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博 士 ( 医 学 ) 大 塚 義 紀

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Academic year: 2021

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学 位 論 文 題 名

博 士 ( 医 学 ) 大 塚 義 紀

    Increased Susceptibility to Silicosis     TNF‑aProduction in C57BL/6J Mice

(C57BU6Jマ ウ ス の シ リ カ 吸 入 に 対 し て の 感 受性 増 加 とTNF‑a産 生 の増 加 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  [ 目 的1以 前 我 々 は 、 特 発 性 間 質 性 肺 炎 (IIP) の 肺 組 織 に お け る 鉱 物分 析 に て シリ カ および ヮルミ ニウム がコン トロー ルに比 べて有 意に多 いことを 明らか にした 。また、IIPならび に 珪 肺 症 の 形 成 過 程 に お い て サ イ ト カ イ ン 、 特 にtumor necrosis factor‑a(TNF‑a), interIleukin.la(Iし.La) およ ぴ 活 性 酸素 の 関 与 が明 ら か に され て い る 。そ の一 方で、

IIPの 発 症 に は 珪 肺 症 の 場 合 と 同 様 、 宿 主 の 感 受 性 が 大 き く 関 与 し て い ろ 。 そ こ で 、 I【Pの 宿 主 感 受 性 の 一 端 を 明 ら か に す ろ 目 的 で 、 活 性 酸 素 の 一 種 で あ ろ オ ゾ ン 感 受 性 の 差 が 明 ら か なマ ウ ス を 用い て , シ リカ に 対 す る感 受 性 の 差異 を 検 討 した 。 妄 た ,そ の 畿 序 を 明 ら か に す る 目 的 で 、 時 間 を お っ て 炎 症 指 標 の 変 化 や 気 管 支 肺 胞 洗 浄 液

(BALF) 細胞か ら分泌 されるTNF.a,IL.laを測定 した。

  【 対 象 と方 法18週令 の 雄 オゾ ン感受 性C57BL/6Jマ ウスおよ ぴオゾ ン抵抗 性C3H/HeJマゥス に , シ リ カ5 0mg/ 生 食60mlを 気 管 内 に 投与 し ,2日 後 ,28日 後 に 炎症 の 指 標 とし て 肺 湿 重 量 の 体 重 に 対 す る 割合 ,BAL総 キ 田胞 数 ,BALF上 清中 の 総 蛋 白質 量 を , 肺線 キ , 睦 化の 指標 と し てhydr'oxyproline(H〇P) , 病理 を 検 討 した 。また ,BAし細 胞lx10 個 の48時 間 培 養 後 の 上 消 を 用 い てEL!SA法 に よ りTNF.CL,Iし .laを 測 定 した 。 而 種 のマ ウ ス に 同量 の生食を投与しコントロールとした。

  統 計 学 的 倹 討 ほ 、ANOVAに て 解 析 し 、Fisher"spl.oCected【east significant differ'ence pi‑ocedureおよび・Sheffe.SFヒeStをpOSt.hOCヒeStとして使用した。p 0.05をもつ て統計学的に有意とした。

  I結 果ll.炎 症 性 病 変の 程 度 お よび そ の 変 化。

  而 群 の シリ カ 投 与2日 後の 肺 湿 重 量比 は 、 そ れぞ れのコ 外ロー ルの肺 湿重量 比に比 較して 有 意 に 増 加 し て い た が 、 而 群 問 で は 差 が な か っ た 。 シ リ カ 投 与28日 後C57Bし/6Jの 肺 湿重 量 比 は13.2+1,4( 以下mean+SE)でシ リ カ 投与C3 H/HeJの10.9+0.6よりも 有竃に 増加 して い た 。BAしF中 の 総 蛋白質 量は、 シリカ 投与2日 後、而群 で各群 のコン トロ― ルに比 較し 有 竃 に 増 カ ロし て い た が、 而 群 間 に差 ; ま な かっ た 。28日 後 シ リカ 投 与 し たC5 7BL/6Jの 総蛋 白 質 量 ほ306+55mg,rmlで 、こ の 群 で のみ コ 外 ロ ール と 比 較 し有 竃 差 があり 、シリ ヵ投

