NII-Electronic Library Service
Theノαρα
η
ρsθノournal o∫ Ps.
ychvnomic Sci娼娜偲2008
、
Vc}
1,
27.
NQ.
1.
1−
12圃
第
二
言 語
の視覚 的単
語 認
知
の処
理
パタ
ー
ンー
日本 語
母
語話 者
と中 国語
母 語
話者
の比
較
一
王
崟
・阿 部 純
一
北 海道大 学
Processing
pattern
of
second
language
word
recognition
一
Across
−
linguistic
comparison
一
Lun
WANG
andJun
−
ichi
ABE
Holekaido
University
*The present study was
designed
to
examine whether the secondlanguage
(L2
)visual word recognitionis
affectedby
thefirst
language
{Ll
)word processing pattern.
Participants weredivided into two groups according to theirLI
,
theJapanese
native speakers and the Chinese native speakers.
Priming
lexical−
decision taskfor
Eng 】ish
word was performed inboth
groups.
The
stimulus
−
onset−
asynchrony (SOA
)conditionbetween
the
prime stimuli and target stimulj wasvaried
in
Experiments
1
〔200ms
)and2
〔800
ms ).
In
Experiment
l,
theJapanese
group
showed a strong facilitation effect with phonological priming and the Chinese group showed a strongfacilitation effect with orthographic priming on
L2
Eng
】ish
word recognition,
A
simUar pattern ofthe results of
Experiment
l emergedin
Experiment
2.
These results suggest that the prQcessingpattern of Ll word may be automatically activated in L2 English word recognition
.
In other words,
the cognitive strategies of Ll constrain the shaping of L2 word processing pattern.
Key words :the second language
.
wQrd recognition,
orthographic information,
phonologjcalinfor−
mation
,
priming effect第
一
.
.
二言 語 (L2
)の 書字 単 語の 処 理の特 徴を 知 るこ と,
特に母 語 (Ll
)の視 覚 的 単 語 認 知の処理パ ター
ンか らの 影 響にっ い て知る こ とは,
L2 の習 得に関す る研究に お い て重 要な課 題と なっ
て い る.
本 研 究で は,
Ll 環 境の中 で L2 を 習 得 して い る学 習 者 を 対 象 として,
彼 らの L2 書 字 単 語の処理の 特徴につ い て検 討 する.
これ まで のL1
単 語 認知研究で は,
言 語の表 記 体 系が そ の単 語 認 知にどの よ う な影 響を もた らすか が問わ れて き た.
例え ば,
英 語と中 国 語は,
そ れ ぞ れ質 的に 異 な る 表 記体 系,
す な わ ちアル フ ァ ベ ッ ト (表 当表 記 )と漢字 (表 語 表 記 )に よ る表 記 体 系を もつ,
表 音表 記 体 系をもつ 英語の 単語は,
1文 字が ほ ぼ 1音.
素に対 応 してお り,
表* Department of Psychology
,
Graduate
School
ofLetters
,
Hokkaido University,
N10,
W7,
Kita−
ku,
Sapporo
O60−0810
語 表 記 体 系を もつ 中 国 語で は,
1文 字が 1形 態 素や 1単 語に対 応して い る.
こ の ように,
英 語 単 語の文 字 と 音の 対応関 係は,
中 国 語 単 語の そ れ よ り も“
透明 〔transpar−
ent}”
である ため,
英 語 単 語は中 国 語 単 語よ り も音 韻的 符 号 化が容 易で あ る.
したが っ て,
こ の よ う な表記体 系 の 違い が,
両 言 語で の 視 覚 的 単 語の認 知におい て,
綴り 情 報 と音 韻 情 報の利 用の程 度に違いを もた らす 可 能 件は 十分にある,
実際,
Ll
英語の視覚的 単語 認知において は, 綴 り情 報 よ り も,
音韻 情 報が常に早 くま た臼動 的に活 性 化さ れ,
よ り人きな役 割を果た し て い る,
とす る考え が主 流で あ る(e.
gり
Folk,
1999
;Forst,1998
;Van
Orden,
1987
).一
方
,L1
中 国 語 母 語 話 者によ る漢 字 単 語の認知におい ては
,
音 韻 情 報よ り も綴り情 報の重要惟が確認 さ れて お り,
綴り情 報の活 性 化が意 味 情 報の活 性 化を導い て い る と す る考え が提 出さ れて い る(e.
g.
,
Leck,
Weekes ,
& Copyright 2008,
The Japanese Psychonomic Society.
A1】rights reserved.
The Japanese Psychonomic Society The Japanese Psyohonomio Sooiety
2 基 礎 心
fR
学 研 究 第 27 巻 第 1 号Chen ,1995
;Zhou
&Mars
!en−Wilson,2000
;Zhou ,
Marslen
−
Wilson,
Taft,
& Shu,
1999 ).
1[
Illl「』
語の 視 覚 的単語 認 知を比 較 する と
,
英語の単 語 認 知で は,
音 韻 情 報の活 性 化が意 味 活 性 化 を 促 し
,
綴 り 情 報の活 性 化 はその後で起こる が
,
中 国 語の単 語 認 知で は,
綴 り情 報が意 味 情 報の活 性 化を促し,
音 韻 情 報の活 性 化は意 味 活 性 化と同 時か その 後に行わ れ る
,
とい うこ と が 主張さ れて い る 〔Feng,
Miller,
Shu,
& Zhang.
2001 ;Perfetti,
Liu,
&Tan ,
2005 ).
す な わ ち,
ア ル フ ァ ベ ッ トを用い る英語 と 漢 字を用い る中 国 語の そ れ ぞ れの書 字 単 語の処理パ ター
ンで は,
綴り情 報 と音 韻情 報の 利 用の 程 度と利用の仕 方 に人 きな違いが あ る,
とい うこと で あ る.
とこ ろで,
L1 凵本語の視覚 的 単 語認 知につ い て は ど うで あろ う か.
凵本 語は漢 字と仮 名とい う 2種 類の 文字 表記を もっ 呂.
語で あ る.
漢 字は表 語 表記体 系の 文 字であ るの に対 し,
仮 名 (平 仮名 と 片 仮 名 ) は表 音 表 記 体 系の 文 字で ある.
これまで,
日本 語 母語 話 者を対 象と し た視 覚 的 単 語 認 知 研 究の 多く は,
漢 字 単 語と仮 名 単 語の処 理 パ ター
ンが 異 な ること を 上張 して きた (Bolger,
Pcrfctti,
& Schneider
,
2005 ;御 領,
1987;Ishiwatari,
Koga,
&Nagata,
2002 ;Thuy ,
Matsuo ,
Nakamura,
Toma ,
Oga ,
Nakai
,
Shibasaki,
& Fukuyama,
2004 }.
