈴木

茂

1

,勝

孝

2 岡山県警察本部刑事部科学捜査研究所1,岡山大学薬学部2 〒7000816 岡山市富田町 1 丁目321 〒7008530 岡山市津島中 1 丁目112

Highly Sensitive Method for Determination of ABO Blood Groups Using

Absorption-Elution Test Combined with ELISA and Its Automation

Kiyoyuki Watanabe

1

, Yusuke Doi

1

, Yoshiaki Shigeta

1

,

Shigeru Suzuki

1

and Takashi Katsu

2

Criminal Investigation Laboratory, Okayama Prefectural Police H. Q.,

132, Tondacho, Okayama 7000816, Japan

1

Faculty of Pharmaceutical Sciences, Okayama University,

111, Tsushimanaka, Okayama 7008530, Japan

2

(Received 25 December 2001; accepted 16 July 2002)

A highly sensitive method for forensic ABO blood grouping using monoclonal

antibodies was developed in combination with an absorption-elution test and an

en-zyme-linked immunosorbent assay (ELISA). In this method, monoclonal

antibo-dies eluted from bloodstains with the absorption-elution, were determined by

ELI-SA, for detection of ABO blood group substances in bloodstains. This method

ena-bled us to determine blood group substances in bloodstains with high sensitivity

about 10 times greater than a usual absorption-elution test and also to handle many

samples (32 samples per a ELISA plate) at the same time. Furthermore, changing

the heat elution of antibodies to the acid elution permitted automated analysis for

ABO blood grouping using BIOMEK 1000 apparatus (Beckman Instrument,

California, U. S. A.).

Key words: Monoclonal antibody, ABO blood grouping, Absorption-elution

test, ELISA, Automated analysis

血痕の ABO 式血液型検査法として,ヒト由来の ポリクローナル抗体を使用した解離試験法が広く利 用されてきた.しかし,人道上の理由から,ヒト由 来ポリクローナル抗体の供給を1998年秋に多くの メーカーが中止したことから,血液型検査用抗体は マウス由来のモノクローナル抗体に切り替えられる ことになった.市販のマウス由来モノクローナル抗 体を使用した血痕からの ABO 式血液型検査につい ては,すでにいくつかの報告がなされている14)

(2)

モノクローナル抗体使用の問題点として,希釈血痕 に対する抗体の反応の弱さが指摘されており,ヒト 由来ポリクローナル抗体と同等の検出感度を得るこ とが重要な検討課題となっている.また,モノク ローナル抗体の法医血液型検査への導入にあたり, 警察関係研究機関によって種々の検討がなされ,そ の問題点や対応策が報告されている5).その報告書 において,解離試験に適したモノクローナル抗体の メーカーの選定や解離温度・時間について検討をお こない,特定の検査条件下では20倍に希釈した血痕 からの血液型検出は可能としている. 一 方 , 著 者 ら は モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を 用 い た ABO 式血液型を高感度で判定するために,解離試 験法での解離液に含まれる抗体を ELISA (enzyme-linked immunosorbent assay)で検出する方法(以 下,「解離 ELISA」と略記する)を検討してきた. この「解離 ELISA」は酵素免疫反応を用いること から従来の血液型検査法に比較して極めて高感度測 定が可能であるが,操作が煩雑で,多くの検査試料 を処理することが難しいことから,この方法を実際 の鑑定に導入するためにはさらに改良を加える必要 があった. そこで,本研究では,これらの問題点を解決し, 「解離 ELISA」を実用的な方法に改良することを目 的とした.すなわち,解離試験法のなかで熱解離を とりあげ,簡単に多数の検査試料を扱える方法(以 下,「熱解離 ELISA」と略記する)を確立し,希釈 血痕の高感度血液型検出を試みた.さらに,この方 法を酸解離法(以下,「酸解離 ELISA」と略記する) に展開し,全自動検査についての検討も併せておこ なったので報告する.

材料および方法

. ABO 式血液型判定用モノクローナル抗体 使用した ABO 式血液型判定用モノクローナル抗 体は以下の通りである. ◯ マウス由来モノクローナル抗 A 抗体いず れ も IgM タ イ プ の 4 社 の 製 品 を 用 い た . Ortho Clinical Diagnostics (Lot. BBA 610A21), Immucor, Inc. (Lot. 101200),国際試薬(Lot. 028),和光純 薬工業(Lot. YF965).

