• 検索結果がありません。

九州大学学術情報リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "九州大学学術情報リポジトリ"

Copied!
147
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

マイクロエマルションを利用する担持金属触媒の金 属粒子径制御に関する研究

花岡, 寿明

九州大学工学化学工学

https://doi.org/10.11501/3166735

出版情報:Kyushu University, 1999, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)
(3)

マイクロエマルションを利用する担持 金属触媒の金属粒子径制御に関する研究

花 岡 寿 明

(4)

目 次

1

章 緒論.…… …・…・………・………

1

1.1 触媒反応特性に及ぼす担持金属粒チ径および担持量の影響.………・……1 1.担持金属触媒における金属粒子径制御.................................................................5 1.液相中における微粒子作製...・H・....・.H.・..….・・・………・...・.H・...……HH・...・...6 1.4  マイクロエマルション中での金属粒子径制御.……..・...H・....・H・...・H・...・H・..……10 1.5 

i

夜相超微粒子の担体への固定化.・……...・H・...・H・..…・・…・…・・・…‑…・…...・H・‑………11  1.6 一酸化炭素の水素化反応…・…HH・...・H・‑一………・・HH・...….・..H・‑……....・H.13 1.7 本研究の目的と概要…ー・…・・…・…HH・...…・・・……・・…………・……… …HH・‑…・… ..14

第2章 液 相 微 粒 子 の 無 機 担 体 へ の in‑situ固定化…・…・・…………・……… .16

2.1  緒言.............................................................................................................................16 2.実験…"・'H・...….・..H・‑……....・H・...………....・H・‑…...・H・....・H・‑…・…....・H・‑……HH・‑…HH・‑….17 2.2.1  液相微粒子作製およびシリカへの in‑situ固定化.………・…...・H・‑……17 2.2.2  熱重量変化および示差熱測定....・H・・・…....…....・H・....・H・....…...・H・‑…・・・……….17 2.2.粒子径測定法……・・…HH・‑…HH・....………….・...H・..…・・HH・‑………HH...20 2.結果および考察…・…・・…HH・...・H・...・..H..................................................................24 2.3.1  液相ZnS微粒子の in‑situ固定化....・H..........................................................24 2.3.2  液相Rh超微粒子の in‑situ固定化................................................................29 2.4  結言…...・H・...・.H・..…....・H・..… ....................................................................................48

3

章 液相超微粒子の安定化と粒子径制御………

49

3.1  緒言 .・……HH・...…一‑…・・・……HH・‑…・・‑…...・H・‑…...・H・...・H・..………HH・...……・…・…49 3.2  実験…HH・....… …・・…一一……‑…..…...・H・...・...…・・・・…...・H・...…・…・・…HH・‑…・・・・……・・・.50 3.3  結果および考察…・…・・・……・…HH・‑・・HH・‑……...・H・‑…‑…...・H・...・H・‑…....・H・....・H.50 3.3.1  ZnS粒子径に及ぼすw値および金属塩濃度の影響.・……・……・・…・…・……..50 3.3.2  ZnS粒子径に及ぼす電位決定イオン比の影響………‑……….52 3.3.3  ZnS粒子径に及ぼすマイクロエマルション系の影響…・………HH・...・H・・・‑56 3.3.4  ZnS粒子径に及ぼす溶媒の影響..…・・…...・H・...……・・…HH・…・・・…・…・・……58 3.3.5  ZnS粒子径に及ぼす pHの影響.・……‑………一………...・H‑・……・…...・H・‑………65 3.3.ZnS粒子径に及ぼすZnS粒子作製温度の影響…・………・……HH・‑…….70 3.3.液相ZnS粒子の粒子径制御法……一……一一...・H ・‑…一一…・・……一一…一………..72

3.4  結言.…・・…・… ...・H・...…・…・・ ...・H・'"…・・…...刀

(5)

第4章 水素化反応用触媒の担持金属粒子径制御………..74

4.1 緒言…一…・…...・H・‑…・・・…・・…・……・ ・…・・・ ・・… ・・...・H・...…・…・・・・… ….74  4.2  実験 …・ー…… ・・・一一… ・・・・一…・…・・…・・・…・・・ ・…・・ ・・……・・・…・… …一一 ・・… ・・ ・・・…75 4.2.1  触媒調製法 ....………・…・・・・…HH・………・・・・・・…ー・…・………75 4.2.2  担持金属粒子径の測定...・H・..…・・…‑…・・・・…‑…・…・…・…一...・H・‑…………・・…… .75 4.3 結果および考察一……・……・...・H・...・.H・‑…...76 4.3.1 担持Rh粒子径に及ぼすミセル内イオン数の影響....・H・....・H・‑…………...・...76 4.3.2 担持Rh粒子径に及ぼす界面活性斉JIのイオン性の影響..・.H・....……...・H・‑…….81 4.3.3  担持Rh粒子径に及ぼす界面活性斉iJおよび

溶媒の分子情造の影響..…・・………・…・・……・・・… ・…・…‑…・…..83 4.3.4  担持Rh粧子径に及ぼすpHの影響...94 4.3.5  担持Rh粒子径に及ぼす微粒子作製温度の影響……・………・・・…‑………HH・..97 4.3.6  Rh‑Si02触媒の担持Rh粒子径制御法・...HHH・...・H・‑…・・……・………98 4.3.7  他金属系への応用と担持金属粒子径制御法.…・………・………一一………・…99 4.4  結言… … … … …...104

第 5章 粒子径が制御された触媒の水素化反応特性..…ー・・・・……・・…一一……一…一…...105

5.1  緒言……..,………...………ー・…ー…・………ー……・……HH・...…・・…・・・…ー .105 5.2  実験・ ・. ・・… ー・…・・ ・・・・・……・ ……・・・… ……ー・…・・・…・・…..・...H・‑…・・・………106 5.2.1  一酸化炭素の水素化反応.…・………HH・‑…HH・‑…・・・・……・・一………HH・‑……106 5.2.2 COパルス吸着法を利用した表面Rh原子数の測定と表面露出率…・….106 5.2.3  触媒表面積の測定…・……・………・… ...110 5.3  結果および考察.……...・H・‑……一....・H・‑…・・HH・‑………...・H・.・...H・...・H・....・H・..…...111 

5.3.1  CO 水素化反応特性のRh粒子径依存性…HH・‑………・…...・H・..…・・…….111 5.3.2  低担持量Rh‑Si02触媒のCO水素化活性向上....・HHH・...………・120 5.3.3  CO水素化反応特性に及ぼすRh担持量の影響.・・・……・・…...・H・‑…....・H・‑…124 5.4  結言..……・・….... ・・・・・ ……...…HH ・...…・…・・・….128

第6章 結 論 . …...129 参考文献...…・・・・・・・…・...・・・・・・…...・・・・・・・・・…...131 謝辞……… ...138

(6)

第 1 章 緒 論

1 . 1 触媒反応特性に及ぼす担持金属粒子径および担持量の影

触 媒 活 性 お よ び 生 成 物 選 択 性 が 担 持 金 属 粒 子 径 と 密 接 な 関 係 が あ る こ と を M.

