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アルミニウム合金製リベットの開発 日本軽金属(株)

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Academic year: 2022

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(1)1‑581. 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月). アルミニウム合金製リベットの開発 日本軽金属(株). 正会員 ○萩澤亘保. Hitz 日立造船(株) 正会員. 岩田節雄. Hitz 日立造船(株) 正会員. 北村幸嗣. 大阪大学大学院. 正会員. 大倉一郎. 大阪大学工学部. 学生員. 大澤章吾. 1. はじめに アルミニウム合金材の接合には一般に MIG と TIG 溶接が用いられる.しかし,これらの溶接法は溶融接 合であるため,非熱処理合金の加工硬化材や熱処理合金の調質材を接合した場合,強度が溶接熱により大幅 に低下する.このようなアルミニウム合金の接合には熱の加わらないリベットやボルトなどの機械的接合が 適している.アルミニウム合金製リベット・ボルトに関しては,アルミニウム合金土木構造物設計・施工指 針案 1) に規定されているが,規定されているアルミニウム合金の妥当性や施工法については明らかではない. 本研究では,土木構造物に適用することができる,軸径が 22mm の大径アルミニウム合金製リベットを対 象にして,リベットに用いるアルミニウム合金を選定するとともに適切なリベット製造条件と施工法を決め, リベット継手試験体を用いた引張せん断試験によりリベットのせん断強度を求めた. 2. アルミニウム合金の選定と素材の組成 アルミニウ ム合金の選定と素材の組成 アルミニウム合金土木構造物設計・施工指針案. 1). に規定されているアルミニウム合金製リベット材料は,. A5056 合金,A5N02 合金および A6061 合金である.前 2 者は Mg の含有量が多いので,ひずみを受けた首下 部の結晶粒界に Al-Mg 化合物が析出し,厳しい腐食環境下では電気的に卑な周辺のアルミニウムが腐食する. また,リベットの首下部には引張残留応力が生じるので,前述の腐食と相まって応力腐食割れの恐れがある. A6061 合金は強度は高いが,伸びが少ないためにリベット頭の冷間成形に困難が予想される. 以上を考慮して,リベット材料として A2117 合金を採用した.A2117 合金は,リベット用材として常温時 効硬化速度を遅くした合金である.A2117 合金主成分の JIS 規格(JIS H 4040)の化学成分とリベット素材の化 学成分測定値を表 表 1 に示す. 表1 対. 象. 素材測定値 JIS 規格値. Si 0.31 0.8 以下. Fe 0.15 0.7 以下. A2117 合金の組成. 化 学 Cu 2.5 2.2~3.0. 成 分 Mn 0.01 以下 0.20 以下. (%) Mg 0.34 0.20~0.50. Cr 0.01 以下 0.10 以下. Zn 0.01 以下 0.25 以下. 3. リベットの製造条件と機械的性質 リベット素材は,押出したままの直径 22mm の丸棒で A2117BE-T1 である.この素材を質別 T4 に熱処理し た後,所定の長さに切断し,丸頭を成形した.製造されたリベットの寸法を図 図 1 に示す.製造されたリベッ トから削り出した試験片による引張試験結果を表 表 2 に示す. 15.5. A2117-T4 合金リベットの機械的特性 0.2%耐力 (MPa) 172. 伸. び (%) 32.5. R0.5. ヤング係数 (GPa) 69.0. φ22. 引張強さ (MPa) 298. 100. φ35. 表2. 図1. リベットの寸法. Keyword:アルミニウム合金,リベット,接合,継手,機械的性質 連絡先:日本軽金属(株) 〒421-3291 静岡県庵原郡蒲原町蒲原 1-34-1 ‑1159‑. Tel 0543-85-7120,Fax 0543-88-2108.

(2) 1‑581. 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月). 4. リベット孔径と頭の形状 米国のアルミニウム協会規格 2) を参考にして,孔径を 22.8mm,頭の 径と高さを図 図 2 に示すようにそれぞれ 32mm と 10mm の平頭とした. 5. リベットのせん断試験. 孔径 φ22.8. 5.1 継手試験体 図 3 に示す継手試験体により引張せん断試験を行った.試験体の母. 頭高さ 10. 材は表 表 3 に示す機械的性質を有する A5083P-O および A6061P-T6 であ. 頭径 φ32. る.破壊が母材で起きないようにリベット孔の中心からの材縁と材端 距離を,それぞれ孔径の 2.5 および 3.0 倍とした.リベットは,冷間. 図2. リベットかしめ頭と孔の寸法. で油圧プレスにより静的に圧縮した.伸び量測定の基準距離は,試験 体中央 300mm である. 861 5. 表3. 428 69. 115. 2×φ22.8. A5083P-O A6061P-T6. 板厚 (mm) 8 15 8 15. 引張強さ (MPa) 314 306 340 329. 0.2%耐力 (MPa) 154 148 324 300. 伸び (%) 25 22 17 15. ヤング係数 (GPa) 72.4 73.6 70.8 71.6. 15. 69 8. 281. 材質,調質. 継手試験体の母材の機械的性質. 8. 200. 継手試験体. 150. 荷 重. kN. 図3 5.2 試験結果. リベット継手の引張せん断試験における伸び量と荷重. 母材;A5083P-O 母材:A6061P-T6. 100 50. の関係を図 図 4 に示す.試験の初期に滑りが見られないこと から,リベットは孔に充満している.. 0. 2. 破壊はすべてリベットのせん断破壊であった.試験によ る破壊荷重とリベットのせん断強さから計算したせん断破. 図4. 4 伸び量 mm. 6. 8. 引張せん断試験の伸び量と荷重の関係. 壊荷重を表 表 4 に示す.リベットのせん断破壊荷重の計算で は,リベットのせん断強さを引張強さの 1 / 3 ,リベットの 直径を孔の径の 22.8mm とした.. 表4 母. リベットせん断破壊荷重の計算値は試験結果より約 20% 低い.計算結果の値は試験結果の値より小さいので,設計. リベットのせん断破壊荷重の比較 材. A5083P-O A6061P-T6. せん断破壊荷重 (kN) 試験 計算 176.5 140.5 170.5. 上は安全側になる. 6. まとめ (1) A2117 合金製リベットは伸びが大きいので,冷間で頭を成形することができる. (2) 決定されたリベット施工条件により,リベットを孔に充満させることができる. (3) リベットのせん断破壊荷重は,リベットの引張強さから設計上安全側になるように計算できる. なお,本研究は大阪大学 阪大フロンティア研究機構からの補助金による研究活動の一環として行われたも のである.関係各位のご協力に感謝いたします. 参考文献 1)日本アルミニウム協会:アルミニウム合金土木構造物設計・製作指針案(第 1 次改定試案),2000. 2) The Aluminum Association:Aluminum Design Manual,2000. ‑1160‑.

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