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<論文>中国における取引慣行に関する一考察--大規模小売業の通道費を中心に

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(1)商経学叢 第61巻第2号 2014年12月 . 中国における取引慣行に関する一考察 ―大規模小売業の通道費を中心に―. 朱 . 洪. 双. 概要 中国では,2000年代以降,経営ノウハウを徐々に蓄積してきた国内の大規模小売業者 と外資系小売業者が熾烈な競争を繰り広げた。激しい価格競争に加えて販売管理費の高騰が 収益を圧迫し,小売業者の利益率は低下する一方である。このような市場環境の下で,供給 業者と大規模小売業者の間においては,取引条件やチャネルリーダーシップを巡って激しい 対立が頻繁に発生している。中でも,より一層強いバイイング・パワーを持つようになった 大規模小売業者は収益獲得方法を従来の商品の仕入れ・販売によるマージンの獲得から通道 費の徴収へと転換し,優越的地位の濫用の問題が頻繁に発生している。本稿では,中国の大 規模小売業者と供給業者との取引慣行である通道費に着目し,それがいかに形成され,制度 化されてきたかを明らかにするとともに,その特徴と問題点を究明する。 キーワード 取引慣行,通道費,スロッティング・アローワンス 原稿受理日 2014年9月30日 掲載許可日 2014年12月8日. Abstract In China.domestic retailers gradually accumulated management knowhow and competed severely with foreign retail companies after the2000s. A cutthroat price competition and a remarkable rise of the selling and administrative expenses suppressed profitability of the retailers. Channel conflict between suppliers and large-scale retailers has often occurred over terms of transaction and channel leadership under such a market environment. Large-scale retailers who gained strong buying power have acquired profit not through margin between the purchase price and the selling price, but through the collection of Chinese slotting allowance. This is often identified and criticized as the abuse of dominant bargaining position. This paper will focus on the Chinese slotting allowance which is the trade practice between largescale retailers and suppliers and clarify how the Chinese slotting allowance has been formed and institutionalized and what its characteristics and problems are. Key words Trade Practices, Chinese Slotting Allowance, Slotting Allowance. 147( ) 441 ─ ─ .

(2) 第61巻 第2号. 1. は じ め に. 中国の流通小売業界では,1978年以降の改革開放と急速な経済成長を背景に,目覚まし い発展を遂げている。とりわけ,1992年から中国の小売業界では,政府の流通開放政策の 実施を契機に急速な規制緩和が進み,海外の小売業者が本格的に中国の小売市場へ参入し 始めた。外資企業の経営活動は中国の流通近代化の促進や消費生活の向上に大きく寄与し ている。1996年半ば頃,カルフールは台湾のマネジメント・チームが中心となって中国市 場への大規模な進出を開始し,台湾と同様に先発者の優位を生かした低コスト・高収益の 経営モデルの競争優位の確立により,外資系小売業者の初期参入者として大きな成功を収 めた。台湾で確立した低コスト・高収益の拡張を支えたものはテナント料と通道費の徴収 であり,当初,中国の小売市場でもカルフールは通道費をベースとした低コストでの商品 調達システムを築いた。 カルフールの通道費を中心とする低コストの拡大モデルは,資 金や技術が乏しい中でしかしいち早く低コストで拡大しようとする中国の国内小売業者に 歓迎され,熱心に模倣されるようになった。 1990年代後半から,国内の新しいビジネスの展開と海外からの大規模小売資本の大量参 入により,小売市場の競争が一層激しくなってきた。とりわけ2000年代以降,経営ノウハ ウを徐々に蓄積してきた国内の大規模小売業者は,外資系小売企業と熾烈な競争を繰り広 げた。また,近年,中国においては,特に激しい価格競争に加えて販売管理費の高騰が収 益を圧迫し,小売業者の利益率は低下する一方である。このような環境の下で,供給業者 と大規模小売業者の間で,取引条件やチャネルリーダーシップを巡って激しい対立が頻繁 に発生している。中でも,より一層強いバイイング・パワーを持つようになった大規模小 売業者は利益を補てんするために,収益獲得方法を従来の商品の仕入れ・販売によるマー ジンの獲得から通道費の徴収へと転換しつつある。言い換えれば,大規模小売業者はリス クを負いながら仕入と販売の価格差で利益を稼ぐのではなく,主に通道費の徴収によって 利益を確保している。 通道費の取引方式は,1990年代半ば頃にカルフールを経由して中国小売市場に導入され た。通道費はその導入初期において,欧米の取引慣行であるスロッティング・アローワン  東・葉(2011),2324ページ。  渡辺(2013),3031ページ。  学術界ではこのような取引方式を批判的な観点から「食利型」(金利生活型)経営方式と呼ん でいる。陳(2010)を参照。. 442 ─ 148( ) ─ .

(3) 中国における取引慣行に関する一考察(朱)  と同義として中国でも容認された。1 996年,カルフールが中 ス(Slotting allowance). 国市場に進出した時,通道費の徴収を武器に店舗網を拡大する狙いがあったため, 「スロッ ティング・アローワンスは国際的な取引慣習である」というスローガンを揚げて,法律制 度がまだ不十分であった中国市場で金銭および金銭以外の各種の要求を急激に増加させ た。 また, 後発の小売業者との価格競争が激化する中で, 民営の供給業者が大幅に増加 するにつれて,店舗分権制の下にあったカルフールの各店舗は,本部からの業績向上の圧 力に対応するには通道費の徴収が最も容易で確実な方法であったため,通道費の適用範囲 や金額を絶えず拡大した。このように,中国の特殊な市場環境の中で,通道費はその徴収 額が欧米のスロッティング・アローワンスをはるかに超え,中国の独特な取引慣行として 定着している。 一方で,特に2000年代初頭から,大規模小売業者のパワーが高まるにつれて,供給業者 に対して,通道費をはじめとする各種費用の徴収や有利な取引条件 の適用,さらには仕 入れ代金の支払いの延長 を認めさせることによって,収益的な恩恵を受けており,優越 的地位の濫用の問題が生じている。近年,中国の大規模小売業者は供給業者との間で通道 費の問題を巡る対立が頻繁に起こっており,1つの深刻な社会問題として各メディアで大 きく報道されている。 近年,家電産業をはじめ多くの産業では,通道費を巡って,業界関係者のみならず政府 や研究者による激しい議論が展開されている。しかし,従来の研究は欧米研究者のスロッ ティング・アローワンスに関する研究成果に基づくものが多いため,通道費が先進国およ  スロッティング・アローワンスとは主に製造業者や卸売業者が小売店舗による新商品の在庫管 理や陳列,ディスプレーなどのために一回限り支払う費用であり, 当時, スロッティング・ア ローワンスはアメリカ商業取引促進費(trade promotion expenditure)の一種として供給業者か ら徴収した費用であったということを意味した。Chu( 1992),328ページ。  陳(2002),910ページ。  供給業者に対して店舗売場位置の競売,派遣販売員の要請,促進販売特価商品の提供要請,仕 入れ価格の引き下げ要求などを行っている。  2006年11月15日,商業部による「小売業者と供給業者における公平取引管理弁法」が公布され た。同弁法の第14条では小売業者は供給業者と商品属性に基づき契約書に代金支払い期限を明確 に定めなければならず,そして支払い期限は最長でも商品受領後60日を超えてはならないと規定 している。  中国の有名な家電メーカーである格力空調と国美電器との間で起こった垂直的衝突はこの典型 である。2004年2月,成都市で国美の6店舗が格力空調の同意を得ないままで,勝手にエアコン の価格を大幅に引き下げていたことが事件のきっかけである。格力空調は国美電器にエアコンの 低価格販売を中止することを要求したが,国美電器が拒否した。その結果,格力空調は国美電器 への商品提供を中止した。2004年3月9日,国美電器の北京本部は各地の支店に対して「格力空 調の商品の在庫整理に関する緊急通知」を発表し,格力空調との契約関係を破棄することになっ た。当時,国美電器は優越的地位を濫用して格力空調から様々な有利な取引条件を引き出したが, 「格力空調は国美電器との取引決裂を決定する主な原因として, 国美電器から徴収した煩雑, 高 額な通道費に耐えられなかった」と多くのメディアや研究者によって指摘された。『福州晩報』 2004年3月12日,『市場報』2004年3月18日,朱(2004)。. 443 ─ 149( ) ─ .