Boudare)が指摘して以来,種々の方法で担持金属粒子径の異なる触媒が調製され,触媒 反応特性と粒子径との関連性が論じられてきた.これらの検討の中で,触媒反応のター ンオーバー頻度(表面原子 1個当たりの反応速度, TOF)が担持金属粒子径に依存する 反応は権造敏感型 (structuresensitive)反応2)と呼ばれ,次のように分類されている.

A)TOFが粒子径とともに増大 B)TOFが粒子径とともに減少 C)TOFがある粒子径で最大値を示す

種々の反応のTOFと粒子径との関係をTable1.1に示す.また,このような反応はTOF だけでなく生成物選択性も金属粒子径に大きく依存している.CO水素化反応について 述べると, T. Okuharaら3)はRu粒子径が非常に小さくなると

c z

の炭化水素選択性が高く なり, Cs以上の炭化水素選択性が減少することを示した.また Czから C4の炭化水素化 合物選択率は粒子径に依存しなかったものの,粒子径が小さくなるほどパラフィンに対 するオレフィン比が高くなることを示した.また H.Arakawaら均は悶νSiOヲ触媒におい て,Rh粒子径が大きくなるほどメタノール選択性が小さくなることを示し,Rh粒子径 が2.2nm付近でエタノール選択性が最大となることを報告している.

このように触媒反応特性が金属粒子径に依存する原因は,次のように考えられる.

(1)粒子径の変化と共に金属微粒子を構成する原子のうち,稜や頂点、を構成する割合が 変化する.

(2)微粒子化に伴って粒子の電子状態が変化する.

ふ寓粒子の微粒子化によって,金属表面積を増大させて触媒活性を高めるだけでなく,

上記の効果による触媒活性および生成物選択性の向上が期待できる.

(7)

Table 1.1  Relationship between turnover frequency (TO

and metal paiclesize. 

Type A: TOF increases with metal particle size  CO+H2

CmHn 

NO

N2+N20  NO+CON2+C02 CH3CH=CHCHO+H2 

CH3CH=CHCH20H 

C6H6+02

CO2 

Ru/AI2033)  PVAI20345)  Rh/AI2036) 

Ag/Ti027

PVAI2038) 

Type B: TOF decreases with metal paパiclesize  CH4+C02

CO+H2 

CO2+H2CH30H CO2+H2CO+H20 C3H6+H2

C3H8  CO+02

CO2 

Rh/AI203, Rh/Ti029 Au/Ti0210

PVC11)  Pt catalyst12) 

AU/C030413), Pd/AI20314) 

Type C: TOF takes the maximum value at the optimal particle size  CO+H2

CH30H, C2H50H  Rh/Si0215) 

C6H6+H2C6H12 C6H6+H2ラーC6H C2H6+H2

CH4 

C4H1Q+H2

CH4 

Rh/Si0216)  Ni/Si0217)  Ni/Si0218)  Ni/Si0214) 

(8)

(1)は3 触媒反応特性が粒子を構成している稜や頂点および平面などの原子の位置に 依存し,粒子径の変化と共にその割合が変化するという考え方である.特に稜や頂点、を 構成している原子は,平面部の原子よりも配位不飽和度が高く,その上で、起こる触媒反 応にも違いがあると考えられる.R. van Hardeveldら1920)は平面部,稜部3頂点部を構成 する原子の割合と金属粒子径との関係について検討している.結晶形態が面心立方格子 を形成する場合の金属粒子径と各位置を構成する原子の割合を Fig.1.1に示す.この灰 から3金属粒子径が小さくなると共に稜や頂点、を構成する原子の割合が増加し,特に5nm 以下では急激な増加を示している.P. Clausら721‑23)は Ag!fi02触媒を用いたクロトンア ルデヒドの水素化反応において,粒子径と共に TOFが上昇するのは,アルデヒド基の 水素化反応は平面原子上で、進行し,粒子径が増大するほど Ag(111)面を構成する原子の 割合が高くなるためであるとしている.また,さまざまな Pt結品面を用いた 3‑メチル クロトンアルデヒドの水素化反応においては,反応特性が結晶面に大きく依存すること が報告されている仰5).この中で,生成物選択性の遠いは,平面構造を持つ反応物質が 稜や頂点部分などの欠陥原子と平面部分に吸着した場合で,反応物質の立体障害の有無 が原因であるとしている.また類似の解釈として, K.  Coulterら18)は,エタン水素化分解 反応において TOFがNi粒子径と共に上昇するのは, Ni粒子径が大きくなると, C‑C結 合距離と同程度の活性サイト間距離を持つ Ni(lll)面が露出してくるためであるとして いる.

一方, (2)の例としては,金属粒子径がある一定の大きさ以下になると結合エネルギ ーが著しく変化することを電子分光法などで確認した報告がある2臼乃.R. C. Baetzold均は,

Ag超微粒子の結合エネルギーは, Ag原子が 20個以下のクラスターになると,バルク の結合エネルギーの 3分の 1程度になることを示した.また金属粒子と酸化物担体との 接触は,粒子が小さくなるほど濃密となり,それに伴って金属ー担体間の幾何学的あるい は電子的相互作用が触媒反応へ影響を及ぼしてくることが報告されている別0). Ti02担 体などでは3 還元温度を高くすると,金属粒子径は変化しないにも関わらず H2や COの 吸着量が著しく低下した31).この現象は, SMSI3233)  (Strong Metal  Support Interaction)に 因るものと考えられ,これまでいくつかのモデルが提案されているものの,原因究明に は至っていない.