◯ マウス由来モノクローナル抗 B 抗体いず れ も IgM タ イ プ の 4 社 の 製 品 を 用 い た . Ortho Clinical Diagnostics (Lot. BBB 610A21), Immucor, Inc. (Lot. 201220),国際試薬(Lot. 028),和光純 薬工業(Lot. YF897).

◯ マウス由来モノクローナル抗 H 抗体いず れ も IgM タ イ プ の 2 社 の 製 品 を 用 い た . Diagast Laboratoires ( Lot. 015000 ), 国 際 試 薬 ( Lot. 0130). . ELISA 用試薬 二次抗体はペルオキシダーゼ標識抗マウス IgM 抗体(American Qualex 社製)を用い,1正常ヤ ギ血清(Biomeda 社 製)を含む Tween-PBS で600 倍に希釈した.Tween-PBS は Tween 20(和光純薬 工業社製)0.05を含む PBS (0.14 M 塩化ナトリ ウム,0.01 M リン酸緩衝液,pH 7.2)で調製した. 発色液は,oフェニレンジアミン(Sigma 社製)5 mg を pH 5 の McIlvaine 緩衝液6)10 ml に溶かし, さらに 3過酸化水素水20 ml を加えて調製した7) McIlvaine 緩衝液6)は0.1 M リン酸水素二ナトリウ ムと0.2 M クエン酸から調製した.また,ブロッキ ング剤および抗体希釈液として,大日本製薬社製ブ ロックエースに0.1アジ化ナトリウムを添加した もの(以下,ブロックエースと称する)を使用した. その他の試薬は市販の特級試薬を使用した. . ELISA 用プレート 血痕への抗体の感作,抗体の洗浄,解離をおこな う た め の 反 応 プ レ ー ト は Costar 社 製 3590 ( 平 底 ELISA プレート)を使用した.また,解離液から 血液型を判定するための判定プレートは住友ベーク ライト社製ソフト ELISA プレート SUMILON MS 7196F を使用した. . 希釈血痕 検査用試料血痕は A 型,B 型,O 型および AB 型の各血液を凍結し溶血させたものを蒸留水で連続 2 倍希釈し,その希釈溶血液を太口の木綿糸を用い て浸漬付着させ,自然乾燥したものを用いた. . 熱解離 ELISA による ABO 式血液型検査 熱解離 ELISA は,Fig. 1 に示す手順でおこなっ た.すなわち希釈血痕が付着した木綿糸 3 mm を切 りとり,反応プレートのウエルの片端にそれぞれ 1

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Fig. 1 Procedures for absorption-elution test combined with ELISA.

1. Bloodstains were ˆxed onto polystyrene ELISA plates using diethyl ether as an adhesive.

2. Add 200ml of blocking solution, incubate for 1 hour at 37°C, and wash 3 times with 0.85 saline. 3. Add 100ml of diluted anti-A, -B or -H monoclonal antibody in each well and incubate overnight at 4 °C. 4. Wash 6 times with 0.85 saline.

5. Add 50ml of 0.85 saline in each well and incubate for 10 min at 53°C on hot plate, for elution of an-tibody.

6. Transfer the eluted solution to another ELISA plate with a multi-channel pipette. 7. Incubate for 1 hour at 37°C for binding the antibody to ELISA plates.

8. Add 200ml of blocking solution, incubate for 1 hour at 37°C, and wash 4 times with Tween-PBS. 9. Add 50ml of diluted anti-mouse IgM-HRP conjugate and incubate for 30 min at 37°C.

10. Wash 8 times with Tween-PBS.

11. Add 50ml ofo-phenylenediamine solution, incubate for 10 min at room temperature.

12. Add 100ml of 2 N sulfuric acid to stop the reaction, and measure OD at 492 nm by an automatic spec-trophotometer for ELISA microplate.

本ずつ入れたのち少量(3~5 ml 程度)のジエチル エーテルを加えて固定した.反応プレートの材質は ポリスチレン製であるため,プレートの一部がジエ チルエーテルで溶け出し,ジエチルエーテルが乾燥 することによりウエルの底面に木綿糸が固定され た.また,希釈血痕の固定はウォッシャーの吸引口 の位置を避けておこなった.次に,各ウエルにブロ ックエース200 ml を加え,37°Cで 1 時間ブロッキン グした.反応プレートをウォッシャー 1(バイオテ ック社製 Auto Mini Washer Model AMW8)を用 いて生理的食塩水で 3 回洗浄した後,ブロックエー スで20倍に希釈したモノクローナル抗 A,抗 B お よび抗 H の各抗体を100 ml 添加し,4°Cで一夜感作 した.反応プレートをウォッシャー 1 を用いて生理 的食塩水で 6 回洗浄し,各ウエルに50 ml の生理的 食塩水を加えた後,加熱して木綿糸に吸着した抗体 を熱解離させた.なお,熱解離は,ホットプレート を53°Cに設定し,ホットプレート上に反応プレート より一回り小さなアルミ板(7 cm×11 cm,厚さ 3 mm)を載せ,その上に反応プレートを置いて加熱 した.加熱後直ちに熱解離液は 8 連ピペットを用い て判定プレートに移し,37°Cで 1 時間インキュベー

