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完新世奈良盆地の自然史−その2−

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

完新世奈良盆地の自然史−その2−

著者 西田 史朗, 松岡 数充, 野口 寧世, 金原 正明

雑誌名 古文化財教育研究報告

7

ページ 69‑89

発行年 1978‑07

その他のタイトル Holocene Natural History in the Nara Basin. ? URL http://hdl.handle.net/10105/426

(2)

完 新 世 奈 良 盆 地 の 自 然 史 ― そ の

2‑

西 田 史 朗

*

野 口 寧 世***

松 岡 数 充 金 原 正 明

*

Holocene Natural HiStory in the Nara BaSin.Ⅱ

shirO N ishida*′

Yasuyo N oguchi***

Kazumi Matsud<a**

,

ard Masaaki Karelnra*

     

先の報告 (西 田・松岡,1977)でも記 したが,奈良盆地は我国におけ る古代国家成立の地であ り,

飛鳥・白鳳・天平 と続 く古代国家発展の土地 である。 もちろん,統一国家の成立以前か らこの地に 人 々が住居 を構 え,生活活動 を行 な つていた こ とは確 かであ り

,そ

の遺跡 も諸処で発掘 され

,調

査 さ

れてきている。 この奈 良盆地に何時か ら人々が住み着 いたかは定かではないが,少な くとも紐文時代

にはも う生活 していた様子が,竹内遺跡な どの発掘 を通 じて知 られるようにな つてきた。 このよ うに み て くる と日本の他の地域 と比べて

,奈

良盆地 もかな り古 くか ら開発 された先進地の一つ と思 われ

る。

組 文 人 を住み着 かせ

,最

初 の統一 国家 の中心 とな り

,古

代文化 の華 を開 かせ た この奈 良盆 地の 自然 的 魅 力は一体何 で あ つた か。我々は奈 良盆地底 に残 された堆 積物 を通 して

,そ

の 自然 の背 景 を探 り,

「歴史を育んだ器」の様相を明 らかに しようとするものである。

本報も第 1報

(西

田 。松岡

,1977)と

同 じく粗試料の記載 と分析中の中間的な報告 であり

,扱

た試料 も前年度に採取 したもの をも含む。

本報告の要 旨は

,昭

52年

度特定研究「古文化財」

この研究は文部省科学研究費補助金 ・特定研究「古文化財 環境 についての研究」班 (代表・粉川昭平。大阪市立大学教授 費の大半 は上記の研究費補助金 に よる。

研究 会で報告 した (粉 川ほか

, 1978)。

の「植物性遺物による古代人の生活 と )の 一端 として行 なつた もの で,研

奈 良教育大学教育部地学教室 大阪市立大学理学部生物 学教室 大阪教育大学付属高等学校平野校舎

‑69‑

(3)

本研究 を進めるに当 り,「植物性遺物 による古代人の生活 と環境 につ いての研究」班の諸氏か らは,

折 にふ れ有益 な助言 を頂 いた。

大和郡山市稗 田町 。松村 進氏,生駒郡斑鳩町 。松村徳郎氏・秦 一 男氏は

,ボ

ー リング用地 を快 く提供 して下 さった。

また,奈良教育大学教育学部地学教室・阿部克彦・小牧康彦・肥塚真知子・石橋幸二・江尻祥晃・

前田 充・福井典子・大石真士 の諸氏,橿原市立八木中学校・故岩井恒夫教諭,奈良市立都南中学校

・森下良介教諭 には

,炎

天下 と寒風 のふ きす さぶ中でのボー リング作業に際 し

,献

身的に協 力 して頂 いた。以上の方 々に厚 く御礼申 し上げます。

研 究 方 法 と 試 料 採 取 地 点

研究 の方法は

,前

報で記 した通 りである。今年度の試料採取は,大和郡 山市稗 田か ら奈 良市柏木町 にかけての佐保川流域 と

,生

駒郡斑鳩町法隆寺周辺の旧草炭採掘地 を中心にハ ン ドオーガーによ り

7点

の柱状試料 を採取 した。

%

静 ″

μ

76‑■

a

77‑6

概 原 。

t

試料 採取地 点

*は

昭 和

51年

,○

52年

度 の採取地 点 を示 す。

‑70‑

切 ・ι ミ

︱′

■ 7 ヽ︲て 0い

76‑6

5  

76-7*

76‑

一塾

第 1図

(4)

