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自己教示が知的障害者のメタ認知に与える影響

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Academic year: 2021

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(1)自己教示が知的障害者のメタ認知に与える影響. 專攻障害児教育 コース. 氏 名 高 良 秀 昭. 1 問題と目的. (3》本実験. 知的障害者の学習困難の日因として、メタ認. ①対象者:知的障害養護学校高等部第1学年. 知の発達に遅れがあることが考えられる。メタ. 在籍のメタ認知に遅れがある知的障害者34名(. 認知とは、個体が自分の認知に関して有する知. CA15∼17歳. MA 7∼12歳)。. 識のことである。また、題目にある自己教示と. ②手続き:対象者を、実験群(17名)と統制群. は、モデリングとリハーサルを行うことにより、. (17名)に分けた。実験群には、課題解決方略指. 自己コントロール能力を高める指導法である。. 導プログラムを用いた指導を行った。統制群に. 知的障害者の学習指導に自己教示を用いること. は、課題の解法を示したドリルによる学習をさ. によって、メタ認知が活性化され、学習能力が. せた。指導の効果の判定は、メタ認知測定尺度. 高まる可能性がある。本研究では、自己教示が. を用いて、指導前後で対象者のメタ認知を測定. 知的障害者のメタ認知、その中でも特に実行機. することにより行った。さらに、自己教示を用. 能に対して、どのような影響を与えるかを検討. いた指導の有効段階を知るために、メタ認知の. することを目的とする。. 実行機能についてのみ、指導ステップの途中で 2回の中間測定をした。. 2 方法 《1)メタ認知測定尺度の作成. 3 結果. Kreuzerら(1975)などの検査を参考に、知的. 口》メタ認知的知識の変化. 障害者に適切と思われる項目を抽出した。得ら. 対象者のメタ認知的知識の平均得点変化の二. れた項目を検討し、小学生及び知的障害者に予. 要因分散分析を行った。その結果、指導前後の. 備実験を行った。その結果、数値の安定が確認. 得点に主効果(み7.01,げ=1/32,ρ〈.05)があり、. できたので、これをメタ認知測定尺度とした。. 指導下は指導前よりメタ認知的知識の得点が有. (2)自己教示指導プログラムの作成. 意に高くなった。交互作用は、みられなかった. Meichenbau阻(1971)の自己教示訓練手続きを. が、数値的には実験群のメタ認知的知識の伸び. もとに、知的障害者の作業課題に必要な行動を. が、統制群よりも大きかった。. 生起するための仮プログラムを作成した。この. (2}実行機能の変化. 仮プログラムを検討した上で、知的障害者に予. 対象者の実行機能の平均得点変化(Fig.1)に. 備実験を行った。その結果、有効性が確かめら. ついて、二要因分散分析を行った。その結果、. れたので、これをもとに本実験用の課題解決方. 指導前後の実行機能の得点に主効果(7=23.58,. 略指導プログラムを作成した。. ガ=3/96,ρ〈.001)があり、指導後は指導前より.

(2) 実行機能の得点が有意に高くなった。さらに、. は、指導前より得点が有意に高くなった。. 実行機能の. 11. 10. 二間×指導. 9. ステップに. 得. 8. た。努力の項目を除く各項目において、指導後. 交互作用(ダ. 7. 4 考察 (1)メタ認知的知識は、実験群、統制群とも. =3.68,ぼノ=3. に高まった。この結果は、知的障害者のメタ認. /96,ρ〈.05). 知的知識は、自己教示に限らず、加齢、経験な. がみられた。. どによって高まるという先行研究を支持した。. 交互作用の. (2}自己教示により、実験群のメタ認知の実. 下位検定の. 行機能が、統制群に比較して有意に高まった。. 結果、実験. これは、自己教示には、プランニング、モニタ. 群では内言による誘導であるコバート・リハー. リングなどの実行機能のシステムの要素と共通. サル段階の得点に有意な差があった。しかし、. する過程が多く、実行機能の活性化が促されや. 統制群では、この有意差はなかった。. すいことによる。特に、実行機能に遅れがある. 点. 6 5. 0. 一一…. Cの轡帽 一・. 一一実験群 ・一鱒”…一……一・. 事 前. 椥…ラ『リ. ン嬬. Fig,1. 1. 回. @一… 続制群. 2. 事. 回 後. オソ事一ト・リ. ノ剛陽皆. コ’レト・リ. ノ剛剛皆. 実行機能の平均得点変化. (3}低・高実行機能グループのメタ認知. 対象者には、自己教示の効果が顕著であった。. 対象者を実行機能の得点をもとに、①低実行. これは、自己教示が、実行機能に遅れがある知. 機能グループと②高実行機能グループに分け、. 的障害者にとって、分かりやすく、学習意欲を. メタ認知得点の変化をみた。その結果、高実行. 喚起させる方略であったことによる。. 機能グループは、メタ認知的知識、実行機能と. {3)実験群の実行機能の得点が、コバート・. もに指導前後の得点が上昇したが、特徴的な変. リハーサル段階で有意に高まった。これは、内. 化はみられなかった。一方、低実行機能グルー. 言による誘導によって行動のモニタリングやコ. プでは、指導後の実行機能の得点が指導前より. ントロールが滞りなく促進されたことによる。. も有意に高くなった。また、低実行機能グルー. 一方、実験群の実行機能の得点の変化が、オバ. プでは、実験群は統制群より実行機能の得点が. ート・リハーサル段階で鈍くなった。これは、. 有意に高くなった。さらに、実行機能の二間×. オバート・リハーサルが、対象とした知的障害. 指導ステップに交互作用がみられた。. 者には好まれなかったことが原因である。. (4}メタ認知測定尺度の下位検査の変化. {4)実行機能の下位検査で、プランニング、. 対象者のメタ認知測定尺度の下位検査得点の. モニタリングなどに関する項目は、得点が有意. 変化をみた。その結果、メタ認知的知識の得点. に高まった。この結果は、自己教示がプランニ. については、一部の項目で指導前後の得点の上. ング、モニタリングなどの実行機能のシステム. 昇が確認されたが、特徴的な変化はみられなか. の要素と共通する過程が多いため、それらの機. った。実行機能の得点については、モニタリン. 能の活性化を促しやすいということを裏づける. グの項目において、実験群は、統制群より得点. ものである。. が有意に高くなった。また、課題の実行予測の. 主任指導教官今塩屋隼男. 項月の群間×指導ステップに交互作用がみられ. 指導教官今塩屋隼男.

(3) 自己教示が知的障害者のメタ認知に与える影響. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 障害児教育専攻. M983ユOB 高 良 秀 昭.

(4) 目. 次 1. 第1章 序論 第ユ節. 知的障害者の認知発達の促進とメタ認知 ・一一一一一一一一一一一…一……一一一一一一……一一一一…. 1. 第2節. 知的障害者のメタ認知 一一……一一一一…一一一一……一一一一一一一一…一一一…一一=一一……一一…一一一……. 3. 第3節. 自己教示とメタ認知の関係 …一…一一…一一一一一…一一一……一…一一一一…一一一一………………・. 6. 第4節. 問題の所在と本研究の目的 …………一一……一…一…一・……一…一……一一一一…・一一…一. 10. 第2章 予備調査. 1!. 第1節. 予備調査1. 11. 第2節. 予備調査∬. 14. 第3章 本実験 第1節 方法 第2節 結果. 第4章 考察 第』1節. IQとメタ認知の関係 一一一一……一……一一一一………一…一一一一一一一一一…一……一一一一一一一一一一……. 第2節. 自己教示がメタ認知に与える影響 ………一一………一…………一……一一一……….. 第3節. 低実行機能グループ及び高実行機能グループのメタ認知の変化 ……一. 第4節. 対象のメタ認知測定尺度の下位検査の変化 …一一……………一一一一一一一一一一一一一一一一一一. 第5章 まとめと課題 第1節 研究のまとめ 第2節 今後の課題 一一一一一一一…一……”………一一一一一 … ………一………’‘……’………T一所『}…一. 引用・参考文献. 謝辞. 補足資料. 18 18 20. 36 36 37 42 43. 46 46 48. 49.

