ISSN 0915-7654
武庫川 女子 大学
言語文化研究所年報
第
2
号
武 庫 川 女 子 大 学
言 語 文 化 研 究 所 年 報
第
2号
目次
佐竹
秀雄
1
市川
真文
12
平 岡
照 明
35
紙 谷
栄治
39
泉
基博
49
清水
彰
58
国語教 育におけ る
CAIの
類型 と学習内容
過渡期 の英語
キ ー ワー ド キ ー ワー ド キ ー フー ド キ ー フー ド キ ー ワー ド キ ー フー ド 新言文一致体 文体 ジュニア小説 ファンンター 感覚釣表現 ― 母 語の覚醒 とその憑拠― 基層語 母語 古典語 言語純正論者 過渡期現代語 の敬語につ いて
記録 と伝 承
敬語 尊敬語 謙譲語 ― 崇徳上皇 と讃岐― 崇徳上皇 讃岐 鼓岡 志度 野津丼 琉歌史 琉歌の伝承 琉歌の曲節 琉歌集琉歌 の時代区分
約実而論
―「約」字議 笏―
西崎
亨
1
キ ー ワー ド 「約」字 「ツイテ」 最明寺本『往生要集』ジュニ ア小説 とフ ァン レター
国語科CAl
学習内容 チェー トリアル型 ドリル型 情報検索型武庫 川女子大学 言語文 化研究所年 報 第2号 (1990)
ジ ュニ ア小 説 とフ ァ ン ンター
佐
竹
秀
雄
1 . は じめ に 筆者 が大学 で教鞭 を とる よ うに な って、2年
が経過 しよ うとしてい る。そ の間、定期試験 では、学生に論述形式のテス トを課 して きた。 ところが、そ の答案に、論 旨不明の文章が少なか らず 出現す る。 もちろん文法的な誤 りも ないわ けではないが、それ よ りも、論理 の展 開が一貫 せず 、何 を書 いてい る のか本人に もわか らないのではないか、 とい うような文章が多いのである。 また、年度 の終わ りには、筆者 の講義に対す る感想や来年度 の講義のため の要望を書 いて もらっている。 こちらの文章は、それな りに意味のわか るも のにな っている。 両者 の違 いは、 もちろん筆 者 の講義 が まず くて、学 生が理解 で きず 、そ の ために、わけのわか らない答案が出現す ることに起因す るとい う可能性 も考 え られ る。 しか し、筆者 には、それ よ りも文章 の書 き方 に問題 が あ る よ うに 思われ る。 それ は、以下 に述 べ る よ うな事実が存 在す るか らで ある。2.ジ
ュニア小説 とフ ァン レターの共通性A
だけ ど、 さ。 学校 って、 アマい とこ、 ある よね。遅 刻 早退欠席 しな い コが、 よい コ、 で しょ?
マ トモに行 きさえすれば、で、終鈴 までいれば、いい ワケだ。 蝶 中、 ボー ッと して よ うが、机 につ ぶ し鶴 ち ゃお うが 一 これ ば っか りだ と フル メダチだけ ど。 た まにな ら一 、 セ ンセーは、生徒 の こ と、 フマジメな コ、 とは、見ない傾 向、あるで しょ!? だか ら、 あた し、ほ とん ど眠 ってない ときで も、 コンジ ョー出 して、 遅 れ な い よ うに学校 へ、行 く。電 車が、つ ら くって、 タクシー しち ゃ う ナ ンジ ャク部分は、あるけ ど。 とにか く、行 く。B
生徒 は、全員、なあなあの仲な フケ。 きどった って、イ ミないモ ン。 カ ッコE、 男子が、いるん じゃな し。 パ ンツの色か ら、オヘ ンの形か ら、生理 の 日まで、知 りあっち ゃって い るカンケーだ し (あ、や ら し―意味 と、チガ ウよ。体育の ときの、着 替 え とか、 あ る じゃないか!!)。 ひたす ら、あけ っびろげ。C
それ に、なんた って性格が、す っご く素直なんだ よ―。 子供 なんだか ら、子供 らしいのはあた りまえ と思 うか もしんないけ ど、 最近 のち っこい子 って、け っこ―おチ ビの くせに こまっしゃ くれてた り す る じゃない。大人 の ミニチ ェア版みたいな さ。その点 でいった ら、美 紅 ち ゃんなんて、 ホ ン トかわ い ―子υ 上 に掲げた用例は、テ ィーンエイ ジャーの少女向けの小説、いわゆ るジ ュ ニア小説 と呼ばれ るものの一節 である(原文 は縦 書 き)。 これ らは、いわゆ る 一般 の小説 とは文体上、明 らかに違 いが見 られ る。 まず、ほ とん どの ジュニ ア小説が、主人公の少女が読者に語 りかけ る ような、それ も規 しげに話す よ うな調子で書かれている。それに加 えて、登場人物に よる会話が数多 くは さ み こまれて展開 してい く。 内容は ラブス トー リーが中心で、いわば、少女マ ンガを文字化 した よ うな小説 と言えば よいだろ う。 他方 、 これ らの小説 の作家 に対 して送 られ て くる フ ァ ン レタ ーが あ る。 フ ァンレターの書 き手は、15歳 ぐらいを中心 とす る中学・ 高校生で、次に掲 げ るのは、そ の一 部である (原文 は横書 き)。D
私ね 、は っき り言 って、み とセ ンセの小説いがい読めないんです よ! ど― してか とい うと、み とセ ンセの小説 ってばvery podだ
か ら、ほか の人のは読んでて も、たの しくないんだ。それに授業中に小説を読んで る私です… (もちみ とセ ンセの)。 とって もいけない子で してね ぇ… と、 まあ今 日、 これ ぐらいに して次回にか きま∼ す。 あ っお返 事 くれ た ら も―サ イ コーに うれCで
す。E
み とセンセ ェイのか くLOVEス
トー リー+SFXぽ
いのが大大大大大す きです ―
!
へへ っ な い よ― も,大
す きなんですけ ど,男
の子が,み
―んな タイプなんで す よね っ!
