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イネ薪 培養 に よ る欠失葉緑体

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(1)

イネ薪 培養 に よ る欠失葉緑体

D

NA

の発生 メカニズムの解明 とベ クター利用の

検討

( 課題番号

:

03660001)

平成 4年度科学

(2)

イネ薪 培養 に よ る欠 失 葉緑 体

DNA

の発生 メカニズ ムの解 明 とベ クター利 用 の検 討

研究組織

研究代表者 :原 田竹雄 (弘前大学農学部助教授) 研究分担者 :な し

研究経費

平成 3年度 1,500千円 平成4年度 700千円 2,400千円

研究発表等 (1)論文 等

HARADA,T.,T.SATO,D.AsAKA andI.MATSUKAWA :Large‑scaledeletionsofrice plastidDNA inantherculture. Theor.Appl.Genet.81:157‑161,1991.

HARADA,T.,R.IsHIKAWA,M.NHZEKIandK.SAITO:Pollen‑derivedricecallusthat havelargedeletionsinplastidDNA donotrequlreproteinsynthesisinplastidsfor growth. Mol,Gen.Genet.233:145‑150,1992.

HARADA,T∴DeletioninriceplastidDNA. RiceBiotechnologyQuarterly.10:4,1992.

(2)口頭発表

原 田竹雄,石川隆二,新関 稔,賓藤健一 :イネ花粉 由来 カルスの線状色素体 DNAの構 造。第4回植物分子生物学 シンポジウム,仙台,1991 6月。

HARADA,T.,R,IsHIKAWA,M.NIIZEKIandK.SAITO:Large‑scaledeletedplastidDNA in thericecallusderived from pollen. Third InternationalW orkshop on Rice MolecularBiology.Sapporo,August,1991.

原 田竹雄,藤 田 隆,小笠原博幸,石川隆二,新関 稔,欝藤健一 :イネ荷培養 由来 カル スの欠失変異色素体 DNAの解析。 日本育種学会第81回大会,19924月。

、l').'7

(3)

Ⅰ. 緒

Ⅰ.アル ビノの欠 失 色 素体 DNA

HL 欠 失 色 素体 DNAの構 造 解 析

Ⅴ.色 素体 DNAの コ ピー数 と色 素体 の電 子顕微 鏡 観 察

V.正 常色 素体 及 び葉 緑体 にお け るヘ ア ピ ン末 端 を有 す るDNA

ⅤⅠ. 総 合 論 議

II.要 約 20

(4)

.鰭

j喜l

イネ荷培養 は純系 を早期 に得 る手段 として,多 くの試験研究機関が育種 プログラムにこの技 術 を取 り入れてい る(OoNO1981)。 しか しその効率 を向上 させ るためには改良の余地が残 され ている その一つ に,イネ荷培養 による再分化個体 にはアル ビノが多発す る とい う問題やミある。

このアル ビノ化現象 はコムギやオオムギで も観察 され,禾本科 に特異的な現象 であ る (CLAM‑

pHAM 1993)。アル ビノの発生率 には多 くの要因が関与 してい る とい う報告があ る 例 えば,材 料 とす るイネの系統や生育状況(BULLOCKetal.1982),花粉の発育段階(CHENandLIN1976), 培養や低温処理 の温度 (HUANG1984,GENOVESIandMAGILL1979),培地の シ ョ糖濃度や生 長 ホルモ ンの組 み合 わせ (CLAMPHAM1973)な どである しか し, アル ビノ発生の原因 は不明 である

アル ビノの細胞 には葉緑体 の前駆体 である色素体が存在す る (VAUGHN eta1.1989)。 この 色素体 内には色素体 DNAにコー ドされてい る リブロース‑2一リン酸脱炭酸酵素や 23S16SrRNA分子が欠如 している (SUNetal.1979)。核 と細胞質遺伝子間の協調的発現があるこ

とか ら (RoDERMELetal.1988), これ らの分子 の欠如 は色素体 か らの葉緑体 への分化 に関与す る核遺伝子 の変異 による可能性 もある。一方,DAYandELLIS(1984,1985)はオオムギの荷 培養 によって再分化 した花粉 由来のアル ビノの色素体DNAに大 きな欠失領域が あることを報 告 した。