(5) 第1章 序論 第1節知的障害者の認知発達の促進とメタ認知 一般に知的障害者は、抽象的思考能力が低く、直接経験することや具体物を 用いる学習によってのみ、学習効果が上がるとされる。また、知的障害者の学 習は、単にドリル的に練習問題等を重ねるだけでは、ほとんど身につかないと. いうことが、多くの研究等で示されている。Ellis(1970)は、記憶の課題に おいて、知的障害者が有効なリハーサル方略を使えないことを指摘した。さら に、知的障害者の学習の困難性については、記憶の制御過程の障害に起因する ものであるとしている。Brown(1978)も、記憶の制御過程の障害について、 同様のことを主張した。さらに、Torgesen, Kistner, and Morgan(1987)の. 研究によると、知的障害者は、符号化に関する能力が未発達であると指摘され ており、Taylor and Turnure(1979)も、知的障害者は、リハーサルすること. が不得手であると述べている。これら多くの先行研究によると、知的障害者の 学習上の困難の一因として、認知の発達の遅れが指摘されることが多い。した がって、知的障害者の学習能力を高めるには、認知の発達を促す必要がある。 認知の発達を促す要因を、実際に指導の中に取り入れて指導を行った結果、. 知的障害者の学習効果が上がることが認められ、その有効性が確かめられてき た(宮本・林・金子,1996など)。しかし、近年は、養護学校等に在籍する知 的障害者の能力差が、一段と拡大しており、障害の状態も非常に多様化してい る。それに伴って、認知の発達を促す要因のみでは、学習効果の上がりにくい 知的障害者が増えてきた現状がある。また、知的障害者の学習の状沈は、予想 以上に多様性に富んでおり、認知の方略にもいくつかのパターンが存在するこ とも考えられる。さらに、学習内容によっては、認知の発達を促す要因を取り. 入れにくいものもある。したがって、養護学校等において、知的障害者の学習. 一1一.

(6) 能力を更に高めるためには、指導に新たな要因を取り入れるなどの工夫が必要 になってきている。. 知的障害者の学習能力を高めるための新たな要因のひとつとして、メタ認知 が考えられる。メタ認知とは、個人が、自分の認知に関してもっている知識の ことである(Flavell, Friedrichs, and Hoyt,1970)。Brown(1978)は、メ. タ認知の基本的な機能として、以下の6つの機能を上げている。①問題の特徴 を捉える。②解決手段のレパートリーと各々の有効な領域に気づく。③問題解 決の方略の実行の計画を立てる。④解決手段が有効に働いているか否かをチェ ックする。⑤システムの能力の限界を予測する。⑥しかるべき時に手段の実行 を止める。このことから、メタ認知とは、学習者が課題の主旨を明確に捉え、. その課題に対してどのような道筋を通り、どのような方法で解決すればよいか を理解し、選択、実行するプロセスであると解釈できる。メタ認知の高まりが、. 学習における情報処理に関与するという研究もある(kratzky,1980)。また、 Borkowski, Weyh ing, and Turner(1986)は、メタ認知に関して5つの要素を. 上げている。すなわち、①個別的な特定の方略についての知識、②関連する方 略についての知識、③全般的な方略についての知識、④具体的な方略の習得と. 使用に関する知誠⑤方略の実行のプロセスの5つの要素である。さらに、① の個別的な特定の方略についての知識は、成長につれてゆっくり蓄積され、多 くの方略を実際に使用していくことで拡大、精選されていく。また、②、③は、. どの方略が相対的に有効であるかなど、使用する方略に優先順位をつける能力 に反映している。そして、④、⑤は、①∼③が発達して初めて機能するとして いる。. Flave11, Friedrichs, and Hoyt(1970)は、メタ認知を、①メタ認知的知. 識(認知についての知識)と②実行機能(メタ認知的経験認知の調節の機能). に大分している。また、Wellman(1983)は、メタ認知的知識を以下の4つの. 一2一.

(7) 構成要素に分けている。すなわち、①認知の概略に関する知識(認知とは何か に関する理解)、②認知の主体に関する知識(自己の理解)、③認知の客体に 関する知識(課題の理解)、④認知の方略に関する知識(方略の理解)の4つ の成分である。さらに、Herrmann(1982)は、実行機能の活動を、①認知の能 力の自己評価、②課題の分析、③適切な方略の選択、④方略の実行・モニタリ. ング、⑤選択した方略の評価という5つに構造化した。これらの考えを整理す るとFig.1のようになる。. メタ認知. メタ認知的知識. ①認知の概略に関する知識(認知とは何かに. [. 関する理解). 別称 [認知についての知調. ②認知の主体に関する知識(自己理解) ③認知の客体に関する知識(課題理解) ④認知の方略に関する知識(方略理解). 実行機能. ①認知能力の自己評価. [. 別称. ②課題の分析. [藷撚鵬欝. ③適切な方略の選択 ④方略の実行・モニタリング ⑤選択した方略の評価(自分の感情を含む). Fig.1 メタ認知の構成. 第2節 知的障害者のメタ認知 1.知的障害者のメタ認知の特徴 知的障害者は、一般に、記憶や学習において必要とされる様々な認知方略( 情報への注意、符号化等の象徴機能、リハーサル、グルーピング等の体制化、 スキーマの形成等)を、自発的に使用することが少ない(Ellis,1970)。また、. 認知方略を使用することができても、使用に際して混乱が起こりやすいといわ れている(Brown,1978など)。知的障害者が、認知方略を使用する能力を十分. に習得していないのは、知的障害者が、特定の認知方略を教授されても実際に 一3一.

(8) は使えないことに起因する(Belmont and Borkowski,1987)。つまり、その方. 略を使用することの意義、使用状態のモニタリング方略及び応用等のコントロ ールの仕方といった認知に関する諸要素を、十分に理解できないためであると 考えられる(Belmont and Borkowski,1987)。したがって、知的障害者に認知. 方略を使用させて、さらにそれを般化させるためには、認知に関する知識やモ ニタリング等の方略、すなわちメタ認知を、指導の中で十分に高めていく必要 がある(Borkowski, Weyhing, and Turner,1986)。Brown(1977;1978)も、. 知的障害者の学習困難の原因として、学習内容の理:解及び課題解決のために必. 要なメタ認知の発達の遅れを指摘している。さらに、Borkowski, Weyhing, and Tumer(1986)によると、知的障害者の学習方略の使用に関する個人差は、. メタ認知の発達の程度に依存することが示唆されている。. このように、知的障害者は、学習方略を獲得するために必要な能力が、十分 には発達していない。この発達が阻害される原因としては、主にメタ認知の実 行機能に遅れがあることがあげられる。これらのメタ認知のシステムは、Fig. 2で表される。. 認知の評価⑤. 認知的感覚・感情的反応④. \ノ. @llブイードバツク. 認知方略の利用③. ゥ己の認知状態のモニター②. 課題の分析① ↑ ↑. ↑. ↑. ↑. 認知に関する知識 Fig.2 メタ認知のシステム(We11皿an,1983を部分修正). 一4一.

(9) 多くの先行研究によると、知的障害者のメタ認知の発達は、精神年齢の発達 に依存するといわれる。そして、メタ認知の発達の経過は、健常者の発達経過 と大差はないとされている(佐藤,1984)。しかし、知的障害者のメタ認知の 発達の質は、健常者に比べると、かなり異なっている。中でも、実行機能は、. 質的にかなりの歪みが認められる(松村・倉本,1980)。さらに、知的障害者 のメタ認知は、方略の使用などを訓練することによって、発達が促されること も指摘されている(佐藤,1984)。. また、知的障害者のメタ認知的知識は、MAで8歳程度の発達がなければ獲 得できないといわれる。これは、認知という概念自体の理解が困難であること によるとされている(Brown,1977)。しかし、メタ認知的知識は、知的障害者. についても、加齢、経験、教示などにより、その獲得が促されるともいわれて いる(Brown and Campione,1977)。. 知的障害者の実行機能の獲得に関しては、MAの発達とともに使用できる方 略の数は増えていく(Turner,1996)。しかし、知的障害者は、適切な方略の 選択において、不適切な情報からの干渉を除去する手段が、自発的には使用で きない(Bray, Goodman, and Justice,1982)。したがって、知的障害者は、. 適切な指導がなされなければ、使用方略の維持が困難である(Borkowski and Varnhagen,1984)。指導の具体例としては、記憶再生課題において、再生でき. なかった項目への集中指導をすることによって、再生の成績の維持が獲得され ることなどがある(Brown and Campione,1977)。さらに、記憶再生の方略を. 導く教示を与えることで、記憶再生課題の方略般化が認められることも明らか にされている(Borkowski and Varnhagen,1984)。これらの先行研究から、知. 的障害者のメタ認知についても、適切な方略の使用を訓練することによって、 発達を促進できることが示唆される。. 二5一.