す な 才)ち,
そ れらの研 究の結果か ら は,
漢 字 単 語を処理 す る場 合は,
綴り情報が大き く利 用さ れてお り,
逆に.
仮名 単語 を処 理 す る場合に は,
音韻情報が大き く利 用さ れて い る,
と い うこと が示されて き た.
これ らの 結 果は,
上述 し た表 語表 記 体 系の 中 国 語 単語の 処 理パ ター
ンと表 音 表 記 体 系 の 英語単語の処 理パ ター
ン の 考えに矛盾し ない.
以E
の よ うに,
L1 の 書字 単語の認 知に は,
綴 り情 報と 音韻 情 報が共に利用 さ れて は い るが,
その ど ち らが よ り 大 き く利 用 さ れ る か は,Ll
の 表記体系に依 存 して 異 な る,
といえ そうであ る,
ま た,
同一
の 三語 内であっ て も,
複 数の異な る表記体 系をもっ Ll (例え ば,
日本 語 )の単 語認知におい て は, 表記体 系の違い (例え ば, 漢字と仮 名 )に よっ て綴 り情 報と音 韻 情 報の利 用の程 度に違いが あ る,
とい え そ う で あ る.
で は,
こ う し たL1
の書字単 語の処理パ ター
ン の違い は,
L2 書 字 単語 の認 知に どの よ うな影 響を与える の で あ ろ う か.
すな わ ち,
L2
学 習 者は,
L2
書 字 単 語を認 知 す る際に,
L2 自体の 単語処理パ ター
ン の特徴を示すの で あろ う か,
それ と も,
L1 の 書 字 単 語の処理パ ター
ンの 特 徴 を 示 すの であ ろ うか.
例えば,
表 語 表 記 体 系 を もつLl
の話 者 が表 音 表 記 体 系を もつL2
の 単語 を 認 知 す る 場 合と、
表 臨表 記 体 系をもつ L1 の話 者が表 語 表 記 体 系 を もつ L2 の 単 語 を 認 知 する場 合とで は,
綴 り情 報 と 音 韻 情 報の 利用に違いが あ るの で あ ろ う か.
ま た,
違い が あると す れ ば,
そ れ はどの よ う な 違 い なので あろ う か.
これ らの疑 問を受け,
本 研 究で は,
英 語をL2 と して 学 習 した 日本語 母 語話者 と中 国 語 母 語 話 者を対象と し,
彼 ら がL2
英語の 書 字単 語を認 知 する際に 用い る処理パ ター
ンにつ い て検 討 する.
そ し て,
両 群それぞれの英 語 単語の 処 理パ ター
ンが,
彼らのLl
で あ る 日本 語と中 国 語の 単 語 処理バ ター
ン と どの よ うに関 係して い るかにつ い て検 討 する.
L2
英 語の視覚的単 語認 知 にっ いて検 討し た研究 がい くっか ある.
W’
ang,
Koda,
& Perfetti〔2003 )は,
意 味カテゴ リ
ー
判 断 課 題 を 用い,
韓 国 語 母 語 話 者と中 国 語 母 語 話 者を参 加 者と して,L2
英諮 の書字単語の 処 理パ ター
ン を調べ た.
その 結 果,
中 国 語 母 語 話 者は韓 「司語 母 語 話 者よ りも綴り情 報を大 きく利 用 する が,
韓 国 語 母語話 者 は 中 国 語 母 語 話者よ り も音韻情報 を 大 き く利 用す ること が示さ れ た.
彼ら は,
それ ぞ れの Ll の表 記 体 系が英 語 の 書 字 単 語の認 知に影 響 を 与え る可 能 性 を 指 摘 して い る.
また, 王・
阿 部 (2007 }は, Wang et aL (2003 )と同 じ課題 を用い て,
日本 語あ るいは中 国 語をLl と す る英 語学 習 者が,
英 語の書 字 単語 を 認知す る際に用い た処理 パ ター
ン の性 質を検 討し た.
その結 果,L2
英語 単語を処 理 する際に,
中 国 語 母語 話 者は 日本語母 語 話 者よ り も綴 り情 報をよ り大き く利 用す る が,
ロ本語 母 語話 者は中 国 語 母語話者よ り も音 韻情 報を よ り大き く利用す ること が 示さ れ た.
こ の 結 果か ら,
工・
阿 部〔2007 )は,
L20 )視 覚 的 単語 認 知に は,
L1
の視 覚 的 単 語 認 知の処 理パ ター
ンが転 移 的に適川 さ れて いる と考 察 して い る.
本 研 究で は,ti。
阿 部{2007 >の研 究と同じ凵 的で,
彼 らの課 題とは異な る課 題 (プ ラ イ ミングー
語 彙 性 判 断 課 題) を 用 い て,
目本語 母 語 話者と中「司語 母 語 話 者 がL2
英 語の 書字単 語を認知す る際の綴 り情報,
音 韻 情 報,
意 味 情 報の利 用の程 度にっ い て探り,
表 語 表記体 系をもつ 中国 語の母語 話 者と表tt
表記体 系と表音表記体系の両 方 を もっ 日本 語の母 語 話 者が,
表 音表記 体 系をもっ L2 英 語の視 覚 的 単 語 認 知の特 徴を比 較 する.
具 体 的に は,
中 国 語 母 語 話 者 と円本 語母語 話 者が,
英 語 書字単 語を 認知 する際に,
単語の綴り情 報,
音韻情報,
そ して意味情 報 をそれぞ れどの よ うに利用する かを比 較 検 討す る.
もし も,
中 国 語 母 語 話 者と凵本語 母 語話 者の 間で,
英語書字 単語 を 認 知 す るE
で,
綴り情 報,
音 韻 情 報,
意味 情 報の いずれ の利 用に も差が 見られな い な らば,
両 群の 間の 英 語 単 語 認知は,L1
の単語 処 理パ ター
ン に は影 響さ れ ず,
L2 の英 語の特 徴のみに基づ いた処理パ ター
ンに よ っ て なされたことに なる.
逆に,
両 群の 間で,
英 語 書 字 単 語NII-Electronic Library Service 王
・
阿 部:第二 言語の視 覚 的 単語 認 知の処理パ ター
ン 3 の認 知におい て各 情 報の利 用に差 が見ら れたな らば,
そ の 英 語単語 認知 は,
そ れ ぞ れの 群のL1
の単語処理 パ ター
ン の影響を受けて いる 口∫能性が大になる.
本 研 究の実 験 課題 は,
視 覚 的フ.
ラ イ ミン グー
語 彙 性 判 断課 題であ る.
