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注意集中と動作の単純化に焦点を当てたアプローチによって 一連の起き上がり方法を再学習した脳血管疾患患者の一例

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(1)

注意集中と動作の単純化に焦点を当てたアプローチによって

一 ―運の起き上がり方法を再学習した脳血管疾患患者の一例 ―

熊 谷 理恵

小 田 和 美

].は

じめに

近年 の高齢社会 に伴 い高齢者 の受療 率 は年 々増 加 傾 向 に あ る。 入 院 にお い て は高齢 者 が全 体 の

64%を

占め て い る。 脳 血 管 疾 患 の入 院息 者 は約

23万

人 で入 院息 者全体 の

16%で

あ る。 そ の うち

65歳

以上 の脳 血 管疾患 の高齢者 は

20万

人 で あ り, 全体 の

864%も

占め てい る状 況 で あ る (厚生 統計 協 会

,2008;厚

生 労働省 ,2005)。 脳 血 管疾息 に罹患 した場合

,状

態 が安 定 してい れ ば急 性 期 よ り機 能 回復訓練 が 開始 され てい る。 高齢 者 の脳 血 管疾 息 の予後 は背景 にあ る脳病変 や 運 動 器 疾 患

.廃

用 性 変化 に よって左 右 され (岩 本 ・木 内

,2003).治

療 に は総 合 評価 と早 期 リハ 奉 [連絡先](勤)〒399-4117 長野県駒 ヶ根市赤穂1694 長野県看護大学看護学部 長野県看護大学看護学部 長野 県看護大学看護学部 左視床脳 出血 で入院後 lヶ 月ほ ど経過 していたが

,ADLの

拡大が図れていなか った77歳の男性へ の関わ りを 振返 った事例であるG関わ り当初 は発熱や倦怠感な どによって 日中のほ とん どを臥床 している状況であ り,自 力で寝返 りや起 き上が りがで きず座位 も安定 していなかった。 また,軽度の意識 レベ ルの低下 と認知機能の低 下が存在 していた。そのため,適切 な起 き上が り方 を習得で きるように関わること,体力や筋力の低下 を最小 限に とどめること,バランス感覚 を向上 させ ることに着 目し,理学療法士 と同 じ順番で接す ることに した。 ま た,理解 に合 わせた指示の仕方 を して記憶力の向上,動作の順番 を思い出せ る ように働 きかけた。 さらにバ ラ ンスを保持で きる姿勢 を意識的に とれるように言葉で姿勢の修正 を した。その結果,適切 な順番 に基づいてほ ぼ 自力で座位 にな り′

,1時

間位 の端座位 を保持 で き,お茶 を飲 むな どの動作 も安定 して行 える ようになった。 以上 の ことか ら,適切 な起 き上が りの順番や座位保持のポ イン トを息者の状態 に合わせ,その方法 を修正 して か ら伝 えること,身体や環境 の状況 を整 えることな どによつて,適切 な動作の引慣番 を記憶す ること,座位の保 持,筋力や体力の維持向上

,ADLの

拡大, 自尊′いの向上が図れることが示唆 された。 キーワー ド⇒ 注意集中〕認知

,動

作の単純化

,記

,脳

血管疾患 ビリテーシ ョンが重要 である とされているため, 高齢者 において も同様 に急性期 よ り機能回復訓練 が行 われている。 しか し

,高

齢者 は成人期 には見 られない生理的な身体機能低下や心理・精神的変 化 もある (松村

,2001)た

,高

齢脳血管疾息患 者 に対 して も

,そ

の特徴 も踏 まえて長期的な視点 で リハ ビリテーシ ョンに関わる必要がある。 今 回

,脳

出血 で入 院 した

77歳

の男性息者 (以 下

,Aさ

ん とす る

)に

関わ った。

Aさ

んは罹息 後数 日で リハ ビリテーシ ョンが開始 されたが

,日

常生活動作 (以下

,ADLと

する

)が

拡大 されず, 看護師か らの促 しがない と自発的に行動 しない時 期が続いていた。研究者 は看護師 として リハ ビリ テーシ ョン開始lヶ 月後頃 より関わ りを持 ち始め1 息者の注意集中機能や認知機能へ働 きかけるため に動作 を単純化 した声掛 けを援助 に取 り込 む と, 徐 々にではあるが活動範囲が広が り

,ほ

ぼ寝た き

(2)

熊 谷・小 田 :注 意集中 と動作の単純化に焦点 を当てたアプローチによって りの生活 か ら

,ほ

とん ど自力で座位 にな り日中は 端座 位 で過 ごす 時 間が増 える まで にな った。 そ こ で

,こ

の事 例へ の介入方法 につ いて検討 したので ここに報告す る。

2.事

例 の概要

2-1

対象者 氏 名

:A氏

,年

:77歳

,性

別 :男 性 現 病歴 :脳出血 (左視 床) 主訴 :呂 律 が うま く回 らない 現病 歴 に よる症 状 :右上 下 肢 不 全 麻 痺

,構

音 障 害

,囃

下 障 害

,意

識 レベ ル の 低 下

(GCS:

E4V4M6),見

当識 障 害

,神

経 因性 勝 脱

,尿

失 禁

,便

失禁 既往 歴 :肺手術 (62歳の とき

,詳

細 は不 明

),坐

骨 神経 痛 (入院 中 は訴 え な し

),左

上 下肢不 全 麻 痺 (詳細 は不 明

,未

治療 で あ った

),高

血圧 職業 :入 院前 まで農業

,入

院の

4年

前 まで は炭焼 き 性 格 :穏やか

,日

数 は少 ないが無 口で は ない 趣 味 :仕事

,庭

木 の剪 定 家族構 成 :妻

,長

男 夫婦

,孫

2人

と同居 体格 :身 長

160cm,体

85kg(BM1332)

2-2

現病歴

20XX年

9月 30日

,自

宅 で通 常 通 りの生 活 を してい たが 身体 の動 きが悪 くなった。疲 れ だ と判 断 し 1日 休虐、を とって様子 を見 ていたが改善 しな か ったため

,脳

神 経外科 を受診 した ところ

,脳

出 血 と診 断 され入 院 となった。入 院翌 日

(20XX年

10月 2日

)に

はバ イ タルサ イ ンが安 定 した ため ベ ッ ドサ イ ドで理学療 法が 開始 された。 また

,そ

の4日 後

(20XX年

10月 6日

)よ

り同様 に作 業 療 法 も開始 され た。 しか し

,20XX年

10月 26日 頃 よ り尿路 感染 に よる発 熱 の ため臥床 時 間が長 く な り, この頃か ら, 日中寝 て しまうこ とで夜 間 に 不 眠 にな って い た。 また