へへ っ お こっちゃいま した?“
ゴメンナサイ"ど
― きが 不 ジ ェンです よね っ で も,本
当に大す きなんです よっ。 信 じて もらえ ますか ″F
中1の頃 は、小 説家 に憧 れ た りも した んだけ ど、頭 ん中で思 ってい る コ トが、思 うように 口に出せな くて、無理。今、 こうして手紙 を書いて る時 も、そ う。書 く内容は、わか っているのに、 どうして も話 がずれ て いって、わけのわからない手紙になっちゃう。性格はひね くれていて、 わがままで、何でも悲観的に考えて しま う。 どうしようもないです よね。 これ らのファンレターをジェニア小説 と見比べてみるとき、全体的な雰囲 気や、細かい部分で もい くつかの点で類似を見てとることができよう。 ファンレターの場合、当然の ことではあるが、相手に語 りかける口調であ るが、上記の例の場合は、その 口調がかな り親 しげな調子で、 この点、 ジュ ニア小説 と似ている。 また、た とえば、ジュニア小説の「あ、や らし―イ ミ」(B)と
フ ァンレ ターの「あっお返事 くれたら」(D)の
ように、どちらも感動詞が使われてい るが、「あ」「あっ」 といった感動詞は話 しことばであ り、普通の書 きことば ではあま り使われ ない。 同様 に、「寝 ち ゃお う」(A)と
「お こっちゃう」(E)も
話 しことばで使われ る表現で、書 きことばなら、「寝て しま う」「お こって しま う」である。 こうした点でもジュニア小説 とファンレターとは共 通点を もつ。 このほかに も、細かい点でいろいろ共通 点 が認 め られ るが 、基本 的 に、 ジ ュニア小説 もフ ァン レターもともに、相手に話 しかけ るような文体 で書か れ てい る点で共通 しているのである。3.共
通性の理 由 両者 に共通性があるのは、 どの よ うな理 由に よるか。二つの理 由が考え ら れ る。 ジ ュニア小説 とフ ァン レター一 つ は、読者が小説の影響 を受けているとい うことである。 ファンの少女 た ちは、かな り熱心な読者であ り、小説に強 い感動を覚 えている。作家に対 して も強いあ こがれ の気持ちを抱 いている。中には、 自分 もジェニア小説 の 作家 に な りた い とい う希望 を もってい る フ ァ ン もい る。 そ う した フ ァ ンに とって、作家の文章 が手本にな らないはずはあるまい。 自分があこがれ尊敬 す る ものに近づ き一体化 しよ うとす るのは、 この世代 の心理 としては当然 の こ とであろ う。その結果、鋭敏な少女たちは、 ジュニア小説の雰囲気に似た 手紙 を書 くことにな る。 も う一つ の理 由は作家側 に あ る。 一般にだれで も、ふだん読みなれていない文体 の文章は とっつ きに くいが、 自分の文章に近 い文体 の文章は身近な印象を もつ。少女たちに とって も、 自 分 た ちがぶ だん書 いてい る文章 に近 い ものは受 け入れやす い。 そ こで、 ジ ュ ニア小説の作家たちは、当然、 自分の作品が受け入れ られ るよ うに と、少女 た ちの文体に近 い文章を書 くことにな る。 ジ ュニア小説 の作家 は、年齢が20代 ∼30代 と一般 の小説 よ りもはるかに若 い。 それ も女性 が多 い。彼 女た ちに してみれ ば、読者 の少 女 は、 いわ ば “妹
"の
よ うな存在、あるいは、比較的近 い過去の 自分 自身 とみなせ ること だ ろ う。それゆ え、作家たちは読者 の少女たちが書 く文章 の特徴を十 三分に 承知 してい るはず で、少 女た ちの文章 に似 た文章 を容易 に書 くことが で きる のである。 こ うした、両者におけ る理 由は、互 いが互 いに影響 を及 ぼ しあ う関係 に あ って、相 乗効果 を生み 出す。 そのため、 よ り類似性 を高め、共通 性 を もつ ことにな るのである。4.新
言文一致体一 表現上 の特徴 ところで、 ジ ュニ ア小説 とフ ァン レターに共通 して見 られ る 「相手 に話 し かけ る ような文体」を、筆者は「新言文一致体」と呼んでいるさ。それ は、こ れ らの文体が話 しことばに近 いスタイルを もっていることに よる。 明治時代 の言文一致運動 は、書 き ことばを話 しことばに近 づけ るのに大 きな役割を果た しは したが、決 して言 と文 とを一致 させるものではなか った。 そ して、話 しことば と書 きことばとは、依然 として、基本的に違 うものとし て存在 して きた。それに対 して、ジュニア小説や ファンンターに見 られ るよ うな、最近の若者に よる、仲間に向か って話 しかけるスタイルである新言文 一致体の出現は、書 きことばを話 しことばにさらに一歩近づけるものと言え よう。 以下、新言文一致体の特徴が言語形式 の どの よ うな部分に現れ るかを、 ジュニア小説 とファンレターか ら具体例 として取 り出 して示そ う。なお、出 典については後述の「
6.数
量的な特徴」で扱 うデータと同 じものである。 た とえば、現実 の話 しことばには、言い誤 りや文 法 的 な誤 りが あ る。 「え―、まあ、あの」 といった遊びことばも頻出する。 また、同 じことばを 繰 り返 して言った りすることもある。 ジュニア小説やファンレターでは、 こ れ らの整 っていない表現をそのまま文字化 しているわけではないが、話す ロ 調をかな り残 している。(1)フ
ツーは、お と―さん死んだ ら、(ジュニア小説、以下、Jと
略記)(2)私
のこと知 って もらいた くな って… (フ ァンレター、以下、Fと
略 記) ③ あ、で、でも、勘違い しないでね。(J)
(4)で
も、え―とシナ リオ?台
本だっけな。(F).
(5)そ
の中のどこかに彼がいるような気が して……。(J)
⑥2、 3度
ケンカを した ことがあるけ ど…。(F)
上の うち、(lXOは、「おと―さんが死んだら」、② 「私のことを知 って」の 「が・ を」が省略 されている。話 しことばでは助詞が省略 され ることが多い。 (3)の「あ、で、でも」のような ことばにつ まった場合、(4)「え―と」 といっ た遊び ことば、それに(5X6)の文末の言いさしも、話 しことばに よく使われる ものである。 こうした話 しことばに特有の形が、会話の部分ではな く、地の 文に使われているのである。 また、(7)胸
が、 ジーンと痺れて、瞳 まで ウル ウル してきちゃった。(J)
(8)は
ん とに ピンポーンだ った りして。(F)
ジ ュニア小説 とフ ァン レター(9)っ
た く、 タイ ミングがいいんだか、悪いんだか。(J)
00
ホン トはもっと早 くそ うしなきゃいけなか った。(J)
0)な
んてったって 「かつおぶ しクラブ」 なんて作 るほ どです もんね。(F)
⑫ 親友 って ものを もう何年 もつ くってなか ったために、(F)
における、0「
ウル ウル」、③「ピンポーン」な どの流行語の使用や、0∼
⑫ の傍線部は、話 しことばをそのまま書 きことばに移 しているものだ と言え よ う。 そ してまた、終助詞 も話 しことばでよく使われ るものである。それが次の ように現れる。 的 昔 っか ら、それ疑問だ ったの よね。(J)
m
知 りたいけ ど、立ち聞きす るわけにもいかない しさ。(J)
0
今、先生 と交 カン日記をや ってんです ヨ!(F)
m
ず ―とこの時間が もてるといいナ。(F)
5.新
言文一致体一―表 記上 の特 徴 さらに、話 しことばの調子を書 きことばに込め ようとす る態度は、表記に も現れ る。普通、話 しことばにおけ る徴妙な ニ ュアンスの違 いな どを書 きこ とばに書 きとめ ることはで きない。それを、表記に よってわずかだけで も話 しことばの雰囲気を伝 え ようとす る。 (10 ステキな プテ ィ ックや レス トラ ンな ど、 オ シ ャ レなお店 が並 んで るん だ。(J)
