1 市政を取り巻く状況
(1) 人口減少社会の到来
我が国の人口は、平成 17 年に戦後初めて前年を下回った後、増減を繰り返してき
ましたが、平成 23 年に大きく減少しました【図 1】
。
本市においても、近い将来人口が減少局面に入り、平成 17 年から平成 47 年まで
の 30 年間で本市人口はおよそ1割減少すると推計されています。特に生産年齢人口
の減少は大きく、30 年間でおよそ 2 割減少すると推計されています【図 2】
。
生産年齢人口の減少は、総所得の減少を通じて、税収の減少につながると考えら
れます。
本市においても、市税収入は平成9年をピークとして近年伸び悩んでいるなかで、
今後、人口減少の要因も加わることから、将来的に税収が大幅に改善することは期
待できないところです【図3】
。
124
125
126
127
128
129
210
212
214
216
218
220
222
224
226
228
平成10年 平成11
年
平成1
2
年
平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17
年
平成18
年
平成19年 平成
20年
平成
21年
平成
22
年
平成
23
年
百万人
万人 名古屋市の人口の推移
名古屋市人口(左軸) 全国人口(右軸)
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
平
成
4
年
度
平
成
5
年
度
平
成
6
年
度
平
成
7
年
度
平
成
8
年
度
平
成
9
年
度
平
成
1
0
年
度
平
成
1
1
年
度
平
成
1
2
年
度
平
成
1
3
年
度
平
成
1
4
年
度
平
成
1
5
年
度
平
成
1
6
年
度
平
成
1
7
年
度
平
成
1
8
年
度
平
成
1
9
年
度
平
成
2
0
年
度
平
成
2
1
年
度
平
成
2
2
年
度
億円
名古屋市の市税収入の推移
0
50
100
150
200
250
平成17
年
平成22
年
平成2
7
年
平成32
年
平成37
年
平成4
2
年
平成47
年
万人 名古屋市の人口の将来推計
人口
生産年齢
人口
(全国人口は平成22 年国勢調査による推計人口)
【図 1】
【図 2】
(国立社会保障・人口問題研究所『日本の市区町村別将来推計人口』
(平成20 年 12 月推計)による)
H17:151 万人
H47:123 万人
約2 割減
H17:222 万人
H47:205 万人
約1割減
【図 3】
H9 がピーク
(各年度歳入決算額による)
2
-(2) 超高齢社会の到来
平成23年の本市の人口は226万人を超えています。そのうち65歳以上(高齢者)の
人口は約48万人となっており、本市の高齢者人口の割合(高齢化率)は、
「超高齢社
会」とも言われる21%を超え、21.4%に達しています
(平成22年国勢調査を基礎とした推計)
。
高齢者人口は今後も急速に増え続けると推計されており、平成47年には、本市の
高齢者人口は約63万人に達する一方【図4】
、総人口は約205万人にまで減少すること
から、高齢化率は約31%に達する見込みとなります【図5】
。
すなわち、現在、すでに、およそ「5人に1人」が高齢者となっていますが、25年
後には、およそ「3人に1人」が高齢者になると推計されています。
高齢者人口の増加は、医療費を始め、高齢者福祉にかかる支出の増大をもたらし
ます。後期高齢者医療費の増加が予想されるとともに、75歳以上になると要介護の
認定を受ける人の割合が大きく上昇することを考えると
(平成23年度版高齢社会白書30頁)
、
介護に係る支出の増大も見込まれます。さらに、65歳以上人口における生活保護受
給者の割合は、全人口に占める生活保護受給者の割合よりも高くなっており
(平成23
年度版高齢社会白書24項)、
これらの施策に必要となる費用の急激な増加は避けられません。
本市においても、すでに、医療費の助成や生活保護に要する経費などの扶助費は、
増加を続けています【図6】
40
60
80
100
120
140
160
180
200
平成1
2
年度
平成13
年度
平成14
年度
平成15
年度
平成16
年度
平成17
年度
平成18
年度
平成19
年度
平成
20
年度
平成
21
年度
平成
22
年度
名古屋市の主な性質別歳出の推移
扶助費
公債費
人件費
投資的経費
0
10
20
30
40
50
60
70
平成17年 平成22年 平成2
7
年
平成32年 平成37年 平成4
2
年
平成47年
万人
名古屋市の高齢者人口の将来推計
65~74
歳人口
75歳以
上人口
(国立社会保障・人口問題研究所『日本の市区町村別将来推計人口』
(平成20 年 12 月推計)による)
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
30.0
平成17
年
平成22
年
平成2
7
年
平成32
年
平成37
年
平成4
2
年
平成47
年
名古屋市の高齢者人口割合の将来推計
高齢者人
口割合
75歳以上
人口割合
(国立社会保障・人口問題研究所『日本の市区町村別将来推計人口』
(平成20 年 12 月推計)による)
%
【図 4】
【図 5】
H17:24 万人
H47:28 万人
約1.2 倍
H17:18.6%
H47:30.7%
【図 6】
(「平成23 年版名古屋市の財政」による(普通会計決算))
H12から比較
すると約2倍
(平成12 年度を 100 とした場合の推移)
H17:17 万人
H47:36 万人
約2 倍
H17: 7.8%
H47:17.3%
(3) 「個」の時代の到来
社会経済環境の変化や価値観の多様化により、市民のライフスタイルや市民ニー
ズも多様化しています。