(10) 2.知的障害者のメタ認知の測定 メタ認知の測定は、メタ記憶の発展として研究されてきたという歴史から、. メタ記憶質問紙などのメタ記憶の測定尺度を参考に作成されたものが多い。こ の経緯から、一般にメタ認知の質問紙は、測定項目が記憶に関するものに片寄 っている。知的障害者のメタ認知の測定についても、同様のことがいえる。ま た、測定に際して、検査者が被験者にことばで質問し、被験者はことばで答え るという形式のものが多い。そのため、これらの測定尺度では、メタ認知のメ タ認知的知識については測定できるが、厳密な意味での実行機能は測定できな い。さらに、被験者の言語発達に遅れがある場合、適応が困難であるという難 点がある。これらの難点を克服するために、絵で示される選択肢の中からの強. 制選択法やVTRによるモデル提示による判断などの方法が考案されたが、絵 や画像で示されるものには限界がある。. 知的障害者のメタ認知を厳密に測定する場合、メタ認知的知識は、質問紙で も測定可能であろうが、実行機能については、実際に課題を課した上で、その 解決の状況をチェックする必要がある。また、上記のように、可能なものにつ いては、ことばによる説明のみでなく、状況を絵や図及び画像で説明するなど の工夫も必要になる。したがって、知的障害者のメタ認知を測定する際は、知 的障害者の特性に配慮しながら、既存のメタ認知測定尺度に改良を加えて、厳 密に測定できる尺度を新しく作成する必要がある。. 第3節 自己教示とメタ認知の関係 1.自己教示とメタ認知 認知行動療法とは、主体の行動プロセスにおける認知機能を重視した行動理 論に基づく新しい指導法の流れであり、外部からの刺激よりも、認知を媒介と した内側からの作用を重視して行動変容を図るものである(坂野.1978)。自. 、一. U一.

(11) 己教示とは、認知行動療法の一つであり、Tab.1に示す一連の心理過程でなり. たっている。Meichenbaum(1990)は、自己教示によって、メタ認知を活用し た自己調整活動が可能になると述べている。. 認知の障害に対しては、メタ認知の活性化を促し、自身が認知方略の管理者 となるように仕向けることが大切である。この場合、自己教示は、Tab.1の王 線画に示すように、Fig.2で表したメタ認知のシステムにおける要素と共通す る過程が多く、メタ認知の活動の活性化を促しやすい。学習者は、一連の過程 を経ることにより、認知に必要な方略を選び、実行して、評価するようになる とされる。その結果、学習者は、自身を認知方略の管理者にすることが可能に なるのである。. Tab.1 自己教示の心理過程. ㈲複数の仮説や課題の解決法を評価し、そこで得られた事実に基づいて結論を. 下すこと一⑤」鋤亟 ㈱ 下線部の○数字は、Fig.2のメタ認知のシステム内の数字と共通である。. Meichenbaum and Goodman(1971)によると、自己教示の手続きは、モデリ. ングの段階と狭義の自己教示の段階からなっている。モデリングでは、実際又 はイメージ上のモデルの行動を媒介にして、認知水準での変容及び行動水準で の変容を図る。狭義の自己教示では、言語を媒介にして行動の変容を図る。具 体的には、Tab.2に示すモデリング、オバート・リハーサル(外言的リハーサ ル)、コバート・リハーサル(内言的リハーサル)の流れの中で、個々の主体 が自分の行動をプランニングしたり、モニタリングしたりするように指導され. 一7一.

(12) Tab.2 自己教示の手続き ω認知モデリング期:モデル(指導者)が教示を声に出して自己対話をしなが ら、課題を遂行する。対象(学習者)は、モデルの行動を徳擦する。. ②外的誘導期:モデルの教示による誘導で、対象がモデルと同じ課題を遂行す る。. (3)オバート・リハーサル期:対象が教示を声に出して自己対話しながら、 課題を遂行する。この時期から、モデルは教示をしない。. ㈲ 自己誘導のフェイドアウト期:対象が教示をささやきながら、課題を遂行す る。. ㈲ コバート・リハーサル期:対象が内言によって自分自身の行動を導きな がら、課題を行う。. る。. 自己教示のメカニズムは、言語のもつコントロール機能により、創造的に問 題解決ができない学習者のネガティブな発想が抑えられるとともに、創造的な パフォーマンスを生み出す発想が生じることにある(Meichenbaum,!977)。創. 造性を生み出す自己教示を行うことによって、創造的問題解決学習の正反応率 が高まる。さらに、自己教示の特徴は、自己コントロールを実行するためのプ ロセス、及び自己制御をどのように反省・評価するかというモニタリングなど のメタ認知をよりどころにすることにある。つまり、自己教示は、メタ認知、 その中でも特に実行機能に「気づく」 「捉える」 「中断する」 「観察する」 「. 評価する」 「援助する」といった様々な機能があることに基づいた指導である. といえる。そして、学習者自身が、メタ認知(実行機能)を用いて自己調整活 動を行うことに気づき、それを強化することにある(Meichenbau皿,1990)。こ. のため、自己教示は、学習者自身が学習に必要な方略に気づき、実行し、評価 するための、大きな援助の手段になりえる(Meichenbaum,1977;1990)。先行 研究においても、実際に自己教示を用いて知的障害者の指導を行ったものがい. 一8一.

(13) くつかあり、自己教示の有効性が示唆されている(Borkowski and Varnhagen, 1984;Burger, Blackman, and Clark,1981;佐藤,1987;田中,1992a)。. 2.自己教示プログラムの知的障害者への適用 自己教示は、Meichenbau搬(1971)によって提唱された技法であり、多動児 や衝動児の教室内の行動の改善、不安神経二者・恐怖二者の治療、誘惑への抵 抗の育成など、認知的変容を通して自己調整機能を高めるために用いられてき た経緯がある。自己教示を用いて、行動変容を行ったり、自己調整機能を高め たりする指導については、その有効性が確かめられている。知的障害児を対象 にして、自己教示を用いた指導を行った研究としては、佐藤(1987)、田中(. 1992a)などの報告がある。しかし、これらの研究は、記憶に関するものが申 心であり、知的障害者に教科学習に関する課題解決の方略を指導したものは極 めて少ない。さらに、メタ認知を高めるために自己教示を用いた例は、ほとん どみあたらない。これは、知的障害者のメタ認知の測定が困難であることと、. 近年になって自己教示とメタ認知の間の相互関係が提唱され始めたことによる と思われる。. 知的障害者の学習特性を考慮した場合、知的障害者を対象に、自己教示を用 いて課題解決の方略を指導するには、Tab.3のような配慮が必要になると思わ れる。. Tab.3 知的障害者に自己教示を用いて指導する場合の配慮 (1)教示文が知的障害者に理解できる内容・形式でなければならない。. ② ことばによる教示に加えて、絵や図を用いて説明する必要がある。 (3)課題内容が知的障害者に容易に理解できるものでなくてはならない。. (4》課題解決の達成結果についても、容易に理解できるものでなくてはな らない。. 一9一.

(14) 自己教示の効果を考えた場合、自己教示を用いて知的障害者に課題解決の方 略を指導することは、極めて有効であると考えられる。しかし、既存のプログ ラムは、主に行動変容や自己調整機能の高揚を目的に作られたものであり、そ のままでは適用が困難である。また、実際の指導に際しては、Tab.3のような 配慮を加える必要がある。したがって、既存のプログラムに改良を加え、知的 障害者の課題解決に必要な学習行動を生起するための、自己教示指導プログラ ムを、新たに作成する必要がある。. 第4節 問題の所在と本研究の目的 学習能力と認知及びメタ認知との閥には深い関係があり、知的障害者の学習 上の困難の原因として、メタ認知の発達の遅れが一因として考えられる。この 場合、適切な訓練により知的障害者のメタ認知の発達が促されれば、知的障害 者自身が学習に関する様々な方略を自発的に使用できるようになる。その結果 として学習能力が高まることが予測される。. Me ichenbau麗(1990)によると、自己教示は、メタ認知のシステムにおける. 要素と共通する部分が多く、メタ認知の活動の活性化を促レやすい。したがっ て、自己教示を用いることによって、メタ認知を活用した自己調整活動が可能 になると述べている。しかし、これまでの自己教示を用いた研究は、行動変容 や自己調整機能の高揚、ないしは記憶に関するものが中心であり、知的障害者 のメタ認知を高めるために自己教示を用いた例はない。. そこで、本研究では、Meichenbau皿(1977)の自己教示訓練手続きを参考に して、知的障害者が課題解決を行うに必要な、学習行動を生起する自己教示指 導ステップを作成して指導を行う。その結果、自己教示が、知的障害者のメタ 認知、その中でも特に実行機能に対して、どのような影響を与えるかを検討す ることを目的とする。. 一10一.

