第第第第1111章章章章 序論序論序論序論
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(2) 第1章. 序論. 処理費および および維持管理費 処理費 および維持管理費. 費用 億円 億円/ /年. 15,000. 高め安定 10,000 人件費 5,000 委託費 H4. H5. H6. H7. H8. H9. H10. 増加中 H11. H12. H13. H14. H15. 年度. 図 1.2 1.2 ごみ焼却施設 ごみ焼却施設の 焼却施設の費用 2) このような状況下、図 1.3 示すように、ごみ(一般廃棄物)は、毎年、5,000 万トン以 上、排出され続けており、例えば平成 17 年度には、およそ 5,300 万トンが排出された。 これに対し、図 1.4 のように、ごみや灰を埋立てる最終処分場の残余容量は減り続けて おり、平成 17 年度末時点で、残余年数は、およそ 14 年となっている。産業廃棄物は、 図 1.5 および図 1.6 のようにさらに深刻であり、最終処分場の残余年数は、わずか 7.2 年と極めて厳しい状況にある。このように枯渇性希少資源である最終処分場の逼迫が大 きな問題となり、さらに灰中ダイオキシン問題も無視できない状況となった。. 5,3 300万 万トン 万 トtン ごみ排出量 万. 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0. H6. H8. H1 0. H1 2. H1 4. H1 6 H17 H17. 図 1.3 1.3 ごみ排出量 ごみ排出量( 排出量(一般廃棄物) 一般廃棄物)3). 1-2.
(3) 第1章. 残余年数 14 4年. 180. 残余容量 百万 百万m 3. 序論. 160 140 120 100 80 60 40 20 0. H6. H8. H10. H12. H14. H16 H17 H17. 図 1.4 最終処分場残余容量( 最終処分場残余容量(一般廃棄物) 一般廃棄物)3). t 万 トン ごみ排出量 万. 4.15億 億トン 50000 45000 40000 35000 30000 25000 20000 15000 10000 5000 0. H6. H8. H1 0. H1 2. 17 H1 6 H H17 H17. H1 4. 図 1.5 ごみ排出量 ごみ排出量( 排出量(産業廃棄物) 産業廃棄物)4). 残余年数 7.2年 年. 残余容量 百万 百万m3. 250 200 150 100 50 0. H6. H8. H10. H12. H14. H16 H17 H17. 図 1.6 1.6 最終処分場残余容量( 最終処分場残余容量(産業廃棄物) 産業廃棄物). 1-3. 4).
(4) 第1章. 序論. これらを解決する手段として、ダイオキシンを高温で分解するとともに、灰を溶融固 化(スラグ化)し、そのスラグを路盤材や埋め戻し材等として再利用することにより、 埋立空間を不要化する手段として廃棄物の高温溶融技術が脚光を浴び、各社は技術開発 および技術導入にしのぎを削ることとなった。そして、図 1.7 のように平成 18 年度末 には、全国で、170 施設が稼動するに至った。. 溶融施設数 溶融施設数. 170 施設 170施設 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0. H9. H1 1. 図1.3. H1 3. H1 5. H1 7. H18. 溶融施設数. 図1.7 溶融施設数 5). このような状況下、溶融施設を保有している自治体において、スラグ有効利用の動き が広がっている。平成 16 年度のエコスラグ利用普及センタ-デ-タ集によれば、平成 9 年度には、29 % であったスラグ有効利用率は、平成 14 年度には、47 % にまで増加 しており、スラグ有効利用は進んでいる。 このような中、スラグ有効利用のためのスラグの高品質化と燃費低減とのトレ-ドオ フの関係の中で苦悩する自治体も少なくない。 1.1.2. 従来の 従来の廃棄物高温溶融技術 廃棄物高温溶融技術. わが国における廃棄物高温溶融技術を、表 1.1 に示す。 (1)交流ア-ク式溶融炉 炉底のベ-スメタルと炉上部の黒鉛電極間にア-クを放電させて、メタル上の灰を溶 融する。オ-バフロ-により連続出滓する。溶融物の表面はできるだけスラグで覆い、 また、雰囲気は還元性にしておくことが炉材の保護のために重要である。また、塩類な ど溶融物から揮散する物質を煙道内面等に付着させないよう、急冷捕集して系外に除去 する等の配慮が必要である。 (2)電気抵抗式溶融炉 交流方式と直流方式とがある。電極を通してスラグに電流を流し、ジュ-ル熱(電気. 1-4.