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ト7)して固相化した.熱解離液を除去後,各ウエル に蒸留水で 4 倍希釈したブロックエース200 ml を加 え,37°Cで 1 時間ブロッキングした.判定プレート をウォッシャー 2(バイオテック社製 Sera Washer Model MW96F)を用いて Tween-PBS で 4 回洗浄 後,二次抗体50 ml を添加し,37°Cで30分間インキ ュベートした.判定プレートをウォッシャー 2 を用 いて Tween-PBS で 8 回洗浄後,発色液を50 ml ずつ 添加し,室温暗所で10分間,発色反応させた.2 N 硫酸100 ml を加えて反応を停止させ,イムノリー ダー(Immuno Mini NJ2300: Nalge Nunc Interna-tional 社製)を用いて,各ウエルの吸光度(492 nm) を測定した.なお,洗浄液として生理的食塩水と Tween-PBS の 2 種類を使用するため,今回 2 台の ウォッシャーを使用した. . 酸解離 ELISA による ABO 式血液型検査 熱解離 ELISA による血液型検査法で述べたよう に,試料を反応プレートにジエチルエーテルで固 定,ブロッキング,洗浄,抗体の添加,洗浄の各処 理をおこなった後,酸解離をおこなった. 酸解離5)は各ウエルに60 ml の0.1 M グリシン塩 酸緩衝液(pH 3)を加えて,10分間静置すること によりおこなった.その後,酸解離した液50 ml を 判定プレートに移し,0.08 M リン酸緩衝液(Na2 HPO4KH2PO4, pH 8.2)25 ml を添加して中和後, 1 時間静置し固相化した.反応はすべて室温でおこ なった.「酸解離 ELISA」では,検査試料をジエチ ルエーテルで固定した後の過程は,すべて(Fig. 1 の◯以降の操作全自動プログラム)あるいは一部 ( Fig. 1 の ◯以 降 の 操 作 半 自 動 プロ グ ラ ム )を Beckman 社 製 の BIOMEK 1000 を用 い て自 動 検査 測 定 し た . 反 応 時 間 , 抗 体 の 濃 度 な ど は 熱 解 離 ELISA と同じ最適条件下でおこなった.著者らが 作 成 し た 自 動 測 定 プ ロ グ ラ ム は 提 供 可 能 で あ る ( メ ー ル ア ド レ ス  kiyoyuki _ watanabe @ pref. okayama.jp). . 解離試験法による ABO 式血液型検査 解離試験法は文献5)に記載されている方法に従っ た.すなわち,木綿糸に付着した血痕はメタノール 固定した後,3 mm の長さに切断した.試験管 1 本 あたり 3 mm の検査試料 1 本を使用した.抗 A 抗 体は Immucor 社製,抗 B 抗体は和光純薬工業社製 を,それぞれ試験管に 1 滴加え,4°Cで一晩感作さ せた.感作後,余剰抗体を冷生理的食塩水で 3 回洗 浄を繰り返し除去したのち,新たに生理的食塩水を 1 滴加えて53°Cで抗 A 抗体は 5 分,抗 B 抗体は10 分熱解離し,対応する A 型あるいは B 型の0.2血 球 浮 遊 液 を 加 え た . 室 温 で 10 分 間 静 置 し た 後 , 1,000 rpm で 1 分間遠心分離し,凝集の有無を判定 した. H 型 物 質 の 検 出 に は , ◯Ulex 抗 H レ ク チ ン (ホーネン社製)を力価 8 倍に調製し感作させ,指 示血球としてパパイン処理した O 型血球の0.2浮 遊液を使用した場合と,◯Ulex 抗 H レクチンの原 液を感作させ,O 型血球の0.2浮遊液(パパイン 未処理)を使用した場合の 2 種類の方法を実施し た.熱解離温度および時間は,いずれの場合も53°C, 10分でおこなった.その後の操作は,A および B 型物質の検出の場合と同様におこなった.

