第6学年
理科学習指導案
指導者 ○○ ○○ 1 単元名 「からだのつくりとはたらき」 2 指導観 ○ 本学級の児童は,人や動物の体について,本や経験などを通してある程度の知識をもっている。呼 吸については,「人は空気を吸って生きている」「息ができないと死んでしまう」など,呼吸が生き ていくために大切なことを知っている。しかし,そのしくみを酸素や二酸化炭素の行方などと関連付 けて考えるまでには至っていない。また,口,胃,腸については,名前としては知っているものの, そのつくりや働きについては理解していない。さらに,心臓は体の中でも特に重要な器官だと知って はいるが,なぜ重要なのかについては「止まったら死んでしまう」程度の説明にとどまっている。こ のように,児童がもっている知識は断片的で,呼吸,消化,排出,循環,それぞれのしくみや互いの 関連について考え,理解している子どもは少ない。 そこで,直接目に見えにくい事象の変化やしくみについて調べることができ,そのしくみを関連づ けて考えることができるようになるこの期に本単元を取り上げたい。そして,人の体の内部のつくり や働きを多面的に追究するとともに,生命を尊重する態度を育てることができるようにしたい。 ○ 本単元は,人及び他の動物を観察したり資料を活用したりして,呼吸,消化,排出,循環の働きを 調べ,人及び他の動物の体のつくりと働きについての考えをもつことをねらいとしている。具体的に は次の3つの学習内容が挙げられる。 ①呼吸によって体内に酸素を取り入れ,体外に二酸化炭素が出しており,その働きは肺で行われて いる。 ②食べ物は消化管(口,胃,腸)を通る間に消化・吸収され,吸収されなかった物は排出されること ③心臓の働きによって血液が体内を巡り(心臓の拍動と脈拍の関係),養分や酸素,二酸化炭素を運 んでいること。 これらの活動を通して,人及び他の動物の呼吸,消化,排出,循環のしくみについての見方や考え方 を高めるようにするとともに,事象の変化やしくみを多面的に追究する能力や,生命を尊重する態度 を育てていきたい。 ○ 本単元の指導にあたっては,単元構成と教材化の二点から工夫を行う。 単元構成の工夫については,具体的な観察や実験を通して,人の体内のつくりや働きについて追究 する活動から他の動物の体の中の観察へとつないでいき,自然事象とかかわりながら科学的な見方や 考え方が身につくようにする。 まず,「であう」段階では植物と人の生きるための仕組みを比較し,呼吸,消化,排出,循環につ いて学習するという単元全体の見通しをもつことができるようにする。 次に「さぐる」段階では,呼気と吸気を比べる活動,口の中のでんぷんの変化を調べる活動,拍動 を聴く活動など,知識として知っていることを確かめたり見直したりする場を設定することで,体内 の各器官のつくりや働きに対する問題意識を高め,見通しをもって追究することができるようにする。 最後に「いかす」段階では,呼吸,消化,排出,循環の4つの観点で人と人以外の動物の共通点や 差異点を校内にいるうさぎやにわとり,メダカなどを使って実験観察したり,本やインターネットな どを活用して調べたりして,自分で工夫した形にまとめることができるようにする。また,分かった ことを発表する活動を通して,人や他の動物の体のしくみの素晴らしさに目を向け,生命の大切さに も気付くことができるようにする。 また,教材化の工夫については以下のように考える。 「生活性」の視点・・学習対象が人の体であり,それは子ども自身の体の内部のつくりや働きそのもの である。 「追究性」の視点・・実験観察や資料を使った多様な方法で,呼吸,消化,排出,循環の働きや互いの 関連について多面的に追究することができる。 「発展性」の視点・・呼吸,消化,排泄,循環の4つの視点から他の動物の体のつくりや働きを調べ, まとめたものを多様な方法で表現することができる。 以上のような単元構成や教材化の工夫を図ることは,見通しをもって学び,科学的な見方や考え方 を身につける子どもを育てる上で有効であると考える。3 目 標 ○ 人や他の動物の呼吸,消化,排出,循環などのしくみに興味・関心をもち,自ら体の内部のつくり や働きを調べることができるようにする。 (自然事象に対する関心・意欲・態度) ○ 人や他の動物を観察したり,資料を活用したりして,呼吸,消化,排出,循環のつくりや働きを調 べ,人や他の動物がどうやって生命を維持しているのか,それぞれのしくみはどうつながっているの かということについて考えることができるようにする。 (科学的な思考) ○ 指示薬や気体検知管などを適切に使って実験したり,図鑑やインターネット情報を活用したりする など,多様な方法で呼吸,消化,排出,循環の働きについて調べることができるようにする。 (実験・観察の技能・表現) ○ 体内に酸素が取り入れられ体外に二酸化炭素などが出されていること,食べ物は口,胃,腸などを 通る間に消化・吸収されて吸収されなかった物は排出されること,血液は心臓の働きで体内を巡って 養分,酸素,二酸化炭素を運んでいることを理解できるようにする。 (自然事象についての知識・理解) 4 単元計画 (14時間) 段階 学習活動と内容 指導上の留意点 評 価 配時 1 人の体のしくみについて 2 話し合い,学習の見通しを で もつ。 ○ 植物と人の生きるための ○ 「植物の成長と養分」をまとめた絵図 ○関植物との比較から,① しくみを比較し,必要なも をもとに,植物の生きるためのしくみを 人の体のしくみへの のを話し合う。 想起させる。 関心を高めているか。 ・植物をもとに人間の呼 ○ 植物と人の体のしくみとを対応させな (発言分析) 吸,消化,循環の予想 がら話し合わせ,単元の学習課題をつく らせる。 あ 学 習 課 題 人 の 体 の つ く り や 働 き に つ い て 調 べ よ う ○ 学習問題に対する予想を ○ 「息をとめる」「お腹のすいた状態を ○科人の体のつくりや ① 立てる。 想起する」「自分の体にある血管を探す」 働きについて,呼吸, ・学習計画 活動を通して,学習課題に対する単元全 消化,排出,循環と 〈呼吸→消化→排出→循環 体の見通しをもたせる。 いった4つの視点か う という追究内容と順序〉 予想を立てることが 呼吸とは空気を吸ったり吐 できたか。 (発言分析) いたりすること 2 見通しをもとに体のつく 9 りや働きについて調べる。 ○ 呼吸の働きを調べる。 ○ 石灰水を使った実験をもとに,吐いた ○知 ① さ ・吸う空気に比べ,吐く空 空気と吸う空気との違いについて考える。人は呼吸によって酸 気には二酸化炭素が多く 素を取り入れ二酸化 含まれていること 炭素を出しているこ ぐ とを理解できたか。 ・人は呼吸によって,酸素 ○ 気体検知管を使って吸う空気と吐いた (発言分析,記録分析) ① を体に取り入れ二酸化炭 空気の酸素や二酸化炭素の割合を調べる 本 る 素を出していること 実験をもとに,吐いた空気と吸う空気と 時 ・気体検知管の使い方 の違いをもとに呼吸の働きについて話し 合わせる。 ○ 肺のしくみについて調べ ○ 模型や図鑑,インターネットなどを活 ○思資料で調べたこと ① 呼吸のしくみと働きについ 用して肺のつくりや働きについて調べさ をもとに呼吸のしく てまとめる。 せる。 みや働きについて多 ・人の呼吸の働きは,肺で ○ 吸った酸素や出される二酸化炭素と血 面的に考えることが
行われる。 液の流れとを関連づけて考えさせる。 できたか。 (記録分析) ○ 食べた物が口の中でどの ○ 実際にご飯を食べ,変化の様子を観察 ○知ヨウ素液の反応の ① ように変化するのか調べる したり,味の変化を調べさせる。 違いから,唾液の働 ・消化とは食べ物が体に吸 ○ お粥の上澄み液に唾液を入れたときの きで,でんぷんが別 収されやすいものに変え でんぷんの変化を観察させ,唾液の働き の物に変化したこと られること について話し合わせる。 を理解しているか。 さ (発言分析,記録分析) ○ 消化・吸収のしくみにつ ○ 模型や図鑑,インターネットなどを活 ○知 食べ物は,消化管 ① いて調べ,まとめる。 用して視覚的に消化・吸収のしくみにつ を通る間に消化,吸 吸収,消化管,消化液 いて調べさせる。 収され,吸収されな ○ 調べたことを交流させ,食べ物の消化 かった物は排出され ・消化管は食べ物を吸収す ・吸収のしくみについてまとめさせる。 