(15) 第2章 予備調査 第1節 予備調査1 1.メタ認知測定尺度の作成 知的障害者のメタ認知を厳密に測定するために、既存のメタ認知測定尺度を. 参考にして、知的障害者のメタ認知を測定する尺度を試作した。Kreuzer, Leonald, and Flave11 (1975) 、 Brown (1978) 、 Herrmann (1982) 、 Belmont. and Borkowski(1988)、藤田(1992)、宮田(1998)の検査項目を参考にし て、Tab.4に示すような知的障害者に適切と思われる項目の抽出を行った。得. られた項目を、Wellman(1983)及びHerrmann(1982)の研究に照らして、内 容の妥当性を検討した。さらに、兵庫教育大学の障害児教育学研究者並びに大 学院生10名による項目細部の検:討を経て、メタ認知測定尺度を作成した。メタ. 認知的知識については、個別に面接して質問する形式とした。また、実行機能 については、実際に作業課題を課して行動観察を行うチェックリスト形式のも のとした。. Tab.4 メタ認知の測定項目 A,メタ認知的知識 1.記憶と忘却の程度の自覚:自分の記憶の程度と忘却の程度について 知っているかどうかを判断する。 2.(1)課題の量 (2)課題の遂行時:課題の量や遂行時間などの課題が有. する条件に関する知識をもっているかどうかを判断する。. 3.情報の量:与えられる情報の量に関する知識をもっているかどうか を判断する。. 4.回答の形態:ヒントのある質問とない質問の回答しやすさに関する 知識をもっているかどうかを判断する。 5.情報の近親効果:与えられる情報の近親効果に関する知識をもって いるかどうかを判断する。. 一11一.

(16) 6.情報の時間経過:与えられる情報の時間経過に関する知識をもって いるかどうかを判断する。. 7.体制化、カテゴリー:カテゴリーごとに分類された課題とそうでな い課題のどちらが解答しやすいかに関する知識をもっているかどうか を判断する。. 8.スキーマ(図式):スキーマ(図式)のある課題とない課題のどち らが解答しやすいかに関する知識をもっているかどうかを判断する。 9.リハーサル:記憶するために、リハーサルが有効であるかどうかの 知識をもっているかどうかを判断する。 10.先行行動の効果:以前に行動したことが次の行動に役立つことを知 っているかどうかについて問う。 11.自己教示の有効性:自己教示が課題解決に有効であることを分かつ ているかどうかを判断する。. 12.逆行行動の妨害:後行ずる行動が先行する記憶を妨害することを知 っているかどうかについて問う。. 13。わかるとは何かに関する理解:わかるとは、どういうことかを知っ ているかどうかを判断する。. B.実行機能 1.注意:説明を聞く際に注意して聞いているかどうかを判断する。 2.行動制御:指示を守って、勝手に行動しないかどうかを判断する。. 3.課題の解決方略(プランニング):課題を解決するために適切な方 略が出せるかどうかを判断する。. 4.課題の実行予測:作業課題を提示して、最後までできるかどうかの 予測ができるかどうかなどを判断する。 5.モニタリング:課題を遂行しているときに、モニタリングしている かどうかを判断する。. 6.努力:課題を遂行しているときに、努力しているかどうかを判断す る。. 7.実行の評価:課題を遂行したあとに、自己評価しているかどうかを 判断する。. 8.失敗数の予測:失敗数の予測ができるかどうかなどを判断する。. 一12一.

(17) 2.方法. (1)対象者:小学生7名(1年生5名、3・6年生各1名)及び中度知的 障害者14名. (2)実施期日:平成11年3月∼5月. (3}手続き:1.で作成したメタ認知測定尺度を用いて、対象者のメタ認. 知の測定を3回行った。 3.結果と考察 Tab.5、6は、対象者21名のメタ認知の平均得点の変化である。. Tab。5 予備調査1における小学生7名のメタ認知の得点変化 項目. 平均. SD. 実行機能. メタ認知的知識. 第1回 第2回 第3回. 第1回 第2回 第3回. 18.6. 20.4. 20.0. 7.1. 7.7. 7.7. 2.94. 3.14. 2.76. 3.08. 3.86. 3.86. Tab.6 予備調査1における知的障害者14名のメタ認知の得点変化 項目. 平均. SD. 実行機能. メタ認知的知識. 第1回 9,2. 4.45. 第2回. 第1回 第2回 第3回. 第3回. 13.7. 13.0. 4.3. 5.79. 5.76. 1.42. 4.6. 4.5. 1.39. 1,36. 1回目の測定の結果、以下の点でメタ認知の測定に修正を加えた。. U)一部の対象者において、メタ認知的知識の11の「自己教示の有効性」の 例が難解であったので、例を差し替えた。. ② 実行機能の6の「努力」で、課題遂行時間が短い場合に対応するために 評価基準を改めた。. 一13一.

(18) また、2回目の測定の結果、以下の点でメタ認知の測定に修正を加えた。. ㈲ 小学1年生において若干の変動がみられたので、変動がみられた項目の 表現等を改めた上で、追加測定を行い尺度の安定を図った。. 修正を加えた尺度を用いて、更に2回の追加測定を行った結果、数値の変動 がみられなくなった。以上の経緯を経て、測定尺度に信頼性が認められたこと により、これを、個人面接法による質問紙形式と作業観察法によるチェックリ スト形式を併用したメタ認知測定尺度とした。メタ認知測定尺度を資料1に、 その評価基準を資料2に示す。. 第2節予備調査皿 1.自己教示指導プログラムの作成 知的障害者の学習特性を考慮した場合、知的障害者に自己教示を用いて課題. 解決の方略を指導する際には、序論第3節で述べたように、以下のような配慮 が必要になる。. (1)教示文が知的障害者に理解できる内容・形式でなければならない。. ② ことばによる教示に加えて、絵や図を用いて説明する必要がある。 (3)課題内容が知的障害者に容易に理解できるものでなくてはならない。. (4)課題解決の達成結果についても、容易に理解できるものでなくてはな らない。. そこで、Me ichenbaum(1971)の自己教示訓練手続きをもとに、これら4っ の事項に配慮して、作業学習課題用のプログラムを作成した。このプログラム. を、佐藤(1987)、田中(1992a)の研究に照らし合わせて、プログラムの順 序、内容、教示等について検討した。さらに、兵庫教育大学の障害児教育学研 究者並びに大学院生10名により、項目細部の検討をした。その結果、Tab.7に 示すような自己教示の「予備調査用プログラム」を作成した。教示の詳細につ いては、資料3に示す。. 一14一.

(19) Tab.7 予備調査用プログラム 段階. 指. 導. 内. 容. 1 認知モデリング:指導者が作業工程を声に出して言いながらモデルを示 す。学習者は、指導者のすることを観察する。 2. 外的誘導:指導者が作業工程を声に出して言いながらモデルを示す。学 習者は、指導者の声かけによる誘導で指導者と同じ作業をする。. 3. オバート・リハーサル:学習者が作業工程を声に出して言いながら作業 をする。指導者は、声かけによる誘導を行わない。なお、学習者の声の大 きさは、次第に小さくなることが望ましい。. 4. フェイドアウト:学習者が作業工程をささやきながら作業をする。. 5. コバート・リハーサル:学習者が作業工程を、心の申でつぶやきながら 作業をする。. 2.方法. に)対象者:軽度知的障害者6名 (2)実施期日:平成11年5月17日∼21日 (3)実施場所:福祉施設いちかわ園ゆめさき分光 作業実習室. (4)手続き:ユ.で作成した「予備調査用プログラム」を用いて、作業学 習のための自己教示による指導の有効性に関する予備調査を行った。 対象者が行う作業課題は、紙箱作りとした。. 調査に当たって、自己教示がメタ認知に与える影響をみるために、先に. 作成したメタ認知測定尺度を用いて、指導の前後で対象者のメタ認知を測 心した。. 一15一.

(20) 3.結果と考察 Tab.8は、対象者のメタ認知的知識の得点の変化である。指導前後の一要因 分散分析を行った結果、指導の前後において有意差は認められなかった(π= 4.02)。また、Tab.9は、対象者の実行機能の得点の変化である。指導前後の 一要因分散分析を行った結果、指導の前後において有意傾向が認められた* ( ノア踏=4.12, ゼノ紫5, メ:》<.10) 。. Tab.8 予備調査皿におけるメタ認知 Tab.9 予備調査皿における実行機能 的知識の得点変化 の得点変化 対象者 事前得点 事後得点 Pl 19 22 12 21 P2 7 10 P3 14 13 P4 P5 8 9 1 P6 9 平均 10.33 SD. 5.65. 対象者 Pl. P2 P3 P4 P5 P6. 事前得点 6 3 3. 平均. 13.83. SD. 5.64. 事後得点 11.7. 8 3. 6.7. 7.7. 4 4. 5. 4. 4.45. 6.57. 1.42. 2。93. これらの結果から、指導前後でメタ認知の実行機能の変化がみられ、 「予備 調査用プログラム」が、作業学習には有効であることが示唆された。. この「予備調査用プログラム」をもとに、本実験の課題解決に必要な学習行 動を生起するための、自己教示指導プログラムを作成した。 「予備調査用プ[1. グラム」同様に、4つの配慮事項と先行研究を吟味して、項目細部の検討を経 た後に、Tab.10に示す課題解決方略指導用のプログラムを作成した。 「自己教. 示指導プログラム」の教示の詳細は、資料4に示す。. *本研究においては、有意水準をρ<.05として結果の表記を行う。また、ρ <.10の場合、有意に近い傾向があるものとして、有意傾向と表記する。. 一16一.

