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〈研究ノート〉テレマーケティング詐欺に対する連邦取引委員会の戦い(その2)

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81 〈研究ノート〉

テレマーケティング詐欺に対する

連邦取引委員会の戦い(その2)

内 田

作 1 はじめに  今日,連邦取引委員会は,テレマーケティング詐欺を根絶するために,詐欺 的なテレマーケッター等を規制するだけではなく,その背後に存在する供給・ 支援のネットワーク(「ルート・システム」(root system)と呼ばれることもあ        1) る。)もまた,規制するようになってきた。それは,詐欺的なテレマーケティン グ経営の実態が明るみに出たことに起因するものであった。詐欺的なテレマー ケティング経営の実態は,次のようであった。  ①詐欺的なテレマーケティングは,「ボイラー・ルーム」(boiler room)と 呼ばれる,安上がりのオフィスにおいて行われている。それは机と電話が詰め 込まれたものであり,そこから数百本の電話が終日,販売員によって見込客に かけられている。  ②テレマーケッターは,しばしば,天性の販売タレントと長年の販売経験 のために,商品・サービスを販売する手腕を身につけている。  ③テレマーケッターは,しばしば,詐欺から詐欺へと渡り歩く人生を送っ 1)以下の叙述は,次の文献に依拠した。The Nature and Extent of Telemarketing Fraud and Federal and State Law Enforcement Efforts to Combat lt 610−11, 614, 645−46, 649 (1991) ; Timothy J. Muris, Economics and Consumer Protection, 60 Antitrust L. J. 103, 110(1991) ; Barry J. Cutler, Developments in Consumer Protection at the Federal Trade Commission, 60 Antitrust L. J. 123, 130(1991) ; William C. MacLeod, Consumer Protection Developments, 60 Antitrust L. J. 657, 664(1992).

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82  彦根論叢 第291号 ている。例えば,浄水器の販売規制が強化されると,ビタミンや旅行証書の販 売に転換する。ネバダ州で規制が強化されると,カリフォルニア州へと移動す る。  ④ ボイラー・ルームは,世馴れたネットワークから供給・支援を受けてお り,また時には庇護を受けている。すなわち,個々のボイラー・ルームの背後 には,商品を供給する者,ボイラー・ルームを機能させるサービスを提供する 者,マネー・ラウンダリングを助ける者などがいる。  詐欺的なテレマーケティング経営のこういつた実態が明らかになるにつれ, 連邦取引委短章は,次のように認識するに至った。テレマーケティング詐欺の 規制に当たっては,個々のテレマーケッタ一等の後追いをすることは,根源的 な問題解決とはならない。根源的な解決のためには,詐欺的なテレマーケッタ ーが,詐欺を永続させるのに必要な手段を獲得するのを一層困難にすることに よって,多くのボイラー・ルームを根絶することが是非とも必要である。        2)  かくして,連邦取引委員会は,「タンポポ理論」(dandelion theory)を適用し て,詐欺的なテレマーケッター等だけではなく,その背後に存在する供給・支        3> 援のネットワークを構成する者(以下,「幣助者」という。)に対しても,訴訟 を提起するようになった。  加えて,連邦取引委員会は,詐欺的なテレマーケッター等に対する訴訟にお いても,求める命令に工夫を凝らしている。この点,命令としては,不実表示 を禁止したり,開示を行ったりすることが求められるのが一般的であるが,事 件によっては,詐欺的なテレマーケッター等が,そもそも,将来テレマーケテ ィングに関与するのを禁止するという命令も求められるようになってきた。こ のことによって,将来におけるテレマーケッター等の供給は,減じられること 2)タンポポは,花を摘み取っただけでは再び生育して元に戻るので,根を絶やさなければ ならないという考え方で,いわば「根絶やし理論」である。 3)本稿では,「訴訟」とは,連邦取引委員会法13条(b)項に基づいて連邦取引委員会が連邦地 方裁判所に提起する訴訟を指している。関連して,拙稿「連邦取引委員会法13条(b)項に基 づく消費者救済  旅行代理店の詐欺的慣行の場合一一」彦根論叢278号93頁(1992年)参 照。

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 〈研究ノート〉テレマーケティング詐欺に対する連邦取引委員会の戦い(その2)  83 になる。  さらには,連邦取引委貝会は,詐欺的なテレマーケッタ一等が,他のテレマ ーケッターに供給したりそれを支援したりすることをも問題としている。この 場合,命令としては,詐欺的なテレマーケッター等が,他の詐欺的なテレマー ケッターに供給したりそれを支援したりするのを禁止することが求められる。 また,詐欺的ではないテレマーケッターに供給したりそれを支援したりする場 合には,当該のテレマーケッターの活動の適正化を図るために,種々の行為を 行うことが求められる。このことによって,1つに,詐欺的なテレマーケッタ ーへの供給・支援が断たれることになり,もう1つに,テレマーケティングの 適正化が,ある程度確保されることになる。  そこで,以下,具体的な事件を手がかりとしながら,この局面での,テレマ ーケティング詐欺を根絶するための連邦取引委員会の戦いについて紹介するこ    4) とにする。叙述は,次の事件の順による。すなわち,①詐欺的なテレマーケッ ター等が将来テレマーケティングに関与するのを禁止する事件,②詐欺的なテ レマーケッター等が他のテレマーケッターに供給したりそれを支援したりする のを問題とする事件,③幣助者が詐欺的なテレマーケッターに供給したりそれ を支援したりするのを問題とする事件,である。なお,③は,早馬者がサプラ イヤー等である場合と,その他の者である場合とに分けて見ることにする。 II テレマーケティングへの関与を禁止する事件  詐欺的なテレマーケッター等は,事件によっては,将来テレマーケティング に関与するのが禁止される。 (1)デービッド・ウェザリル事件       5) 本件で被告とされたのは,7つの会社と4人の個人である。個人被告のうち 4)関連して,拙稿「テレマーケティング詐欺に対する連邦取引委員会の戦い(その1)」彦 根論叢281号123頁(1993年)参照。 5)以下の叙述は,David Wetherill, et al,5Trade Reg. Rep.§§23,410, 23,428(1993)に依 拠した。

