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背部痛などがあげられる 詳細な問診が大切で 臨床症状を確認し 高い確率で病気を診断できる 一方 全く症状を伴わない無症候性血尿では 無症候性顕微鏡的血尿は 放置しても問題のないことが多いが 無症候性肉眼的血尿では 重大な病気である可能性がある 特に 50 歳以上の方の場合は 膀胱がんの可能性があり

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Academic year: 2021

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おしっこが赤い。どのような泌尿器科疾患があるの?

埼玉医科大学病院 泌尿器科 朝倉 博孝 1. はじめに 血尿は、肉眼的には認識できないが、検査で尿中に血液を認める場合と肉眼 的におしっこが赤いという臨床症状でわかる場合がある。前者を顕微鏡的血尿 (顕微鏡でわかる)、後者を肉眼的血尿(肉眼で赤くみえる)という。一般的に は、顕微鏡的血尿よりも、肉眼的血尿の方が重大な病気がかくれている可能性 が高い。また、肉眼的に尿が赤い場合が、すべて血尿というわけではない。水 分が十分に補給されなくて濃縮尿である場合や、食べ物や内服薬の影響で尿が 赤く見えて、肉眼的血尿と間違えることもある。本日は、血尿をおこしうる泌 尿器科疾患について、診断・治療を中心に説明する。 2. 血尿について 血尿は、顕微鏡的血尿と肉眼的血尿に分けられる。よく、人間ドックや健診 で指摘される血尿は、顕微鏡的血尿である。顕微鏡的血尿は、肉眼的には透明 で、顕微鏡で観察してなんとかみえる程度の軽い血尿である。顕微鏡的血尿を 呈する代表的な泌尿器科疾患として、尿路結石があげられる。顕微鏡的血尿の 場合は、一般的に命にかかわるような重大な疾患である可能性は極めて低い。 私の経験では、顕微鏡的血尿の 90%以上は、放置しても問題がない。しかし、顕 微鏡的血尿とタンパク尿が同時に示されると内科的な腎臓病疾患が潜んでいる 可能性はある。また、顕微鏡的血尿に膿尿と細菌尿が同時に検出されれば、急 性膀胱炎と診断でき、治療の対象になる。 また、血尿は、血尿所見に何らかの臨床症状を伴うかどうかで、すなわち、 症候性血尿と無症候性血尿にわけることができる。泌尿器科疾患の特異的な臨 床症状としては、排尿時痛、頻尿、排尿困難などの下部尿路症状や陰嚢痛、側

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背部痛などがあげられる。詳細な問診が大切で、臨床症状を確認し、高い確率 で病気を診断できる。一方、全く症状を伴わない無症候性血尿では、無症候性 顕微鏡的血尿は、放置しても問題のないことが多いが、無症候性肉眼的血尿で は、重大な病気である可能性がある。特に、50 歳以上の方の場合は、膀胱がん の可能性があり、慎重に対応する必要性がある。次に、血尿を呈する可能性の ある疾患の診断について説明する。 3. 診断について:臨床症状により、かなり診断はしぼられる。 (1) 尿路感染症:急性前立腺炎、急性膀胱炎などの下部尿路感染症の場合は、 排尿時痛、頻尿、尿意切迫感を呈する。急性精巣上体炎では、精巣上体の痛み、 硬結を触知する。これらの下部尿路感染症のうち、急性膀胱炎だけは、通常は、 発熱を伴わないのが特徴である。代表的な上部尿路感染症である急性腎盂腎炎 の場合は、39℃程度の発熱と背部痛や叩打痛を呈する。尿路感染症の検尿所見 は、血尿を認めることもあるが、白血球や細菌の存在の証明が必須である。慢 性尿路感染症の場合は、症状は軽いこともあり、糖尿病などの基礎疾患がある 場合や無症候性の場合は、特に治療を必要としないこともある。 (2) 尿路結石:通常は、全く症状はないが、一旦、発作状態になると、強烈な 背部痛あるいは下腹部痛が出現する。尿路結石が、尿管を通過し、膀胱近くま で落ちてくると、尿意切迫感や頻尿などの下部尿路症状を呈することがある。 発作時には、血尿を呈することが多い。画像診断により、尿路結石が証明され、 確定診断となる。 (3) 前立腺肥大症:前立腺肥大症が血尿の原因なる可能性は低いが、男性の肉 眼的血尿の原因となることがしばしばある。一般的に、排尿困難、頻尿、排尿 後滴下などの下部尿路症状を呈し、直腸診などにより、前立腺肥大が証明され ば、前立腺肥大症と診断できる。前立腺肥大症は、検査所見よりも、むしろ、 臨床症状により診断が確定されることが多い。 (4) 悪性腫瘍:無症候性肉眼的血尿が、尿路上皮腫瘍(腎盂癌、尿管がん、膀胱 がん)の唯一の臨床症状である事がある。腎がんの場合は、腎盂に浸潤するなど

