博 士 ( 工 学 ) 朝 田 真 吾
学 ´ 位 論 文 題 名
冶 金 用 コ ー ク ス の 強 度 発 現機 構 と そ の制 御 に 関 する 研 究
学 位 論 文 内 容の 要 旨
わ が 国の 冶 金 用 コ ー ク ス の 生 産 量 は 年 間3000万ト ン以上 にの ぼり 、そ の品 質は 高 炉 の 生産 性 を 大 き く 左 右 す る 。 年 間5000万 ト ン近 くにお よぷ コー クス 用原 料炭 の全 量を 輸入 に頼るわが国において、石炭性状面からのコークス品質の精密な制御は 高炉製銑法の合理化を図るうえでの最重要課題のひとつである。
本 論文 は、 冶金用コークスの強度の指標であるドラム指数を、石炭性状面から、よ り精 密に 制御 することを目的とした。そのためにドラム指数の精密な解析を行ない、
その制御を可能とするために解明すべき3つの課題、すなわち、(1)ドラム指数を支配 するコークス構造、(2)コークス構造の形成機構、(3)形成機構を規定する石炭性状の 解明について行った研究を纏めたものである。
第1章は 序論 であ り、 これ まで のコ ーク スに関する研究の概要、未解決な分野の摘 出および本研究の学問的背景などを示した。
第2章で は、 石炭 性状 と乾 留挙 動お よび コークス性状の関係について検討し、粘結 炭に つい ては 活性成分の元素構成比によって、そのコークス化性が評価できることを 明ら かに する とともに、粘結炭、非粘結炭、風化炭のコークス用炭としての評価を同 じ手 段で 行う 方法として、石炭の熱分解物の発生挙動によるコークス化性評価方法を 開発した。
コ ーク スの ドラム指数は、石炭の活性成分のH/C値が0. 62〜0.67、O/C値が0. 03〜0.04の試 料で 最も 高く なり 、こ の範 囲よりも高O/C値の試料ではコークス基質 の過 度の 異方 性のた め、 低O/C値 の試 料で はコ ーク ス基 質の 強度 不足 のために、高 H/C値 の試 料 で は 高 気 孔 率 の た め 、 低H/C値 の 試料 では加 熱時 の石 炭粒 子間 の接 着性不良のためにそれぞれ、ドラム指数は低くなる。
こ の結 果は 石炭の粘結性を基礎において求めたものであるが、っぎに、非粘結性の 石炭 にっ いて も、活性成分の元素構成比にかえ、加熱時の減量、発生ガス組成によっ て、 その コー クス用炭とレての評価が、粘結炭と同じ尺度によって行えることを明ら かにした。
第3章で は、 工業 規模 のコ ーク ス炉 内に おけるコークスの形成機構を明らかにする べく 乾留 途中 のコークスに直接、散水して急冷し、その内部を調査して、コークス強 度の 支配 因子 である気孔壁の分布がどのような機構で形成され、その形成状況が何に よって支配されているかという点について検討した。
工 業規 模の コークス炉におけるコークス層の形成は、従来いわれていたように、均 一な もの では なく、局所的なコークス眉厚のバラツキが随所にみられる著しく不均一
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なも ので あり、その原因が未乾留の石炭部分で発生する水蒸気がコークス眉を経てコ ー ク ス ケ ー キ 外 に 流 出 す る 際 の 冷 却 作 用 に あ る こ と を 明 ら か に し た 。 ま た、 工業規模のコークス炉における気孔壁分布の形成機構について検討し、コー クス 層の 形成に対して、軟化溶融層の石炭側のガス透過性が支配的な影響をおよぼし ていることを示した。
第4章で は、 コー クス のド ラム 指数 とコークス性状の関係を明らかにするためドラ ム試 験時 のコークスの粉化機構を明らかにするとともに、従来、定性的にしか述べら れ な か っ た コ ー ク ス 性 状 と ド ラ ム 指 数 の 定 量 的 な 関 係 を 明 ら か に し た 。 ド ラム 試験 時に おけ るコ ーク スの粉 化挙 動は 、コ ーク ス塊 の分 裂にともなう粉化