(4) 第61巻 第2号. び市場経済に存在する一般的な取引慣行であり,小売チェーン経営の国際的な取引慣習で もあるという考え方が多い。その一方で,中国の小売市場の現状を根拠として,通道費は 大規模小売業者による優越的地位の濫用であり,不合理な行為であるという考え方も存在 している。これまでの議論は,通道費の徴収に関する合理性と不合理性の境界を明確に定 めることができていない。 他方,日本の学術界では,外資系の大規模小売業者の中国市場への参入,特に日系企業 の中国・アジア市場への進出に関するものが多く見られる。中国の内資系小売業に関し ては,その発展経緯及び成功・失敗の要因に関する研究がほとんどであり,独特な取引 問題に着目した研究は相対的に少ない。 通道費に関してはいくつかの論文の中で言及さ れたが,中国の独特な取引慣行としての特徴の提示と定着要因の解明が十分になされてき たとは言い難い。 なお, 日本語文献の中には「入場費」や「入店料」などの用語を用いたものがある。 本稿では「通道費」という用語を用いることとする。それは以下の理由による。中国の実 務界やメディアでは「通道費」,「通路費」,「入場費」,「進場費」の用語 がよく用いられ ており,まだ統一されていない。しかし,中国の学術界では一般的に通道費を狭義と広義 に分けて,それぞれ「入場費」と「通道費」を区別して使う場合が多い。本稿においては, 中国の学術界で一般に使われている用語法に従い,広義の「通道費」という用語を用いる。 本稿の課題は,中国の大規模小売業者と供給業者との取引慣行である通道費が中国の特 殊な市場環境の中でいかに形成され,制度化されてきたかを明らかにするとともに,その 特徴と問題点を指摘することである。具体的には,まず,欧米のスロッティング・アロー ワンスとの比較を通じて,中国における通道費の特徴を指摘し,両者の差異を浮き彫りに する。 次に, 中国の小売市場における通道費の生成背景を明らかにする。 最後に, カル  例えば, ①欧米系のウォルマート, カルフールについての研究は葉(2 003), 胡(2003), 黄 (20 03),黄(2006),馮(2007),柯(2011),韓(2012),任(2012) ②日系のイトートーカ堂や イ オ ン に つ い て の 研 究 は 矢 作(2 005,2009), 李(2008), 黄・李(2008), 矢 作(2009), 李 (2010),竹内(2010),③欧米日小売業の参入戦略に関する比較の研究は平賀(2006),向山・崔 (2009)④総合型小売企業のグローバル戦略の困難性に関する研究はコースジェンス(2012)な どが挙げられる。  中 国 の 内 資 系 小 売 業 に 関 す る 研 究 は 葉(2 004), 矢 作(2003,200 9), 渡 辺(2 010,2011, 2012,2013),矢野(2011)などが挙げられる。  中国内資系小売業のバイヤーと供給業者間の取引慣行とバイイング・パワーに関する研究は渡 辺(2003,2008,2009,2010,2011,2013),杉野(2008),陳(2011,2013),朱(2013,2014) などが挙げられる。  例えば,東・葉(2011)は「入店費」という用語を用いている。渡辺(2011)は「進場費」と いう用語を用いている。陳(2011)は「入場費」と「進場費」という2つの用語を狭義の費用と して区別しないままで用いている。渡辺(2013)は「入場費」と「通道費」という2つの用語を 広義の費用として区別しないままで用いている。  これら4つの用語はすべて中国語本来の表記に従っている。. 444 ─ 150( ) ─ .

(5) 中国における取引慣行に関する一考察(朱). フールの事例を通じて中国の大規模小売業における通道費の問題点を指摘したい。. 2. 「通道費」とは―欧米のスロッティング・アローワンスとの比較. 通道費は,1990年代半ば頃にカルフールを経由して中国小売市場に導入された。通道費 はその導入初期において,欧米の取引慣行であるスロッティング・アローワンスと同義と して中国でも容認されたが,実際は中国の通道費と欧米のスロッティング・アローワンス は,徴収される費用の範囲,金額および目的が異なる。本節では,欧米の取引慣行である スロッティング・アローワンスとの比較を通じて,中国における通道費の特徴を浮き彫り にするとともに,近年通道費に関する研究動向を確認したい。. 2.1 欧米のスロッティング・アローワンスの意味 欧米のスロッティング・アローワンスは1970年代にアメリカの大型スーパーなどのチェー ン小売業によって最初に導入された。導入初期は,主に製造業者や卸売業者が小売店舗に よる新商品の在庫管理や陳列などのために一回限り支払う費用であり, 商業取引促進費 (trade promotion expenditure)の一種として供給業者から徴収された。1990年代から, 欧米ではグロサリー部門における取引慣行として広く普及し大きな関心が寄せられた。欧 米の学術界では Shaffer(1991)がスロッティング・アローワンスに関する先駆的研究で ある。彼によれば,スロッティング・アローワンスとは,製造業者や卸売業者が,顧客で あるスーパーなどの大規模小売業者に対して,陳列棚やバックルームの在庫スペースを確 保するために,新製品を納入する際に一括・前払いで小売業者に支払う手数料のことであ ると定義している。 そもそもは, スロッティング・アローワンスは「新製品の陳列棚や バックルームの在庫スペースを確保するため」というようにその目的が限定されていたが, 1990年代以降,「新製品の店頭での特別陳列,特別セールあるいは新製品の広告などのた め」というように範囲が拡大した。さらに新製品の受け入れに対して,しばしば景品供与, 現品添付など金銭以外の形態をとるアローワンスも増加した。このように,スロッティン グ・アローワンスは,新製品の品目が増え,徴収形態も多様になるにつれて,取引の透明 性が問われるようになった。1995年11月,米連邦取引委員会(FTC)はスロッティング・ アローワンスに関する公聴会を開き,本格的に調査を開始した。.  Messinger and Narasimhan(1995)。. 445 ─ 151( ) ─ .