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与‑C3H/HeJの208+28 mg,tn11よ りも 有意 に増 加し て し、 た。 シリ カ 投与 .2日 後 、BAし総 細 胞 数 ほC57BL/6J, C3H/HeJの そ れ ぞ れ に お い て13 7+20 x10"/ml、206+37x 10 /ml で 両 群 と も コ ン ト ロ ー ル に 比 し 有 意 に 増 加 し て い た が、 両 群問 の比 較で は、C3H/HeJで 有 意 に 多 か っ た 。28日 後 の 検 討 で は シ リ カ 投 与 のC5 7BL/6Jで416+146 x10゜ /mlで あ ル コ ン ト ロ ー ル の74+16 xl04/rrilに 比 し で こ の 群 で の み 有 意 に 増 加 し て い た 。 而 群間 の比 較 で は 、 シ リ カ 投 与C5 7BL/6Jで シ リ カ 投 与C3H/HeJの215+38x10^/mlよ りも 有 意に 多か っ た 。

2. 肺線維化指標の変化

  病 理 学 的 検 討 で は 、Aschci.oftの 分 類 に 基 づ ぃ て 線 維 化 を 定 量 化 し た 。2日 後 の 病 理 像 で は 、 両 群 間 に 差 は な く 、 シ リ カ 投 与28日 後C57BL/6Jで2.4 0+0.45とC3H/HeJの 1.2 8+0.18より も有 意 に高 値で あっ た 。シ リカ 投与2日 後のHOPの検 討で は、 両 群で コン ト ロ ― ル に 比 較 し て 有 意 にHOP量 が 低 下 し て い た が 両 群 間 で 有 意 差 は な か っ た 。 シリ カ投 与 28日 後 C57BL/6JのHOPは165+29.4 mg/lungで 、 こ の 群 で の み 有 意 に コ 外 ロ ― ル の 91.3+1.6 mg/lungに 比 べ て 増 加 し 、 シ リ カ 投 与C3H/HeJの84.7+2.lmg/lu ngと 比 べ て も 有意に増加していた。

3.TNF‑a、IL.laの比較

  TNF‑aの 検 討 で は 、2日 後 シ リ カ 投 与C5 7BL/6Jで15 8+43pg/mlと な り こ の 群 で の み コ ン ト ロ ― ル の550+97 pg/mLに 比 較 し 有 意 なTNF・Qの 低 下 が み ら れ た 。 両 群 間 の 比 較 で はC5 7BL/6Jのコントロール群カ℃3H/H eJのコ外口ール群の75ニヒ13.2 pg/mlに比較し有意に高かっ た 。28日 後 の 検 討 で は 、 シ リ カ 投 与C5 7BL/6Jで1527+294pg/mlであ り、 コン ト ロー ル群 の 590+123 pg/mlに 比 し 有 意 な 増 カ ロ を 示 し 、 シ リ カ 投 与C3H/HeJの527+294pg/mlよ り も 有 意 に 高 か っ た 。IL.laの 検 討 で は 、 シ リ カ 投 与 後2日 後 、28日 後 と も 而 群 間 に 有 意 差 は なかった。