(5) 第1章. 序論. 抵抗熱)により灰を溶融する。スタ-ト時にはメタル等の抵抗体を入れることが多い。 溶融は還元雰囲気で行われ、メタル層とスラグ層に分離される。スラグは連続または間 欠出滓、メタルは間欠出滓である。雰囲気や揮散物質などに対する留意事項は(1)交流 ア-ク式溶融炉と同じである。 (3)プラズマ式溶融炉 電極間にプラズマア-ク(高温のため電離したガス体をプラズマという)を飛ばし、 これを熱源として溶融する。プラズマガスとしては空気か窒素を用いる。プラズマト- チは金属性の水冷ト-チと黒鉛電極がある。水冷ト-チは熱損失が多いが、電極の寿命 が長い。黒鉛電極は消耗品であるが、冷却しないために熱損失は少ない。 表 1.1 従来の 従来の廃棄物高温溶融技術 5) 炉形式. 溶融炉形式. 灰溶融炉. 電気式. 分類 交流ア-ク式溶融炉 電気抵抗式溶融炉 プラズマ式溶融炉 誘導式溶融炉. 燃料燃焼式. 回転式表面溶融炉 反射式表面溶融炉 放射式表面溶融炉 旋回流式溶融炉 ロ-タリ-キルン式溶融炉 コ-クスベット式溶融炉 酸素バ-ナ火炎式溶融炉. ガス化溶融炉. ガス化溶融炉 一体方式 シャフト炉式溶融炉 分離方式 キルン式溶融炉 流動床式溶融炉 ガス化改質炉 一体方式 シャフト炉式溶融炉 分離方式 キルン式溶融炉 流動床式溶融炉. (4)誘導加熱炉 炉の周囲に巻かれた誘導コイルに低周波(交流)電流を流し、炉内の鉄やメタルに渦 電流を起こす。その渦電流のジュ-ル熱により灰を溶融する。損耗する電極類はない。 コ-クスその他の燃料と適量の酸素を入れれば、これによって加熱が行われ、電力を低 減することができる。スラグは連続的に出滓され、金属類は炉内のメタル層に取り込ま れる。 (5)回転式表面溶融炉 縦型の外筒が回転し、円筒内に灰を連続供給し、内筒上部のバ-ナで焼却灰の表面を 加熱し溶融する。排ガスを下方に抜き、出滓口を加熱することにより、出滓を円滑に行 ている。. 1-5.
(6) 第1章. 序論. (6)反射式表面溶融炉 バーナ燃焼火炎からの放射熱により灰を表面から溶融する。排ガス流れ方向と、出滓 方向とは一致している。 (7)放射式表面溶融炉 焼却灰とバ-ナ燃焼ガスとの向流接触により灰を表面から溶融する。連続的に出滓さ れる。 (8)旋回流式溶融炉 飛灰を空気とともに旋回させながら吹込み、バ-ナにより加熱溶融する。二次空気も 吹き込み、旋回燃焼を制御する。 (9)ロータリ-キルン式溶融炉 ロータリ-キルン内に設置されたバ-ナにより炉内に供給された灰を溶融する。ごみ から溶融する場合もある。炉内耐火材を保護するためにセルフコ-ティングという高度 な技術を要する。 (10)コークスベット式溶融炉 炉上部から焼却灰を供給し、周囲からコ-クスを投入して熱風を吹き込みコ-クスの 燃焼により灰を溶融する。塩基度調整のため、石灰石を投入する場合もある。 (11)酸素バ-ナ火炎式溶融炉 酸素バ-ナ火炎の中に灰を供給して溶融する。飛灰の溶融に主に使用される。出滓は オ-バフロ-により連続的に行われる。 (12)シャフト炉式ガス化溶融炉 炉頂からごみ、コ-クスおよび石灰石を投入し、炉下方より燃焼用空気を供給し、コ -クスの燃焼発熱により灰が溶融する。発生した排ガスにより投入したごみの熱分解を 行う。 (13)キルン型ガス化溶融炉 キルン内において高温空気によりごみを加熱して熱分解する。得られた残渣から金属 類を除去した後のチャ-が灰溶融炉に送られ、熱分解ガスとともに燃焼し、燃焼発生熱 が灰を溶融する。 (14)流動床式ガス化溶融炉 流動層を持つ熱分解炉において低酸素部分燃焼を行い、流動層から発生する可燃ガス とチャ-を溶融炉内で高温燃焼させ、灰を溶融する。金属等の不燃物は流動層下部より 砂とともに取り出され、分離される。 (15)シャフト炉式ガス化改質溶融炉 ごみを圧縮し、外部から加熱する脱ガス化チャンネルに送り、熱分解ガスと熱分解残 渣を生成する。熱分解残渣は熱分解炭素・灰分・金属物からなり、均質化炉に送られて 燃料ガスおよび酸素により分解炭素を高温燃焼させ、灰分と金属物を溶融させる。 (16)キルン式ガス化改質溶融炉. 1-6.