(21) Tab.10 自己教示指導プログラム 段階. 指. 導. 内. 容. 1. 認知モデリング期:モデル(指導者)が、教示を声に出して自己対話を しながら、課題を遂行する。対象者(生徒)は、モデルの行動を観察する ことによって、自己対話とはどのようなものであるかを知る。. 2. 外的誘導期:モデルの教示による誘導により、対象者がモデルと同じ課 題を遂行する。対象者は、モデルの教示に合わせて活動することによって、 自己対話のスキルを獲得する。. 3. オバート・リハーサル期:対象者が、教示を声に出して自己対話しなが ら、課題を遂行することによって、自己教示とはどのようなものであるか を理解する。この時期から、モデルは教示をしない。なお、学習者の声の 大きさは、次第に小さくなることが望ましい。. 4. 自己誘導のフェイドアウト期:対象者が、教示をささやきながら、課題 を遂行することによって、自己教示のフェイドアウト(内言化)を行う。 モデルは教示をしない。. 5. コバート・リハーサル期:対象者が、内言によって遂行を導きながら、 課題を遂行することによって、自己教示を完結させる。. 一!7一.

(22) 第3章. 本実験. 第1節方法 1.対象者 福岡県立養護学校「福岡高等学園」の第1学年に在籍する知的障害者49名の うち、メタ認知測定尺度を用いてメタ認知を測定した結果、メタ認知に遅れが あると推定された34名を対象者とした。学級の構成を考慮しながら、メタ認知 の得点がほぼ等質になるように、対象者を実験群17名と統制群17名に分けた。. 対象者のCA、 MA、 IQ及びメタ認知(メタ認知的知識と実行機能)の得 点の平均と標準偏差をTab.11に示す。なお、 CAとMAは、月齢で表示してあ. る。また、MAとIQは、亡霊・ビネー式知能検査法を用いて、実験開始前10 か月以内に「福岡高等学園」で、個別の検査によって算出されたものである。. Tab.11対象者のCA、 MA、 IQ 群. CA. 人数. MA. IQ. 平均 188.5 110.2 59.2. 実験群 17 SD 3.0 14.3 9。04. 平均 187.7 119.1 63.4. 統制群 17 SD 5.0 16.8 8.33. メタ認知的知識実行機能 9.41. 5.84. 4.71. 2.15. 9,52. 5.81. 3.10. 2.28. 2.実施期日・実施場所. (1)実施期日:平成11年6月2日(水)∼7月8日(木) ② 実施場所:福岡県立養護学校「福岡高等学園」 各教室. 3。学習課題 対象が行う学習課題は、時刻と時間の計算とした。課題の内容は、Tab.12の とおりである。. 一18一.

(23) Tab。12 学習課題. 学習課題 :時刻と時間の計算 (1)ある時刻から、○時間○○分あとの時刻がわかる。. ② ある時刻から、○時間○○分まえの時刻がわかる。 (3)予定(約束)の時刻まで、あと何分かがわかる。. 4.実験の手続き 実験群には、課題解決に必要な学習行動を生起するための「自己教示指導プ ログラム」を用いた指導を行った。統制群には、課題の解法を示したドリル学 習を行った。. 指導に当たって、自己教示 がメタ認知に与える影響をみ るために、メタ認知測定尺度 を用いて、指導の前後で対象. 匡璽蚕]. [亙亟國. メタ認知の事前測定働,4−A麟 ↓. ↓. 認知モデリング(騨一D. ドリル学習(解法付). ↓. 者のメタ認知を測定した。さ らに、自己教示を用いた指導. ↓. 外的誘導(資継72). ドリル学習(解怯付) ↓. ↓. メタ認印の中間幽幽1} 衡〒橡尉巨(Tab.4−B)のみ〉. の有効段階を知るために、指. ↓. ↓. ドリル学習く解法付). オバート・リハーサル(翻.3). 導ステップの途中でメタ認知. ↓. ↓. ドリル学習(解法付). フェイドアウト(資繕一4). の実行機能のみを2回測定し た。なお、メタ認知の測定は、. いずれの場合も、個別の測定. メタ認知の中間測定〔2} 僕行機i髭(Tab,4−B)のみ〉 ↓. ↓. ドリル学習(解法付). コバート・リハーサル(三一5). ↓. とした。. ↓. ↓. ↓. メタ認知の事麗則定㈱.4−A瑚. Fig.3に実験手続きを示す。. Fig.3実験手続き. 一19一.

(24) 第2節結果 1.対象者のIQとメタ認知得点の相関 対象者34名のIQと指導前のメタ認知得点の相関をみた。 IQとメタ認知的 知識の間には、相関がなく(r=0.23)、IQと実行機能の間には中程度の正 の相関(r=0.44,ρ<.05)があった。両者を合わせた全体のメタ認知得点 との間には、低い正の相関(rニ0.36,ρ<.05)があった。. 2。対象者のメタ認知の変化 (1) メタ認知的知識の変化. 実験群、統制群各17名の指導前後のメタ認知的知識の得点変化をTab.13に示 す。Fig.4は、両三のメタ認知的知識の平均得点の変化を表したものである。 Tab.13実験群・統制群各17名のメタ認知的知識の得点変化. 実験群. 統 制 群. 対象者 事前得点 事後得点 5 6 El 13 0 E2 6 3 E3 5 6 5 6 E5. 対象者. Cl C2 C3 C4 C5 C6 C7 C8 C9. E4. E6 E7 E8 Eg. 10. 10. 15. 20. 12. 4. 10 7. E10. 8. 11. Ell. 10 13. 14 16. 13. 11. 15. 14. 18 17. 14. 11. 14. E12 E13 E14 E15 E16 E17 平均. SD. 事前得点 6 6 3 9 11. 事後得点 8 9 13. 7 10. 10 14. 10. 11. 11. 6 8 8. 7 13. 12. 12. 14 12 14. 13. 10. 8. 12 12. 14. C10 Cll C12 C13 C14 C15 C16 C17. 10. 20. 9。41. 11.52. 平均. 9.52. 10.88. 4.71. 4.38. 3.10. 2.98. SD. 一20一. 9. 9.

(25) 14. メタ認知的知識の得点について、群 13. 間2水準(実験群、統制群)×指導ス 12. テップ2水準(指導前、指導後)の、. 得. 11. 二要因分散分析を行った(Tab.14を参. 10. 照)。その結果、指導前後のメタ認知. 〆. 点. 9. 的知識の得点に主効果(π=7.01,ガ. 8. ニ1/32,ρ<.05)が認められ、指導. 7 0. 一実験群 @…一統制群. 識の得点が高くなった。交互作用は、 事. 事. 前. Fig.4. 後は指導前よりも有意にメタ認知的知. 『「. …督…r”一舳一…一』…旧即『’. 後. 認められなかったが、数値的には実験 群のメタ認知的知識の伸びが、統制群. メタ認知的知識の得点変化. よりも大きかった。そこで、指導前後 の一要因分散分析分散分析を行った結果、実験群には有意差(π=5.87, dノ= 1/16,.ρ<.05)があり、指導後は指導前よりも有意にメタ認知的知識の得点 が高かった。一方、統制群には有意差はなかった(刃=/.92)。. Tab.14 メタ認知的知識の二要因分散分析表 df. SS. source. 群 間 1.19 指導前後 51.19 二間×指導前後 2,49 error. 233.82. T◎ta1. F. P. 1. 1.19. 0.05. 0.827. 1. 51.19. 7.01. 0.013*. 1. 2.49. 0.34. 0.564. 32 1075.22. MS. 7.31. 67. *P<.05. ② 実行機能の変化 実験群、統制群各17名の指導前後の実行機能の得点変化を、Tab.15、16に示. す。Fig.5は、丁丁の指導前後の実行機能の平均得点の変化を表したものであ る。. 一21一.

(26) Tab.15 実験群17名の実行機能の得点変化. 対象者. 事前得点. El E2 E3. E4 E5 E6 E7 E8 E9. 第1回測定. 平均. SD. 4. 4. 4. 5. 3.7. 4 4. 6 3. 7. 4. 4. 4.5 10 6 8 7 8. 6 13 7 8 10 8. 7.5. 9. 9.7 9. 6,7 7. 7.7 6. 5 4 3 2 1 0. 12 9. 11ほ. 7. 11.3. 6 6. 6 9. 9.8 6. 10.9. 9. 13 14 13 10. 10 11.4. 6 6 9 11.6. 7.8. 8. 11.5. 4 8.9 15 7 11. 5.84. 6.90. 7.44. 10.39. 2.15. 2.48. 2.35. 2.78. 実行機能の得点について、群間2水 準(実験群、統制群)×指導ステップ. 4水準(指導前、第1回測定、第2回. 9 8 7. 6. 5. 3. 15 14 13 12 11 得 10. 点. 事後得点. 3. 4 4. E10 Ell E12 E13 E14 E15 E16 E17. 第2回測定. 測定、指導後)の、二要因分散分析を 行った(Tab.17を参照)。分散分析の 囚蟹一一一讐 @ 「己「一醜’r▼一剛,,一一一r開一冒■・厘一冨.一一一一−胴“一唖寵冒. 結果、実行機能の群間と指導ステップ の間には、交互作用(π=3.68,礁=. 二:::::1::二:i翻1. 事. 前. 第. 1. 回. 第. 2. 固. 事. 後. Fig.5 実行機能の得点変化. 3/96,ρ<.05)が認められた。群間. と指導ステップの交互作用の下位検定. の結果、実験群では、指導前と2回目 の測定及び2回目の測定と指導後(コ バート・リハーサル期)の得点の間に. 一22一.