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84  彦根論叢 第291一号 Wは,ほとんどの被告会社のオーナーであり,Pは,1つの被告会社のただ1 人のオーナーであるとともに他の被告会社のセールスマンであり,残りの2人 はマネージャーであった。  (a)問題とされた行為  被告は,消費者に対して,商品を勝ち取ったと述 べ,それを入手するために電話をするよう駆り立てる通知を郵送した。消費者 が電話をしたとき,被告は,ビタミン,化粧品その他の商品を消費者が購入す るよう勧誘する数多くの不実表示を行った。消費者が被告の商品を購入するな ら相当の価値の賞品を受け取るであろうとの虚偽の約束を通じて,被告は,5, 800万ドル以上をだまし取った。消費者の最初の購入は299ドルから上であった が,追加の販売促進によって,消費者は,さらに数等ドルを出費した。 Wは,とりわけ次のことを行うことによって,詐欺を助けた。すなわち,欺 隔的な電話販売台本を提供し,また,製品の購入に基づいて消費者が受け取る 賞品の価値を販売員が不実表示するのを鼓舞するということである。  (b)訴訟の推移  1992年4月に,連邦取引委員会は,連邦地方裁判所に訴 訟を提起した。その時,裁判所は,問擬された仕組みを暫定的に中止させ,か つ被告の資産を凍結する命令を求める連邦取引委員会の要請を受け入れた。 1993年5月になって,マネージャーである2人の個人被告に対して欠席判決が 行われ,同年6月,Wに対して判決が行われた。他方, Pと7つの会社被告に 対しては,同年7月,同意判決が行われた。  (c)命令  ア 個人被告に対するもの  Wは,将来どのような種類であれ,テレマー ケティングを行うことが禁止された。なお,マネージャーである2人の個人被 告は,欠席判決において,申し立てられた行為に対して責任があると認定され た(詳細は不明)。  また,Pは,将来ボイラー・ルーム型のセッティングで売買を勧誘するのを 実際上禁止されることに合意した。とくに彼は,次のことを含む電話勧誘を行 うのが禁止された。①商品・サービスの購入の見返りに,または金銭の支払い と交換に,賞品・ギフトを消費者が受け取るとの約束,②余分の費用を伴わな

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 〈研究ノート〉テレマーケテKング詐欺に対する連邦取引委員会の戦い(その2)  85 い追加のアイテムの約束,③事務補給品,事務機器を即座に購入する消費者は, 値上げが差し迫っているとしても現行価格で購入し続けることができるとの表 示,④申し出られた商品の製造業者,供給業者についての不実表示,⑤宝石・ 貴金属,石油,ガスの採掘事業,油井,踏査用地の申し出。  イ 会社被告に対するもの  会社被告は,活動を停止しているが,いかな る種類であれ将来テレマーケティングを行うのが禁止されることに合意した。  (2)その他の事件  貴金属等を手段商品とする投資に関するテレマーケティング詐欺事件(グル         6) 一プ・アメリカ事件)においては,個人被告(被告会社の役員)が,すべての テレマーケティング活動を18か月間,投資を含むテレマーケティング活動を5 年間,手段商品を含むテレマーケティング活動を7年間,行うのが禁止された。  また,貴金属を手段商品とする投資に関する別のテレマーケティング詐欺事       7) 件(ユニベスト・ファイナソシャル・サービシーズ事件)では,次のように, 個人被告のテレマーケティング活動が制約された。すなわち,被告会社の社長 であるHは,あらゆる形態の投資テレマーケティングを2年間,信用供与を伴 わない貴金属への投資のテレマーケティングを5年間,信用供与を伴う貴金属 への投資のテレマーケティングを永久に,行うのが禁止された。他方,被告会 社のセールス・マネージャーであるZは,いかなる投資商品であれ,7年間, 電話を通じてマーケティングするのが禁止された。もっとも,次の条件が満た される限りで,規制されている先物・証券産業における投資商品を電話販売す ることは,テレマーケティングの禁止に対する例外として許された。すなわち, それらが,全国先物取引業協会または全国証券業者協会が発行した正当なライ センスをもっており,かつそのテレマーケティング活動がそのライセンスの範 囲内で行われているという条件である。 6) Group America, lnc., et al, [1987−1993 Transfer Binder] Trade Reg. Rep. g 23,042 (1991). 7) Uni−Vest Financial Services, lnc., et al, [1987−1993 Transfer Binder] Trade Reg. Rep. gg 22,683 (1989), 23,020, 23,076 (1991).