. 熱解離 ELISA による ABO 式血液型検査 抗体の解離方法としては,熱解離法が広く使用さ れている.そのため,まず熱解離法で最適な解離時 間,抗体の選定,抗体濃度を決定し,その検出感度 を調べた. .. 解離時間の検討 解離時間の検討のために,解離温度を53°C5,8,9) 設定し,A 型,B 型,O 型の各16倍希釈血痕にそれ ぞれ抗 A,抗 B,抗 H の各抗体を添加し,oフェ ニレンジアミンの発色による吸光度を測定した.な お,解離時間は 3, 5, 7, 8, 10, 12, 15分で行った (Fig. 2).抗 A 抗体および抗 B 抗体は和光純薬工 業社製,抗 H 抗体は Diagast 社製を用い,ブロッ クエースで20倍に希釈して用いた.抗 A 抗体およ び抗 B 抗体ともに10分前後で最も強い吸光度を示 し,抗 H 抗体は 5 分から15分の間で強い吸光度を 示した.従って,解離時間は10分でおこなうことに した. .. 市販モノクローナル抗体の評価 A 型,B 型,O 型の各16倍希釈血痕に対する抗 A,抗 B,抗 H 抗体の特異的および非特異的な反

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Fig. 2 EŠect of heating time in absorption-elution test combined with ELISA. Anti-A, anti-B and anti-H monoclonal antibodies used were Wako (Lot. YF965), Wako (Lot. YF897) and Diagast (Lot. 015000), respectively.

Fig. 3 Comparison of absorption-elution test combined with ELISA using commercially available monoclonal antibodies to diluted bloodstains.

Fig. 4 EŠect of dilution ratios of monoclonal an-tibodies on absorption-elution test coupled with ELISA.

応性を,吸光度の強さを指標として評価した.その 結果,Fig. 3 に示すように抗A抗体は Ortho 社およ び和光純薬工業社製の製品が Immucor 社および国 際試薬社製のものよりも 2 倍から 4 倍強い吸光度を 示した.抗 B 抗体はいずれのメーカーもほぼ同程 度の吸光度を示した.抗 A,抗 B 抗体ともに非特 異的反応は示さなかった.また,抗 H 抗体は Di-agast 社製の製品が国際試薬社製のものよりも 2 倍 以上強い吸光度を示した.従って,以下の実験で は,抗 A および抗 B 抗体は和光純薬工業社製,抗 H 抗体は Diagast 社製の製品を使用した. .. 抗体の希釈倍率の検討 各抗体を10倍,20倍,50倍,100倍,200倍,500 倍に希釈し,16倍希釈血痕に感作させ,得られた吸 光度を比較した(Fig. 4).抗 A および抗 B 抗体で は,10倍および20倍希釈抗体は希釈率に依存しない 高い吸光度を示したが,50倍以上に希釈した抗体で 吸光度の低下が見られた.また抗 H 抗体では,10

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Fig. 5 Reaction curves of anti-A, anti-B and anti-H monoclonal antibodies to diluted bloodstains of type A, B, O and AB. 倍から50倍希釈抗体はほぼ同程度の高い吸光度を示 したが,100倍希釈抗体は吸光度が低下した.以上 の結果から,抗 A,抗 B,抗 H 抗体ともに20倍に 希釈したものを使用することにした. .. 検出感度の比較 2 倍から256倍の A 型,B 型,O 型,AB 型の希 釈血痕に対する反応性を Fig. 5 に示した.血痕は 路面や着衣などから採取されることが想定され,関 係人の汗垢等の汚染にさらされ非特異的発色が認め られことが多いためカットオフ値を通常の ELISA よりも高めの0.2に設定し判定をおこなった.その 結果,いずれの型においても,256倍に希釈した血 痕で型判定が可能であった.なお,今回作製した血 痕で,陰性反応を示す吸光度はすべて0.1以下に抑 えられていた. . 熱解離 ELISA と酸解離 ELISA との比較 熱解離 ELISA は,ホットプレートを使用するこ とから Beckman 社製の BIOMEK 1000 を用いた自 動化には適さなかった.そこで,熱解離法の代わり に酸解離法を導入し,自動化することを試みた.酸 解離 ELISA は,BIOMEK 1000 を用い,64試料ま で一度に処理できるプログラムを作成した. プログラムは,◯反応プレートのブロッキングか ら血液型の判定までの全過程を自動的におこなう 「全自動プログラム」と,◯反応プレートのブロッ キングから一次抗体(抗 A,抗 B,抗 H 抗体)の ウォッシャーを用いた洗浄までの過程を手作業でお こない,酸解離以下の過程を BIOMEK 1000 でお

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Fig. 6 Reaction curves of anti-A monoclonal an-tibody to diluted type A bloodstains for compari-son of heat elution method and acid elution method.