(体 積破 壊)と衝撃による塊表面の気孔壁の剥離(表面破壊)という異なったニつの 機構 によ ってコークス粉が発生することを示し、それぞれの粉化機構により発生する コー クス 粉量の評価指標を提案した。併せてそれらの指標と石炭性状との関係を論じ た。
さ らに 、コークス品質を評価するに際してより重要と考えられる、表面破壊による 粉化 量と 気孔壁性状との関係について検討し、回転強度試験時に発生するコークス粉 の大 部分 が、強度試験時に受ける衝撃によってコークスの気孔壁が破壊され脱落した もの であ ることを示し、コークス強度を精密に制御するためには、気孔壁の基質強度 とと もに 、その厚さについても制御する必要があることを明らかにした。炉内への石 炭の 充填 密度やイナートの量などを操作した場合の気孔壁の厚さの変化についても論 じた。
第5章で は、 第4章ま でに えら れた結 果を もと に、 石炭 性状 面か らのコークスのド ラ ム 指 数 制 御 方 法 に つ い て は じ め に 設 定 し た3っ の 課 題 に つ い て 解 明 し た 。
(1) ドラム指数を支配するコークス構造
ド ラム 指数は、気孔壁の厚さと光学的異方性組織によって決まる気孔壁の破壊のさ れ易 すさ と破壊された場合の気孔壁重量の積であらわされる。っまり、ドラム指数を 支配するコークス構造とは気孔壁の厚さと基質の光学的異方性組織の発達程度である。
(2)コークス構造形成機構
基質の光学的異方性組織の発達程度は石炭性状に大きく依存する。気孔壁の厚さは、
乾留 時に おける軟化溶融層の石炭側のガス透過性によって規定される軟化溶融眉の内 部ガス圧によって支配される。
(3)形成機構を規定する石炭性状
基 質の 光学的異方性組織は、活性成分中の酸素量が少ない石炭ほど発達する。軟化 溶融 層の 石炭側のガス透過性は、軟化溶融時の粘性が高い石炭ほどまた軟化溶融温度 範囲 が広 い石炭ほど小さくなり、活性威分の中の酸素量が同じ石炭では、水素量の多 い石炭ほどガス透過性は小さくなる。
以 上の 結果、コークスのドラム指数は、加熱時の減量、発生ガス組成をもとにして その 気孔 壁の厚さ、基質強度を操作することにより制御できることを明らかにした。
これ らの 知見をもとに、その工業化を計り、微粘結炭配合率を約10%増加させうるこ と、また、20%程度の風化炭の使用を可能とした。
第6章は 総括 であ り、 本研 究を 総括 し、その成果を要約するとともに、今後の課題 について取りまとめた。
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学位論文審査の要旨
学 位 論 文 題 名
冶金用コークスの強度発現機構とその制御に関する研究
冶 金用コークスの品質は高炉の生産性を大きく左右する。石炭性状面からのコーク ス品 質を精密に制御することは高炉製銑法の合理化を図るうえでの最重要課題のひと つで ある 。
本 論文は、冶金用コークスの強度の指標であるドラム指数を、石炭性状面から、よ り 精 密 に 制 御 す る こ と を 目 的 と し て 行 っ た 研 究 を 纏 め た も の で あ る 。 第1章は 序論 であ り、 これ まで のコークスに関する研究の概要、解決なすべき分野 の摘 出お よぴ 本研 究の学 問的 背景 など を示 して いる 。
第2章で は、 石炭 性状 と乾 留挙 動およびコークス性状の関係について検討し、粘結 炭に ついては活性成分の元素構成比によって、そのコークス化性が評価できることを 明ら かにするとともに、粘結炭、非粘結炭、風化炭のコークス用炭としての評価を同 じ手 段で行う方法として、石炭の熱分解物の発生挙動によるコークス化性評価方法を 提案 している。これは非粘結炭をコークス用にむけるにあっての有効な尺度となる。