本市においても、未婚化・晩婚化が進むとともに【図7】
、平均世帯人員は戦後一
貫して減少し、単身世帯は増加しています【図8】
。
単身世帯は、世帯員相互の支援が働かないことから、相対的に失業・疾病・災害
といった社会的リスクに弱いとされており、特に高齢単身世帯は、その他の世帯に
比べ、行政による支援がより必要となります。
(4) 公共施設の老朽化
本市の所有する公共施設は、昭和40年代から60年代を中心に建設が行われたため、
老朽化が進んだ施設が多くなっています。
市設建築物の建築経過年数をみると、30年以上を経過した建築物が全体の50%を
超えています(平成22年度末現在)
【図9】
。
これらの施設の更新等に要する施設整備費は、長寿命化を進めた場合でも、概ね
40年間で約2兆9,900億円が必要と見込まれており、単純に平均すると、1年につき約
748億円を要することとなります。
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
昭和
50
年
昭和
5
5
年
昭和
60
年
平成2年 平成7年 平成1
2
年
平成17年 平成22年
%
名古屋市の30~39歳男女の未婚率の推移
男性
女性
【図 7】
(各年国勢調査における配偶関係別、年齢5歳階級別人口より作成)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
110
昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年
万世帯
名古屋市の一般世帯数の推移
4人以上世帯数
3人世帯数
2人世帯数
単身世帯数
(各年国勢調査における世帯人員別一般世帯数より作成)
単 身 世 帯
が増加
【図 8】
0
100
200
300
400
500
600
昭和
3
5
年
昭和
4
0
年
昭和
4
5
年
昭和
5
0
年
昭和
5
5
年
昭和
6
0
年
平成
2
年
平成
7
年
平成
12
年
平成
1
7
年
平成
2
2
年
市設建築物の建設年度別延床面積
千㎡
以前
【図 9】
(「名古屋市アセットマネジメント推進プラン」による (平成22 年度末データ))
築 30 年以上
50.1%
4
-(5) PPP(官民連携)の浸透
行政と民間事業者等がパートナーシップを組んで公共サービスを提供する手法と
して、PFIや、公の施設の管理に関する指定管理者制度の導入などの制度改革が
進められ、PPP(Public Private Partnership)の考え方が浸透してきました。
本市においても、平成15年3月に「公的関与のあり方に関する点検指針」を策定し、
民間委託や民営化を進めてきており、指定管理者制度については、平成23年度末現
在で438施設に導入しています【図10】。
もはや、公共サービスを提供し得る者は、必ずしも行政機関のみではないという
認識が定着しつつあり、制度的にも、実態としても、民間が公共サービスを担う場
面が広がってきています。
※PFI:公共施設の建設や維持管理、運営を民間の資金や知識・知恵及び技術的能力を活用して行う制度。
※指定管理者制度:地方公共団体の指定を受けた者が「指定管理者」として公の施設の管理運営を行う制度。使
用許可を含めた包括的な管理運営を任せることが可能になるとともに、民間事業者を含めた多様な管理運営主
体の選定が可能となった。
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度
名古屋市における指定管理者制度導入施設数
【図 10】
(各年度末の導入済施設数である)
2 市役所の自己改革
行政運営にあたっては、常に組織及び運営の合理化に努め、最少の経費で最大の効果
を挙げるようにしなければなりません(地方自治法第2条)。
さらに、市政を取り巻く状況を踏まえ、今後、確実に到来する本格的な人口減少社会
に適応した行政運営への転換を図りながら、超高齢社会や「個」の時代の到来などに対
応していくためには、徹底した行政改革に取り組む必要があります。
本市では、これまで、「新たな定員管理計画」「外郭団体のあり方」「外郭団体の徹底
検証」
「名古屋市アセットマネジメント推進プラン」
「名古屋市債権管理計画」等を策定
し、これらの計画等に基づき内部の改革に取り組んできました。
このほかにも、様々な視点により事務事業の見直しに取り組んできました。
今後も、最少の経費で最大の効果を挙げるため、引き続き、市役所の自己改革を推進
します。
(1) 職員定員の見直し
本市では、簡素で効率的な行政運営に向けて、職員数の削減に取り組み、平成13
年度から平成24年度の11年間で、定員を5,929人純減しています【図11】
。
また、外郭団体等への派遣職員についても、平成13年度から平成24年度の11年間
で、714人純減しました。
この定員削減を始めとした取り組みにより、職員の人件費については平成21年度
比で、10%削減しました。
今後も、
「新たな定員管理計画」に基づき、平成21年度職員数に対し、平成25年度
当初予算までに職員数を1,400人以上純減するとともに、定員の見直しにあわせて役
職者数を見直すなど、簡素で効率的な行政運営に努めます。
【図 11】
人
24,000
25,000
26,000
27,000
28,000
29,000
30,000
31,000
32,000
平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度
人 名古屋市における定員削減の取り組み
(各年度4月1日現在の予算定員による。なお、平成18 年度に市立大学の独立行政法人化により、市立大学の予算定員 1,458 人全てを見直した。
過去における予算定員の最大は昭和55 年度の 33,390 人)
31,051
11年間で
5,929人純減
25,122
【図 11】
6