(6) 第61巻 第2号. FTC の調査報告書 によれば,欧米のスロッティング・アローワンスが近年,次第に拡 大した理由としては第一に,食品・雑貨を中心としたグロサリー部門で新製品の開発が急 に加速し,小売業者側の新製品取扱費が急増したこと,第二に,スーパー・専門量販店な どの大規模小売業が急成長し,製造業者などの供給業者に対して強力な取引交渉力が行使 されたことである。 その後, スロッティング・アローワンスを徴収する商品は, 加工食 品や日用雑貨を超えて,医薬品,衣料品,飲料などの分野に拡大してきた。また,新製品 の取り扱い開始時ばかりでなく,それを継続して陳列することを条件に,継続取扱料など の追加料金が徴収されるようになったほか,在庫管理システムの運用費用,広告費用,店 頭デモンストレーションの費用なども小売業者から請求されるようになった。同調査によ れば,スロッティング・アローワンスの徴収は料金という金銭的な代価ばかりでなく,現 品添付といわれる商品そのものの割増し納入や景品の無料添付という形もある。その後, 何回か公聴会を開き,グロサリー小売業に対してフォローアップ調査をしていたが,2001 年の FTC の調査報告書によれば,グロサリー部門では「新製品の失敗率は80~90%であっ て,小売業者からすれば,新製品のために用意した陳列棚の機会費用や各種の管理費を相  という結論を下した。そこで FTC はスロッティング・ 殺するための手数料は不可欠だ」. アローワンスの定義について,「供給業者から,小売業者に対して,新製品を取り扱って もらい,陳列棚に乗せてもらうために,一括・前払いで支払う費用」 と規範した。さら に,2003年の報告書ではスロッティング・アローワンスは継続取り扱い料や金銭以外の手 当ても含むようになった。 欧米の学術界ではスロッティング・アローワンスをプレゼン テーション・フィー(Presentation Fees),スロッティング・フィー(Slotting Fees) , ディスプレイー・フィー(Display Fees),継続取扱料(Pay-to-stay Fees)および失敗 料(Failure Fees)という5つに分類している。. 表1 欧米のスロッティング・アローワンスの構成項目 スロッティング・アローワンスの種類. 費用徴収の詳細. Presentation Fees. 商品展示のため一回限り支払う費用. Slotting Fees. 商品陳列棚を獲得するため事前に支払う費用. Display Fees. 特別な商品を展示するために支払う費用.  FTC(1995)。  小林(2006),281ページ。  同上,283ページ。  2001年2月20日公表された FTC の調査報告書の出版を告知する文書である。小林(2 006),288 ページを参照。  Bloom, Gundlach and Cannon(2 000)。. 152( ) 446 ─ ─ .

(7) 中国における取引慣行に関する一考察(朱) Pay-to-stay Fees. 小売店舗に継続的に商品を展示してもらうために支払う費用. Failure Fees. 新製品の売行き不振の場合に支払う補償手数料. 出所:Bloom. Gundlach and Cannon(2 000)に基づき作成。. 2.2 中国における通道費の意味と理論研究の現状 中国の学術界では, 通道費に関する最初の定義は2002年に『上海連鎖経営研究所』が 「スーパーマーケットチェーンが供給業者から徴収する通道費に関する研究報告書」の中 で公表した。同報告書によると,通道費は「商品の供給業者が自らの商品を小売業者の売 り場で陳列するために,事前に一回限りで支払う費用,または小売業者が売上代金から差 し引いた費用」と定義された。これは2001年の FTC の調査報告書におけるスロッティン グ・アローワンスの定義を参照したものであった。これは多くの学者がもともと中国の 通道費と欧米のスロッティング・アローワンスを同義と捉えていたからこそ,上海連鎖経 営研究所もその考え方に従った定義を公表した。 2000年以降,中国では,家電産業をはじめ多くの産業で導入されてきた通道費を巡って, 業界関係者や政府,学術界で激しい議論が展開されている。まず,2000年代前半の研究は 1990年代以降のアメリカにおける製造業者と小売業者とのスロッティング・アローワンス 問題に関する学術的論争の観点,すなわち,製造業者が新製品をスーパーで販売するため に支払った費用が反トラスト法の諸規定に違反するかどうかに注目し,相反する2つの結 論を得た。一つの結論は FTC の判例を根拠として,中国の小売業の通道費は国際取引慣 習に則ったものであり,政府が政策を制定して適切な規範を加えれば合理的であるとの主 張であった。もう一つは,中国小売市場の現状を根拠として, 通道費は大規模小売業に おける優越的地位の濫用行為であり,政府は通道費を競争法規制に収めるべきとの主張で あった。 2000年代半ば以降,通道費に関する研究は盛んに行われており,費用徴収の内容も明確 に指摘されるようになった。中国の学術界では一般的に通道費を狭義と広義に分けて定義 している。狭義の通道費は「入場費」のことであり,供給業者が小売業者の売場スペース の使用権を獲得するために支払う費用である。広義の通道費とは「小売向け販売促進であ り,供給業者が小売業者の販売チャネルを使用する際に取引価格以外に支払う各種の費用,  胡(2008),50ページ。  上海連鎖経営研究所(2002),陳(2002),木子・風華(2003),徐又平・袁俊(2003),陳 孫君(2003),劉鳳(2004),張清芳(2004)。  楊凱(2003),呉小丁(2003),李剣(2004)。. 447 ─ 153( ) ─ . ・.

(8) 第61巻 第2号. または費用形式以外の割引」を指す。 広義の通道費は,費用の徴収が商品の売上高に関 連するかどうかによって大別される。商品の売上高に関する通道費とは,新商品に関する バーコード費や入場費,成熟商品に関する陳列棚費,エンド陳列費などのあらかじめ一回 限りで徴収される費用のほか,販促にかかわる新商品の売上保証費,成熟商品の販促費や 割引販促費などの費用とこれらに関する売上リベートなどを指す。一方,商品の売上高と は無関係な通道費には,祝祭日費,開店周年記念費,新店開業費,契約更新費などが含ま れる。. 表2 中国における通道費の分類. 商品の売上高に関連す る通道費. 新商品. 成熟商品. 事前一回限りの支払費用. 第一類:バーコード費, 入場費. 第二類:陳列棚費, エンド陳列費. 事後一回限りの支払費用. 第三類:売上保証費. 第四類:販促費,割 引販促費. 継続的に課される費用. 第五類:売上リベート. 商品の売上高に無関係 な通道費. ―. 祝祭日費,開店周年記念費, 新店開業費,契約更新費. 出所:劉・瀋(2008),17ページ。. 2000年代後半以降の研究は, 応用ミクロ経済学の手法を援用する欧米研究者のスロッ ティング・アローワンに関する研究成果に基づいて,通道費が供給業者,小売業者および 消費者の利潤にどのような影響を与えているかに関する実証を行っている。とりわけ,近 年,中国の大規模小売業者における通道費の徴収が範囲でも金額でも大きくなる傾向があ り,供給業者と小売業者間のパワー関係を捉えた研究が多く存在する。これらの研究は, 市場パワーと経済的収益性といった基本的な因果関係を,統計的手法を用いて分析し,通 道費の合理性を解明しようとしており,その中で,大規模小売業者による優越的地位の濫 用問題に注目している。 例えば, 汪(2006)は供給業者の市場を2つの代替品の製造業 者が存在する市場と仮定し,小売市場を低価格販売により高市場シェアを占める1つの大 型スーパーマーケットと市場シェアの低いその他多数の小型スーパーマーケットにより構 成されると仮定して研究を進めた。彼の研究によれば,高市場シェアのスーパーマーケッ  趙(2011),13ページ。  劉・瀋(2008),17ページ。  汪浩(2006),張賛・郁義鴻(2006),石奇・岳中剛(2008),徐健(2008),杜玉申・張屹山・ 劉玉紅(2008),劉向東・瀋健(2008),林娜(2009)。. 448 ─ 154( ) ─ .

