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JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title 国際特許創出から見たグローバル・イノベーション・ネットワ

ーク : 日本企業のタイ拠点における事例

Author(s) 近藤, 正幸

Citation 年次学術大会講演要旨集, 36: 154-159

Issue Date 2021-10-30 Type Conference Paper Text version publisher

URL http://hdl.handle.net/10119/17934

Rights

本著作物は研究・イノベーション学会の許可のもとに掲載す るものです。This material is posted here with

permission of the Japan Society for Research Policy and Innovation Management.

Description 一般講演要旨

(2)

1E06 国

国際 際特 特許 許創 創出 出か から ら見 見た たグ グロ ロー ーバ バル ル・ ・イ イノ ノベ ベー ーシ ショ ョン ン・ ・ネ ネッ ット トワ ワー ーク ク: : 日

日本 本企 企業 業の のタ タイ イ拠 拠点 点に にお おけ ける る事 事例 例

近藤 正幸 (開志専門職大学)

1

1. . は はじ じめ めに に

あるオープン・イノベーションのシンポジウムで、「世界の優秀な人間の99.9%は社外にいる」と 欧州の経営者が言っていたが、世界の優秀な頭脳の多くが海外に存在する。そうした海外の優秀な頭 脳を自社の姉妹企業に取り込んで、または、連携して活用することはグローバル・イノベーション時 代に必須である。

そこで、本論文では、日本企業が多くの研究開発拠点を有するタイに着目して、タイ在住を含む発明者によ る国際特許創出の状況を分析することにより、日本企業のグローバル・イノベーション・ネットワークの変 遷を明らかにすることを目的としている。具体的には、近藤(2020)で提案されたグローバル・イノベーショ ンのネットワーク・拠点の類型をさらに洗練させた類型と頭脳活用の類型に基づき、近藤(2020)で用いられた分 析手法を用いて分析を行っている。つまり、特許協力条約(PCT)に基づいて出願された2020年までの国際特 許の公開データを用いて、2019年までに出願された日本企業が出願人となり、タイ在住発明者を含む特許創 出の状況、つまりタイ拠点を中心としたイノベーション・ネットワークと頭脳活用の状況を明らかにしている。別 途、日本の大学や研究機関がタイの大学や研究機関と連携した例も分析している。

その結果、イノベーション・ネットワークの観点から、日本・タイの2国間連携の形態から始まって、タイ拠点単 独の活動の増加や第3国をも巻き込んだイノベーション・ネットワークの出現を明らかにしている。また、頭脳活 用の観点から、当初はタイ拠点において日本人が主であったものがタイ人の比重が増していったこと、日本にお いてもタイ人の活躍が見られるようになったこと、第3国において日本人がいる例もあるが現地スタッフの活躍が 見られることを明らかにしている。

2

2.. グ グロ ロー ーバ バル ル・ ・イ イノ ノベ ベー ーシ ショ ョン ンの の類 類型 型

図1 グローバル・イノベーションのネットワーク・拠点類型 現地

現地

現地

本国

本国

第3国 現地単独型

国際ネットワーク型 [現地-本国連携型]

[本国調整ネットワーク型] [自律ネットワーク型]

(現地-第3国ネットワーク型)

現地 現地

第3国

第3国

第3国 2国連携型 [自律連携型]

(現地-第3国連携型)

出所:近藤(2020)を元に筆者作成。

(3)

1E06.pdf :2

2

2..1 1 イ イノ ノベ ベー ーシ ショ ョン ンの のネ ネッ ット トワ ワー ーク ク・ ・拠 拠点 点の の類 類型 型

海外研究開発拠点、特に途上国の海外研究開発拠点を中心にグローバル・イノベーションのネットワ ーク・拠点の類型について考えると、大きくは次の3つが考えられる(図1)。

 現地単独型

 2国連携型

 国際ネットワーク型

「2 国連携型」では、「現地-本国連携型」が多いと考えられるが、本国の発明者が関与しない現地 拠点と第3国による自律的な「現地-第3国連携型」である「自律連携型」も考えられる。

「国際ネットワーク型」については、本国が中心となる「本国調整型ネットワーク」が考えやすいが、

現地同士の自律的な「現地-第3国ネットワーク型」である「自律ネットワーク型」も考えられる。

2

2..2 2 頭 頭脳 脳活 活用 用((発 発明 明者 者))類 類型 型

頭脳活用(発明者)類型については、現地、本国、第3国について次のように考えられる(表1)。

現地では、「現地スタッフ」、「本社からの出向者」、「第3国姉妹企業のスタッフ」、「外部(大学・研 究機関、他企業)」が考えられる。「現地スタッフ」はタイ人を想定しているが現地採用の他の国の人材が いるかもしれない。「本社からの出向者」は日本人を想定しているが、日本人以外の本社からの出向者が いるかもしれない。第3国人については「第3国姉妹企業のスタッフ」と想定したが、上述のとおり、現 地採用かもしれないし、本社からの出向者かもしれない。共同出願の場合は共同出願者のスタッフが発 明者になっていることが考えられる。タイやその他の国の大学・研究機関、他企業のスタッフである。