Table 1 Comparison of detection limits for ABO blood grouping of human bloodstainsa).

Blood types

Absorptionelution test

combined with ELISA Absorptionelution test

AntiA AntiB AntiH AntiA AntiB AntiH Ulex Lectin

A >256 ― 32 8 ― 2(64b))

B ― >256 >256 ― 8 2(64b))

O ― ― >256 ― ― 2(64b))

AB >256 >256 32 8 8 1(32b))

a) Detection limits were deˆned as the values of maximum dilution of bloodstains. b) AntiH Ulex lectin (titer: ×8) and papain treated red cell were used.

こなう「半自動プログラム」の 2 種類を作成した. 「半自動プログラム」を利用して酸解離 ELISA で得られた検出感度は,熱解離 ELISA で得られた 検出感度とほぼ同程度の感度を有した.代表例とし て,Fig. 6 に A 型希釈血痕に対する両者の反応性 を示す.酸解離 ELISA および熱解離 ELISA とも に類似の反応曲線を描いており,同程度の検出感度 を与えた. 「全自動プログラム」を利用した結果は,「半自動 プログラム」を用いたを用いた場合とほぼ同一の結 果を与えた.それぞれのプログラムの所要時間は, 全自動プログラムが約16時間,半自動プログラムが 約 4 時間であった. . 熱解離 ELISA と解離試験法との比較 今回作製した希釈血痕を,解離試験法で判定した ところ,A 型および B 型は 8 倍希釈血痕で強い凝 集反応が観察された.16倍希釈血痕では弱い反応し か示さず判定が困難であった.Ulex レクチンによ る H 型物質の検出は,A 型,B 型,O 型のいずれ もパパイン処理血球を使った場合では64倍希釈血痕 でも可能であったが,未処理血球を使った場合では 2 倍希釈血痕のみが凝集反応を示した.AB 型も含 めた希釈血痕について,解離試験法と解離 ELISA で得られた検出下限を Table 1 に示した.すなわ ち,解離試験法と比較すると熱解離 ELISA は解離 試験法と比べて,10倍以上高感度で ABO 式血液型 が判定できることを示している.

モノクローナル抗体を用いる「解離試験法による ABO 式血液型検査」は10倍希釈程度の濃い血痕に 対しては有効であるが,希釈された血痕に対しては 検出が困難となる場合がある.既報5)では20倍希釈 の血痕でも検出可能としている.著者らの結果では A 型および B 型での 8 倍希釈血痕の判定は可能で あったが,16倍希釈血痕では弱い反応しか示さず判 定は困難であった.これらの結果から,モノクロー ナル抗体を使った解離試験の検出限界は10~20倍程 度の希釈血痕と考えられる.また,解離試験法によ り O 型の血液型を判定するためには抗 A および抗 B 抗体を用いて,A 型および B 型抗原が認められ ないことを調べた上で,Ulex など抗 H レクチンを 用いて H 型抗原の存在を積極的に証明することが

