算数学習における図的表現についての研究
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(2) はじめに 4月になり、子どもたちが進級し、新しい教室に入ってくる。どの子も明るく、. 希望に満ちた顔である。小学校における教科の中で、子どもたちが「一番成績が よくなりたい」と思っている教科は、「算数」である。子どもたちの頭の中には、. 「算数ができる=頭のいい子」という図式がなりたっているからであろう。した. がって、4月になり、進級すると、どの子も「今年度こそは、算数ができるよう になろう。今年度こそ、算数の成績を上げよう」と思う。教師も同じである。4 月に新しいクラスの担任になり、子どもたちと出会うたび、「今年度こそは、全 員理解できる算数の授業をしよう。落ちこぼしのない指導をしよう」と思う。. しかし、1年間が過ぎ、3,月になったときの現実はどうだろう。4月に思い誓 った言葉は実現せず、何人かの子どもたちを落ちこぼしている。また、何人かの 子どもたちを算数嫌いにしている。現場の教師は、遊んでいるわけではないし、 やる気がないわけでもない。毎日、懸命に子どもと取り組んでいる。それでも、 なぜ何人かの子どもを落ちこぼしてしまうのだろうか。以下に、教室でよく聞か れる子どもたちの会話を示す。. 「文章問題の文をよんでも、何が書いてあるのか分からないよね。」 「先生は、文章問題の時に、絵をかけば分かるというけど、絵がかけないよ。」 「式が立てられれば、解けるのにな。文章問題、嫌いだ。」. 子どもたちは、計算問題は得意である。しかし、上記の子どもの会話にあるよ うに、文章問題になると途端に尻込みしてしまう。したがって、筆者は、このよ うな状況を改善していくことが子どもの問題解決力を高めることになると考える。. 筆者は、文章問題が解けない子どもには、いつも「図や絵をかきなさい」と指 導する。図や絵をかくことによって、文章問題が表している状況が分かり、立式 できると考えるからである。しかし、上記の子どもの会話にもあるように、現実 には、図や絵をかくことができない子どもが多いのである。. 「なぜ子どもは図をかくことができないのか。図をかかせるためにはどのよう な指導が必要か」、この課題が、筆者の本研究のスタートである。. 平成7年12月 渡 邉 一 弘 ( 1).
(3) 次】. 【目. はじめに. 第1章 本研究の意図と先行研究 第1節 本研究の意図. 一……・…・…・…・…・…・・ 1. ・■一・…・……・…・・… …・…・…・・ 1. 第2節 本研究に関わる先行研究. ・……一…・…・t一・・…・・ 5. 1.算数・数学学習における諸表現に関する先行研究 2.心的表現に関する先行研究. 第2章 帯図、線分図、数直線の諸特性 1.点図と線分図の比較. ・…・…・…・…・…・・16. ・一一…・………・…・・一・24. ・一一…・■■・・…・…一・…・…26. 2.線分図と数直線の比較 3.帯図と数直線の比較. ・…・……■一……・・”一…28 ・…… ■■・・…・…… …・…32. 4.帯図、線分図、数直線の特性の関係 第3章 図的表現に関する調査. ・…・… ……35. ………一一…・…・・……・…・・37. 第1:節 帯図、線分図、数直線に関する調査 1.調査の概要. ・・ 5. ・…・…… …一38. ・・一… t■…・…・■■…・…・…… …・・38. 2邑調査結果. ・…・・…………… ……………・・38. 3.調査結果の考察. ……・……・・…… …・・……45. 4.児童の間違いの特徴. 5.分析のまとめ. ・……・■t・……・・… …■一47. ・・……………………一・…一53. 第2節 文章題の数量関係を図にかく能力とよみとる能力との関連. に関する分析 1.分析結果. ・……………・…・一一・…………55 ・…一v……・…・…・…・…・v一…・…55. 2.分析結果の考察 3.分析のまとめ. ……・………・… 一■・………57 ・t一…・…・・…・…… …………58. ( 2).
(4) 第4章 小学校における図的表現の指導体系と指導上の留意点 第1節 帯図、線分図、数直線の現行の指導体系. 1.導入の流れ. ・…・……・59. ………・……・…・・……・…・…59. 2。新しい表現が導入される場面とその扱い 第2:節 図的表現の指導上の留意点. 2.図をかく指導に関して. …・……60. ・・…………・一一…・…63. 1.三図、線分図、数直線の指導系列に関して. … …・・63. ・…・・… …一・…・・… …64. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. U7. 一一一一一一一一一・・一一一一一…}一一一一一一. V0. ”””H””一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. V4. おわりに. 引用・参考文献. 資料. ・…59. ( 3).
(5) 第1章本研究の意図と先行研究 第1節 本研究の意図 小学校での算数科において、次のような絵や図がよく使われる。. lm ぜんぶでいくつ?. 熱. 鷺麿さ. ==:. lm. 3/4m. 【図1−1.算数科で使われる絵や図の例】. 本研究では、こうした絵や図による表現を「六宮表現」と呼ぶ。そして、この 図的表現に対する児童の理解の様相を明らかにしていくことが本研究の目的であ る。. 折ロー彦(1990)は、小学校の教師が学的表現をどう捉え、どのように活用し ているかを調査し、その結果を以下のように報告している。 《 教師は普通、授業で教具や学習具、絵や図を使って指導しているし、. 児童に対しても学習にそれらを使うように指導している。ここで注目す べきことは、教師は、教具や学習具を使う指導よりも、絵や図を使う指 導を好んで行うという点である。》(p.415). 児童にとって、教具、学習具、絵、図などを使った指導は、文章(言葉)によ る指導よりも教科内容がわかりやすいので、教師は、日常的にそれらを使う。そ の中でも、特に、絵や図を使う指導を教師が好む一つの理由としては、「絵や図 は、手軽に準備することができる」ということが考えられる。 また、いくつかの研究(土居下晃宏,志水廣,植岡利之,一崎満夫(1986);金児. 賢治,金児功(1978))は、算数学習で用いられている図的表現が、児童の問題解. 決において、重要な役割を担うことを指摘しており、その中でも、金児賢治ら 1.
(6) (1978)は、児童のつまずきに対して、「線分構造図」による指導の必要性を述べ ている。. 小学校指導書算数編(1989)には、算数学習における帯図、線分図、数直線に 関する指導目的について、次のように示されている。(下線筆者) 《 加法と減法の相互関係は、例えば、 ”一’一a(男の人数)一_.r_b(女の人数)一x、. 総1県議蚕繭E≡≡≡E≡ヨ b+。一。となり、。と。又はbのい\_。(全体の人数)ノ ずれか一一方が分かっていて、b又はaを求める場合が減法、 c−a=b. や。−b=aとなる。このことを「a.加法、減法が用いられる場合」 で述べた逆思考になるような具体的な問題の場で取り上げ、これに対応 した図や’直,などを用いて、相互 系について理 できるようにする。. そして、加こと減法は互いに逆の関係. 一 になっていることに 目し、それを。 N−a一’一 b一 .. の巴握、演算の決定、確かめなどに Yc’一 用いることができるようにすることが O. 一. 大切である。》(p.77). a. c. ここでは、帯図、線分図、数直線に関する指導目的を2点あげている。一つ目 は、 「帯図、線分図、数直線を使って、数学的概念や関係などが理解できるよう. にすること」であり、二つ目は、「帯図、線分図、数直線を使って、問題解決を 行うことができるようにすること」である。しかし、実際に、これら2つの目的 を意識して、教師が児童の指導にあたっているかどうかは、疑問である。. 以下に、国立教育研究所理数長期追跡研究グループ数学委員会が調査した「算. 数・数学30題調査報告書」(1989)から、小学校6年生と中学校1年生に実施し た代数領域の問題別正答率を示す。. 【表1−1.算数・数学30題調査 代数領域の問題別正答率表】 内. 容. 目. 標. 問. 代. 数. 計 算. 小5. 璽葦. 宰奪. 87.4%. 88.9%. 題. 号+§一. E・長2・島3・島4・醤5・器 2.
