2
8
(
9)
本邦 の温泉沈澱物,
特 に放射性沈澱物 について
東京大学理学 部化学 教室斉
藤
信
房
本邦 において見出 され る温泉沈澱物には多 泉,湯 抱 温 泉,温泉津温泉,兵庫県 有馬温 くの種類があるが, これ らの うちには通常の 泉,山梨県 増富鉱泉等に 見 出 さ れ た 沈 澱 岩石土嚢の放射能に比較 してはるかに強 い放 物については,多数の研究が ある.沈澱物に 射能を示す沈澱物が存在す る. とくに鳥取県 含有 され る 放 射 性 元 素 の うち, ラジウム 三朝温泉,秋 田県 玉川温泉,島根県 池 田 鉱(
Ra-
2
2
6
)
を定量 した結果は第1
表の ごとく 第 1表 放 射 性 温 泉 沈 澱 物 地 名 温 泉 名 主 成 分R
a含量2 (101
2
g/
g)
三
玉 池 田 湯 抱 増 富 有 馬 温 泉 津0
T R
泉 松 原 の 湯 湯 川 底 ′′ 池田鉱泉No
.
1
′′ 池 田鉱泉No
.
2
池田鉱泉No
.
4
池田鉱泉No
.
8
湯 抱 温 泉 ′′ 津 金 楼 中 の湯 津 金 楼 下 の湯 栃 久 保No
.
3
津 金 楼A2
津 金 楼A
3 ′′ 有 馬 新 温 泉 温 泉 津 温 泉MnO2
Fe
(OH)3(
Ba,
Pb)Soヰ
(
Ba,
Pb)S(
)
4
Fe
(OH)3CaC
O3Fe
(OH)3Fe
(OH)3Fe
(OH)3CaC
O3CaC
O3Fe
(OH)3,
CaC
O3Fe
(OH)3,
CaC
O3Fe
(OH)3,
CaC
O。Fe
(OH)3Fe
(OH)3,
CaC
O3CaC
O3Fe
(OH)3Fe
(OH)31
1
8
0
0
6
7
0
0
1
2
2
0
6
0
8
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-
2
5
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1
0
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1
志 学い* 峯1)* 那 須1)* 志 学 元 湯 峯 温 泉 那 須 元 湯 (参考)Aus
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2
註 1)半田 を付 した ものは通常 の沈澱 物で, と くに著 しい放射能 を示 さぬ もの. 参考 のために こ ゝに併 言己して あ る・ 2)ラジウ ム含量 が多数 の試 料 につ き測定 され てい る もので は最 高値 を採用 し, 測定 値 の範 囲 を カ ツ コ中 に示 した.本邦の温泉沈澱物,特に放射性沈澱物について
であって,最高10 8gRa/gの含量 が示 され る.
これ ら放射性沈澱物の化学組成 はFe(OH)3, またはCaCO。を主 とす るものが多いが,玉
川温泉の沈澱物は北投石 と名付 け られ るもの で (Ba,Pb)
S
O。の組成を持 ち,三朝OTR泉に産す るものはMn02の組成を持っ て い る.これ らの うち,筆者がはじめて発見研究 した ものは,三朝温泉 OTR泉の沈澱物であ って,昭和24-25年にかけて当時岡山大学放 射能泉研究所に勤務 していた芦沢唆君 ととも に三朝温泉の地球化学的研究 を行 っている間 に発見 した ものである.当時知 られていた放 射性沈澱物 (温泉 よ り沈澱 中の)には.Mn02 を 主 成 分 とす るものは見 出 されなかったの で,このOTR泉沈澱物 を化学分析 し,さらに 含有 され る放射性元素の定量を行 った結果, 第2表 および 第 3表 に 掲 げる結 果が得 られ た.沈澱物の主成分 はMn
O
2・ⅩH20ではある が, このほかA120,,Fe203,Si02等 も相当 に含 まれ,またCu,Zn,Ni,Co等 の微量 が ジチゾンを使用す るアル ミナクロマ トグ ラ フ法によ り見 出 され, さらにSn,Pb,Bi, 第2表 OTR泉沈澱物化学分析 29 Mo,Cr,Ni,Be,Ti,Baなどの存在 が 分 光分析 によ り確 め られた.放射性元 素 は U-238,Ra-226,P0-210,Th-232,Ra-224 (ThX)について定量 を行 ったが,U-238と その壊変生成物,Th-232と その壊変生成物 の間には,放射平衡が 成 立せず,Ra-226は ウランとの平衡塁に比 して約102倍,Ral224 は トリウムとの平衡量に比 して 約104倍 に及 ぶ量が含有 されている.最近, ウラン資源探 査のため,鉱 山地得その他における岩石鉱物 その他の放射能 を調査することが行 われてい るが, こ ゝに述べ る様 な温 泉 沈 澱 物のよ う 第3表 OTR泉沈澱物中の放射性元素 C/g U-238 Ra-226 P0-210 Th-232 Ra-224(ThX) 2.09×10 10 1.18×10 18 7.43×10 9 5×10ー12 2.87×10 8 微量化学成分 (分光分析)Ba,Sn,Pb,Bi,Mo,Cu,Cr,Ti,Ni,Be.