,発

熱 に よる倦 怠 感 の た め に洗面

,ひ

げ剃 りや清拭 な どの清潔 に関す る行 為 や リハ ビ リテ ー シ ヨン (以 下

,リ

ハ ビ リ とす る

)に

対 して積 極 的 に行動 が 起 こせ ない状 況 で あ った。

2-3

関 わ り始 め た頃の状態

(20XX年

1可 月 1日)

Aさ

ん は 自力 で の寝 返 り

,起

き上 が りが 困難 であ り

,端

座 位 や立位 も安定 しないため トラ ンス フ ァー は全介 助 で あ った⑤記 銘 力 の低 下 が あ り, 端座 位 や立位 にな る よ うに指示 して も

,手

川買が覚 え られ ないため に適切 な行 動 が取 れ なか った

cま

た一 つ の動作 に時 間がかか る状 況 であ つたc 構 音 障害 と腹 圧 の低 下 に よつて声 が 聞 き取 りづ らか ったが , コ ミュニケー シ ョンは成立 していた。 囃下 障害 が あ った ため特 別食 を摂 取 していた。 も ともと食べ ることが好 きとい う性格 と本人の希望 により

,右

手でスプーンを持 ち

,左

手で茶碗 を持 って

45分

1時

間近 く時 間 をか けて 自力で摂取 していた。 リハ ビリの内容 は関節可動域訓練や寝返 り訓練, 起 き上が り訓練であった。

2-4

医師か ら患者及び家族 に行 われた病状 につ いての説明 今回は もともとの左上下肢不全麻痺 に加 えて右 上下肢不全麻痺が出現 し

,結

果 として四肢麻痺 と なっている。 もともとの多発性脳梗塞が

CTで

み られる。脳萎縮 も高度である。機能的には麻痺 は 重 くないが

,脳

血管性認知症

,パ

ーキ ンソン症候 群な どが今後の問題 になって くる可能性がある。

2-5

患者 自身の医師か らの病状説明の受け止め 医師か らの病状説明後

,医

師に何 を言われたか 尋ねると

,言

葉が聞 きとれなかったため何 を言 つ ていたのか分か らなかったが

,泣

き出 していたこ とか ら否定的な感情があることが窺 えた。

2-6

倫理的配慮 今 回の実践報告での学会誌へ の投稿 にあた り, 意識状態が はつ き りしない こ とが あったため

A

さん本 人への了承 を得 るこ とは困難であったが, ご家族 (妻

)へ

口頭 にて

,学

会誌へ投稿す ること, 論文内では匿名にす るため個人は特定 されないこ と

,論

文投稿後 にデータは破棄す ること

,論

文へ の投稿 を断ることが出来ること

,一

度了承 した後 資 料 。 実 践 ノ ー ト

(3)

で も断 るこ とがで きる こ と

,断

って も今 後の診療 等 に不 利益 が ない こ とを説 明 させ て頂 き

,了

承 を 得 て い る。

3.問

題状況の発生経過

20XX年

11月 1日 日中は臥床 していることが多かったため

,定

時 的に体位交換が行われていた

c看

護師の促 しによ ってベ ッ ド柵 を持 って身体 を支えようと協力的な 動作 はみ られた。 しか し

,促

しがあって も自分 自 身の力では身体の向 きを変えた りすることはで き なかった。 また

,ベ

ッ ドか ら車 イスヘ移動す る際 は介助で端座位 になることがで きるが

,そ

の状態 か ら車 イスヘ移 るために立 ち上がって身体の向 き を変 えることはで きなかった。そのため, トラン ス ファーは看護師が全介助で行 っていた。この 日 の リハ ビリ内容 は

,寝

返 り訓練 と起 き上が り訓練 であった。 ベ ッ ドア ップ してベ ッ ド上長座位になると

,手

拭 きを手渡せば右手で持 って顔 を拭 くことはで き ていたが促 しがない と行お うとは しなかった。

20XX年

11月 2日 前 日の リハ ビリについて「良 く動けていました ね」 と話 しかけると「まだ駄 目だ。 まだ思い通 り には動 けない。 まだ全然動 けないけ ど

,ト

イレく らいは行 けるようにな りたい」 と言 う言葉が返 っ て きた。ベ ッ ドア ップ中は長座位でず っと病室か らタトの景色 を眺めていたので

,他

の場所へ行かな いか と誘 うと賛同 し

,車

イスに乗 って散歩に出か けた。散歩の途中で病院の外 に出ると「外の空気 は気持 ちがいい」 と嬉 しそ うな表情 を していた。 病室 に戻 つた後は「疲れた」 とい う言葉が聞かれ たためベ ッ ドで休 んだが

,し

ば らくすると「起 き たい。起 きていた方が楽だ。」 と言 つて 自力で起 き上がろうとした。 しか し腕 に力が入 らず

,ま

た, 両手で左右両方のベ ッ ドオ冊を持 って

,仰

臥位のま ま起 き上がろうとしたために起 き上がることがで きなかった。 リハ ビ リ室で は起立訓練 を行 ったが

,身

体 の軸 が 安 定せ ず

Aさ

ん一 人で の立 位 保持 は困難 で あ った。端座位 につ いては

,身

体 の前 にテーブル を 置 きその テー ブル に手 を付 いてい る と安定す るが テー ブルが ない と徐 々に後 ろに倒 れて しま う状 況 で あ った。 リハ ビ リ後 に病 室 に戻 る と「 疲 れ た」 と言 つてお り

,熱

を測 る と

386℃

あ りそ の ま ま 休虐、を取 つて もらったc

20XX年

11月 4日 日中は

,活

動 を促せ ば取 り組 もうとす る姿勢が み られるが

,声

をかけなければずっと何 もせず寝 ていた り

,自

分か らお茶 を飲 んだ り

,ひ

げを剃 っ た りす るなどの行為 を行お うとする姿 は見 られな かった。 また

,尿

路感染 と思われる発熱があるた め

,安

静 に していることが多 く臥床時間が長 くな っていた。

4.問

題 の理解 と目標設定

Aさ

んは トイ レに行 ける ようにな りたい とい う動機があ り

,自

分か ら起 き上が ろ うとした り, 日中ベ ッ ドか ら離れることで気分転換がはかれて いたため, 自力で起 き上が り動作がで き離床が段 階的に進 んでいけば