[ 考 案 ]Callisら は 、 種 々 の マ ウ ス で シ リ カ に 対 す る 感 受 性 の 差 異 を 検 討 し 、DB A/2を 高 感 受 性 、C3H/ HeJマ ウ ス を 低 感 受 性 で あ る と 報 告 し た 。 ま た 、C5 7BL/6J、 C5 7BL/10、BALB/ Cら も 高 感 受 性 の 可 能 性 が あ る こ と を 報 告 し た 。 一 方 、 Kleebergelらは 、C57 BL/6Jが オ ゾン 感受 性で あり 、C3H/HeJマウ スがオゾン抵抗性 である こ と を 報 告 し て い る 。 そ こ で 、Callisら の 報 告 の 追 試 を 行 う と 共 に 、 そ の 機 序 を 明 らかにする 目的で、オゾン感受性C5 7BL/6Jマウスとオゾン抵抗性C3H/HeJマウスを、用いて今 回 の 実 験 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、C5 7BL/6Jは 、 気 管 内 注 入 に よ る シ リ カ に 対 し 、 C3H/HeJよ り も28日 後 に お い て 炎 症 性 反 応 お よ び 線 維 化 反 応 と も 有 意 に 高 度 な 反 応 を 示 し た 。 し か し な が ら 、2日 後 の 変 化 で はC5 7BL/6JはC3H/HeJに 比 較 し てBALF 中 総 細 胞 数 が 有 憲 に 低 下 し て い た 。 シ リ カ 投 与 後 に 走 化 因 子 を 気 管 内 に 追 加 注 入 し た 場 合 は 線 維 化 の 程 度 が 軽 い こ と ゃ 、 シ リ カ 投 与 前 の 放 射 線 照 射 に て 初 期 の 反 応 を 低 下 さ せ た 群 に 線 維 化 が 強 い と の 報 告 が あ り 、 今 回 の 検 討 で 急 性 期 に お け るC57BL/6J の 低 反 応 が 慢 性 期 に お け る 高 度 な 線 維 化 に 結 び つ い て い る 可 能 性 が 考 え ら れ た 。 ま た 、サ イト カイ ン の検討では、2日後のC57BL/6Jのコント ロール群および28日後のシリ カ投与 C57BL/6Jに て 有 意 にTNF‑aの 増 加 が み ら れ た 。TNF.qは 、 強 カ な 好 中 球 や 単 球 の 走 化 因 子 で あ り 、 好 中 球 を 活 性 化 し 活 性 酸 素 を 放 出 さ せ る こ と が 知 ら れ て い る 。 さ

‑53‑

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らにPiguetらのTNF.

Q

モノクロナール抗体にて珪肺症の発生を抑えた実験から、珪肺症の 発 生 に

TNF‑a

は 重 要 で あ る 。 今 回 の 検 討 で の

C5 7BL/6J

TNF‑a

の 増加 は

C5 7BL/6J

の高反応に結びついている可能性が高いと考えら れた。

[結論]

  

オゾン感受性C57BL/6Jマウスは、気管内注入によるシリカに対し、オゾン非感受 性

C3H

HeJ

マウスよりも28日後において炎症性反応および線維化反 応とも有意に高度 に 反 応 を 示 し た 。

C5 7BL/6J

の 急 性 期 の 低 反 応 お よ び 急 性 期 慢 性 期 を 通 じ て の

TNF

q

の 増 加 が 慢 性 期 で の 高 反 応 に 結 び つ い て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。

‑ 54‑

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

    Increased Susceptibility to Silicosis     TNF‑ cv Production in C57BL/6J Mice

(C57BU6Jマ ウ ス の シ リ カ吸 入 に 対 して の 感 受 性増 加 とTNF−a産生 の 増 加 )

  目 的 : 以 前 我 々 は 、 特 発 性 問 質 性 肺 炎(IIP)の肺 組 織 に おけ る 鉱 物 分析 に て シ ルカ お よ びアルiニウム がコンIロール に比べ て有意 に多いこ とを明 らかに した。 近年の 肺線維 化過 程 の 研 究か ら 、IIPなら び に 珪 肺症 の 形 成 過程 に お い てサ41カ |ン 、 特 にtumor necrosis factor‑a (TNF‑a),interleukin ‑la (IL‑la)およ び活性 酸素の 関与が明らかにされている。

ま た 一 方 で はIIPが 家 族 発 症 す る 事 な ど か ら 、IIPの 発 症 に 宿 主 の 感 受 性 が 関 与 し て い る と 考え ら れ て いる 。Callisら により 既にマ ウスの シ|Jカ に対す る感受 性の種差 は報告 さ れ て い る が 、 そ の 機 序 に つ い て の 報 告 は な ぃ 。 そ こ でIIPに 対 す る 感 受 性 の 機 序 を 明 ら か に す る 目 的 で 、 線 維 化 に も 関 与 す る と さ れ る 活 性 酸 素 に 対 す る 感 受 性 が 明 ら か な マ ウス を 用 い てシ ル カ に 対す る 感 受 性の 差 異 を 調べ た 。 さ らに 、 気 管 支肺 胞 洗 浄 液(BALF)細1胞 か ら 分 泌 さ れ るTNF‑a,IL‑laの 定 量 や 炎 症 性 指 標 の 経 過 を 調 べ て 感受性差異の機序を検討した。