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望ましいが,A 型や B 型の検出限界と O 型の検出 限界に隔たりがある場合,誤判定を引き起こす可能 性がある.すなわち,パパイン処理血球を使った場 合では,H型物質の検出感度が A 型や B 型物質の 検出感度よりも著しく高いため,高度に希釈された A 型や B 型血痕を O 型と判定してしまうことが考 えられる.パパイン処理をおこなわない血球を使え ば,その危険性を避けることができるものの,極め て濃い血痕でしか O 型を証明することができず, 判定不能の割合は増加する. 著者らが今回おこなった「解離 ELISA」による 検討では,256倍に希釈した「いずれの型の血痕」 でも型判定が可能であり,モノクローナル抗体を使 った解離試験法と比べて10倍以上も高感度であるこ とが示された.また,A 型,B 型,AB 型に対する 抗 H 抗体の反応性は,O 型に対する抗 H 抗体の反 応性よりも弱いという結果が得られた.この結果 は,A 型や B 型物質がH型物質を前駆物質として 糖転移酵素が作用して形成されるために,A 型,B 型,AB 型の H 型物質は,O 型の H 型物質と比較 して相対的に少ないことに起因しているためと考え られる.そのため,解離試験で問題となった高度に 希釈された A 型や B 型血痕を O 型と判定すること は避けられ,より正確な型判定ができることが示さ れた. 実際に犯罪現場から採取された血痕214例につい て,本法と解離試験法とを比較したところ,本法で 血液型が判定されたが解離試験法で判定不能であっ た13例(A 型 7 例,B 型 4 例,O 型 2 例)を除き, すべての結果が一致した(A 型64例,B 型94例,O 型28例,AB 型15例).また,比較できなかった13 例についても状況等から本法で得られた結果に矛盾 は認められなかった.「解離 ELISA」は解離試験法 よりも10倍以上感度が高い方法であることはすでに 述べたが,分析感度が上昇すれば検査試料の汚染な どによる誤判定の危険性が増えることも予想され る.しかし,今回検査した214例の血痕には路面か ら採取されたものや,異なる血液型の人の着衣より 採取されたものも含まれており,これらの結果がす べて一致していることから,通常どおり採取された 血痕であれば解離試験法で得られた結果とは矛盾を きたさないものと考えられる. 解 離 試 験 法 に お け る 解 離 液 に 含 ま れ る 抗 体 を ELISA で検出する「解離 ELISA」を用いた血液型 検査は,操作の煩雑さからほとんど検討されてこな かった.類似の方法として,Biwasaka らは毛髪に 感 作 さ せ た モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を Polyvinilidene di‰uoride 膜に熱転写し,熱転写された抗体を膜上 で ELISA をおこない ABO 式血液型を判定してい る10).また,森山は陳旧血痕の人血を証明する目的 で , 著 者 ら と 同 様 の 方 法 で 検 討 を お こ な っ て い る11).しかし,多数の血痕の血液型を検査する目的 での検討はこれまでおこなわれてこなかった.今回 検討した方法では,解離試験法の抗体洗浄過程をウ ォッシャーでおこなうため省力化され,多数の試料 を検査する場合には特に適している. また,酸解離法を導入すれば,Beckman 社製の BIOMEK 1000 を用いて全過程を自動化することが 可能となった. 以上述べたように,高感度で客観的,しかも多数 の試料を自動的に検査できる本法は,鑑定実務に極 めて有効な方法であると考えられる.

解 離 試 験 法 と ELISA と を 組 み 合 わ せ た 高 感 度 ABO 式血液型検査法を開発した.本法は,モノク ローナル抗体を使用した解離試験法と比べて10倍以 上高感度であった.また,同時に多数の検査試料を 検査することが可能であった.本法は試薬の発色を 数値に換算して判定するため,経験に左右されない 客観的な判定法となった.抗体の解離方法を熱解離 から酸解離に変更することにより,全検査過程を Beckman 社製の BIOMEK 1000 を使用して自動化 することが可能となった.

1) 大森 毅, 水野な つ子, 関口和 正,千 住弘 明,坂井活子ABO 式血液型検査用モノクロー ナル抗体の法科学的資料への適用について.鑑 識科学,1, 4348 (1996). 2) 大森 毅,桐原俊二,佐藤 元,坂井活子 法科学的検査における市販 ABO 式血液型検査 用モノクローナル抗体の評価.科警研報告法科

(9)

学編,51, 102107 (1998). 3) 大森 毅,桐原俊二,佐藤 元市販 ABO 式血液型検査用モノクローナル抗体の検定結果. 科警研報告法科学編,52, 116123 (1999). 4) 荒木直幸,小泉直人,金子史恵,堀江 望, 西野貴子,大木 栄解離試験法に用いる ABO 式血液型判定用市販モノクローナル抗体の評 価.鑑識科学,4, 2935 (1999). 5) モノクローナル抗体の警察法医鑑定への導入 に関するワーキンググループモノクローナル 抗体の法医血液型鑑定への導入における問題点 とその対応策.警察庁刑事局鑑識課・科学警察 研究所,東京(2001).

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Fig. 1 Procedures for absorption-elution test combined with ELISA.
Fig. 3 Comparison of absorption-elution test combined with ELISA using commercially available monoclonal antibodies to diluted bloodstains.
Fig. 5 Reaction curves of anti-A, anti-B and anti-H monoclonal antibodies to diluted bloodstains of type A, B, O and AB
Table 1 Comparison of detection limits for ABO blood grouping of human bloodstains a) .

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