こ の課 題で は,
プ ラ イム単 語と ター
ゲ ッ ト単 語が 1語 ずっ 川貞に呈示さ れ る.
こ の プ ライム単 語 と ター
ゲ ッ ト単 語は,
本 実 験 研究で は,
次の 4 種 類の 関 係 で組み合わ さ れて いる.
す な わ ち,
ター
ゲ ッ ト単 語と綴 りが 類 似し て い る 「綴りプ ラ イム 」単 語,
音 韻が類 似 し て い る 「音 韻プ ラ イム」単 語,
意 味 的 関 連の強い 「意 味 プ ライム」単語,
無 関 連な 「無 関 連プ ライム」単 語の 4 種類で あ る,
実 験参加者に は,
プ ライム 単語の次に 呈示 さ れる 夕一
ゲッ ト単語が英 語 単 語で あ る か否か を判 断す る こ とが 求め られ る.
実 験1
本 実 験で は,
L1 の 単 語 処理パ ター
ン がL2 の 単 語の 処理パ ター
ン に 影 響 を 与え るとい う仮 説を検 討 する.
こ の仮 説が 正 しい と す れ ば,
表語表記体 系を もっ 中国 語 母 語 話 者は,
L2 英 語の 単 語を認 知 する際に Ll の 単 語 処 理パ ター
ン の 影 響を受けて,
音 韻プ ラ イ ミング効 果よ り も綴り プライミング効果の ほ う が大き く な るこ と が 面 則 さ れる.
これに対して,
日本語母語話 者は,
漢字 (表語 表 記 体 系 )と仮 名 (表 音 表 記 体 系)の 2種類の 単語 処 理 パ ター
ンをもっ て い る と考え ら れ る た め,
英 語アル フ ァ ベ ッ ト (表 音 表記体 系)の単語を認知 する際に,
そ の 2 種 類の 処理ざ ター
ン の ど ち ら か一
方の 単語処理パ ター
ン の影 響を受け ることになる は ずで あ る.
も し も,
同じ表 音 表記体 系の仮 名 文 字の 単 語 処理パ ター
ン の影 響を受け る と す れ ば, 音韻プ ライミング効 果が綴 りプ ライ ミング 効果よ りも強 く現れる はずで ある.
た だ し,
そ う な っ た 場合,
こ の結 果 が,
L1 の仮 名 文 字の 単語 処 理パ ター
ンの 影 響によ る もの か,
そ れ と も,
その 段 階で 形 成さ れてい る L2 英 語の 単 語 処理パ ター
ン に よる もの かにっ い て は,
はっ
き り と は断 定で き ない.一
方,
漢字の 単 語 処理 パ ター
ン の影 響を受ける と す れ ば,
中 国 語 母 語 話 者と同 様に,
綴りプ ラ イ ミン グ効 果が音 韻プ ラ イ ミン グ効 果よ り も よ り強 く認め ら れ る はずである.
ただ し,
こ の 後 者 の結 果が生じ た場 合で も,
その そ れ ぞ れの L1 の表 記 体 系の違いを反 映して,
日本 語 母 語 話 者は中 国 語 母 語 話 者 よ りもよ り大きな音 韻プ ラ イ ミン グ 効 果 を示すの に対 し て, 中 国語母語 話 者はR
本語 母語話 者よ りもよ り大 きな 綴 り プ ラ イ ミン グ効果を示す,
とい うこ と が予 測さ れ る,
これ と逆の仮 説は,
Ll
の 単 語 処 理パ ター
ン はL2 の 単語 処理パ ター
ン に影 響を与え ず,
両 者の間に は何の関 係も ない とい う考えで あ る.
この仮 説に従え ば,
日本 語 母 語 話 者 と 中 国 語 母 語話者で は,Ll
の 単語 処理パ ター
ンがR
なる に も か か わ ら ず,
L2 英 語の 単 語 処理は同 じ パ ター
ンで 行われ,
音 韻プ ライ ミング効 果や綴りプ ライ ミ ン グ効巣に も違い は 認 め ら れ ない,
とい うこ とにな る,
方 法 実 験 参 加 者 参 加 者は,
正常な視 力を もっ 44 名の 囗 本 語 母 語 話 者と 46 名の 巾 国 語 母語話 者の 2群で あっ
た.
両 群は,
年 齢,
教 育 歴,
英 語 習 熟 度のE
で 大 きな差 異がない よ うに選ばれた.
す な わ ち, 日本語 母 語話者は, 日本の 大学 生と大学院生であ っ て,
かつ,
日本の 「実 用 英 語 技 能 検 定 」2級の者か ら選ばれ た (平 均 年 齢は 21.
4 歳,
英語学習経 験 平均9.
54
年).
中 園語母語話者は,
中 国の大 学 生と大 学 院 生で あっ て,
かつ,
中 国の 「全 国 大 学 英 諳検定 」4
級の者か ら 選 ば れ た (平 均 年 齢は21
歳, 英 語 学 習 経 験 平 均 9.
48 年 ).
両 群の英 語 習 熟 度にっ い て は,
目本の 「実用英 語技能検 定」2級と中国の 「全 国 大学 英語検定 」4
級を直接比較す る デー
タ は ないが,
そ れ ぞ れ の等 級 に相応 す る TOEFL の点 数 は共に 450〜
507 点と さ れて お り,
こ の こと か ら,
両 群の英 語 習 熟 度は同 等の 範囲内に あ ると見な すこ と がで き る.
な お,
日本 語 母語 話 者 群 中の 7名は,
「実用英 語 技 能 検 定」の 結果 は 3 級で あっ
た が, その 検定を受け た後にTOEFL
を受 検し て お り,
そ の点 数が450〜
507 点の範 囲 内に入る もの で あっ た こ と か ら,
同範 囲 内の 英 語習熟度を もっ と 見な し,
参 加者に加え ら れ た.
実 験 計 画 実 験は,
参 加 者 群 (日本 語 母語 話 者と中 同 語 母 語 話 者の 2 水 準,
被 験 者 間 要 因 ),
プ ラ イム タ イ プ (綴り,
音韻,
意 味,
無関連の 4 水準,
被験者 内 要因)の 2 要 因 混 合 計 画により実 施さ れ た.
材 料 と 装 置36
語の ター
ゲッ ト申 語,
お よび,
そのそ れ ぞ れ と ド記の4
種類の 関 係を もつ プラ イム 単 語 144 語 (36語 ×4),
計 180 語の単 語が用 意さ れた.
これら の 英 語 単 語 は,
日本の 「大 学 英 語 教 育学 会 基 本 語 1丿ス トJACET80001
か ら選ば れ た (Appendix 参 照 ).
単語の 平 均 文 字 数は 4.
