• 検索結果がありません。

官僚制組織の意義(上)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "官僚制組織の意義(上)"

Copied!
20
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)官僚制組織の意義(上) . . 了 ‘ �. 斎. 第一節. 藤. 美. 雄. 店僚制組織の基本概念. 1 . 宜僚制の機能的意義 2. 宜僚制組織の原型 3. 宜僚制の内面的本質 4. 合法的支配と官僚制 5. 宜僚制組織の理念型モテル (以下次号). 序 一般に現代企業が高度に官僚制化された組織の実体をもち、 それが企業の行 動や成員の郊息決定のパタ. ー. ンに大きな影愕をおよぼすのみならず 、 そこに. 様々の重大な問題が生じてtヽるとすれば、 これが解明が経祈;学的に大きな意 義をもつのはいうまでもない。 木稿はかかる問題慈識に根ざして 出てくる次 の二つのねらいに導かれる 一 •試論に他ならない。 すなわち「近代経営は高度 に·,匂僚制化された組織の実体をもつ」という仮説を 、 官僚制組織の甚本概念 とその歴史的特質の検討を通じて間接的に論証することがまず第 一 のねらい である。 更に、 この作業を通じて官僚制の経常学的研究の打効な出発点をう ちたてたいということが 、 そこに託された第二のねらいである。 従来、 かか る主題に関する体系的な研究が殆んどなされていないのみならず、 官僚制の 概念がなお多分に多義で、 不確定であり、 その解釈に混乱の多い現状にかん がみ、 かかるアプロ. ー. チは今後の 研究の発展にとっても一つの有用な意義を. -169 (5173) -.

(2) もつ存在であると確信する。. 第一節、 官僚制組織の基本概念 1 . 官僚制の機能的意義 「秩序ある管理・運営によつて、 組織のシステムとしての利点を確保する るという点に官僚制の基本的意義がある」とするデイモソク(M. E. Dimock)の 所説は?近代的フオ. ー. マル組織における官僚制の本質的な機能的意義を示唆. する重要な主張であろう。 ここに 「 システムの利点」とは、 「 鯛整」という組織 の創造的機能を通じて、 各構成員の、 組織への給付行為を結集することによ つて、 各人の給付力の単純な総和以上の、 より大なる生産性を達成すること と理解できよう。 プラウも、「人々の活動を調整する複雑なシステム」 12) (傍点=筆者)という 簡潔な表現で鋭くとらえているように、 フォ. ー. マル組織における官僚制のも. つとも重要な機能的意義は「調整」にある。 したがつて、 「調整のニ (need)の増大が、 組織の官僚制化の. 一. ー. ド. つの基本的契機である」 という仮説が. ここに成立しよう。 この仮説からすると、 調整のニ. ー. ドを高めて、 官僚制の. 在立と発展の基礎となる主な要因としては、 組織の大規模化と職能的特殊化 の高度の展開の両者があげられよう。 もちろん、 この両者の間には多分にポ ヂチブな相関関係があるけれども、 一応はこれを区別して論ずると、 前者の 「組織の大規模化」が調整のニ ー ドの外延的な駄的拡大をもたらすのに対し、 後者の. 「. 職能的特殊化」の高度の展開は、 組織諸部分間の機能的な相互依存. 性を高めて、 その統合に不可欠な調整のニ. ー. ドを内包的にも強めるであろう。. ちなみに、 この職能的特殊化が高度であればあるほど、 個々の職務内容は それだけ単純化され、 遂行が常規的となるがゆえに、 高度の標準化が可能 と なるばかりでない。 合理的に制定された客観的な手続や規程の適用範囲の拡 大 とともに、 没人格的な活動がふえ、 形式合理性の貫徹する制度化された実. -170 (5174)-.

(3) 践が支配的ともなろう。 こうしてシステムのもつウェイトが、 個人のそれに くらべて相対的により大きくなって、 官僚制の機能的意義がますのである。 ともあれ、 高度の職能的特殊化は、 一定の限定的条件がみたされるかぎり において、 技術的にはすぐれて合理的な協動のシステムであろう。 それは課 ー. 業の複雑性に対処する基本的 メカニズムとして、 今日の高度に発展したテク ノロジ ー の下ではとりわけ重要な意義をもっている。 したがって、 ティラ. ー. (F·W·Taylor)やフェイヨル(H·Fayol)に源流をもつ伝統的組織論のア プロ ー チが、 生産性の向上をめざして、 これを強力におしすすめようとして きたのも、 けっしてゆえなきことではない。 事実、 伝統的組織論は、. 「職能. ができるだけ単純な構成部分に細分化されて、 特殊化が徹底すればするだけ 従業員の熟練が高まり、 生産システム全体の能率が上る」という命題を基本 的仮説とする立場から、 職能の合理的配分や部門化の問題に精力的にとり< んできたのである。 しかして、 この 一 切の人間的要素を捨象した. 「. マシン・. モデル」(machine model)の下に推進される経営の合理化、 近代化への志 向は、 それ自体が経営の官僚制化を促進する 一 つの大きな主観的喫機であっ たことは注目を要するであろう。 こうして出てくる経営の官僚制化が、 資本主義的企業の内在的本質に深く 根ざしているのはいうまでもない。 けだし、 経営組織において、 調整のニ. ー. ドを高め、 官僚制化を促進するこれらの諸要素は、 生産の大規模化による 「規模の経済」の実現を通じて、 市場競争力の強化をはかる場合にも、 職能的 特殊化の高度化による職能構造上の合理化を通じて、 生産性の向上をめざす 場合にも、. いずれも基本的には、 より高い資本収益性の実現や企業の存続. 成長という動機と不可分に結びついているからである。 ウェ ーバー が、 完全 に発達をとげた官僚制組織は、 これを他の諸形態と比較した場合、 機械生産 1. と手工業生産の関係にも相当するとみたほどに、� 官僚制組織が技術的に卓越 I. しているとすれば、 もとより能率の論理が貰徹する経営組織は、 一面におい. -171 (5175) -.