(27) Tab.16統制群17名の実行機能の得点変化. 対象者. Cl C2 C3. 事前得点 4. 第1回測定. 2 3. C4 C5 C6 C7 C8 Cg. 平均. SD. 6.5. 6. 7 3 3 5. 0. 5.7 5 5. 5. 6 6 7. 3. 5. 4 3 6 7 5. 5。5 5. 5.8. 4. 11. 8.2 6 12. 8.9 5 11. 10. 5 14 7 10 13 10. 9.7 12 8 10. 11. 5. 8 7 6. 5。7 6. 事後得点. 5 3. 4 4. 6.5 5 11 8 10 8 6. C10 Cll C12 C13 C14 C15 C16 C17. 第2回測定. 12.3. 7.7 7. 7. 5.81. 6.21. 6。97. 7,84. 2。28. 2.79. 2.75. 3.17. Tab。17 実行機能の二要因分散分析表. source 群 間. 指導前後 群間X指導前後 error Tota1. df. SS. MS. F. 29.74. 1. 29.74. 1.45. 202.43. 3. 67.48. 31.57. 3. 10.52. 23.58 3.68. 274.73. 96. 2.86. 1194.67. P 0.237 0.000****. 0.015*. 135 * p〈.05, **** p<.001. 有意差があった。統制群では、これらの有意差は認められなかった。Tab.18に 交互作用のRyan’smethodによる多重比較の結果を示す。. 一23一.

(28) Tab.18 交互作用における多重比較の結果(Ryan’smethod) pair. 群. 実験群 事前. 1回 2回 事後. 1回. 2回. 2回. 事後 事後. 統制群 事前. 1回 2回 事後. 1回. 2回. 2回. 事後 事後. r. 2 3 4 2 3. 2 2 3 4 2 3 2. nom ina l leve 1. 0.025 0.013 0.008 0,025 0.013 0.025. P. t. S19.. 1,83. 0.071. 2.76. 0.007. s.. 7.84. 0.000. s.. 0.93. 0.353. 6.01. n。s.. n.s.. 0.000. s.. 5.08. 0.000. 0.025. 0。69. 0.492. n.s.. 0.013 0.008 0.025 0.013 0.025. 2.00. 0.049. n.s.. MSe=2.86,. df=96,. s.. 3.49. 0.001. s.. 1.31. 0.194. n.s.. 2.80. 0臨006. 1.49. 0,139. s轍. n.s.. significance level=0.05. また、指導前後の実行機能の得点に主効果(π=23.58,ガ竺3/96,ρ< .001)が認められ、指導後は指導前よりも有意に実行機能の得点が高かった。. 主効果の下位検定の結果、指導後と全ての組合せ(指導前、1回目の測定、2 回目の測定)のそれぞれの得点の間に有意差があった。. 3.低実行機能グループ及び高実行機能グループのメタ認知の変化. 34名の対象者をメタ認知の得点をもとにして2グループに分けて、各グルー プの指導前後のメタ認知の得点変化をみた。. 2グループの分類は、①メタ認知の実行機能のZ得点が、0未満である低実 行機能グループと、②メタ認知の実行機能のZ得点が、0∼+2の高実行機能 グループとした。なお、2グループの分類基準をZ得点で0としたのは、平均 の上下で分けたものである。. 一24一.

(29) (1)低実行機能グループのメタ認知の変化. ア 低実行機能グループのメタ認知的知識の変化 低実行機能グループの実験群、統制群各8名の指導前後のメタ認知的知識の 得点変化をTab.19に示す。. Tab。19 低実行機能グループのメタ認知的知識の得点変化. 実 験群. 統 制 群 対象者. 対象者 事前得点 事後得点. El E2 E3. E4 E5 E6 E7 E8 平均. SD. 5. 6. 0 3. 13. 5 5. 6 6 6. 10. 10. 15 12. 20. Cl C2 C3. C4 C5 C6 C7 C8. 10. 6.87. 9.62. 4.67. 4.63. 平均. SD. 事前得点 6 6 3 9. 事後得点 8 9. 10. 13 7 10 10. 14. 10. 11. 11. 11. 8.75. 9.75. 3.30. 1.71. 低実行機能グループのメタ認知的知識の得点について、群間2水準(実験群、. 統制群)X指導ステップ2水準(指導前、指導後)の、二要因分散分析を行っ た(Tab.20を参照)。その結果、主効果、交互作用ともに認められなかった。. Tab.20 低実行機能グループのメタ認知的知識の二要因分散分析表 df. SS. source. 群 間 8.00 指導前後 28.13 群間×指導前後 6.13 error. Tota1. 137.75 500.00. F. 鍛S. P. 1. 8.00. 0.35. 0.564. 1. 28.13. 2。86. 0.113. 0.62. 0.443. 1. 6.13. 14. 9.84. 31. 一25一.

(30) イ 低実行機能グループの実行機能の変化 低実行機能グループの指導前後の実行機能の得点変化をTab.21、22に示す。. Fig.6は、両群の指導前後の実行機能の平均得点の変化を表したものである。. Tab.21実験群の実行機能の得点変化. 対象者. El E2. E3 E4 E5 E6 E7 E8 平均. SD. 事前得点 3. 第1回測定 第2回測定 事後得点 4 4. 4. 5. 3.7. 4 4. 12 9. 3. 5 7. 6 3 7 6 6. 4. 4. 9。8. 10.9. 4.5. 6. 6. 11.5. 4 4. 11.1. 11.3. 6 9. 3.77. 4.87. 5.97. 10.10. 0.49. 1.05. 1。88. 1.86. Tab.22 統制群の実行機能の得点変化. 対象者. Cl C2 C3. C4 C5 C6 C7 C8 平均. SD. 事:前得点 4. 第1回測定. 第2回測定. 事後得点. 5 3 6. 6.5 3 7. 6 6 7. 4 4. 0. 4. 5. 3 3. 5.7 5 5. 5. 5. 5.8. 5.5. 4. 5. 2 3. 3 6 7 5. 4。08. 4.22. 4.75. 5.50. 1.10. 1.83. 1。50. 1.32. 低実行機能グループの実行機能の得点について、群間2水準(実験群、統制 群)×指導ステップ4水準(指導前、第1回測定、第2回測定、指導後)の、 二要因分散分析を行った(Tab.23を参照)。分散分析の結果、実行機能の群間 と指導ステップの間には、交互作用(7=9.11,ガ=3/42,.ρ<.001)が認. 一26一.

(31) 15 14 13 12 11. められた。. 群間と指導ステップの交互作用の下 位検定の結果、実験群では、指導後と. 得 10. 9 8 7 点. 全ての組み合せ(指導前、1回目の測. 定、2回目の測定)及び指導前と2回. 6. 5 4 3 2 1 0. 目の測定の間に有意差があった。統制 群では、これらの有意差は認められな 一一 タ験群 攝ァ群. かった。. 一一一. 事 前. 第 1. 回. 第 事 2 後 回. Fig.6 低実行機能グループの 実行機能の得点変化. Tab.23 低実行機能グループの実行機能の二要因分散分析表 SS. source. df. 群 間 37,98 指導前後 138.25 群間X指導前後 54.75 error. Tota1. MS. 366.76. P. 1. 37.98. 10.30. 0.006**. 3 3. 46.08. 23.00. 0.000****. 18.25. 9.11. 0.000****. 42. 84,16. F. 2.00. 63 ** pく.01, **** p〈.001. Tab.24に交互作用のRyan’smethodによる多重比較の結果を示す。なお、統 制群については、いずれのpairも有意差が認められなかったので、結果を省略 する。. 一27一.