00
「放 っといて」 なんて言 っち ゃって、イジケて るなんて、サイテー。(J)
01
山 田ババ アが 、 ジ ョー ヒンな笑 いかた、 のポーズを して る。 これ また、 ヘ ンだ。 おか しい。 ブキ ミ∼。(J)
側)さ
い ごに クッツクとい うことがサイ コーで、(F)
ID
私が こ うな った ら うれ し―だ ろ うなあ。(F)
∽ 表紙 の絵 が とて もか ―いか ったので、か い ま した。(F)
00∼∞の傍線部は普通なら平仮名や漢字で書かれてよいところを、片仮名 を用いている。また、「サイテー」「ジ ョーヒン」「サイ コー」では長音符号 も 使 っているし、IDは平仮名ではあるが、「うれ しい」を「うれ し―」と長音符 号を使 って表 している。 さらに②では 「かわいか つた」を「か―いか った」 とかな り変形 している。いずれ も普通 とは違 った表記形式を用いている。 これ らは、いずれ も感情や評価を表す部分であるが、 もし話 しことばの場 合なら、感情をこめて発音され るところであろ う。そ うした部分に対 して普 通 とは違 った表記形式を用いることに よって、その感情や評価を強調すると い う効果をあげているのである。 感情をこめて表現す るとい う点では、次の ような程度や状態を表す語 も同 様である。
"
私そんなことず えったいいやで、負けた くない!(F)
∽ ずっ と2、 私のことを思 っていて くれた しィー。(F)
の たかがバ レンタインひ とつで、こォ∼んなに悩ん じゃった り(J)
い
生まれてから、ず ぅぅ… っっっと、片想いしか知らない
(J)
∽ すっごいや さ しい先 生 で 大 が た あ∼ っ くさん つ くほ ど大 ス キ です 。(F)
"
中学に入 ったら私はす ご∼お く肩が こって しまいました。(F)
"の
「ザ ぇったい」は 「ぜ ったい」のことである。∽│の「ずつ と2」 とい うの は、数学でい うところの「ず っとの2乗
」で、「ず っとず っと」を意味する。 の∼のでは、長音符号 としての「―」「∼」や、促音 「っ」が使われている。 これ らはいずれ も感情をこめて強調 したい表現部分であ り、話 しことばであ れば、力をこめて発音するところであろ う。そ うしたニ ュアンスが、普通の 表記形式 とは違 う形式を用いていることによって示 されている。 さらに、文末部分の表記では、 ω じゃ、 い った い、わ た しに誰が教 えて くれ るってい うの よ ォ ッ!(J)
∞ 一つかな しいことがあ りました っ!(F)
10
緊張が、ほ どけちゃって、ネムいのネム くないのって!!(J)
ジ ュニア小説 とフ ァン レター⑫ 私は学校 では吹奏楽 にはい ってが っきは “トランペ ッ ト
"な
ん で す っっ!(F)
∞ どかん!!「あた っ☆」「いたぁっ☆」(J)
00
またまたとて もよいス トー リーで したυ(F)
感嘆符が しき りに使われ るし、「☆」や「υ」のような星やハー トのマークを うけた もの も見 られ る。 また、 "、 ⑫ 、∞ の よ うに、 文 末 に 「 っ」 や 「っっ」を付けているものもある。 これらも、内容として強 く表現 したい部 分、 日立たせたい部分であ り、やは り強い口調を連想させる効果がある。つ ま り、記号も、話す 口調や感情を表記にとどめる手段の一つとして使われて いるのである。 以上に挙げた、感情、評価を表す語、程度や態度を表す語、お よび文末部 分は、いずれ も、話 しことばなら、感情をこめて話す ところ、強調 して話す ところである。それ らの部分は、書 き手の気持ちと強 く結びついているとこ ろでもある。「サイコー」に しろ「ず ぇったい」に しろ、それは書 き手の特別 な気持ちであって、書 き手にとって、一般の「最高」や 「絶対」 とは少 し違 う。書 き手にとってのその気持ちの特別 さを表すのに、普通に使われている 表記形式 とは違 う表記形式を使 うのである。それが片仮名であった り、記号 を使 った表記であった りする。結果か ら言えば、一般 とは違 う表記形式を用 いることに よって、その部分が強調 され、書き手の気持ちと強 く結びついた 感覚的な表現であることを示す効果を生んでいるのである。6.数
量的な特徴 上に見てきた ような、ジュニア小説 とファンンターの表現上・ 表記上の特 徴は、数量的な観点からも確かめることができる。 ここでは次のデータを取 り上げた。a
中高生向けのジュニア小説である「ティーンズ文庫」の作品5編
。 (麻生ゆう『明日は好きといえる』
/織
田加絵『恋少女は名探偵』
/折
原みと『天使の降る夜』
/花
井愛子『山田ババアに花東を』
/若
林真
紀『長い長い片想いの結末』
)ジ ェニ ア小 説 とフ ァ ン レター 各
1編
か ら20文ずつ、計100文を無作為抽出。b
「テ ィーンズ文庫」の作家たちに送 られてきたファンレター40編。 19∞年7月に送 られてきた ものの一部で、便箋1枚
ごとに1文
、計 “ 文 を無作為抽出。c
一般雑誌に掲載 された投稿文23編。 1977年7∼
8月 刊行の雑誌20誌か ら23の文章を対象に調査。 これ らについて、語種 と字種の比率の調査を行 った。その結果が表1、 表2で
ある。なお、cの
データは、ジュニア小説 とファンレターの文章が、一 般の文章 とどれは ど違 うかを比較す るための ものである。cを
比較の対象 としたのは、一般の人が書 いた文章 とい う点で フ ァン レ ターと共通するし、編集者の手を経て雑誌に掲載 されていて、一般的な文章 の平均的な文体に比較的近い と思われ るか らである。比較の対象 としては、 ジュニア小説 と、小説 とい う点で共通す る意味で一般の小説 も考えられ る。 しか し、一般の小説では、作家に よる違 い、あるいは、時代小説や′ヽ― ドボ イル ドものといったジャンルの違いに よる差が大きく、 どうい う小説が平均 的か決定 しがたいとい う欠点があ り、 ここでは取 り上げなか った。 表1
語種の比率(%)
漢 語和 語
外来語
混種語
aジ
ュ ニ ア 小 説bフ
ア ン レ タ ーc
一般 雑誌 の投稿 15.7 21.8 81.1 73.1 3.0 3.7 2.0 1.4 1.4 33.1 62.1 3.3 表2
字種の比率(%)
漢 字 平仮名 片仮名 数 字 英 字 記 号 表 1と 表2の
結 果 か ら、 ュ、bと cの
間 に顕著 な差 が認め られ る。3、b
はcに
比べ て、 ・ 漢語の比率が低 く、和語 の比率が高い。aジ
ュ ニ ア 小 説bフ
ア ン レ タ ー 一般 雑誌 の投稿 19.0 17.7 62.2 65.0 6.5 5_1 0.2 1.4 0.2 0.0 1.1 12.2 9.7 28.2 64_7 5.4 0.3 1.2・漢字の比率が低 く、記号の比率が高い。 とい う違いがある。 すなわち、ジュニア小説やそのファンレターの文章は、1日来の文章に比べ て、和語中心の文章であ り、表記では、漢字が少な く仮名が多いが、それ以 外に記号が多用 され るとい う特徴が認め られ る。 つ ま り、 ジ ュニア小説や ファンレターの文章が話 しことば的であるとい うことは、そこに使われる語 が 日常のことばであ り、決 して堅苦 しい文章語は用いられないとい うことで ある。だか ら、語種で言えば和語が多 くな り、漢語は少ないのである。そ し て、漢語が少ないと、漢字 も少な くな り仮名が多 くなる。
7.