(4) て、 本来的にかかる官僚制化への強い志向を内在しているといえよう。 か く て近代経営においては、 一般に組織の大規模化とともに、 高度の職能的特殊 化によって細分化され、 固定的に配分された明確な職務の体系にもとづ く複 雑な職能構造の展開がみられ、. これが官僚制 の存立と発展の大きな構造的. 甚底をなしている。 そして、 それに対応して重要となる調整という官僚制の 機能的本質も、 かかる特殊近代的な、 高度の組織内分業を基礎とするかぎり において、 それ自体、 すぐれて特殊近代的な形象である。 注) Ill. M.E.Dimock. Administrative Vitality 1959.P. 4.. (2). P.M.Blau, The Dynamics of Bureaucracy, 1963. (second ed.,) P.Pre..V.. (31. M.Weber.Wirtschaft und Gesellsaft.Grundriss der Verstehenden Sociologie.herg.. von Johannes Winckelmann. 1964 .S.716. (以下 、 本書はWuGと略す). なお」:品のウェ. ー バ_. の文献でとくに支配社会学の部分についてはド心のすぐれ. た禾II訳があり 、 それをつねに併せ参照し、 有益な示唆を得ていることを付,iじして おく。 マソクス・ウェ. ーバ _. マ. バ. 、 経済と社会、 世良晃志郎訳、 支杞の社会学I、U/l fll 35年。. ‘ノクス. ・. ウェ. ー. マノクス. ・. ウェ. ー パー. ー 、 、. 経済と社会、 世良晃志郎訳、 支配の社会学D 、 11/lJ:U37年。 経済と社会、 世良晃志郎訳、 支配の議類型、 11/lJ:1145年。. 2. 官僚制組織の原型 組織において成員の活動を効率的に 調整するためには、 彼らの行動に対す る何らかの有効なコントロ ー ルが必要なのはいうまでもない。 官僚制は、 こ のような組織のニ. ー. ドに即して展開して くる 一 つの社会的コントロ ー ルのシ. ステムであって、 その中核的な構造原理が、 一元的な権限の階層的秩序に他 ならない。 それは 一 人の統一 的な長の下に、 すべての職員を階層的に 従属さ せる「単 一 支配的」. (. monokrat1scher). Ill. な構造をもち、 したがって、 通常は. 典型的なピラ ミッ ド型になっている。 そこでは、 それぞれの特別の規則によ って、 各種の職位について数々の義務と権利の詳細な規定があり、 それによ って職位相互間の関係も明確に定められている。 こうして 一 連 の役割と階層. -172 (5176) -.

(5) 的地位が組合わされて、 職位の階層序列の体系が成立するが、 これが 一 般に 階統制とかヒェラルヒー (hierarchy) とよばれるものに他ならない。 このヒエラルヒ ー の下では、 各管理職員は自己の行動のみならず、 部下の 行為や意思決定についても、 その上司に対して直接の責任を負い、 それ対応 して、 部下に対しても、 一定範囲の権限が、 その占めている 職位にもとづい て彼にみとめられている。 上司はその権限を行使して、 部下の行動に適切な コントロ. ー. ルを加え、 それによって彼らの活動の調整をはかるのである。 こ. うして官僚制においては、 ヒエラルヒ ー を通じて、 上から下に対して加えら れるコントロ ールが調整の基本的メカニズムとなるところから、 そこではと りわけ「職位の権限」が重要となり、 上司が命令し、 部下がそれを実行して 報告するという「タテの関係」が 一 切の運営の中心となる。 官僚制において とくに規律や服従がやかましくいわれるのもこの点からで、 ウェ ーバ ーがそ 121. の技術的な機能作用の基礎を経営規律に見出すゆえんでもある。. もちろん、 ヒエラルヒ ー が官僚制の中核的な構造原理たりうるためには、 それは業務上の情報の入手や、 業務命令の通達などの、 組織における 一 切の 公式的コミュニケ ー ションの中心的回路をなしていなければならない。 けだ し、 権限の行使にせよ、 コントロ ー ルにせよ、 闘整にせよ、 およそヒエラル ヒ ー においてなされるすべての活動は、 つねにコミュニケ 不可欠とする点において、 まさしくコミュニケ. ー. たがって、 そのシステムもおのずからコミュニケ. ー. シ ョンの媒介を. ション過程に他ならず、 し ー. るをえないからである。 もっとも、 このコミュニケ. ションのシステムたらざ ー. ションのシステムは、. 技術的要因のみならず、 社会的要因からもしばしばパイプがつまり、 これが しばしば官僚制の非能率の大きな原因をなしている。 以上を要するに、 官僚制組織の原型は、 一元的な権限の階層的秩序にもと ずいて、 上司が職位の権限を行使して部下の行動をコントロ. ー. ルし、 それに. よって彼らの活動の調整をはかる機能的連関の、重層的な階層的連鎖が、トソ プから底辺にまで貰徹する中央纂権的な管理組織に他ならない。 そして、 そ. -173 (5177) -.

(6) れが組織の大規模化とともに、 「管理の幅」(span of control_)の限界に根ざ して、 中間層のきわめて肥大化した 典型的な多階層組織となって、 その高度 に発展した構造上の特質を顕著に表面化してくるのである。 ここで官僚制組織の基本的特質に目をむ けると、 まず最初に職能的特殊化 と権限のヒエラ ルヒ ー の両者をあげねばならないことはこれまでの論述でも すでに明らかであろう。 プラ ウは更にこれに「規則の体系」と「没 人格性」 (impersonl a ity)の両者をつ け加えている?まず、 前者からみていくと、 官僚 制組織は 一 般に構造化の程度が高く、 各職位間の関係もきわめて複雑なので、 一連の客観的な規則を通じてそれらの関係を明確に規定し1本系化しておくこ とが、 合理的な構造の確立と秩序の維持に不可欠であることは容易に理解で きよう。 更に能率的な協業に欠かせぬ規律が、 ヒェラ ルヒ ー による上からの 監督だけで十分に実現できるものではなく、 活動過程そのものにも浸透して いなければならないとすればその過程を規制するためにもやはり種々の規則 や手続を制定しておくことが必要であろう。 加えて近代官僚制はもとより合 法的 支配に根ざすものであるから、 権限の行使を正当化する基礎としても、 規則の存在が重要な意義をおびるであろう。 かくて ル ー チンという特質にも よくあらわれているように、 官僚制組織には種々の規則や手続の1本系が発展 一 しており、 これが重要な行為基準として活動を支配する つの大きな要素に. なっている。 ところで、 官僚制のめざす能率的な協業は、 非合理的な情緒や個 人的配慮 が管理上の決定を左右する場合にもそこなわれるであろう。 能率のみが、 管 理上の決定を左右するようにしようと思えば管理上のヒェラ ルヒ ー から、 情 緒的な愛や憎みを特徴とする対 人的諸関係を排除して、 没 人格的な諸関係が 冷徹にまもられるようにしなければならない � そのためには、 合目的的に定 I. 式化された規則や手続を「ひとのいか ん」を問わず、 即対象的に適用してい くことが要請されよう。 かくて. 「 没 人格性」の原理も機能的にきわめて重要. な意義をもつ官僚制組織の特質の 一 つに他ならない。. -174 (5178) -.