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86  彦根論叢 第291号 IIIテレマーケッター等による供給・支援を問題とする事件  詐欺的なテレマーケッター等は,それ自身の詐欺的な仕組みを運用するだけ ではなく,他のテレマーケッターに供給したりそれを支援したりする場合があ る。この場合,供給・支援それ自体が問題とされることがある。ここでは,賞 品を販売促進手段とする一連のテレマーケティング詐欺事件を取り上げ,問題 状況を明らかにする。  ① パイオニア・エンタープライジーズ事件  本件で被告とされたのは,6つの会社と2人の個人(1つまたは複数の被告         8} 会社の役員)である。  (a)問題とされた行為  遅くとも1988年から,被告は,消費者に対して一 方的な電話をしたり通知を郵送したりして,高級車,現金,宝石またはハワイ 旅行のような価値ある賞品を消費者が勝ち取ったと述べた。消費者がその通知 に応じたとき,被告は,数多くの虚偽かつミスリーディングな陳述を行って, 消費者が,数百ドルから数千ドルにわたる価格(授与されるのが典型的である 賞品の価値をはるかに超える価格)で,ビタミン,浄水器,その他の商品を購 入するよう勧誘した。  被告は,また,類似の仕組みに従事している他のテレマーケッターにサービ スを提供していた。そういったサービスには,マーケティング,注文品の出荷, クレジットカードのプロセシング,顧客サービスが含まれていた。  (b)訴訟の推移  1992年7月,連邦取引委員会は,その訴状を連邦地方裁 判所に提出した。裁判所は,即座に,被告が賞品による販売促進の仕組みを欺 隔的に運用するのを禁止し,かつ被告の資産のすべてを凍結する一方的緊急差 止命令を行った。同年12月,すべての被告は,当該仕組みに関連する連邦取引 委員会の三二を和解で解決することに合意した。  (c)命令  他のテレマーケッターに対する供給・支援に関連するものとし 8)以下の叙述は,Pioneer Enterprises, Inc., et al,[1987−1993 Transfer Binder]Trade Reg. Rep.§§23,237,23,292(1992)に依拠した。

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 〈研究ノート〉テレマーケティング詐欺に対する連邦取引委員会の戦い(その2)  87 て,次のようなものがある。  ①被告は,他のテレマーケッターと取引するに当たって,ファクタリング (商人勘定をもたない他の会社の顧客からのクレジットカード取引をプロセス するために,被告名義の商人勘定を用いること)を行ったり,本件命令に違反        9) する行為を他の者が行うのを故意に常助したりしてはならない。  ②被告は,次のことを決定するために,取引可能性がある,テレマーケテ ィングを業とするクライアントをチェックしなければならない。すなわち,そ の製品・サービス・勧誘用アイテムの性質はどのようであるか,それが行って いる主張は真実であるか,そのビジネス慣行は本件命令に違反しているかどう か。  ③被告は,そのためにテレマーケティング,業務遂行サービス(他のテレ マーケッターが製品を販売するのを助けるために,被告が提供するサービスで, 勧誘物の郵送,電話販売台本の提供,勧誘用の賞品の申し出・提供,クレジッ トカードの請求伝票のプロセシングの手配を含む。)を行っているすべてのクラ イアントから,署名入りの契約書を得なければならない。この契約においては, クライアントは,被告であるテレマーケッターが従うことを要求される行為の 禁止,開示の要求に従うことが要求される。  ④被告は,そのクライアントのビジネス慣行をモニターしなければならな い。そして,被告は,18か月間に3度本件命令に違反する被雇用者を解雇しな いクライアントとの関係を終結しなければならない。加えて,被告は,そのク ライアントについでそれが受け取る消費者苦情を調査しなければならない。そ して,本件命令に違反していると知るに至るクライアントに対しては,2年間, サービスを提供するのが禁止される。  ⑤被告は,他のマーケッターに売却する顧客リストに,連邦取引委員会が 与える名前を「ばら蒔く」ようにしなければならない。そこで,連邦取引委員 会によって名前を挙げられた者は,被告の将来のクライアントが拡布する勧誘 9)ファクタリングの禁止を命じた事件として,他に,Vaughn Management, Inc., et al, [1987−1993Transfer Binder]Trade Reg. Rep.§§22,700(1989),23,045(1991)がある。

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88  彦根論叢第291号 物のコピーを受け取ることになり,連邦取引委員会は,それらが本件和解を遵 守しているかいなかを決定することができる。また,被告は,それが勧誘者リ ストを提供する第三者の名前を連邦取引委員会に告げなければならない。  ② その他の事件       10)  デニー・メーソン事件では,被告(8つの会社と9人の個人(被告会社の役 員))は,他の者が,賞品,それを受け取る蓋然性・条件,返金を得る消費者の 資格について不実表示するテレマーケティングの仕組みを運用するのを支援す ることが禁止された。  また,被告は,クライアントが,本件命令の条項を遵守しているかいなかを モニターし,違反しているクライアントにサービスを提供するのをストップす ることが要求された。       11)  他方,シエラ・パシフィック・マーケティング事件では,被告(3つの会社 と3人の個人(被告会社の役貝))は,他の者が運用するのを支援するテレマー ケティングのプログラムに関連して,次のことを行うのが禁止された。①重要 な事実(例えば,販売されている製品・サービス,購入の勧誘として申し出ら れる勧誘用アイテムの価値・性質)について不実表示すること,②注文された アイテムおよびそれと結びついた勧誘用アイテムを受け取る前に,テレマーケ ティングの顧客を再び勧誘すること。  また,被告は,一定の状況のもとで他のテレマーケッターを支援するとき, 次のことを要求された。すなわち,①本件命令を遵守する旨のクライアントの 合意を得ること,②クライアントとして受け入れる前だけではなく,受け入れ た後も継続的に,そのマーケティング・プログラムについて妥当な評価を加え      , ること。 10) Denny Mason (File No.922 3215) ; Sierra Pacific Marketing, lnc.(File No.922  3368), [1987−1993 Transfer Binder] Trade Reg. Rep. g 23,336(1993)/ Denny Mason, et  al, 5 Trade Reg, Rep. g 23,597(1994). 11) Denny Mason (File No.922 3215) ; Sierra Pacific Marketing, lnc.(File No.922  3368), supra note(10)/ Sierra Pacific Marketing, lnc., et al, 5 Trade Reg. Rep. g 23,  555(1994).

