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卵胞発育動態と卵胞内卵子の受精能に関する研究

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Academic year: 2021

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博 士 ( 獣 医 学 ) 笹 本 良 彦

学 位 論 文 題 名

     乳用牛における分娩後の

卵胞発育動態と卵胞内卵子の受精能に関する研究

.学位論文内容の要旨

  乳用 牛に おけ る分 娩後 の卵 巣機 能回 復の 遅 れほ 繁殖 効率 を低 下させる要因の1つで ある。また、卵巣機能 が回復しても卵子の受精能が正常でぬけれぱ受胎は成立しなぃ。

そこで本研究では、. 卵巣機能の回復を左右する要因を究明するために分娩後の卵胞発 育 動 態 を 解 析 す る と と も に 分 娩 後 早 期 の 卵 胞 内 卵 子 の 受 精 能 に っい て検 討し た 。   第1部で は、 乳 用牛 にお ける 分娩 後の 卵胞 発育 動態 を明 らか にする ために、まず初 回 排卵 に至 るま での 卵胞 発育 ウェ ーブ における優勢卵胞の発育と初回 排卵後の卵巣周 期 を超 音波 診断 装置 を用 いて 調べ た。 供試 牛(47頭) は初 回排 卵に至 るまでの卵胞発 育 ウェ ーブ の数 によ り1回 日(49ワ 。)、2回目(23qo)およぴ311回目 ウェーブ排卵群

(28% ) に分 類さ れ、 各 群の 平均 初回 排卵 日は 、そ れぞ れ分 娩後18、31お よび50日 目 であ った 。各 群の 優勢 卵胞 の発 育を 比較解析した結果、311回目ウ ェーブ排卵群の 分 娩 後 最 初の 卵胞 発育 ウ ェー ブの 発現 時期 は1およ び2回 目ウ ェー ブ排 卵群 に比 べ て 遅 い こ と が示 唆さ れた 。 また 、初 回排 卵後 の卵 巣周 期を 解析 した 結果 、3‑11回 目 ウ エ ーブ 排卵 群で は初 回排 卵直 後の 卵巣 周期(初回卵巣周期)中の卵胞 発育ウェーブが 1回だ った 牛が 多 く(77% )、 初回 卵巣周 期は他の2群に比べて短くな った。以上の結 果 から 、初 回排 卵の 遅い 牛で は分 娩後 に卵胞発育ウェーブが発現して も優勢卵胞は排 卵 せず 、卵 胞の 発育 と退 行を 繰り 返す こと と 、初 回卵 巣周 期は1回目 の卵胞発育ウェ ー ブ の 優 勢 卵 胞 が 排 卵 す る こ と に よ っ て 短 く な る こ と が 分 か っ た 。   次 に 、 分娩 後最 初の 卵 胞発 育ウ ェー ブの 発現 時期 と分 娩前 後の 卵胞 刺激 ホル モ ン (FSH)分 泌 動 態 を 調 べ た 結 果 、 分 娩 後3回 日 以 降 の 卵 胞 発 育 ウ ェ ーブ で初 回排 卵 し た 牛の 分娩 後最 初の 卵胞 発育 ウェ ーブ の発 現 時期 と血 中FSH濃 度がピ ークを示した時

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期は、2回目の卵胞発育ウェーブで初回排卵した牛に比べて数日遅かった。この結果 から、初回排卵の遅い牛では分娩後のFSH分泌機能の回復が遅延するために、卵胞発 育ウェーブの発現が遅れていることが示唆されたa

  第2部では、乳用牛の分娩後早期の卵胞内卵子の受精能を明らかにするために、ま ず牛の超音波誘導経腟採卵(OPU)技術の改善を目的として、吸引圧および吸引針の 回転と吸引針の違い(シングルおよぴダブル・ルーメン吸引針)が卵子回収成績に及 ぼす影響について検討した。この結果、卵胞吸引時に吸引針を回転させることにより、

卵子に付着する卵丘細胞を剥がすことなく、卵子回収率が向上することが明らかにな った。また、それぞれの吸引針の最適な吸引圧での卵子回収率および卵丘細胞の付着 状況に差異はみられなかった。さらに、それぞれの吸引針に最適な吸引圧を用いて生 体のOPUを行ったが、吸引針の違いによって卵子回収率および卵丘細胞の付着状況 に差異は認められなかった。以上の成績から、牛の()PUでは卵胞吸引時の吸引針の 回転によって卵子回収率が改善され、適切な吸引圧を加えれぱシングル・ルーメン吸 引針を用いてもダブル・ルーメン吸引針と同等の卵子回収成績が得られることが明ら かになった。

  次に、このOPU技術を用いて分娩後早期(分娩後30〜 40日目)の牛と発情周期の 回帰した後(分娩後80 ¥‑100日日)の牛から採取した卵子の受精能を比較した。分娩 後2回日の卵胞発育ウェーブの出現後2〜4日目にすべての胞状卵胞を吸引除去した。