上記の解釈以外に,金属粒子と担体との界面が新たな活性点を生み出すという報告

4‑36)もある.M. Hanutaら即

依存性についての検討カかhら, TOFが l/dAU2 (dAu; Au粒子径)に比例することを見いだし ている.この事実は AuとTiOゥが単独では触媒活性を示さないことや,担体である Ti02 と嬢する Au超微粒子の周囲の量は 1/dAU2に比例していることから, AuとTi02との界面 が触媒機能の発現に重要な役割を果たしていることを示している.

(9)

。 。

1.

0 . 5 

o

c o

z ‑ ω

ω

C0 0ω εo

50 丈ぷ ω0 3

ω ω

5 0 2 H ω

一ω

C 0 0 ω ε o H C

0 一 芯 0 江

2 S   2 0  

d (particle size / atom size)  15 

10 

Figure 1.1  The structure and number of atoms consisting  in  the surface of metal paパicle.1920) 

i; coodination number, i=4; corner, i=7; edge, i=9; terrace 

(10)

このように,担持金属粒子径が触媒反応特性に何らかの影響を及ぼしていると考えら れるものの,その原因が幾何学的要因だけによるものなのか,あるいは電子的要因や金 属ー担体間相互作用も関与しているのかを判断するのは非常に困難である.

これまで担持金属粒子径が担持量と無関係に制御できる触媒調製法はなかったため3

触媒反応特性に及ぼす担持量の影響についての報告例はほとんどみられない37).T.  R.  Thurstonらη3は液相中で作製した均一な粒子を担体に固定化させることで担持量の異な

る MoS/fi02触媒を調製し,フェノール分解反応特性と MoS2担持量との関連を調べて いる.この報告では,フェノールの分解速度は MoS2担持量が 2.5wt%において最大値を 示した.このような反応特性の原因は,フェノールの分解活性を高める MoSっ担持量は 少量であり,過剰な量の MoS2が存在することで Ti02上のフェノール分解の活性点が埋 もれてしまうためであるとしている.しかし,この方法では,液相中で作製した均一な 粒子が Ti02上に凝集することなく固定化されているかどうかは明確ではなく,粒子径が 制御された触媒の調製法としては不完全なものであった.

このように,担持金属粒子径や担持量が触媒反応特性に何らかの影響を及ぼしている ことを示しているものの,その相関性を厳密に議論しているとは言い難い.このような 問題を克服するためには,金属担持量と無関係に粒子径を制御し,かっその粒子径分布 がシャープな触媒を調製する必要がある.反応特性と担持金属粒子径との関係を明らか にし,その反応系に対して金属粒子径を最適化するためにもこのような触媒調製法の確 立が望まれる.

1 . 2 担持金属触媒における金属粒子径制御

これまで種々の触媒調製法が提案されているが,大半の方法において,粒子径を変え るためには, (1)金属担持量を変える, (2)指定された担体に小さな粒子を担持させ,

熱処理により粒子径を増大させる, (3)担体の性状を変える,という方法が用いられて いる.

(1)の考え方は,含浸法を初めとする触媒調製法において,金属粒子径を変える手 段として広く用いられている91勾. 1.1節で示した金属粒子径と反応特性との関連を調べ たほとんどの研究では,このような手法で調製した触媒を用いている.粒子径制御法と しては簡便であるものの,粒子径分布がブロードであることや担持量が高くなると調製 が困難であることなどが欠点、として挙げられる.これに対してアルコキシド法では,金 属担持量と共に粒子径が変化するが,粒子径分布を比較的シャープに保ったまま粒子径

(11)

を変化させることができる利点がある3839)

一方, (2)の考え方は,焼成あるいは還元という熱処理によって担体上に担持された 金属塩を分解し金属とする調製過程で,粒子同士が凝集し粒子径が大きくなることを利 用したものである叫.この方法では,熱処理の温度と粒子径との関連を詳細に調べるこ とで,担持量を一定に保ったまま金属粒子径を変化させることができるム即143). H. Arai  らω)は含浸法で調製した Pt/Si02触媒について ,60‑‑‑450oCの範囲で空気焼成を行うこと で, Pt粒子径を 3‑‑‑38nmの範囲で変化させている.しかし,熱処理の本来の目的は金属 塩の分解や不純物の除去のため刊であり,焼成温度によっては触媒表面上の成分が異な

る可能性が高い.P.  Papaeftthilml10ωu

8

0

O O C

の範囲で空気焼成を行うことで Pt粒子径を 1‑‑‑55nmの範囲で変化させているもの の'触媒中に残留した塩素量が反応応、特性に大きく影響を及ぼしていた.これらの触媒は 熱処理を施すことによって粒子同士の凝集が進行し,粒子径分布はブロードとなる糾).

さらに,このような手法は粒子径を若干増大させるための補助的な手段として用いられ ており,粒子径を広範囲に変化させることは困難である場合が多い.

(3)の考えに基づき H.Hamadaら45)は 悶νSiOヲ触媒について,シリカ担体の細孔径を 変えることで貼担持量を 4wt%に保ったまま貼粒子径を 2‑‑‑8nmの範囲で変化させる ことができたと報告している.

また,担持金属粒子径の制御法という観点、ではS.L. Brandowら )の研究が興味深い.

彼らは液相中において粒子径を変化させた Pd粒子を,水素化ケイ素基盤上に固定化さ せることで Pd粒子径が 9‑‑‑31nmの触媒を調製した.この触媒の Pd粒子径分布はブロ ードであるが,担持金属触媒の新しい粒子径制御の手法として注目される.

以上述べたように,これまで、は任意の担持量の下で、担持金属粒子径を広範囲にかっ粒 径分布をシャープに保ったまま制御することは非常に困難であった.