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〈研究ノート〉テレマーケティング詐欺に対する連邦取引委員会の戦い(その2)  89 被告は,さらに,元の顧客の情報を第三者に提供することが禁止された。 IV サプライヤー等による供給・支援を問題とする事件  テレマーケティングのボイラー・ルームのサプライヤーは,テレマーケッタ ーに対して商品を供給するだけの存在ではない。むしろ,それは,ボイラー・ ルームのネットワークを育成・維持する存在であると見た方がよい場合がある。 ここでは,①マイテル・インターナショナル事件,②レアー・コインズ・オブ ・ジョージア事件,③エー・エフ・エス事件,④プロモーション・スペシャリ スツ事件を取り上げ,この点を明らかにするとともに,サプライヤー等の責任        12) がどのように追及されたのか,紹介する。  ①,②はともに,卸売業者の性格がどちらかといえば強いサプライヤーにか かる事件である。①ではサプライヤーが自ら直接販売をもしているのに対し, ②ではしていないという点で,両者には違いがある。他方,③,④は,ボイラ ー・ 求[ムのトータルな提供者と呼ぶのがふさわしいサプライヤーにかかる事 件である。③ではサプライヤーが自ら直接販売をもしているのに対し,④では していないという点で,違いがある。  (1)マイテル・インターナショナル事件       13)  本件で被告とされたのは,1つの会社と2人の個人である。被告会社マイテ ル・インターナショナルは,小企業,非営利機関に対して複写機補給品を直接 販売することもしていたが,電話のボイラー・ルームを経営する販売会社を通 じて販売していた。他方,個人被告のうちMは,被告会社の社長,オーナーで あり,Fは,顧客サービス担当マネージャー(前副社長)であった。ここでは, 被告のサプライヤーとしての役割に着目する。  (a)問題とされた行為  被告会社は,電話のボイラー・ルームを経営する 12)なお,テレマーケッターとサプライヤーの両者による供給・支援を問題とする事件とし  て,LoPinto et al,5Trade Reg. Rep.§23,411(1993)がある。 13)以下の叙述は,Mytel International, Inc., et al,[1987−1993 Transfer Binder]Trade  Reg. Rep.§§22,481(1987),22,620(1988),23,017(1991)に依拠した。

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90  彦根論叢 第291号 販売会社のネットワークを通じて,複写機補給品を欺隔的に販売した。この点, 被告会社と協働する販売会社は,全国の小企業,非営利機関に対して電話で補 給品を販売するに当たり,繰り返し不実表示を行った。他方,被告会社は,こ れらの慣行を公然と認めたり,大目に見たり,支援したりした。  (b)訴訟の推移  1987年10月,連邦取引委員会は,連邦地方裁判所に訴訟 を提起した。1988年11月になって,被告(Fを除く。)は,連邦取引委貝会の問 擬を和解で解決することに合意した。  (c)命令  1つに,被告会社は,複写機または事務補給品の販売において, とりわけ次の陳述を含む不実表示をすることが禁止された。①被告会社または その販売会社が,購入者の正規の供給業者,サービス業者,機器製造業者を代 理しているとか,それらと提携している,②被告会社の価格は,複写機補給品 の購入者が通常支払う価格またはその他で利用可能な価格と同一であるか,そ れ以下である,③製品のための小計額が,消費者が請求される価格の総額であ る。  2つに,被告会社は,上記のような不実表示をしたり,その他同意命令に違 反したりする会社と故意に事業を行ってはならない。また,そのような違反を 通じて獲得された注文のために配送をしたり,代金を徴収したりしてはならな い。  3つに,被告会社とそれが用いる販売会社は,注文の勧誘・確認に当たり, 名称と住所を明らかにしなければならず,また,製品の価格,数量,製造業者 に関する広範な開示をしなければならない。  4つに,被告会社は,顧客への各送り状の記載に,次の権利を差し延べる目 立つ開示を含めなければならない。すなわち,送り状の受領から3事業日以内 であれば,注文を取り消して商品を返還することができる無条件の権利。  5つに,被告会社とMは,取引を行う販売会社すべてに対して,同意判決に ついて通知しなければならない。また,被告会社は,それが取引する会社によ る命令違反を明るみに出すべく企図された,プログラム(抜き打ち検査のシス テム)を設定しなければならない。