第 1図 にその採取地点 を示す。前年度の採取地点 を斜字体で

,本

年 度の採集地点 を立体で示 した。

その位置 と海抜高度

コア長 を第

1表

に示す。 また,採取 試料の岩相柱状図 を第

2図

に示す。採取 し た試料は

,す

べて奈 良教育大学教育学部地学教室に保存 している。

西 田・松岡 (1977)の第 1図 に示 した試料採取位置の うち, 76‑10地点 と76‑12地点が入

換わ つてい る。お詫 び して訂 正す る。

柱 状 試 料 に つ い て

採取試料 について,岩相の観察 を主 として説 明す る。第

2図

に簡略化 した柱状図 を示 した。

77‑0(大 和郡 山市稗 田)

稗 田遺跡発掘調査地に建設 中の奈 良県営 住宅の下水管埋設工事現場か ら得た泥炭質の晴茶色泥,

地表 よ り約付近にかな り安定 して広 く分布す る。現場は鋼矢板 が打設 されてお り,被覆 層の詳細

は観察 できなかつた。 また下位層もこれ以上の掘削がな されていないため判然 としない。

この地点は前年度の76‑13地点のほぼ東方

200π

に当 り,泥炭質試料 を得た深度 は76‑13 (385‑400")の 泥炭 と一致す る力ヽ 岩相上で次の相違 がある。77‑0(400")試 料 は

,水

分の多 い植物片な どを混 じえた暗茶色の泥であるのに対 し76‑13(385‑400 )は

前報で

も記 したが,水分の少 ない

,多

孔質 で不純物 ない し炭質物 を含む ものである。 この岩相上の相違は,

14C年代のちがいで も示 されてお り

,こ

の地域 で層準の異なる

2枚

の泥炭層の存在が確認された こ とになる。

77‑■ (大 和郡 山市稗 田町)

地表 より

50"ま

では耕作土で

,そ

の下5"は灰 白色礫混 り粘土, 55‑65翻は淡黄褐色 シル ト, 65‑85 は灰 白色の礫混 り砂で,下部 では径5″程度の黒色チ ャー トと径1"の花聞岩質礫 を含 む。85‑126翻 は褐色 ない し淡褐色の石英粒 とチ ャー ト礫 を含む中粒砂.126‑140 は雲 母

1表 柱 状 試 料 採 取 位 置

ォ ー プ ンカ ッ ト ハ ン ドオ ー ガ ー

600 560 620 260 430 175 380 45

45

50

51

55 55 47

48

大和郡山市稗 田町・県営住宅建設工事現場 大和郡山市稗 田町 ・稗 田遺跡東側 ・休耕 田 大和郡 山市若槻・ 東淀建設敷地 内

大和郡山市下三橋 。東淀建設敷地 内 大和郡 山市東奈 良 口町 。清掃工場 内 奈 良市柏木町 ・奈 良バイパス陸橋北詰 生駒郡斑鳩町並松・法隆寺前駐車場東側 生駒郡斑鳩町並松 ・法隆寺参道西側

77‑0 77‑1 77‑2 77‑3 77‑4 77‑5 77‑6 77‑7

‑71‑

(5)

ア7‑4 77‑5

:″

14c

25,500 

±4■5

14c

32,5oo 

±1,■6o 14c 5‑ユ

2ム,400

■550 5‑2

3‑1 3‑2

3‑3 3‑4

2‑ユ

2‑2

3‑5

'‑63‑7 3‑θ 3‑9

3‑■θ J‑11

77

6‑1 6‑2 6‑θ

77‑1 6‑̀

7‑37‑̀

7‑5

1J

□ 目 目

目 目

1‑2

1‑3 1‑̀

1‑5

‑6

1‑7

77‑3

77…2

´¨

■ ン ン一 一´ 一′

¨グ 卜1業:

アアー

6

‑72‑

αШΣШШ

(6)

片 に富 んだ細砂, 140‑155"は 石英・ チ ャー トの細礫 を含む青灰色の中粒砂 である。

155‑230"は 青灰色 シル トで,所々に褐色バ ン ドを挟み, 200‑217 では ラ ミネー ト状 を呈 す る。217"か 310mまでは,青灰色 の シル トない し細砂 で, 250翻付近に植物質に富む5翻

程度の褐 色 シル ト層 を挟む。310‑445"は 石英質の砂層で

,所

々に径0.5‑1翻くらいのチ ャー ト・長石・石英礫 を含み

,下

部に なるほ ど粗砂 になる。445‑470翻 では,石英質の細礫層 となる。

470‑600"は かな り締 つた褐色の シル ト層で

, 550翻

付近 に自色の火山灰様の薄層 を挟む。 こ の火山灰様堆積物 の検討は現在進行中で,76‑7の 270‑280翻 か ら得 られた火山仄 と関連 して 興味が もたれる。

77‑2(大 和郡 山市若槻)

地表 か ら

55

までは水 田耕作土で

,そ

の下部は220翻 まで暗灰色の砂層が続 く。 この砂層中に

,褐

色バ ン ドや シル トな い し粘土層 を所 々に挟む。220‑280翻 は灰青色のかた いシル トない し 粘土 層で,下部では粘度の たかい暗黒色の粘土 層にな る。280‑560"は 青灰色 の中粒 ない し細粒 砂 層で,材片 を含む。 しか し材の腐朽 が著 しいこ とと,細片 であるため,,樹 種 の決定 は困難 で ある。

この中で, 460‑480側 に植物質に富む暗黒色の炭質 シル ト層を挟む。この炭質 シル ト層は77‑

oの

泥炭質暗茶色泥に相当す るもの と思 われ る。

77‑3(大 和郡 山市下三橋)

地表か ら

35翻

までは耕作土, 35‑70翻 は酸化鉄の薄 い被覆 をもつ石英質砂層, 70‑140

は褐色バ ン ドの入 つた シル トない し粘土層で,下部ほ ど青灰色になる。140‑490"は 淘汰 のよ い青灰色の細砂 ない し粗砂か らな り

,所

々に同定不能な植物片 を産す る。490‑580"は 淡 い黄 土色 の草炭層で,外気 に触 れ る と急速に黒化す る。530‑547"は 灰色 の シル ト質砂 層か らな り, その下に厚 さ5翻の草炭層が再び現われる。552‑585"は 植物片 を混 じえた灰色粘土 層, 585

‑620"は 青灰色 の粗 い石英質砂層か らな り5翻程度の植物 片に富 む2枚の シル ト層を挟む。

77‑4(大 和郡山市東奈 良 口町)

地表か ら

20翻

は水田耕作土, 20‑120"は 青灰色中粒砂 か らな り

,石

英・ チャー ト礫 を含む。

120‑145翻 は暗青灰色の粘土 ない しシル トで,炭化 の進んだ植物片 を含む。145‑160"は

茶黒色の乾燥 した感 じの泥炭層で,一76‑13‑4の 泥炭 に似 る。 160‑260"は 青灰色 ない

し灰色の比較的粗い砂層か らな り,上部には細砂層 を挟み,下部ではチャー ト・緑色片岩様の細礫が み られる。

2図

 柱状試料

各柱状図の上端は,各ボー リング地点の海抜高度 と一致する。海抜高度は国土地理院2.5

万分の 1地 形図か ら読 み とつた。柱状 図の上端 の数字 は

,作

業地点 を示す。

A:砂質 シル ト層,B:砂 ,C:泥炭 層,E:火山灰層,F:木, G:土器 片, H:石

英片, I:微化石分析試料, J: 14C測定試料 数字は測定 した 14c年

代 を示 す。

‑73‑

(7)