(9) 中国における取引慣行に関する一考察(朱). トは通道費を徴収する際,商品の売上高に関連する通道費の中で,一回限り(事前一回限 りの支払費用も含む)の支払費用は利潤を製造業者から大型スーパーへと移転させるが, 継続的に課される費用は利潤を製造業者からではなくむしろ小型スーパーから大型スー パーへ移転させるという結果を示した。すなわち,通道費の徴収は,大型スーパーの供給 業者に対する優勢を強めるのみならず,他の競争者を排除する効果もあり,市場地位の強 い大型スーパーは通道費の徴収で競争者(多数の小型スーパー)の仕入れコストを上昇さ せ,最終的に小型スーパーに不利益を招くことを解明した。 これらの研究に典型的にみられるように,多くの研究者は,通道費の徴収に関して一定 の仮定条件を設けた上で検討している。しかし,中国の市場経済,特に流通小売市場は, 改革開放から未だ30年程度の若く不確実性の高い市場であり,またその広大な国土におけ る地域間差(都市と地方都市の差や商慣習,法制,税制などの差)が存在しており,市場 管理も難しく競争環境も非常に厳しい。したがって,多くの研究者が実証分析のために設 定するこれらの仮定は中国市場の実態と合わない場合が多く,議論が錯綜する傾向が見ら れる。 言うまでもなく,一国の流通小売市場はその発展過程において独自の商慣習や流通政策, 外資政策などの影響を受けながら形成されてきた。また,各国の取引慣行は,その国独自 の地理的・社会的要因のほか,社会風俗や習慣といった経済外的な諸要素を背景としてお り, 長い歴史の中で培われ定着してきたものである。 特に中国においては, 日欧米の主 要先進諸国と異なり,社会主義体制による共産党の一党支配という政治体制及び政策の特 殊性を無視できない。そのため,中国では,企業間の取引慣行についての研究は内部環境 だけではなく,政治や歴史という外部環境からの影響を踏まえることが重要であると考え られる。 しかしながら,ここまで通道費に関する既存研究は欧米のスロッティング・ア ローワンスに基づいて行われた研究がほとんどであり,中国の小売市場の実情を無視して 通道費の合理性について検討しているという点において一面的と言わざるを得ない。本稿 は,歴史的な視点から通道費の形成と制度化の過程を把握することを通じて,先行研究を 補完することを意図している。.  他にも,張・郁(2006)は小売業者が独占する3種類の市場構造,すなわち,双方独占市場, 供給業者が完全競争と小売業者が完全独占の市場及び買手独占市場を仮定し,小売業者と供給業 者の情報も完全であり市場環境も安定している場合に,通道費の徴収が小売業者,供給業者,消 費者及び社会福祉へどのような影響を及ぼすかについて論じた。  岩重(1992),129ページ。. 449 ─ 155( ) ─ .

(10) 第61巻 第2号. 3. 中国の小売市場における通道費の生成背景. 中国では,1978年に改革開放が断行される前,消費財の流通は長期にわたり国の商業部 と供銷社(全国供給販売協同組合)により行われ,日用品や農産物などの流通は高度に集 中した計画経済に従って行われた。そのために,中国の小売業は少数の百貨店と無数の零 細小売商という構造が一般的であった。1978年の改革開放政策の実施以降,中国の小売市 場は大きく変貌した。とりわけ,1992年,中国政府による対外開放政策を実験的に進める ことを決定して以降,海外の小売業者が本格的に中国の小売市場へ参入し始めた。外資進 出により,中国には存在しなかった小売業態が導入され,中国小売業の業態革新が促進さ れた。中国小売市場に進出している有力小売企業のなかで,最も精力的な店舗展開をして いるのはフランス最大の小売業カルフールである。また,1994年以降チェーン経営の発展 を推進する政策が実施され,1999年に食品スーパー・チェーン「聯華超市」がそれまで売 上高で首位の座を占めてきた「第一百貨店」を初めて追い越した。小売業の主役が百貨店 から次第に大型スーパー,家電量販店などの業態へと移っていく状況は日本の小売業が歩 んできた道のりと酷似している。このように,90年代以降,中国では,特殊な政治体制及 び政策の下で,小売業態の主役交代に伴って新しい取引制度が導入された。通道費はその うちの1つである。. 3.1 外資の進出とその影響 中国では,外資企業による小売業への参入は従来,1992年まで原則的に禁止されてきた。 それ以前に参入した外資系企業はごくわずかであり,あくまで特例措置として参入が許可 されるにすぎなかった。1992年に開催された「中国共産党14期三中全会」において社会主 義市場体制の形成という経済改革の目標が決定されたことを転機として,中国小売流通の 近代化は新たな段階へ進んだ。中国政府は流通近代化を推進するために,流通開放政策と チェーンストア推進政策を打ち出し,中国流通業の成長に大きな刺激を与えた。 1992年7月に,「商業小売分野の外資利用問題に関する許可」が公布され,6つの沿海 都市 と5つの経済特区 において,中国と外国資本の合資あるいは共同経営による小売 業者経営が試行的に認められた。改革当初,根強い産業保護の立場から,中国政府はその  北京,上海,天津,広州,大連,青島を指す。  深セン,珠海,厦門,汕頭,海南の5つの沿海都市を指す。. 450 ─ 156( ) ─ .

(11) 中国における取引慣行に関する一考察(朱). 開放の度合いをまず最小限にし,そのリスクを有効にコントロールできる範囲内にとどめ, その後漸次開放の範囲を拡大するという方針を採った。まず各都市で1つか2つの中国企 業と外資企業の合資,あるいは共同経営による商業小売企業の試行が認められた。その他 の都市での外資小売業者の設立は禁止された。また,外資の小売業参入は合弁または合作 方式によるものとされ,独資は禁止された。1992年7月, 国務院に認可された外資小売 企業15社のうち,日本企業4社(ヤオハン,ジャスコ2社,ニチイ) ,米国企業1社(ウォ ルマート)以外は全て香港企業または東南アジアの華僑系企業によるものであった。また これら,15社のほとんどは百貨店業態であった。この小売業の対外開放政策が一定の成果 を得たことから,1995年には外資への規制を緩和し,北京あるいは上海で2社の合弁チェー ンストア企業を試験的に設立することを決めた。その中で,米国のウォルマートやフラン スのカルフールなどの国際大手企業が大量に中国小売市場に参入したこの時期に,伝統的 な業態である百貨店に代わり,スーパーマーケット,アウトレット・モール,ディスカウ ント・ストア,コンビニエンス・ストアなどの新たな業態が中国市場に現れることになっ た。 中国政府の対外開放は, 内資系小売業の発展に積極的な役割を果たしている。 第1 に,外資の参入により,国内企業同士の合併・買収や地場企業の大型化(チェーンストア 化)という小売業再編を加速させ,流通近代化への歩みを加速させたことである。第2に, 外資の参入により,中国には存在しなかった小売業態が導入され,中国小売業の業態革新 が促進された。第3に,外資小売企業の中国市場参入により,海外の先進的な営業,販売 方法,管理経験および経営ノウハウなどを中国の内資系小売業が模倣することで,内資の チェーン小売業構造の変革を強く促した。 また,これらの対外開放政策に加えて,中国政府はチェーンストアの発展を推進する政 策を1994年から本格的に導入し始め,食料品や日用雑貨を扱うスーパーマーケットのチェー ン化を政策推進の重点とした。国務院の方針に基づいて,1995年6月に国内貿易部は「全 国チェーン経営発展計画」を制定し,チェーン経営の原則,目標などを明確に示した。次 いで1997年3月に国内貿易部は「チェーンストア経営管理基準案」を公表し,チェーン経 営組織の形態や内容,販売方法,営業面積などについて,先進国の発展経験を参考にしつ つ中国の現状に合った具体的な要求を定めた。さらに,同年1 1月, 「フランチャイズ・チェー ン経営管理試行条例」を公布し,フランチャイズ・チェーンの経営方法,チェーン加盟の  合弁企業には,①中国側の出資比率は51%以上,②卸売業は禁止,③仕入に占める輸入商品の 比率は30%以下などの制限が加えられた。曽根(2011),197ページを参照。  矢作(2003),39ページ。  外資の参入により,中国の内資系小売業の展開にもたらした効果は, 謝(2000)165167ペー ジ,曽根(2011)202203ページ,矢作(2003)3236ページを参照して整理したものである。. 451 ─ 157( ) ─ .