2字 {SZ)=
0.
7),
平 均 出 現 頻 度は Kucera & Francis 〔1967)に よ れ ば 1709 (SD=
87.
5)で あ っ た.
プ ライム 単語は , 夕一
ゲッ ト単語 との 関 係によ っ て, 綴 り 条 件,
音韻 条 件,
意味条 件,
無 関連条件の 4条件が 用 意 さ れた.
すなわ ち,
綴 りプ ライム条 件 (プラ イム単 語が ター
ゲ’
ッ ト単語と綴り的に 類 似して い る.
例えば,
プライム単 語“
floor
”
,
ター
ゲ ッ ト単 語“
fiour
”
),
音 韻プ ラ イ ム 条 件 (プラ イ ム単 語が ター
ゲッ ト単語と音 韻 的に N工 工一
Eleotronio LibraryThe Japanese Psychonomic Society The Jap 直nese Psyohonomio Sooiety
4 基礎心 理学 研究 第27 巻 第 1号 類 似 して い る
.
例え ば,
プ ラ イム 単 語“
nower”
,
夕一
ゲッ ト単 語“
fiour
”
),
意味プライム 条 件 (プライム 単 語 が 夕一
ゲ ッ ト単 語と意 味 的に関 連して い る,
例え ば,
プ ラ イ ム 単 語“
bread”
,
夕一
ゲ ッ ト単 語“
fiour”
),
無 関 連 条 件 (プライム 単語と ター
ゲ・
ソ ト単 語の間に特別な関連が な い,
例え ば,
プ ラ イム 単語“
drive”
,
夕一
ゲ ッ ト単 語」
‘
flour”
)の 4条 件で あ る.
こ の 4 条 件の プ ラ イム 単 語 が,36
語の ター
ゲッ ト単語 そ れ ぞ れにつ い て用意 さ れ た.
4 条 件の プ ラ イ ム単 語それ ぞ れ は,
同一
の 夕一
ゲッ ト単 語と組み合わせ て果 示さ れ,
合 計 144 対の プ ラ イ ム 単語と 夕一
ゲッ ト単語の組み合わせ が“
ター
ゲ ッ ト試 行”
の 材 料と して用い ら れ た.
参 加 者の課 題は,
プ ラ イ ミング語 彙 性 判 断 課 題で あっ た.
参加 者に は,
最初にプ ラ イム 単 語が 呈 示 さ れ,
続い て別の 文 字列が 呈示さ れ た.
参 加者は、2
つ 目に呈示さ れ た文 字 列が英 語 単語で あ る か ど うかを判 断 し た.
上 述 した 144 対の プ ラ イム 単語一
ター
ゲッ ト単語の 正反応 は,
“
Yes ”
反 応と な り,
これ らの試行が分 析の対 象と な る“
夕一
ゲッ ト試 行”
と さ れ た.
全実 験 試 行の“
Yes”
反 応と“
No ”
反 応の正 答 数 を 等 し く 用意 する ため に,
そ れ 以外に“
フ ィ ラー
試行”
と して,
“
Yes”
反応が期 待さ れ る 36試 行 用の プラ イム 単 語 (36 語 )一
夕一
ゲッ ト単語 (36 語 ) 対,
および,
逆に“
No”
反 応が期 待される 180 試 行 用のプ ラ イ ム 単 語 (60
語 )一
ター
ゲ.
ッ ト非単 語 (180 語 ) 対が用 意さ れ た.
これ らの フ ィ ラー
試行で 呈示さ れ る単 語と して は,
ター
ゲッ ト試行で呈示さ れる単語 と同 程 度 の親 近 性をもち,
同 程 度の文 字 数を もっ単 語を選んだ.
フ ィ ラー
試 行の 中で“
Yes ”
反 応が期 待さ れ る試 行で 畢 示さ れ る 36 対の プライム単 語一
夕一
ゲッ ト単 語は,
夕一
ゲッ ト単 語の 文 字 数がプ ライム単 語 と 同じ で あ る が,
そ の綴 り や音 韻が プ ラ.
イム単 語 と は異な る よ う作 成さ れ た.
フ ィラー
試 行で 旱示さ れ る180
対の プ ラ イム 単語一
ター
ゲッ ト非 単語は,
夕一
ゲッ トと なる非 単 語が プラ イ ム 単 語と綴 り的に似て い る もの,
音 韻 的に類 似 する も の,
お よ び関 連の ない もの の3
種 類を作 成し た (各 種 類 につ き60 個 ).
具 体 的に は,
プ ラ イム 単 語と視 覚 的に綴 り が似て い る非 単 語は,
文字数が プ ラ イ ム 単語 と同じ で,
プライム単 語の1
文字を変 更 する か,
ま た は,
連 続 する 2文 字を入れ替え た もの で あ っ た (例え ば,
プ ラ イ ム 単語“
sky”
, 非 単語“
syk”
).
音 韻的に類似 する非 単語 は,
文 字 数が プライム 単語と同じで ない こ と も あ る が,
プ ラ イム単 語 と音 韻 的に類 似 する よ う作 ら れ た (例え ば,
プ ラ イム 単語“
sky”
,
非 単 語“
skai”
).
関 連の ない非 単 語は,
文 字 数が プライム 単語と同 じで,
プラ イム単 語 と視 覚 的に も音 韻 的に も全 く似て い な い文 字 列で あっ た (例えば,
プ ラ イ.
ム 単 語“
sky”
,
非 単 語’
‘
wmx”
).
単 語 材 料の呈示,
反応 カテ ゴ リー
(Yes/No)お よ び反 応 時 間の 記 録にはパー
ソナ ル コ ン ピュー
タが用い ら れ た.
な お,
本 実 験 1で は,
プ ライム単語の呈 示時間 を200 ms に設 定 し た.
こ の呈示 時 間は,
L1
の 単 語 認 知を扱 った Zhou & Marslen
−
Wilson (2000)の呈 示 時 間に準 拠 し た.
彼らの実 験で は,
プ ライ ム 単語 を十分に認知で き る 呈示 時 間を 57ms と200ms に設定L
てい た.
本 実 験 1 で は,
呈 示さ れ る単 語が参 加 者に とっ て L2 で ある こと を 考 慮に入れ,
彼 らの 呈 示 時 問の長い ほ う で あ る200
ms に設 定 し た.
手 続 き 実 験は,
個 人ご とに防 音 室で行わ れ た.
参 加 者は,
コ ン ビ=一
タ の 画 面か ら約 60cm 離 れた ところ に座 り,
反 応 ボ ッ クスを 通 して反 応 し た.