(7) 第1章. 序論. 前処理した廃棄物をロ-タリ-キルンに供給し、熱分解ガスと熱分解残渣とに分離す る。熱分解残渣は、金属を除き、溶融炉内で熱分解チャ-の燃焼熱により溶融される。 (17)流動床式ガス化改質溶融炉 ごみを流動床式ガス化炉に供給し、熱分解・ガス化して可燃ガスを生成させ、高温ガ ス化炉で改質した後溶融炉へ送り、空気を吹き込んで高温にして灰を溶融する。 1.1.3. 従来の 従来の廃棄物高温溶融技術が 廃棄物高温溶融技術が抱える問題 える問題. 灰溶融炉の例として電気抵抗式溶融炉および回転式表面溶融炉を、ガス化溶融炉の例 としてキルン式溶融炉を上げ、従来の廃棄物高温溶融技術が抱える問題を明らかにする。 (1)直流電気抵抗式溶融炉 概略図を図 1.8 に示す。 黒鉛電極 起動用電極 灰投入口 排ガス出口 ガス出口. 灰カバ- カバ-層 溶融スラグ 溶融スラグ層 スラグ層 出滓口. ベ-スメタル層 スメタル層. 炉底電極. 図 1.8 1.8 直流電気抵抗式灰溶融炉. 灰投入口より投入された焼却灰は天井から挿入された黒鉛電極と炉底電極との間 の放電により発生するジュ-ル熱により溶融し、出滓口より連続的に排出される。黒 鉛電極の酸化を防ぐため炉内は還元雰囲気に保たれており、酸素濃度は極めて低い。 従って、焼却灰中に未燃分が多く含まれていた場合、未燃分は燃え尽きないで溶融ス ラグ層上表面を浮遊し、堆積する。そして黒鉛電極と未燃分との間で異常放電が起こ る可能性がある。さらに焼却灰中に鉄分が多く含まれる場合、炉底でのメタル層の成 長が早くなり、メタルを抜出さなければならない頻度が高くなる。メタル抜出作業は 人力による作業であり作業員の負荷が増えるばかりでなく、この作業中、焼却灰を投. 1-7.
(8) 第1章. 序論. 入できないため、溶融処理量が減る。このため、灰中の鉄分が多いことは好ましくな い。 以上より、投入される焼却灰中の未燃分量割合および鉄分量割合は、ともに 10wt% 程度以下に抑える必要があるため、未燃分の多い焼却灰は投入できない。さらに鉄が 多い場合、事前に磁選機などで除去している場合もある。 (2)回転式表面溶融炉 概略図を、図 1.9 に示す。 外筒が回転する本溶融炉は、供給口から投入された焼却灰は炉内で傾斜灰層を形成 し、天井に取り付けられた主バ-ナ火炎からの放射熱により溶融し、スラグポ-トを. 主バーナ 灰供給口 主燃焼室 スラグ溜 スラグ溜り 煙道 スラグポ- スラグポ-ト 二次燃焼室. 図 1.9 1.9 回転式表面溶融炉 経て排出される。焼却灰中に鉄が多くなると溶融が困難になり、スラグポ-ト付近で メタルの固着および成長が起こり、閉塞を招く。また、灰粒子が大きくなると熱が灰 内部まで伝わるのに時間がかかり、溶融が困難になる場合がある。このため、投入で きる灰中鉄分量割合は、5wt% 程度に制限され、これより多い場合、事前除去が必要 となる。また灰粒子径は、最大粒径が 10 mm 程度に抑えられ、これより大きい灰は 事前に細粒化されて投入されるか、または埋立処分される。 (3)キルン式溶融炉 図 1.10 に外熱式ロ-タリ-キルンの概略図を示す。 事前に、100 mm 以下に破砕され、投入されたごみはロータリ-キルン内でキルン. 1-8.