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 〈研究ノート〉テレマーケティング詐欺に対する連邦取引委員会の戦い(その2)  91  (2)レアー・コインズ・オブ・ジョージア事件       14)  本件で被告とされたのは,2つの会社と2人の個人である。被告会社は,レ アー・コインズ・オブ・ジョージア(以下,「RCG」という。)とインディペ ンデント・グレーディング・アソシエーツ(以下,「IGA」という。)であっ た。RCGは全国のテレマーケッターにコイン(主としてモルガン銀貨)を販 売しており,IGAはコインにグレード付けをし,グレード評価証明書(RC Gが販売するコインと一緒にテレマーケッターに販売されるもの)を発行して いた。他方,個人被告の1人はRCGの社長であり,もう1人は, IGAの社 長であるとともにRCGの秘書であった。  被告会社は,機能上一対の関係にあり,少なくとも16の全国的なテレマーケ ティングのボイラー・ルームの主要なサプライヤーであった。  (a)問題とされた行為  被告は,テレマーケッターに販売するグレード評 価証明書において,コインのクオリティーを誇張した。この点,IGAは,コ イン1枚当たり12ドル50セントから13ドル50セントの料金で,コインはグレー ドが高く投資に適していると述べるグレード評価証明書を発行した。他方,R CGは, IGAのグレード評価証明書と一緒に,コインのクオリティーを問わ ずに固定価格(典型的には1枚約75ドル)でコインをテレマーケッターに販売 した。かくして,テレマーケッターは,優れた投資としてコインを販売促進す るために証明書を利用し,1枚当たり約250ドルから400ドルで消費者にコイン を再販売するに及んだ(消費者のコインに対する典型的な投資は,約1,500ドル から5,000ドルであった。)。しかし,専門家によれば,コインは,20ドルから60 ドルの価値しかなかった。  また,訴状によれば,被告は,その小売業者が,過大にグレード付けされた コインを公衆に販売するのを援助した。 14)以下の叙述は,Rare Coins of Georgia, Inc., et al,[1987−1993 Transfer Binder]Trade  Reg. Rep.§§22,497(1987), 22,628(1988)に依拠した。なお,稀少コインの卸売と評価にか  かる類似の事件として,Heritage Capital Corp.,[1987−1993 Transfer Binder]Trade  Reg. Rep.§22,706(1989)がある。

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92  彦根論叢第291号  (b)訴訟の推移  1987年12月,連邦取引委員会は,連邦地方裁判所に訴訟 を提起した。その後,裁判所は,一方的緊急差止命令および資産凍結を求める 委員会の要請を受け入れた。1988年12月になって,被告は,連邦取引委員会の 問擬を和解で解決することに合意した。  (c)命令  被告は,コインが特定のグレードであると不実表示することが 禁止された。もっとも,コインが当該産業の現行の基準に従ってグレード付け された場合は,その限りでない。  また,被告は,次の事実を不実表示することが禁止された。すなわち,被告 が販売するコインまたはその他の投資を購入するかどうかの消費者決定にとっ て重要な事実である。  (d)本件の評価  連邦取引委員会の消費者保護局の次長は,次のように述 べた。「本訴訟を通じて,我々は,問題の根源,すなわちサプライヤーを根絶し ようとしている。」「本件における問題発生源,すなわちサプライヤーを根絶す ることによって,委員会は,阻止されないままであれば消費者に数百万ドルを 失わせることとなった可能性のある全国的な詐欺を中止させることができた。」  ③ エー・エフ・エス事件  本件で被告とされたのは,2つの会社(リストワールド,エー・エフ・エス)         15) と3人の個人である。被告会社のうち,リストワールドは,リストの管理・仲 買会社であった。他方,個人被告のうちKは,両被告会社の社長であるととも にエー・エフ・エスの共同オーナーであり,Cは,エー・エフ・エスの共同オ ーナー,副社長であるとともにリストワールドの業務担当副社長であり,Wは, エー・エフ・エスの共同オーナー,秘書兼経理部長であった。  被告は,ビザやマスターカード上の残高が多いか,クレジットを得るのが困 難iな消費者に対して,2つのクレジット関連のパッケージ(低利のクレジット カードのパッケージと「クレジット・トゥデー」と称するパッケージ)を直接 販売していた。被告は,また,テレマーケッターをリクルートし,全国の数多 15)以下の叙述は,AFS, Inc., et al,[1987−1993 Transfer Binder]Trade Reg. Rep。§§22,  986,23,101(1991)に依拠した。