参 加 者 は,
全 て の英 語 単語ま た は文 字 列が,
白い画 面の 中心に黒い小 文 字の ア ル 7 ア ベ ッ トで 呈 示さ れ るこ とを告げ ら れた.
課 題 は,
視覚 的プ ラ イ ミ ン グー
語彙 性 判断 課 題で あ っ た.
Figure
1
に1
試 行の流れ を示 す.
最 初に画 面の 中 心 に“
+”
印が 500ms 間早示され,
参 加 者は そ の c↓
+”
印 を 注 視し た.
次に,
100ms
間の空 白の 後に1
っ の 単語 (プ ライム,
例え ば,
bear) が 200 ms 間呈示さ れ,
参加 者は それ を画 面か ら消える まで黙 読し た.
続い て,
1つ の文 字 列 (夕一
ゲッ ト,
例え ば,
bare)が 呈 示さ れ,
参 加 者は,
その文 字 列 が 英 語の単 語 で あ る か ど う かの 語 彙 性判 断を行っ
た.
反 応は,
反 応ボッ クス上の指 定さ れ た 2っ の ボ タン を,
そ れぞ れ 左右の人 差 し指で押すこ とに よ っ て行 っ た.
すな わ ち,
文字 列が 英 語単語で あ れば“
YES ”
ボ タンをt
そ うで は な け れ ば“
NO ”
ボ タンを,
で きるだ け早く かつ 正確に押す よ う求め ら れ た,
ボ タン の 位 置 (左と右) と反 応カ テゴ リ(Yes
/No
)の 割り当て は 被 験 者 間で カ ウ ンター
バ ラ ン ス を取っ た.
反 応時間お よFlgure l
.
The time coursc of the display ofeach trial used in Experiment l and Experi
−
NII-Electronic Library Service 土
・
阿部:第.
二二呂語の 視覚 的 単 語 認 知の処理パ ター
ン 5 び反 応ボ タン の 選択が記録さ れ るの と同 時に,
文字列は 画 面上 か ら消え,500ms
の間 隔を おい て次の試 行が始 ま っ た,
参 加 者は,
まず 10試 行の練 習 を 行い,
その後,
144
の ター
ゲッ ト試 行 (各 条 件に つ き36
試 行 )と216
の フ ィ ラー
試行 (36
対の 単 語一
単 語 と 180 対の 単 語一
非 単 語 の 紐み合わ せ)の,
計 360 試 行か ら なる実 験 試 行を行 っ た.
こ れ らの実 験 試 行は,
5セ ッ ショ ンに ラ ン ダム に振 り分け ら れた.
各セ ッ シ ョ ン内で の試 行の順序は,
参 加 者ご とに ラン ダム と し た.
各試行に お け る反 応の フ ィー
ドバ ッ ク は,
練 習 試 行で は与え ら れ たが,
実 験 試 行で は 与え ら れ な か っ た,
セ ッ シ ョ ン間に は5
分 間の休 憩 を 挟 ん だ.
実験全体の所要 時問は約50
分で あっ た,
結 果 正 反 応のみに つ いて反 応 時 間 を 分 析した (その 割 合は 94.
9% ).
押 し間違 え や 無 反 応 といっ
たエ ラー
反 応 は分 析か ら除 外さ れ た (全 体の 0.
4% ).
また,
被 験 者ご とに,
各 条 件の 平均反 応 時 間 か ら±2SD
を 超 え た 値 も 分 析 か ら除 外さ れ た (全体の L3%).
各 条 件の 平 均 反応時 間を Figure 2 に示す.
各 条 件の 反応時間に つ い て , 参加者群 (凵本語 母 語話 者,
中 園 語 母 語 話 者の 2水 準, 被 験 者 間 要 因), プライム タ イフ (綴 り,
音韻,
意 味,
無 関 連の 4水 準,
被 験 者 内 要 因 ) を 要 因とする分 散 分 析 を 行っ た.
そ の結 果,
参 加 者ge
(F
(1,
88)=
438,
p
<,
05),
およびプラ イ ム タイ プ (F
(3,
264
)=
13.
61,p
〈.
001)の 主効果が 有意で あっ
た.
ま た,
参 加者群 と プ ライム タ イ プの 交互作 用が有 意で あ っ た (F(3,
264)=
10.
98.p
く.
001),
こ の交互作 用にお け る単純 主効果 を検定 した結果,
音韻プ ラ イム 条件と意 味プライム条 件におい て,
参 加 者 群の効 果が有 意で あっ た (F
〔1.
352
);
11.
96,
p
<.
001;F(1,
352)=
4.
38,
p
<.
05).
ま た.
日本 語 母 語 話 者 群と中 国 語 母 語 話 者 群それ ぞ れに お い て,
プ ラ イム タ イ プの 効 果が有 意で あっ た (F(3,
264);
11.
13,
p
く.
001 ;F(3,
264)=
13.
45,
p
<.
001
),
L1
本 語 母 語話者で は音 韻プ ラ イム 条 件の 反 応 時 間が他の3
条 件よ り も有 意に短 く,
中国 語 母 語 話 者で は綴り プ ラ イ ム条件の 反 応時 間が他の 3条 件よ り も白意に短 かっ
た.
本 実 験が検 討しよ うと す る の は,
綴 りプ ラ イム条 件,
音 韻プ ラ イム 条 件,
意 味プ ラ イム条 件それぞれ と無 関 連 プ ラ イ ム 条件との 間で生 じ たプ ライミング効果の違いで あ る.
以下で は,
綴り プライム条 件,
音 韻プライム条 件,
意味プ ラ イム 条 件そ れ ぞ れ と無 関 連プ ラ イム条 件の反応 時 間の差を, 綴り プ ライ ミング効果, 音韻プライ ミン グ 効果,
意味プライ ミン グ効 果と呼ぶ こ とにする,
そ こ で,
凵本 語 母 語 話 者 群 と中 国 語 母 語 話 者 群の そ れ ぞ れの綴り プ ライミング効果,
音 韻プ ライ ミング効 果,
意味プライ ミ ン グ 効果にっ い て分 析を行っ
た,
両 群の綴 りプラ イ ミ ング効 果,
音 韻プ ラ イ ミン グ効 果,
意 味ブ ラ イ ミン グ効 果 をFigure
3 に示 す.
[]本 語 母語 話 者で は,
[f
韻プ ライ ム 条 件と無 関 連プライム条 件の 間に有 意な差が見 られ た.
す な わ ち,
音 韻ブ.
ラ イ ミング効 果は有 意で あっ た 〔F(1,
43
)=16,
80,p
<.
001
).
ま た,
綴 リプ ラ イ ミン グ効 果と 意味プ ラ イ ミ ン グ効 果も有 意で あっ た (F(L43
)=
16.
82〜p
く.
