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行動につながる口コミとそうではない口コミの違いは一体何なのか?

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Academic year: 2021

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(1)

2005 年度 上智大学経済学部経営学科

網倉ゼミナール卒業論文

「情報入手経路が意志決定に及ぼす影響」

平成

18 年 1 月 15 日

学籍番号:

A0242402

氏名:青木 真奈

(2)

【はじめに】

新しい商品を購入することは、多かれ少なかれ必ずリスクを伴う不確実性のある行為である。そこで

大抵の場合消費者は、リスクを低減させるために情報を収集してからその商品を購入するかどうか、ま

たどの商品を購入するかなどの意思決定を行う。情報の入手方法には、商品の売り手が提供する広告や、

テレビや雑誌・書籍・インターネットサイトなどのマスメディアの他に、消費者同士で行われるコミュ

ニケーションによる情報の伝達手段がある。このようなパーソナルメディアは、マスコミ(mass

communication)に対して“クチコミ(word-of-mouth communication)”と呼ばれるようになった。

インターネットの発達した今日では、属人的なコミュニケーションだけではなく、インターネットの掲

示板などを利用した直接的な接触をもたないコミュニケーションもまた情報源の1つとして使われる

ようになった。

広告やマス・メディアは主に新しい商品情報を入手する際に用いるが、クチコミはその他に、お店の

商品やサービス・企業の評判についてのより主観的な要素を含んだ評価情報も得ることができる。消費

者は、これら複数の情報入手方法から得た情報を総合的に判断し、意思決定を行っている。これまでは

人々はマスメディアからの情報と、オピニオン・リーダーを始めとするパーソナルメディアからの情報

との両方を使い分けることによって意思決定を行ってきた。しかし現在、こうしたメディアの使い分け

は分岐点にあるといえる。その理由として私は三点を挙げたい。そしてそれに関する以下の疑問が、私

の研究の出発点である。

第一に、近年情報を得る手段が急速に多様化していることが挙げられる。それにより、意思決定段階

ごとに影響を与えるメディアも多様化してきているのではないだろうか。

第二に、メディアの分類の変化が挙げられる。新しいメディアの登場により、パーソナルメディアと

マスメディアという分類自体が難しくなった。特にインターネットからの情報は、人々の意思決定にど

のように影響しているのか。

第三に、オピニオン・リーダーの変化が挙げられる。情報環境の変化により、オピニオン・リーダー

とされる人も変化していることが予測される。今まで以上に、変化に適応して情報を適切に処理する能

力が、オピニオン・リーダーの資質として重視されるようになっているのではないだろうか。

【先行研究】

意思決定にコミュニケ-ションが及ぼす効果は、これまでの研究により「インパーソナルなコミュニ

ケーションは情報源としては大きな役割を果たすが、商品購入の意思決定の段階では影響が少なく、

人々の意思決定に影響を及ぼす影響源としてはパーソナル・コミュニケーションの方が優位である」

(川

,1981)という見解がなされてきた。

オピニオン・リーダーの特徴としては「マスメディアに多く接触し、社交性にも富んでいること」

「単

一の領域においてその機能を果たしていること」

(川上

,1999)などが挙げられてきた。それに対し川上

は、高度情報化社会の新しいオピニオン・リーダー像として、「社会の多様化や情報化、社会のスピー

ドに適応し、必要な情報を効率よく集めて、人間関係のネットワークを通してそれを適切に発信し、影

響力をもつネットワーク型のオピニオン・リーダー」

(川上

,1999)を提案している。

インターネットについては、総務省の調査により、普及が確実に進んでいること、ブロードバンド利

用者の増加などが分かった。また、情報収集の道具としても重要な役割を果たしている実態が示された。

(3)