  方法:対象は、8迎令の雄オソ ン感受性C57BL/6Jマウスおよびオソ.ン抵抗性C3H/H eJマウス で あ る 。 こ れら に シ9カ50mg/生 食60い1を 気 管 内 に投 与 し 、2日 後 ,28日 後に 炎 症 の 指標 と し て 肺 湿 重 量 の 体 重 に 対 す る 割 合 ,BALF総 細 胞 数 ,BALF上 清 中 の 総 蛋 白 質 量 を も ち い た 。 肺 線 維 化 の 指 標 と し て は 、 病 理 組 織 の 線 維 化 を 半 定 量 化 し た 指 数 を 用 い 、 さ ら にhydroxyproline (HOP)量 も 検 討 し た 。 ま た ,BAL細 胞lxl05個 の48時 間 培 養 後 の 上 清 を 用 い てenzyme−linkecf immunosorbent assay(ELISA)法 に よりTNF‑a, IL‑laを 測 定 し た 。 両 種 の マ ウ ス に 同 量 の 生 食 を 投 与 し コ ンIロ ー ル と し た 。   結果:シ|カ投与2日後、オッ.ン非感受性マゥスのBALF総細胞数はオッ.ン感受性マゥスの1.5 倍 の 有 意 な 増 加 を 示 し た 。 シ9カ 投 与28日 後 、 体 重 に 対 す る 肺 湿 重 量 の 比 、BALF総 蛋白質量、BALF総細胞数がシ|Jカ投与オソ.ン感受性マウスにおぃてオソ.ン非感受性マウスに比 し そ れ ぞ れ 約1.5倍 の 有 意 な 増 加 を 示 し た 。 線 維 化 の 程 度 の 比 較 に お ぃ て 、2日 後 では両群間に差はなかったが、シIカ投与28日後オソ ン感受性マウスは、オッ.ン非感受性マウス に 比 較 し て 病 理 学 的 に は 約2倍 の 線 維 化 を 示 し 、HOP量 に お ぃ て は 約1.5倍 に 有 意 に増加していた。

  2日 後のTNF‑aの検討 では、 生食投 与群のオ ソ.ン 感受性 マウス におい てオソ .ン非 感受性

ー55

和 紀

義 知

上 川

川 皆

授 授

教 教

査 査

主 副

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群に 比較しTNF‑aが7倍 に増加 し、ま た28日後 の検討 では、 シlJカ投 与オッ .ン感受 性マウス でコン1ロール群よりも3倍に増加し、シ1カ投与オソ.ン非感受性マウスに比較し26倍の増加が認 め ら れ ぃ ず れ も 有 意 差 を 認 め た 。 同Il寺 に 調 べ たIL‑laに つ い て は 両 群 間 に 有 意 差 を 認めなかった。

  結論:オソ.ン感受性マウスは、気管内投与シIJカに対し28日後においてオゾ.ン非感受性マウス よ り も 炎症 性 変 化 およ び 線 維 性変 化 と も 高度 な 反 応 を示 し た 。 オソ . ン感受 性マウ スの2 日 後 の 低 反 応 お よ び2日 後 、28 El後 を 通 じ て のTNF‑aの 増 加 が シ |Jカ に対 す る 高 反応 に結びついていた。

  口 頭発 表 に あ たり 、 皆 川 教授 よ ル オ ッ ン 感受性 および シリカ に対す る感受性 が同じ 遺 伝 子 異 常に よ る も のか ど う か につ い て 、 .上 出教 授より 両マウス にシIJカを皮下 に投与 し た 際 に 予 想 さ れ る 反 応 性 の 差 異 に つ い て 、 細 川 教 授 か ら 急 性 期 の 炎 症 の 程 度 と 慢 性 期 の 線 維 化 の 関 連 に つ い て の 質 問 が あ り 、 申 請 者 は 概 ね 妥 当 に 答 え た と 思 う 。 ま た 、 皆 川 教 授 、 上 出 教 授 よ り 個 別 に 審 査 を 受 け 、 合 格 と の 御 返 事 を い た だ ぃ て いる。

  こ れ ま で に シ |Jカ に 対 す る 感 受 性 の 種差 の 機 序 につ い て 検 討さ れ て お らず 、 種 差 と TNF‑a産 生 の 増 加 や オ ソ . ン 感 受 性 との 関 連 を 示し た こ と は意 義 あ る もの と 考 え られ 、 よって本論文は博士(医学)に相当するものと認めた。

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