001 ;F〔1,
43)=
4.
34,
p
く.
05}.
また,
綴りプ’
ラ イ ミン グ効 果と意 味プ ライ ミン グ効果 よ り も,
音 舐ブ ラ イ ミン グ 効 果 がよ り大 き く見ら れ た {F
(2,131
)=8.
52,
p
く,
001
).
一
方,
中 国 語 母 語 話 者で は,
綴りプ ライム 条 件と無 関 連プライム条 件の間に有 意な差が見 られた.
す な わ ち,
綴 りプ ラ イ ミン グ効 果は有 意で あっ た が (F(1,
45
)=2LO4 ,
ρ<,
001
),
音 韻ブ ライミ ング効 果と意 味プラ イ ミン グ効 果は有 意で は な かっ た.
また,
綴 りプライ ミ ング効 果は綴りプ ライ ミング効果 や意 味プ ライ ミン グ効 300’
750 @口@ Chine Em
网細 ( 晝 ) 霍 F 。 劭 α 匡 DOrthopmNc P 岬c81
m
愚
市
c onca Pri弋ypeFigure 2, Response
times
for eachcondit
n
in the native Japanese and Chinese speaks
in Experim t D0 60 0 0 @0 0 0 5 43 2
1 ( 窪 )
E
選凵 三E=α 一1 」Chinese■
peneso 』 Orthographic Phonelogice
@
SementicFigure3
, Primingeffects
for Ohographic
, Phonological , Semantic primes i@the
native Japanese and Chinese speakein Expc
The Japanese Psychonomic Society The Japanese Psyohonomio Sooiety
6 基 礎 心 理 学 研 究 第 27 巻 第 1号 果よ りも大きく見ら れ た (
F
(2,137
)= 17.
6LP 〈.
001).
各 条 件にお ける誤 反 応 率につ い て も分 析を行っ た.
日 本語 母 語 話 者で は,
誤反 応 率は綴 りプ ラ イ ム 条 件が6.
5
%,
音 韻プ ラ イム条 件が5.
2
%,
意味プラ イム 条件 5,
3%,
無 関 連プ ラ イム 条 件4.
4% で あっ た.
中 国語母 語 話者で は, 誤反 応 率は綴リプ ラ イ ム条 件3.
7%, 音韻プ ライム条 件が 4.
1
%,
意味プライム条件5.
1
%,
無 関 連プ ラ イ ム条 件 6,
5% で あっ た.
日本 語 母 語 話 者と中 国 語 母 語 話者につ いて,
参 加 者ご とに各 条 件の誤 反 応 率 を 角 変 換し た値につ いて,
反 応時 間の場 合と同様に,
参加者 群,
ブラ イム タ イ プを 要 因と す る分 散 分 析を行っ
た.
その 結 果,
いず れの主 効 果 も有 意で は な か っ たが,
2
要 因の 交 互作 用が有意傾 向を示 し た 〔F
(3,264
)=2.
23 ,
p
〈.
1).
こ の交 互 作用におけ る単 純主効 果を検 定 し た結 果,
日本 語 母 語 話 者に おい て は ブ ラ イム タ イ プ の 効果が 有 意で は な かっ
た が,
中 国 語 母 語 話 者において プ ラ イ ム タイプの 効 果が有 意で あっ た (F
(3,264
>=6.
13,
pく,
001
〕,
綴 りプラ イム条 件が無 関 連プ ラ イム 条 件よ り も有 意に誤 反 応 率が 低か っ た.
ま た,
音 韻プ ラ イム条 件が無 関 連プ ラ イム条 件よ り も有 意に誤 反応 率が低かっ た.
考 察 日本語 母 語 話 者と中 国 語 母 語の 結 果を比 較した とこ ろ,
H 本 語 母語話 者の場 合,
音 韻プ ライム条 件は,
綴 り プラ イ ム条 件や意 味プライム 条 件より も反 応 時 間が有 意 に短 か っ た,
こ の 結果 は,
日本人英語学習者が英語単語 を処理する際に.
単 語認知の よ り早期に 音 繊情報が自動 的に活 性 化さ れ る こと を 意味 して いる.
これに対 して,
中 国 語 母語話者の 場 合,
綴 り プ ラ イム 条 件は,
音 韻プ ラ イム 条件や意 味プ ライム条 件よ り も反 応 時 間が有 意に短 かっ た.
こ の結 果は,
中国 人 英 語学習者が英語 単 語を処 理す る際に,
綴り情 報が単 語の認 知に 大き な役 割を果た して い ること を 示 唆 して いる.
これ らの結 果 か ら,
口本 語母 語 話 者と中国 語 母 語 話 者 が,
英 語 単 語 を 認 知 す る 際 に,
異な る処 理パ ター
ンを使 用 して い る こ と が分かる.
日本語母語話 者が英 語 学語 を認知す る際に は,
綴りプ ラ イ ミン グ効 果,
音 韻プライ ミン グ効 果,
意味プライミ ング効 果の すべ て が有 意で あっ た.
こ の結 果は,
日本 語 母語話 者が, 英 詰単語 を処理 す ると き,
綴 り 情 報,
音 韻 情 報,
意 味 情 報によ る促進効果を受け た こ と を意 味し て い る.
ま た,
目本 語 母 語 話者の音韻プラ イ ミ ング効 果は,
綴り プライ ミン グ効 果や意 味プ ラ イ ミング効 果よ りも顕 著で あっ
た.
こ の 結果 は,
「i
本語母語話 者が,
英語単 語 を処理 する際に,
音 韻.
清 報を 最 も利 用して いたこ と を示 してい る.
一
一
方,
中 国 語 母語話 者で は,
綴 りプ ライ ミングに よ る 促進効果の み が有 意で あっ
た.
こ の 結果 は,
中 国語母 語 話 者が英 語 単 語を処理する際に,
綴り情 報が 英 語単 語の 認 知を促 進した こ とを意 味し て い る。
また,
中 国 語 母 語 話 者の音 韻プライ ミン グ効 果と意 味プ ラ イ ミン グ効 果は 見られ な か っ た.
これら の結 果は,
中 困語母 語 話 者が英 語 単 語を処理する と き,
音 韻 情 報と 意味 情 報が ほ と ん ど 利用さ れ な か っ たこ と を意味し てい る.
円本 語 母 語 話 者と中 国 語 母 語 話 者の プラ イ ミ ン グ効 果 を 比べ て見る と,
日本 語 母 語 話 者は,
中 国 語 母 語 話 者よ りも音 韻プ ライミング効 果が大 き かっ た.