(9) 第1章. 序論. 加熱ガスにより熱分解され、未燃分の多いチャ-となり、灰溶融炉側に送られ、溶融さ れる。この場合、投入されるごみの水分が多いと熱分解が困難になるため、事前に乾燥 される。さらに、ロータリ-キルンから排出されるチャ-の中に鉄分が多いと下流側の 灰溶融炉でトラブルの原因となるため、熱分解残渣取出装置にて除去され、残りのチャ -が灰溶融炉側に送られる。このように事前にごみの破砕や乾燥が必要であり、灰溶融 炉前で鉄分の分離が必要なため、システムが複雑になる。また、下流側に取り付ける灰 溶融炉の燃焼機能が弱い場合、灰溶融炉でチャ-が燃焼しきらず、スラグ中に未燃分が 混じり、再利用できない場合がある。. 1-8. 給じん装置. 熱分解ガス. キルン加熱ガス. キルン加熱ガス. ごみ. ロ-タリ-キルン. 溶融炉へ) チャー (. 図 1.10 1.10 外熱式ロ 外熱式ロ-タリ- タリ-キルン. 溶融不適物. 熱分解残渣 取出装置. 以上より一般廃棄物の排出・処理状況を踏まえ、従来技術が抱えている問題を整理す ると以下のようになる。 1)鉄やクリンカを事前に除去しなければならない場合があり、灰を全量溶融できない場 合がある。 2)品質によってはスラグが有効利用できない場合がある。 3)システムが複雑化および大規模化し、運転人員が増え、建設コストが増大している。 4)安定稼働およびスラグ品質確保のため燃費が悪化する。. 1-9.
(10) 第1章. 序論. 1.2 本研究の 本研究の目的 図 1.11 に技術開発目標を示す。 鉄やクリンカも含めた全量溶融を実現し安定したスラグ品質を確保するためには、灰 全量を完全に溶融する技術を確立する必要がある。 また、省力化および建設コスト低減を念頭においた小型シンプル化を行うためには、 灰溶融炉のコンパクト化および直結型焼却溶融システムの構築が必要である。 さらに燃費低減を行うためには、灰中未燃分による燃費低減技術を確立する必要があ る。 そしてこれらの成果を実機にて実現するためには実施設計手法の確立が必要であり、 実施設計ツ-ルの高精度化が必要である。. 克服すべき 克服すべき課題 すべき課題. 技術開発目標. 最終目標. 鉄やクリンカも クリンカも含めた全量溶融実現 めた全量溶融実現 全量を 全量を完全に 完全に溶融する 溶融する技術 する技術の 技術の確立 有効利用のための 有効利用のための 安定した したスラグ 安定 したスラグ品質 スラグ品質の 品質の確保 コンパクト化 コンパクト化 小型シンプル 小型シンプル化 シンプル化 (省力化および 省力化および建設 および建設コスト 建設コスト低減 コスト低減) 低減) 直結型焼却溶融システム 直結型焼却溶融システムの システムの構築. 燃費低減. 顧客満足の 顧客満足の実現 実施設計手法の の確立 実施設計手法. 実機での 実機での検証 での検証 および確認 確認 および. 灰中未燃分による 灰中未燃分による燃費低減技術 による燃費低減技術の 燃費低減技術の確立. 炉内現象解析と 炉内現象解析と 実施設計ツール 実施設計ツールの ツールの高精度化 炉内現象解析と 炉内現象解析 の構築 と 性能予測モデルの モデル 実施設計ツール 実施設計ツールの ツールの高精度化 性能予測モデル 性能予測モデル 性能予測モデルの モデルの構築. 図 1.11 1.11 技術開発目標. このためには、複雑な灰溶融炉内現象を定量化できる解析モデルを構築しこれにより 性能予測シュミレ-ションを行うことのできる性能予測モデルを構築する必要がある。 そして最終的には実機での検証による確認が不可欠である。 以上の技術開発目標を達成することを目的とする。. 1-10.