(7) 以上を要するに、 職能的特殊化、 権限のヒ.I. ラルヒ ー 、 規則の休系、 没人 格性の四つの原理は、 官僚制組織の甚本的な特質をなしている。. 「多くの人. 々の活動を秩序よ く調整して、 大規模な*理業務が能率的に達成できるよう I. にしく んだ組織の型」 � を「官僚制 」 とみなす プラウ が、 「 この 概念は、 ときに は非能率という逆効果をもたらす こともある:tれども、. -· 般にぱ悴理能半 1. を高める ことを意図し、 実際にもそうなると ころの組織原理に適用される 『 とのべたのも具体的には これらをさしているのである。 よれば、 官僚制のもつかかる芯特買の総合的効呆:よ、. ちなみにブラウに. 「組織の各成員の行. 為を規制して、 それがひとりひとりの考えでは合理的であろうがなかろうが 組織目的の合理的追求を促進するようにしむける社会的条件をつくり出す『 ことにあるが、 こ こには官僚制のすぐれてシステム化された活動様式の意義 がよくとらえられていよう。 けだし 一 貫性と秩序のある体系的な制度の運営 を通じて、 システムのもつ特性を十分発揮し、 その結合関連効果によって、 組織の高い生産性を大規模なレベルで実現していくと ころに、 現代の物質文 明を支える制度的支柱としての官僚制の基本的な役割があるからである。さ れば こそ、 従来より官僚制の発達が近代経常においてとりわ け如著であった のである。たとえば伝統的な職能別部門組織が部門経営組織にお ける官僚制 組織の典型的発現形態であるとすれば、組織形態上にお けるそのもっとも典 型的な発現はライン・エンド・スタソフ組織にみられるであろう。されば、 伝 統の古い大規模な企業ほど、官僚制組織がよく発達する傾向があるのもおの ずからか んじうるのである。 注). !l l. M.Weber, W uG , a.a.O,, S.700,. (21 マックス・ウェ. ー. パー,経済と社会;世良晃志郎訳,支配の社会学I. 年, 34頁. 131. P. M.B!au, Bureaucracy in modern society. 1968. P. 18.. 141. P.M.Blau, ibid., P. 19.. 151. P.M.Blau, ibid., P. 14.. -175 (5179) -. 昭和 45.

(8) 161. P . M . B lau. ibid . . P . 14 .. 171. P . M . B lau. iliid . • P . 32.. 3 . 官僚制の 内 面 的 本 質 構造 化の程度の高い官僚制組織 でうま く 運 営がなされ、 謳]整が有効に行わ れるためには、 成員の行動に関する信 頼 性が高 く、 規定された行為型式に人 々が よ く 合 致 しな ければならない。 こ こ か ら規律の基本的重要性が生れるの であって、軍 隊 であれ、 宗 教 団 体や経済団体であれ、 い か なる官僚制におい '. てもそれが大いに発 達して くる『 ウエ ー バ ー がそうみた よ うに、官僚制は規 律のも っ とも合理的な 申 し子に他なら•ない。 ウエ ー バ ー は、 この規律を、「その範 囲 を 挙 示 しうる多数の ひとびとの間に おいて、 一 つ の命 令に対して、 彼らの習 性化した態度に よ って、 敏活な、 自 2、. 動的な、 型 どおりの服 従 を 見 出す チ ャ ン ス � と定義するば かりでない。 他の 箇 所 で も これに ふ れ、「規律とは、 内容的には、 受 けた命令 を徹底的に合理化 された形 で、 すなわち、 計 画 的に 訓 練された、 精確な 一 切の自 己の批判を無 条 件に排除する ごとき仕 方 で 一一、 逐行する ことと、 もっ ばら この目的のみ に、 内面的志向をたゆまず 集中する こと以外の何物 でもな く、 • … • • 更にそれ に、 命じられた行為の画 一 性という第 二の標識がつ け加わる? とも指適して いる。 こうした規律が、 その本来の意義において、 単なる「 盲 従」と異なる存在 であるのはいうま でもない。 けだし、 個 人の 人格的主体性が十分に確立され ていない 前 近代的社会 ではい ざ しら ず 、 各 人が独 立 した 法 主体として相互に 関係しあう合法的支配に 立 脚する近代社 会では、 規律は、 各成員の主体性に お ける内面的な 責 任 惑 情と結びつ いては じ めて合理的な 団 体運 営の基礎たり うる か ら で ある。 か か る近代的意義にお ける規律を、 その 主体性の面にお い てとら え ると、 それは成員の側にお ける熾 烈な 責 任 観念 とそれにもと ず く 団 体規律 服 従能 力 をさすものにな ろ ぅ ? 青 山 秀 夫 教 授はウ ェ. -176 (5180) -. ー バー. に即 して、.

(9) それをデ ィ ス チ プ リ ン ( Disz i p l n ) と よ んで、 次 の 如く に 分析する『 デ ィ ス チ プ リ ン の 第 一 の 契機は島 団 性、 大衆性である。 それが期 待する人 間は天 賦 ま たは長 年 月 の 鍛 錬 に よ っ て 生 じた 非 凡 な る個性、 す な わ ち英 雄 達 人では な い 。 そ の 対象 は む し ろ 大衆 の 集 団 な の である 。 第 二 の 契機は分業である 。 集. rn 成 員 は それ ぞれ. 一. 定の 専 門 的 部 署 に 配 置さ. れ、 そ の部署 に お い て 限られた 部 分 的機能を営 む 。 全 体 の運営はこう い う専 門 的活動 の 協 力 に よ っ て 成 就される の である 。 第 三 の 契機はこれ と 関連する。 上 記 の ご と く に し て 全 体 の運営が成就され るため に は、 成 員 が些か も 違 背するこ と な く 団 体 の 規律を遵 守 し 、 上 級者 の 命 令 に 服 従 し 、 責 任 を も っ て 己 の 持 場 を ま も るこ と が 必 要である。 反 面 から い えば、 団 体 成員は 勤務 に 関するか ぎ り 、 一 切 の 私的 欲 求 をすて ね ば な ら な い 。 こ の 意味 に お い て 、 責 任 惑 情がデ ィ ス チ プ リ ン の 一 つ の 契機を な す。 こ こ に 要 求 される人間は 中 世 の 騎 士 ま た職人 に 見るよう な " man of honours " で は な く 、 鉄 の 規律 に し たがう " man of consceince� である。 第 四、 こう い う 専 門 的 勤務能力は 一 定 期間 の 集 団 教 育 に よ っ て賦 与され、 そこで専 門 的 知 識 と 規律 に 対する服 従能力 と が教 育される。 こ の 教 育は し ば し ば大衆が理解 、 習 得 し うる無 矛 盾 、 齊 合 的 な る 体 系 に 編集され、これ に も と づ い て な される。 勤 務 に あた っ て、 勤務者は、 こ の 齊 合性 、 体 系 性を も っ た 行為規範 に し たがうから 、 集 団 全 体 の 秩序 正 し い運営が実 現される の である。 第 五 、 か よう に し て 団 体成員は既 知 の 規範体 系 に 従 っ て行動する よ う に あ らか じ め躾 け られて い る。 従 っ て、 い か な る 命 令 を 下 せ ば、 成員がこれ に 対 し て い か に 反 作用するかはすで に 明らかで•あるが 、 それだ け で な く 、 成員は 命 令 に 対 し て遅 滞 な く 、 然 も 無 批 判 、 無 抵 抗 に 、 一要する に 反 射的 に 一一— 行動する よ う激 し い 鍛 治さ れ 受 け て い る 。 す な わ ち 団 体成員は 「機械 の ご と く 」 動く。 従 っ て 、 団 体 が 何らか の運営 目 的を も つ 場 合、 こ の 目 的 に 対 し て 最 も 効 果的 な 命 令 体 系 、 す な わ ち 計 画 が編成でき、 然 も それは 実 現されうる の である 。. -177 (5181) -.