高等植物 の色素体 の主た る機能 は葉緑体へ分化 しての光合成である。 しか し,色素体 は細胞 の分化 の方向性 に従 って大 き くその形態 と機能 を変換 させ るとい う特徴が ある(KIRKandTIL NEY‑BASSETT1978)。植物細胞 には全能性があ ることか ら,葉緑体以外の色素体 (例 えば,ア

ミロブラス ト・有色体 ・白色体)か らも葉緑体 への分化が可能 である と考 えられ る (PossINGAM 1980)色素体 は独 自のDNAを持 ってお り,光合成 に関与す るタ ンパ ク と独 自の翻訳系で機能 す るtRNArRNAをコー ドしている (SUGIURA1989)。 この ことか ら,色素体 は どんな分 化の過程 であろうと無傷 のゲ ノム を保持す る必要が あ り, その発現 はメチル化 や翻訳機構 の上 で制御 されてい る もの と考 え られ る (NGERNPRASIRTSIRIeta1.1988,DENGandGRUISSEM 1988)

寄生植物 の一種 である Eplfagusuiygi:nianaの色素体 DNA、は,光合成 に関与 す る遺伝子群 を欠失 しているが,rRNA ・tRNA・リボソーム蛋 白遺伝子 ・数個 のORF(オープ ン リーデン グフレーム)が残 されている。 この ことか ら, この寄生植物 のゲ ノムには非光合成的な生理機 能 を有す る何 らかの タンパ クが コー ドされてお り, この転写 ・翻訳のために色素体 ゲ ノムが残 存 している可能性が示唆 されている (DEPAMPHILISandPALMER 1990)。一方,植物の 5‑ア ミノレブ リン酸 (ポル フィリンの前駆物質) はグルタ ミン酸か ら生成 され るが, この生合成の 過程 には,色素体 DNAにコー ドされ るtRNAGlu分子が必要 とされ る (ScHONetal.1986)

ポル フィリンは ミコ トン ドリアや その他の細胞小器官の電子伝達系 な どに機能 す る化合物 であ り,基礎 的な代謝系 には必須であることか ら,HowEandSMITH(1991)は,非光合成植物の

‑ 1 ‑

(5)

色素体 DNAが この tRNAGluを生産 す るための RNAポ リメラーゼ を生産 している もの と考 えている この様 に非光合成的色素体 ゲノムの機能 については不明の点が多 く,緑色植物 での 欠失色素体 DNA の解析 は, これ らの点 を解明す る優 れた研究材料 となろ う イネの葉緑体 DNAはタバ コ及 びゼニ ゴケ と同様,全塩基配列が決定 されてお り (HIRATSUKAetal.1989),

コムギやオオムギに比べ その解析が進 んでいる ことか らも研究材料 として好適 である

本研究 はよ り効率的なイネ荷培養技術 の開発 を目標 として,荷培養 におけるアル ビノ発生の 原因 を解明す る とともに,葉緑体 への遺伝子導入系のベ クター として,欠失色素体 DNAの使 用の可能性 について検討 した ものである

.

アル ビ ノの欠失色素体

DNA

1. 材料及 び方法

イネ (07yZaSatiuaL.栽培品種 ̀キタアケ') を温室 で育成 し,葉耳間長 をめやす とし 1核期 の花粉 を含 む幼穂 を採取 し,10oC10日間低温処理後,荷培養 に使用 した。5ml N6基本 培地 に30g/1シ ョ糖,1g/1酵母 エキス,2mg/12,4‑D (2,4‑dichlorophenoxyaceticacid) 添加 した液体培地上 に荷 を浮遊培養 した。形成 したカルスを0.8%寒天の固形培地上 で増殖 させ た後,0.5mgIAA/12mg/1カイネチ ンを含 む N6基本培地上 で再分化 を図 った。

再分化個体 の根 か らのカルス誘導 は ABEandFUTUHARA(1984)の方法 に従 った また浮 遊培養 は25oCの条件下で,再分化 のための培養 は25oC,約 3,000Lux16時間明期 の条件下

で行 った。

DNAの抽 出 は MuRRAYandTHOMPSON (1980)の方法 に従 った サザ ンハ イブ リダイゼ イ シ ョンは制限酵素 で処理 した DNA 0.8%アガ ロースゲルで電気泳動後,SUGIURA and KUsUDA (1979)の方法 によ りブロ ッテ ィング を行 った。 タバ コ葉緑体 DNA の クロー ン pTBa13,pTBa30,pTX6(SUGIURAetal.1986)とイネ葉緑体DNAの クロー ンpHIOR(rbcL 遺伝子 を含 む9.5kbpHindIII断片 ;MooNetal.1988)をプローブ として用 いた。検 出 は digoxigenin‑dUTPによ りラベル した非 アイ ソ トープ法 (HELIESetal.1988)で行 った

2.