1 . 3液相中における微粒子作製

超微粒子の作製法は,気相法および液相法に大別できる.この中で,気相法は不純物 の混入の恐れがなく,結晶性の高いものが低温で得られる利点、を持つ.しかし,気相法 で作製された超微粒子は安定化媒体がないので、凝集した状態になっていることが多く,

粒子径分布も液相法ほどシャープではない.このような問題に対して,液相法を用いる ことで金属や金属酸化物3 さらに金属硫化物,ホウ化物および炭化物についても均一に

(12)

分散された超微粒子が得られていることから,液相法の応用範囲が一段と拡大しつつあ る47)

液相中における超微粒子の作製においては,何らかの保護剤を利用し微粒子の成長の 制御および微粒子同士の凝集を抑制することが不可欠となる.実際,このような液相中 における超微粒子作製の手法は, 19世紀半ばから M.Faraday48)を端緒として多くの研究 者に用いられ,現在まで利用されている.これまで種々の粒子作製法が検討され,非常 に多くの種類の微粒子が数 m から数μ mオーダーで作製されてきた.このような超微 粒子を触媒ヘ応用するためには,量子サイズ効果が期待できるナノスケールの粒子を均 一に作製することが必要である.そこでこの節では,液相中における代表的なナノ粒子 作製例について述べることにする.

N. Toshimaら49)は高分子の存在下,金属イオンをアルコール還元することで金属クラ スターを高分子で被覆し,液相中で安定な高分子・金属ハイブリッド ・ナノ構造体を得 ている.さらに2種類のイオンの還元速度の違いを利用しPd̲pt5053),Au‑Pf4), Cu‑Pd5日目) なと.の複合粒子の調製を行っており,その粒子径は 5nm前後であった.このような超微 粒子については,疎水性を持つ高分子のトレイン部が金属粒子表面に吸着し,親水部が ループまたはテイルとして水などの溶媒中に拡がっているモデルが報告されている49)

さらに高分子と金属粒子表面との間に配位結合が存在することが IR吸収スペクトルを 用いた研究で確認されている日).古くから高分子存在下で、は安定な分散コロイドが調製 できることは知られていたが,その機構の詳細については検討されていなかった.これ に対しG.W. Busserら町は,高分子であるポリビニルピロリドン (pvp)を用いた悶1超 微粒子生成機構について以下のように記述している.PVPは悶1イオンと錯体を形成し,

還元後の貼原子同士が成長しながらクラスターを形成する.しかし, 貼 原子と高分子 との結合は保たれているため,クラスター同士の凝集は抑制され,高分子によって安定 化された悶1超微粒子が形成されるというものである.

微粒子の種類、の中でも非常に凝集しやすいとされている Au超微粒子について,ドデ カンチオールなどの比較的低分子量の保護剤を用いることで,非常に安定な Au微粒子 が得られている6165).M. Brustら6465)は水相中で塩化金イオンとテトラオクチルアンモニ ウムイオンの自己集合体をトルエン中に抽出し, ドデカンチオールを添加した後にイオ ンを還元することで微粒子表面をチオール基で被覆した 1‑‑3nmの Au超微粒子を得て いる.さらに C60フラーレンを超微粒子表面上に吸着させることで ,Au超微粒子の安定 性を向上させている向.また H. Bonnemannら677めは, トルエン中などでテトラヒドロフ ランやテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物塩で安定化された 6‑‑11族の遷移金属 粒子および金属酸化物微粒子を作製している.この方法で安定化された超微粒子は数ケ

(13)

月間にわたり安定であった.液相中での粒子径の制御については記述されていないが,

種々の金属に適用できることは,超微粒子作製法の観点、から非常に興味深い.

液相中における自己集合体を用いた超微粒子作製については, 1980年代から w/oマ イクロエマルションの微細反応場を利用し,金属超微粒子が調製されるようになった.

マイクロエマルションとは,熱力学的に安定であり,界面活性剤,炭化水素,水からな る透明な相である71).マイクロエマルションは界面活性剤から自発的に形成された熱力 学的に安定な微細組織からなっており,この点、が機械的に撹狩して作成した,いわゆる エマルションとは異なる.

AOT/n‑デ、カン/水系の相図72)をFig. 1.2に示す.このような 3種の構成要素が共存する 場合の相状態は相図の形で規定できるものの, 一般に界面活性剤や有機溶媒の種類,電 解質の有無や温度などの外的条件などによって複雑に変化する7376).これまで研究対象 としては, w/o型マイクロエマルションが数多く取り上げられている.これは,分画化 された水相と組織界面相という際だった特徴を備えた雰囲気を持つため,その特異的な 相状態を利用した金属イオンの回収7九 酵 素 の 包 括78)などの研究報告も見られる.

超微粒子作製においても w/oマイクロエマルションが用いられている.M. Boutonnet  ら乃)はPt,Pd, RhおよびIrの金属塩を PEGDE/1‑ヘキサノール/水系のw/oマイクロエマ ルションの内殻水相に溶解させ,金属イオンを水素やヒドラジンで還元することで 5nm 以下の非常に小さな金属粒子を得ている.また内殻水相中で不溶性の塩を作製した例と

して, B. H. Robinsonら80)3 カルシウムイオンやバリウムイオンを可溶化させた w/oマ イクロエマルション溶液に二酸化炭素をバブリングし,炭酸塩微粒子を得ている.また T. Hiraiら81)はw/oマイクロエマルションの内殻水相の水を利用して金属アルコキシドの 加水分解を行い,安定な金属酸化物微粒子を得ている.

本研究では,触媒金属微粒子の作製にw/oマイクロエマルションを利用した.ただし,

充分な触媒量を得るために金属塩濃度および界面活性剤の濃度を高くする方法を選択し た.したがって, 一般に w/oマイクロエマルションが形成する領域から外れている可能 性がある.そこで,以下ではマイクロエマルションという用語を,触媒調製に必要な時 間内において,ナノスケールのミセルが存在できる界面活性剤,有機溶媒および金属塩 水溶液から構成される準安定な相状態と定義し,熱力学的な安定性には言及しないこと にする.

(14)

Figure 1.2  Phase diagram for AOT/ndecane/water72)

(15)

1 . 4 マイクロエマルション中での金属粒子径制御

マイクロエマルション中で作製する粒子の粒子径制御は,種々の検討結果から以下の ような2つの制御機構に分けられる.

(1)ミセル内のイオン数を変えることで,発生する核の数を変化させ,粒子径を変化さ せる.