(7) 計 算. 小5. 7晶一 P.7.03 2.7.15 S.7.3 5.7.6. 68.8%. 75.9%. 75.4%. 25.3%. 48.7%. 3.7.23. 小4. 代. 72.4%. 唾;li; …. 謹ミ17. ㌔ζ b」卍二. 去霧繍講鱗落種醒1になるか。・・急2・壱3・書4・書5壱. 小5. つぎの1から皿までの式の中で、正しいものはどれか。. P (53×73)X17=53X(73×17) M 133X(78+89)ニ(133×78)+89 M【 133X(78+89)=(133×78)+(133×89). 嘯ヲは、つぎの中からえらべ。 P.工だけ 2.皿だけ 3.皿だけ4,工と丑だけ 5.1と皿だけ. 小5. 数. 黎謝謝評・5βに対応する点は・. @. AB. 麟、獅∫ T7。5驚 :』. C DE. 0. 1. P.点A 2.点B 3.点C S.点D 5.点E. 応. 小4. 議事簗黙黙薯麟は、つぎのどれか。左二蕩葦:霧3・14才. 75.9%. 80.0%. 小5. 華墨昌昌1.2日. 80.5%. 76.4%. 用. 2.3日. 3.4日4.5日. 5.8日. 3.
(8) 代. 応 用. 小5. 分 析. 小5. 講羨胸脚露鰭鍬之:嶽§:嶽3・21人. 56.3%. 71.9%. 1つのベルは8分ごとになり、もう1. 51.7%. 72.6%. 数. b酷蟹餐砦即興黎ゴつぎに同時になるのは何分後か。. ワ四鑛§:き難3・20分後 上記の調査結果をみると、数直線についての問題の正答率が低いということが わかる。児童が問題を解決する手段として数直線を使うためには、児童が数直線 自体をよく理解していなければならない。しかし、上記の調査結果は、その数直 線が児童によく理解されていないということを示している。このことから考える と、児童が、 「帯図、線分図、数直線を使って、問題解決を行うことができるよ. うにすること」という目的を達成し、帯図、線分図、数直線を算数学習において 有効に役立てているとは思えない。. また学校現場において、「児童が問題解決において帯図や線分図を効果的に使 えない」という教師の指摘も多い。この理由の一つとして、「児童が図のかき方 を知らない」ということが考えられる。 それでは、なぜ児童は「図のかき方を知らない」のであろうか。言い換えれば、. 図的表現に対する理解やそれを扱う技能が児童の身に付いていないのはなぜか、 ということが問題となる。というのも、これが明らかとならない限り、「図のか き方を知らない」という状態に対する教育的な対処策が打ち出せないからである。. 筆者は、算数科の中の図的表現、特に、帯図、線分図、数直線に焦点を当て、 これらに対する児童の困難性の原因を認知的側面から調べていくことにする。こ. の困難性の原因究明のための作業仮説的枠組みとして、次の2点を設定する。 a.一図、線分図、数直線は、言葉や記号などのその他の表現とは異なる、 それ固有の特性を有している。. b.問題解決の際に、帯図、線分図、数直線が利用できるためには、特別な. 能力が必要であり、これらの表現法を単に知っているだけでは不十分で ある。. この2点を本研究を進める上での大きな視点とし、先行研究の概観、実験:調査 の実施などといった作業を進めていくこととする。 一 4 一.
(9) 第2節 本研究に関わる先行研究 ここでは、本研究に関わる先行研究について、次の2つの視点からみていく。 1.算数・数学学習における諸表現に関する先行研究. 2.図的表現に関する先行研究. 1.算数・数学学習における諸表現に関する先行研究 一中原忠男の表現様式の類型 (1) 数・数学学における表現様式 中原忠男(1995)は、以下のように、算数・数学教育における表現様式を大き. く、現実的表現、操作的表現、図的表現、言語的表現、記号的表現の5つに分類 している。. 《〈現実的表現〉(Realistic Representation). 実世界の状況、実物による表現。具体物や実物による実験な どはここに含める。 〈操作的表現〉(Manipulative Representation). 具体的な操作的活動による表現。人為的加工、モデル化が行 われている具体物、教具等に動的操作を施すことによる表現。 〈図的表現〉(lllustrative Representation). 絵、図、グラフ等による表現。 〈言語的表現〉(Linguistic Representation). 日本では日本語、米国・英国等では英語など、各国の日常言. 語を用いた表現。またはその省略的表現。 〈記号的表現〉(Symbolic Representation). 数字、文字、演算記号、関係記号など数学的記号を用いた表 現。 》(pp.199一 200). 上記の5つの表現様式の例を次に示していく。. 5.
(10) 〈現実的表現〉…次のことを、実際にクッキーを使って示した表現。「クッキ. 一が6個と8個あり、合わせたら何個でしょう。8個のクッ. キーを4個と4個に分け、一方の4個を6個のクッキーと一 緒にして10個。残りが4個だから、全部で14個。」 〈操作的表現〉…実際にタイルを使って、次の図のような操作を行う。 ロ リロ. i≡i. illll. D. E臼. O. 目自. o o. o o o o o o. gg. o o8 8. e e:. 〈千守表現〉…. e e. 8. o e o e. gg. 0 0 0 0. o o. 9. 0 0 0 0. 88 0 0 0 0. 〈言語的表現〉…「6と8を足す。8を4と4に分け、一方の4を6に加えて 10になる。残りの4と10を足して、14になる。」または、こ れらの省略的表現。. 〈記号的表現〉…6+8=6+(4+4)=(6+4)+4=10+4=14 帯図、線分図、数直線は、算数学習でよく使われる表現であり、それぞれ似た 形状をもっているように見えるけれども、使われる学年や教材には違いがある。 つまり、3つのモデルは、それぞれ違った特性をもっていると考えられる。それ では、帯図、線分図、数直線は、どのような特性の違いがあるのだろうか。帯図、. 線分図、数直線は、上記の中原忠男(1995)の分類の中の図的表現か記号的表現 のどちらかに含まれるように思われる。. そこで、次に、図的表現の特性と記号的表現の特性を示し、これらの表現の違 いについて2章以降で考察するための足がかりとする。 6.
(11) 一L(2−LEgeYiww11) ma sw. 中原忠男(1995)は、記号論的視座から図的表現の基本的特性を、また、認知 的、機能的側面から図的表現の導出的特性を、以下のように示している。 《 基本的特性(記号的特性)…形相性、自由性、類似性、視覚性. 導出的特性(認知的一機能的特性). …直観性、イメージ性、全体性、構造性 同時性、個人性、非聴伝性 》(p。243). ここでは、図的表現の「基本的特性」と「導出的特性」について、具体例を用 いながら説明する。. 1.図的表現の基本的特性 〈形相性〉とは、 き加えることはできるが描かれたものの位置やつながりを. 亦えることは基本的にできない’ のことをいう。例えば、以下の図を見てみよ う。. ×3 十1. ㊦コ(⊃二1◎ ÷3 一1. (10−1)÷3=Xの手続き図 【図1−2.手続き図の例】. この図は、(10−1)÷3=Xの式の手続き図を示している。この図の中央の ○に、 「9」という数字を入れるなどの書き加えをすることは可能である。しか. し、線の向きや演算の関係などを変えてしまうと、式の構造を表す図として成立 しなくなってしまう。図的表現は、基本的に点と線を基本要素として、それらの 組み合わせやつながりによって作り出される表現である。したがって、図的表現 には、書き加えることはできるが描かれたものの位置やつながりを変えることは 基本的にできない特性(形相性)が存在するのである。. 7.