(12) 第61巻 第2号. 条件,フランチャイザーとフランチャイジーそれぞれの権利と義務などについて規定した。 このように,中国政府によるチェーンストア推進政策の導入は,当時,改革開放の拡大と 市場経済体制への移行につれて衰弱化が進んだ中小国有・集団所有企業がチェーンストア 運営方式の導入によって競争力を高めることを意図していた。 このように,中国政府による外資政策の導入とチェーンストア推進政策の実施は,外資 系小売企業の中国市場への進出に大きな発展を促進するものと評価されている。外資企 業の経営活動は,中国の流通近代化の促進や消費生活の向上などに大きく寄与し,国内総 生産の成長率が毎年12%を超え,食料品,衣料などの生活必需品や家電品などの消費が大 幅に拡大した。1990年代半ばから, アメリカのウォルマート, フランスのカルフール, ドイツのメトロといった世界的な巨大小売企業が中国市場に進出しており,外資小売業の 企業規模,管理技術,顧客サービスなどの経営管理の経験は中国企業の手本となっている。 特にカルフールは,1990年代半ば頃中国全土へ急速に店舗を展開し,大きな成功を収めた。 カルフールは台湾の小売市場で確立した低経営コスト・高収益を実現する拡張方式は中国 市場でも成功の武器となり,多くの中国小売企業がカルフールの成功に刺激され,その経 営モデルを模倣するようになった。 この中で,後述する通りカルフールの通道費という 経営方式が中国の多くの小売業に導入され,一つの取引慣行として普及するに至った。. 3.2 台湾で確立したカルフールの経営方式 フランスのカルフールのアジア戦略は台湾での成功が契機となり,1990年代半ば以降加 速した。1986年,カルフールはアジアに進出する方針を固め,主要諸国・地域を市場調査 した後,台湾を最初の進出国に決めた。1987年,カルフールは60%の出資比率で台湾最大 の食品メーカーである統一企業との合弁で「PresiCarre Corp」を設立し,1992年までの 5年間に5店舗のハイパーマーケットを出店した。売場面積は 4,300m2 から 5,600m2 まで の規模であった。1993年から会員制ホールセール・クラブの倉庫型店舗の展開に着手し た。倉庫型店舗は1993年から9 6年の4年間で4店舗開店され,売り場面積は 8,500m2 から  中国の政府によるチェーンストア推進政策の実施過程は謝(2000)183184ページ,矢作(2003) 8183ページを参照してまとめたものである。  謝(2000),184185ページを参照。  中国統計年鑑(1996)。  渡辺(2014)によれば,1990年代半ば以降,カルフールの通道費を中心とした「低コスト・高 収益モデル」は低コストでの拡大を狙うウォルマートなどの欧米企業,イトーヨーカ堂などの日 系企業及び香港・台湾系企業に模倣された。その後,カルフールは中国小売市場に進出した間も なく,中国小売市場におけるリーダー的地位を確立するにつれて,国内ではカルフール・モデル を学習し始めた。  矢作(2003),151ページ,161ページ。. 158( ) 452 ─ ─ .

(13) 中国における取引慣行に関する一考察(朱). 12,200m2 と初期店舗のほぼ2倍にあたる大きな規模であった。カルフールが台湾で大き な成功を収めた要因として主に以下の3つがあげられる。第1に,進出初期にはハイパー マーケットという業態の革新性が地元小売業者や競合する外資小売業に対する競争優位性 の基盤となった。低価格でワンストップ・ショッピングができるという小売店舗ブランド のコンセプトは台湾の消費者によって受容された。第2に,分権管理体制の実施によって 競争力を高めた。カルフールは参入初期,各店舗は分権管理のもとで地域の需要に合わせ た適切な店舗運営により商品と資金を効率よく回転させた。具体的には,生鮮食品,加工 食品,衣料品,など各売場担当マネジャーは取引先の選定,品揃え形成,販売促進計画, 在庫管理,価格設定および人事管理まで最終決定を委ねられていた。当初,店長はフラン スからの出向社員であり,各売場の部門長に対して売上高,利益計画の達成を管理した。 第3に,他業態への展開によって収益を確保した。カルフールはテナント収入の確保のた め,専門店や飲食店をテナントとして導入するショッピングセンター方式をいち早く台湾 で導入した。第4に,台湾では相対的に小さな市場であり,いち早く希少資源である店舗 立地を確保し,そこで顧客の支持基盤を構築して先発者の優位性を確保した。第5として 指摘されるのが,上記4つの作用を有効化するための原動力としての同社の低コスト・高 収益モデルの特異性である。カルフールの低コスト・高収益方式は主に中小の供給業者 から徴収した新店舗開業費,各種の販売促進費,祝祭日費などの通道費徴収を通じて低コ ストの店舗経営を実現した。 カルフールはその後中国,インドネシア,タイなどのアジア諸国へ進出するが,特に, 同一中華文化圏である中国では台湾で蓄積された経験が躍進のテコとして作用した。. 3.3 カルフールの中国市場への進出および通道費の導入 1992年,外資の参入を誘致するために,「超国民待遇」政策と呼ばれる外資優遇策のも と,中央政府による税制面での優遇や地方政府による企業や店舗立地条件の優遇などの政 策が打ち出された。 この政策の実施を受け,カルフールは1 996年に上海と深センにハイ パーマーケットを出店し,中国市場への大規模な進出を開始し,台湾で確立した低コスト・ 高収益モデルの拡張方式の採用を通じて店舗網の拡大を実現した。 カルフールは,主要都市の中心に位置する商業施設あるいはその複合体としての商業地 区を借り上げ,その核テナントにカルフールのハイパーマーケットを出店し,輸入品も含  矢作(2007)217~219ページを参照。  カルフールが台湾で大きな成功を収めた要因は以下の先行研究や雑誌を参照してまとめたもの である。矢作(2003),151161ページ。 『卓越雑誌』,1992年12月号。. 453 ─ 159( ) ─ .