おわ りに 以上、見てきた ように、 ジュニア小説 とファンレターは、 ともに話 しこと ば的な文体をもっている。その文体の根底には、「話す ように書けば よい」と い う意識があるのではなかろ うか。新言文一致体は、わざと話 しことばふ う の文体に しているのではな く、思いつ くまま話す ように書 くことによって成 立 している文体であろ う。そ こでは、考えて文章を作 るよりも感 じて文章を 作 る作業が中心 となる。いきおい文章の内容・表現は感覚的にならぎるを得 ない。感情や評価を表す語、程度や状態を強調 して示す語、文の調子を示す 文末部分は、いずれ も感覚にかかわ り、特別な思い入れをこめて表記 され る のである。 ここに、新言文一致体の文章は、感覚的な文体 と言えるのである。 「3.共
通性の理由」で も述べた ように、 ジュニア小説の文体は、最近の 若い女性たちの身近な文章の世界に近い ものであると思われ る。現代の女子 大生たちが、すべてジュニア小説の影響を受けているわけではないだろ うが、 た とえ影響を受けていな くて も、根本的に新 言文一致体の文章を書 く傾向を もっている。 まして、中学生、高校生の時期にジュニア小説を愛読 していれ ば、新言文一致体の感覚的な文体は一層強め られていることだろ う。 そ うした感覚的な文体の文章を得意 とする人間に とって、その対極にある 論理的に展開す る文章は苦手な ものであろ う。筆者の試験問題に対 しては、 論旨不明の文章 しか書けず、感想などの感覚的な内容ならなん とか文章になる とい う学生は、おそ ら くこの種の若者たちではないか と推測 しているので あ る。 注 文献
1で
、若者雑誌の文章の文体に対 して、新・言文一致体 と名付けた。 その後、文献2で
は、若者雑誌の送 り手だけでな く、若者雑誌の読者の 文章 も新言文一致体であることを指摘 した。 参考文献 文献1
佐竹秀雄 「若者雑誌の こど 一 新・ 言文一致体一 」(『言語生 活』3“号、1"0年
7月) 文献2
佐竹秀雄「若い世代の文章」(『語文』40韓、1982年11月) 文献3
佐竹秀雄「若者の文章 とカタカナ効果」(『日本語学』第8巻
第1号
、 1989年 1月) (本研究所助教授) ジ ェニア小説 とフ ァン レター武 庫 川女子大学 言語 文化研究所年報 第2報 (Ю∞)
国語科教 育 に おけ る
CAIの
類 型 と学 習 内容
市
力
1
真
文
は じめに
いわゆるCAI(Computer Assisted lnstruction or― Aidcd―)。、コンピュー
タに支援 された学習指導が、国語科教育でも行なわれ るようになってきた。 むろん、いまだ多 くはないぃ しか し、い くつかの先導的な実践研究が行なわ れつつあ り、それにともなって実践の試み も増えている。 現時点で
CAIを
実践するにあたって、実践者・研究者が抱えている重要 な課題は、国語科でのCAIの
有効性に関わるものである。 どのようなCA
Iで
どういった指導が可能であるのか、どの ような学習においてCAIが
有 効であるのか。 これ らの点について、私達はいまだ充分に承知 してはいない。 それぞれの実践研究は、実践者の意欲 と創意によって、CAIの
可能性 と有 効性を手探 りで確かめつつあるといってよい。各実践は、それぞれの特色を もち、CAIの
形態、学習内容、学習方法な ど一つ として同 じものはない。 本稿では、それ らの実践研究の中か ら、CAIの
形態 と学習内容 との関わ り方を億殿するのに好適な事例を取 りLげ 、国語科教育におけるCAIの
概 要を示そ うと思 う。 取 り上げる事例は、下の 1∼Vで
実践 された もので、いずれ も4年
生の事 例である。l
兵庫県龍野市立小宅小学校a
題材
国語辞典の引 き方
b
利用の形態一斉授業、個別指導
二人で
1台
を使用c
学習の 目標パ ソコンを使って、国語辞典の使い方を理解 し、 実際に国語辞典を活用す ることができる。
国 語科教育 におけ る
CAIの
類 型 と学 習 内容 Ⅱ 兵庫県芦屋市立打出浜小学校a
題材 ローマ字
b
利用の形態一斉授業 四人で
1台
を使用c
学習の 目標ローマ字での表記の練習、 ローマ字表の定着 皿 龍野市立小宅小学校
8
題材 ローマ字
b
利用の形態一斉授業 二人で
1台
を使用c
学習の 目標ローマ字学習の復習と定着
V
神奈川県横浜市立本町小学校a
題材
説明文 「体を守 る皮ふ」
b
利用の形態一斉授業
1組
、2組
あわせて学習センターに設 置の5台
を使用c
学習の 日標皮膚の仕組や働 きについて、段落の大事な文や言 葉を落 とさずに要点をまとめ、文章の組み立てを考 えなが ら内容を正 しく読み取 る。
l CAlの
類型 一 般にCAIは
、 コンピュータ と学 習者 との関わ りの度合 い、 コン ピュー タを利用 した学習の形態 に応 じて、類型化す ることがで きる.。 上 記4件
の 事例 は、次 の三 つ に分類 され る。 まず、チ ェー トリアル型である。 これは、一教材の学 習指導のほ とん ど全 て を、 コンピュータと学習者 との対話で進めてゆ くものである。学 習者は、 コンピュータか らの情報、指示や問い掛け、説 明 といった情報に基づいて、 順 々に学 習 を進 め てゆ く。Iの
兵庫県 龍野市立 小宅 小学校 の国語辞典 の事例 が これに該当す る。 次 は、ドリル型 である。 これ も、 コンピュータとのや りと りで学習を進 め てゆ くのだが、チ ェー トリアル型の ように一教材 の学 習全てをカバ ー してい るのではない。一連の学習のなかでの、復習や定着のための練習学習に利用 され るものである。 コンピュータが提示す る情報 も、問い掛けが主になる。I兵
庫県芦屋市立 打出浜小学校 の事例、 Ⅲ小宅小学校の ローマ字の事例が該 当す る。 最後に、情報検索型である。 これは、学 習を展開 してゆ くにあた って、学 習者 が必要に応 じコンピュータか ら情報を引 き出 し、それを利用 しつつ学 習 を進 めてゆけ るよ うに した ものである。 コンピュータを利用す るか しないか、 いつ利用す るか とい った点については、学 習者に まか されてお り、チ ュー ト リアルや ドリルの よ うに一定 の利用方法があらか じめ定 まっている ものでは ない。 Ⅳ神奈川県横浜市立本町小学校の事例が これにあた る。2
チ ュー トリアル型I
小宅小学校の事例a
題材
国語辞典の引 き方
b
利用の形態一斉授業、個別指導 二人で
1台
を使用c
学習の 目標パ ソコンを使 って、国語辞典の使い方を理解 し、実 際に国語辞典を活用す ることができる。
d
ソフ トウェアの構成 コースウェアの概要 (全4時
間用) ① 語の五十音願の配列②
清音・濁音・半濁音の配列 (以
上第
1時
) ,③促音・拗音・長音の配列
④ 間違いやすい言葉
(王様、三日月など
)⑤ 言い切りの形
(以
上第2時
)⑥
慣用旬・複合語
⑦ 同音異義語・多義語
(以
上第3時
)③ その他の使い方
(表記・筆順・類義語・対義語
)⑨
練習
(以
上第4時
)国語 科教育 に おけ る
CAIの
類 型 と学 習 内容 題材 は、国語辞 典 の引 き方 で あ る。4年
生 での一斉授業 中での利用 が主で あ るが、 さらに、5・ 6年
生 の個 人指導 も可能 であ る よ うに作 成 され てい る。 コース ウェアは、九つのパー トか らできてお り、 これを4時
間で実施す る よ うにな ってい る。最初 に、語 の五十音願 の配列 、次に、清音・濁 音・ 半濁 音 の配列、続 いて、促音・ 拗音 。長音の配列 といった よ うに、スモールステ ッ プで、国語辞典 を利用す るために必要な知識、技能を学習 してゆけ るように な って い る。 国語 辞典 の引 き方 の学 習 の最 初 か ら最後 まで を 、 この ソフ ト ウ ェアで学 べ るのであ る。 授業過程 にそ って、 ソフ トウェアを検 討 してみ よ う。授 業記録か ら第1時