植物 の ミ トコン ドリアゲ ノム には葉緑体 ゲノムの一部が転移 した と考 えられ る領域が存在す (STERN and PALMER 1984) イネの ミ トコン ドリアゲ ノムには rbcL‑atpB‑atpE‑trnM‑

trnVの葉緑体遺伝子 のクラスターが存在 す る (MooNetal.1988) このため, この領域 を含 む葉緑体 プローブDNApHIORは, ミ トコン ドリアDNAの相 同領域 に もハ イブ リダイズ し,Fig.1に示す とお りHindIII分解の全 DNAに対 す るハ イブ リダイゼー シ ョンの結果 は, 9.5kbpの色素体 DNA6.9kbpの ミコ トン ドリアDNAが検 出 され る。 しか し, い くつか のアル ビノ植物 で は6.9kbpの断片のみが検 出 された。 このアル ビノで は制限酵素 の種類 を変

‑ 2‑

(6)

b1Lh32

HindH Pstt PvuH Sall

i I

G A2

G

A2 G A2 G A2

=≒寺

̲ .・: Ar

ト 『 ●『■

2.

‑‑くー

L.I

Fig.1. HydridizationanalysisoftotalDNA from ricealbinoclone2

(A2). TotalDNAs were digested with HindIII,PstI,PuuII and

Ball, fractionatedonagarosegel,andthentransferredtonitrocellulose別

ters. Eachfilterwashybridizedwiththelabeled9.5kbpfragmentconta

ining rbcL (PHIOR). LaneG;greenplant. LaneA2;albinoclo

ne2.

Fig.2. RestrictionmapofriceptDNA. ThepositionsoftheprobesP HIOR, pTBa13,pTBa25,pTBa30andpTX6areindica

(7)

Pstl Et A5 kb

23.1‑

i.

̲ I'一lJ)EIIIvv

lJll

一一‑910

<rrlt 考静 輪舞■

2.

Pvu H Et A5

≡ヨ 欝轡 ‑3

二 二 ガ , drrlt 一〇

n,

^L Fig.3.HybridizationanalysisoftotalDNA from rice albi

noclone5(A5) , TotalDNAsweredigestedwitheach enzyme ,f

ractionatedonagarose gelsnotdetectedinthealbinoplantareshownbyarrlulosefilterandhybridizedwithlabeledprobePHIOR,pTBa13,pTX6andpTBa30.Fragmentnumber ,thentransferredtoanitrocel ows.mt;fragment(S) of

(8)

Fig.5.Diagram summarizingretainedptDNA regionsinricealbinopl ants. Theretainedregionsineachoft

healbinoplantsareshownoutsidethe ptDN

A restrictionmap.

えての解析結果 もミ トコン ドリアDNAのみが検 出 され ることか ら,色

素体 DNArbcL 領域 が欠失 して い る と判 断 された次 に,葉緑体 D (Fig.1) 。

NAの ほぼ全域 をカバ ーす るタバ コ とイネのプ ロー ブDNAを使用 し,サザ ンハ イブ リダイゼイ シ

ョンに よ り,欠失領域 を検討 した (Fig.2) アル ビノ20個体 の全 DNA PstI,Salt

,PvuIIで切 断 し検討 した ところ,正常 なパ ター ンが得 られ る もの もあったが, 7種 の

アル ビノで は断片の欠失が認 め られた。 アル ビノ A4は小単一配列 (SSC)の領域 が検 出 され なか った アル ビノ A5 SSCの領域 に加 え

,逆位反復配列 の部位 が なか った (Fig.