,ADLの

拡大 に繁が るので

はないかと推察できた。そのためには

,①

Aさ

んが適切な起き上が り方を習得できるように関わ

ること

,②

発熱や倦怠感による体力や筋力の低下

を最小限にとどめることが重要と考え

,

さらに③

バランス感覚が向上し端座位や立位保持ができる

ようになるための関わりが必要であることが考え

られた。

Aさ

んは脳出血を発症 したことにより

意 識 レベ ルが低 下 して い た

(GCS i E4V4M6)た

,特

に端座位 は

,足

底 が しっか りと床 に着 くこ とに よつて

,意

識 レベ ルの支 配 を司 って い る脳 幹 網様体賦 活系 に刺 激 を与 え る こ とが で き

,バ

ラ ン ス感覚 を向上 させ るため には重要 であ る と考 えた。 さ らに端座位 が保持 で きる ようになるこ とは

,

ト イ レでの初F泄が で きる ようになる ことに直結 して お り

,覚

醒 が促 され

,体

力 や筋 力 の維持 向上 に貢

(4)

熊 谷・小 日 :注 意集中 と動作の単純化に焦点 を当てたアプローチによって 献 で きる と考 えた。

Aさ

んは

,入

院前 か らの左 上 下肢麻痺 に加 えて, 今 回の脳 出血 に よつて右 半 身の知覚 障害 と右上下 肢 不 全麻痺 が生 じた こ と

,肥

満体 型 (BM1 332) の ため に体重 と筋力のつ りあいが取 れ に くい こと な どか ら

,身

体 のバ ラ ンス保持 が 困難 とな ってい る と考 え られた

cさ

らに

,発

熱 に よって臥床 時 間 が 長 くなってい る こと

,そ

れ らの こ と全 てが相 ま って体 が動 か しに くくなってお り

1寝

返 りや起 き 上 が りな どの動作 が 自力 で出来 な くなってい るこ とか ら

,筋

力 や体 力が低 下 してい る こ とが推 察 さ れ た。 これ らに加 えて

,日

中に行 われ る顔拭 きや お茶 を飲 む こ とな ども促 しが ない と行 えない状況 、 が続 いていたため

,毎

回促 しを しない と本 人の残 存 機 能 を引 き出す こ とが で きず

,関

節 可動域 の減 少 や体 力 ・筋 力 の低 下 が予測 され た。 リハ ビリ中 は理学療法士 の指示 に従 い

,身

体 を動 かす こ とが で きてい たため

,病

室 で も

Aさ

ん に合 つた起 き 上 が りの方 法 を実 施 す れ ばその方法 を

Aさ

んが 学 習 で き

,体

力 や筋力 の低 下 を防 ぐこ とが で きる ので は ないか考 えた。 これ らの こ とか ら

,Aさ

ん の トイ レに行 け る よ うに な りた い とい う希 望 も加 味 して, まず

A

さんが 自力 で起 き上 が りが で き

,端

座 位 を保持 で きる ようにな る こ とを 目標 に した。

5.目

標 に向か つての実践経過 ・結果

5-1

目標別 に見 た関わ りの経過 発熱や倦 怠 感が存在 していたため

,Aさ

んの 体力で行 える 日中の活動 をリハ ビリとして最大限 に生かせ るように し

,食

事前や リハ ビリ前の動作 時

,水

分摂取時 を利用 して起 き上が りの訓練 を実 施す るこ とが有効 であ る と考 え

,Aさ

んの起 き 上が り方や意欲 を観察 し指導 を してい くことに し た。関わ りの経過 と

Aさ

んの反応や介入の結果 は

,Table lに

示す。 ①適切 な起 き上が り方の習得

20XX年

11月 8日 ベ ッ ドで熟睡 していたが食事 を持 ってい くと目 が覚めたため,「起 きてお昼 ごはんを食べ られそ うですか?」 と尋 ねた ところ「食べれそ うだ よ」 と返事 が あった。

Aさ

んに起 き上が る ように促 す と

,い

つ もの ように左右のベ ッ ド柵 につか ま り, 仰臥位のまま起 き上が ろうとしていたため

,一

度 その まま寝 る ように説 明 し「 まず私 の方

(Aさ

んの右恨

1)を

向いて寝て くだ さい」 と声 をかけて 右側臥位 に寝て もらい,「足 をおろ して ください」 とベ ッ ドか ら足 を下 ろす ことを促 した。その状態 か ら

,起

き上がる時は右肘 (側臥位 になった際に 下になる側の肘

)に

力 を入れて手 をついて起 き上 が る ように説明 を した。

Aさ

んが起 き上が り方 法で混乱 しない ようにリハ ビリ中に理学療法士が 実施 している方法 と同 じ動作の順番「 ア 起 き上 が りたい方のベ ッ ドサ イ ドの反対狽]に身体 を寄せ る。」「イ

.起

き上が りたい方 に向いて寝返 り恨」臥 位 になる。」「 ウ

_足

をベ ッ ドか ら下 ろす。」「エ 右肘 と右手に力 を入れて身体 を起 こし横向 きに起 き上がる」で実施 した。肩 と腰 に手 を当てて支 え 起 き上が りを看護師が介助する と

,仰

臥位のまま 起 き上がるよりも軽介助で起 きることがで きてい た。 この方法 を使 うと

,Aさ

んの力 の作用が無駄 な く起 き上が りに活か されているとい うことが実 感で きたため, この起 き上 が りの動作 の順番 に 「オ 起 き上が りの一連の動作 の順番 を覚 えるこ とがで きる」 ことを加 えて, これ らを①

Aさ

ん が適切 な起 き上が り方 を習得で きることの具体的 目標 と した。

Aさ

んは最初 の動作 を指示 しなけ れば

,仰

臥位のまま起 き上が ろうとす るため

,A

さんが道切 な動作の順番 を覚 えられるように

,起

き上が り動作 をす る前 に

,看

護師が「今か ら起 き 上が ります よ」 と声 を掛 けて

lAさ

んが心 身 と もに準備がで きるように心掛 けた。 また

,起

き上 が り動作 に注意 を集 中で きる ように看護師は

A

さんの一つ一つの動作 を指示 し

,そ

の動作が終 る まで声 を掛 けず に待 つ ように した。そ して

,A

さんが動作 中はその場で静かに見守 るように配慮 資 料 。 実 践 ノ ー ト

(5)