(10) 第 六、 1J 頃の訓練と 責 任 感 情とは、 l・り 体 h父 H の関心 を して、 与 え ら れ たる 規範の励行に強く集中せしめる。 かように関心 が 専門的 部 署 に 於 ける 責 務の 遂 行に強く指向す れ ばするほど、 その行動が結 局 何に 役 立 つ かは無 視さ れ や すくなる。 専門的科 学 者が経験的事実にもと ずく真理の獲 得に専 心し、 その 用 途に関しないのと 同 様である。 この意味において. 「デ. ィ ス チ プ リ ンは疑う. べからざる即対象性 を 有し、 従って、 その役 立 ち を 考 え、 こ れ を 創造しうる ,61. すべての勢力に よ って 利 用 さ れうる」 のである。 かかるデ ィ ス チ プ リ ン を 欠いては 官僚制組織のIり 滑な運営は期しがたい。 ,7. その意味では 青 山 教 授も 指 摘する �u く ,1 デ ィ ス チ プ リ ンはまさに官僚制の重 要な内面的本質 を なす 。 官 僚制組織の 一 連の諸 特 質は、 も ち ろ ん、 こ れ と 密 接な関係にあり、 分業がデ ィ スチ プ リ ンの 一 契機であるばかりでない。 権限 の階層 的秩序も、 機能的には規律に依 存すると ころがきわめて 大きく、 こ れ を 確 採するための エ 夫 として様 々の組織的措 置がとら れている。 かくて 活動 過程 を 規制している様 々の没人格的な規則や手 続に加え、 官 僚制に 勤 務 する 職 U の 公 的 生 活 が、 勤 続 年数による 昇 任、 年 金、 昇 給 等の体系的な処置 を 通 じて履 歴 が累進していく仕 組みとなっているのも、 多 分に、 規律ある行 為と服 務規程への合致に対する剌 激 剤 として 工 夫さ れ たものに他ならない 'i' ウェ ー. バ ー は、. かかる規律の重 要 な効果として、 数多くの人 々の服 従が合. 理的に画 ー 化さ れ ること を あげている';' けだし、 そ れに よ ってはじめて、 種 々の近代的 団 体が、 その厖大な成員の数にもかかわらず、 あたかも 「機械」 の如く 正 確 な 秩 序 正 しい運営が可能となる か ら で ある。 いうまでもなく、 そ れは、 行 為の過程の 計 算 可能の程度によっ て はから れ る いう. 「. 形 式合理性」と. 近代官僚制の基本的特 性の重 要な基礎 を なしている。 官僚制組織が近. 代資本主義の発展 を 支える制度的枠 組みとして果した大きな機能も、 この特 性に負うと ころがきわめて大きいのはいうまでもない。 規律 や デ ィ ス チ プ リ ンの問題はすぐ れて支配の問題に通じてくるが、 この 特 殊近代的な官僚制的デ ィ ス チ プ リ ンは、 いかなる支配類型の下にみら れる. -178 (5182) -.

(11) の で あ ろ う か。 そ れは い う ま で もなく 、 「 合 法 的 支 配 」 で あ っ て 、 ウ ェ. ー バー. が 、 何よ りも 、 こ の 支 紀 類型 と の 関連で 、 官僚 制 概 念 の 定式化をなし た の は 、 す で に あ ま り に も 有 名 で あろ う 。 注 ) I l l R . K . Merton , Social Theory and Social Structure, 1968 ed., P . 25 2 . 121. M. Weber. WuG, a.a.O., S . 38 .. 131. M. W eber. W u G . a . a. 0 . • s s. 866-867. 141. 行 山 秀 ) は序 マ. 151. 青 山 秀 夫 秤 、 同 し 138 - 13 9 頁. j. クス ・ ウェ. 161. 青 山 秀 夫 著 、 同 t 、 13 9 頁. 171. 粁 山 秀 大 著 、 届I. r. 、. ー. バ ー の 社 会理 論 、 昭 和 40 年 、 175 貝 .. 13 9 頁 .. 181. R.K. Merton, Social Theory and S ocial Structure, op. cit ., P . 25 4.. 191. M. Weber, WuG , a.a . 0 . , S . 86 7 .. 4 . 合 法 的 支 配 と 官僚制 合 法 的 支 配 に 根 ざ す近 代 官僚 制 が 、 官僚 制 の も っ と も典型的な型 で ある こ と は 、 「 官僚 制 的 支 配は合法 的 支 配 の もっ と も純 粋な型である」 と いう ウ ェ ー. の 所 説 でも示 唆される と こ ろ で あ ろ う. :9. かく し て. 「 家 産 官僚 制 」 と い う 概 念もある け れども 、 単 に. 「. 「. ー バ. カ リ ス マ 官僚 制 」 や. 官僚 制 」 と い え ば 、 た い. て い の 場合 、 そ れは近 代 官僚 制 をさして い る 。 合 法 的 支 配は 、 制 定 され た 諸 秩序 の 合 法 性 に 対す る 信 念 に よ っ て正 当 化さ れる合理的 支 配 で ある。 そ こ で は合 法 的秩序 に 組織動 員 力 の 基礎があ り 、 権 限は制 定 され た 規則 に も と づ い て い る。 し た がって 、 相 互 作用 の 事 実 関 係 上 の 形式 と して の 支 配関係 た る 権 威 ( authori ty) に し ても 、 近 代 官僚 制 で は 、 特 定 の 目 標を追 求 す べ く 人 々 の 行為を合理的 に 組織化する た め に 制 定 され た 公式的な社会規範 の 存 在 を 前 堤 と する。 こ の システムの 下 で は 、 服従は特 定 個 人 の 人 格 に 対し て で は な く 、 没 人 格 的な秩序や原理 に 対してなされて い. - 179 (5183) -.