(12) 〈自由性〉とは、図の中でどんな記号を使うか、また図をどのように使うかは の. ンと比べてヲ に自由であるという’ のことをいう。例えば、上記. の図1−2を以下のように変更することもできる。. @. /. [三コ曾. @. り. (10−1)÷3=Xの手続き図 【図1−3.図1−2の変更の例】 図1−3は、図の構造を残しながら図1−2を変更した(または、書き加えた) ものである。図心表現は、図の構造や描かれているもののつながりを変えなけれ ば、様々な形態の図が自由にかける。縦に表現したり、立体的に表現することも 可能である。. 〈類似性〉とは、図が しているものとの司に自然的、’以的 ,、があるとい う性質のことをいう。例えば、以下の図を見てみよう。. 蕎蕎一60(リン=tNcz)va{P」lssXiEE!,) 【図1−4.リンゴの図の例】. 図1−4は、リンゴを表現した図である。矢印の左側の絵はリンゴの絵である が、児童は、矢印の右側の絵(図)もリンゴの絵(図)であると認知することが できる。それは、右側の図は、本物のリンゴと類似的関係が成立しているからで ある。また、指示するものの形状との類似的関係以外にも、類似性が存在する場 合がある。例えば、手続き図などは、操作的表現と直接的な空間的類似性が存在 する。. 8.
(13) 〈視覚性〉とは、 に■えることができるという’ のことをいう。人間は、. 聴覚から入った情報だけでは、内容の本質に近づくことはできにくい。時には、 誤解を生じてしまうこともある。昔から「百聞は一見にしかず」という諺もある ように、視覚から受ける情報の方が内容の本質に迫ることができる場合がある。 したがって、この視覚性も図的表現の大切な特性の一つである。. 〈直観性〉とは、図的表現は、数や量の関、が直 的にとらえやすいという’. 質のことをいう。この直観性は、形相性、類似性、視覚性からもたらされる特性 である。つまり、図的表現は、類似的で視覚的であることから、論理的な思考を 伴わなくても、視覚から得る情報のみで、直観的に数や量の関係がとらえられる のである。このことから、中原忠男(1995)は、この直観性を「図的表現の最:大 の長所と言える」(p.242)と述べている。. 〈イメージ性〉とは、図的 は、いろいろなイメージを喚 するし、またイ. メージをZ するのに適しているという性 のことをいう。このイメージ性は、 直観性と関連があり、やはり、形相性、類似性、視覚性からもたらされる特性で あるが、思考の手段として独立して取り扱われることがあるため、ここでは、別 に取り上げられている。例えば、以下の図を見てみよう。. 蟻 心. 錦. 【図1−5.イメージを喚起する例1. 図1−5は、分数を図で表したものである。小学校での算数学習では、よく使 われる図であるが、この図から、児童は「コップの中のジュース」や「ビーカー の中の水」などをイメージすることができる。自分の身近にある実体をイメージ することによって、児童は、問題解決を有利に進めていくことができるのである。. したがって、筆者は、このイメージ性が、類似性とともに児童の問題解決におい て大切な要因になると考えている。. 9.
(14) 〈全体性〉とは、図的 現は、まず全体それから部分へという認知が一 にな. されていくという’ のことをいう。この全体性も、形相性、類似性、視覚性か. らもたらされる特性である。例えば、図1−2を見たとき、まず全体から演算の 手続きを表した図であることを認知する。その後、左から右、または右から左と いうような矢印の向きと演算記号によって、部分の詳細な意味を漸次理解してい くと考えられる。. 〈構造性〉とは、主として、図暦表 は、 や量の 係を構造的、統合的に示. すことができる’ のことをいう。この特性を示す典型的な図は、以下のような 帯図であろう。. はじめに持っていた長さ □cm. 残りの長さ3cm. あげた長さ8cm. 【図1−6.帯磁の例】. この帯図には、「はじめに持っていた長さ」と「あげた長さ」、「残りの長さ」. という3つの量の関係が構造的に示されている。構造性は、描かれたものの位置 やつながりを変えることはできないという形相性と、帯図は長さとの類似的関係 を持つという類似性からもたらされる特性である。. 〈同時性〉とは、図的 王においては るJl が示されていないという’ の. ことをいう。この特性は、形相性からもたらされる特性である。例えば、上記の. 図1−6を見るとき、特に、見なければならない場所や順序などは存在しない。 最初に、「はじめに持っていた長さ」を見るのか、「あげた長さ」を見るのか、 「残りの長さ」を見るのかなどは、その児童の経験や思考パターン、問題解決能 力によって異なる。. 〈個人性〉とは、雪下表現は、個人的な思考を 人的な方法で 現することが. できるという性 のことをいう。この特性は、先の自由性からもたらされる特性 であり、ほぼ、自由性と変わらないものと思われる。. 10.
(15) 〈非伝達性〉とは、図的 は、。覚での一達は. であるという’ のこと. をいう。この特性は、形相性、類似性からもたらされる特性であり、視覚性を否 定的な言い方で表したものであると考えられる。 一L(3−LigggsLi3)eesxmoen. 中原忠男(1995)は、記号的表現の特性として、「言語性」「規約性」「配置 性」「縮約性」「対象性」「操作性」「形式性」の7つをあげている(pp.253− 261)。これらの特性について、具体例を用いながら説明する。 〈言語性〉とは、記号的表 は、日. ∋一m、自然言語の影 を くPtけている. という’ のことをいう。特に、現在の数学における記号的表現は、英語(ヨー ロッパ系言語)の影響が強く反映されている。この言語性の例として、中原忠男 (1995)は,以下のものをあげている。. 《 <概念や集合を表す記号に関して>. r……radius(半径) N……Natural Number(自然数の集合) 〈演算等の記号の順序に関して> 2 + 3 = 5 ・”’” Two and three makes five. a × b 〉 c ・・・… a times b is larger than c . f (x) ””” function of x. >> (p.254). このように、概念や集合などを表す記号に関しては、日常言語や自然言語が省 略化されて使われることが多い。例えば、’ フ積は「v(volume)」、長さは「2 (length)」なども、この例であると考えられる。. また、演算等の記号の順序に関しても、上記のように英語での語順の影響を受. けている。つまり、「and」が「+」で「makes」が「=」である。2+3=5 を日本語で表すと、「2に3をたすと、5になる」となる。仮に、この日本語の 語順を保ったまま式にすると、「たす」が「+」に、「なる」が「=」に対応す. るので、23+5=となるはずである。 小学校の児童は、入学早々、このヨーロッパ系の言語の影響を受けている式の 指導を受ける。このような面も、算数における児童の困難性を高めてしまう原因 の一つになっていると思われる。. 11.
(16) 〈規約性〉とは、①記号的 現とその指示対 との結びつきは規約、 定によ. るものであるという’ (指示の規約’ と、2記号的表現は、一定の 約に基 づいて. され、 用されなければならないという性質. の 約. の2つ. をいう。. ①の「指示の規約性」の例としては、以下のものがあげられよう。 +…2つのものをあわせることを表現する。. <…左の数(項)より右の数(項)の方が大きい(または、多い)ことを表 現する。 e’. 狽メD. このように、算数・数学で使われる大部分の記号的表現とその指示対象との結 びつきは、人為的な規約、協定によって成り立っているのである。 ②の「構成の規約性」は、記号的表現が一一定の規約に基づいて構成されている. という特性であるが、このことについて、中原忠男(1995)は、以下の例を用い て説明している。. 《 非負の整数を対象とし、演算として加法と乗法、関係として相等関 係のみを考えた式の構成規則は次のように定められる。. 〈F:非負の整数を対象とする式の構成規則> F1.非負の整数を表す定数記号は、式である。. F2.X,Yが式であるとき、次のものは式である。. ‘Xク≠でyク,‘XクX‘y♪,‘X♪=(Y♪ F3.F1,F2によって定められるもののみが式である。 上記に従えば、次のものなどが、Fで定められる式である。 (2) 十 (3), (2) × (3), ((2) 十 (3)) 一 (5). これらは、通常括弧を省略して 2十3, 2×3, 2十3=5 と表される。 》(pp.252一 253). この例は、非負の整数を対象とする式が一定の規約に基づいて構成されている ことを示している。この例は、かなり厳密な式の構成規則を示しているが、この ように厳密でなくても、算数・数学で用いられている記号的表現は、一定の規約 に基づいて構成され、使用されなければならない。中原忠男(1995)は、この規. 12.