した

c更

,起

き上が り動作 を小 さな動作単位に 分 け

,更

にア∼工の動作の順番 を統一 して今後関 わってい くことを強化 してい くことに したc

20XX年

11月 9日 ベ ッ ドで横になって家族 と話 を している際に, 食事 は起 きて食べ られそ うか と看護師が尋ねると 「食べれ ます」 と返答があったc「では起 き上が り ます よ」 と声 をかけると前 日同様に仰臥位のまま 起 き上が ろ うとしていたため

,Aさ

んに一動作 ずつ言葉で指示 し従って貰 った

cま

ず一度寝て も らい少 し左狽‖に身体 を寄せ るように促 し身体 を動 かす介助 を看護師が行 った。その後右側 に寝返っ て もらい足 を下 ろす ように説明を し

,足

を下ろす の を手伝 ってか ら起 き上が りを支 えた。起 き上が り後は「疲れた」 と言 うような発言 はな く

,前

日 よ り自然 な動作 になって きていた。

20XX年

11月 10日 水分補給のため看護師が端座位 になることを促 した。

Aさ

んの左狽1に身体 を動 かす ように促 し て移動 を手伝 った。その後右狽」に寝返 りをうつ よ うに促 したが

,ベ

ッ ド柵 と身体の距離が近 く

,十

分 な側臥位 にはなれなかった。再び仰臥位 になっ て位置 を直 してか ら寝返 りをす るのは

Aさ

んに とって負担 になる と考 えたため,「いつ もよ り身 体が右側に寄 っていますが

,そ

の状態のまま起 き てみ ま しょう。昨 日と同 じ様 に右恨」を向いて下 さ い。」「右手 と右肘 に力 を入れて身体 を起 こして く ださい。」「身体 を起 こ した ら足 を下ろ して くださ い。」 と

Aさ

んの動 きに合わせ て一動作ずつ指示 を出 した。動作 中に看護 師が介助 を したが

Aさ

んは起 き上が り辛そ うに してお り介助量 も大 きか った。 これはベ ッ ド柵 と身体の距離が近い ことで十分 な側臥位が取れず起 き上がろうとす る力が半恨1臥 位 を保つ力 に分散 され

,起

き上が りに十分 な力が なかった と考 えられた。十分な側臥位 になってか ら起 き上が る ことで

,Aさ

んの力 が起 き上が り だけに利用 され

,起

き上が りやす くなることが推 察 されたため

,介

助者 の動作 の順 番 の徹底 と

A

さん 自身が正 し く側臥位 を取 つた方が楽 に起 き上 が れ る こ とを実感 で きる ように意 図的 に声 をか け てい くこ とが必要であ る と実感 した。

20XX年

11月 15日 面 会 者 が お り

,Aさ

ん か ら「起 きる」 との発 言 が あ つた。左 右 のベ ッ ド柵 をつか み仰 臥位 の ま ま起 き上がろうとしていたため

,正

しい方法で起 き上が るように一度寝て もらった

cこ

れ まで仰臥 位か ら起 き上がる際には一動作ずつ指示 をして従 って もらっていた ところ数 日で指示 に従 った起 き 上が り動作がスムーズになって きていた。そ こで, 一連の動作 の順番が記憶 されているか確認す るた め に

Aさ

んに「起 き上が るには どう した らよか ったので しようか?」 と尋ねてみた ところ

,再

び 仰臥位の まま起 き上がろ うとした。そのため

,看

護師は側臥位 になるとい う最初の動作のみ促 した。 す ると

,そ

の後は自力で寝返 りがで き

,足

もベ ッ ドか ら下 ろそ うとするため

,足

を下 ろすのを少 し 手伝 い肩 と腰 を支 えて起 き上が りを行 った。起 き 上が った後の端座位は安定 してお り

,左

手 を膝の 上に乗せていると端座位の まま30分保持で きた。 まだ

,Aさ

んに とつて「起 きる」 とい う動作 とまず恨」臥位 になるとい う動作が結 びついていな い ことが今 回の関わ りか ら理解で きた。 また

,A

さんは最初 の動作が正 しくで きていれば

,そ

の後 の起 き上が るための動作 はスムーズに行 える段階 にな って きた と判 断で きた。そ こで引 き続 き

A

さんが正 しい動作の順番 を覚 えられるように

,起

き上 が る順 番 の ヒン トを出 し

,Aさ

んが意識 的 に動作 で きるような関わ りが必要であると考 えた。 同 日

,Aさ

んの家族 とベ ッ ドサ イ ドで話 を し てい る と

,臥

床 してい た

Aさ

んが「起 きるか」 と言いなが ら

,半

似」臥位 になったため

,足

を下 ろ す ように促す と

,足

を下 ろ し

,ベ

ッ ド柵 につか ま って肘 をついて 自力で起 き上が ることがで きた。 今回の

Aさ

んの行動か ら

,ま

だ確実ではないが, 正 しい起 き上が り方σ)動作の順番 を覚 えられつつ ある ことや

Aさ

んの身体 が起 き上が り方 を習得 で きつつある段階ではないか と推察で きた。 また,

(6)

熊 谷・小 田:注意集中 と動作の単純化に焦点 を当てたアプローチによって 継 続 的 に

Aさ

んへ の意識 づ け を行 つて きた結 果 の現 れで はないか と考 えたc ②体力や筋力の低下 を最小限に留める関わ り

Aさ

んは尿路感染が疑 われ発熱 を繰 り返 して いた。そのため

,抗

生剤の投与が開始 されてお り,

20XX年

11月 11日 までは38∼

39度

の発熱があ ったが

,11日

以降は

36度

代 で落 ち着いて きた。 発熱 をしていた問 もリハ ビリは継続 して行われて いたため

,理

学療法士 に よる リハ ビリ時 間は

A

さんが解熱 をしている時間に調整 をして実施 して もらった。 また, リハ ビリ後 は水分補給 を行い, 臥床 してゆっ くり休息 を取 って もらうように関わ った。 発熱 をしていた期間においては