本国、第3国でも同様な考え方をしている。実際にどうなのかは、今後のインタビュー調査などで確 認していきたい。特に、日本企業以外の企業については、現地、本国、第3国のどこでも多様な国の人 材を雇用する可能性が高いのでこうした区別は困難かもしれない。

3

3. .分 分析 析結 結果 果

分析結果をネットワーク・拠点類型と頭脳活用(発明者)類型について以下に記す。

3

3..11ネネッットトワワーークク・・拠拠点点類類型型

aa.. 11999900年年代代後後半半--22000000年年代代前前半半

(4)

当初(1990年代後半-2000年代前半まで)は、イノベーション・ネットワークの形態は日本とタイとの 連携である「現地-本国連携型」である(図 2)。発明者は日本では日本人であり、タイでも日本人が多 くなっている。

bb.. 22000000年年代代後後半半

日本とタイの連携である「現地-本国連携型」が大半を占める。タイ拠点ではタイ人の発明者のみの 事例が相当に多くなる。また、日本拠点でもタイ人がいる例や中国人がいる例が生じている。

このほか、タイ単独(現地単独)や自律ネットワーク型(タイ・第 3 国のネットワーク)も生じている。

タイ単独の場合、日本人とタイ人の貢献度は同程度である。

c

c.. 22001100年年代代前前半半

この時期からH社1社による事例が急増してくるため、H社を除く場合とH社の場合に分けてみる。

H 社を除く場合、日本とタイの連携である「現地-本国連携型」がやはり大半を占める。タイ拠点は タイ人の比重がさらに増す。タイ単独の「現地単独型」の事例も結構あり、タイ人が発明者の場合がほ とんどである。このほか、タイと第3国の連携である「自律連携型」や「本国調整型ネットワーク」も 生じている。この場合、第3国に日本人がいる例も一例ある。

H 社の場合は、タイ単独の事例がかなり多い。タイ人のみの場合が最も多く、次にタイ人と日本人の 組み合わせ、それから日本人のみの事例と続く。H社の場合も「現地-本国連携型」の事例が結構あり、

日本側日本人・タイ側タイ人の組み合わせが最も多い。

dd.. 22001100年年代代後後半半

H 社を除く場合、日本とタイの連携である「現地-本国連携型」が圧倒的に多く、タイ拠点はタイ人 の事例が日本人の事例の倍以上ある。タイ単独の「現地単独型」も「現地-本国連携型」の2割程度あ り、タイ拠点はタイ人の場合の方がやや多い。2010年愛前半と同様に、タイと第3国の連携である「自 律連携型」や「本国調整型ネットワーク」も生じている。この場合、やはり第3国に日本人がいる例も 1例ある。

H社の場合は、2010年代前半と同じ傾向である。

e

e.. 産産学学官官連連携携

産学官連携については、産・学官連携について日本企業とタイの大学との連携の2例、日本企業とタ イの官との連携の1例がある。また、日タイ間の学官の連携については、12例ある。

ff.. 全全体体ととししてて

全体として、日本とタイの連携である「現地-本国連携型」が多い(図3)。タイ単独の「現地単独型」

も結構多い。タイ・第3国の連携型である「自律連携型」も少ないがある。タイ・第3国のネットワー ク型である「自律ネットワーク型」や「本国調整型ネットワーク」がないこともないが、3か国以上の 国際ネットワーク型は少ない。また、日本の企業とタイの学官との産学連携や日本の学官とタイの学官 との連携も少数ではあるが見受けられる。

3

3..22 頭頭脳脳活活用用((発発明明者者))類類型型

頭脳活用(発明者)類型については、前節でも述べたが、日本拠点に少数ながらタイ人や中国人・韓国 人もいる。タイ拠点では当初は日本人であったが、その後はタイ人が多くなってきている。中国人のい る事例もある。全体としてタイ人が多く、日本人の2倍弱である。第3国では現地の人材が多いが日本 人がいる例もある。

産学官連携については、上述のとおり、日本企業のタイの学官との連携もあり、日本の学官とタイの 学官との連携もある。

2

2. . お おわ わり りに に

本論文の日本企業等が出願するタイ居住発明者を含むPCT出願特許に関する分析によって、以下の 点が分かってきた。

ネットワーク・拠点については、

(5)