(17) 約性こそが「学習上の困難性をもたらす要因となる」(p.256)と指摘している。. 〈配置性〉とは、記号的 は、その. において、用いられる記号とともに. それらの相対的な、置 配置 を巧みに活用しているという性 のことをいう。 例えば、以下の「X」は、同じ記号でありながら、位置を違えることによって、 異なった意味を表している。. 1. 2X,. 3x,. x. この特性を最大限活用したものとしてあげられるのは、0から9までの記号を 使うことによって、すべての自然数を表現する「十進位取り記数法」である。こ のように、記号的表現における配置性は、非常に工夫された方法であるといえる。. 〈縮約性〉とは、記号的表 は、原表記のあるものを. しながらも、その略. 記や短 が■’tわれるという性 のことをいう。中原忠男(1995)は、この縮約性. を大きく、次の3つに分類している。 《 @略記的縮約. ある記号を一定の規約に従って省略することによって、より簡潔 な表現にするもの。 04+(2×3)のかっこを省略して、4+2×3と表す。. Oa1の指数を省略して、 aと表す。. ⑤置換的縮約 ある表現を、他の記号で置き換えて表すことによって、より簡潔 な表現にするもの。. ○円柱の体積V=πγ2hにおいて、πγ2;Sとして、 V=Sh と表す。. 02次式、X2+2X+5をf(x)と表す。 ◎定義的縮約 ある表現を、定義によって、他のより簡潔な表現で表すもの、 この場合は、新しい記号が重要な意味を持つ。. 13.
(18) Oa×a×aをa3と表す。 Oa1+a2+……+ai+……+a。を弓1aiと表す。》(pp.258−259). このように、縮約性には、様々な方法があるが、簡潔に表現するという観点で 見た場合、記号的表現は、非常に適した表現であることが分かる。 〈対象性〉とは、記号二三 それ自体の’ などが考、や pmのva となり、. 記号的. それ自体に関わる. 的な結 が導かれる 合があるという’質のこ. とをいう。中原忠男(1995)は、この特性の例として、以下のものをあげている。. 《 例1。十進位取り記数法の各位の関係の考察. 例2.和の形、積の形など、式の形の考察. 例3.(a+b)2などの式の展開の考察. 例4.X2+3X+2とX2−2X−3などの最小公倍数を求めること》 (p.259). このように、算数・数学学習では、記号を思考の対象にすることが多く、学年 や校種が上がるにつれて、その率はますます高くなる。算数学習(特に低学年) では、主に、経験(操作体験)を通して学習することが多い。その意味から考え ると、算数学習は、経験科学的と捉えられよう。しかし、学年や二種が上がるに つれて、その性格は一変する。つまり、経験を通しての学習から、式の形式的な 操作の学習に移っていくのである。それは、ある意味では、記号的表現が、考察 や学習の対象として確立していく過程である。この記号的表現の対象性も、児童 の算数・数学学習の障害になっているのではないだろうか。 〈操作性〉とは、記号的表現は、数学的な操 の対 となり、目的に向かって 適宜■’ANZすることができるという’ のことをいう。この典型として、あげられ るのは、式の計算であろう。. 〈形式性〉とは、①記号的表 は、その 王の形式が重 され、それが判 や 考_の素 になるという’. Z、操 が行われるといケ. 王のz式. と、2 蜘を⊥れて、頻的なtJ”N. 操 の多エ’)の2つをいう。①の「表現の形. 式性」の例としては、以下のものがあげられよう。. 14.
(19) 1次関数…y=ax+bという形式で表される。. 2次関数…y=ax2+bx+cという形式で表される。. つまり、1次関数ならy=ax+bという形式、2次関数ならY ・ax 2+bx+cとい. う形式は、何次関数かを判断したり、傾きや切片などを求めたりするときの考察 の対象になるのである。上記以外にも、形式が決まっている表現はいくつか見ら れる。. また、②の「操作の形式性」の例としては、式の変形などがあげられる。算数 にしても、数学にしても、文章題から立式し、その式の計算に作業が移ったとき には、文章題の内容からは離れて形式的な操作を行うことになる。. 文章題. 1つ80円の消しゴムを6つと、1本130円の鉛筆を 7本買いました。合わせていくらになりますか。. 式. 計算. 答え. (80× 6 ) + (130× 7 ). ≡讐li講7)]瀦 1390円. このように、計算の段階に移ったときには、文章題の内容は意識しないで、答 えを出すための形式的な操作を行うのである。これは、ある意味では、効率的な 方法であろう。算数・数学における文章題において、複雑な式が立式されたとき、 文章題の内容をいつまでも意識していたのでは、その後の活動が停滞してしまう。. また、必ずしも、式の変形の仕方が、文章題の内容に沿っているとは限らない。 そのようなことからも、記号的表現の形式性は、重要視されてよいであろう。. しかし、逆に、この記号的表現の形式性によって、児童の学習が機械的学習に 陥ってしまう危惧も考慮しなくてはならない。したがって、記号的表現の形式性 の両面性を、教師が十分留意する必要があろう。. 15.
(20) 2 pathXifit eev6ilii Mvcti 図的表現に関する研究は、様々な視点から多くの研究が行われてきている。こ こでは、それらの研究の中で、本研究と深く関わると思われるものを、次の3つ の視点からみていく。. (1)図的表現の分類一中原忠男 (2)問題解決と図的表現一Threadgi11−Sowder,J.ら、 Yancey,A.V.ら、 山本紀代、 Lopez−Rea1,F.ら. (3)数直線問題における間違いの原因一Carr,K,ら KユーL)Eguwaimopsts x x_一中原忠男の研究. 中原忠男(1995)は、算数・数学学習で使われる図的表現を、次のように分類 している。. 【表1−2.図的表現の分類】. 情景図…………現実的情景、状況を表す図 場面図…………算数・数学的場面を表す図 手続き図………操作や計算などの手続きを表す図 構造図…………場面や問題などの構造を表す図 概念図…………算数・数学の概念を表す図. 法則・関係図…算数・数学の法則・関係を表す図 グラフ図………各種のグラフを表す図 図形図…………各種の図形を表す図 (p.232). 情景図と場面図は、. において示される・ の. 的な状況や 面を した. 図であり、主に問題文とともに提示される。これらの図は、具体的な絵で示され るために、児童にとっては、非常にわかりやすい表現であるといえる。そのため、. 児童は、問題文が表す内容を容易に把握することができる。. 16.
(21) みんなで. 鮒翠. 77 ttr,. 【図1−8.場面図の例】. 【図1−7.情景図の例】. 手uき図と 造図は、主に、・ の. z,t 1;. 的に示している図である。. がをll. 特に、手続き図は、その特徴を顕著に表しているといえよう。構造図は、問題の 解決方法を直接示しているわけではないが、問題文の構造を示すという働きによ って、問題の解決方法を導出するのに役立てることができる。したがって、手続 き図と構造図は、大きくみて、同じ図の仲間といえよう。情景図や場面図が、現 実的状況の代理的表現であり、それ故、非常に具体的であることと比較すると、 手続き図と構造図は、少し抽象的な図であるといえよう。. 僚. Sls7i. e. l認ビ國. はじめのかずEコわ 軸、・“r・・… 軸ノ、1瓢{・.囲・. とんでいったかず. □わ. 3と2を あわせると,5に なります。. 【図1−9.手続き図の例1. のこりのかず □わ. 【図1−10.構造図の例】. 手続き図と構造図が、問題の解決方法を示している図であることに対して、量 念図と法則・関係図は、主に、 ・ 饅のt11t’内旅を示している’である。概. 念図と法則・関係図は、算数・数学の学習内容である概念や関係などを表すため に、抽象的に示される場合が多い。そのため、概念図と法則・関係図を児童に提 示する場合には、児童が理解しやすいように、他の図よりも留意する必要があろ う。. 17.