【調査】

先行研究を踏まえ、私は「現在の人々の消費行動という意思決定にはどのような情報入手経路が利用

され、その経路は意思決定にどんな影響を及ぼしているのか」について調査を行うことにした。具体的

な疑問点としては次のようなものを挙げた。

・意思決定過程において、影響を及ぼすメディアが変化しているのではないだろうか。

関心の高い領域では様々な種類のメディアが利用されていることが予想できる。また、インターネッ

トの利用や、その影響があることが予想できる。しかし領域ごとに利用の差があるのではないか。

・ オピニオン・リーダーの情報入手経路やそれらが意思決定過程に及ぼす影響の特徴についても変

化があるのではないか。

質問紙はグルメ、化粧品、服飾品、映画の4領域に関して、アンケート形式で調査を行った。

【調査結果】

・関心の程度と利用した経路の数

グルメ、化粧品、服飾品、映画のどの領域にも関連性がみとめられた。そして、その領域への関心

が高いほど多様なメディアを利用している傾向があった。

・インターネットの利用

ウェブサイトの利用は領域ごとにはかなりの差があった。 映画領域に

52.8%の利用が、グルメで

48.7%、化粧品では 33.3%の利用が確認された。しかし、服飾品の領域での利用は 16.7%しかな

かった。

ウェブサイトからの情報影響は、グルメ・化粧品・映画の商品購入決定過程では、評価段階におい

て大きいことが確認された。つまり、ウェブサイトは領域によっては意思決定の、特に評価段階にお

いて影響を与えるといえる。

しかし、電子メールや情報配信サービスの影響は確認されなかった。

・オピニオン・リーダーの情報入手経路やその影響の仕方の特徴

まず、服飾品の領域において、オピニオン・リーダーは店員からの情報とその影響が大きいことが

確認された。さらにどの領域でもテレビからの情報の影響が比較的小さかった。さらにグルメ・化粧

品・映画においてはウェブサイトの利用が頻繁で、意思決定にも影響を及ぼしている。さらに知人・

友人からもよく情報を得て、それにより商品に興味を持つことが多い。映画領域ではポスター・街頭

広告に注目し、影響を受けている。

(4)

【まとめ】

第一に、「意思決定に影響を与えるメディアは多様化し、変化しているのではないか」ということ

についてであるが、今まで意思決定に対して大きな影響を与えるとされてきたメディアにも変化がみ

えることが挙げられる。例えばテレビは今まで影響が大きいとされてきたが、相対的に利用時間が減

る可能性があり、特にオピニオン・リーダーはテレビからの影響を受けにくいこと領域が明らかにな

った。以上のことは、人々の意思決定に影響を与えるメディアが変化していることのあらわれといえ

るのではないか。

第二に、インターネットの情報は、人々の意思決定に影響を及ぼしているといえる。インターネッ

トの普及は着実に進んでいる。そして、情報入手の手段として頻繁に利用されている。

ただ、インターネット情報の利用は、消費行動においては領域によってかなりの差があることも指

摘できる。調査では映画情報では多くの人に利用されていたが、服飾品の領域では利用が少なかった。

インターネット情報の利用は領域によって向き不向きがあるのかもしれない。しかし、インターネッ

トは未だに成長過程にあるメディアである。また、利用者が自分の欲しい情報を選択できるという特

徴もある。よって、今後さらに幅広い領域で、人々の意思決定に役立つメディアになっていくのでは

ないだろうか。

第三に、オピニオン・リーダーの変化について述べたい。調査において、消費行動のオピニオン・

リーダーの情報入手にはいくつかの変化がみられた。今までオピニオン・リーダーは、マスコミから

の影響を多く受けると考えられていた。しかし、雑誌情報の影響は強く受けるが、テレビの情報によ

る影響が少ないことが分かった。さらに服飾品に関しては、店員からの情報の影響を強く受ける。以

上のことから、現代のオピニオン・リーダーの特徴として主体的に知りたい情報を得られるメディア

を利用する傾向がある、と考えられる。

パーソナルメディアとマスメディアという両者の中間のメディアといえるインターネットからの

情報は、人々の意思決定に大きな影響を与えている。これからの消費行動では今まで以上に積極的で

適切な情報処理が求められているといえる。

以上

(5)