の「①語の五十音願の配列」の部分を分節ごとに示す。
も し じゅぎ ょう中に きゅ うに 発生 に 名前 を よばれ た ら めん くら うだろ う。 めん くら う 「めん くら う」 とは どんな意味かな。cお
め んなんか食べ られへん。 (二 人で話合いなが ら、画面を進 める) 分か らない言葉にであった ときに、国語辞典を使 うのですね。 第1時
目の、語の五十音順の配列の学習部分である。最初に画面に表示 さ れ るのが、「もし授業中に急に先生に名前を呼ばれた ら面食 ら うだ ろ う」 と い う文で、「面食 うとは どんな意味かな」とい う問い掛けがなされ る。子 ども たちは、二人で一台を使 っているので、いろいろ話合いなが ら、次の画面を 待 っている。す ると「分らない言葉にであったときに、国語辞典を使 うので すね」 と説明がでる。 ここまでが、学習全体についての導入部、例示に相当 する部分である。こんな言葉の意味が分か るかな。 あめ ケーキ すいふ でん とう ネ ッカチーフ ピエ ロ まっくら ゆがむ らくご わ ら じ
cあ
め、ケーキ、すいふ、でん と う(声を出 して読む)cピ
エ ロって、知 って るよ。c分
か った。あい うえお願や。cあ
めか ら順番に並んでる。 次に、「こんな言葉の意味が分かるかな」とい う発間とともに、い くつかの 単語が表示 され る。 この ときも子供たちが読んだ り、話合 った りす る時間が とられている。次の画面で、「なんとな く、きま りがあ りそ うですね」とい う ヒン トとともに、単語が整理 され、見出 し語が五十音順にならぶとい うこと に気付かせ るようになっている。 (たぬきのグラフィックとともに
)ポイント
1
国語辞典の見出し語は五十音願にならんでいるよ。
C (画面を見ながらワークシー トに「引き方のポイン ト」を うつす) この後、まとめの画面が用意 されている。たぬ きの絵が出、その大鼓腹に な ん と な く き ま り が あ り そ う で す ね わ らゆ まピネです ケあ ら くが っエ ッんい │め ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽ わ らや まはなた さかあ 行行行行行行行行行行 ら じ チ ー フむくロカとふキ ‖
ご = = = =国語科教育における
CAIの
類型 と学習内容 辞典 の引 き方の ポイ ン トが表示 され る。子供 たち との約束 で、たぬ きは大事 な ところの印にな ってお り、そ こで、 ポイ ン トを ワー クシー トに写す。 フー クシー トの記入例は、下の通 りである。学 習の進行に したが って、ポ イ ン トな ど、順次記入 してゆ く。 ワークシー ト記入例 引 き方 の ポイ ン ト 国語辞典 の見 出 し語 は五 十音順 にな らんでい る よ。 学 習 庵容 右上か らあ行、か行 、 さ行 、 …わ行 とな らんでい る。 練 習問題 ★ でて くる順 に番 号 をつけ ま し ょう。 ア た い こ ( イ マ ラ ツ ン ウてきにん 工 しろ くろ ) ( ) ( ) ( ) ・ しる し 。リレー ・ て き き ・ しろ あ r 、 ´ ︱ 、 ′ 、 お ツ ・ くも()
・ てつ ぼ う( )
・ て こ( )
)・ しろかき
( )
ここまでが学習の第1段
階である。 これだけを見て も、 この ソフ トウェア の特色が よく分かる。 まず、 この ソフ トウェアでは、チ ュー トリアル型の コースウェアが しば し ば陥 りがちな、ケージ型CA10を
うま く回避 している。これは、二人で一台 とい うコンピュータの利用形態を うまく活用 して、二人一組みの学習ペアに 仕立てることができたか らである。学習ペアが、 コンピュータの働 きかけに 対 して話 し合 った り、共同で作業 した りすることで、 コンピュータが学習者 を拘束す るような学習か ら逃れ出ている。 また、 コースウェアが三つのパー ト、①発間、指示②活動③確認、 まとめ から構成 されてお り、 これが学習活動の1単
位を構成 している。 このため、 学習のまとま りが学習者に も把握 しやす くなってお り:何
を学習 しているか とい う学習 自体についての情報が与えられているとい うことでもある。学習 を主体的な ものにす るためには、学習者が学習について充分知 ることが必要 であ り、 この点からも、学習の視点を失わずに構成 された コースウェアであ ることが知れ よう。 さらに、 ワークシー トを併用することで、学習活動が単調にならず、 また、大事な学習内容を整理・把握 しやす くしている。 これは、学 習の履歴が きち ん と残っ てゆ くとい うことで もある。 以下 の コース ウ ェアで も、 これ らの特色は活か され ている。
c(画
面 の辞典の グラフ ィックと手元の辞典 とを見比べなが ら) 国語辞典 と同 じだな。c「
あい うえお」が書いてある。c(各
自、国語辞典で ま行を見つけ、「め」のページを さが しだす)c(各
自「めん くらう」をさがす) あった。(ペアの子に)も
っと、後ろにあるよ。 (国語辞典 の グラフ ィ ックとともに) 「めん くらう」 の引 き方 を勉強 しよ う。 右 上か らあ行、か行、 さ行、…わ行 と順番にな らんでいるね。 「めん くら う」 のめは、 ま行ですね。 (辞典 の グ ラフ ィ ックの ま行の ところに矢印が出る) ま行の最初をあけてみ ま しょう。 (辞典を開いた グラフィック、両ページの端に 「ま」 とある) 両は しに、まと書いてあるね。 ページを次つぎにめ くってみよう。ま・み・む 。め・ もの願で、で くるよ。 「め」の次の音 も五十音順にならんでいるね。「ん」は五十音の最後 すね。 だか ら、「めん くらう」は、「め」の中でも最後の方にでて くるよ。国語辞典 の見出 し語 は、 二字 め、三字 め、四字 め、すべ て 五十音願 な らん で い る よ。 国語科教育における
CAIの
類地 と学習内容 ワー クシー ト記入後 の次の画面では、学 習 したばか りの、辞典では見出 し 語 が五十 音順 にな らんでい る とい うことを、辞 典を引 く作業 を通 じて確認 し てゆ く。最初の画面 の 「面食 ら う」 を例に とってお り、学習課題が一貫す る よ うに配慮 されてい る。 画面 には、国語辞 典 の絵 が示 され る。 ここで、 見出 し語 の最初 の文字 が五 十音順 に並 んで いる ことを、子供 た ちの手 元の辞典 と比 べなが ら確 認 させ て い る。続 いて、「めん くらうのめは、 ま行 ですね。 ま行 の最初 をあけ てみ ま し ょう。」と作業が指示 され る。画面は、辞書を開いた絵にかわ り、作業の確 認 とヒン トの提示 とな る。 以下、子供 たちの作 業 の進 み具合 に応 じ、順次 、 画面 が変 り、説 明や ヒン トが示 され 、作業 が きちん と出来 て い るか ど うか学 習者 自身が確認 出来 る よ うに な ってい る。そ して、「めん くらう」を探す一連 の作業 の最後に、「国語辞典の見出 し語は、二字め、三字め、四字め、すべて 五十音順 にな らんでいるよ」 と作業全体を後付け る情報 を提示 している。 「いんかん」 と「インキ」 どちらが先かな。 「いんかん」を引いてみ よう。 C (各自国語辞典 を引 く) 「いんかん」の次に、「インキ」 とい う言葉があるね。 ひ らがな・かたかな関係な しに、五十音願にならんでいるね。「めんくらう」を例にとった学習の後、さらに、文字種の違いに関わらず、
見出し語が五十音順に配列されていることを学ぶ。これは、先の学習の、補
足的であると同時に、確認的・練習的な学習にもなっている。以上が、第
