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<企画論文>地方分権に相応しい地方税改革のあり方の研究

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Academic year: 2021

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(1)

<企画論文>地方分権に相応しい地方税改革のあり方

の研究

著者

前田 高志

雑誌名

産研論集

37

ページ

1-2

発行年

2010-03-31

URL

http://hdl.handle.net/10236/4018

(2)

1 -  -  平成5(1993)年の国会の「地方分権の推進に 関する決議」、平成6(1994)年の「地方分権の 推進に関する大綱方針」の閣議決定、そして平成 7(1995)年の地方分権推進法の制定によってわ が国における行財政制度の地方分権改革が始まっ て既に二十年近くが経過したことになる。この 間、地方分権推進法に基づき内閣総理大臣の諮問 機関として設置された地方分権推進委員会が五次 にわたる勧告を行い、それを受けて平成11(1999) 年の機関委任事務の廃止や地方分権一括法の制定 (平成12 年 4 月施行)、国地方係争処理委員会の 創設、国の関与の透明化、必置規制の緩和、地方 公共団体の課税権の拡充などが行われた。続いて 平成13(2001)年に設置された地方分権改革推 進会議は三次にわたり意見書を提出し、事務事業 の見直しや三位一体の改革(国から地方への税源 移譲と国庫補助負担金、地方交付税の縮小整理) を提言し、それに沿った改革が実施されている。 さらに、平成18(2006)年には地方分権改革推 進法が制定され、さらなる地方分権改革が進めら れることとなった。その後、平成21(2009)年 に発足した民主党政権は、地域のことは地域に住 む住民が決める「地域主権」を実現するための改 革とともに、地方分権改革推進委員会の勧告を踏 まえた施策を実施することとし、平成21 年 11 月 17 日の閣議決定により、内閣府に地域主権戦略 会議を設置したところである。こうしたこれまで の経緯をふりかえって、国と地方の関係や権限の 委譲について一定の成果は得られたものの地方分 権改革が未だ道半ばの状態にあるのは、一つには 分権された権限を、責任をもって担ってゆくため に必要な財源とりわけ税源の国から地方への移譲 が本格的になされていないためである。  ここであらためて地方分権改革が必要とされる 論拠についてふれることはしないが、今後、地方 分権改革を実効性のあるものとするために必要な のは、「地域主権」や「自治体政府」などといっ たイメージを先行させる言葉によって議論を錯綜 させることではなく、地方分権を担う責任と能力 を担保する制度の着実な整備である。そして、そ のためには国・地方を通じた税制改革により、分 権化された行財政の意思決定と運用の基礎となる 地方税源の拡充が急がれねばならない。地方分権 は平たくいうならば「地域のことは地域自らが決 める」ということであるが、忘れてはならないの は「地域の住民自らの負担で」ということである。 これまで国を経由して地域間再分配の要素をもっ て再配分されていた部分も含め、地域のお金を地 方団体が自ら「集め」、「使う」のが地方分権であっ て、当然、住民負担のあり方も従来とは異なって くることになる。地域が自立するということは、 自らの負担と責任で自ら治めることであって、そ の実現には国との関係、国の関与を前提とした税 制とは異なったシステムの構築が不可欠である。 そして、それは地方団体が納税者としての住民と 向き合う局面を大幅に拡大させる。住民が負担す る税の多くが国ではなく地方団体に直接に納めら れ、支出される。納税者の税負担の主たる部分は 国税ではなく地方税となる。そのことによって、 地方団体にはより効率的な行政運営と財政規律が 求められることになる。また、地域という枠に関 係なく行われる企業活動に対して分権化された税 制はどのような影響が及ぼすのか(すなわち、マ クロ経済はどのような影響を受けるのか)も十分 に考慮されねばならない。  そうした責任拡大への自覚が地方の側にあるの 企画論文

地方分権に相応しい地方税改革のあり方の研究

前 田 高 志

(3)

2 -  - 産研論集(関西学院大学)37 号 2010.3 かどうか、分権化されたシステムの下での地方税 制のあり方に関する具体的な議論は、「地方に税 源を」という声の強さの割には、適切になされて きていない感がある。こうしたことから、本号の 企画では地方分権改革を支えうる地方税改革のあ り方をその全体像と個々の税目に関して研究する こととした。林論文では地方税制全体にわたる改 革のあり方が検討され、八塩、戸谷の各論文では 地方個人所得課税、法人課税の課題と改革の方向 性が論じられる。さらに、前田論文では課税自主 権、また上村、日高の各論文では地方税独自の租 税特別措置に係る租税支出の問題についての論究 がなされる。これらの研究成果が、地方分権の基 盤となりうる地方税制改革をめぐる今後の議論の 一助となれば執筆者一同の幸いとするところであ る。  なお、執筆者全員は社団法人日本租税研究協会 の地方税研究会の委員を務めるものであり、ここ に掲載された論文はすべて同研究会における各執 筆者の研究報告(報告内容は同協会発行の『租税 研究』誌各号に掲載)を論文として再構成したも のである。研究会での報告成果を産研論集の企画 論文として活用することをお許し下さった日本租 税研究協会に対し、記して感謝の意を表させて頂 きたい。

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