3)。最 も規模 の大 きな欠失 はAIOA20

おいて観察 された (Fig.4) これ らの検 出ター ンには欠失 の結果新 たに生 じた と考 え

られ るコン トロール には見 られ ない断片が認 め られた Fig.5に示す よ うに欠失 の領域 はアル ビノ個体 に

(9)

欠失色素体 DNA20個 のアル ビノの うち13個体 には検 出 されなか ったが, 限酵素断片 によ る解析実験 では検 出 されない小規模 な欠失領域 が存在 している可能性 を排除出来 なか った。

3.論 議

荷培養 由来 のイネアル ビノで大規模 な色素体DNAの欠失が観察 された。 この結果 は, コム ギ とオオムギで観察 された結果 と一致す る (DAYandELLIS1984,1985)。植物 ミ トコン ドリ DNAの大規模 な欠失構造が報告 されているが, これ らは数 kbpの反復配列間の分子 内組 換 えによる ことが判明 してい る(LoNSDALEelal.1984,STERNandPALMER1986,SICULELLA andPALMER1988,FAURONetal.1989)。しか し,葉緑体 ゲ ノム上 には,ミ トコン ドリアDNA の ような数 kbpにお よぶ反復配列 は逆位 反復配 列以 外 には存在 しない (HIRATSUKAetal. 1988)。 ミ トコン ドリアDNAの欠失例が人間の細胞 で も発見 され (HoLTetal.1988), その 原因 は 10bp前後 の反復配列 間での組換 えに よる ことが明 らか に されてい る (ScHONetal. 1989,MITAetal.1990)。 イネの色素体 DNAには, この ような短 い反復配列が い くつか存在 す る (SHIMADAandSUGIURA1989)ことか ら, これ らの配列が関与 している可能性 も考 えら れ る。

一方,色素体 DNAは培養条件下 で は比較的安定 してい る(CHOWDHURYetal.1988,KEMBLE etal.1988,RoDEetal.1985)。今 回使用 した種子 由来 のカルス も,色素体 DNAに全 く変異 が認 め られなか った ことか ら,欠失色素体 DNAの出現 は,荷培養 に特異的な現象である もの と考 えられた。VAUGHNetal.(1980)は花粉 由来 アル ビノのオルガネラの形態的異常 を, ま MIYAMURAetal.(1987)はコムギの花粉の第 1核期 か ら2核期 の発育過程 で色素体 DNA の消失 を顕微鏡下 で観察 してい る。DAYandELLIS(1984)は荷培養の再分化個体 にアル ビノ が多発す る原因 は,細胞質ゲ ノムの母性遺伝が関与す る と考 え られ る色素体DNAの消失現象

(KUROIWAetal.1982,VAUGHNeta1.1980)と関係が ある可能性 を示唆 している。

欠失 DNA 分子 を有す る色素体 は,独 自のタ ンパ ク合成能 を失 うことになる。OELMULLER andMoHR(1986)は, クロラム フェニ コール処理 による色素体 内のタンパ ク合成阻害が,核

にコー ドされ る色素体 タンパ クの遺伝子の転写 を停止 させ ることを明 らか に した. また,BURP GESSandTAYLOR(1988)は,葉緑体 か らの何 らかの刺激が核 コー ドの葉緑体 タンパ ク遺伝子

の転写 に必要であ ることを報告 している。 これ らの結果か ら,欠失DNAを有 す る色素体 は葉 緑 体 へ の 分 化 能 力 を失 い, この こ とが ア ル ビ ノ化 の 一 因 とな っ て い る と考 え られ る

(HAGEMANNandBoRNER1978,ScoTTeta1.1982,SASAKIandKUROIWA1988)0

‑ 6‑

(10)

.

欠失色素体

DNA

の構 造解析

1. 材料及び方法

アル ビノ (栽培品種 ̀キタアケ')の根 よ り誘導 したカルス (A5,20C)を使用 した。 これ ら のカルスはN6基本培地 に30g/1シ ョ糖,1g/1酵母エキス,2,4D2mg/1を含 む寒天培地上 または液体培地 中で経代 された。

カルス よ り抽出 した全DNAを制限酵素で消化 し,0.8%アガ ロースゲルで泳動後 ナイロン膜 にプロッ トし,サザ ンハイプ リダイゼイシ ョンによ り欠失構造 を解析 した。プローブDNAは 名古屋大学杉浦教授か ら分譲 していただいたイネ葉緑体 DNA13種 の クロー ンを使用 した。