(11) 第1章. 序論. 1.3 技術開発項目 技術開発項目を図 1.12 に示す。 灰溶融炉と直結し、灰溶融炉に焼却主灰を供給する焼却炉は、ボイラ構造の炉体が回 転火格子を構成する回転スト-カ炉である。高カロリ-ごみも積極的に燃焼できるとと もに、効率よく熱回収することができる。さらに、傾斜した炉体が連続的に回転するこ とにより、ごみの攪拌および下流側への移送が連続的に行われ、灰性状が均質化しやす く、炉回転速度制御と一次燃焼空気量制御により灰中未燃分量割合の制御が容易である。 なお、基本的な考え方として、収集された一般廃棄物をそのまま焼却炉に投入し、焼 却炉より排出される焼却灰を 100% そのまま灰溶融炉に投入し全量溶融するシステムを 念頭においている。 灰中未燃分による燃費低減を行うためには、灰中に未燃分をある程度含有させる必要 があり、基本的には焼却炉側において、ごみを燃やしきる完全燃焼に対し、抑制的な燃 焼を行う必要がある。 また、焼却炉と灰溶融炉が直結しているため、焼却炉側灰排出量と灰溶融炉側灰受入 量とを常にバランスさせる必要がある。 過熱器 ボイラ. 収集された 収集された一般廃棄物 された一般廃棄物を 一般廃棄物を そのまま投入 そのまま投入. 廃棄物ホッパ. エコノマイザ. 二次燃焼室 二次燃焼空気 回転ストーカ式焼却炉. 給じん装置 減温塔および 排ガス処理装置へ A.灰中未燃分量割合制御法 灰中未燃分量割合制御法の 灰中未燃分量割合制御法の確立. 焼却灰をそのまま 焼却灰をそのまま投入 をそのまま投入. B.灰供給量 灰供給量の バランス制御法の 灰供給量のバランス制御法 制御法の確立. 灯油バ-ナ C.灰溶融技術 灰溶融技術の 灰溶融技術の確立 1)プロセスの プロセスの成立( 成立(燃焼→ 燃焼→溶融→ 溶融→出滓) 出滓) 一次燃焼空気 (1)火格子燃焼の成立(燃焼部と溶融部との切り分け) (2)安定溶融状態の維持・継続. 焼却主灰. 図1.4 直結型焼却溶融システム 直結型焼却溶融システム. 図 1.12 1.12 技術開発項目. 1-11. プラズマト-チ. 後燃焼装置. 排ガス.
(12) 第1章. 序論. そして、システムの中核となる灰溶融技術の確立が必要であり、燃焼⇒溶融⇒出滓に 至るプロセスを成立させる必要がある。 具体的には、 (1)灰中未燃分を積極的に燃焼させるコンパクトな火格子燃焼部を維持させることが 重要であり、灰層内で灰が溶けることなく、燃焼部と溶融部とが切分けられてい ることが必要である。 (2)安定溶融状態の維持・継続が必要である。 1.4 1.4 灰溶融炉の 灰溶融炉の理想の 理想の姿 灰溶融炉のあるべき理想の姿を、図 1.13 に示す。満たすべき条件を以下に示す。 ・ 灰中未燃分を主溶融熱源とする焼却灰溶融を実現する。 ・ 焼却炉に直結し、すべての焼却灰を受け入れる。 ・ 火格子燃焼部と溶融部とが切り分けられている。 ・ 排ガスを下流側から抜くことにより、炉内排ガス温度を、上流=低、下流=高 とし、溶融および出滓を円滑にするとともに、出滓口を加熱し、湯切れを良くする。 ・ 安定溶融状態を維持・継続できる。. 後燃焼装置. 1-11. 焼却灰. 耐火キャスタブル. 空気 プッシャ. 空気ノズル. 燃焼部. 溶融部 炉床. 図 1.13 灰溶融炉の 灰溶融炉の理想の 理想の姿. 1-12. 出滓口 溶融スラグ. 排ガス.