【参考資料】

◇インターネットの普及

o 過去1年間に「インターネット」を利用した人(10 歳以上)は約 5245 万人で,利用者率は 46.4%

となっている。男女別にみると,男性の利用者率は

51.5%,女性の利用者率は 41.5%となっており,

男性の方が女性より

10 ポイント高くなっている。

o「インターネット」の利用者率は,20 歳代までの若年層では女性の方が男性より高くなっているが,

30 歳代以上の各年齢層では男性の方が高くなっている (図1)。

o「インターネット」の利用者率を利用の形態別にみると,電子メールなどの「情報交換」に利用し

た人が

39.5%,ホームページの閲覧などの「情報収集」に利用した人が 32.4%,ホームページの開設

などの「情報発信」に利用した人が

5.6%などとなっている。

また,「インターネット」を「商品やサービスの予約,購入,支払い等」に利用した人は

10.1%と

なっている (図2)。

o「インターネット」の年間の利用頻度を利用の形態別にみると,利用者のうち年に 200 日以上利用

している人の割合は,

「情報交換」では

47.8%と半数近くになっており,特に 10 歳代後半は,63.9%

と最も高くなっている。

(6)

総務省HP 平成 13 年社会生活基本調査より

http://www.stat.go.jp/data/shakai/2001/kodo/yoyakuk.htm#1

インターネット利用人口の推移

平成9年末 平成10年末 平成11年末 平成12年末 平成13年末 平成14年末 平成15年末 平成16年末

利用者数(万人)

1,155

1,694

2,706

4,708

5,593

6,942

7,730

7,948

人口普及率(%)

9.2

13.4

21.4

37.1

44.0

54.5

60.6

62.3

(出典)「通信利用動向調査」

総務省情報通信統計データベースより

http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/field/data/gt010101.xls

(7)