(2)界面活性剤が微粒子表面上に吸着して,粒子を安定化させているため,粒子の安定 性を変えることで粒子径を変化させる.

前者の考え方は粒子径制御の初期の研究において広く支持されていた8188). J.  B.  Nagy  ら88)は内殻水相内の金属塩濃度を変化させることで Ni2Bあるいは Co2B微粒子が約2.5""' 7.0nmの範囲で変化することを示している.この粒子径の変化についての解釈は次のよ

うなものである.内殻水相中の金属塩濃度または内殻水相径が変わると, 1個のミセル 内に含まれる金属イオン数は変化する.そのイオン数が核化に必要な最低限の個数のイ オンを含んでいる場合に,最も核発生数が多くなり,最終的に最も小さな粒子が生成す る.その個数より多い場合,核発生数はミセル内のイオン数に比例し少なくなり,最終 的には大きな粒子が生成する.また,イオン数が核発生に不十分である場合には,核化 に必要なイオン数がミセル内に取り込まれるまでミセル同士が衝突をしなければならな いため,核化速度が遅くなる.したがって核と核化に関与しないイオンが共存すること になり,それらのイオンは既に生成した核の成長に消費されるため核発生数が少なくな り,最終的には大きな粒子が形成するというものである.さらに彼らはミセル内のイオ ン数と生成する粒子径との関係から,核化が起こる最少イオン数が 2 であることを示し た.H.  Hiraiら81)は内殻水相を利用した Ti02超微粒子の調製において ,(1)の考え方に基 づきミセルの大きさや金属アルコキシド濃度を変えることで Ti02粒子径を変化させ,さ らに核化に必要な加水分解種は5個であることを示した.

上述の考え方は,逆ミセル内のイオン数が金属粒子径に影響を及ぼすというものであ る.これに類似して,ミセルの大きさが金属粒子の大きさを規定するという解釈もなさ れている仰0).しかし,逆ミセルの大きさは,内殻水相に可溶化されているイオン数に したがって変化することが報告されており,ミセルの大きさおよびミセル内のイオン数 を独立して変化させた例はなく,金属粒子径との関係は未だ不明な点が多い.

H.  Hiraiら仰2)はTi02微粒子径制御において

3 ‑ E

Ti02核を発生させた後

3

核発生が

起こらない低濃度の

TTB

溶液を添加することによって新たな核発生を抑制し,粒子数 を保ちながら粒子径を 2""'8nmの範囲で変化させている.このような手法は複数の金属 を含む粒子の調製や,粒子の表面コーティング93)などに応用できると考えられ,より精 密な超微粒子の構造制御を行う上で非常に興味深い.

(16)

方,後者の考え方は M.Boutonnee9)を端緒として3 現在では数多く報告されている ようになってきた94101).K. Suzukiら判や M.P.  Pileniら90)およびT.Hiraiら1.101)はCdS超 微粒子合成に関して,粒子原料塩のモル比(電位決定イオン比;Cd2+/S2‑)が CdS粒子径 に大きく影響を及ぼすことを示した.これらの中で K.Suzukiら94)は,界面活性剤として AOTを用いたCdS超微粒子作製において, Cd2+/S2‑モル比のみを変えることで2.6‑‑‑4.7nm の範囲で CdS粒子径が変化することを示した.さらに, Cd2+/S2‑モル比>1の場合には安 定な CdS粒子が形成し, Cd2+/S2‑<1の場合には CdS粒子径は時間と共に大きくなった.

この粒子径変化の違いについて,彼らの解釈は次のようなものである.Cd2+ /S2‑> 1の場 合,過剰の Cd2+イオンが微粒子表面上に析出し, CdS粒子が正に帯電する.親水基が負 に帯電している AOTは CdS粒子と静電相互作用により,粒子表面に強く結合し,安定 な粒子が形成する.一方 Cd2+/S2‑1の場合には,過剰の S2ーが微粒子表面上に析出し,微 粒子は負に帯電する.その結果 AOT分子は微粒子表面上に吸着できず,微粒子は不安 定な状態であるため,粒子径は時間と共に大きくなるというものである.すなわち,粒 子と界面活性剤との親和性を利用し,液相中における粒子の安定性を変えることで粒子 径を制御できると解釈できる.

さらに K. Suzukiら何)は,微粒子を安定化させている界面活性剤の親水基近傍に束縛 された水分子が存在しており,この水分子の量が粒子の安定性に大きく影響を及ぼすと き及しているが,明確な説明をするまでには至っていない.

以上のように,マイクロエマルション中における粒子径の制御機構は未だ不明確な点 が多い.さらに微粒子の種類とマイクロエマルション系の組み合わせで粒子径の制御因 子が異なることもわかる.また,これまで粒子径制御に有効であると報告されてきた因 子だけでは,液相中の粒子の大きさを広範囲に変化させているとは言い難い.触媒だけ でなく超微粒子の応用範囲を広げるためにも,液相中の微粒子の大きさを広範囲に制御 できる因子の抽出および粒子径制御法の確立が急務である.

1 . 5 液相超微粒子の担体への固定化

前述したように,液相中で粒子径分布がシャープな粒子の作製については数多く報告 されてきたが,超微粒子の触媒への応用例は液相反応用触媒102)としての応用が若干見ら れるだけであった.このような反応系の場合,生成物との分離が困難であるため,何 らかの支持休に固定化することが必要である.近年,液相中で作製した微粒子を支持 休に同定化することで超微粒子の操作性を高め,触媒だけでなく電子材料1105),磁性

11 

(17)

材料l 108)および光学材料肌110)なと、の新規な材料開発への応用が試みられている.

S.  Shi同吋lfliら11

オフエノ一ルを接触させ,ポリマー上に固定化している.さらに, CdS微粒子を分散さ せたトルエン中で,キシレンジチオール,ヘキサメチレンジイソシアナートを重合させ ることで CdS微粒子をボリマー担体内に固定化している.しかし,固定化後の

u v

吸収 スペクトルはレッドシフトしており,固定化中に CdS粒子が凝集していることが示され た.一方, C.  Petitら9勺まマイクロエマルション中で CdS粒子を作製し,その溶液にゼラ チンを添加することで微粒子を固定化している.ゼラチン中にトラップした CdS粒子の 粒子径はマイクロエマルション中で作製したときの粒子径と一致していた.しかし,超 微粒子をゼラチンやポリマーに固定化させて触媒として利用する川場合は,光触媒反応 などの穏やかな反応条件でのみ用いることができる.液相中で作製した均一な微粒子の 触媒特性を活かした利用を考える場合,熱的安定性に優れた金属酸化物などの無機担 体に高密度に固定化することが望まれる.