(22) 水の深ざy(c禰. 水をλ:れる時面コC(分. O ) 一一一一一2×O一 f 0. 2 1−2Xl−1 1 4 1−2×2−1 2. ...・t.・一『lm』一』「\.. \\}.尋ド‡± 3〆. 園一一2×3− 3. 圃一一一一一2×国一 4. 10 1−2×ts一 [ 5. 〆m\. 5\. 1. 作文. 分 汁一…. /. ロ. 國一一2×團一 6. 1i門一. y一層2×Oヨー一一一一一工. イ ノ ノ リ ド 旦m//. 4等分. 4. 1.今関1考ゐまる水の深さ. 【図1−12.法則・関係図の例】. 【図1−11.概念図の例】 グラフ図と図形図は、愚 の気. となる図である。したがって、これらの図は、. 教師の指導や児童の問題解決において用いられる上記の情景図∼法則・関係図と は、性質を異にする。 みゆ さんの ラフ. い えさんの ラフ. (m) 気温調べ (II月20日) ts. io. s. o. (度) 気温調べ (Hn20日). r≡毒二二llE …雛慧 ==:ご=_.ごゴニゴニ下「一 th,一1一・・N一一:’一= 一. 三芒圭目王 一・二=L竃一…十=1一冊. 91011121234(時〉 午徴. 午前. @s. @. 囲コーi一蓬一十1. 1壮圭妻三農 Oem/’o m 21234(ag) 午前. 平行四辺形. 正方形. 午後. 【図1−14.図形図の例】. 【図1−13.グラフ図の例】. 上記の分類は、児童がかいた図を分類する上での枠組みを与えるもので、第3 章の調査結果の分析において使用する。 (2)問. 決と図的表現一Threadgi目一Sowder,J.ら、 Yancey,A.V.ら、 山本紀代、Lopez−Rea l,F.らの研究. Threadgill一 Sowder , J.とSowder,L.(1982)は、「文章題を絵で表現したもの」と. 「一般的な言葉だけの文章題」の2種類の問題に対する生徒の解答を分析し、絵 の有効性を以下のように結論づけた。 << Presenting problems by way of drawings was cleariy more effective than the standard words−only presentation for these student.>> (p.329). 18.
(23) ( 絵という方法によって問題を提示することは、それらの生徒たちに対 して普通の言葉だけを提示するよりも、はっきりとよい効果があった。). 文章題を解く際には、児童が、問題の内容をよみとれることが重要である。そ して、問題の内容をよみとるために、絵の使用が非常に有効であるということを、 彼らは指摘しているのである。 しかし、Yancey,A,V・,Thompson,C.S・とYancey,J,S.(1989)は、以下のように 指摘する。. << Most learning theories suggest that conceptual imagery plays a crucial role in. solving mathematics word problems,but empirical evidence is lacking.Articles on mathematics education that list strategies for teaching children to solve word problems recommend that teachers use diagrams to elicit appropriate conceptual images in their pupils,but they do not suggest that pupils should be taught how to generate their own diagrams or that such instmction is needed >> (p.15). ( 概念的心像が数学の文章題を解くことにおいて重要な役割を果たす、. ということをほとんどの学習理論は提案している。しかし、実験的証拠 が不足している。子どもに文章題を解くことを指導するための方略をリ. ストする数学教育の論文は、教師が生徒の中の適切な概念イメージを引 き出すために図を使うことを勧める。しかし、それらの論文は、生徒が、. 彼ら自身の図の生み出し方を教えられるべきであり、そのような指導が 必要だ、ということを提案してはいない。) 前出のYancey,A.V.ら(1989)は、それまでの図心表現の有効性を論じた論文 (前出のThreadgil−Sowder,J.ら(1982)め論文など)は、教師による図の使用を. 勧めてはいるが、児童自身が図を作れるような指導の必要性を提案していない、 ということを指摘している。そこで、Yancey,A.V.ら(1989)は、児童に対する、. 図のかき方の指導の必要性を指摘している。 また、山本紀代(1993)は、以下のように図的表現の限界を指摘している。. 《 図的表現の限界は、子供自身の問題でもある。例えば、子供が苦手と. する「割合の問題」を解く場合について考えてみると、子供が、割合に 対する知識をもっていなければ正しい図を描くことはできない。また、. 19.
(24) 問題に対する正しい図が描けたとしても、割合の概念である小数倍が理 解できていなければ、正しく立式することはできない。つまり、子供が その領域に関する適切な知識をもっていなければ、図に表現したり、図 を分析的に見たりすることは不可能であり、視覚的思考は効果がないの である。》(p.261). つまり、山本紀代(1993)は、児童に対する図のかき方の指導を行ったとして も、児童がその領域に関する適切な知識をもっていなければ、図や絵は、児童の 問題解決にとっては意味をなさない、と指摘しているのである。さらに、山本紀 代(1993)は、問題解決における図の役割として、以下の点を指摘している。. 《 問題を視覚化することは、解決者に問題の条件や意味に注意をはらう ことを促進し、言語表現には現れていない情報をもたらす。このことは. また、問題を分析する思考へと発展する。さらには、正しく表現された 図は、問題がほとんど解決されたのに等しい価値をもつ。従って、視覚 化することは、問題解決の有効な方略であるといえよう。》(p.260). 山本紀代(1993)が指摘するように、図や絵は、問題解決の有効な方略となる。. しかし、どのような図を用いても問題解決が成功するわけではない。つまり、問 題解決に成功する図の特徴(条件)が、存在するのではなかろうか。この点、つ. まり、どのような図が問題解決において有効になるのかについては、山本紀代 (1993)は考察していない。. Lopez−Rea1,F.とVeloo,P.K.(1993)は、児童が問題解決で使った図を分析し、. 問題解決に有効な図をSuccessful Diagramと呼び、その特徴を次のように述べて いる。. << Can we therefore identify any signhicant dfferences between successfu1 and. unsuccessfu1 diagrams? Two spechic elements featured regularly in the successfu1 cases. First,the incorporation of numerical inforrnation from the problem into the diagram itseif. Second,the representation of relationships in a clear,visual form.>> (p.175). ( そうすると、我々は、うまくいく図とうまくいかない図の間に、何ら. かの目立った違いを同定することができるだろうか。2つの特別な要素. 20.
(25) が、うまくいく場合に、よく見られる。一つ目は、問題から図そのもの の中への数量的情報の結びつけである。二つ目は、明確で視覚的な形式 で、関係を表現することである。) 前出のLopez−Real,F.ら(1993)は、 Successful Diagramの特徴を2点指摘してい るQ. 一つ目は、問題文中からの’且的な ff:が図の に示されていることであり、. 二つ目は、問題文中の 量的な 1の 係が目に えるZで である。. されていること. 一. Lopez−Real,F.ら(1993)は、上記のSuccessful Diagramの特徴を、次のような問. 題と図を示して説明している。. << Problem 7.A white stick is 3 times longer than a black stick・The dfierence in their lengths is 12cm. What is the length of the black stick? >>. (問題7.白い棒は、黒い棒の3倍の長さです。2つの棒の長さの差は 12cmです。黒い棒の長さはいくつですか。) SuccessJtiil Diagra,ns: unsuccessjut Diagrants:. pNb9. ..=..#,,, 一=e s1=?. 篇{・〔=〔==〔=ユ. ←一い〉螺 6‘巨. bt a cic a」2EtiiZ2. Hairo1. << Hairol has aligned the sticks in the most helpfui, way in terms of the. “dfference” aspect but does not put this information on his diagram.>>. (Hairolは、「差」という見地を使って、最も役に立つ方法で、棒を並 べた。しかし、図の中にこの情報を加えていない。) (pp . 172一一 173). Hairolの図は、白い棒と黒い棒がかかれているものの、問題文中の「12cm」と. いう数の情報が書き込まれていないために、Unsuccessful Diagramとして判断 されている。. << Problem 8.There are 600 boys and 400 girls in a school.One day 390 of all. the children were absent. lf 190 of the boys were absent,how iriany girls were absent? >>. 一 21 一.