1時「①語の五十音順の配列」の部分である。
このような学習の結果、実践者は、国語辞典の引き方がかな り正確に定着 していると、事後テス トを もとに報告 しているぃ つまり、事前テス トでは、 七つの単語 。慣用句についてそれぞれ引けたものが平均
43.5%で
あったが、 事後テス トでの正答率は平均93.5%に
あがっている。とくに、「目を通す」と いった慣用句は、事前テス トで19%、6年
生でも79%の
正答率であるが、 ソ フ トウェアでの学習後には、97%の
正当率になっている。 このように、辞典の使い方について、理解するだけでな く、実際に使える ようにまで学習が定着 したのには、子供たちの感想や記録から、次の五つの 理由が考えられ る。 まず、学習がスモールステ ップに分析 され、一連の達成 可能な作業で構成 されていた こと。次に、辞典を引 く、 フークシー トに記入 す るといった作業が、 コンピュータを中心に、構成 されていて、学習活動が 散漫にならなか った こと。第3に
、学習活動が、個 々の学習者のペースで進 めることができた こと。第4に
、大事な事柄の確認が丁寧に出来たこと。 こ れは、文字情報なので理解できるまで同一の情報を提示 しておけ、また、絵 や色を使 った り、画面の変化で、情報の価値の軽重を示せたか らであろう。 最後に、作業が正 しく行なわれているか どうかの情報があった こと。 これは いわゆるKR(Knowiedge of ResuLs)情
報0が適切に与えられていたとい う ことである。 以 上の ように、学習を一連の作業の系列 として構成出来 るような領域につ いては、チ ュー トリアル型でのコンピュータの利用が有効であろうと考えら れ る。逆にいえば、国語科に コンピュータを導入する糸 口として、スモール ステ ップの作業手順で学習を進められる領域、つまリスキルや規則の学習が ふ さわ しいと考えられ る。例えば、図書検索法、基礎的な読解スキル、表記 規則な どの学習では、効果的な コースウェアの設計が行なえるだろ う。ただ、 その際、重要になるのは、 コンピュータとだけ対話するのでな く、他の学習 者や作業 との関連を考えてゆ くこと、さまざまな情報を把握 しやすいように 提示すること、KR情
報をきちん と返す ことであろ う。3
ドリル型国語科教育における
CAIの
類型 と学習内容 Ⅱ 打 出浜 小 学校 の事 例a
題材
ローマ字
b
利用 の形態一斉授業 四人で
1台
を使用c
学 習 の 目標ローマ字での表記の練習、 ローマ字表 の定着
d
ソフ トウ ェアの構成L000に
よるゲーム型 ドリル ローマ字で入力す ると、 コンピュータが仮名に変換す るシステムコンピュータには、学習機能がついており、使用する語彙が増える
グームを取 り入れた ドリル型CAIと
してユニークな実践が芦屋市立打出 浜小学校の ローマ字の事例である。 これは、一通 リローマ字表記について学 習 した後の練習学習用である。 コンピュータとしり取 りをす る活動であるが、 この時、 ローマ字で入力 し ない とコンピュータが受け付けないようになっている。例えば、「きつね」や 「えほん」であると と仮名1文
字分ずつ ローマ字で入力 し、リターンキーを押 して仮名に変換す る。単語全てを変換 した後、スペースキーを押 して、 コンピュータにことば をわた した ことになる。 しり取 りをするには否応な しに ローマ字を使わざる を得ないのである。 しか も、この ソフ トウェアのおもしろい点は、 コンピュータが学習するこ とにある。画面① のように、「たぬ き」「きつね」 と続いて、 コンピュータの データに「ね」で始 る言葉がないとき、コンピュータは、「ねで始る言葉を教 えて くだ さい」 と尋ねて くる。最初の うちは、デ ータが少 ないので、 コン ピュータが負けてばか りいる。子供たちは、喜んで言葉を教えているのだが、Ki口
→
き
tu□
→
つ
ne□
e日
→
え
ho□
→ ほ
n□
→
→ ね
_(ス
ペ ー ス)画 面②の ように、 コンピュータは、一度教わ った言葉 を次か らは使 って くる。 こ うなると、 しだいに コンピュータに勝 て な くな る。 そ の よ うな強 い コン ピュータが子供たちに とってはお もしろい らしく、夢中にな って言葉を教え、 ク ラスの どの コンピュータが一番強 いか、あち こちのグル ープヘ移 っては し り取 りを している。 この学習では、指導の 日標 と活動の 日標 とが、分離 している。が、結果的 画 面①
画面②
さあ、 しりと リゲームを しましょう。 ロゴライター → たぬ き きみの番だ よ → きつね ぼ くの負けです。 ぼ くに ね では じまることばをお しえて くだ さい。 ことばは → ね こ あ りが とう、おぼえました。 さあ、しりとリゲームを しましょう。 ロゴライター → うた きみの番だ よ → たね ロゴライター → ね こ きみの番だ よ → こども ロゴライター → もり きみの番だ よ → りす ぼ くの負けです。 ぼ くに す では じまることばをお しえて ください。 ことばは → すいか あ りがとう。おぼえました。国語科教 育に おけ る
CAIの
類型 と学 習 内容 に指導 目標 も活動 目標 も、充分達成 で きてい る。つ ま り、ローマ字表記の練 習が指導 のね らいなので あ るけれ ど、 子供 た ちに とっての活動の 目的は、 コ ン ピュータとの しり取 りであ り、 クラスで一番強 い コンピュータを作 ること である。その活動のなかに、 ローマ字表記の練習が、 自然な形で組込 まれて い る。だか ら、敬遠 されがちな練 習学 習で も、夢中にな って取組め、その結 果 ローマ字表 記が身 につ くのだ といえ よ う。 学 習者 が集中で きる活動 のなか に、練 習 させ た い内容 を上手に取込 んでい る点が この ソフ トウ ェアの第一の良 さである。 この場合は、 しり取 りとい う ゲー ムであるが、 ゲームが学 習活動 として確かに位置付け られている。 しば しば、教 育用 ゲ ームは、学 習 とゲー ムとに分離 しが ちであ る。 しか し、 この実践で学習 とゲームとが一体 とな りえているのは、 しり取 りとい うゲー ムの要素 と して、 ローマ字表 記 とい う学習事項が繰 り込 まれていたか らであ る。総 じて教育用 ゲームは、 この よ うに、学 習すべ き事柄 がダームを進めて ゆ くため の不可欠 の要 素 とな る よ うに構成 され るべ きであろ う。 ゲームが、 学 習の動機 付けや報償 、強化 と して のみ働 くよ うな ものは、本来の意味か ら の教育用 ゲームとはいえなかろ う。 さらに、 コンピュータに言葉を教 えるとい うことは、学習の結果が きちん と残 ってい くとい うことで もある。 しか も、 これは、い ってみれば、学習の 材料 を学 習者 が作 り出 して い る ことに もな る。 ここか らは、与 え られ た材料 で練習す るのでな く、 自分か らはた らきかけて作 り出 した材料で、練習す る とい う、新 しい型 の練 習学 習の可能性 が うかが え る。 こ うい った、学 習者 の はた らきかけに応 じて、変化 してゆ くとい う点は、 コンピュータな らではの もので、 コンピュー タの特 性 を生か した練 習学 習だ といえ る。I
小 宅小 学校 の事例a題
材b
利用の形態c
学習の 目標 ローマ字 一斉授業 二人で1台
を使用 ローマ字学習の復習と定着d
ソフ トウ ェアの構成PC― SCAlに
よる ドリル A、 B、 C、Dの
4コー スに分 れ 、段 階 的に難 しくな ってい る。Aコ
ース 読み の練 習 (10題)、 書 く練 習(6題
)、 関 係 の な い言 葉(4題
)Bコ
ース 読み の練 習 (10題)、 書 く練 習(6題