,病

室で行 う寝 返 りや起 き上が りの訓練は

,食

事 をす る際の動作 や リハ ビリ室へ移動す る際のみ とし

,必

要最低限 の活動 に留 め るように した。 この間

,日

々の

A

さんの起 き上が り動作 の状況

,活

動 に対する思い や疲労感 を笹見察 し

,解

熱 した

20XX年

11月 11日 頃 より日中の活動回数 を徐 々に増や してい くこと に した。そ こで

,こ

の頃か らリハ ビリ室への移動 や食事前の時だけでな く

,顔

拭 きやお茶 を摂取す る時

,散

歩 に誘 って賛同が得 られた時なども日中 の訓練の機会 とした。活動す る機会 は

,当

初 は1 日に1∼2回であつたが

,15日

には4回ほ どにな っていた。

③バランス感覚向上のための端座位訓練

20XX年

11月 9日 起 き上がった後の身体がベ ッ ドに対 して斜めに なっていたことと床 に きちんと足が付 いていなか ったため,「もう少 し手前 に移 つてこれますか?」 と尋ねると

,介

助 しな くて も自力で少 し腰 を浮か しなが ら徐 々に手前 に移 つて くることがで きた。 また

,Aさ

ん はベ ッ ド柵 につ か まっていた り, 手を膝の上に乗せた りして端座位 を保持 していた が表情 も普段 と変わ らず

,特

別な努力 をしてその 姿勢 を取 っていたわけでは無い ようで

,自

然 にバ ランスを取 っていた ように見えた。その後, しば らく観察 したが後 ろへ倒れてい くこともな く端座 位 は安定 していた。 また

,以

前は身体の横 に手 を付 いて体幹 を支 え ていたため

,重

が後 に傾 き後方へ倒 れて しまっ ていたが

,手

を膝 に置 くことやベ ッ ド柵 につか ま ることで身体 の重心 を

Aさ

んの体幹 の前方へ置 くことがで きていたため

,端

座位が安定 した と推 察 されたc

20XX年

11月 10日 起 き上が った後は

,足

が しっか りと床につ く位 置 まで身体 を移動す るように促す と介助 を必要 と しな くて も自力で身体 を動かす ことがで きていた。 足のつ く位置 まで移動 した後

,端

座位のバ ランス を観察す ると少 し後方へ傾いていた。そのため手 を膝の上 に乗せ るように説明 した ところ

,重

、は やや後ろへ傾いていたが

,倒

れることな く座位 を 保持で きていた。その まま, 自らマ ッ トに手 をか けて倒れないように保持 した り

,ベ

ッ ド柵 につか まってバ ランスを取 っているため

,お

茶 を渡す と, 左手はマ ッ トにつかま り

,右

手でコップを持 って お茶 を飲むことがで きていた。やや重心が後 ろに あったため,「左手 を膝の上 に乗せ ることは難 し いですか」 と尋ねると「難 しいことはない」 と返 答があ り

,左

手 を膝の上に乗せ再 びお茶 を飲 んで いた。横 か ら

Aさ

んの座位 を観 察す る と重′と、が 前方にあ り安定 していた。 この状況か ら

,左

手 を 膝の上 に乗せ ることでお茶 を飲 む という動作 を伴 った端座位 において も安定 していたため

,こ

の姿 勢が有用 であるこ とが発見 で きた。そ こで

Aさ

んが端座位 になった際には

,常

にこの姿勢が保持 で きるように左手の使い方 に気づ くよう関わるこ とが重要 である と考 えた。 また

,Aさ

ん 自身に 重′と、の置 き方 に注 目で きるように働 きかける必要 性 も見出された。何かを行 うとい う動 きを伴 った 端座位が保持で きた ことで

,今

後 は様 々な

ADL

を拡大で きる可能性が高いことが実感で きたЭ

20XX年

11月 15日 端座位の保持時間 をみる と

,関

わ り始めは3∼

4分

ほ どしか保持で きなか ったが

,15日

には 40 分∼1時間ほ どまで急激 に延長 して きていた。 ま 資 利 ・ 妄 臓 ノ ー ト

(7)

Table l 関 わ りの経 過 と結果 11/10 11/8 月 日 11/11 11/15 起 き上が り方法の習得 ①前もつて説明する ②一動作 ごとに言葉で指示する ③一動作が終了するまで 声を掛けずに待つ ① リハ ビリの理学療法士 と同 じ 動作の)贋番で実施する ⑥動作中は静かに見守る 仰臥位のまま起き上がろうとする が、効果的なJ贋番で起き上がると 介助量が軽減する 前 日と同様に①∼⑤を実施 ↓ 前 日より自然な動きになる 半側臥位から①∼⑤で実施 ↓ 起き上がり辛そうにしており、 介助量も多くなる 起 き上が りの順番 が 記憶 されたかの確認 の実施 起 き上が りの動作の 順番の ヒン トを出す ↓ 仰臥位で起き上がろうとするが、 右側臥位になる言葉の指示のみで ほぼ白力で端座位に なれるよう1こなる 活動頻度 ・解熱時に実施 できるよ う に リハ ビリ時間の調整 ・ リハ ビ リ後の休 息時間の 確保 と水分摂取 の促 し ・食事 と リハ ビ ツ室への移 動時のみの訓練 の実施 ↓ 1日 1∼2回 の訓練実施 8'9日の活動以外 にも水分 摂取時 も訓練 を実施 顔拭 き時、水分摂取時 散歩時 にも訓練 を実施 ■ 日と同様 に活動時間の 確保 ↓ 1日4回程度の訓練実施 端座位保持時間 手 を膝の上に置 く,または, ベ ッ ド柵につかまるように 指示す る 身体の重心 をAさんの体幹 前方へ置 くよ うに指示す る ↓ 1回の端座位保持時間3∼4分 足底が床 につ く位置 まで身体 を 前方に移動す ることを指示す る 手 を膝の上 に置 くことを 説 明す る ↓ 動作を伴つた端座位が できるようになる 身障者用 トイ レで排尿の実施 ↓ 端座位保持時間が40分∼1時間 車椅子からの立ち上がり、 手すりを持ちながらの立位保持、 便座への方向転換 (上記の逆の動作)が ほIま自力でできる 注)ゴシック体はAさんの反応や介入の結果を示す

(8)

熊 谷・小 田 :注 意集中 と動作の単純化に焦点 を当てたアプローチによって た,リ ハ ビリ室 での訓練が終了 した後 に身障者用 の トイレに寄 って〕,泄をす る ことがで きる ように な り,「 ここまで来れ る ようにな った。」 と嬉 しそ うな表情 をす るようになった。排 泄動作 に関 して はズ ボ ンの上 げ下 げは看護 師が介助 したが