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進行すると、血尿を呈することがある。前立腺がんは、最近、前立腺特異抗原 (Prostate Specific Antigen)の普及に伴い、早期診断が可能となった。しかし、 前立腺がんの場合は、膀胱内浸潤など進行癌にならないかぎりは、血尿を呈す ることはない。悪性腫瘍の診断は、画像診断によりなされ、組織診断(病理診 断)により確定される。 (5) その他:尿路外傷、特発性腎出血、腎梗塞、腎静脈血栓症など、 4. 治療について 次に、各疾患についての治療法についてのべる。 (1) 尿路感染症:一般的には、抗生剤投与。しかし、慢性尿路感染症の場合は、 必ずしも、治療の対象になるとは限らない。また、糖尿病、尿路結石、前立腺 肥大症など基礎疾患があり、尿路感染症が存在する場合は、基礎疾患の治療を 優先させる。 (2) 尿路結石症:強烈な側背部痛など結石発作の場合は、除痛を目的とした鎮 痛剤投与を優先させる。時には、麻薬を用いることもある。結石そのもの治療 としては、結石成分と大きさにより治療方針が異なる。最も頻度の高いカルシ ウム含有結石は溶かすことはできない。しかし、溶解はできなくても、増大阻 止をする薬物はある。溶かすことのできる結石は、尿酸結石である。また、先 天代謝異常であり、頻度の低いシスチン結石も溶かすことはできる。結石が5 mm以下であれば、60-90%、5-10mm 程度あれば、40-60%くらいの確率で自然排 石する。結石が 1cm 以上になると、自然排石が難しくなり、積極的な治療の対 象となる。従来は、手術による結石摘出が行われていたが、最近は、切らなく ても、内視鏡で結石を摘出することが可能である。結石の大きさが 2cm 以下で あれば、体外衝撃波による治療が推奨される。2cm以上の結石であると、残 石率が高くなるので、より確実に結石を摘出する、経尿道的結石摘出術(TUL)や 経皮的結石摘出術(PNL)の適応となる。尿路結石により、尿路の通過障害がおき、 水腎症を呈する場合には、ステント挿入あるいは腎瘻造設する。また、腎盂腎 炎などの尿路感染症の原因になっている場合は、抗生剤投与する。

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(3) 悪性腫瘍:治療は多岐にわたるので簡単に述べる。 1)膀胱がん:経尿道的膀胱腫瘍切除術、膀胱摘出+尿路変更術、抗がん剤、 放射線療法 2)前立腺がん:前立腺摘出術、放射線療法、ホルモン療法、抗がん剤 3)腎盂がん・尿管がん:腎尿管摘出術、抗がん剤、放射線療法 4)腎がん:腎摘出術、分子標的薬、インターフェロン (4) 前立腺肥大症:血尿の原因になる場合は、5α還元酵素阻害剤を使用して、 前立腺を縮小させると血尿を認めなくなることがある。しかし、前立腺肥大症 の治療の目的は、症状をとることが目的である。排尿症状には、α-blocker を 投与し、頻尿など蓄尿症状が改善しない場合は、抗コリンン剤をかぶせる。そ して、薬物療法では効果がなく、大きな前立腺肥大症の場合は、経尿道的前立 腺切除術(TURP)を施行する。 (5) その他:多岐にわたる治療。省略。 5. 日常生活での注意点 「潜血陽性」というように、検査値に異常があると、重大な病気ではないか と心配なさる方が多いが、かならずしも重大な病気が潜んでいるとは限らない。 その意味するところは、何らかの病気が潜んでいる可能性があるので、念のた めに、精密検査をした方がよいということである。特に、年齢が高くなるほど、 検査所見に異常がでるのは、あたりまえで、それなりに、体がうまくバランン スを取って支障をきたさなく機能させていて、問題になることは少ない。 いわゆる検診で指摘される顕微鏡的血尿だけでは、治療の対象になるような 重大な病気である可能性は極めて低い。しかし、肉眼的な血尿、特に、高齢者 で、無症候性肉眼的血尿である場合は、膀胱がんなどの悪性腫瘍が存在してい る可能性があるので、できるだけ早く、泌尿器科専門医を受診した方がよいで あろう。最近、脳梗塞あるいは冠動脈疾患、冠動脈ステント挿入されて抗凝固 剤を内服している患者さんも散見され、血尿の原因が抗凝固剤ということもあ る。そのような場合は、支障がない限り、抗凝固剤を減量してもらったりする。

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いずれにしても、血尿がある場合、特に、肉眼的血尿を認める場合には、腎臓 内科・あるいは泌尿器科を受診することを推奨する。

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