(14) 第61巻 第2号. む幅広い品揃えとワンストップ・ショッピングを提供するとともに,その他のスペースは テナントにサブリースし,店舗の収益をさらに拡大した。カルフールの商品販売を通じた 利益への依存度は20%程度に過ぎず,残りの80%は商業施設のサブリースによる家賃収入 によって賄われているという。 カルフールは,中国市場における初出店から短期間のうちに中国有数のチェーンストア の地位を築き,中国における外資系小売企業最大の成功例となった。カルフールはチェー ン・オペレーションをはじめとした経営管理能力に長けており,特に徹底的な店舗分権制, すなわち,商品調達,店舗運営,人事管理といったマネジメントの権限を店舗に委ね,本 部が各店舗の経営業績を厳しくチェックする体制を導入することで,強大なバイイング・ パワーを掌握するようになった。さらに,カルフールは自身に有利な条件の適用や通道費 をはじめとする各種費用を供給業者に課すことで利益を確保しようとした。取引交渉にお いて,最も低い仕入れ価格を要求するのはもちろんのこと,供給業者に納品の物流業務を 担当させて物流コストを供給業者に転嫁することに加え,様々な名目で供給業者から通道 費を徴収することによって,仕入れ価格ないしそれ以下で商品を販売しても利益を確保で きるようにした。一方で, 供給業者がカルフールの厳しい取引交渉条件を受け入れた背 景には,中国一般消費財分野の供給業者の弱小性がある。中国改革開放以降,生活必需品 である衣食住関連の一般消費財分野において,膨大な人口規模を背景に,消費需要が急増 した。一般消費財分野は,産業政策など行政からの関与が比較的少なく,商品に多様性が あり,参入障壁も比較的低いため,1980年後半から民営企業が活発に市場に参入した。し かし,大量参入した民営の一般消費財分野では,ブランド力の弱い中小企業が多かった。 彼らは外資系の大規模小売企業の販売チャネルを通じて売り上げ規模を拡大し,ブランド イメージを高めようとしたため,高額の通道費を払ってでも自分の商品を外資系の小売企 業の売場に陳列してもらいたいと考えた。 このように,カルフールは国際ブランドの知 名度と大量仕入れ・大量販売の優位性を活かして,供給業者から通道費を徴収することが できた。 また,1990年代後半から,政府によるチェーンストア化推進政策が出され,「発 展を最優先し,市場秩序の形成と維持は後回し」の方針の下で中国の流通法体系の整備が 遅れたことも通道費を急速に普及させる要因となった。  東・葉(2011),24ページ。  同上,25ページ。  陳(2010),26ページ。  渡辺(2014),3 4ページ。近年, 中国では長い間の計画経済から市場経済へ急速に転換したこ とに伴って,企業間競争が激しく展開されているにもかかわらず,健全な市場経済を運営するた めの法律や行政的規制は十分整備されていない。2000年代に入ってから,中国の政策当局はこう. 160( ) 454 ─ ─ .

(15) 中国における取引慣行に関する一考察(朱). 4. 中国の大規模小売業における通道費問題の発生 ―カルフールを事例として― 一般的に,取引慣行は,長年の取引の積み重ねの中で,業界関係者に共通の取引規則と して認識され広く浸透している取引様式を指している。中国の通道費は9 0年代半ば頃, カルフールを経由して中国の市場に導入され,政府が流通近代化を促進する中で短時間の うちに普及した。カルフールは販売依存度を利用して,中小メーカーからより多くの費用 を徴収する戦略をとっている。実態としてはカルフールの仕入れ担当者が供給業者に対し て強硬な費用引き上げ要請を行うケースが目立つ。カルフールからの受注量が増加しても, それによる追加利益よりも通道費増分の負担がはるかに大きくなるため,結果として供給 業者は損失を被ることになるケースも多い。しかし,2003年まで,通道費に関しては「先 進国および市場経済に存在する一般的現象であり,その導入は国際的な小売業経営方式に 従うものである」という考え方が主流であり,政府の関係部門,中小供給業者および小 売業者に容認されたため,大きな問題にならなかった。しかしながら,2003年に上海の乾 物メーカーがカルフールの多額費用徴収に耐えられず対抗する動きをとったことがきっか けとなり,政府は優越的な地位を利用した不公正な取引問題について政策的な関心を示し ていると伝えられ,通道費が社会問題として全国に広く認知されるようになった。. 4.1 通道費をめぐるカルフールと乾物メーカーとの衝突 この事件は,2003年4月,中国の乾物を生産するメーカーの連合会である上海乾物協会 (上海炒貨行業)が, 多額の通道費の徴収に耐えられず, カルフールに対して取引方式の 変更を要求したことに端を発する。乾物協会とカルフールとの摩擦の焦点は,取引におけ る不平等さ,費用徴収の不合理さと不透明さ,支払いサイトの長さである。乾物協会側は, カルフールが徴収した通道費が不合理なものであると主張したのに対し,カルフールは通 道費の徴収は国際取引慣習に準ずるものであると主張した。6月13日,カルフールと上海 した点を十分認識し,中国の市場にふさわしい経済法体系の整備を急いで取組み始めてきた。そ の中で企業活動の根幹にかかわる競争政策関係の法規,具体的には大規模小売業者の取引行為に かかわる2つの管理弁法が 2006年に実施された。渡辺(2008),12ページを参照。  三村(2006),3ページ。  (2008),69ページ。  このことに関しては,2003年7月2日付で中国の『京華時報』に掲載された文書「家楽福発 請函意在各個撃破衆協会声援怒炒」に詳しく紹介されている。  本項の内容は以下の先行研究の示唆および各種新聞報道により整理したもの。 渡辺(2 014), 李(2003),矢作(2003),東・葉(2011)の示唆による整理したもの。『新聞晩報』(2003年6月 18日付)と『南方都市報』(2003年7月24日付)に掲載された文書に基づいている。. 161( ) 455 ─ ─ .

(16) 第61巻 第2号. 乾物協会との交渉が行われたが,合意に達さず,一部の乾物メーカーはカルフールへの商 品供給を中止した。上海乾物協会はカルフールに支払った通道費の明細をマスコミに暴露 した(表3)。 6月1 6日, 乾物メーカー協会はカルフールに対して費用徴収の削減を要求 したが,またも合意に達しなかった。 その後, 上海乾物協会は最大限の譲歩をしてカル フールと交渉しようとしたが,カルフールに拒否され,上海乾物協会のすべての会員メー カーによるカルフールへの商品供給を中止がなされた。6月18日,百貨店協会,冷凍食品 協会,家電協会などを含む10協会は上海乾物協会を支持する声明を発表した。7月9日, 中国造紙協会及び生活用紙専業委員会も上海乾物協会の動きを支持した。この事件はマス コミによって大いに取り上げられ,通道費問題が初めて公にされることになった。. 表3 上海乾物メーカー協会が公表したカルフールの通道費 費 用 名 目. 金 額. フランスの店舗に対する祝賀行事費. 毎年10万元. 中国の店舗に対する祝賀行事費. 毎年30万元. 新店オープン支援料. 1~2万元. 既存店の改装. 1~2万元. DM 手数料. 1店舗当たり2,340元,毎年10回. エンド陳列費. 1店舗当たり2,000元. 新製品の陳列手数料. 1店舗1商品当たり1,000元. 供給業者側販促人員管理費. 1人1か月あたり2,000元. ステージ陳列費. 1店舗当たり3~10万元. 商品購入割引. 売上高の8%. サービス費. 売上高の1.5~2%. 諮問費. 販売総額の1%. 商品配達の遅れに対する補償手数料. 1日当たり配達商品の価格の3/1,000. 損失費. 保管不全のため生じた商品損失を供給業者が賠償. 無理由に商品を取り戻す. 売上高の3~5%. 税金の差に対する補償手数料. 売上高の5~6%. 最低価格差額. ほかの小売商がカルフールより低い価格で販売するところ を発見したら,差額の弁償と一定額の罰金の支払いを課す。. 出所:『新聞晩報』,2003年6月18日付。. 上海工商部門はカルフールなどの内資系や外資系小売業の費用徴収問題に対して調査し, 苛烈な費用徴収の問題に対処しようとしたが,政府の行政部門による対策も十分なもので 456 ─ 162( ) ─ .