(32) Tab.24 交互作用における多重比較の結果(Ryan’s鵬thod) 群. palr. 実験群事前. 1回 2回. 「 2. 0.025. 1。55. 0.128. 3. 0.013. 3.11. 0.003. 事後. P. 40.0088.940.000. 1回. 2回. 2. 3. 0,013. 2回. 事後 事後. 2. 0.025. 統制群. t. nom inal leve 1. 0.025. 1.55. 0.128. 7.38 5.83. sig. n.S. S. S.. n.s.. 0.000 0.000. S. s.. いずれのpairもnon signa1である。 MSe=2.00, df・=42, significance leve1=0.05. 交互作用の効果を裏づけるように、指導前後の実行機能の得点には主効果( π=・23.00,4!鷺3/42,。ρ<.001)が認められ、指導後は指導前よりも有意に. 実行機能の得点が高くなった。また、群問にも主効果(7=10.30,ガ=1/42,. ρ<.01)が認められ、実験群は統制群よりも有意に実行機能の得点が高かっ た。. ② 高実行機能グループのメタ認知の変化 ア 高実行機能グループのメタ認知的知識の変化. 高実行機能グループの実験群、統制群各9名の指導前後のメタ認知的知識の 得点変化をTab.25に示す。. 高実行機能グループのメタ認知的知識の得点について、群問2水準(実験群、. 統制群)×指導ステップ2水準(指導前、指導後)の、二要因分散分析を行っ た(Tab.26を参照)。その結果、指導前後のメタ認知的知識の得点には有意傾 向がみられた(π罵4.06,ガ=1/16,ρ<.10)。交互作用は、認められなか った。. 一28一.

(33) Tab.25高実行機能グループのメタ認知的知識の得点変化 統 制 群. 実 験 群. 対象者. 対象者 事前得点 事後得点 7 4 E9. Cg. E10. 8. 11. C10. Ell. 10. E12 E13 E14 E15 E16 E17. 13 13. 14 16. Cll C12. 11. C13 C14 C15 C16 C17. 18 17. 15 14 14 14. 事前得点. 11. 14. 平均. 11.66. 13.22. SI). 3.43. 3.32. 平均. SD. 6 8. 事後得点 7 13. 8. 9. 12 14 12 14. 12. 13. 9. 8. 12 12. 10. 20. 1022. 11.88. 2.73. 3.47. Tab.26 高実行機能グループのメタ認知的知識の二要因分散分析表. 群間. 指導前後. 17.36 1. 23.36 1. 群間X指導前後 error. Tota1. df. SS. source. 92.11. 0.03. 1. F. P. 17.36. 0.96. 0.342. 23.36. 4.06. 0.061十. 〇.03. 16 422.75. MS. 0.01. 0。946. 5.76 35. +P〈.10. イ 高実行機能グループの実行機能の変化 高実行機能グループの指導前後の実行機能の得点変化をTab.27、28に示す。. Fig.7は、両群の指導前後の実行機能の平均得点の変化を表したものである。. 高実行機能グループの実行機能の得点について、三間2水準(実験群、統制 群)×指導ステップ4水準(指導前、第1回測定、第2回測定、指導後)の、 二要因分散分析を行った(Tab.29を参照)。分散分析の結果、指導前後の実行. 一29一.

(34) 機能の得点には主効果(刃二7.47,ガ=3/48,.ρ<.001)があり、指導後は. 指導前よりも有意に実行機能の得点が高かった。しかし、交互作用は、認めら れなかった。. Tab。27 実験群の実行機能の得点変化. 対象者. Eg. E10 Ell E12 E13 E14 E15 E16 E17 平均. SD. 事前得点 10 6 8 7 8. 第1回測定 第2回測定 事後得点 9. 13 14 13 10. 13 7. 10. 8. 11.4. 10 8. 6 6. 7.5 9. 9.7 9. 9 11。6. 6,7 7. 7。7 6. 7.8. 8.9 15 7. 8. 11. 4. 7.68. 8.71. 8.75. 10.65. 1.15. 1.92. 1.92. 3.37. Tab。28統制群の実行機能の得点変化. 対象者 事前得点 第1回測定. Cg. C10 Cll C12 C13 C14 C15 C16 C17 平均. SD. 6.5 5. 8。9 5. 11. 11. 8 10 8 6. 10. 5。7 6. 11. 5. 8 7. 第2回測定 事後得点 8.2 6 12. 11. 9,7 12 8 10. 7. 7.7 7. 6. 5 !4. 10 13 10 12.3. 7. 7.35. 7。98. 8.95. 9.92. 1.93. 2.25. 1.99. 2.87. 一30一.

(35) 15 14 13 12 11 得 10. 9 8 点. 闇胃刷幽冒胃一一一r胃戦一一一曜P一舳曽一▼暫剛鮪鴨晶昌. ?. 一圏一囚畠’一卿¶π胴一冒F一. 6. 5 4 3 2 1 0. 一・一一 事. 前. 第. 1 圓. 第. 2 回. 事. 後. Fig.7 高実行機能グループの 実行機能の得点変化. Tab.29. 高実行機能グループの実行機能の二要因分散分析表. SOllrce. 群 間. 指導前後 辻三X指導前後 error Tota1. SS. df. MS. F. P. 2.84 72.84. 1. 2.84. 0.21. 0.652. 3. 0.000****. 3. 24.28 0.87. 7.47. 2.61. 0.27. 0.849. 48. 3.25. 156.13 449.20. 71 **** p〈.001. 一31一.

(36) 4.対象者のメタ認知測定尺度の下位検査の変化 メタ認知測定尺度は、Tab.4(一部分を再掲)に示す下位検査で構成されて いる。対象者のメタ認知測定尺度の下位検査得点の変化をみた。 Tab.4 メタ認知の測定項目(一部分を再掲) B 実行機能. A メタ認知的知識 1 2 3 4 5 6 7. 記憶と忘却の程度の自覚 〔1牒題の量②課題の遂行時間 情報の量 回答の形態 情報の近親効果 情報の時間経過 体制化、カテゴリー. 1 注意 2 行動制御 3 課題の解決方略(プランニング) 4 課題の鏑「浮測 5 モニタリング. 6 努力 7 実行の評価 8 失敗数の予測. 8 スキーマ(図式). 9 リハーサル. 10先行行動の効果 11自己教示の有効性 12 逆行行動の妨害. 13わかるとは何かに関する理解. U)メタ認知的知識の下位検査の変化 メタ認知的知識の下位検査得点について、三間2水準(実験群、統謝群)× 指導ステップ2水準(指導前、指導後)の、二要因分散分析を行った。その結 果、下位検査項目6の「情報の時間経過」には、指導前後の得点に主効果(戸 =7.50,ガ=1/32,ρ<。01)が認められ、指導後は指導前よりも有意に情報. の時間経過の得点が高かった。また、項目9の「リハーサル」、10の「先行行 動の効果」には、指導前後の得点に有意傾向がみられた(9の「リハーサル」 :刃=3.77,ガ識1/32,.ρ<.10、10の「先行行動の効果」:π=4.10,ガニ. 1/32,.ρ<.10)。各項目とも、交互作用は認められなかった。検査項目6の. 「情報の時間経過」、9の「リハーサル」、10の「先行行動の効果」の平均得 点の変化を、Tab.30∼32に示す。. 一32一.

(37) Tab.30 情報の時間経過の平均 得点の変化 群 事前測定 事後測定. 平均得点 平均得点. 実験群 0.76. 1.17. 統制群 0.88. 1.11. Tab.31 リハーサルの平均得点 の変化. 先行行動の効果の平均 得点の変化. Tab.32. 群 事前測定 事後測定. 群 事前測定. 平均得点. 平均得点 平均得点. 事後測定 平均得点. 実験群 0.52. 0.70. 実験群. 0.35. 0.58. 統制群 0.70. 0.82. 統制群. 0.41. 0。70. ② 実行機能の下位検査の変化. 実行機能の下位検査得点についても、懸隔2水準(実験群、統制群)×指導. ステップ4水準(指導前、第1回測定、第2回測定、指導後)の、二要因分散 分析を行った(Tab.34を参照)。その結果、下位検査項目4の「課題の実行予. 測」の群間と指導ステップの間には、交互作用伊二6.07,d/=3/96,ρ< .001)が認められた。検査項目4の「課題の実行予測」の平均得点変化及びそ のグラフをTab.33とFig.8に示す。. Tab.33 課題の実行予測の平均得点変化 群 事前測定. 平均得点. 第1回 第2回 事後測定. 平均得点 平均得点 平均得点. 実験群 0。74. 0.42. 0.64. 1.44. 統制群 0.82. 0.64. 0.64. 0.48. 検:査項目4の「課題の実行予測」の群間と指導ステップの交互作用の下位検. 定の結果、実験群では、指導後と全ての組み合せ(指導前、1回目の測定、2. 一33一.