,車

椅 子 か ら立 ち上が る こと

,手

す りを持 って立位 を保 持 す ること

,便

座 へ の方向転換 や便座 に座 るこ と, また,この逆 の動作 も

Aさ

んが 自力で行 えていた。

5-2

目標 の達成状況

Aさ

ん の希 望 も含 め た 目標 は, 自力 で起 き上 が りがで き

,端

座位 を保持で きるようになること であつた。具体的な 目標は「ア 起 き上が りたい 方のベ ッ ドサ イ ドの反対狽]に身体 を寄せ る。」「 イ 起 き上が りたい方に向いて寝返 り側臥位になる。」 「 ウ 足 をベ ッ ドか ら下 ろす。」「工 右肘 と右手 に力 を入れて身体 を起 こ し横向 きに起 き上がる」 「 オ 起 き上が りの一連の動作の順番 を覚 えるこ とがで きる」 としてぃた。

20XX年

11月 15日 に おいての 日標達成状況は以下の とお りである。 関わ り始めの頃は起 き上が ることを促す と

,A

さんは仰臥位の状態で左右両方のベ ッ ドォ冊につか ま り

,そ

の まま起 き上がろうとして, 自力で起 き 上がることがで きず再度臥床 して しまう状況であ つた。

Aさ

んの身体の状態や体力などを考慮 して , 看護師が リハ ビリや食事前の移動時や

.水

分摂取 時 を利用 して適切 な起 き上が り方の動作の順番 を 一動作ずつ説 明 して "オ ヽ導 し

,Aさ

んの記憶 に働 きかけた結果

,適

切 な起 き上が り方法でほ とん ど の介助 を要 さな くて も起 き上がることがで きるよ うになった。次の動作の声掛けをすれば具体的 目 標 に掲げたア∼ェは行 えるようにな り

,日

標 はほ ぼ達成で きた と言 える。 しか し,「オ 起 き上が りの一連の動作の順番 を覚えることがで きる」に 関 しては毎回確実に適切 な起 き上が り方がで きる ようになったわけではなかった。ただ

Aさ

んが まず狽J臥位 になることを思 い出 し実行で きれば , その後につなが る動作 もほ とんどの介助がな くて も行 える段階 になって きてぃた。そこで起 き上が るための最初の動作 として

,起

き上がる方向への 倒 臥位が とれればその まま見守 りで

,仰

臥位 の ま ま起 き上が ろ うと した時 には狽‖臥位 になる とい う 声 か け をす る ことに よって記憶 を呼 び起 こす こと が 出来 る と考 え られた。 端 座 位 の実施 に関 して も

,当

初 は 3∼

4分

ほ ど しか保持で きなか った状態 か ら

,最

終 的 には1時 間 ほ どまで端座位 を保持で きる ようになった。 ま た

,た

だ座 っている状態 ではな く

,お

茶 を飲 む こ と, タオルで顔 を拭 くこ と

,衣

服 を着脱す るこ と な どの動作 を伴 った端座位 も行 える ようになって い た。 これ は

,Aさ

んが 自分 の 身体 の傾 きを体 感 しベ ッ ド柵 を持 って身体 を前 方 に引 き寄せ

,倒

れ ない ように力 を入 れてつ か まっていた ことゃ左 手 を膝 の上 に置 くこ とな どが で きる ようになった こ とに関連 していた。更 に身障者用の トイレで1 日に1回程度排泄 をす るこ とが で きる ようになっ た。

6.考

6-l Aさ

んの認知への働 きかけ

Aさ

んは年齢 的 に考 えて も高齢者特有の身体 機能の低下 (思考速度

,応

用力や記銘力の低下) が存在 していた (山岸

,2006)と

思われる。加 え て

,も

ともと多発性脳オ夏塞があったことゃ脳 出血 に罹息 したこと

,意

識 レベルの低下が出現 してい たことなどによって

,さ

らに認知面 に関す る能力 は低下 していた と考えられる。 また

,高

齢息者の 回復 阻害要因の一つに脳卒中の既往が関係するこ と (飯田・月ヽ橋

,2007)が

明 らかになってぃるこ とか らも

,Aさ

んが適切 な動作 の順番 を覚 える ことに時間を要 したことの原因の一つになってい た と も考 え られた。認知 には必然的に知覚 ,記 憶 ・学 習 ,思 考が含 まれ る (今井 ・中島 (編),

2006)た

め、今回の ように関わ り始めか らこの点 に注 目 し

,Aさ

んが起 き上が る方法 を覚 え られ る ようになる まで

,Aさ

んが起 き上 が る こ とに 集中で きるように指示する言葉以外は話 さず静か に見守 り

,声

の掛 け方 を

Aさ

んの状況 に合わせ 揆 * . 豪 博 ノ ー ト

(9)

て変更 した ことが ほぼ 自力で起 き上がれ る ように な って きた結 果 に結 びつ い て い る と推 察 で きる。 また

,Aさ

ん は記 銘 力 が低 下 して い た た め

,新

し く体験 した移動動作 に関す るポ イ ン トや単純化 され た多 くの一動作 を記憶 しておけ る能力 は低下 して い た と思 わ れ る。 そ の た め

,Aさ

ん の移 動 に関す る介入 を行 ってい た看 護 師問 だけで な く, 理学療 法士 とも全 ての移動 動作 を統 一 した こ とは, 記 銘 力 が 低 下 して い た

Aさ

ん にお い て は有 効 で あ った と考 え られ る。 さ らに

,起

き上が り前 に動 作 の順 番 を全 て説 明す るので はな く

,一

つ一つの 動 作 ご とに統 一 した ポ イ ン トを押 さ え

,Aさ

ん の動作 に合 わせ てそのポ イ ン トを指示 した こ とも, 認 知 機 能 が低 下 して い た

Aさ

ん にお い て は適 し て い た と考 え られ る。 関 わ り始 め は

,Aさ

んが 動 き始 め る前 に こち らか ら動作 の方 向 を指示 して い たが

,経

過 と共 に

Aさ

ん 自身が 次 の動 作 を思 い 出す ことがで きる ように話 しか けた こ とは

,機

能低 下 していた と思 われ る記憶 力 に働 きか け る機 会 に な つ た の で は な い か と思 わ れ る (柳 原, 2003)。 今 回の介 入 の 中で は