77‑5(奈 良市柏木町)

地表か ら60"は耕作土, 60‑140"も 人為的 な痕跡 をもつ淘汰の良 くない青灰色 シル ト層で,

埋 め戻 し地 あるいは遺跡包含層か と思 われる。14o‑260物 は青灰色 シル ト層で, 180"付近 に 褐色バ ン ド, 230‑240翻付近 には藍鉄鉱の産出 をみ る。260‑430"は 灰色 の中粒ない し粗 粒砂 か らな り,下部 ほ ど粗 くなる傾向をもつ。下部では,チャー ト.石 英な どの径3"ほ どの礫 を 含 む。

77‑6(斑 鳩町並松)

地表か ら50"ま で耕土, 50‑125"は 青灰色の細砂ない しシル ト質砂層, 125‑145翻 酸化鉄 による汚染 を伴 った暗青灰色の泥層が続 く。145‑155"は 暗茶 色の有機質物に富む粘土層 であるが

,大

型 の植物遺体な り材片は確認で きない。 しか し

,付

近 の古老に聞いた ところでは

,こ

    .

地点はか つて法隆寺草炭田と して稼行 していた場所に南接す る位置 にあ り

,お

そ らくこの草炭層に対 比で きるものであろ う。155‑175御 は石英粒 の 目立つ,青灰色の中粒砂層か らなる。         .

77‑7(斑 鳩町並松)

地表か ら

55翻

は置± 55‑240"は 青灰色の細砂層を主 とし, 70‑75"と 120‑130翻

にやや植物質に富む シル ト層を挟む。240‑360御 は青灰色のシル ト層 と主 とし, 360‑380

は雲母片に富む青灰色の中粒砂か らなる。

14c年 代 に つ い て

採取 した試料の うち, 14c年代の測定が可能 と思 われる堆積物 が

6点

得 られた。その うち

4点

測定結果が知 られてお りさらに

2点

が測定準備 中である。

2表  14C年

試    料

地 表 下 深 度

岩 相 14c+ft(B.P.y)

77‑0 77‑3‑7 77‑3‑8 77‑4‑3

400‑420御 490‑500鍬 547‑552翻 145‑155翻

 炭 (草 炭)

27,200- 575 z5,boo+ +tb BP,boo+ t,l 6o

z4.4oo+ sso

77‑2‑3 77‑6‑4

460‑470"

145‑155

炭 質 シ ル ト

試料 はいずれ も草本性の植物遺体 を主 とす る泥炭 (草 炭 )な い し炭質粘土で

,木

片 は含 まれていな い。 したが って,堆積当時の植性 を忠実に反映 し

,実

年代 との隔た りは少ない と考 えられる。

‑74‑

(8)

14c年代の測定は日本 アイ ソ トープ協会へ依頼 した。

5,730年として計算 してある。

第 2表 に示 した年代は

, 14cの

半減期

これまでに分析 した結果の一部は,第一報 に概報 されている。今回得た試料は, 77‑1〜 77‑

7の

7柱

状試料 と77‑0試料で あ り

,そ

れ らの分析は現71・進行 中である。昨年度に得た試料の うち,

76‑7と 76‑13の分析 が完了 し

,さ

らに本年度 の77‑4と 77‑0も 終 了 している。 これ らの 結果につ いて述べ る。

76‑7(三 宅町三河北方)

本柱状試料には

,堆

積年代 の推定に役立つ化石や火山灰層・ 考古遺物が含 まれている。

76‑7‑10の 泥炭層は14c年代測定 の結果25,000±

580P.B・

Y。 が得 られている。76‑7

‑9直下の火山灰層は

,そ

の岩相か らみておそ らく姶 良

Tn火

山灰層に相当す るもの と思 われる。

この火山灰層は,上下の堆積物の14c年代 か ら推定 して22000〜21000Bo RY。 に堆積 した と

考 えられて いる。 また, 76‑7‑3の下か ら得た須恵器 は

,古

墳時代後期 か ら中世 にかけての時期に 製作 された もの とされている。このよ うに本試料は,これ までに得た い くつ かの柱状試料中,その堆 積年代 を比較的 細か く知 り得 るものの一つである。 しか し,この堆積は連続 して行なわれたもの とは 認 め られず,大きな時間間隙が少 な くとも一 ケ所 で知られ る。 それは以下に記す ように岩 相の観察 と 花粉分析か ら76‑7‑8と 76‑7‑7の 間に認 め られ る。76‑7‑11か 76‑7‑9直 上 の