(38) 2. 回目の測定)の、それぞれの得点の間. 1.8. に有意差があった。しかし、統制群で. 1.6. L4. は、これらの有意差は認められなかっ. 1.2. た。Ryaガsmethodによる多重比較の. 得. 1. 結果をTab.35に示す。. 点 0.8. wー■阿一一一一一一一一一一一・一一一一 一一一一閃,P一一一一 馬悔隔旬. 一一一一’. 、. \ ㌔㍉.___... 0.6 0.4. 0。2. 一実験群 @一一一一続制群. ’”一’圏’β附’…【’…『脚甲胃”戸. 0. 十. Fig.8. 第. 第. 回. 回. 1. 目11. 2. 事. 後. 課題の実行予測の 得点変化 Tab.34課題の実行予測のこ二要因分散分析表 SS. SQurce 群 聞. MS. F. P. 0,97. 0.54. 0.467. 0.97. 1. 3。56. 1.19. 2.97. 0.036*. 7。27. 3 3. 2.42. 6.07. 0.001****. 38.33. 96. 0.40. 指導前後 群間X指導前後 error Tota1. df. 107.52. 135 * p〈.05, **** p〈.001. Tab.35 交互作用における多重比較の結果(Ryan’smethod). pair. 群. 実験群 事前. r. 1回. 2. 0.025. 2回. 3. 0.013. 事後. 統制群. nominal level. 1回. 2回. 2. 2回. 事後 事後. 3. 1.55. 3.11. t. P. 0.128. 0.003. 40.0088.940.000 0.025. 1.55. 0.013. 7.38. 0.128. 0.000. 20.0255.830.000 いずれのpairもnon signa1である。 MSe=2.86,. df=・96,. 一34一. significance leve1=0.05. sig. n.S. S, S.. n.S. S. S..

(39) さらに、Tab.36に示すとおり、下位検査項目6の「努力」を除く全ての項目 で、指導前後の得点に主効果が認められた。. Tab。36実行機能下位検査の二;要因分散分析の結果. 主効果が認められた項目 項. 目. 注. 意. 主効果が認められたもの 指導ステップ (7露16.96,(が=・3/96,ρ<.001). 下位検定の結果有意差が あったpair. (ρく.05). 第2回一指三百(t=4.61) 指溝前一指導後(t=6.58) 第1,回一指導後(t=5.60). 行動制御. 指導前一叢2回(t=2.81). 指導ステップ (π箪2.79,(が=3/96,ρ<.05). 課題の解決方略. 課題の実行予測. (刃竺3,58,dノ==3/96,ρ〈.05). 指導同一第1回(t=2.29) 指導前一三2回(t=2.95) 指導前一指導後(t=2.62). 指導ステップ. 第1回一指導後(t=2.82). 指導ステップ. (1謀2.97,《∠ノ=・3/96,ρ<。05). モニタリング. 群間(t=2.69). 群間 (ダ=7.26,{オノ=1/32,ρ〈.05). 指導ステップ. 第2回一指運搬(t=3.15). (刃=30.11,α/=3/96,♪〈,001). 第1回一第2回(tニ2。37) 指導前一息迂回(tニ3.68) 指i導前一手旨導後 (t=9.20). 第1回一指導後(t=5.52) 指導前一第2回(t=6.04). 努. 主効果な し. 力. 実行の評価. 指導ステップ (17・コ13.40,{がニ3/96,ρ<.001). 第2回一指導後(t=5.62) 第1回一第2回(t=2.53) 指導前一第1回(t=2.81) 指導前一指i導後(t=10.95). 第1回一指愚慮(炉8.14) 指導前一直2回(tニ5.33). 失敗数の予測. 指導ステップ (酒「4.41,(が=3/96,ρ〈.01). 第1回一五2回(t=2.67) 指導前一第1回(t=3。00). なお、全ての下位検査の平均得点の変化を資料5に示す。. 一35一.

(40) 第4章 考察= 第1節 IQとメタ認知の関係 本研究においては、IQとメタ認知の実行機能の間には、中程度の正の相関 がみられた。このことは、知的障害者のメタ認知の発達は、精神年齢の発達に ある程度依存するという佐藤(1984)の研究結果を支持するものであった。し. かし、①IQと実行機能の間には、中程度の正の相関はあるものの、相関係数 は、それほど高いものではなかった。さらに、②メタ認知的知識との間には、. 相関がなかった。この2点から、知的障害者のメタ認知の発達は、単に精神年 齢の発達に依存するのではなく、今までの経験、学習の習得度、個人の気質な ど様々な影響を受けることが示唆される。つまり、知的障害者のメタ認知の発 達の質には、かなりの個人差があるという松村・倉本(1980)の研究結果も、 同時に支持されたものと考える。. 学習内容の理解や課題解決のためには、メタ認知の発達が必要である(Brown,. 1977;1978)。したがって、メタ認知の発達が、精神年齢のみに依存するので あれば、知的障害者の学習困難を克服するのは極めて難しいことになる。しか. し、本研究の結果に基づくと、メタ認知の発達は、IQのみに依存するのでは なく、経験や学習及び教示など様々な影響によって、発達が促されると考えら れた。さらに、知的障害者のメタ認知の発達の質に、かなりの個人差があると すれば、様々な経験や学習を通して、知的障害者のメタ認知の獲得状況に応じ た指導をすることによって、メタ認知の発達が更に促進されることが示唆され る。ひいては、メタ認知の発達の促進によって、知的障害者の学習困難の克服 が比較的容易になることも期待できるであろう。. 一36一.

(41) 第2節 自己教示がメタ認知に与える影響 1 自己教示がメタ認知的知識に与える影響 本研究では、知的障害者に対して、課題解決を行うに必要な学習行動を生起 する自己教示による指導を行った。その結果、メタ認知的知識に関しては、実 験群、統制群ともに、指導後のメタ認知的知識の得点が、指導前の得点よりも 有意に高くなった。すなわち、実験群のみに特有で、顕著な変化というものは みら.れなかった。このことは、知的障害者のメタ認知的知識は、いかなる学習 によっても高まることを示唆している。これは、Brown and Campione(1977). の、知的障害者のメタ認知的知識は、加齢、経験などにより、獲得が促される という指摘のとおり、自己教示に限らず様々な活動や学習によって、メタ認知 的知識が高まった結果であると考える。つまり、自己教示は、知的障害者のメ タ認知的知識の高まりを促進するものの、その効果は、他の経験や学習に比較 して、著しく大きいというものではないといえる。しかし、このことは見方を 変えれば、知的障害者のメタ認知的知識は、加齢、経験、教示、その他の日頃 学校で行われるあらゆる活動によって、獲得が促されることでもある。したが って、知的障害者のメタ認知を高めるためには、一つの指導内容や技法にとら われることなく、知的障害者一人ひとりの学習特性に応じた指導をすることが 重要であるといえる。知的障害者の自己理解や課題及び解決方法に関する知識 が、学校で行われるあらゆる活動によって促される可能性があるとすれば、養 護学校における教育は、今よりもっと多様な工夫がなされてもよいと考える。. 2 自己教示が実行機能に与える影響 (1)自己教示指導プログラムの全般を通して. メタ認知の実行機能については、自己教示による指導の結果、実験群の実行 機能が、統制群に比較して有意に高まった。この結果は、自己教示を用いて知. 一37一.

(42) 的障害者の様々な学習指導を行ったBorkowski and Vamhagen(1984)、Burger,. Blackman, and Clark(1981)、佐藤(1987)、田中(1992a)などの研究結果 を支持するものであった。. 自己教示には、コントロール、プランニングなどの実行機能のシステムの要 素と共通する部分が多い。そのため、実行機能の活性化を極めて促しやすい( Me ichenbaum,1990)。すなわち、実行機能のシステムを具現化したものが自己. 教示であると考えられる。本研究の結果は、自己教示のシステムが、実行機能 のシステムの要素と共通するというMe ichenbaum(1990)の考えを裏づけるも. のといえる。さらに、自己教示は、モデリング、オバート・リハーサル、コバ ート・リハーサルの一連の系列の中で、学習者が自分の行動をプランニングし たり、モニタリングしたりすることが可能になるように指導するものである( Me ichenbaum and Goodman,1971)。学習者は、自己教示指導プログラムを経る. ことにより、認知に必要な手立てを選び、実行して、評価するようになる。そ の結果として、学習者は、自身を認知方略の管理者にすることが可能になると いうBorkowski and Varnhagen(1984)の考えを支持するものが、本研究にお いても得られたものと考える。. 今回の指導の中で、対象者は、時刻と時間の計算:をするために、まず①この. 問題は何を求めなければならないのかを考え、②もとになる時刻は、何時何分 であるかという情報を探索した。さらに、③解決方略を選択、決定した上で実 行し、④計算の経過、結果が正しかったかどうかを評価するといったプランニ ング、モニタリングなどの実行機能のシステムをたどっていったことが予想さ れる。その際、誤りに気づいた場合には、 「待て、聴け、観ろ、もう一度考え. ろ」というコントロールのシステムによって、軌道修正を行っていたと考えら れる(Palkes, Stewart, and Kahana,1968)。指導申の対象者の発言の中でも、. 「この計算方法で正しいはずだ」 「ちょっと待てよ」 「ここが間違っているん. 一38一.

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