(17) 中国における取引慣行に関する一考察(朱). はなかった。 その後, カルフールと乾物協会は数回の交渉を行い, 同年7月2 2日,カル フールは上海の乾物協会に所属するすべてのメーカーに対して,新たな費用徴収を増やさ ないことに加えて,論争がある通道費に対して適切な調整を行うことを表明した。両方の 合意に達したことで,通道費をめぐる一連の騒動はようやく収まり,取引が再開された。 カルフールの通道費をめぐる問題は供給業者と小売業の間の一取引関係の問題から社会的 問題にまで発展するようになった。. 4.2 カルフールの事件が示唆する中国大規模小売業の通道費問題 カルフールの事例は中国の通道費に関するいくつかの問題点を示唆している。 第1に,通道費の支払い基準が不明確であり,なおかつ,通道費が様々な目的のために 使われることから,その体系が複雑であることである。たとえば,カルフールが徴収した 損失費は明確に表示されていない。中国の通道費は基本的に事前徴収と事後差引の形で徴 収される。事前徴収の費用は両者の契約によるものが基本であるが,費用の事後差引にお いて,契約外で供給業者の売り上げ代金から恣意的に費用を差し引くことが多く発生して いる。また,契約外での様々な名目をつけて費用が徴収されることも多い。欧米の小売業 は経営コストの引き下げや経営リスクを供給業者と共同に負担するために,スロッティン グ・アローワンスを徴収したため,スロッティング・アローワンスの目的や方法が明確に 示されている。対象的に中国の通道費は,基準や内容が不透明であるばかりでなく,使用 の目的についても曖昧で不合理的なものが多く存在している。実際,カルフールが徴収し た費用の中には,フランスの店舗に対する祝賀行事費のように中国の供給業者にとっては 無関係な名目もあった。 第2に,通道費の徴収は,小売業者にとって経済効果の実現のためではなく,一種の価 格戦略の実施に過ぎないことである。小売業者は市場地位を有すると,供給業者と交渉す る際,通道費を通じて一連の価格戦略を実施することができる。例えば,小売業者は供給 業者に対して市場の競争価格を要求し,さらに通道費の徴収を通じて利益を獲得する。こ の場合,小売業者はより高い価格と多い取引機会を獲得することが可能であり,消費者に より低い価格で商品を提供することが可能である。 第3に,通道費の徴収が,大規模小売業による競争業者の排除行為であると考えられる ことである。カルフールは中国市場に参入した初期からあらゆる方法で多くの都市に出店  以下は中国の学術界で公表された論文に基づいてまとめたものである。李(2004),5965ペー ジ。張(2007),5369ページ。林(2009),8087ページ。. 457 ─ 163( ) ─ .

(18) 第61巻 第2号. し,出店スピードを重視していた。2000年末にカルフールは中国全土に2 7の店舗を展開し, 巨大な売り場面積と総合的品揃えを武器として供給業者に対して強い交渉力を形成した。 カルフールはこの交渉力を行使して,供給業者に通道費を要求して経営コストを転嫁する ようになった。中国のカルフールはすべての小売業者より低い価格で消費者に商品を提供 することを保証しており,当時,多くの商品が仕入れ価格のままで消費者に提供されてい たことが多くの供給業者によって指摘されている。しかし,優勢な市場支配力を持ってい ない内資系小売業者にとって,供給業者に高額の通道費を要求することは難しく,供給業 者からの仕入れ価格に一定のマージンを上乗せして小売価格を設定して消費者に販売しな ければならない。このように見れば,カルフールの通道費の徴収には,経営コストを供給 業者に移転し,通道費の徴収を通じて利益を獲得することで,競争相手を排除する側面が 内在している。カルフールは自己の取引上の地位が供給業者に対して優越していることを 利用して,国際上の商習慣に照らして不当に供給業者に対して多額の通道費を要求してお り,このような行為は正に優越的地位の濫用に該当する。. 5. お わ り に. 5.1 本稿の結論 中国の改革開放が幕を開けて以来, 外国小売業が数多く中国市場に進出した。 特に, 1990年代中期から外資参入は加速し,アメリカのウォルマート,フランスのカルフール, 日本のイトーヨーカ堂,ドイツのメトロといった世界的な巨大小売業者が中国市場に進出 しており,外資小売業の企業規模,管理技術,顧客サービスなどの経営管理の経験は中国 企業の手本となっている。1996年から,カルフールは中国全土へ急速に店舗を展開し,大 きな成功を収めた。台湾の小売市場で確立したカルフールの低経営コストで高収益を獲得 する拡張方式は中国市場でも成功の武器となり,多くの中国の小売業者がカルフールの成 功に刺激され,その経営方式を模倣するようになった。とりわけ,通道費は中国の多くの 小売業に模倣され,一つの取引慣行として広く普及している。 1990年代後半から,中国小売市場においては,通道費は特殊な市場環境の中で導入され, 広く普及した。それにはいくつかの理由が挙げられる。第1に,当初,通道費は欧米のス ロッティング・アローワンスとして容認され,その導入は国際的な取引慣習に則ったもの であると一般的にみられた。第2に,政府は発展を最優先し,市場秩序の形成と維持を後 回すという方針の下で,供給業者と小売業者間の取引に関する法律体系が整備されていな 458 ─ 164( ) ─ .