パルスフィール ド電気泳動 は液体窒素でパ ウダー化 した約 0.1gのカルス を0.7%の低融点 アガロースゲル (10mM Tris‑HCl,pH7.8,15mM NaCl,200mMEDTA)に包埋 した。 こ のアガロースブロックを,10mM TrisHClpH8.0,50mM EDTA,1% sarkosyl,1mg/ml ProteinaseK50oC,16時間処理 したのち,CHEF‑DRIVEII(BIORAD)0.5XTAE緩 衝液 を用い,9oC,45秒のパルスタイムで200V,12時間電気泳動 した。 また,アルカ リ電気泳 動 は,制限酵素で分解 した全 DNA50mM NaOHに溶解 し, これ を0.8%アガロースゲル を用 いて,SAMBROOKetal.(1989)の方法 に従 って行 った。PCR実験 は,0.4JJgのテンプ レー トDNA,1ノバnOlのプライマー,Cetus社の Taqポ リメラーゼ と緩衝液 を使用 し,25サ イクル (94oC,1.5;55oC,2.5;72oC,4分)で行 った。反応産物 は3%NuSieveアガ ロースで検 出 した。用いたプライマーの塩基配列 は以下の通 りである0

プライマーA‑CTTAAATGTGTTTAGTATTTAGTAGCCCGA B‑CAGCTTTAAAGGGAAGGGAGATAGACTG C‑CATAGTGGCAACTAAACACGAGGGT D‑TCATAGTTGCATTACTTATAGCTTC

(‑ は 5か ら3方向 を意味す る)

これ らの配列 はEMBLdatabase(no.X15901):A,12121‑12150;B,12602‑12630;C, 122736‑122760;D,123821‑123845に相 当す る。

2.結 果

Fig.6に,各 カルス内の色素体 DNAの欠失領域 を示す。い くつかのカルスで はヘテロな欠 失色素体 DNA分子の存在が認 め られたが,4‑5回のカルス経代後 には,均一の欠失DNA分 子が得 られた。 この現象 はカルス培養でのヘテロな色素体DNAのふ るい分 け (Sorting)の結 果 と考 えられた。残存す る領域 の制限酵素認識部位 は, コン トロール として使用 した種子 由来 カルスの DNA及 び塩基配列か ら構築 された物理地図 と一致 した。

よ り詳細 な構造 を検討す るため,A5カルスを使用 して解析 を進 めた。制限酵素分解 を行わな い場合 には,19kbp38kbpの分子が観察 され, また PstIで分解 した場合 に も2本の断片

‑ 7‑

(11)

Fig.6. RetainedregionsofthedeletedplastidDNAineachcallus(curvedlines 15), Line5 indicatestheregionofcalluslinedescr

ibedhere. The innercirclerepresentsthericeplastidgenome. Theinve

rtedrepeats areindicatedwithboldboxes. LSCandSSC indicatethelar

geand smallsinglecopyregions,respectively. Thedottedareashow

sthe regionofthepPR2clone,nexttotrnE(glutamatetRNAgene)

.Aand Bdenoteregionsdescribedin

(12)