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 〈研究ノート〉テレマーケティング詐欺に対する連邦取引委員会の戦い(その2)  93 くのテレマーケティングのボイラー・ルームが当該パッケージを販売するのを 支援していた。ここでは,被告のサプライヤーとしての役割に注目する。  (a)問題とされた行為  被告は,電話を除き,パッケージを販売するのに 必要なすべてのもの(消費者に郵送する葉書,郵送先リスト,業務遂行サービ ス,電話販売台本を含む。)をテレマーケッターに提供した。加えて,被告は, 消費者の支払いをテレマーケッターが徴収するための種々の手段(900電話番 号,ファクタリング,小切手勘定自動引き落としシステムの利用を含む。)を提 供したり,手配したりした。  被告は,そのマーケティングの努力の過程で種々の虚偽かつ丁丁的な陳述を 行っており,その陳述がテレマーケッターによって繰り返されることを知る理 由があった。例えば,被告とそのテレマーケッターは,虚偽に次のように主張 した。すなわち,それらは金融機関と提携しており,しかもターゲットとされ た一定の消費者が低利のクレジットカードを受け取る資格があるということを 知っていた。  しかしながら,約束されたクレジットの替わりに,そのパッケージを購入し た消費者は,単に基礎的な消費者情報と,低利のクレジットカードを申し出て いる銀行のリストとを含むパッケージを受け取ったにすぎない。  加えて,返金を約束された消費者の多くは,返金を受けることはなかった。  (b)訴訟の推移  1991年5月,連邦取引委貝会は,連邦地方裁判所に訴訟 を提起した。即座に,連邦取引委貝会は,申し立てられた欺隔的慣行を中止さ せる一方的緊急差止命令を得た。また,裁判所は,連邦取引委員会の要請で被 告の資産を凍結した。その後,被告は,類似の条項をもつ暫定的差止命令に合 意した。そして,同年11月に至り,被告(なお,Wに対する問擬は取り下げら れた。)は,連邦取引委員会の問擬を和解で解決することに合意した。  (c)命令  被告全員に対しては,次のことが命じられた。①本件訴状にお いて申し立てられた不実表示を行ったり,他の者が行うのを支援したりしては ならない,②販売する製品・サービスに関連して,重要な事実を不実表示した り隠蔽したりしてはならない,③消費者のクレジットカード番号を含む,郵送

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94 彦根論叢第291号

先リスト・電話リストを販売してはならない,④最初に,また,クライアント であるテレマーケッターとの関係が継続する間は恒常的に,サービスを提供す るテレマーケッターによってなされる表示の性質を決定しなければならず,ク ライアントが欺隔的な行為または慣行を行っている場合には,それに対するサ ービスを即座にストップしなければならない。  また,Kは,テレマーケティング事業を直接に行うのが永久に禁止された。  (4)プロモーション・スペシャリスツ事件  本件で被告とされたのは,1つの会社と4人の個人(被告会社のオーナー)   16) である。  (a)問題とされた行為  被告は,個人がテレマーケッターになるよう勧誘 し,テレマーケティング経営の開設を支援し,テレマーケッターに包括的なサ ービスを提供した。そういったサービスには,次のようなものが含まれていた。 ①消費者が賞品を勝ち取ったと告げる葉書・手紙を用意し,消費者に郵送する こと,②その賞品を受け取るために消費者が電話をかけてきたときに使用され る販売台本をテレマーケッターに提供すること,③賞品や,消費者がテレマー ケッターに注文する商品を供給・配送すること。  被告の葉書は,受取人が,二百ドル超の価値ある賞品を受け取るべく選ばれ たと表示していた。被告は,次のことを知っていたか,知るべきであった。① 葉書の受取人が,賞品を受け取るべく選ばれたのではないこと,②消費者は, その賞品を入手する前に,約300ドルの価値の,高値を付けられた商品(ビタミ ン,浄水器,旅行証書)を購入しなければならないこと。また,被告は,消費 者が入手可能な賞品は,リストに掲載された賞品のうちの最安価のものだけで あるということを知っていた。  実際にも,被告によって支援されたテレマーケッターは,葉書・手紙を受け 取った消費者に対して,頻繁に,多種多様な不実表示を行った。そういった不 実表示には,次のようなものが含まれていた。①賞品や,販売目的の商品の価 16)以下の叙述は,Promotion Specialists, Inc.,[1987−1993 Transfer Binder]Trade Reg.  Rep.§§22,853(1990),23,021(1991)に依拠した。

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 〈研究ノート〉テレマーケティング詐欺に対する連邦取引委員会の戦い(その2)  95 値を誤って述べること,②商品を返還して全額払戻を受けることができると虚 偽に主張すること,③実際には,勘定の借方に記入するために用いられるのに, 消費者のクレジットカード番号を確認目的と偽って求めること。  被告は,テレマーケッターがこれらの不実表示をしたことを知っていたか, 知るべきであった。それにもかかわらず,被告は,報酬のために,テレマーケ ッターに追加のサービスを提供した。そういったサービスには,次のようなも のが含まれていた。①賞品や商品を購入して,消費者に配送すること,②消費 者へのクレジットカード請求をテレマーケッターのためにプロセスしてくれる, クレジットカード勘定をもつ商人を捜し出すこと,③商品を注文したというこ とを否認したり商品や賞品が不実表示されたと述べる,多くの消費者からの苦 情とともに,消費者が返還する商品を受け取ったり処理したりすること。  (b)訴訟の推移  1990年6月に,連邦取引委員会は,連邦地方裁判所に訴 訟を提起した。被告は,次のことによって,連邦取引委員会法に違反したとさ れた。①不公正な行為または慣行を直接にまたは間接に行った,②不実表示を 用いるテレマーケッターと協働したり,承知の上でそれを実質的に支援したり した,③不公正または欺隔的な行為または慣行の遂行のための手段をテレマー ケッターに提供した。同年7月,裁判所は,会社資産を凍結する一方的緊急差 止命令を行った。その後,1991年7月,被告は,連邦取引委員会の下闇を和解 で解決することに合意した。  (c)命令  他のテレマーケッターに対する供給・支援に関連するものとし て,次のようなものがある。  1つに,被告は,どのような業務遂行サービス,テレマーケティングであれ, それと関連した不実表示を行うのが禁止された。不実表示には,次のことに関 するものが含まれた。①重要な事実,②賞品を受け取るための条件すべてを開 示しない,消費者が無料の賞品を勝ち取ったとの主張,③製品の品質・価値, その特徴・地理的出所,その規格・型式の特別性,④交通費,滞在費その他の 費用を消費者が支払わなければならないことを開示しない無料の旅行・バケー ションの利用可能性。