に,二次的に沈澱生成 した ものでは,放射能 (grossactivity)が大 きくて も, ウラン 自 体 はあま り含有 されず,その壊変生成物であ るラジウムその他が主 として合有 され ること も多いか ら,注意 を要する. ウラン資源探査 のためには, 目的試料の放射能の値に とらわ れ ることな く,必ず ウラン白棒の化学分析 を 行って,試料の評価 をなすべ きである. これ らの沈澱物が如何 なる速度 で,温泉 水 よ り沈澱 して行 くかを推測す るのは きわめて 困難 であるが,筆者は,秋 田県玉川温泉 に産 す る北投石につ き,沈澱速度の推 定 を 試 み た.比較的年令の若い と考 え ら れ る (200年 以下)北投石の成層では,成 層 の 上 部 (水 面か ら考 えて)か ら下部に至 る に 従 っ て,
30 斉 藤 信 房 Ra-226/Pb1210の 比 は変 化 し,つい に一定 に達す るが,これは上部で はRa-226と Pb-210との間に放射率衝が成立 していない の に 対 し,下部 (上部よ り年令の占い)で は両者 の間に卒衝の成立 してい ることを示す もので ある. この事実 を利用 して,北投石の沈澱速 乾を推定 した結果は,東京大学 の酒井均君が 北投石中のThX/Ra-226比の変化か ら求 めた 沈澱速度 とほぼ等 しい 結 果 を得た .(詳細 は 別に学会誌に発表す る予定につ きこ ゝには省 暑す る). 質 疑 応 答
梅本 (岡 山大) Layerをはがすtechniqueは.
斉藤 上 か らけづ って行 く・ そ して あつみ は 目方 をはか って きめて行 く. 梅 本 縞 状 の層 の比重 に差 はあ るか. 斉藤 あま りない.色 は微量成 分の ちが いに よる. 湊 (東 大) 沈澱 と主成 分 の関係 は ど うか. 斉 藤 Raで はmodeltestがで きる.Fe(OH)8につ きpH及塩 をか えてや られ てい る・ NaClが多 い ときはあ ま りくっつか な い (中井.岩 崎氏 の実験)Mn02はRaを1000/a 近 く共 沈 す る.Fe質,Mn質 の もの はRaを濃縮 し,Ba,PbはRaを沈澱 させ る・珪華 (SiO2・XH20)の場合 はあま り沈澱 の方へ は行 か ない. 湊 北 投石 の成 長 と岩石 の侵 蝕 は ど うなっ てい るか. 斉藤 Opal化 した ところをは さんで北投 石 がつ くが, そ の 厚 さ は は か りに くい
・
「藻」 に activityが あ り, それ が沈澱 か藻 自身 に よるのか はわか らぬ.ゲルに くるまれ ると閲歴 があ る.sedimentationrateは仮定 が多 く又 microstructureには問題 があ る と思 う・ 坪 井 (岡 山大) Sedimentationrateとい うよ りもむ しろprecipjtationrateとい う万 が よ くはないか. 斉藤 Precipitateだ けで もな いので む しろ成長速度 とすべ きだ ろ うか. 厚 さの増 加 を表す もので重 畳増 加で は ない. 岩 生 (東 大) 我 が国 では水 圏に activityの多 い ものが多 い特 赦 が あ る と言 われ たが, その他 に も 特 徴な ことが あ りますか・ 斉 藤 他 の微 量成 分で はむ しろ外 国の仕 事 が充 分で な く比較 が むつか しい・ 黒 田博士 が アメ リカに行 かれ たの もアメ リカ- 日本 の学 術 を入 れ る手 助 けの よ うな もの で あ る. 初田 (京 大) 出来 た ものが又 とけ ることはないだ ろ うか・又台湾の もの も気 にな る・ 斉藤 中側 で は とけない と仮定 してい る. オー ス トリヤの人 で海底土 で はRaが うご くといっ て い る人 が あ る. Microstructureについての correctionもいれ て行 きたい. 初 田 我 が国での水 圏での特 徴 は,岩石 圏での特徴 と何 か関 係 はあ るのか. 斉 藤 岩石 圏 は放 射能 的 にはnormalで あ る. 二次 的 な ものに特 徴 が あ り, それが水 圏 に 反 映 してい る もの と思 う. Raが あ るがUが ないの も問題 で あ る.両者 の分 れ る二次的 な作用 が 問題 で あ る.
本邦 の温泉沈澱 物,特 に放 射性沈澱 物 について Io,RdThに も問題 が あ る. Magmaticresidualとの関連 は ど うだ ろ うか. 水 中 のRaがjuvenileな ものかvadoseな ものか が わか らない・ ともか く水 圏で はU と Raの放射 平衡 が成立 してい ない. 31