Aさ

んの認知機 能が どの程 度であ ったか な ども客観 的に判 断で きる も のが なか ったが

,関

わ り始 め よ り長谷川式簡易知 能 評 価 ス ケ ー ル (HDS―

R)な

どの客観視 で きる もの を用 い て評 価 を行 う こ とで よ り

Aさ

んの認 知機 能 に合 つたケ ア を検 討 で きたか も しれ ない。

6-2

身体面 お よび精神 的面 へ のサ ポ ー ト

Aさ

ん と関 わ り始 め る以前 よ り38℃ を超 える 発 熱 を繰 り返 して お り

,そ

の た め

,Aさ

ん は必 然 的 に昼夜 問 わず臥床 して過 ごす時 間がよ曽えて し まってい た。 それ に加 え

,主

治 医か ら病状 説 明 を 受 け

,自

分 の置 か れて い る状 況 を突 き付 け られ否 定 的 な感情が 生 じてい た時期 で あ った こ と

,日

常 生 活 において も他者 の力 を借 りなけれ ば何 もで き ない とい う実 感 な どが重 な り

,と

で も主体 的 に活 動 が で きる状 態 で は なか った と思 われ る。 まず は 身体 的 な負荷 を軽 減 す るため に

,発

熱状 況 や体 力 に合 わせ て活動 と休虐、の時 間 を検討 し

,必

要最 低 限で はあ つたが 1日 2回程 度 の起 き上 が りや端 座 位 の ケ ア を提 供 した こ とは

,Aさ

ん の酸 素 消 費 量 を軽 減 させ

,呼

吸状態 を安 楽 に し

,リ

ハ ビリに 集 中で きる環境 を整 える こ とにつ なが ってい た と 思 わ れ る。

Aさ

ん は発熱 を繰 り返 して い た こ と に よつて体力が低下 していたため

,理

学療 法士 と リハ ビ リの 時 間 を調 整 した こ とは

,Aさ

ん に と って リハ ビリの時 間 を最大 限 に活用 で きただけで な く

,身

体 的 に も精神 的 に も負 担 が少 な くな って い たのではないか と考 え られ る。 また, こち らか ら一 方 的 に関 わ りを持 つ の で は な く

,Aさ

ん の 希望 を聞 き

,そ

の 内容 を踏 まえて活動 内容 を決定 して 関 わ つ た結 果

,Aさ

ん の 活 動 へ の動 機 が 高 ま り

,ADLの

新 しい方 法 を獲 得 す る こ とに貢 献 で きた。 また

,発

症 当1刀は 自力 で寝返 りがで きな い

,起

き上 が れ ない な どの脳 血 管疾息 患 者 が一 番 気 に掛 け る と思 われ る移 動 に関す る機 能 が喪 失 し た こ とを 自覚 して落 ち込 ん で い て も

,Aさ

んが 身障者 用 の トイ レで排 泄が で き

,他

者 の介 助 を受 け る こ と も良 し とす る よ う に な れ た こ とは

,15

日の「 トイ レまで こられ るようになった。」 とい う発言か ら

,新

たな移動方法があることを発見 し, その方法の実現可能性 を見 出 した ことに よつて, 移動動作の価値が本質的には残存 していたことに 気が付 き

,Aさ

んの中で価値の範囲 (渡辺 ・本田,

2000)が

拡張 した と推察で きる。 また

,一

度気持 ちが落ち込 んだ後 に必要 な

ADLを

繰 り返 し行 う ことによつて

,座

位バランスの向上 とともに徐 々 に様 々な動作 を習得 し始 めた こ とで

,Aさ

ん 自 身の身体 イメージの変化が起 き始めた とも考 えら れる①その結果

,発

症後の否定的な感情が薄れ, 低下 していた自尊心が回復 し日常生活 において も 自発的な発言が聞かれるようになったのではない か と思われる。

6-3

バランス向上の関わ りについて 高齢者脳卒中息者 における早期 リハ ビリテーシ ョンの基本は座位訓練か ら始 まる。 また

,早

期か ら離庁木や座位 を進めることによつて深部静月「(血栓 症

,褥

,関

節拘縮

,囃

下性肺炎 などの合併症 を 予防で きるのみな らず

,発

症 3ケ 月後の機能障害

(10)

熊 谷・小 田 :注 意集中と動作の単純化に焦点 を当てたアブローチによって や

ADLを

改 善 させ る と言 わ れ て い る (小 林, 2008)。 この観点か ら見 て も

Aさ

んに端座位 の機 会 を増 や した こ とは

,予

備 能力 の少 ない高齢 者 ほ ど重 症化 しやす い身体機 能の低下 を改善 させ るこ とに直接 的 に働 きか けるこ とがで きた と思 われ るc また

,端

座 位 に な る際 に

Aさ

んの足 底 を床 に し っか りとつ けていた こ とは

,脳

幹 網様体賦 活系 を 刺 激 し低 下 して い た意識 レベ ルの改 善 に繁 が り, 日中の覚醒 を促 した

cこ

の こ とはバ ランス感覚 を 向上 させ るため の一助 にな ってい た と も考 え られ る。 さ らに認知面の改 善 に も関係す ることが推察 で きるため

,適

切 な動作 の順番 を記憶す る手助 け に もなっていた と思 われ る。 これ らの ことが 関連 して

,急

激 に端座位保持時 間が延長 して きた こ と, 動作 が伴 った端座 位 にお い て もバ ラ ンス を保持 で きる ようにな った こ とや適切 な起 き上 が りの順 番 を覚 え られつつあ る段 階 に至 ったな どの身体機能 の 回復 に繁が つていた と評価 で きる。 また