M. Boutonnetら1同はマイクロエマルション中で Ptや Pd粒子作製し,その溶液に多孔 性の軽石を添加し,溶媒を蒸発させることで微粒子を固定化している.微粒子固定化後 の触媒については記述がなされてないため,金属粒子が凝集することなく均一に固定化 されているかどうかは不明である.しかし,これらの触媒を用いて, 1‑ブテンの水素化 反応特性について含浸法触媒との比較を行ったところ,活性は従来法触媒と同程度であ

ったが,選択性には大きな差異が見られた.

上記のように,微粒子を無機担体に固定化するために溶媒を揮発させる操作は,微 粒子同士が凝集する可能性が高い.このような問題に対しては,保護剤を伴う微粒子 と支持体との親和性を利用して固定化する7 4)ことが有効である.Q. Wangら114)は高 分子を保護剤として Rh,Pt, Pd粒子を作製し, pH調整をすることで高分子が持つ官 能基とシリカ表面上の水酸基との水素結合により,微粒子をシリカ上に固定化してい

る.しかし,金属担持量はいずれも O.5wt%と非常に小さかった.

T.  R. Thurstonら3乃はマイクロエマルション中で MoS2粒子を作製し,担体を添加後,

遠心分離および真空乾燥,その後溶媒を緩やかに揮発させることで MoS2粒子を Ti02に 定化させ,担持量の異なる触媒を調製している.しかし3 微粒子の固定化状態につい ては言及されておらず3 液相中で作製された微粒子が均一に固定化されているかどうか は疑問が残る.

このように,従来の微粒子固定化法では,液相微粒子を凝集させることなく均一に無

(18)

機担体に固定化することは極めて困難である.担持金属触媒に限らず新規材料への工学 的な応用を考慮すると,液相微粒子の新規な固定化法の開発が望まれる.

1 . 6一酸化炭素の水素化反応

石油危機を契機に,わが国では燃料や化学原料の多様化を目指して C1化学の研究が 通産省の大型プロジェク トなどで広く研究されてきた.これは資源的に比較的豊富な石 炭をガス化して CO と水素との合成ガスを発生させ,これを原料としてメタノール,エ タノール,酢酸,エチレングリコールおよび炭化水素などの基礎化学品を得ょうとする ものである.このような反応は Fischer‑Tropsch反応と呼ばれ,ゼオライト系触媒111116)

c o

系触媒117119),Fe系触媒1均を始め,問1系触媒15121),Ru系触媒3),Pd系触媒1均などの 貴金属触媒に至るまで種々の触媒を用いて広く研究がなされた.特にRh触媒について は 1974年の

ucc

社の報告121)を端緒として,アセトアルデヒド,酢酸,エタノールなど の C2 以上の(以降 ~+と略記)含酸素化合物の合成能力向上のために,各種助触媒成分 の添加効果l$128),担体効果1m133),反応条件丸129134)などに関する研究がなされてきた.こ れらの中で,悶1‑Mn系12),問1‑Ag系ロ4)触媒が高いアセトアルデヒド選択性を示すことが 報告されている.間1単独触媒については,前処理として硫化カルボニルを吸着させる日4)

ことや水蒸気を添加する]29)ことでアセトアルデヒド選択率が向上することが見いだされ ている.酢酸合成に関しては,間1‑Mg‑X(ハロゲン)系触媒1均,間1!NaY‑ゼ、オライト触媒129) が著しく高い選択率を示すことが報告されている.また, Rh‑MO系127),Rh‑Fe系133),Rh‑Ti  系128)触媒が高いエタノール選択性を示すことが報告されている.これまで最も高性能な 触媒として, C] 研究組合はRh-Mn-Li-Ir 触媒と~+含酸素化合物を水添する触媒を用いる 複合系触媒を開発し,エタノール選択率 82%,空間時間収率 230g1‑h‑1の性能を示すこ

とを報告した凶). 

このようにRh触媒の性能向上の検討が数多くなされてきたが,工業化には至ってい ない.これは,Rhが資源的に少ないため,非常に高価であることに原因がある.した がって,工業化のためには低担持量のRh触媒の高性能化が望まれる.しかし,H.Arakawa  らl勾はRh担持量が低くなると, TOF および~+含酸素化合物の選択性が急激に低くなる ことを報告している.この原因は, CO水素化反応特性がRh粒子径依存性を持っており3 Rh担持量が低くなると共に活性が低い小さな Rh粒子が増加するためである.このよう な問題を克服するためにも任意の担持量における粒子径制御は,触媒性能を向上させる

で必須の課題であることがわかる.

13 

(19)

1 . 7 本研究の目的と概要

構造敏感型反応に対して触媒性能を向上させるには,担持量に無関係に金属粒子径が 制御され,かっその粒子径分布がシャープであることが不可欠である.しかし,これま で述べてきたように従来の触媒調製法では,金属担持量と無関係に金属粒子径を制御す ることは不可能である.そのため,触媒反応特性に及ぼす金属粒子径の影響および金属 担持量の影響を詳細に検討した報告例はほとんど見られない.

また,マイクロエマルション中で粒子径分布がシャープな微粒子を作製した例は数多 く報告されてきた.しかし,その大半が種々の粒子の作製と粒子生成機構に言及したも のであり,これまで粒子径制御に有効とされてきた因子では,広範囲に粒子径を制御で

きるとは言い難い.

担持金属触媒に限らず液相微粒子を工学的に応用するためには,液相微粒子の固定化 が重要である.しかし,これまでの報告例では,液相中で作製した均一な微粒子を凝集 させることなく任意の担持量で無機担体に固定化した例はない.

そこで本研究では,マイクロエマルションを利用して液相中で超微粒子を作製し,そ の溶液中で金属アルコキシドの加水分解を利用して微粒子を無機担体に固定化する新し い触媒調製法を提案し,担持量と無関係な金属粒子径の制御に関する検討を行う.