目本 語 母 語 話 者は,L2
英 語 単 語を処理 す る際に,
中 国 語 母 語 話者よ り も音 韻 情 報 を 利 用 して い るこ と が推 測で きる. 一
方,
中 国 語 母 語 話者は,
日本語母語話 者よ り も,
綴 りプ ラ イ ミ ング効 果が大き かっ た.
こ の こと か ら,
中国 語母語話者 が,
日本 語 母 語 話 者よ りも綴り情 報をよ り大き く利 用し て い ること が推測で き る,
綴り,
音韻,
お よ び意味によ る プ ラ イ ミング 効 果 を 比 較す る と,
両 群 共に意味プ ラ イ ミング 効 果 が 綴 り プライ ミン グ効 果 と 音 韻プ ライミン グ効 果よ りも小さ かっ
た.
つ ま り,
本 実 験で 用い た意 味プ ライ ム単 語が,
そ の次に 呈 示さ れ た ター
ゲッ ト単 語の 認 知を ほ とん ど促 進し な かっ た とい うこ とで ある.
こ の こ とは,
本 実 験で用い た プ ラ イム 呈 示 時 間の 200ms は,
参 加 者が プ ラ イム単 語 の意 味か ら 夕一
ゲ ッ ト単 語を連 想す る た め に は短す ぎ た のか もし れ な い こ と を意 味する.
すな わ ち,
本 実 験 1で の プ ラ イム単語の 呈示 時 間が短 す ぎる ため に,
L2 英 語 単語 を 認知す る際に,
その単語の意 味 情 報が十 分に活 性 化され な かっ
た とい うこと が考え ら れ る,
で は,
プ ライ ム 単語の呈 示 時 間 を もっ と長くすると,
単 語の意 味 情 報 が利用さ れる よ うになるの で あ ろ う か.
ま た,
プ ライム 単語の呈示 時 間を長く変 化するこ とによっ
て, 本 実 験 1 で得 られた結 果のバ ター
ン と異な る結 果が生じ るの であ ろ うか.
そこで,
実験2
で は,
プ ライ ム単語の呈示時間 を より長 く,
800ms に設 定 して,
両 群の英語単語の処 理パ ター
ンの特 徴を再 検 討 する こ とにする,
実 験 2
実 験 2で は,
実 験 1よ り も長い プ ラ イ ム 呈示 時 間 {800
ms )を用いて, 日本 語母 語話者と 中 国 語 母 語 話 者が 英語単語を 認知す る際の,
綴り情 報t
音韻 情 報,
お よ び,
意 味 情 報の利 用の特 徴 を比 較 する.
方 法 実 験 参 加者 参 加 者 は,
止常な 視 力 を もつ30
名のH
本 語 母 語 話 者と31 名の 中 国 語 母 語 話 者の2
群で あっ た.
彼 ら は,
実 験2
と は 異 な る参 加 者で あっ た.
両 群とNII-Electronic Library Service 王
・
阿 部:第t 言語の視 覚 的 単語 認 知の処 理パ ター
ン7
も,
年 齢,
教 育 歴,
英 語 習 熟 度の点で大き な 差異が ない よ うに選ばれた.
両 群の 英語習 熟 度の統 制にっ い て は,
実 験1
と同じ方 法で行っ
た.
目本 語 母 語 話 者 群は, 日本 の大 学 生と大 学 院 生であ っ て,
か っ,
日本の 「実 用 英 語 技能 検定 」2 級の者か ら選ばれた (平 均年齢 21.
5 歳,
英 語 学 習 経 験 平 均 10.
1年).
巾 国 語 母語話 者は,
中 国の大 学 生と人 学 院 生であっ て,
か つ,
中 国の 「全国 大 学 英 語 検定 」4
級の 者か ら選 ば れ た (平 均 年 齢25,
3
歳,
英 語 学 習 経 験 平 均 11.
76til).
な お,
日本語 母 語話 者群中の 2 名は,
「実 用 英 語 技 能 検 定 」の 結 果は 3級で あっ
た が,
そ の検 定を受 けた後に TOEFL を受 検して おり.
その点 数 が 450〜
507 点の範 囲 内に入る もの で あ っ た こ と か ら,
同範囲内の英語 習熟度を もつ と見な し , 参加 者に加え ら れ た.
材 料と装 置 実 験 1と同じ材 料と装 置を用いた.
手 続 き 実 験 1で 用い た プ ラ イム 単 語の呈 示 時 間を 800ms に変 更 し た.
ま た,
フ ィ ラー
試 行 を 実 験1
の216
試 行か ら 144 試 行に減 ら した.
こ の 144 フ ィ ラー
試 行は,
すべ て 単語一
非 単 語 試 行であ り,
ター
ゲッ トと な る非 単語がプ ラ イム 単語と綴り的に似て い る もの,
音 韻 的に類 似する もの,
お よ び関 連の ない もの の3
種 類か ら 成り立っ て い た (各 種 類につ き48 個 ).
ター
ゲ ッ ト試 行144
, フ ィ ラー
試行144
の計288
の 実 験 試行 は,4
セ ッ シ ョ ンに振り分け られた.
こ の他の手 続きは実 験 1 と同 じ で あ る.
結果 実 験 1と同 様に,
【E
反 応の みにっ い て反 応 時 間 と 誤 反 応率を分 析 し た.
各 条 件の平 均反 応時 間を Figure 4 に 示す.
各 条 件の反 応 時 間にっ い て,
参 加 者 群.
プ ラ イム タ イ ブを要因 と す る分散 分析を行っ た.
その結 果,
参 加 者 群 溜 脚 网(
筐)
。 EF 。29
の 。 = 0 0曲o騨 phio Phonol 噌ロ
81 S6眈lo C
肋I P而m6
Typo
Figure 4
、
Response times for each condition inthe native
Japanese
andChincsc
spcakcrs inExperiment
2.
(F
〔L59
)=28.
94,
p
く.
Ol
), お よ び ブ ライム タ イ プ (F
{3,
177)=
5.
25.
p
<,
Ol)の主 効 果が有 意であっ た.
また,
参 加 者 群と プ ライム タ イ プ の 交砿作 用は有意 で あっ
た (F〔3,
177)=
4.
77,
p〈.
Ol)。
こ の交彑作 用におけ る単純主 効 果を検 定し た結 果,
4 プ ラ イム条 件に お い て,
参 加 者 群の 効 果 が台意で あっ
た 〔F(1.
236)=
9.
59,
p<,
Ol;F(1,
236 }=
28.
92,
p
<,
01;F〔1,
236}=
30.
56,
p
く,
Ol;F(1,
236 }=26.
85,p
<.
0
}).
ま た,
目本 語 母 語 話 者群と巾 国 語 母 語 話 者群そ れ ぞ れにおいて,
プ ライム タイ プの効 果が有意 で あっ’
た {F(3,
177)・…
10.