第3章で は、 工業 規模 のコ ーク ス炉内におけるコークスの形成機構を明らかにする べく 乾留途中のコークスに直接散水して急冷し、その内部を調査して、コークス強度 の 支 配 因 子で あ る 気 孔 壁 の 分 布 の 形 成 機 構と その 支配 因子 につ いて 検討 てい る。
工 業規模のコークス炉におけるコークス層の形成は、均一なものではなく、コーク スの 層厚は著しく不均一なものであり、その原因が耒乾留の石炭から発生する水蒸気 がコ ークス層を経てコークスケーキの外に流出する際の冷却作用にあることを明らか にし てい る。
ま た、コークス炉における気孔壁分布の形成機構について検討し、コークス層の形 成に 対して、軟化溶融層の石炭側のガス透過性が支配的な影響をおよばしていること も併 せて 示し てい る。
第4章で は、 ドラ ム試 験時 のコ ークスの粉化機構を詳細に調ベ、従来、定性的にし か 述 べ ら れな か っ た コ ー ク ス 性 状 と ド ラ ム指 数の 定量 的な 関係 を明 らか にし た。
ド ラム 試験 時に おける コー クス の粉 化挙 動は 、コ ーク ス塊 の分裂にともなう粉化
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三 宜
徳 俊
夫
雄
邦
博
忠
邦
田
井
藤
葉
原
真 石
伊 千
篠
授 授
授 授
授
教 教
教 教
教
査 査
査 査
査
主 副
副 副
副
(体 積破 壊)と衝撃による塊表面の気孔壁の剥離(表面破壊)という異なったニつの 機構 によ ってコークス粉が発生することを示し、それそれの粉化機構により発生する コー・クス粉量をもって評価の指標とすることを提案している。併せてそれらの指標と 石炭性状との関係を論じた。
第5章で は、 第4章ま でに えら れた結 果を もと に、 石炭 性状 面か らのコークスのド ラム指数の制御方法について以下の結諭をえている。
(1) ドラム指数を支配するコークス構造
ド ラム 指数は、気孔壁の厚さと光学的異方性組織によって決まる気孔壁の破壊のさ れや すさ と破壊された場合の気孔壁重量の積であらわされる。っまり、ドラム指数を 支配するコークス構造とは気孔壁の厚さと基質の光学的異方性組織の発達程度である。
(2)コークス構造の形成機構
基質の光学的異方性組織の発達程度は石炭性状に大きく依存する。気孔壁の厚さは、
乾留 時に おける軟化溶融層の石炭側のガス透過性によって規定される軟化溶融層の内 部ガス圧によって支配される。
(3)形成機構を規定する石炭性状
基 質の 光学的異方性組織は、活性成分中の酸素量が少ない石炭ほど発達する。軟化 溶融 層の 石炭側のガス透過性は、軟化溶融時の粘性が高い石炭ほど、また軟化溶融温 度範 囲が 広い石炭ほど小さくなる。活性成分の中の酸素量が同じ石炭では、水素量の 多い石炭ほどガス透過性は小さくなる。
以 上の 結果、コータスのドラム指数は、加熱時の減量、発生ガス組成をもとにして その 気孔 壁の厚さ、基質強度を操作することにより制御できることを明らかにした。
これ らの 知見をもとに、微粘結炭配合率を約10%増加させうること、また、20%程度 の 風 化 炭 の 使 用 を 可 能 と し た こ と な ど 生 産 コ スト を 低 減 で き る こ と を 示 し た 。 第6章は 総括 であ り、 本研 究を 総括 し、その成果を要約するとともに、将来展望を 述べている。
こ れを 要するに著者は冶金用コークスの強度とコークスの構造との関連性を明らか にし 、コ ークス強度が原料炭の性状から制御出来ることを示した。これらの有益な知 見 は 、 冶 金 工 学 、 石 炭 化 学 の 進 歩 に 寄 与 す る と こ ろ 大 な る も の が あ る 。 よ って 著者は北海道大学博士(工学)の学位論文を授与される資格あるものと認め る。
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