平成17年 3月末 9月末 3月末 9月末 3月末 9月末 3月末 9月末 3月末 9月末 合計 19,512,415 21,427,707 2,852,205 3,978,529 13,675,840 14,305,521 2,959,712 3,121,680 24,658 21,977 北海道 674,096 751,230 97,298 145,090 516,440 540,783 58,683 63,657 1,675 1,700 青森県 127,393 141,393 6,411 10,159 110,413 120,086 10,509 11,083 60 65 岩手県 120,369 133,852 8,422 13,826 104,304 112,169 7,612 7,828 31 29 宮城県 297,607 330,548 40,145 59,166 234,099 246,424 22,979 24,529 384 429 秋田県 114,686 124,888 8,445 13,160 88,934 93,909 17,307 17,819 - -山形県 127,867 140,646 8,091 14,251 105,182 111,636 14,594 14,759 - -福島県 188,244 212,368 22,782 36,401 164,806 175,270 655 696 1 1 茨城県 349,385 387,257 19,890 31,586 303,100 326,276 26,395 29,395 - -栃木県 237,390 263,996 18,235 27,315 181,896 196,770 37,259 39,911 - -群馬県 239,251 268,448 14,657 26,012 210,505 227,782 14,087 14,653 2 1 埼玉県 1,180,323 1,291,987 166,209 233,586 845,948 874,032 163,654 180,679 4,512 3,690 千葉県 1,039,543 1,134,301 167,297 231,332 732,942 755,740 136,024 144,408 3,280 2,821 東京都 3,133,626 3,396,643 665,801 893,021 2,064,500 2,080,182 396,751 417,815 6,574 5,625 神奈川県 1,828,045 1,995,269 280,332 385,189 1,258,340 1,305,444 283,682 299,672 5,691 4,964 新潟県 257,073 290,024 18,362 30,387 221,029 241,304 17,676 18,328 6 5 富山県 157,726 170,364 12,700 17,188 80,066 84,803 64,864 68,224 96 149 石川県 154,078 168,914 19,652 26,427 108,175 116,026 26,207 26,424 44 37 福井県 115,498 124,738 10,494 13,678 58,220 61,277 46,784 49,783 - -山梨県 111,052 122,804 6,050 11,097 86,855 92,273 18,124 19,410 23 24 長野県 283,418 315,453 17,264 26,485 192,557 211,173 73,594 77,793 3 2 岐阜県 251,613 280,148 22,605 33,228 174,986 188,094 53,631 58,285 391 541 静岡県 587,509 641,803 46,954 63,606 472,788 506,916 67,661 71,122 106 159 愛知県 1,171,419 1,281,436 146,926 193,859 761,899 807,882 262,490 279,587 104 108 三重県 286,140 309,683 19,152 25,784 118,414 127,398 148,574 156,501 - -滋賀県 186,642 211,470 47,974 67,646 125,964 129,762 12,704 14,062 - -京都府 440,100 486,462 85,318 119,843 340,604 351,945 14,156 14,653 22 21 大阪府 1,623,131 1,751,791 293,780 411,972 1,064,915 1,084,710 264,217 254,900 219 209 兵庫県 868,937 956,457 148,735 210,309 587,634 607,243 132,547 138,888 21 17 奈良県 224,864 245,503 32,796 47,538 162,378 165,839 29,597 32,053 93 73 和歌山県 126,440 139,636 20,268 28,694 86,735 90,277 19,390 20,625 47 40 鳥取県 65,725 74,241 6,850 9,254 43,147 47,298 15,728 17,689 - -島根県 71,747 80,191 8,221 10,324 48,156 52,885 15,272 16,886 98 96 岡山県 252,155 276,977 29,336 37,966 175,784 189,715 46,314 48,822 721 474 広島県 376,876 417,529 68,560 91,747 281,219 298,457 26,908 27,162 189 163 山口県 177,265 198,990 15,101 21,423 106,297 115,639 55,843 61,906 24 22 徳島県 93,491 106,680 6,519 13,704 62,489 67,721 24,483 25,253 - 2 香川県 129,347 142,815 10,255 15,291 95,293 103,135 23,785 24,303 14 86 愛媛県 171,340 189,107 13,572 20,702 132,178 141,937 25,578 26,446 12 22 高知県 72,533 81,054 7,207 10,660 56,254 61,009 9,024 9,319 48 66 福岡県 685,562 765,770 113,213 156,385 484,879 510,435 87,415 98,880 55 70 佐賀県 74,265 83,888 6,173 8,742 48,670 54,109 19,422 21,037 - -長崎県 145,419 162,651 10,413 15,789 102,469 111,644 32,480 35,138 57 80 熊本県 170,830 192,749 26,045 35,290 125,898 136,696 18,877 20,725 10 38 大分県 140,487 155,039 15,050 19,991 76,240 82,961 49,195 52,049 2 38 宮崎県 115,343 126,403 10,533 15,290 67,416 72,975 37,394 38,118 - 20 鹿児島県 137,438 158,708 18,728 27,604 113,265 125,766 5,422 5,312 23 26 沖縄県 129,127 145,403 13,384 20,532 91,558 99,714 24,165 25,093 20 64 ※ 都道府県別契約数に関しては、報告規則に定めがなかったことから平成17年6月末時点の集計を行っていない。 ※ 各サービス及び合計値ごとに、契約数が多い順に3都道府県を選び網掛けを施した。 合計 FTTH合計 DSL CATV FWA

ブロードバンドサービスに係る都道府県別の契約数

【平成17年9月末現在】

総務省情報通信統計データベースより

http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/field/data/gt010103.xls

(8)

【参考文献】

「情報イノベーター―共創社会のリーダーたち」 講談社現代新書

川上 和久 (著), 電通メディア社会プロジェクト (著)

参照

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