A

Pstt BamHt HindlII Hinclt EcoRI KpnI

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一」・1110 j l

Fig.8. Arestrictionmapoftheterminusofdele

tedplastidDNA incallusline 5andSouthernblotsobtainedusingt

heHincII0.8kbpfragmentasa probe. (A)A restrictionmapconstruc

tedfrom sequencedataofrice chloroplastDNA. Locationsofgenes

andthepositionsofprimersA andB (Fig.5)areshownabovethe

map. Theverticaldashedline indicatestheterminusandconcatemeric

point.Theregionoftheprobe usedisshownbelow themap. Thes

izesoffragmentswhichshould hybridizewiththeprobeareindicatedin

kbp,andthesizesofterminal fragmentsareinparentheses. (B)Lane

s1and2foreachrestriction enzymeshow thehybridizationpattern

oftotalDNA from seedcallus, andthatfrom callusline5,respectivel

y. Thesizesofthefragments detected

ineachlaneareshowninkbp. が観察 された (Fig.7)プロ

ブ DNA Fig.6の領域Aを有 している限 り,制限酵素の種 類 を変 えた場合 に もこの ような2

本 のバ ン ドが観察 された (Fig.8B)プローブ DNA領域 と 検 出 され る断片 のサイズか,Fig.8

A に示 した ように,trnG遺伝子側 (Fig.8Aの ドット領 域)が消失 し,末端が形成

されてい るもの と判断 された。 さらに, もう一方の末端部位 を決定 す るため,Fig.6の領域B

を含 むプローブ と数種 の制限酵素 を使用 したサザ ンハ イブ リダイゼ イン ョンを行 った。 その結果,atpH領域が失われていること,すなわち,atpI3′側 で末

(13)

Bam HI HindH1

1 2 1 2

‑22.‑12.29 EcoRI1 2

Fig.9. Electrophoreticanalysisoftheterminalstructure

ofthedeletedplastid genomeincall

usline5.

primer A ◆

a B C+D

S 1 2

3

4 5

6

7

Fig.10,PCRanalysesofthedeletedplastidD

NA. Lane1,H20control;lanes 2,4and6,totalDNAfromseedcallus

;1anes3,5and7,totalDNAfrom caHusline5.Primersusedare

(14)

H H H

ll.1 2.3 3.

8 1.95

B

H H

H H H H

■ :

二転 22.2

二 ヒ

麟 由 恕 きd I

l l

転 拙 皿 き 泣9

3.9

Fig.ll. ThestructuresofdeletedplastidDNAincallusl

ine5. (A)Structure ofmonomer,(B)stmctureofhead‑to‑headdim

er,(C)structureof taiトーO‑taildiner. Terminalandconcatemeri

cfragmentsizesare indicatedinkbp.H ;HindIIIrestrictionsite.

端が形成 されていることが明 らかにされた。Fig.8Bに示す ように,各制限酵素 によって検 出

され る2本の断片の うち,大 きな断片サイズ は小 さい断片サイズの2倍であった。また,もう一

方の末端 において も同様 の結果が得 られた。

これ らの断片 は他の領域 をプローブ とした場合 に

は検 出 されない ことか ら,末端が向かい合 っ た形で連結 してい るもの と結論 された。 さらに,無処理のDNA分

子 は19,38,57,76kbpと 単量体 か ら4量体 と考 えられ る分子が認 め られ ることか ら (F

ig.7B),19kbp の線状分子が Head‑to‑Head,Tailto‑Tailの様式で連結 した分子種 が存在 して

いるもの と判断 された (Fig.

ll)0Fig.9は3種 の制限酵素 を使用 し,アルカ リ条

件下で電気泳動 を行 った結果である。末変性 ゲルで確認 された2本の検 出断片の うちサイズが

大 きい方は確認 されたが,小サイズの断片 は 消失 した。アルカ リ変性ではDNAの2本鎖が解離 し1本鎖 になる (

SAMBROOKetal.1989)0 このため2本鎖 DNA分子の一方の末端が‑ア ピ

ンで閉 じていると考 えられた。同 じ結果が, もう一方の末端での実験 において も観察 された こ

とか ら, この欠失色素体線状 DNA分子 は両 末端

がヘアピンで閉 じているもの と結論 された。

プライマーABを使用 して PCR実験 を行 っ

た ところ, コン トロールカルスの場合 には塩 基配列か ら予想 され るサイズ (569bp)の DNAが増幅

されたが,A5カルスでは約 130bpの DNAが増幅 された (Fig.10)。 さらに, このDN

AはプライマーBのみによるPCR実験で も 増幅 された。 この結果 はプライマーBを含 む配列

が逆位の状態で存在す ることを示唆す る。 こ の約 130bpDNA は,末端A領域 を含むプローブのみ と分子雑種

(15)

rRNA遺伝子 (rrs16)の一部 を増幅す るプライマーCDを用 いた PCRでは,A5カルスで 増幅 DNA が確認 されなか った ことか ら (Fig.10),A5カル ス=こは正常 な色素体 DNA 分子 が消失 してい る もの と考 え られた。