ることを理解できた るためにそれぞれの働き か。 (発言分析,記録分析) があること ぐ ○ メダカの血液の流れを調 ○ メダカの尾びれを顕微鏡で観察させる。○関血液の循環につい ① べる。 て関心を高めること ・血液が流れていること ができたか。(行動観察) ○ 血液が体の中をどのよう ○ 図鑑やビデオ,インターネットなどを ○技血液の循環につい ① に循環しているか調べる。 活用して血液の循環について調べさせ, て多様な資料を使っ 血管が体中をめぐってい 分かったことを話し合わせる。 て調べ,記録するこ ること とができたか。(記録分析) ・血液の循環とは酸素や栄 る 養が血液によって全身に 運ばれていること ○ 心臓のしくみや働きにつ ○ 聴診器を利用し,拍動と脈拍を同時に ○知 拍動と脈拍の関係 ① いて調べまとめる。 確かめる活動を通して,心臓の働きと血 を理解することがで ・拍動と脈拍の関係 液の循環とを関連づけて考えさせる。 きる。(発言分析,行動観察) ・体の各部分の働きと血液 ○知心臓の働きによって,酸素や養分を含 の働きとの関連 んだ血液が全身に運ばれていることを理解 することができたか。(発言,記録分析) ○ 習熟・確かめの時間 ○ 家庭学習の様子をもとに定着度を把握 ○知人の体のつくりや ① し、理解が不十分な内容については,再 働きについて理解す 実験を提示したり,プリントを使ったり ることができている して習熟させる。 か。 (プレテスト) 3 他の動物の体のつくりと 3 い 働きについて調べ,発表す る。 ○ 他の動物の体のつくりと ○ 今までの学習をもとに校内にいる動物 ○関○技人と比べながら ② か 働きについて調べ,まとめ や魚を使って観察実験したり,本やイン 動物の体のしくみや をする。 ターネットなどを活用したりして調べさ 働きに関心をもって ・人の呼吸,消化・吸収, せ,新聞や絵本,リーフレットなどにま 調べたか。 (記録分析) す 排泄,循環との共通点, とめさせる。 ○関生命を尊重するこ 差異点 ○ 調べたことを交流させ,人や他の動物 との大切さに気づく い ・生命の大切さ の体のつくりの素晴らしさに着目させる。ことができたか。 (発言分析,記録分析) か ○【単元末評価テスト】 ○ 評価テストを通して理解が不十分だっ ○技○知○科本単元の基礎 ① た児童は復習を行い,理解の徹底を図る。 ・基本が十分身に付 す いているか。 (テスト) 5 主 眼 ○ 吸う空気と吐いた空気との違いから呼吸の働きについて考え,人は呼吸によって体内に空気中の酸 素を取り入れ,体外に二酸化炭素を出していることを理解することができるようにする。
酸素少し増える 酸素ほとんどなし 酸素・二酸化炭素が半分 6 本時の指導の考え方 前時までに人が空気を吸ったり吐いたりすることを「呼吸」ということを知っている。また,前時学 習では石灰水を使った実験で,呼気と吸気は同質ではなく,呼気には二酸化炭素がより多く含まれてい ることを知っている。 そこで,本時学習では,気体検知管を使って吐いた空気に含まれている酸素と二酸化炭素の割合を調 べ,吸う空気との違いから呼吸の働きについて考え,理解することができるようにしたい。 そのため,「導入」では,人が吸う空気と吐いた空気をビニル袋に入れ,二つの違いを問いかけ,前 時学習の石灰水を使った実験をふり返ることで,本時のめあてをつかませる。 次に「展開」では,吸気に比べ呼気にはより二酸化炭素が多く含まれているという事実をもとに,気 体検知管を使って酸素や二酸化炭素の割合の違いを調べさせ,結果をもとに呼吸の働きについて考察さ せる。 「終末」では,自分の考察や他のグループの結果との共通点を交流することで,呼吸の働きをきまり としてまとめる。最後に,ふり返り活動の中で,ミニテストとろうそくの燃焼実験(教師実験)を行い, きまりを定着させる。 7 準 備 ○ 学習プリント,各班の実験結果を書き込むカード,試験管,試験管立て,石灰水,ストロー,気体 検知管,ビニル袋,輪ゴム,ろうそく,ろうそく立て,集気瓶,ふた,ライター,シール,軍手 8 本時の展開 段階 学 習 活 動 と 内 容 指導上の留意点 1 前時学習を想起し,本時学習のめあてをつかむ。 ○ 息を吸ったり吐いたりすることを「呼 ○ 前時学習を流れ図や空気の成分を確認する。 吸」ということを想起させる。 ○ 石灰水の白濁現象を提示し,吐いた空気は吸う空 ○ 石灰水の白濁から,吐いた空気には, 導 気と違い,二酸化炭素が増えたことを確認し,めあ 二酸化炭素が増えていることをとらえ てをつかむ。 させ,めあてをつかませる。 石灰水を使っての実験(呼気と吸気の質の違い) 入 酸素はどうなったのだ 全部二酸化炭素になった ろうか のだろうか 呼気に含まれる酸素や二酸化炭素の割合を調べよう ○ 分かっていることと分かっていない 気体検知管を使って酸素や二酸化炭素を調べよう ことを整理し,吐いた空気の酸素や二 酸化炭素を明らかにすることで,呼吸 の働きを考えていくことを確認する。 め あ て 吐く空気に含まれる酸素や二酸化炭素を気体検知管で調べ,呼吸のはたらきについて考えよう 2 見通しをもとに実験して,自分の考えをもつ。 ○ 吐く空気に含まれ酸素や二酸化炭素の割合につい ○ 自分の予想を発表し,友達の予想と て予想する。 比較させ,自分の考えを整理させる。 展 ○ 吸う空気の円グラフと比較しながら, 予想の根拠をもとに,吐いた空気の酸 素や二酸化炭素の割合を円グラフで予 想させる。 (酸素が減って、二酸化炭素が増える) 【予 想】 ①酸素と二酸化炭素割合が反対になる。 ②酸素が半分。二酸化炭素が半分位。 ③酸素が少し減り,二酸化炭素も少し 増える。 開 ○ 自分の予想に近い考えを明らかにし, 結果との比較をしやすいようにする。 酸素21% 二酸化炭素0.1% 酸素?% 二酸化炭素?% 吐いた空気には二酸化炭素が増えている
○ 実験して予想を確かめる。 ○ ビニル袋をしぼませてから,息を吹 ・気体検知管を使って,手順に従って,吐いた空気の き込ませて調べさせる。 展 酸素と二酸化炭素の量をグループで調べる。 ※ 気体検知管の使い方を掲示し,確認 (同じの呼気を使って酸素・二酸化炭素を調べる) する。(実験結果の誤差を少なくする) 開 3 実験で調べた結果を出し合い,本時学習のまとめを ○ 3人グループで協力して実験を行い, する。 結果を数値だけでなく,検知管カード ○ 実験結果と考察を出し合い,人が呼吸するしくみ にシールで記録できるようにする。 について考える。 ○ プリントにまとめた実験結果と考察 を発表し,吸う空気と吐いた空気との 違いについてまとめさせる。考察する 時は,「酸素」「二酸化炭素」「呼吸」 という言葉を使って書くよう助言する。 ○ きまりをまとめる。 ○プリントにまとめた実験結果と考察を 発表し,吸う空気と吐いた空気との違 いについてのきまりをまとめさせる。 ○ 吸う空気と吐いた空気との成分の違 終 いから,呼吸の働きについて考えさせ る。 ※ 導入の段階で提示した図に実験結果 を書き入れ,吸う空気と吐いた空気の 数量的な違いに着目できるようにする。 ま と め 人が吐いた空気は,吸う空気に比べて酸素が少なく,二酸化炭素が多い。 つまり,人は呼吸によって,空気中の酸素を体に取り入れ,二酸化炭素を出している。 末 ○ ろうそくの燃焼実験で本時を振り返る。 ○ 吸う空気を入れた集気瓶と呼吸した ア 吸う空気が入った集気瓶 イ 呼吸した空気を入れた集気瓶 空気を入れた集気瓶を用意し,ろうそ くの燃焼時間を比較させ,本時のきま りを確かにさせる。 ○ ものの燃え方と関係付けて問題を解 き,呼吸の働きについての理解を定着 させる ミニテストの内容 ①検知管の両端をチップホルダーで折りとり、カバーゴムをつける。 ②検知管を気体採取器に差し込む。 ③しぼませたビニル袋に、吐いた空気を入れ膨らませる。 ④ビニル袋に検知管を入れ、印を合わせてから一気に引いて固定する。 ⑤そのまま1分間待つ。 ⑥検知管を取り外し、色が変わったところの目盛りを読む。 吸う空気より吐いた空気の方が酸素が減ったということ は、人の体に酸素が取りいれられたということだね。 予想とは違って、吐いた空気には酸素が残っていた。人の 呼吸は、吸う空気より、二酸化炭素が増えて酸素が減っ た。 酸素21% 二酸化炭素0.1% 酸素17% 二酸化炭素4%