1E06.pdf :4

 日本とタイの連携である「現地-本国連携型」が多い。

 タイ単独の「現地単独型」も結構多い。

 タイ・第3国の連携型である「自律連携型」も少ないがある。

 タイ・第3国のネットワーク型である「自律ネットワーク型」や「本国調整型ネットワーク」が ないこともないが、3か国以上の国際ネットワーク型は極めて少ない。

 日本の企業や学官とタイの学官との連携も少数ではあるが見受けられる。

頭脳活用(発明者)については、

 日本拠点はほとんど日本人であるが、少数ながらタイ人や中国人・韓国人もいる。

 タイ拠点では当初は日本人であったが、その後はタイ人が多くなってきていて、全体として日本 人の2倍弱である。中国人のいる事例もある。

 第3国では現地の人材が多いが、日本人がいる例もある。

 産学官連携については、日本企業のタイの学官との連携もあり、日本の学官とタイの学官との連 携もある

実際に本国の発明者がいる場合に本国の調整がどのくらいであるのか、本国の発明者がいない場合 に「現地-第3国連携型」である「自律連携型」も含めて現地と第3国が本当に自律的であるのか否 かは、今後のインタビュー調査などで確認していきたい。

今後は、タイ居住の発明者による国際特許創出について、PCT国際特許が多い他国の企業について 調査研究を進めるとともに、タイ以外の拠点についても順次調査研究を進める予定である。

謝 謝辞辞

本研究は、科学研究費補助金 基盤研究(C)及び開志専門職大学の助成を受けて実施したものであり、

感謝します。

参考 考文 文献 献

近藤 正幸、多国籍企業の途上国での知財創出―中国、タイのケース―、研究・技術計画学会第29回 年次学術大会講演要旨集、滋賀県南草津、2014年10月18-19日、pp.278-283。

近藤 正幸、国際特許創出のアジア・シフト と 日本企業のアジアにおける国際特許創出、研究・イ ノベーション学会第35回年次学術大会講演要旨集、オンライン開催、2020年10月31-11月1 日、pp.774-779。

KONDO, Masayuki, Intellectual Property Creation of Japanese Companies in China and Thailand, STI Policy and Management Journal, Vol.1 No.1, pp.29-39, 2016.

(6)

2000年代後半(2005-2009年)I

日本人 日本人 タイ 日本

日本人タイ人

タイ人 1例

日本人

9例

15例 日本人

タイ人

日本人

タイ人 日本 タイ

1例

タイ人 2例 2例

日本人中国人 タイ人 1例

•2010年代前半(2010-2014年)I 日本人 タイ人

タイ 日本

日本人タイ人

タイ人 日本人

10例

9例 日本人韓国人

日本人

タイ人

タイ 日本

日本人 7例

1例 3例 H社を H社

除く

日本人 1例

15例

日本人 タイ人 日本人タイ人

タイ人 11例 7例 9例 日本人

日本人 日本人 タイ人 2例 日本人 日本人 1例

図2 日本企業のタイ拠点に着目したイノベーション・ネットワークの変遷

2010年代後半(2015-2019)年I

日本人 日本人 タイ 日本

日本人タイ人 タイ人

24例 日本人

17例 33例

日本人 日本人

タイ人 タイ 日本

5例

タイ人 7例 1例

日本人タイ人

日本人

14例 タイ人

4例 14例 日本人

日本人 日本人 タイ人 3例 日本人 日本人 2例 タイ人

日本人タイ人 中国人

7例

H社を除く H社

日本人タイ人 タイ人 1例

•2010年代後半(2015-2019)年II

日本人 タイ人

日本 タイ 第3国

シンガポール

日本人 インド 日本人 1例 タイ人 シンガポール

タイ人 オーストラリア

オーストラリア人 3例

タイ人 1例

H社を除く

(7)

1E06.pdf :6

H社を除く

日本企業のタイ拠点に着目したイノベーション・ネットワーク 現地

現地

現地

本国

本国

第3国 現地単独型

国際ネットワーク

現地-本国連携型 [自律連携型]

(現地-第3国連携型)

[本国調整ネットワーク型]

現地 第3国 2国連携型

全期間151例

29例19.2%

110例72.8%

8例5.3%

2例1.3%

[自律ネットワーク型]

(現地-第3国ネットワーク型)

現地 第3国

第3国

2例1.3%

H社(他社との共同出願を除く)

日本企業のタイ拠点に着目したイノベーション・ネットワーク 現地

現地 本国

現地単独型

現地-本国連携型 2国連携型 全期間108例

75例69.4%

33例30.6%

日本企業のタイ拠点に着目したイノベーション・ネットワーク

現地

現地

現地

本国

本国

第3国 現地単独型

国際ネットワーク

現地-本国連携型 [自律連携型]

(現地-第3国連携型)

[本国調整ネットワーク型] [自律ネットワーク型]

(現地-第3国ネットワーク型)

現地 現地

第3国 第3国

第3国 2国連携型

全期間259例

104例40.2%

143例55.2%

8例3.1%

2例0.8% 2例0.8%

図3 日本企業のタイ拠点に着目したイノベーション・ネットワーク

参照

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