OPUは卵 胞吸引 除去後3〜4日日から、3〜4日間隔 で3`5回行 った。OPU時 には直 径5 mm以上の胞状卵胞数を記録し、その後吸引した。回収した卵子は、体外成熟お よび受精に供した。その結果、回収した卵子の正常受精率は分娩後早期と発情周期回 帰後との間で差異のないことが明らかになり、分娩後早期の卵胞内卵子が正常な発生 能を有することが示唆された。

  本研究によって、乳用牛における分娩後の卵胞発育動態、とくに卵胞発育ウェーブ の発現とFSH分泌との関係およぴ初回排卵後の卵巣周期における卵胞発育ウェーブの 特徴が明らかになった。また、分娩後の卵巣機能の回復には従来から指摘されている 黄体形成ホルモンのパルス状分泌機能の回復の他に、卵胞発育ウェーブを発現させる

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ために必要なFSH分泌機能の回復も関与していることが示唆された。さらに、OPU 技術に改良を加え、それを応用して分娩後早期における発育卵胞内の卵子は正常な発 情周期が回帰した後の卵胞内卵子と同等の正常受精能を有することを明らかにした。

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学位 論文審 査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

高 橋 芳 幸 藤 永    徹 葉 原 芳 昭 片 桐 成 二

     学 位 論 文 題 名 乳 用牛にお ける分娩後の

卵胞発育 動態と 卵胞内卵 子の受精 能に関する研究

  申 請 者 は 、 乳 用 牛 に お け る 分 娩 後 の 卵 巣 機 能 の 回 復 に か か わ る 要 因 を 究 明 す る た め に 、 分 娩 後 の 卵 胞 発 育 動 態 を 解 析 す る と と も に 卵 胞 内 卵 子 の 受 精 能

・ に つ い て 検 討 し た 。

  ま ず 、 分 娩 直 後 の 乳 用 牛 の 初 回 排 卵 時 期 と 卵 胞 発 育 ウ ェ ー ブ の 関 係 お よ ぴ 初 回 排 卵 後 の 卵 巣 周 期 の 特 徴 を 調 べ た 。 そ の 結 果 、 初 回 排 卵 の 遅 い 牛 で は 分 娩 後 の 卵 胞 刺 激 ホ ル モ ン 分 泌 と 卵 胞 発 育 ウ ェ ー プ の 再 開 が 遅 れ る と と も に 、 卵 胞 発 育 ウ ェ ー プ が 発 現 し て も 優 勢 卵 胞 は 排 卵 せ ず に 発 育 と 退 行 を 繰 り 返 す こ と を 明 ら か に し た 。 ま た 、 初 回 排 卵 の 遅 い 牛 で は 初 回 排 卵 直 後 に 出 現 す る 卵 胞 発 育 ウ ェ ー プ の 優 勢 卵 胞 が 排 卵 し 、 卵 巣 周 期 が 短 縮 す る こ と も 明 ら か に し た 。 つ い で 、 分 娩 後 早 期 の 乳 用 牛 の 卵 胞 内 卵 子 の 受 精 能 を 調 ぺ る た め に 、 超 音 波 誘 導 経 腟 採 卵 技 術 を 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 卵 胞 吸 弓I時 に 吸 引 針 を 回 転 さ せ る と 卵 子 の 成 熟 に 不 可 欠 な 卵 丘 細 胞 を 剥 離 す る こ と な く 卵 子 回 収 率 が 向 上 し 、 適 切 な 吸 引 圧 を 用 い れ ぱ 吸 引 針 の 種 類 に か か わ ら ず 安 定 し た 卵 子 回 収 成 績 が 得 ら れ る こ と を 示 し た 。 ま た 、 超 音 波 誘 導 経 腟 採 卵 技 術 を 用 し ヽ て 分 娩 後 早 期 と 発 情 周 期 回 帰 後 の 牛 か ら 回 収 し た 卵 胞 内 卵 子 を 体 外 で 成 熟 ・ 受 精 さ せ 、 両 者 の 受 精 能 に 差 異 の な い こ と を 明 ら か に し た 。

  以 上 の よ う に 申 請 者 は 、 乳 用 牛 に お け る 分 娩 後 の 卵 胞 発 育 動 態 の 特 徴 を 明 ら か に し た 。 ま た 、 分 娩 後 の 卵 巣 機 能 の 回 復 に は 卵 胞 刺 激 ホ ル モ ン 分 泌 機 能 の 回 復 が 関 与 し て い る こ と を 示 し た 。 さ ら に 、 分 娩 後 早 期 の 卵 胞 内 卵 子 が 正 常 な 受 精 能 を 有 し て い る こ と も 明 ら か に し た 。 こ れ ら の 研 究 成 果 は 、 乳 用 牛 の 分 娩 後 の 繁 殖 効 率 の 向 上 に 貢 献 す る 。 よ っ て 、 審 査 員 一 同 は 、 上 記 博 士 論

(5)

文提出者笹本良彦氏の博士論文は、北海道大学大学院獣医学研究科規程第6

条 の 規 定 に よ る 本 研 究 科 の 行 う 博士 論 文 の 審 査 等 に 合 格 と 認め た 。

参照

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