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96  彦根論叢 第291号  2つに,被告は,テレマーケッターと取引関係を結ぶ前に,また結んだ後は 恒常的に,テレマーケッターが本件命令によって禁止された不実表示を行って いないということを確実にするために,相当の手段を講じることが要求された。 そういった手段には,広告・販売台本・マニュアルの審査,消費者苦情のモニ ター・調査が含まれた。そして,被告は,そういった不実表示を行い続けるク ライアントに対してサービスを提供するのを中止することが要求された。 V その他の常助者による支援を問題とする事件  サプライヤー以外の者も,詐欺的なテレマーケッターを支援する場合,その 責任が追及され得る。ここでは,エレクトロニック・クリアリング・ハウス事       17) 件の紹介を通じて,問題状況の一端を明らかにする。  ところで,本件では,常助者に対する訴訟は,テレマーケッター等に対する 訴訟と並行して提起されている。そこで,まず,テレマーケッター等に対する 訴訟について述べる。そして,その後,出前者に対する訴訟について述べる。  (1)テレマーケッター等に対する訴訟  連邦取引委員会は,①1992年7月にパイオニア・エンタープライジーズ等に 対して,②1993年2月にシエラ・パシフィック・マーケティング等とレガシー ・アンリミティド等に対して,③1993年6月にフィットネス・エクスプレス等        18) に対して,訴訟を提起した。各々の訴訟において,連邦取引委直会は,テレマ ーケッターが,価値ある賞品を勝ち取ったと消費者に虚偽表示をし,それに続 き,化粧品,ビタミン,「環境にとって安全な」洗浄剤,浄水器,その他の製品 を消費者に購入させるために多様な表示を用いたと問擬した。  このうち,パイオニア・エンタープライジーズ等は1992年12月に,シエラ・ パシフィック・マーケティング等とレガシー・アンリミティド等は,1994年4 17)以下の叙述は,Electronic Clearing House, Inc.,5Trade Reg. Rep.§23,517(1993)に依  拠した。 18)①については,前述III(1)で紹介した。②については前述III(2)を,③については注(12)の 事件を参照されたい。

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 〈研究ノート〉テレマーケティング詐欺に対する連邦取引委貝会の戦い(その2)  97 月に,連邦取引委員会の訴訟を和解で解決することに合意した。他方,フィッ トネス・エクスプレス等に対する訴訟は,係属中である。  (2)甜助者に対する訴訟  (a)幣助者のビジネス  エレクトロニック・クリアリング・ハウス(以下, 「ECHO」という。)は,独立サービス組織(以下,「ISO」という。)であ り,クレジットカード組織(例えば,ビザ,マスターカード)のメンバーであ る銀行と,顧客からクレジットカードによる支払いを受け入れる商人(テレマ ーケッターを含む。)との間で,仲介者として行為する会社である。ECHO は,商人たるそのクライアントのためにクレジットカードによる販売をプロセ スし,クライアントがクレジットカードによる販売を利用しやすい現金へと変 えるのを可能にする。そして,そのサービスのために,プロセスされたクレジ ットカードによる販売の一定のパーセンテージをクライアントに請求する。  また,ECHOは,しばしば,商人たるそのクライアントをモニターしてお り,クライアントから生じる損失はどのようなものであれ,銀行に補償してい る。  (b)テレマーケッターとのかかわり  1992年3月以降,テレマーケッター は,ECHOのクレジットカード・プロセシング事業量の大きなパーセンテー ジを生み出してきた。テレマーケティング産業における高い入金取消しの危険

を所与とすれば,テレマーケッターは,ECHOのようなISOを頼る。とい

うのは,ISOの援助がなければ,それらは,しばしば,銀行に商人勘定を得 ることができないからである。ECHOは,テレマーケティングを行っている クライアントから生じる損失を銀行に補償してきたので,さもなくば勘定を得 ることができなかったと思われるテレマーケッターが,クレジットカードのプ ロセシングのシステムにアクセスするのを可能にしてきた。ECHOは,また, テレマーケッターに,技術的な援助やアドバイスを提供した。  (c)問題とされた行為  ECHOは,次のことを知っていたか,知るべき であったにもかかわらず,種々のテレマーケッター(パイオニア・エンタープ ライジーズ,シエラ・パシフィック・マーケティング,レガシー・アンリミテ