Fig.6に示す A5以外 のカルスでの欠失色素体 DNA分子 について も同様 な解析 を行 った。

その結果, これ らの分子 も線状 で末端がヘ ア ピンであることがサザ ンハ イプ リダイゼイ シ ョン の実験 か ら明 らか にされた。

3.論 議

両末端がヘ ア ピンで閉 じてお り,Head‑to‑Head,Tailto‑Tailの連結様 式で多量体 を形成 し てい る とい うDNAの構造 は, オオムギで明 らか にされた欠失色素体DNA と基本 的 には同 じ である (ELLISandDAY1986,CoLLINandELLIS1991)。 しか し, イネ色素体 DNAの全塩基 配列が既 に決定 されてい る (HIRATSUKAetal.1989)ことか ら, よ り詳細 な構造が比較的容易 に決定 された この ようなDNA分子 の構造 は動物 ウイルスである, ワクシニ アウイルスにお いて も報告 されてい る。 この ウイルスの複製初期 にお ける電子顕微鏡観察や ラベ リング実験 か ら,末端側 に複製開始点が存在 す る もの と考 え られてい る (EsTEBAN etal.1977,PoNGOet al.1981) 。 BAROUDYetal.(1983)は末端 のヘ ア ピンの一部 にニ ックが形成 され, フ リーの3′

末端 がプライマー として機能す る とい う複製 モデル を提唱 してい る。ヘア ピン末端 を有す る線 状 のプラス ミドDNA Rhizoctoniasolaniで報告 されてお り (MIYASHITAetal.1990), そ の複製機構 に関 して もワクシニアウイルス と基本 的 には同 じモデルが考 えられてい る。 これ ら のモデル は,ヘ ア ピン構造及 び Head‑to‑Head,Tailto‑Tailと連結す る多量体分子種 の構成 を説明可能 である点 で注 目され よう。しか し,高等植物 の葉緑体 ゲ ノムの複製開始点 はatpH 近傍 に存在 す る とい う報告 (DEHAASetal.1986)もあ り,欠失色素体 DNAの複製機構 を解 明す るためには, よ り詳細 な研究が必要 とされ よう

Ⅴ.

色素体

DNA

の コピー数 と色素体 の電子顕微鏡観察

1. 材料及び方法

材料 として,イネの緑葉 とアル ビノ個体 の葉 を,また懸濁培養 した種子 由来 の カルス とA5 ルスを使用 した 各材料 か らの全DNAHindIIIで消化 し, プローブ としてrbcLを含 むイ ネ葉緑体 DNAクロー ン (PHIOR)を用 いたサザ ンハ イプ リダイゼイ シ ョンに よ り, ミ トコン ドリア と色素体 DNAの コピー数 を算 出 した。電子顕微鏡観察 は,常法 によ りグル タールアル デ ヒ ド(2.5%)及 びオス ミウム酸 (2% osmicacid)溶液で2重 固定 し,エタノール (75,90, 95,100%)で脱 水後, スパ ー (Spur)樹脂 に包埋 した。切片 はウル トラ ミクロ トーム(LKB社 NOVA)を用 いて薄切 した後,酢酸 ウラニル(3%)‑クエ ン酸鉛溶液 で電子染色 を行 った。切片 の観察 は日本電子 JEM2000EX型透過型電子顕微鏡 を用 い,加速電圧 100KVで観察 した。

‑ 12‑

(16)

2.

Fig.12に示す ように A5欠失色素体 DNAの コピー数 をサザ ンハ イプ リダイゼイ シ ョンの シグナルの強 さか ら概算 した ところ,正常 な色素体 DNAを有 す る種子 由来 カルスのDNA とほぼ同 レベルであ り,細胞 当た り約8,000コピー存在 していた(Tablel)。 また, この コピー 数 は同一 カルス内の ミ トコン ドリアDNAの コピー数 とほぼ一致 していた

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J 生 L Li E空 trnHM凸 V

ト空 し → ← 三聖

二半

trnM盟

Mt 6.9kb

Fig.12. DNAgelblotanalysisofpastidandmitochondorialDNA

.TotalDNA wasdigestedwithHindIII,andhybridizedwithPHIOR (9.5kb). Lane lto3wereloadedwiththeDNAattheequlValentof1,000,5,000a

(17)

Fig.13. Electronmicrographofaseed‑derivedcallus.P;Plastid,M ;Mitochon

drion,Ⅴ ;Vacuole,CW ;Cel

参照

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