本論文は,液相超微粒子の無機担体への固定化,液相超微粒子の安定化と粒子径制御,

水素化反応用触媒の担持金属粒子径制御,および粒子径が制御された触媒の水素化反応 特性についての検討を中心に以下の6章から構成されている.

第1章では3 緒論であり,本研究の背景および目的を述べた.

第 2章では,本研究で、提案する液相微粒子を無機担体へ固定化する方法の優位性を示 す.すなわち,固定化前後における ZnS粒子径の変化,Rh超微粒子のシリカへの高密 度固定化について検討した.これにより,本研究で提案する液相微粒子の固定化法を用 いることで,担持量とは無関係に金属粒子径が制御された触媒の調製が可能であること を示した.

第 3章では,液相中での粒子径測定が容易であり,光触媒としても有効な ZnS粒子 を取り上げ,液相中での ZnS粒子径の広範囲でかつ精密な制御について検討を行った.

濃厚系マイクロエマルシヨンにおける粒子径制御法は現在まで確立されていない.そこ

14 

(20)

3 従来粒子径を変化させるために有効であると報告されている因子の他に,広範囲に ZnS粒子径を制御するための因子を抽出し,液相微粒子の大きさを広範囲でかつ精密に 制御する方法の指針を得た.

第4章では,第3章で得られた制御因子を基にして,水素化反応用触媒であるRh‑Si02 触媒を中心に担持金属粒子径制御について検討を行った.種々の因子が問1粒子径に及 ぼす影響の検討から,間l‑SiOゥ触媒において悶1担持量とは無関係に悶1粒子径を広範囲 に制御する方法を提案した.さらに Pdおよび Ru触媒の担持金属粒子径制御についても 検討を行い,担持貴金属触媒の粒子径制御法へと拡張した.

第 5章では,粒子径が制御されたRh‑SiOz触媒を用い ,CO水素化反応特性に及ぼす 粒子径および担持量の影響について検討を行った.この検討から CO水素化反応系に最 適なRh粒子径を調べた.得られた知見から,貼粒子径を反応系に最適化することで,

低担持量Rh触媒の高活性化を図った.

第6章は本論文の結論であり,本研究で得られた成果を総括した.

1 5  

(21)

第 2 章液相微粒子の無機担体への jn 引 t u

固定化

2 . 1 緒言

1980年代に入ってマイクロエマルション中で超微粒子を作製した例が報告されるよ うになり,このような研究は液相微粒子を液相反応用触媒101)として利用する方向へと 展開された.しかし液相反応系の場合,生成物の分離が困難であることが多いため,

工業触媒としての応用は限られる.液相中で作製した微粒子の操作性を向上させるた めにも,超微粒子を何らかの支持体に固定化する必要がある.

超微粒子の支持体への固定化については,マイクロエマルション中で超微粒子を作 製し,その後,その溶液に担体の前駆体を添加し,ボリマー13513乃やゲル95138)を作製し ながら微粒子を固定化した例も報告されるようになった.しかし,これらの支持体で は光触媒反応などの温和な反応条件では有効であるものの,熱的安定性に劣るため,

担持金属触媒としての応用は制約される.つまり,液相中で作製した超微粒子の触媒 特性を活かした利用を考える場合,熱的安定性に優れた金属酸化物などの無機担体に 高密度に固定化することが望まれる.

マイクロエマルション中の超微粒子に限らず,液相中で作製した超微粒子を無機担 体に固定化することは困難であるため,このような報告例は非常に少ない371114). Q. 

Wangら114)は,ボリマーを保護剤として貴金属超微粒子を作製し,ボリマー中の官能 基と無機担体上の水酸基との水素結合を利用し,微粒子を担体に固定化しているが,

金属担持量はいずれも 0.5wt%と非常に少なかった.またこれらの文献中には,固定化 後の粒子のモルフォロジーや分布についての記述がないことからも,微粒子の凝集が 進行している可能性が高いと推察される.

以上のことから,従来の超微粒子固定化法では,担持量とは無関係に液相超微粒子 を凝集させることなく無機担体に固定化することは極めて難しい.しかし,金属粒子 を担持量とは無関係に無機担体に固定化することができれば,担持金属触媒に限らず,

電子材料や磁性材料を始め新規材料の創製に有効な手段となると考えられる.

そこで本章では,液相微粒子の新規な in‑situ固定化法(以降, M E法)を用いたZnS 微粒子および Rh超微粒子の固定化に関する検討を行った.すなわち,無機担体であ

るシリカへの固定化前後における ZnS粒子径の比較を行い, M E法が有効な液相微粒

1 6  

(22)

子固定化法であることを示す.さらに,悶1‑Si02触媒を取り上げ ,Rh粒子径を一定に 保ったまま,異なる担持量でシリ カに固定化することについて検討を行った.

2 . 2 実験

2 . 2 . 1 液相微粒子作製およびシリカへの I n

t u 固定化

液相超微粒子の無機担体への in‑situ固定化法の概略を Fig.2.1に示す.w/oマイク ロエマルシヨンは外部水相の無いものを用いた.界面活性剤としては主に非イオン性 界面活性剤であるポリオキシエチレン (n=23) ドデシルエーテル (Brij35)およびポリ オキシエチレン (n=5)‑p‑ノニルフェニルエーテル (NP‑5),アニオン性界面活性剤で あるジ (2・エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウム (AOT)を用いた.用いた界 面活性剤の構造式を Fig.2.2に示す.有機溶媒はシクロヘキサン,ルヘブタンおよび L ヘキサノールを用いた.ZnS粒子原料には Zn(NOみ お よ び Na2S,Rh粒子原料には RhC1 3H20を用いた.ZnS粒子作製においては,界面活性剤の濃度はO.lMとした.

各々 Zn(N03)2およびNa2Sを可溶化させた2つのマイクロエマルション溶液を混合し,

液相中で ZnS粒子を作製した.また Rh微粒子作製には界面活性剤濃度を O.5Mとした.