(19) 中国における取引慣行に関する一考察(朱). かった。第3に,当時,中国の一般消費財分野では,供給業者は総じて規模が小さく,ブ ランド力も極めて弱かったため,外資系の大規模小売企業の販売チャネルの活用が,売上 規模の拡大とブランドイメージの向上に不可欠であった。中国の中小メーカーは,高額の 通道費を払ってでも外資系の小売チャネルを活用することを強く意図した。このような市 場環境の中で一つの取引慣行として中国小売市場で急速に普及した通道費は「先進国およ び市場経済に存在する一般的現象であり,その導入は国際的な小売業経営方式に従うもの である」と考えられ,政府の関係部門,中小供給業者および小売業者に容認されたため, 大きな問題にはならなかった。しかし,2003年,通道費を巡るカルフールと供給業者との 対立は,通道費の問題が一取引関係の問題から社会的問題にまで拡大することとなった最 初の事例であり,通道費問題が初めて公になった。カルフールの事件が示唆することとし ては,以下の3点が指摘できる。第1に,通道費の支払い基準が不明確であり,その体系 が複雑であること。第2に,通道費の徴収は,小売業者にとって経済効果の実現ではなく, 小売業者による一種の価格戦略の実施に過ぎないこと。第3に,通道費の徴収は大規模小 売業による競争業者の排除行為であること。. 5.2 今後の展望 通道費の取引慣行には,チェーン小売業に対して,各種費用を供給業者から徴収して収 益を確保するという安易な経営姿勢を助長し,本来の自立的経営能力を衰退させる可能性 が潜在している。通常,小売業者の本業による利益は品揃えを通じて商品の販売額から商 品原価と販売管理費を差し引いた営業利益という形で認識される。小売業の収益力は単に 売上を上げる力ではなく,営業利益を上げるための販売力,コスト削減力,リスク回避力 などの総合的なことを指す。しかし,通道費の徴収で利益を確保する経営モデルに長期に わたって過度に依存することは,小売企業にとって,販売力,コスト削減力,リスク回避 力などの経営能力を衰退させ,売れ残りのリスクを負いながら,売れ筋・死に筋を把握す ることで品揃えを改善するといった意欲や,様々な費用引き下げによって経営効率化を図 るといった意欲を奪う恐れがある。 中国の小売市場はこれからも供給過剰や価格競争の激化により市場環境がますます激し くなることが推測される。このような市場環境の中で,中国の大規模小売業者は,従来の ような売上急拡大の中で利益を稼ぐ経営モデルから,売上拡大鈍化の中で利益を確保する 経営への転換が求められる。それゆえに,利益確保にあたって通道費の費用徴収に過度に 依存する体質がますます深刻になる危険性が否定できない。中国の大規模小売業を巡る取 459 ─ 165( ) ─ .

(20) 第61巻 第2号. 引問題は景気低迷,供給過剰,そして価格競争激化という状況が強まるときに繰り返し表 面化してきた問題である。今後,中国の小売業者にとって供給業者との垂直的な協調的取 引関係の構築が差し迫った課題であると考えられる。中国の大規模小売業は透明で公正な 取引基準に基づく費用徴収に改めることで,供給業者と関係改善を図るべきであろう。さ らに,通道費やテナント・リース料の徴収によってではなく,チェーンストア・オペレー ションによる店舗や業務の標準化,物流の集約化・効率化の実効という自主経営能力を基 盤として,長期的な競争優位性を確立することが重要であると考えられる。 次に,優越的な地位の濫用という観点から,通道費徴収の問題に対して今後政府がどの ような対策をすべきか,について展望したい。小売業者と供給業者との取引関係において は,たとえ小売業者が優越的な地位にあるにしても,一方的な強制によってのみ成り立っ ているのではない場合が多い。通道費の徴収は,小売業者と供給業者の双方にメリットが ある場合,両者の合理的な選択の結果であることもある。ただし,小売業者と供給業者に とっての合理性や効率性は,必ずしも社会や消費者にとって望ましいこととは限らず,こ れは取引慣行問題の難しいところである。 加えて,政府の行政機関による実態の把握が 難しいことも通道費問題をより複雑なものにしている。中国では,小売業者がその優越的 な地位を濫用する傾向が強いと見られているが,実際のところ,すべての小売企業が通道 費を徴収しているわけではなく,大規模小売企業のみが徴収していることが指摘されてい る。また,強いブランド商品を持っている供給業者は少額の通道費あるいは通道費なしで も小売店舗に販売することができる。一方で,あまり有名でない中小供給業者は多額の通 道費の支払いを余儀なくされる。大規模小売企業は,強い販売力,集客力と大量仕入れの 優位性を持つため,供給業者との取引において必然的に優越的地位を利用し,さらに濫用 することになる。そのため,大規模小売業の優越的地位の濫用を規制することは,現在先 進国の主要な流通政策となっている。中国政府は近年,中国小売業者と供給業者の通道費 問題をめぐる対立の激化に伴って,不正な費用徴収行為に対して数回にわたり取締を実施 したが,その実効性は低いことも事実である。今後は,大規模小売業の優越的地位濫用を 規制するルールを政府が明確にすることが求められる。たとえば,政府は法的根拠として 費用徴収を明確に規制すれば,通道費問題の発生を一定程度抑制できると考えられる。他 にも,政府は供給業者と小売業者の市場パワー関係を均衡させることに注目すべきだと考 えられる。たとえば,小売業者のチェーンストア化を推進したのと同じように,中小供給 業者の発展を促進する政策を実施することにより,両者の市場パワーを均衡させることが  渡辺(2008),4ページを参照。. 460 ─ 166( ) ─ .

(21) 中国における取引慣行に関する一考察(朱). できるだろう。 最後に,中国の供給業者自身が市場地位を向上させることも大切である。これも大規模 小売業者の通道費徴収の経営方式から脱出する一つの方法ではないかと考えられる。たと えば,供給業者は製品差別化戦略を通じて小売業者に対する依存度を減少することができ る。また,業界団体などの組織を通じて小売業者の優越的な地位の濫用問題を監督するこ とができるだろう。. 参 考 文 献. 英語文献  Bloom, Paul N., Gregory T. Gundlach and Joseph P. Cannon(2 000)“Slotting Allowances and fees: School of Thought and the Views of Practicing Managers.”Journal of Marketing, Vol.64, 92108.  Chu, Wujin(1992),“Demand Signaling and Screening in Channels of Distribution.”Marketing Science, Vol.11 (4),327347.  Farris P. W, Ailawadi K. L.(1 992)“Retail power: monster or mouse ?”Journal of Retailing, Vol.92, 3 51369.  FTC(2001), Report on the Federal Trade Commission Workshop on Slotting Allowances and other Marketing Practices in the Grocery Industry. Washington D.C. US Government Printing Office.  FTC(2003), Slotting Allowances in the Retail Grocery Industry: Selected Case Studies in Five Product Categories. FTC Staff Study.  Greg Shaffer(1991)“Slotting Allowances and Resale Price Maintenance: A Comparison of Facilitating Practices”RAND Journal of Economics Vol.22, 120.  Joseph P. Cannon and Paul N. Bloom(1997)“Are Slotting Allowances Legal Under the Antitrust Laws ?”JPP and M, Vol.10 (1) , 16718 6.  Kelly Kenneth H.(1991)“The Antitrust Analysis of Grocery Slotting Allowances and New Product Introduction.”Journal of Public Policy and Marketing, Vol.17 (2),173184.  Lariviere, Martin A. and V. Padmanabhan(1997),“Slotting Allowances and New Product Introductions.” Marketing Sciences, Vol.16 (2),112128.  Messinger P. R, Narasimhan C.(1995)“Has Power Shifted in the Grocery Channel.” Vol.14 (2),189223.  Shaffer C.“Slotting Allowances and Retail Price Maintenance: A Comparison of Facilitating Practices”. Journal of Economics. Vol.22 (1),120125.  Sullivan M. W.(1997)“Slotting Allowances and the Market for New Products”Journal of law economics, Vol.40 (2),461493.  Rao A, Mahi H.(2 003)“The Price of Launching a New Product: Empirical Evidence on Factors Affecting the Relative Magnitude of Slotting Allowances ”Marketing Science. Vol.22 (2),246268.. 日本語文献  東伸一・葉 (2011)「中国小売市場の対外開放の光と影―カルフール事件から―」『流通情 報』第490号,2129ページ。. 167( ) 461 ─ ─ .

参照

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