(26) (問題8.学校に600人の男子と400人の女子がいます。ある日、全ての. 子どものうちの3%が欠席しました。もし、男子の1%が欠席したとし たら、欠席した女子は何人ですか。) S“cctssJCiit Diagrams: UtLsuccessjul diagrants“ Kco Lteo lt. Ss st”s Pauline. )s sFt. Malai. safrima. eeeegdws lk 2蕗・. << Unfortunately they have both jumped to the conclusion that the percentage of girls absent is 290.This was by far the most common error for this problem. Without this error it is possible that Saiirina’s diagram would have been helpful’. but the separation of the data into two halves by Malai prevents the crucial. relationships being seen.>>. (不幸にも、2人とも、欠席した女子のパーセントが2%であるという 結論に飛びついた。これは、この問題で、最もよくある誤りである。こ の間違いがなければ、S{血naの図は、役に立ったかもしれない。しか. し、Malaiが、そのデータを半分ずつに分けることは、重要な関係を見 ることを妨げている。). (pp.173−174). Malaiの図は、問題文中の数の情報(600人,400人,1%など)の関係を目に見え る形で表現していないために、Unsuccess血1 Dia皇ramとして判断されている。. (3)数商,問題における間違いの原. 一Carr,K.らの研究. Carr,K.とKatterns,B.(1984)は、数直線上に示されている2つの矢印の関係を. 式で表す問題(また、その逆)を使って調査を行い、その結果から子どもの間違. いの原因を分析している。彼らは、次の2点を子どもの間違いの原因として指摘 している。. 22.
(27) ①.数直線に示されている数字に影響されてしまうこと。 前出のCarr,K.ら(1984)の示した間違いの典型的な例は、次の数直線に対応し た式をかくという問題に現れた。. 4+6=10. (p.32). この間違いは、子どもが、矢印の指し示している数字(4と6)だけを使って 立罰してしまったことから生じる。. ②.数字の間の空間よりむしろ、数字あるいは目盛りを数えてしまうこと。 この間違いの例は、次の数直線に対応した式をかくという問題に現れた。. AA O 1 2 3 4 5 6 7 8 9. 3+7=10. (p.32). この間違いは、子どもが、数字と数字の間の空間を数えたのではなく、数字あ. るいは目盛りを数えてしまったことから生じる。つまり、「0、1、2」あるい はこれらの数に対応する目盛りを数えて3を引き出し、同様にして7を引き出し、. 左辺の「3+7」を作り出す。その後は、この「3+7」に対する計算を行い、 右辺の「10」を求めるのである。. 23.
(28) 第2章. 帯図、線分図、数直線の諸特性. 小学校の算数科において、数直線はよく使われる表現である。しかし、前章に おいて、国立教育研究所の調査を基に指摘したように、児童が数直線自体をよく 理解しているとは思われない。 数直線は、以下のように、小学校低学年においては数の表現方法の一つとして、 小学校高学年においては’量 ,、を表す図として、中学校においてはllE篁ZQsg12E. 塗方法として使われる。 下のかずのせんの□の中に、かずをかきましょう。 O 10 20 30 白〔小学校低学年〕(小学校算数教科書(1993a),p.95). 2,5mのテープを、0.8mずつ使って花かざりを作ります。花かざりは何こ. ?黷ト、テープは、何mあまるでしょうか。. @. 。.8m. Om. 。.8m. lm. @. 2m. 。,8m 論り□m. 2.5m. 3m. O.8m×3. k小学校高学年〕(小学校算数教科書(19930,p.29). 正の数で、大きい数から小さい数をひく計算、たとえば、7−5は、7よ 閧T小さい数を求めることである。このことは、数直線上で考えると、下の }のようになる。. @. 0. 2. 7. 7−5=2. k中学校〕(中学校数学教科書(1992),p。19). 【図2−1.数直線が使われる例】 数直線についての先行研究には、前出のCarr,K.ら(1984)の整数の加法や減法. を指導する際の利用に関する研究などがある。しかし、筆者のみる限り、児童が. 一 24 一.
(29) 数直線をどのように理解しているかといった認知的な側面に焦点を当てた研究は 少ないように思われる。. そこで、本章では、算数学習でよく使われる帯図、線分図、数直線の特性を比 較することによって、それぞれの特性を明らかにしていく。本章では、帯図、線 分図、数直線の特性を明らかにするために、次のように考察を進める。 中原忠男(1995)とBright,G.W.ら(1988)の先行研究をもとに、次の3つの比較. から、帯図、線分図、数直線、それぞれの特性の違いを考察していく。. ・帯図と線分図の比較 ・線分図と数直線の比較 ・帯図と数直線の比較 また、上記の帯図、線分図、数直線の特性の違いをふまえ、それらの特性の関 係を考察していく。. 25.
(30) pm/ paewainNpacottx 帯図と線分図を比較した場合、類似性とイメージ性について違いがみられると 考えられるため、この2つの特性について考察を加える。 ①類似性 例えば、次のような例を考えてみよう。. ノート80円. ⑩⑩⑩⑩⑩⑩⑩⑩ ⑩⑩⑩ a. けしゴムロ円. ちがい30円. ボールのねだん□円. b. もっていたおかね□円. だい金. もらったおかね□円. B. おつり. 出したお金 【図2−2】. 図2−2aは情景図を整理した図、図2−2bは帯図、図2−2cは線分図で ある。. 図2−2aのような情景図を整理した図は、ばらばらなものをその形態を残し ながら一列に並べたものであり、図が表しているものとの間の類似性は高い。. 線分図は、図が表しているものとの間に類似性をもたない。図2−2aのよう な情景図を整理した図は、ものの個数などをそのまま表現しているのに対して、. 図2−2cは、ものの個数を線分の長さとして表現しているのである。言い換え れば、線分図は、情景図を整理した図に比べて抽象的な表現であるといえる。. 一 26 一.
(31) 図2−2bの帯図は、具体物の形態を捨象し、数量の大きさを帯の長さとして. 表現したものである。⑩⑩⑩→○○○→魎→[=コ→トー一→という過程で 抽象的になっていくと考えると、帯図は、線分図の前段階の表現(過渡的表現) であり、情景図を整理した図と線分図の中間的な表現といえる。. ここから線分図を指導する上で、「情景図を整理した図→帯図→線分図」とい う段階が存在することがわかる。このことに関して、平林一栄、中原忠男(1989) は、次のように述べている。. 《 rもっていた数、/もらった数\. ①は、情景図を整理した段階である。. ooooooaooool ・一〇 /一一. この段階は、まだ情景図の段階とい えるだろう。②の段階は、情景図か. Dも・ていた数’一、/もら・た数\. [======]===コ…②. ら一歩進めて、ある一定の幅をもっ. rも・ていた数一Xiもらった数\. たテープで表した段階である。テー. 1−1”’@. プ図とも称される段階であるが、情. 景図から線分図への過渡的な段階といえるだろう。③の段階が線分図の 段階であり、一般的には、①→②→③の段階を経て導入される。》 (p.150). 各図における類似性と抽象化のレベルの関係を図示すると、次のようになる。. (指導順序)情景図を 一一一一→帯図一一一一一一一一→線分図. 整理した図. 黄菊画. [=コ. トー一→. 類似性. 抽象化. 【図2−3】. 27.
(32) 2イメージ性 例えば、次のような例を考えてみよう。. ↓ り F。oQ。百・. 一. Ψ. 一. ∪百 }】狸彗 一. 一. 1聖幽蝿1百三層. 口. ”. 一. 一. 鴨. }. _. 一. 一. 讐. 一. oLIu〕uo 一. 一 P. 騨. 需. 一. 騨. oL;uuuo 一幽. 一. 曜. 胴;岡需. a. − 唱n. 腫・P層唱脳. r、▼r卜ρr 引 ” 勘・. ↓. Q0m b. 1. 人分轄. 義. 魏. 【図2−4】. 帯図は、図2−4aのように、テープばかりでなくビーカーや水槽、積み木、 電車などといった様々なイメージを喚起することができる。一方、・図2−4bの ように、線分図は、テー一一プのような長さをもつものしかイメージできない。. この意味において、帯図はイメージ性に富み、線分図は二二に比べれば、イメ ージ性に欠けるといえよう。. 22m.一一impEgLLI*jEipa2.ttgwttspaetwpttwOrkwt. 線分図と数直線を比較した場合、自由性、規約性、縮約性、対象性について違 いがみられると考えられるため、この4っの特性について考察を加える。. 製. 次のような問題を考えてみる。. 28.