(13) 第1章. 序論. この場合、熱精算図は、図 1.14 のようになる。. 焼却炉排ガス持出熱量(34.8). 蒸気式空気予熱器交換熱量(2.2) ボイラ交換熱量(55.5) ガス式空気予熱器交換熱量(6.1). 灰溶融炉内熱バランス. 入熱. 高温ガス式空気予熱器交換熱量(0.8) スラグ持出熱量(1.3). Q IN %. Q OUT %. 灰中未燃分と灰顕熱. 65.4 %. 排ガス持出熱. 53.8 %. 溶融用燃焼空気熱量. 25.0 %. スラグ持出 熱量. 25.0 %. 9.6 %. 高温ガス式 空気 予熱器交換熱量. 15.4 %. 電気ヒ-タ熱量 -. 炉放散熱量(0.3). 出熱. 炉放散熱量. 入熱合計. 灰の溶融. 100.0 %. 出熱合計. 5.8 % 100.0 %. 焼却炉放散熱量(3.0). 溶融用燃焼空気熱量(1.3) 電気ヒ-タ熱量(0.5). 焼却炉入熱量合計(100). 灰中未燃分と灰顕熱 未燃炭素と灰の顕熱(3.4). ごみ燃焼用空気熱量(7.8). ごみの焼却 ごみの発生熱量(92.2). 図 1.14 熱精算図 6). 単位:%. 焼却炉入熱量合計(100 %)に対し、灰の溶融に必要な熱量は 5.2 % であり、外部補助 熱量は、0.5 % である。開発当初、炉床に固着し成長するスラグやクリンカを排除する ため、炉床を加熱する必要があるとの認識から電気ヒ-タによる炉床加熱を行っていた。 主な溶融熱源は、焼炉側から来る焼却主灰の顕熱および未燃分燃焼発生熱であり、5.2 % のうち、3.4 % を占めており、灰溶融炉入熱を、100 % とすれば、入熱全体の中で、65.4 % を占めている。これに対して、出熱全体の中で、排ガス持出熱が、53.8 % となってお り、出熱の半分以上を占めている。 これらをもとに、競合他社との運転経費の比較を行った結果を、表 1.2 に示す。. 1-13.
(14) 第1章. 序論. 表 1.2 各社の 各社の運転経費比較 項目. 角型灰溶融炉(目標). A社電気溶融炉. B社表面溶融炉. 主溶融熱源. 灰中未燃分の燃焼発生熱. ア-ク加熱. 灯油の燃焼発生熱. 燃料使用量. ash t 300 kW/灰・トン. 800 kW/灰・トン ash t. ash t 520 l/灰・トン. 競合他社との運転経費の比較結果からわかるように、角型灰溶融炉としてかなり高い 理想を掲げていた。 この他社との差異の主な理由は以下による。 (1) 他社溶融炉の場合、溶融対象となる灰は焼却炉において、ほぼ完全焼却された 焼却主灰であり、水により消火冷却された常温の灰であるため、灰中未燃分の燃 焼発生熱も灰の顕熱もほとんど期待できず、さらに、概ね、30 wt % 程度の含水 率の灰を溶融させるため、この水分を蒸発させるのに大量の熱量が必要である。 一方、角型灰溶融炉は、灰中未燃分燃焼発生熱および灰顕熱が主な溶融熱源とな る。この熱的メリットを生かせるよう焼却炉と灰溶融炉とを直結させている。こ れにより焼却炉から排出されたばかりの未燃分を多く含んだ含水率ゼロの高温の 灰を、灰溶融炉に供給することができるという熱的メリットが生じる。熱量的に は、概ね、以下の特徴があり、1トンの灰を溶融するために必要な熱量、約 300 万 kcal に対し、その 11.2 % にも及ぶ熱量のメリットが、焼却炉と灰溶融炉の直結 により生まれる。. 表 1.3 直結による 直結による熱的 による熱的メリット 熱的メリット 項 目 含水率 0 wt % に するために必要な 熱量. 直 結 0. 別置き 185,000 kcal/ash t. 灰の顕熱の有無. 150,000 kcal/ash t. 0. 熱的メリット. 335,000 kcal/ash t. 0. 1t の灰の溶融に 必要な熱量. 3,000,000 kcal/ash t. -. 直結による熱的 メリットの割合. 11.2 %. 0. 1-14.