1端

座 位 を保持す る時 間が1時間 ほ どまで延 長 した こ と は

,Aさ

ん にバ ラ ンス感 覚 を気 付 かせ る よ うな 声掛 けが 効 果 的 で

Aさ

ん は端 座 位 安 定 の ポ イ ン トを身につ け るこ とが で きた こ とが関連 してい る と考 え られた。

6-4

研 究 の限界 今 回 の事 例 で あ る

Aさ

ん と関 わ りを持 ち始 め た 日よ り

,身

体 面 だ けで な く認 知面 において も注 意集 中 と動作 の単純化 に焦点 を当てた リハ ビリ的 な介 入 を中心 に行 った結 果

,Aさ

ん 自身の移 動 動作 の変化 は大 まか に捉 える こ とが で きた。 しか し

,身

体 面 にお いて は四肢 の庁木痺 の程 度や深 部感 覚 の程 度 に関す る指標 等

,認

知 面 にお いて は記憶 力や判 断力

,時

間や場所 の見 当識

,計

算 な どの認 知機 能 を客 観 的 に評価 で きる尺 度等 を使 って評 価 を行 つてい ないため

,詳

細 かつ客観的 な評価 を提 示 で きない こ とが

,本

研 究 の 限界 で あ る。

.研

究へのサ ジ ェスチ ョン

との身体機能の低下に加 えて

,脳

出血 を′F宦患 した ことによつて, さらに認知機能の低下 を きた して いた。 また

,主

治医か らの病状説明が行 われ精神 的に も落ち込んでいるような様子 もあ り, とて も 自発的に活動が出来 る状況ではなかった

cそ

の様 な中

,Aさ

んの毎 日の体調 に合 わせ て

,起

き上 が り動作 に集 中で きるように動作の指示以外 は話 をせず

,Aさ

んの動 きの程度 にあわせ て声 の掛 け方 を変 えなが ら関 わつた。それ に伴 い

,Aさ

んの運動機能が徐 々に向上 し

,動

き方 も覚 え られ るようになったため, 自然 と

Aさ

んか ら「○○ しようか」 な どの発言 も聞かれるようになった。 この ように

,Aさ

んへ の関わ り方 につ いて

,毎

Aさ

んへの効果 を評価 しなが ら働 きかけ を継 続 して行 つて きた結果

,精

神的に も安定感 を取 り 戻 し

,ADL拡

大 のための新 しいや り方 を獲 得す ることが出来た と考 えられる。 今 回は

,Aさ

んの発 言や行動 を注意深 く観察 して関わつて きたが

,高

齢脳血管疾息患者が

,脳

血管疾患の部位や程度 によって

,あ

るいは認知機 能や高次脳機能の障害の程度によつて どの ような 日常生活動作が再獲得 しやす く

,逆

にどの ような 動作が再獲得 しに くいのか

,あ

るいはどの ような 学習方汝が有効 なのかについて研究で明 らかにな れば

,客

観的な指標 を使 って より効果的な リハ ビ リテーシ ョンヘの支援方法 を見出 し

,よ

り息者 に よ り添 えるケアが提供で きることが期待で きる。 引用 文献 飯 田紀 彦 。小橋 紀 之

2007

リハ ビ リテー シ ョン にお ける高齢息 者 回復 阻害要 因 日本老年 医学 会雑 誌

,44,37.

今井 四郎 ・中島義 (編

)2006

心理学辞典 有斐 閣 岩本 俊 彦 ・木 内章裕

2003

高齢者 の主要疾患 の 診 断 とイ台療 ′,TじとrFOrtα,4011668-1670 小林 康孝

2008

高齢 者脳卒 中患者 にお け る リハ ビ リテー シ ョンとその問題 点

Gダ

′β″Iてヽν″ テー c,,Tι,46,1173-1177 資 料 。 実 践 ノ ー ト

Aさ

ん は

,77才

とい う高齢 者 で あ り

1も

と も

(11)

厚生労働省

2005

息者調査の概況 厚生労働省 大臣官房統計情報部 厚生統計協会

2008

国民衛生の動向 厚生統計 協会 松村豊

2001

高齢者のケア 学習研究社 外12 渡辺俊之 。本田哲三

2000

リハ ビリテーシ ヨン 息者の心理 とケ ア 医学書院 山岸すみ子

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高齢者の心理ケア 高齢者 リ ハ・ケア実践

,4,52-59

柳原幸治

2003

脳卒中息者の リハ ピリテーシ ヨ

ンGιriα′riて,M8どi〔,,■9,41,929-937. I

(受稿 :2010年 8月 12日)

(12)

熊 谷・小 田 :注 意集中 と動作の単純化に焦点 を当てたアプローチによって

A case report of a patient with cerebrovascular disease using an e∬ ective sequential

method focused on attention,concentration,and simphacation ofrnovement

This 77-year old male patient adH五 tted with lcft thalanic brain bleeding was unable to improve his daily living s電1ls(ADL)after abOut one month in he hospital.In the beginning of our inwolwement the patient was mainly connned to bed du五 ng the day bccausc of fever and fatiguc Hc、 vas unable to tum over on the bed or get up on his own,and he wasと dso unstable in a sitting position.In addition,therc was a shght decrease in his lcvel of consciousness and a decrcase in cognitive function.Therefore,we focused on three points, 1)instructions of appropriate procedures for getting up,2)前niπliZation of dcchnc in his physical and muscular strcngth and 3)imprOVement of his sensc of balance.Fulthcmore)、 ve decided to try direct involvement、 vith the padent by the same standardized procedurcs used by physical therapists. The patient、vas instructcd by appropriate nethods up to his ability,and was encouraged to improve his memory and to remember a sequence ofrnovements ln addition,the patient was further advised to keep a conscious posture by which his balancc could be maintained.As a result,he patient、 vas ablc to sit up 、vith little support using appropriate procedures.He was also able to maintain an upright sitting position for approximately one hour and to perfom movements in a stable manner such as d五 譴 ng tea.This study demonstrated appropiate methods for improving the above specific goals,thc patient's AI)L,and his self respect

Key words⇒

attendon concentraion,cognidon,silnplincation of FnOVehent,Inemory, cerebrovascular disease

Authors

KUMAGAI Rie(Nagano Collcge of Nursing)

ODA Kazulm(Nagano College of Nursing)

資 羽 ・ 妄 磨 ノ ー ト

Table l  関 わ りの経 過 と結果 11/1011/8 月 日 11/11 11/15 起 き上が り方法の習得①前もつて説明する ②一動作 ごとに言葉で指示する③一動作が終了するまで声を掛けずに待つ ① リハ ビリの理学療法士 と同 じ動作の)贋番で実施する⑥動作中は静かに見守る仰臥位のまま起き上がろうとするが、効果的なJ贋番で起き上がると介助量が軽減する前 日と同様に①〜⑤を実施↓前 日より自然な動きになる半側臥位から①〜⑤で実施↓起き上がり辛そうにしており、介助量も多くなる起 き上が りの順

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