(12) る。. そこで は 誰が その職位にあ っ ても、 自 己の 上 位の職位にあ る 上 司 の 一 定. の 命 令 に は 従 う べきであ る と い う 規範があ る ばかりでな い 。 上 司が 命 令 を発 す る 場 合にも、 没人格 的 秩 序 に 従 が っ ており 、 それが正 当 化 さ れ る の は 、 あく ま でも規則によ っ て合理的に 限 界 づ け ら れた即対象的な 管 轄 権の範囲内 でのみであ る 『 かくてウ ェ. ー バー. は 、 合理的 支 配にもとづく近代官僚制で は 、. 「個人が彼. のもつ 固 有の権利のゆえに服 従 さ れ る ので は な い 。 制定 さ れた 規則 に対して 服 従がな さ れ 、 この規則が誰に対して 、 ま た 、 い かな る 範囲 ま で服 従 さ れ る '. べきかを 決定す る 『 と指 摘して い る 。 更に I. 「 職員の型. >. は 訓 練 さ れた 専 門 職員. であり 、 彼の勤務関 係 は 契約にもとづく � ばかりでな い 。. 「 彼のおこな う 管. 理は、 没主 観的な官職義務にも と づく職 業 労 働であり 、 この 管理の理想 は 、 r 怒りも興 奮もなく』 個人的動機や感 情的影響の作用を受け る ことなく 、 恣 意や計算 不能性を 排 して 、 なかんづく r 人によ る 差別をす る ことなく」 、 厳に 形式主義的に 、 合理的規則に し たが っ て処 置 をす る と い う ことにあ る 『 と い う ウエ ー. バ. ー の 所説に は 、 合 法 的 支 配に根 ざす近代官僚制の形式合理的 諸特. 質のとり わ け集約的な表現がみ ら れよ う 。 ここで 目 を転 じて多数 の人間に対す る 支 配にお い て 、 その存在が不可 欠 な 「 管 理幹部」( Verwal tungsstab) の タ イ プをみ る に 、 ここでもや は り 、 合 法 的 支 配に 独 自 の特質があ る 。 い う ま でもなく 「 支 配 」 にお い て は 、 効 果的に命 令 す る 一 人のものとこ れに服 従す る 他者の存在が 前 堤と さ れ る が 、 この他者 が量的に拡大す る とき 、. 一. 元 的な 命 令 の 効 果 的な 服 従を獲 得す る た め に は 、. と く に そ れ を保証す る ことを 任務とす る 複 数 の管理幹部の存在が 必 要であ ろ う か この管理幹部の タ イ プが 、 そ れ ぞれの 支 配 類 型 の 差 異 に 応 じて異な る の は い う ま でもな い 。 たとえば、 伝統的 支 配の 最も純粋な 型であ る 家 父 長的 支 配で は 、 命 令 者の タ イ プ は 主人 ( Herr ) であり 、 「しもべ」 (Diener) が その 管理幹部として 、 服 従者 ( Untertanen) にの ぞみ 、 支 配の 発す る 一 般的指 令や 具 体 的 命 令 の遂行をと く に め ざ して行為す る 存 在とな っ て い る 。 この場合に. - 180 ( 5184) -.

(13) は 、 個人は伝統 に よ っ て 紳 聖 化さ れた彼 自 身 の権威 に よ っ て 、 ピ ェ テ ー ト の念から服 従さ れ る ので あ る 。 他 方 、 指 導 者の もつ 非 I」 常的な天 与. ( P ietat). の資質 に 正当性の源 泉 が あ る カ リ ス マ的支配でも 、 きわめ て 人格的で あ っ て 、 「 予 言者」 や し 、 改 宗した. 「. 使徒」 や. 「. 「. ヘ. ルと管理幹 部の結 合 は. 教 祖」 は 、 彼らの 啓 示 に ふ れ て 1J猜 依. 門 弟 」 を管理幹 部 に かか え て い る 。. そ れ に 対し て 合法的支配では 、 命令 者のタイ プは「上 司 」 で あ る が、 その 部下は没人格的秩序 に 対し て のみ 服 従す る 仲 間. ( Genosse ) で あ って. 、 一定の. 資格や客観的基準 に もとづい て 任 命さ れた職員が 、 合理的 に 組織 化さ れ て 管 理スタ ッ フを構成す る 。 そ れ ゆ え 、 この官僚制的 に 組織さ れた管理幹部は 、 人格的結合のきずなから解放さ れ て 量的 に きわめ て 尼大な規模 に ま で拡大す る ことが可能で あ り 、 実 際 に もしばしば大規投な管理組織の形成がみら れ る ,7,. ことが 、 この支配 類 型 の 一 つ の顕著な特色をなし て い る 。 注). 11). M.ウ ェ ー バ ー 、経済と 社会;. (2). P . M.Blau and W. R. Scott, F ormal Organization s, 1962, PP. 3:t---3 2 .. 世 良 晃 志郎訳、 支 配の社会学 I 、 昭和 45 年 、. 13). 前掲訳 書、 支 配の社会学 l 、. 14). 同 上、 支 配の社会学 I 、. (5). 同 上 、 支 虻の社会学 I. (6). 湯浅赴男 著 、 官 僚 制 の 史 的 分 析、 昭和. (7). P.M.Blau and W. R. Scott, Formal Organizatons op cit, P. 32 -. 33 頁 .. 33 頁 .. 33 頁 .. 、 33 - 34 頁 .. 46 年 、 37 - 38頁 .. 5 . 官僚制組織の理念型 ウ ェ. ー バー. 指 導 者を. は. 「ヘ. 「. 命 令 権力」 を他から 引 き 出 すのではない単数ないし複数の. ル」 と よ び 、. ヘ. ルの命 令 の ま ま に 動 く ひとびとを ア パラ ー ト. ( 装 置 ) と よ んでい る 。 各支配 類 型 は 、 いず れ もその展開の中で 、 そ れ ぞ れ に 対応す る 「管理幹部」 ないしア パラ ー トを組織 化 し て い くが 、 そのうちで すぐ れ て 特殊近代的な「合 法的支配」 がつ くり出したア パラ ー トが近代官僚 ( ). 制で あ る � か く て この没人格的秩序 に よ る 合理的支配の基礎的諸 範 疇 を明示. -181 (5185) -.

(14) する と い うかた ち で官僚制組織の理念 型 モ デル の定式化 がなされ て い る こ と か ら も 明 ら かなように 、 ウ ェ. ー バー. の官僚 制 組 織 の 古 典 的 モ デル は 、 合 法 的 , 2,. 支 配を 合 [J 的 的 な組織の構造に具体 化 し た 合理的 モ デル に他な ら な い 。 こ のような 官僚 制 組織の甚 本 的性 格をまず最 初 に 集 約 的に 表 現 し て い るの が 、 「 官 職 事 務の継 続 的な 、 規 則 に 抱 束 された 経 営 『 と い う ウ ェ. ー バー のあ げ. る 第 一 の範 頑であ ろ う。 まず 、 合 法 的 支 配の 下で は 、 職位の権限 が 規 則 によ っ て 即 対 象 的にその範 囲 が限 定 され て い るばかりでな い 。 職 務 の逐 行を導く 一. 各種の行為基準 が 客 観 的な 規程や 手 続 と し て 明 確 に 定 め ら れ 、 それに即して 泊 動 がなされる こ と によ っ て 、 その形 式 合理性 が 高 まる と と もに 不断 の 成 員の 父 杯や 移 動 に も かか わ ら ず 、 . . 貰 し た 活 動の 継 綺 性もみ ら れるようになる。 こ のように 、 ウ ェ ー. バー. が こ こ で。 「 継 続 性 」 を と くに強 調するのは 、 「合理的組織」. が 何よりもまず 、 歴 史 的な過 去 の 事 例 に 多 くみ ら れる 「 場 当 り的で 不安 定 」 ( ad hoc )な 諸 関係 に対する ア ン チ. ••. ・. テ ー ゼ と し て と ら え ら れ て い るか ら に他. な ら な い。 ウェ. ー バ. ー による と 、 「 明 確 な権限をもつ継 続 的 官 庁 」 が 、 古 代 オ リ エ ン ト. のそれの 如く 、 非常に尼大な政 治 的組織にお い て も、 ゲ ル マ ン 人や蒙 古 人 の 征服国 家にお い て も 、 通則で は なく例 外であ り 、 「 こ れ ら の諸 国で は 支 配 者 は まさに 最 も重要な施 策 を 、 個 人 的腹 心や 食 卓 仲 間や廷 臣を使っ て 行 ったので ある が 、 それ ら のもの が 受 け た 委 任や権能は 個 々 のケ. ー. スにつ い て 一 時 的に し5,. 与え ら れたものであ り 、 また 明 確 に限定さ れ て い なか っ た」 のである。 こ の ような過 去の事例 と の歴 史 的な対比 にお い て 、 近 代 的 フ ォ. ー. マ ル 組織に固 有. の合理的 特 質 に 目 を む け る と 、 当 然 そ こ で 、 没 人 格 的な 規 則 にも と づく継 続 的な活動 と い う事実 が 顕 著 に 目 につくであろう。 エ チ オ ニ ( A. Etzioni ) によ れば 、 かかる規則 は 、 問 題のおきる 毎 に 、 い ち い ちあ ら たな解決 策をみつ け 出す必 要 を と りの ぞき 、 大きな 努 力 の 節 約をもた ら すばかりでな い 。 それ は 多 くのケ ー ス の 処理にあた っ て 標 準 化や 平 等な 取 扱 い を 促 進 するうえでも 大きな意 義をもつであろう。. - 182 (5 186) -.

