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Academic year: 2021

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− 51 − 特集「現代イタリアの知の拡散と集積」

はじめに

土肥秀行

本特集は,2016 年度の国際言語文化研究所萌芽研究に採択された「現代イタリア文学研究会」 を母体として,立命館大学において醸成された分野横断的イタリア学の 3 年間の成果発表である。 4 名の寄稿者は,中心的な構成員としてその活動に寄与してきた。石田聖子研究員は,ボローニャ 大学で博士号取得後,帰国してからも国際会議や論集で研鑽を重ね,研究会立ち上げメンバー としてこんにちまで関わりを保っている。現在は日本学術振興会PD として立命館大学に籍をお き,「歴史的前衛」をキーワードに研究活動を続けている。特に,現代のイタリアを中心とした 文学と映像の綜合的関係に注目している。フェデリカ・スガルビ氏は,2016 年度後期から本学 での現代イタリア文学関連講演会に参加し,今年度は国際言語文化研究所の客員協力研究員と して専らアウトプットに力を注ぐ。専門は観念論哲学で,イタリアのフェッラーラ大学とパリ のソルボンヌ大学で学び著作も複数ある。ロベルト・テッロースィ氏は,2018 年度,外国語嘱 託講師として立命館大学に赴任すると同時に,こんにちまでの蓄積を活かした成果発表を学内 にて行っている。近々,「イタリアン・スタディーズ」の入門書を日本語で刊行する予定である。 ローマで美学を学び,戦後の主たる文化事象と思想潮流について細かに分析してきた。研究代 表の土肥は,専門の一次大戦期の未来派とその周辺の探究に加え,近年は比較文化史のアプロー チで日伊関係を追ってきた。 このプロジェクトに従事するイタリア出身者は,日本研究従事者として日本にたどりつく従 来のパターンとは異なり,必ずしも日本とは関係しない分野から,伊国内のアカデミズムの困 難な状況をうけて「頭脳流出」した典型である。ゆえに日本ではなくイタリアを志向するわれ われイタリア学のチームと親和性が高い。研究発表や論文における使用言語は日本語に限って おらず,むしろ伊語を使用しての活発な議論を期待している。 こうしてイタリアの知が国外に拡散するなか,例えばここ京都に再度集積する。本特集にお いてもバラエティある研究が集まったが,われわれの研究所のこれまでの知の蓄えに由来する 磁力ゆえと考えてよいだろう。 現在もなお立命館大学の「現代イタリア文学研究会」として活動を行うわれわれの最新の活 動に,国際言語文化研究所と関西イタリア学研究会ASIKA の協力による,パドヴァ大学教授グ イード・サンタート氏講演会がある(2018 年 6 月 3 日,立命館大学)。その講演原稿を基にした 日本語論文も併録する。

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