)、 し りと り(4題
)Cコ
ース 読み の練 習 (10題)、 書 く練 習(6題
)、 なぞ なぞ(4題
)Dコ
ース 読 みの練 習 (10題)、 書 く練 習(6題
)、 ま ちが い さが し(4題
) 一方、あらか じめ用意 された問題が示 され、それに解答 し、順にステ ップ を踏んでゆ くとい う練習学習に もコンピュータを利用 した事例がある。 先の 1の 小宅小学校 の事例である。打出浜小学校 とおな じく、 ローマ字の 練習学習で、Aか
らDま
での 4コ ースに分れている。 コースは、Aか
らDに
かけて段階的に難 しくなるように構成 されている。 この うちBコ
ースを とり あげ よう。Bコ
ー ス (読 み の練 習 、 書 く練 習に つ い て は、 ペ アの それ ぞれ が 半 分ず つ 解 答) ・ 読 み の練 習kaseki alron
usagi ongaku
beddo rappa
rosoku obOsan
kingyo zyusyo
・ 書 く練 習 か びんか ば ん こ くば ん
ふ で ば こ ビス トル
バ ィパ ス
・ し りと り
s
u
i
k
a-国語科教育におけるCAIの
類型 と学習内容.----(medaka)
-k
a m e----i
L----(-"gane)
Lk
a s a---i
.----(sakura)
L----(saikoro)
三つのパー トか らなるコースウェアで、 この コースを学習ペアが交互に、 あるいは、協力 して学習 してゆ く。「読みの練習」「書 く練習」の左側に並ん でいるものは、 コンピュータの左側に座 った児童用の問題で、「h゛
ki」、「a― iron」 と左右交互に一語ずつ提示 される。「読む練習」では、コンピュータの 表示機能をフラッシュカー ドの ように使 っている。提示 された語を速 く正 し く読む練習である。「書 く練習」では、タイ ビングに抵抗のある学習者に、ま ず フークシー トに記入 させ、正 しい表記が身に付 くよう配慮 している。 また 「しり取 り」では、学習ペアが協力 して解答す るようになっている。 これ らの学習にあたって、各問題には、学習を自己評価できる情報が付け られている。「読みの練習」では、解答の入力をチェック し、正 しいか ど う か、間違 っている場合には、 どこに注意 したらよいか とい うヒン ト、さらに、 どうしても答えられない場合には、答えの表示 とい うように、 コンピュータ には、学習者に応 じた反応が用意 されている。 打出浜、小宅両校の事例を通 じて、練習学習での コンピュータのよさは、 学習者の働 きかけに反応で きるとい う点にあることが分かるだろ う。練習学 習を展開す る際の課題は、学習の 目的意識の涵養 と学習についての自己評価 を適切に与えることである。 これは、 コンピュータを利用 した、学習者に柔 軟に対応できるシステムに よって達成できる。が、そのためには、集中 して 取組める学習 目標や活動の設定、細かなつまづ きの見通 しとそれに対する援 助の仕方を分析する必要がある。 ここか らいえば、打出浜小学校の事例は、コンピュータを学習者の活動を組織する核 として利用 した事例であり、小宅 小学校の事例は、学習過程の分析をもとにコースゥェァを組み立てた事例で あった と見ることがで きょぅ。
4
情報検索型 Ⅳ 本 町 小 学 校 の事 例a
題材
説明文「体を守る皮ふ」
b
利用の形態一斉授業
1組
、2組
あわせて学習センターに設置 の5台
を使用c
学習の 目標皮膚の仕組や働 きについて、段落の大事な文や言葉 を落 とさず要点をまとめ、文章の組み立てを考えな が ら内容を正 しく読み取 る。
d
ソフ トウェアの構成 オーデ イオカセ ッ ト、 ビデオカセ ットと併用 して、学習のヒン トを 提示する情報検索型 本町小学校事例は、情報検索型CAIで
ある。教材は光村図書「体を守 る 皮ふ」で、読解の学習にあた り、 コンピュータに よる援助を必要 とす る学習 者が、適宜情報を引き出 し利用するとい う実践である。 またオープンスクー ルなので、同時に2ク ラスが学習センターに設置 してある5台
のコンピュー タを利用するようになっている。第 1次
「体を守る皮ふ」を読み、学習の見通 しを持つ。
第
2次
自分の力で、段落ごとの要点をまとめる。
1
学習の見通 しを持ち、①の段落から全体の話題を読み取る。
2
②∼⑥の段落から、刺激を受け取る働きについて読み取る。
3
⑦∼◎の段落から、索外線から守る働きについて読み取る。
国語科教育における
CAIの
類型 と学習内容4
⑩∼⑫の段落か ら、体温を調節す る働 きについて読み取 る。 第3次
全体の文章構成を調べ、感想を話合 う。1
意味のまとま りを考えて、小見出 しを付ける。 第4次
体の仕組みや働 きについて、調べたいことを見つけ研究する。 全体の指導計画は、14時間で、第1次
で学習の見通 しを持ち、第2次
で、 自分の力で段落 ごとの要点をまとめる学習に入る。 この要点をまと める学習が学習活動の中心で、必要に応 じて コンピュータ等が利用でき るように設定 されている。第3次
で、全体の構成を小見出 しを付けるこ とで確認す る学習、 この時に も必要に応 じて コンピュータが利用 される。 第4次
は、発展的学習である。第
2次
4
⑩∼⑫の段落から、体温を調節する働きについて読み取る。
学習活動
1 -斉
学習
・⑩∼⑫段落を音読する
。学習の流れと学習の場所を確認する
2
個別学習 ・印を付けた り書 き込みを しながらひと り読みをす る 。要点をまとめる ・ 思 った ことを書 き足す ※要点がまとめ られない場合には、それぞれの ヒン トの場所へ移動 し 学習を進める ォーデ ィオカセ ッ ト(教室)
→大事な文や言葉をさがすヒン ト ビデオデ ッキ (学習センター)→
大事な文や言葉をさがす ヒン ト 要点に必要な言葉を提示するヒン ト コンピュータ (学習センター)→
大事な文や言葉を さがす ヒン ト 要点に必要な言葉を提示するヒン ト 要点の文型を提示す るヒン ト3 -斉
学 習 ・ 学習の まとめをす る ・ 感想を発表す る 「⑩∼⑫段落の要点をまとめる」学習の学習活動である。学習は、個別学 習が主たる活動に設定 されている。個別学習では、要点をまとめるのに大事 だと思 う言葉や文に印を付けながら、段落を読みなおし、それをもとに要点 をまとめ、そこに思 った ことを書き足すとい う、オーンドックスな読解学習 過程である。 この時、要点がまとめ られない場合には、 コンピュータ等に用意されてい るヒン トを利用 し、 自力で要点をまとめる。用意されているヒントには、3
種類あ り、「大事な文や言葉を探すための ヒン ト」、「要点をまとめるのに必 要な言葉を提示す るヒン ト」、「要点に まとめ るための文型を提示す るヒン ト」の3種
類で、 コンピュータか らはこの三つの ヒン トが利用できる。これ らの ヒン トは、段階的に 、より細かな助言の手が加わるように揃えられてい る。 「大事な文や言葉を探すためのヒン ト」は、次のようなものである。 この ヒン トだけで大事な言葉を見つけられるものは、再び自力で要点をま とめる学習に戻 る。 しか し、 これだけでは不十分だ という者は、次のヒン ト、 「要点のキーワー ドを示す ヒン ト」を利用する。・⑩段落
・①段落
体温 の う 調節 か んせ ん ・題名や全体の話層に関係がある。 。まとめていた り、言いかえた りしている。 ・ 「∼なのです」 という文末になっている。 ・前に書いてあることを受けて、新 しいことを書いている。国語科教育 に おけ る
CAIの
類 型 と学 習 内容・⑫段落
じよう発
うばう
ふせぐ