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98  彦根論叢 第291号 イド,フィットネス・エクスプレスを含む。)に対して,これらの基本的なサー ビスを提供した。すなわち,これらのテレマーケッターが,賞品による販売促 進において申し出られる賞品の価値,主要な賞品を消費者が受け取る蓋然性, その販売促進の条件,返金を得る消費者の資格を不実表示するような,一定の 欺隔的慣行を行っていたということである。  ECHOがこれらのテレマーケッターのためにクレジットカードによる取引 をプロセスしていた間,それは,また,それらのビジネスの会計監査を行って おり,それらの販売,顧客サービス,確認の各部門を規則的にモニターしてお り,時には,それらの高い入金取消し率をいかに減少させるかについてそれら に助言した。そこで,ECHOは,これらの機能を遂行する間に,そういった 欺隔的な販売慣行に気づくようになっていたか,気づくようになるべきであっ た。それにもかかわらず,ECHOは,これらのテレマーケッターに,クレジ ット・プロセシングのサービスを提供し続けた。したがって,ECHOは,テ レマーケッターが,それらの不公正かつ欺隔的な仕組みを運用するのを帯即し た。  (d)訴訟の推移  1993年12月,ECHOは,連邦取引委員会の問擬を和解 で解決することに合意した。  (e)命令  1つに,ECHOは,賞品による販売促進を行っているテレマ ーケッターを支援することが永久に禁止された。また,それは,次のようなテ レマーケッターを支援することが永久に禁止された。すなわち,①消費者に対 して虚偽またはミスリーディングな陳述を行っているということを知っていた か,知るべきであったテレマーケッター,②取引の条件・状態のすべてを開示 しないテレマーケッター,である。その条件・状態には,接触の目的が販売提 案であるということ,被ることとなる追加的なコスト,賞品となるアイテムの 妥当な小売価値(尋ねられ,る場合のみ),返金ポリシーが含まれた。  2つに,テレマーケッターのクレジットカード取引が1月当たり総計で3万 ドル以上になるなら,ECHOは,それが取引を開始しようとしているテレマ ーケッ二一とならんで,テレマーケッティングを行っているクライアントの月

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 〈研究ノート〉テレマーケティング詐欺に対する連邦取引委員会の戦い(その2)  99 ごとの調査を行うよう要求された。その調査には,次のことについての評価が 含まれた。①用いられる広告,販売台本,販売促進資料,②消費者に請求され る価格を含む,製品または勧誘用アイテムの性質,③消費者に対するロ頭によ る表示の真実性および正確性,④注文を確認するために,また,販売および顧 客の苦情をモニターするためにテレマーケッターが採る手段,⑤テレマーケッ ターが受け取る苦情,およびそれらの苦情が迅速に解決されてきたかどうか, ⑥クレジットカードの月ごとの入金取消し率,⑦テレマーケッターが,連邦ま たは州の法施行機関によって調査されてきたかどうか。  そして,ECHOは,その調査が完了するまで,テレマーケッターのために クレジットのプロセシングを開始することができない。調査によって,そのテ レマーケッターが,本件同意判決で禁止された欺隔的な慣行のいずれかを行っ ていることが立証されるなら,ECHOは,そのテレマーケッターと取引を行 うのを即座にストップしなければならない。  なお,テレマーケッターが,1月当たり,クレジットカード取引において3 万ドル未満をプロセスしているにすぎないなら,ECHOは,そのテレマーケ ッターが,本件同意判決によって禁止された欺隔的慣行を行っているかどうか を発見すべく企図された,質問状を送付しなければならない。そして,そのテ レマーケッターが書面による回答を提出しなければ,それと事業を行うのが禁 止される。 VI まとめ  以上の紹介から明らかになるのは,次のことである。第1は,詐欺的なテレ マーケッターや,詐欺的なテレマーケティングを行っている会社の役員は,将 来テレマーケティングを行うのが禁止され得るということである。また,重要 な役割を果たしているセールスマンは,事実上,将来詐欺的なテレマーケティ ングに従事するのが禁止され得るということである。禁止の期間は,無限の場 合もあるし有限の場合もある。また,テレマーケティングの活動内容によって も異なってくる。この点,決め手となるのは,詐欺的なテレマーケッター等が,

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100 彦根論叢第291号 どういつだ活動を行っているかである。  第2は,詐欺的なテレマーケッターや,詐欺的なテレマーケティングを行っ ている会社の役員は,他の詐欺的なテレマーケッターに供給したりそれを支援 したりするのが禁止され得るということである。他方,詐欺的ではないテレマ ーケッターへの供給・支援は許容されるが,その場合でも,当該テレマーケッ ターの活動が適正なものとなるようにするために,種々の行為を行うよう要求 され得るということである。要求される禁止の内容や行為の内容は,次のよう な要因に依存して種々である。すなわち,詐欺的なテレマーケッター等がそも そもどういつだ活動を行っているのか,詐欺的なテレマーケッター等がどうい つだ供給・支援を行っているのか,供給・支援を受けているテレマーケッター がどういつだ活動を行っているのか,である。  第3は,詐欺的なテレマーケッターの背後にいる三助者は,その責任が追及 され得るということである。このことは,幕助者がサプライヤー等である場合 だけではなく,その他の者である場合も同様である。  この点,サプライヤーは,大きく,卸売業者の性格が強い者と,ボイラー・ ルームのトータルな提供者と呼ぶのがふさわしい者に二分できる。しかし,い ずれに対しても,一定の行為の禁止が求められたり,種々の行為を行うことが 要求され得る。その内容は,供給・支援を受けているテレマーケッターの活動 にも依存するが,テレマーケッターに対する供給・支援を含めて,サプライヤ ー等がどういつだ活動を行っているのかによって決まってくる。  他方,サプライヤー以外の者に対しても,一定の行為の禁止が求められたり, 種々の行為を行うことが要求され得る。その内容は,同様に,幣助者の活動等 によって決まってくるということができる。  テレマーケテ4ング詐欺の根絶までの道のりはなお遠いが,本稿で紹介した ような連邦取引委員会の戦いは,それに向けての大きな一歩として,高く評価 することができる。

参照