(15) 第1章. 序論. (2) A社電気炉には燃焼機能がない。炭素主体の未燃分が炉内に供給されると燃えき らずに溶湯面に浮遊・堆積・成長し、いずれは異常放電の恐れさえある。このため、 灰中未燃分をかなり低く抑えざるを得ない。B社表面溶融炉は火格子燃焼機能がなく、 表面から灯油バ-ナ火炎の放射熱で灰表面を加熱し、灰を溶融する。積極燃焼機能が ないため、未燃分が多く供給されても、燃えきらず、未燃分がスラグに混じることに なる。角型灰溶融炉が火格子燃焼機能にこだわった根拠がここにある。 スペ-スの面でも優位性を確保することができる。角型灰溶融炉の場合、配置的に は、後燃焼装置の下方に、1炉あたり、概ね、5 m × 5 m × 10 m = 250 m3/炉 の スペ-スがあれば、15 t-ash/24 h 炉の能力を持つ角型灰溶融炉関係の機器を設置 することができる。2 炉であれば、500 m3 程度の空間があればよい。 これに対し、他社の灰溶融炉は別置きであり、焼却炉棟と別棟に設置される場合が 多い。灰貯留設備、灰搬送設備などが前段に設置され、灰溶融炉が設置されるため、 機種により多少の違いはあるが、概ね、15 t-ash/24 h × 2 炉となる場合、1,500 m3 ~2,000 m3 程度のスペ-スが必要となる。中央制御室も焼却炉と別棟であるため、こ のスペ-スもさらに必要となる。 一方、角型灰溶融炉は焼却炉と同じ中央制御室であるため、スペ-ス効率が良いば かりでなく、一人の運転員が、焼却炉と灰溶融炉を同時に管理するため、他で頻発し ているコミュニケ-ションの問題など皆無に近いものと期待できる。 1.5 1.5 技術開発経緯 技術開発経緯 技術開発経緯を表 1.4 に示す。 平成 2 年度に角型灰溶融炉の開発を開始し、平成 7 年度に一般廃棄物の焼却灰を溶融 する実機を納入し、角型灰溶融炉を完成させることができた。その後、多様化する廃棄 物に対応でき、かつスケ-ルアップを有利に展開するため、さらに強力な燃焼溶融機能 持ち、さらにコンパクトな灰溶融炉が必要となったため、平成 8 年度よりサイクロン型 灰溶融炉の開発を再開した。そして平成 15 年度、産業廃棄物の焼却灰を溶融する実機 を納入し完成させることができた。. 1-15.
(16) 第1章 序論. 表 1.4 1.4 技術開発経緯 技術開発経緯 開発内容. H2. H3. H4. H5. H6. H7. H8. H9. H10. H11. H12. H13. H14. H15. H16. H17. 角型灰溶融炉 開発 実操業 サイクロン型 サイクロン型 灰溶融炉 ホットモデル 試験 実証試験 熱流動解析 実操業. :実用一号機納入. 1.6 1.6 本論文の 本論文の構成 本論文は 6 章から構成されている。第1章では、本研究の背景や従来技術のかかえて いる課題をもとに、開発の目的を設定し、具体的な技術開発項目や開発スケジュ-ルを 明確にした。具体的な技術開発項目として、灰中未燃分量割合を制御するための焼却炉 の抑制燃焼運転法の確立、焼却炉灰排出量と灰溶融炉灰受入量とを均衡させる制御法の 確立、燃焼・溶融・排出の灰溶融プロセスの構築と安定溶融技術の確立を掲げた。開発 の中核となる灰溶融炉は、平成 7 年度に実用一号機を納入した角型灰溶融炉、および平 成 15 年度に実用一号機を納入したサイクロン型灰溶融炉の 2 機種により構成される。 第 2 章では、角型灰溶融炉を中核とする焼却溶融システムの開発について述べている。 灰溶融炉内燃焼部は灰中未燃分の積極燃焼をコンパクトに行うため火格子燃焼方式と し、スラグによる燃焼部閉塞が起こらないよう溶融部との切分けを行った。そして燃焼 排ガスを下流側から抜くことにより、上流側よりも下流側が高温となる炉内排ガス温度 勾配を形成し、溶湯の円滑な出滓を促すべきであると考えた。当初、灰中未燃分を主体 とする溶融を試みたが、灰中未燃分不足(熱量不足)や排ガス流れ方向の変動により溶 融が不安定となる場合があった。これを避けるため、灰溶融炉の灰投入側のシ-ル機能 を強化して常に下流側に向かう安定した排ガス流れを形成するとともに、熱補助手段と して灯油バ-ナおよび小型プラズマト-チ(高温空気を吐出する非移行型)を設け、灰 中未燃分不足を灯油で補い、溶融を安定させた。そして最終的には、延べ 250 日におよ ぶ実機の安定溶融運転を達成した。その後に実施した炉内状況調査の結果、燃焼部はサ ラサラした灰で覆われており、スラグ付着はなかったことから、燃焼部と溶融部とが常 に切り分けられていたことを確認した。 一方、焼却炉については、焼却中のごみ質推定結果に基づいてごみ燃焼用一次空気量 を絞り抑制燃焼運転を行う灰中未燃分量割合制御法を確立した。さらに、中間灰貯槽の. 1-16.