46,
P
く.
01;F(3,
177〕二
8.
34,
p
く.
Ol
),
日本 語 母 語 話 者で は音 韻プ ライム 条 件の反 応 時 間 が 他の 3条 件の 反 応 時 間よ りも有 意に壇く,
中 国 語 母 語 話 者で は綴り プ ラ イム 条件の反 応時 間が他の3
条 件の 反応時間よ り も有意に短かっ た.
次に 凵本語母 語 話 者 群と中 国語母語話 者群の それ ぞ れ の プ ラ イ ミ ング効 果にっ い て分 析を行っ た.
両 群の綴 り プ ラ イ ミン グ効果,
音 韻プ ラ イ ミング効果,
意味プ ラ イ ミン グ効 果を Figure 5 に示す.
日本語母語話 者で は,
音 韻プ ライム条 件と無 関 連プライム 条 件の間に有 意な差が 見ら れ た.
すな わ ち, 音 韻プ ラ イ ミン グ効 果はfJ
.
意で あっ
た (F
(1,29
)=18,
79,
p<,
001
),
綴リ プライ ミン グ効 果,
意 味プ ラ イ ミン グ効 果は ともに有 意で は なか っ た.
ま た,
綴りプ ライ ミング効果 や意 味プ ライ ミン グ効果 よ り も,
当.
韻プ ラ イ ミン グ効果の方が大き かっ た (F{2,
89)=
11.
95,
p
く、
OOI).一
方,
中 圓 語 母 語 話 者で は,
綴 りプ ラ イム条件と無 関 連プ ラ イム 条件の 間に有意 差が 見ら れ た.
す な わ ち,
綴 りブ ライ ミ ング 効 果 が 行 意であ っ た (F
{L30
)=31,
72.
p
く.
OOI ),
しか し,
音 韻プ ライミ ン グ効 果と 意味プライ ミン グ効 果は 共に有.
意で は な かっ
た.
ま た,
音韻プ ラ イ ミン グ効 果や意1味プ ラ イ ミン グ効 果よ り も,
綴 りプ ラ イ ミング効 果の ほ う が大き かっ た (F
〔2,92
〕 = 4.
21,
p
〈,
05
).
10i 60
?
5・ : 408 ‡ 30 四 ぎ20 :…
10 庄 o−
10』
口 @Ch■Japanes inesOrtho唇raphic Pho 鬥ologicel Som 置nt
Figure
5 , Priming effects for Orthographi
C
Phonologica1 , Semantic primes in the nate
Japaneseand
Chincse spcakersin
Expe− ment
The Japanese Psychonomic Society The Japanese Psyohonomio Sooiety
8
基礎心 理学研究 第27
巻 第1
号 誤 反 応 率にっ い て も分 析 を 行っ た,
日本 語 母 語 話 者で は,
誤 反 応率は綴り プライム 条件が 2.
8%,
音 韻ブ.
ライ ム 条 件が3.
2%,
意 味プ ライム条 件 4.
1%,
無 関 連プ ラ イ ム 条件 3.
8% で あっ た.
中国語母語 話者で は,
誤 反 応 率 は綴 り プ ラ イ ム 条 件が 2.
2%,
音 韻プ ラ イム 条 件が 3,
6%,
意 味プ ライ ム条 件3.
2%,
無 関 連プ ラ イ ム条 件 3.
5% で あっ た.
参 加 者ご と に各条 件の 誤反 応 率を角 変 換 し た値にっ いて,
反応時 間の場 合と同 様に, 参 加者群 と ブラ イム タイ プ を要 因と す る分 散 分 析を行っ た.
その 結果,
要 因の 主効果 と交 互 作 用の いず れ も有 意で は な かっ た.
考 察 本実験の結果は, 実験1
の 結 果と同様,
日本語母語話 者が英語の単 語を認知 ずる と き,
音 韻プライム条 件の反 応 時 間が 他の 3 条 件の反 応 時 間よ りも有 意に短 い こ と を示し た.
この結果は,
音韻 情報の活性化が綴り情報や 意味 情 報の活 性 化より も早く行わ れ た こと を 意味 してい る.
また,
そ こ で は音 韻プ ライミン グ効 果は見ら れ た が.
綴り プライ ミン グ効 果 と意 味プ ライ ミング効 果は見 られ な か っ た.
こ の こ と は,H
本語 母 語話 者の英語の 単語の 処理 におい て,
音 韻情 報が最 も利 用さ れて い ること を示 唆 して い る,
すな わ ち,
凵本 語 母 語 話 者は,
英 語 単 語を 認知す る際に, 常に単語の 音を音声化し な が ら その意 味 を 理解 する傾 向が ある と考え ら れ る,
一
方, 中国 語母語話者で は,
綴りプ ラ イム条 件の 反 応 時 間が他の3
条 件の反 応 時 間よ りも有 意に短かっ た,
こ の結 果は,
綴りの活 性 化が音 韻や意味の 活 性 化よ り も早 く行わ れ たことを 意 味して い る.
また,
綴 りブ ラ イ ミン グ促 進 効果 は見 られ た が,
音 韻プ ライ ミングと意 味プ ラ イ ミン グ促 進 効 果は見ら れ な かっ
た.
こ の 結 果は実 験1
と同じ傾 向 を 示 して お り,
巾 国 人 英 語 学 習 者に おい て は,
綴り 情 報 が 英 語 単 語の 処理 を促 進 して い ることを意 味して い る.
本 実 験で は,
実 験 1よ り も長 い プ ラ イ ム呈 示 時 間 (800 rns)を用い ることに よ っ て,
意 味 情 報が1
一
分に活 性 化さ れ,
両 群 共に有 意な 意味プライ ミン グ効 果が 見 ら れ るよ うにな ること を予測 した が,
結 果は両 群 共に そ うな ら な かっ た.
こ の原 因と して, 本 実.
験の 意味プライム単 語とター
ゲ ッ ト単語の対に,
意 味 的 関 連 性の弱い対 も含 ま れていた た め, 有意 な 意 味プ ラ イ ミング効 果 が 生 じな かっ た とい う口∫能性も考え ら れ る.
そ こで,
令 単 語材料 の中か ら,
意 味プ ラ イム単 語とター
ゲ ッ ト単 語の意 味 的 関 連 性の低い対を除 外 し,
高い対のみで 意 味プ ラ イ ミン グ効果 が 見出さ れ る か,
分析 し 直 して み るこ とに し た.
ま ず
,
「The Edinburgh Association Thesaurus 」(Kiss,
Armstrong
,
Milroy,
& Piper,
1973 )を用い,
全 36 語のタ