(33) 問 兄は身長130cm、弟は110cmです。兄は弟より何cm高いか。. この問題を解決する際、例えば、図2−5のような数直線が用いられる。 130c皿(兄). 0. 10. 20. 30. 40. 50 60 70. 80. 90. 100 110 120 130. 110cm(弟). 【図2−5】. また、図2−6のような線分図が、用いられるかもしれない。 130cm. 130cm. トー一一一一一→トー→. 110cm. □cm. へ 110cm ノ □cm. ノ. 130cm. Ocm. 110cm. 【図2−6】. 数直線の場合、数量は、原点(0)からの距離で表されるので、弟の身長と兄 の身長は、原点を始点とする線分の長さで示すより他はない。. 一・方、線分図は、図2−6のように兄の身長を分割して表現したり、兄の身長 を示す線分に対して弟の身長を示す線分の位置を自由にとることができる。この 意味において、線分図は、数直線に比べて自由性が高いといえる。. この自由性の違いによって、問題によっては、線分図で容易に表現できても、. 数直線で表現することが難しい場合がある。図2−7は、その一つの例である。. 29.
(34) ぎ三二三三禦三三艦聾2倍より3本多くな A トー一一一一一トー一一一一一トー→ 3. B トー一一一一一一H 【図2−71 ②規約性. 数直線の規約について、 「算数教育指導用語辞典」 (新教社)には、次のよう に示されている。. 次のような方法で、その上の点に数を対応させたとき、この直線を数直 線という。. O O.5 1 L5 2 3 X (1)まず、直線上に二つの点0とEとを. oR。?一。E.XノノPl②≧驚騰西欝禦を対応 (2)直線上の0、E以外の任意の点Pについて、線分OPの長さを、線 分OEの長さを単位として測定し、測定値をXとする。. (線分OPの長さ)=(線分OEの長さ)×X (3)点Pに数Xを対応させる。 (pe48). 上記のように、数直線は、一定の規約に基づいて構成され、また、この規約に 基づいて使用されなければならない。しかし、線分図は、「問題の数量を線分の 長さで表したもの」であり、さらに、その線分の長さも「長さの割合が多少違っ ていても差し支えない」のである。つまり、数直線には、それを構成するときに、. 従わなければならない厳密な規約が存在する。一方、線分図には、そうした厳密 な規約はなく、数直線の規約のいくつかが、暗黙的に使われていると考えられる。. 30.
(35) 難. 例えば、次の例を見てみよう。. 0. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 0. 10. 20. 30. 40. 50. 60. 70. 80. 90. 100 110 120. 11. 12. ↓. 【図2−8】. 数直線は、図2−8のようにある一定の間隔で短縮を行うことができる。. 0. 1. 2. 3. 4. 6. 5. 8. 7. 9. 10. 11. 12 〕. 0. 10. 5. ↓. 【図2−91 また、数直線は、図2−9のように問の数を略して書くなど、略記を行うこと ができる。これらのことから、数直線は縮約性をもっていることがわかる。. 線分図も、図2−10のように略記などの縮約性をもっている。しかし、数直線 とは略記のしかたに違いがみられる。. 10. 10. 6. 10. →. 【図2−10】. ④対象性 次のような例を考えてみよう。. 31. 10. 6.
(36) 160. − 100 ? 【図2−11】. 図2−11の線分図を見ると、線分と「160、100、?」という数と記号が書かれ ている。しかし、これだけでは、何を示し、どんな問題を表しているのかわから ない。つまり線分図は、それ自体では意味をもたない。線分図は、問題文などが あってはじめて意味をもつ表現なのである。. ①∼⑤は、それぞれ、どんな数をあらわしているでしょうか。. O 100000 200000. LLLLLLLLLLLu−LLLu−u.LumLLLL あ あ ゐ 6 6 【図2−12】. しかし、図2−12を見てもわかるように、数直線は、文章題のような問題文が なくても、それ自体で意味をもち、また数学の学習の対象になる。. この意味において、数直線は対象性をもつが、線分図は対象性をもたないとい える。. 3tS:LEge3paeXELmo1±th Bright,G.W.,Behr,M.J.,Post,T.R.とWachsmuth,L(1988)は、分数を表現する. ためのモデルとして、数直線が他のモデルと異なる点について、下記の3点をあ げている。. ・数直線のある長さは単位を表現するとともに、数直線は細分化を示す。 ・数直線では連続的な単位の間に視覚的な分割はない。 ・数直線は記号の使用を必要とする。 (p. 215). 32.
(37) ここでは、数直線と三図を比較しながら、上記のBright,G.W.ら(1988)の研究. をもとに、二二と数直線の特徴の違いを述べる。. o. o. m. ]. 0. 1(m). 【図2−13.数直線と帯図の例】. S[1)IIIII1Qila. Bright,G.W,ら(1988)は、単位の表現について次のように述べている。. << First,a length represents the unit,and the number line model suggests not only iteration of the unit but also simultaneous subdivisions of all iterated units . That is,the number 1ine can be treated as a ruler >> (p.215). (まず第一に、ある長さは単位を表現する。そして数直線のモデルは、. 単位の繰り返しだけでなく、繰り返した単位全体を同時に細分化するこ とも提案する。つまり、数直線は定規のように扱うことができる。). 匿ヨ=〔璽=コ=コ→5っのますの. 一. うちの3っ 3/i5. 【図2−14】. 【図2−15】. 図2−14の2つの数直線でもわかるように、数直線は、0から1までの長さを いろいろに変えることができる。つまり、数直線上では1単位の長さは任意であ る。しかし、帯図の場合は、図2−15をみてもわかるように、特に数が示されて いなければ、全体を1として取り扱う。したがって、帯図と数直線との間には、 1単位量が任意量であるかどうかの違いがある。. 33.
(38) ②連続性 Bright,G.W.ら(1988)は、連続性について次のよう.に述べている。. << Second, on a number line there is no visual separation between consecutive units . That is , the model is totally continuous . Both sets and regions as models. possess visual discreteness.When regions are used,for example,space is typically left between copies of the unit.>> (p.215). (第二に、数直線上では、連続する単位の間に視覚的な分割はない。つ. まり、モデルはまったく切れ目なく続いている。モデルとしての集合と 領域の両方は、視覚的には不連続である。例えば、領域が使われるとき、 単位の写しどうしの間には、すき間がおかれるのが普通である。) 0. 1 5/4. 2. ,……,…、…、………、,、…、1…liii……………………………………………l!…毒≡蝿. 【図2−16】 図2−16を見てもわかるように、分数を表す数直線と帯図を比較した場合、帯 図は切って表現することができるが、数直線は切って表現することができない。 glvegL!zijsgEe. Bright,G.W.ら(1988)は、記号の使用について次のように述べている。. << Third,the number line requires the use of symbols to convey part of the. intended meaning.......The signhicant issue is that the number 1ine requires an integration of two forms of information,visual and symbolic; >>. (p.215). (第三に、数直線は、意図した意味を伝えるために記号の使用を必要と する。..,...重要な点は、数直線が視覚的情報と記号的情報という2つ. の情報形態を統合する必要がある、ということである。). 一 34 一.
(39) A. ・トートー一 I A. o. bトー十一十一一一一1一一 。 藻 【図2−17】. 睡. E−M. ある線分が、数直線として意味をもつためには、その線分の中に最低2つ以上. の数字が書かれていなければなければならない。図2−17aの線分の中のAは、 aの線分の中に数字が書かれていないために数としての意味をもたない。図2−. 17bは、0と1が線分の中に書かれているために、その中のAは数として意味を もつことができる。しかしながら、図2−17cの帯図はいくつかの数を添えなく ても、数の意味を伝えることができる。つまり、数直線の中のある点が数として の意味をもつためには、線分の中に数字が添えられていなければならないのであ る。. 4.世図、線分図、数直線の特性の関係 これまで述べてきた帯図、線分図、数直線の主な特性の違いを抜き出し、まと め、図示してみると図2−18のようになる。. 帯図. 線分図. 数直線. 規雛. 1似1. ;. i土性 レ..一.・一・一・一膨’”e一”一. →抽象的. 斗← 【図2−18】. 35.