ここでは、各段落について、キー ワー ドが示 され、 これ らの語を用 いて、 要点 を まとめ る。 しか し、 この よ うな キ ー フー ドを提示 され て も要点に まと め られない場合は、 さらに次の ヒン ト「要点 の文型の ヒン ト」 を利用 し、例 えば、「汗 をか くことは、体温 を調節す るた めの大 切な働 きで あ る」とい うよ うに、要点を ま とめ るのであ る。 「小見出 しを付け る」学習で も、同様 に学 習が進む。一斉学 習で要点を確 か め、見出 しの付け方を確認 した後、個人学習に移 り、小見出 しを付けてゆ く。 小見 出 しを付け られ ない場 合、 コン ピュータ等 の ヒン トを利用す る、ヒ ン トは2種
類 あ り、「小 見出 しの付け方 を明 らか にす る ヒン ト」と「小見出 し を構成す る言葉を提示す るヒン ト」 である。 。小見出 しの付け方の視点 を明 らかにす る ヒン ト ・ 要点をな らべてみて、その中にた くさん出て くる言葉はないか調べ る ・ 書 き出 しの段落に、関係の深 い言葉はないか調べ る 。小見出 しを構成す る言葉を提示す るヒン ト・②∼⑥
しげき
受け取る
・⑦∼⑨
しがい線
ふせぐ
・⑩∼⑫
体温
調節する
ここで も、二つの ヒン トは、段階的に助言の手が加わるようになってお り、 「小見出 しの付け方を明らかにす るヒン ト」か ら提示 され、これで不十分な 者について、「小見出 しを構成す る言葉を提示す るヒン ト」が示 され る よ う にな っている。 本町小学校の実践では、児童がスムーズに学習できな くなったとき、必要 な ヒン トを自分で利用す るようにな ってお り、その ヒン トは、学習の障害を 順次取 り除いてゆ くように用意 されている。学習のハー ドルを次第に低 くしてゆ き、学習者に応 じた高さでハー ドルを越せるようにしている。学習の個 別化を学習課題の難易に よって達成 しようとした試みである。 これにより、 一斉学習と個別学習との両立をはか っている。 ところで、学習指導での コンピュータ利用は、学習の個別化を目的とする ことが多い。 この ようなとき、 しば しば、学習過程の多様化にではな く、学 習過程の難易に個別化の方略が求め られ る。 しか し、情報検索型
CAIを
利 用することで、本来多様である個 々の学習過程にそった学習指導を構想でき は しまいか。少 しずつ学習の障害を除去 してゆ く使い方ができるとい うこと は、学習の仕方、読み方を少 しずつ示 してゆ くような ヒン トを与えることも 可能であろ うと思える_
種類 と質の異な った複数の ヒン トを、学習者に応 じて、豊富に用意 してお くことが、情報検索型の課題であろ う。情報検索型CAIは
、実践研究に取 りついたばか りで、多 くの課題を抱えている。が、チュー トリアル型や ドリ ル型 とは違 って、一義的に学習を構成できない領域、読解や作文といった領 域での活用が期待できる。 また、本来の意味での学習の個別化にも対応でき るであろ う。そのためには、学習過程の綿密な解析 と、助言、発間法の研究、 一斉・個別の学習形態 と学習内容 との関連についての考察等が基礎作業とし て重要になって くると考えられ る。 おわ りに 国語科でのCAIの
研究、実践は今後に多 くの課題を残 している。それ ら は、 どの ような領域・ 内容で コンピュータを利用す るか とい う教材論的研究 とどの ような学習指導を組織す るか とい う授業論的研究 とに関わるものであ る。本稿は、意欲的なCAIの
試みの中か ら、授業 と教材に関わ る素朴な原 型を しか引 き出す ことができなか った。特に、学習指導過程の中にどのよう に コンピュータが位置付 くのか、 とい った点につ いては、ふれ ることが な か った。今後の課題 としたい。 (本研究所講師)国語科教育における
CAIの
類型 と学習内容【]三】
(1) CAI以
外 に もCAL (cOmputer Asisted Learnmg)、
CBE
(cOmputer B:sed EducttiOn)、
CMI(COmputer lManl嘔
ed lnstはctЮn)な
どの呼称がある。 これ らは、それぞれ教育におけるコンピュータの位置付 け方の違いに よるものである。例えばCALの
場合、CAIが
非人間的な 教育システムに陥 りがちであるとす る批判か ら、学習者を重視する考え方 を明確に打ち出そ うとして生まれた呼称である。したが って、教育におけ るコンピュータ利用の総体、実践・ 理論・思想を含めた全てについてCA
Iと 呼ぶ ことには、無理がある。 しか し、本稿では、学習指導にあたって コンピュータを利用するものを、その実践や理論の多様 さは承知 しながら も、便宜上CAIと
呼んでお くことにする。(2)こ
れにはい くつかの理由が考えられ るが、およそ三つの “ 面を指摘する ことがで きる。c)ハ
ー ドウェア・ ソフ トウェアの問題 国語科で利用す る場合、文字・ 音声が主たるデータとなる。 これ らを 処理す る機能に関 して、満足できる能力を備えたハー ドウェア・ ソフ ト ウェアが少ない。 ② 学校・教師の問題 コンピュータが、各教科の学習指導で利用できるようには設置されて いない場合が多い。 このため、算数・数学科、理科な どでの利用が優先 され国語科 までは及ばない。 また、国語科の教師 自身に、 コンピュータ に対す る抵抗感がいまだにある。 ③ 国語科教育の問題 国語科での学習指導に利用するためのガイ ドラインとなるような、基 礎的な研究が充分でない。 ③ 『 コンピュータ教育標準用語事典』(1%9,ア
スキー出版社)で
は、まずCAIを
「コンピュータの持つ様 々な機能を利用 しながら、学習者が自分 の能力に応 じ、自分のペースで、納得 しなが ら学習を進めてい く方式」 と規定 し、
CAIの
授業過程での使い方、また、CAIの
機能の上か らCA
Iの
分類を示 している。使い方の Lか らは、「①単元全部の学 習をCAI
に よって行な う、②単元の導入の動機づけに用いる。③単元内の展開を個 別的に行なわせる、④教師が授業を行なった後、まとめ として行な う」 と 分け、機能の上か らは、① フ レーム型CAI、
② 自動 生成型CAI、
③ データベース型CAI、
④人 口知能型CAIの
四類型を示 している。 これ らの分類は、CAlの
実践的蓄積がある教科を念頭においてなされた もの で、網羅的・包括的な分類である。本稿では、国語科での実践の様相を明 らかにするために、学習の内容 と方法とに より、実践の類型化を行なった。 なお、CAIの
定義 または分類に関 しては、常に暫定的な ものと考えて お く方が良いように思える。つ ま り、初期のCAIは
、プ ログラム学習の 自動化、ない しは教師の代替物 としてのコンピュータを思い描いていた。 にもかかわ らず、今 日、多彩なCAIが
実践 されていることを思えば、今 後のCAIを
も視野に入れた定義・分類は難 しい。 また、現時点での定義 ・ 分類が将来のCAIの
可能性を摘むことがないように配慮すべ きであろ う。 に)中
山和彦氏は、「学習者が 自分一人で、自分のペースで学 習す る とい う ことが強調されたあま り、他の学習者 とは何の関係 ももたせず、学習者一 人一人を隔離 し、あらか じめ設定 された学習内容を決め られた順序で、一 方的に与えるとい う形」のCAIを
「プロイラーのような状況に学習者を 押 し込め」ているとして「ケージ型CAI」
と呼んでいる(『コンピュータ 支援の教育 システムーCAI』
1%7東
京書籍)。 もっともな名称 なので利 用 させていただいた。 国語科教育の財産の一つは、集団による 「読み」「書 き」「話 し・ 聞 く」 学習である。 これ と断ち切れた ところでCAIが
実践 されることは、望 ま しくない。CAIを
通 じて どの ように学習集団を組織す るかが、重要な実 践 的課題である。(5)実
践前の実態調査 と事後 テス トの結果は以下のとお りである。国語科教育におけ る