(17) 第1章 序論. 灰レベルの上昇/下降傾向を把握して焼却炉側灰排出量と灰溶融炉側灰受入量をそれ ぞれ調整することにより灰供給量のバランスを保つ灰供給量制御法を確立した。そして、 平成 7 年度、実用一号機の納入をもって角型灰溶融炉を完成させるに至った。 第 3 章では、サイクロン型灰溶融炉のホットモデルテスト結果、小型試験炉による試 験結果および熱流動解析について述べている。多様な廃棄物に対応でき、スケ-ルアッ プを有利に進めるため、角型灰溶融炉からサイクロン型灰溶融炉に変更した。サイクロ ン型灰溶融炉は、炉内排ガス旋回による混合燃焼の促進、および表面溶融部や湯だめに よる溶融機能強化を行っている。初期に実施したホットモデルテストでは溶融基礎特性 を把握した。具体的には、灰中未燃分の増加とともに外部熱補助を低減できること、炉 内排ガス温度上昇とともに灰溶融処理量を増やせることを確認した。さらに熱流動解析 を行い、炉内排ガス旋回に起因する慣性力により多くの同伴飛灰が周壁に衝突し溶融す ることを予測することができた。そしてホットモデルテスト終了後、炉を解体し炉壁へ のスラグ浸透度を調査し、バ-ナ間の炉壁のスラグ浸透が最も顕著であることを確認で きたことから、サイクロン型灰溶融炉の特徴である炉内排ガス旋回に起因する慣性力を 検証することができた。以上の溶融特性をベ-スとし、燃焼溶融機能をさらに強力にす るため、次のステップである実証試験から酸素バ-ナを付加することとした。酸素によ る未燃分や可燃ガスの燃焼促進、酸素燃焼火炎からの放射伝熱や対流伝熱の促進を図っ た。なお、実証試験に先駆けて、この実証試験炉ベ-スでの熱流動解析を行い、実証試 験結果の予測を行った。この熱流動解析モデルは、灰溶融炉内を上部空間の旋回流領域 と下部の灰層領域に分け、各領域における諸現象について熱流動解析を行っている。 第 4 章では、12 t-ash/24h の溶融処理能力をもつ実証試験炉による灰溶融実証試 験結果、およびこれらと熱流動解析モデル性能予測結果との検証について記載している。 従来炉が嫌う鉄やクリンカを多く含む供試灰を溶融できることを確認した。また、灰中 未燃分量割合を 42 % 程度まで増やすことにより、自燃溶融できることがわかった。ま た、灰溶融炉のコンパクト化の指標となる燃焼室負荷については、248 kg/m3・h とい う高い値が得られた。さらに実証試験結果と第 3 章で実施した性能予測結果とが、かな り良い一致をみていることから、熱流動解析モデルの精度がかなり高く、設計ツ-ルと して活用できることを確認した。そして設計基本数値として、灰溶融処理能力の原単位 となる炉床負荷 270kg-灰/m2・h および安定溶融状態を維持するための熱量原単位で ある溶融面の熱流束 150kW/m2 を得た。この後、別途、実用一号機の実施設計を行う こととなり、以上の設計基本数値をはじめ、実証試験や熱流動解析で得られた多くの知 見等を、最大限、活用していくこととなった。 第 5 章では、平成 15 年度に実用一号機を納入したサイクロン型灰溶融炉を中核とし た実機焼却溶融システムの性能評価結果について述べている。要求仕様である 60 t- ash/24 h の溶融処理能力に対して、第 4 章で得られた設計基本数値、および熱流動解 析モデルによる性能予測結果をもとに基本設計を行い、実用一号機である灰溶融炉の構. 1-17.
(18) 第1章 序論. 造、基本寸法・形状、付属設備の能力および運転方法等を決定した。そして、1週間に 及ぶ実用一号機の連続焼却溶融運転において所定の溶融処理能力を持っていることを 実証した。このほか、処理困難物と言われているアスベストや低濃度 PCB の無害化処理 試験結果等についても記載している。以上の結果、強力な燃焼溶融機能について顧客よ り高い評価を得た。 第 6 章では結論としてサイクロン型焼却溶融システムが技術的に完成し、当初、掲げ た研究目的を達成したことを述べている。 付録では、今後の展開として、本システムが、アスベスト廃棄物と低濃度 PCB に汚染 された絶縁油との低コスト同時無害化処理に適用可能であること、およびこれに向けて 開発を進めることを述べている。. 1-18.
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