(15) こ の最初の基本的範 ’髯が、 「 合 理的組織」 の様々のニ ー ドに即して、 各種の 組織の原則に個 別的に具体 化 さ れ ると、 そ こ にウェ ー. バ ー が官僚制組織の諸. 特 質として あ げる 一 連 の諸 範 峰が あ ら わ れて くる『 その 第 一 が、 次 の 三 つの契機を内容と す る 「官庁 的権限」の原則で あ る。 す なわ ち 、 ( I )組織の目的達 成に必要な正規の活動は、 職務上の義務として明 確に分配さ れている。. (2) こ. れ らの義務の履 行に必要な命 令 権力が 同 じく 明確. に分配さ れており、 そ れに強制手 段 が 付 与さ れているときは、 こ の強制手 段 も規則に よ って明確に限定さ れている。. (3) こ の よ うに配分さ れた諸義務が規. 則的 ・ 継 綬的に履 行さ れ、 こ れ に対応 す る権利が 行使さ れ るために、 計 画的 な配慮が、. 一. 般に規制さ れた資格をもつ ひとびとを 任 命 す るという こ とに よ. ってなさ れ る。 ウ ェ ー バ ー に よ れ ば、 こ れ らの三つの契機が、 公 法的支配に おいては官僚制的 「官庁」の存在を基礎づけ、 私経済的支配においては、 官 僚制的 「経営」 の存在を基礎 づ けている。. 「 こ の意味において、 こ れ ら の制. 度は、 政 治的お よ び 教 会的 共 同 体の領 域においては近代 国 家 にいたって始め て、 私経済の分野においては資本主義の最も進 歩 した諸組織において 始めて、 完 全な発達をとげるにいたった」 ので あ る·�· この. 「. 権限」の原則の意味 す ると こ ろ については様々の解釈が あ るけ れ ど. も 、 こ こ ではとくに各職位間の明確な分業の確 立 とそ れに よ って促進さ れる 専 門化という 意 味を重 視 す る ブラ ウ = ス コ ッ トの 見 解が 是 認 で き よ う 『 まず、 体系的な分業を確 立 す るためには、 各職位の 業 務の 範 囲 と、 そ れ に対応 す る 権利や命 令 権力の体系的な配分が必要で あ る ° 更に こ のシス テ ムがうまく 運 営さ れ るためには、 そ れ ぞ れ の職務内容に応 じ た専門的 訓 練を受 けた職員を 任命しな け れ ばな ら ない。 こ の よ うにして確 立さ れ る専門化はそ れ 自体、 直 接的に職 員 の 訓 練を促進す るのみな ら ず、 専門的資格にもとづく 採用を通 じ て間接的にもそ れ を促進 す るで あ ろ う。 第 二は官職階層制の原則で あ る。 その中心が 一 元的な権限の階層的秩序に あ るのはいうまでもない 。 こ のピラ ミッ ド型の構造の下では、 す べての職位. - 183 (5187) -.

(16) があ ま さず 上 位の職位の コ ン ト ロ. ー. ル を受 け 、 服 従が1本 系 的 に チ ェ ッ ク され、. 補 強されて 、 それが不安 定な 偶 然の機 会 に ゆ だ ね られ る と い う ことがな く な っ て く る 。 こ う して規律が保 たれて は じめて 、 組織 全 体を 自 由 に コ ン ト ロ. ー. ト ッ プが集 権 的 に 、 中 央か ら. ル でき る よ う に な り 、 か く て ト ッ プの意思 決定. や 方 針が 、 組織全 体 に 貫徹 し て その活動の統一 性と機動性が確保され る よ う にな る 。 第 三 は 規則 に もと づく職務 執行の 原 則 であ る 。 す な わ ち 公式的 に 制定 さ れ たさ ま ざ ま の規則 や規程の 体 系 があ り 、 これが職務上 の決定や行 為 を支 配 し して い る 。 原 則 的 に 活動 は これらの 一 般 的 規則 の 、 個々の特 殊 事 例 への適用 と い う 形式をと る が 、 規則が多 少とも 一 般 的であ る ため に 、 そこで は たえず 範疇化を用 い ね ばならず 、 そのため に 、 個々の 事 例 や 問 題 は 一 定の基準をも と に して 分類 され 、 それに 従 っ て処理され る こと に な る 。 ところで 、 これら の規則 や規程が特殊な 技 術 的内容を含 む 場 合、 、 その適用が合理的であ る ため に は 、 専 門 的 に 訓 練された能力が 必要であ っ て、 ここからも、 通常 は 、 効 果 的 な 訓 練を受けたことを証 明 し う る ものだけが職員 に 登用され る こと に な る 。 こ う して職務が客観的な規則 や手 続 に もとづ い てなされ る こと に よ っ て 、 誰 が その 任 に つこ う とも 、 執行が 同 じ よ う に なされ、 これが権 限の 階 層 的構造 とあ い ま っ て諸活動の調整を促 進 す る ばか り でな い 。 そこ に 出て く る 活動の 一貫性と継 統性 は 、 カ リ ス マ 的運動 に はみられな い 安定性を官僚制 に もたら す であろ う 。 第 四 は 没 人 格性の 原 則で あ る ; これ は 職員が顧客や他の職員と 接 触 す る 場 合 に 、 冷徹な即対象 的な態度を貫 ぬくことを要請 す る 。 J: 司 が部下 に 対 す る 場合も同 様で、 各 管理階 層 間や職員と顧客との間 に も う けられて い る 一 定の 社 会 的へだた り も 、 かか る 形式性 ( form a l ity ) を助 長 せ んがためであ る 。 も ちろん 、 この要請が出てく る の は 、 不平 等や差 別を排 除 す る と い う こともさ る ことながら 、 い ま. 一. つ に は 、 計 算不能な 感 情 や不合理な恣意の介 入 に よ っ. て 、 職務逐行上 の合理的 判 断がゆがめられた り 、 くも ら され る と い けな い か. -184 (5188) -.