(40) この図から、帯図→線分図→数直線と表現が移っていくに従って、類似性が徐 々に減り、代わりに規約性が増えていることがわかる。自由性も帯図から数直線 に移っていくに従って徐々に減っていく。つまり、数直線は規約性の高い表現で あることがわかる。また、数直線は厳密性、客観性をもった表現である。しかし、. この数直線の厳密性、客観性が、かえって、児童に対する困難性を高めてしまう ことも考えられる。. 36.
(41) 第3章. 図的表現に関する調査. 第2章では、中原忠男(1995)やBright,G.W.ら(1988)の研究をもとにしながら、. 帯図、線分図、数直線は、それぞれ異なる特性をもっていることを指摘した。. 本章では、児童が図譜表現(帯図、線分図、数直線)をどのように理解し、問 題解決の場でどのように使用するのかを調べるために調査を行い、その調査結果 を分析する。. まず、第1節では、以下の3点を調査目的とした。 〈第1節の調査目的〉. ・児童は、文章問題内の数量関係を何らかの図に表すことができるの か、また、どのような図をかくのかを調べる。 ・数直線に関する問題で、児童が犯す誤りを調べる。. ・文章題の数量関係を表す線分図に数値をはめ込む問題で、児童が犯 す誤りを調べる。. 第1節では、上記の調査目的のもとで調査し、その結果を分析する。 第2節では、以下の点を調べるために、第1節で行った調査結果を再分析する。. ・文章題の数量関係を図にかく能力と文章題の数量関係をよみとる能 力との関連を調べる。. 本章では、これらの調査結果の分析から、児童の図的表現(右図、線分図、数 直線)の理解の様相を明らかにし、「図のかき方を知らない」という状態に対す る教育的な対処策を考えるための一助としたい。. 37.
(42) 第1節 帯図、線分図、数直線に関する調査 1.調査の概要 _(」⊥調査墨題(資料参照). A.文章題内の数量関係を図をかかせる問題 1題. B.数直線に関する問題 8題 C.文章題の数量関係を表す線分図に数値をはめ込む問題 5題 (比較のために、二二を用いて数量関係を表す問題1題を含む。) (2)調査 法. 調査は、質問紙を使用した。まずはじめに、問題Aのみを与え、10分で. 解答させた。解答後、問題Aは回収した。次に、問題B,Cを与え、30分 で解答させた。 一g(一3−LEewESMIESet*es. 対象とした被験者は、線分図、数直線の学習を終えている、静岡市内の 公立の小学校の4年生、112名である。 調査時期は、1995年5月下旬である。 2Laij±ieegme. (1)問題A ここでは、中原忠男(1995)の図的表現の分類をもとに、児童がかいた図を分 類する。さらに、Lopez−Real,F.ら(1993)の先行研究をもとに、それぞれの図の 中にSuccessful Diagramがいくつあるかを調べる。. まず、以下では、児童がかいた図の典型を示す。. 38.
(43) (手続き図). (場面図). (灘鰹購鋤. 1励たの考綱敬、 鮎嫁た. 俗んヒム{ナ でき 、.,.t. utt611iixew[c)eszllvl oeql q!. i製∵ 2携∵曙え (情景図) あなた。考。麟・1. (帯図). シ獄に. bi. くあなたのぐえた こいいゆ. ・ご)rηメN、/一s‘6’えt’:. 2’「人. 岬’〔 ナ・ 驚’ 丁 ペ. 阻画歴皿働. ノ. 一一一一 3与人ノ〆. 医1. 3り一2n=ワ,. (線分図). 鞭叢. 撃礼17人. (式のみ). 。。た。轍。、巖「一7=一一丁一 ×. 式34−2「7 薯え声風かgx{i:kt}一N7,N. 一 39. 導憾誹2. 劉\.
(44) (グラフ図). (数直線). 茎ギ熱望. (あなたの考えた図). 翼. 欝 齪 to. v0ωく I. 2ρ. へ. (文のみ). 二ってをん←・の 糎’わψラΣない.. あなたのオえた ラ fiea初、〈ごスし(, z lレく. 素っ1“て.・あ∼労’タ. 【図3−1.児童の図の典型】. げ’乙’、. 2府巨9吃ρ舜歌 t. z. {ざ酬驚i遷/ 3ぽ雰.力望.セる.い齢(長.一.七四.... 鋤「・nA.ユと・ 次に・以下では・Succe・sfU1 Di・9r・mとU・・ucces・血l p・9・amの典型を示す・ ( Uns’uccessfu1 Diagram ). (. Successfu1 Diagram ) 隔なたの考えた図). プ峡た. (あなたの考えた図》 一t.一.,一.,=,v一一一一一=一r”=“一一. 下平 へ り. 鎮実. 鰯簸鰯魁獅 鰹鍵覧。 s. o. o sS’. 薩隻翫3にな表 それ圏∼て3らP人η・5 ‘言∠1・一一二Lワニフ. 論えワK. 2似・起レ∼く笠!昏え が’エ・る.. 【図3 一 2 .SuccessfU1 DiagramとUnsuccessful Diρgramの典型】. 一 40 一. @.
(45) 次の表とグラフは、児童のかいた図を分類した結果と、それらの図の中に、 SuccessfUl Diagramがどの程度含まれているかを調べた結果を示す。(なお、グラ フの中の「S.D」は、 SuccessfU1 Diagramを示す。). 【表3−1.問題Aの結果】. 構造図. Successful Diagram〈割合〉・. 図の種類. 数(割合). 場面図. 38(33.9). 手続き図. 32(28.6). 26<68.4> 14<43.8>. 情景図. 14(12.5). 0< 0.0>. 帯図. 10(8.9). 8<80.0>. 5(4.5). 4<80.0>. 式のみ. 4(3.6). 0< 0.0>. 数直線. 3(2.7). 3<100.0>. グラフ図. 2(1.8). 1<50.0>. 文のみ. 2(1,8). 0< 0.0>. 白紙. 2(1.8). 0< 0,0>. 線分図. 計. 56<50.0>. 112(100). は全体112人に対する割合(%)、 <>1子等の数に対するSuccessfUl Diagramの割合(. ㎜各図の数. 國s.D. すコロロロドロココアロロサコロ. 40. /1 コ l I l l l. 0. l l l l. 1. 30. ’. n I I I. l l l l l. 麺 しロ 1 l I I I I. l. , 贋 , l 屡. I. I I I I I. ア. ロ. I l l I I. ヨコロコロヒロロコヨロ. ヒコロロヨロロロロロ. 匡コ l. l 匹 1 翻ロ l l. l I 口 I I I 翻 I 8. l t l 1. l I l 1. †一一一一1一一一一トー一r一一一一P一一一→一一一一トー一一→一一一叫. .. l ’、. I. I. I. 匪. 「. l I l l l I l l I l l I I l l }. l. l. l. 1. l. I. ,. I. l. i. I. I. 酢 r I l r l l l 膠 l I l l l I 臨. l. I l I I. }. 1 1 T S 1 1 1 1. ’「一一一「一響騨罹宇一一一一3一一一嘗tr一一一「一騨}一tr一曜曜■ロー一一,. 数20. 1. 匹. 1. l. l. l. 1 I. 匡. 1. 「. 「. 1. 囹. l. l. l. l. V. 騨. I. l. l 圏. I l. 「. I. 1 1 t 1 1 1 1 l. 1. 1. ,. .. 疇. Irw 1 1 1 e 1 1 1 I I 1. ■ 幽. →. 匪 「. I l. 騨 l. セー一一一「,一ロー置一一一一■伽一一一一陵一暫一曽噌曽O曹一,. 脚. 10. , ,. ■. l. ,. 8. 暉. 1. l. l. , ■. l. 匪 匡. l. 日 ’翻. l. 圏. l. ■. .)1111[IIIj lww v 1 1 1 1 e. sts[sts[〈NllllillM wwllli J.6$$$$sssm 1 1 e 1 1. 1. 圏. ∠ ミiiili≡ ・’. o. ’. G一ノ. こ’こ’こ・ここS’,1. グラフ. き. 図の種類 【グラフ3−1.問題Aの結果】. 41. 各図の数. ノ 7. ノ. 文. 白紙.
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