特に断らない限り即lC13を可溶化させたマイクロエマルション溶液に直接ヒドラジン を添加し ,Rh‑ヒドラジン錯体微粒子を作製した.液相微粒子の固定化は以下のように 行った.微粒子を含むマイクロエマルション溶液にアンモニア水および担体原料であ るテトラエトキシシラン (TEOS)を添加し加水分解を行った.得られた沈澱をブロパ ノールで洗浄,鴻過し, 800Cで 8時間乾燥させた.その後焼成によって試料中の界面 活性剤を除去し,微粒子を固定化したシリカ粉末を得た.なお, Rh微粒子を固定化す

る場合は焼成後,水素還元を行い Rh金属とした139)

比較のための含浸法触媒は,シリカ担体 (Cariact‑50,Fuji Silysia Chemical Ltd., 68m g‑l)を所定濃度の RhC13 3H20水溶液に浸し, 800Cで乾燥した後, 4500Cで 2時間水 系還元を行うことで調製した.

2 . 2 . 2 熱重量変化および示差熱測定

ZnS微粒子を固定化した乾燥後の試料を窒素気流中で昇温した場合の重量変化およ びそれに伴う吸発熱について,熱重量同時測定装置 (SSC5100セイコー電子工業 (株) 製)を用いて測定した.ZnS微粒子を含むシリカ粉末は200cc/min窒素気流中で100C/min で7000Cまで昇温し3 重量変化および吸発熱の状態を調べた.

1 7  

(23)

Nanoparticle Synthesis in Microemulsion 

Formation of wjo Microemulsion 

↓ 

In

吋巾附…

j

e舵似

ct

surfactant solution in  organic solvent  Synthesis of Nanoparticles 

山 川

o

… … … 一

Immobilization of Nanoparticles to Supports  Feed of Support Sources 

↓山…

miにcroemuωJl剖sioncontainingthe nanoparticles Formation of Supports

Precipitates containing nanoparticles  by hydrolysis of TEOS 

R

… 州

S u ω

washing by 2‑propanol  filtrating or centrifugating  drying at 800C overnight 

calcination under air flow or nitrogen flow 

(reduction under hydrogen flow in  the immobilization  of rhodium ultrafine particles) 

Silica powder containing metal particles (supported metal catalysts) 

Figure 2.1  Scheme of in‑situ immobilization method using microemulsion  (ME method). 

18 

(24)

.nonionic surfactant 

Brij35 (Polyoxyethylene (n=23) dodecyl ether)  C12H2S(OC2H4)nOH  (n=23) 

NP‑5 (Polyoxyethylene (n=5) ‑p‑nonylphenyl ether)  C9H19‑C6H4‑(OC2H4)nOH  (n=5) 

.anionic surfactant 

AOT (Sodium di  (2‑ethylhexyl) sulfosuccinate)  CH3(CH2)3CH(C挑 )CH20COCH2?H‑OS03‑Na+

C H3 (C H2) 3C H (C2Hs) CH200C 

Figure 2.2  Structural formulas of surfactants. 

19 

(25)

2 . 2 . 3 粒子径測定法

液相中および シリカに固定化した ZnS微粒子径は,島津製作所(株)製紫外可視吸 光光度計 (UV‑220)によって測定した吸光度スペクトルから次のようにして求めた.

ZnSは紫外光を強く吸収するが, ZnS粒子径が小さくなると吸光度スペクトルがブル ーシフトする.吸光度スペクトルの一例を Fig.2.3に示す.ここで,吸収端を吸収最大 の接線あるいはショルダーとベースラインとの交点とすると,この交点の波長(吸収 端の波長,ん)は微粒子のバンドギャップと次式の関係がある.

̲‑‑

hc 

eん

Eg:微粒子のバンドギャップ [eV] h:プランク定数 (=6.626x10‑34)[J s]  c:真空中の光速度 (=2.998x101!)[m SI]  e:電子の電荷 (=1.ω2x10‑19)[c] 

λ

E'吸収端の波長 [m]

(2.1) 

また3 微粒子のバンドギャップと微粒子の直径 (dp) との関係は, E.L.Brusら140)に よって,理論的に次式で与えられる.

h  1  1  3.6e  EE=El b l +‑7(

ーで+ーす)一一一‑

~g.bulk' 2d2e 'm m:  4Ji

11 

Eg, bu/k :バルクにおけるバンドギャップ [eV]

4 :

微粒子の直径 [m] me牢:電子の有効質量 [kg] mJ:正孔の有効質量 [kg]

と 誘 電 率 [c2l1m‑1

ここで, ZnSの場合には,次の値が知られている141)

(2.2) 

(26)

absorption edge (λE) 

laxlmum or  shoulder  0.5 

0.4 

0.3 

0.2 

‑¥φUC

Oω

ハ ギ ︿

0.1 

250  325  350 

Wavelength j nm 

Figure 2.3  UV absorption spectrum for ZnS  dispersed in wjo microemulsion Brij35j1hexano.l

300  275 

Figure 1 . 2   Phase diagram f o r   AOT/n ・ decane/water 72) . 
Figure 2 . 1   Scheme o f   i n ‑ s i t u   i m m o b i l i z a t i o n  method using microemulsion  (ME method). 
Figure 2.3  UV  absorption spectrum f o r  ZnS  dispersed i n  wjo  microemulsion B r i j 3 5 j 1 ・ hexano
Figure 2.4  R e l a t i o n s h i p  between t h e  a b s o r p t i o n   edge and ZnS p a r t i c l e  s i z e . 
+7

参照

関連したドキュメント

超純水中に濃度及び粒径既知の標準粒子を添加した試料水を用いて、陽極酸 化膜-遠心ろ過による 10 nm-SEM

 高齢者の外科手術では手術適応や術式の選択を

突然そのようなところに現れたことに驚いたので す。しかも、密教儀礼であればマンダラ制作儀礼

創業当時、日本では機械のオイル漏れを 防ぐために革製パッキンが使われていま

子どもたちは、全5回のプログラムで学習したこと を思い出しながら、 「昔の人は霧ヶ峰に何をしにきてい

大阪府では、これまで大切にしてきた、子ども一人ひとりが違いを認め合いそれぞれの力

(自分で感じられ得る[もの])という用例は注目に値する(脚注 24 ).接頭辞の sam は「正しい」と

Google マップ上で誰もがその情報を閲覧することが可能となる。Google マイマップは、Google マップの情報を基に作成されるため、Google