(17) ら であ る。 第 五 は 管理幹部の経営手段や調達手段の 所 有 か ら の 分離 の 原 則 で あ る 。 管 理 幹 部 に 属 す る 管理 者 、 職 員 、 労 働 者 は 物的 な 経 営 手段 や 調 達 手段 を 自 分 で は所有 し て お ら ず、 こ れ を 現物ま た は貨幣の形で受 け と り 、 そ れ につ い て の 計 算 、 報 告 義 務 が課 せ ら れ て い る 。 こ う し て 経営 財 産 と 私的 財 産 が 、更 に は 事 務所 と 私宅 と の 完 全 な 分離 が原則 と な っ て く る 。 か か る 公 私の 区 別 は ど こ に に お い て も 長 期 の 発展 の 結 果 と し て 始 め て 出 て き た も の で あ る が、 今 日 で は 公 け の 経営 に お い て も 、 私 経 済 的 経営 に お い て も ひ と し く 見 出 さ れ 、 し か も 後 者 に お い て は 、 指 導 的 企 業 者 自 身 の 地位 に ま で お よ ぼ さ れ て い る 。 こ の 区 別 の 必 要 性 は 、 職 員 の 組織 上 の 地 位 や 役 割 が 、 組織 外 の 地 位 や 役 割 に よ っ て 侵 害 さ れ 、 合 理 的 な 組織 の 運 営 が そ れ に よ っ て そ こ な わ れ る と い け な い か ら で あ る 。 し た が っ て こ の 場 合 に 官職 保 有者 に よ る 職位 の 占 有 がみ と め ら れ な いのはい う ま でも な い。 第 六 は 文 書 主義 の 原則 で あ る 。 口 頭 に よ る 計論 が事実上、 常則 と な っ て い る 場 合で も 、 少 く と も 予備 的 は 計 論 や最終的 決 定 、 あ ら ゆ る 種類 の 処分 や 指 令 は 文 書 の 形 で 固 定 さ れ る 。 文 書 と 職 員 に よ る 継続 的 な 経営 と は 、 あ い 合 し て 事務 所 を 形 成 す る が、 こ の 事 務 所 こ そ 、 あ ら ゆ る 近代 的 な 団体行 為 の核心 そ の も の を な し て い る 。 一般 に は さ ほ ど重視 さ れ ず 、 む し ろ レ ッ ド ・ テ と し て し ば し ば そ の 行過 ぎ が非 難 の 対 象 と な る こ の 原 則 も 、 ウ ェ. ー バー. ー. プ. に と. っ て は 重 要 な 意 義 を も っ て い る 。 け だ し 規則 や 規 範 の 体 系 的 な 解 釈 と そ の 実 施 を 維持 し て い く こ と は 、 継 続 的 な 経 営 に と っ て き わ め て 重 要 で あ る が 、 単 に 口頭の コ ミ ュ ニ ケ. ー. シ ョ ン だ け で は そ れ が十 分 に な し え な い か ら で あ る 。. こ れ ら の 諸 原則 に 加 え て 、 近 代 官 僚 制 に お け る 職 員 の 地位 に つ い て も 次 の °. よ う な 諸特 質 がみ ら れ る閃 ま ず 、 職 員 は 人 格的 に は 自 由 で あ り 、 た だ ザ ッ ハ リ ッ ヒ な 官職 義 務 に の み 服 従 す る 。 彼 は 明確 な 官職 階 層 制 の 中 に あ り 、 明確 な 職 務権限 を も ち 、 契約 に よ っ て 、. し た が っ て 原 理 的:には 自 由 な 選 択 に よ っ. て 、 試 験 や 免状 に よ っ て 認 証 さ れ た 専 門 資 格 に も と ず い て 任 命 さ れ る 。 貨 幣. -185 (5189) -.

(18) 形 態での定額の1奉給を報 酬として受 け 、 多 く の場合 に は 年 金 請 求 権が与えら れて い る 。 この俸 給は 第 一 次 的 に は 階 層 制 の 上 での位 階 に 応 じ て 、 さら に そ の地位の責 任の軽重 に 応 じ て 、 その他 「 身 分相応」 の 原 則 に し た が っ て 等 級 づ け ら れ て い る 。 彼らは 自 己の官職を唯 一 の ま た は主 た る 職 業として 扱 い 在 職 年 数 ま た は 功 績 、 あ る い はこの両者 に もと づく 昇 進 を前 途 に 期 待 し 、 完 全 に 「 経 営 手 段から分離」 さ れて 、 ま た 官職 地 位の 占 有 な し に {動き、 厳格で統 ー 的 な 職務規律 や統制 に 服して い る 。 ウェ. ー. バ ー に よ れ ば 、 この秩序は 、 原 理的 に は 、 営利経 済 的 な 経 営や慈 善. 事 業の経 営 に お い ても 、 その他 任意の 、 私的 目 的を追 求 して い る 諸経 営 に お い ても 、 ま た 、 政 治的 団 体 や教 権 制 的 団 体 に お い ても 、 ひ とし く 適用可能で あ り 、 ま た 歴 史 の 上でも 、 ( 純粋 型 に 多 少 とも近似し た 形で ) 証 明し う る ので Ill/. ある。. 以 上 のウ ェ ー バ ー の官僚制 組織のモデルは 明 らか に 「理念 型 」( ldeal typus) として構成さ れ た ものであ る 。 そこで簡単 に こ れ に ふ れ る と 、 もともと. 「. 理. 念 型 」と い う 語を 最 初 に 科 学で用 い た のは イ ェ リ ネ ッ ク (Georg Je l l inek) と '. さ れて い る ? とこ ろ が彼 の 場 合 に は 、 この語 に 、 「か く あ る べきもの」 と い う 規範的意味がこめら れ て い た 。 ウ ェ. ー. バ ー はこ れ を 「もし完 全 な 状 態 に な れ. ばかくあ る は ずのもの」 と い う 意味 に おきかえ 、 その規範的意味をと り さ る こと に よ っ て 、 理念 型 を 「可能性」の範 鳩 に う つし 、 社 会 科 学で重要 な 個別 的 認 識 を 得 る た めの. 「 ものさし」. として 役 立 つもの に かえ た のであ る 。 こ う. して理念 型 は 社 会 科 学 研 究 上 の重要 な 認 識 手 段と な り ? とく に 、 ウ ェ. ー. バ―. に お い ては 、 その理解的 方 法 に 不 可 欠 の 論理的装 置と な っ て い る 。 し た が っ てこの類 型は単 な る 実 在 類 型では な く 、 無 限 に 多様 な 現 実の 中 から、 主 体の 一 定の価 値関心 に かか わ らしめて選 び 出 さ れ る 一 定 有 限 の部分を認 識の対 象 として構成さ れ る とこ ろ の 、 高度の思惟の作用 に よ る 純粋 な 息 想 像であ る 。 かくて理念 型は現 実の 一 定要 素を思 惟の な かで 引 き 上 げ る こと に よ っ てつく ら れ 、 歴 史 的生活の 一 定の関係や過程が、 そ れ 自 体 矛 盾の な い コ スモス とし. -186 (5190) -.

(19) て 考えられ る 連 関 に 統一 さ れたもの に 他 な ら な い 。 元 来、 理念 型 は こ う い う 性格のもので あ る から、 その妥 当 性の い かん は. 「. 真 実か否か」 と い う こと に. よ っ てで は な く 、 科 学 的 研 究 の 導 きと し て 有 効か否か に よ っ てきめられ る べ ". きもので あ る 悶. かか る 理念 型と し ての性格をもつ ウ ェ. ー バー. の官僚制組織のモデルの 方 法. 論 的意義や限 界 に つ いての い っ そ う 詳 細 な 論義 は 別の機 会 に ゆだ ね よ う 。 こ こで は その構成の基礎を な す 価 値関心 に ふれ る に とどめてお く が、 バ ー の官僚制の理念 型 をたん ね ん. 「. ウ ェ. ー. に 検 討 し て み る と、 彼 は、 諸 要 素が管理能. 率 に 貢 献 す る か ぎり に お い て、 それらの u者 要 素 を官僚制的と み な し て い る 了 と い う ブ ラ ウの所説 に も 明らか な よ う に 、 この場 合の ウ ェ. ー バー. の重 要 な 価. 値関 心 が 「能率 」 に あ る の は い う ま でも な い 。 し て み れば、 ウ ェ. ー バ. ーの. 「. 官僚制組織」 の理念 型 は、 現実の組織 に 見 出 さ れ る 経 験 的 諸 要 素 に 素 材を 求. め な がらも、 これを. 「. 能 率 」 と い う 観点から 一 面 的 に 高め あ げ て 、 「 客観的可. 能性」と 「適合的連 関 」の範 疇へ 導 き な がら 考え う る か ぎりでのも っ とも 「 合 理的」 な 組織 と し て定式化 し た 極 限的モデルに 他 な ら な い 。 い う ま でも な く 、 この純粋 型 に も っ とも 近 似 し た形で 見 出 さ れ る 歴 史 的実 在 は 、 合 法 的 支 配 に 根 ざ し た 近 代 的フ ォ 理的 な 近 代 的フ ォ. ー. ー. マ ル組織で あ る 。 かくて官僚制組織 は す ぐ れて形式合. マ ル組織 に 一 般 的 に 妥 当 す る 概 念で あ っ て 、 それ は ま さ. に 、 「 世 界の呪術からの解放」 に よ る. 「. 日 々 増大す る 合理化」 と い う 歴 史 的基. 調の組織 レ ベル に おけ る 結 晶 に 他 な ら な い 。 けだし、 ウ ェ ー. バ. ー に よれば そ. こ に みられ る 経 験 豊 富 な エ キ ス パ ー ト は 技 術 的 に 正 し い 意 思 決定を な す に も っ ともふ さ わ し い 存 在で あ る ばかりで な い 。 抽 象 的規則 に 支 配 さ れ、 権 限の 階 層 的秩序 に よ っ て 1本 系 的 に 調整が な さ れ る 規 律 あ る 逐 行 は 組織 目 的の 一 貫 &. した 合理的追 求 を 可 能 な ら し め、 促 進す る からで あ る � ウェ. ー バ. ーは. 「. 精確性、 迅 速 さ 、 明 確性、 文 書 に 対す る 精通、 純粋性、 1真. 重 さ 、 統一 性、 厳格 な 服 従、 摩 擦の 除 去、 物的 な ら び に 人 的 費用の節 約 ― ― これら は 厳 密 に 官僚制的 な 、 とく に 訓 練を う けた 個 々 の職員 に よ る 単一 支 配. -187 (5191) -.

(20) 的な管理においては、 あらゆる合議的または 名 挙 職的、 兼職的な形態に比較 して最適度に高められる」とのべているが、 こ こには官僚制組織に顕著な形 式合理性の内容が具体的に示されている。 いうまで も な くウェ ー バ ー によれ ば、 このよ う な技術的卓越 性 こ そが官僚制組織の歴 史 的進出の決定的根拠で あ っ た。 注) ( I ) 121. 湯浅赴男 著 、 前 掲 書 、 39頁 M. Weber, WuG,a.a. 0., S. 160 ;S S . 703 - 73 8 .. (31. M. Weber, WuG, a.a. O., S. 16 1 .. (4). A.Etzioni, Modern Organizations, 1964 , P. 53 .. 151 M. Weber, WuG, a.a. O.,S.703 . (6). A Etzioni,op.cit., P. 53 .. (7 1. MWeber, WuG,a.a.0, SS. 16 1 - 162 .. (81. M. Weber, WuG, a.a. O., S. 70 3 .. (9). P. M . Blau and W . R. Scott, Formal Oganizations, 1962 , P. 33 .. (IOI M. Weber, SS. 162 - 163 . (11). M. Weber, S. 163 .. (12). 思 想 の 科 学 研 究 会 編 、 哲 学 · 論 理 用 語 辞 典 、 1958 年 、 262 - 26 3頁 .. (131 (14). 思 想 の 科 学 研 究 会 編 、 哲 学 ・ 論 理 用 語 辞 典 、 1958年 、 26 2- 26 3 頁 . P.M. Blau and W. R. Scott,op. cit., pp. 33- 34.. (15). P. M . Blau and W . R. Scott, ibid., p. 34 .. ⑯. P. M . Blau and W . R. scott , ibid., p. 33.. (Iり. M . Weber, Wu G,aa.O. , S . 7 16.. (18) M. Weber, Wug, a.a. O. , S. 716. SS. a.a.. -188 (5192) -.

(21)

参照

関連したドキュメント

 ラディカルな組織変革の研究では、伝統的に業績の悪化・危機あるいはトップの交代が組

堰殖の像が著しく極端な場合にはあたかも腫瘍 歌の増殖を示し周囲の組織を圧迫し結節の境界

(文献資料との対比として,“非文献資 料”)は,膨大かつ多種多様である.これ

の多くの場合に腺腫を認め組織学的にはエオヂ ン嗜好性細胞よりなることが多い.叉性機能減

本格的な始動に向け、2022年4月に1,000人規模のグローバルな専任組織を設置しました。市場をクロスインダスト

に関して言 えば, は つのリー群の組 によって等質空間として表すこと はできないが, つのリー群の組 を用いればクリフォード・クラ イン形

実際, クラス C の多様体については, ここでは 詳細には述べないが, 代数 reduction をはじめ類似のいくつかの方法を 組み合わせてその構造を組織的に研究することができる

・Squamous cell carcinoma 8070 とその亜型/変異型 注3: 以下のような状況にて腫瘤の組織型が異なると