火山灰層までは

,お

そ らく

,そ

14Cの年代の示す よ うに,ウル ム氷期 (最終氷期 )最 盛期に形成 された もので あろ う。76‑7‑8は 火山灰 層の直上であるが

,ほ

ぼ これ と連続す る。76‑7‑7

の砂を挟んで

,そ

の上の堆積物 か らは

,か

な りの高率で

Q″

″ι

(C″

θ″ お

JS)属

の花粉が 産出す る。 このこ とは,76‑7‑7以 浅 の堆積物 は,おそ らく大阪湾沿岸地域で前田(1977)の

い う照葉樹林時代*(6,000年

以降 )に 形成 された もの と考 えられる。 したが つて本試料 は, 76‑

7‑7の砂層付近 を境 に してかな り環境の異な つた二つの時代に形成 された と推察できる。 このよ う な時間間隙は

,他

の泥炭層を含む試料 にも認め られ

,例

えば76‑7試料 は河川成堆積物の様相 を示 す とみ られ る。76‑7柱状試料 中の花粉化石群集は

,次

の二 つの群集に識別できる。

下位 よ り

I)P′εοα属―

T釧

多 属―

Q″

πな (L″あ ″′α

% s)属

群集

)P″ お 属―

Q

γεお 属群集に大き く分けることがで き,I)はさ らに a)Pれパ 属―

O″

κお

(G″

0レ

物″お

'S)属

亜群集

b)Cr"′

ο協″ ′α属―

Q″

″ε

(Lapl肋

誡′α

"お )属

亜群集に分 け られ る。

*照 葉樹林の形成は

,平

野部よ り内陸部へ向 つて進 んでい つた と考 えられている。例 えば京都盆地 深泥 ケ池 では

, 5,000B.P.Y。

となつている。 したが つて,奈良盆 地 での照葉樹林 の形成 は,少

くとも大阪湾汽岸 より遅 く ,大 阪湾での年代よりも新 しいと考 えら れる。

‑75‑

(9)

srsdouelsec- eaue?sec

Sn

PrPqο

p Fごθ47

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sTSdoueTeqoTc6O sncrena

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̀lIP.9olθ7ご

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etrewTd6rJ shfrdopercs

ebnsT

第 3図

 76‑7試

料の花粉・胞子群集の組成

APは

樹木花粉

, NAPは

非樹木花粉 ′

FSは

胞子

,

花粉 ダイアグラムは

AP+NAPを

looと して表現。以下第 4図′第 5岡 第 6図 とも向

じ。

ゝ H d 口 P  

∽ ∽ H O

\ O H

Ш

Ш

Ш

Ш

Ш

Ш

srtaldo7ezaS

PFyFArPS

eElrsoduro3

ЭBOuTI「0

PFIPOFSIθ

ミミミミF濯

:t i

‑76‑

(10)

I)P′σ″ 属―

多 属―

O

πお

(L″

燿οba滋″

s)属

群集

この群集 は76‑7‑ll, 10, 9に 認 め られ,こ れ ら

3属

が優 占 し

,高

率で

Pl軌

(即

aFyJ"

型 を含む)属を含むほか,3グπ′α属′五′″ハ 属,F偲霞 属 を伴 う

,草

本類 ではG ramineae,c ornpo―

sitae(C JrsJ

″型 が多い )の ほか,34多Js″ 憾 属が特徴的である。 また

,シ

ダ植物 の単条溝

型胞子の きわめて多産す るこ とも注 目され る。以上の よ うに,この群集は亜 高山帯 か ら冷温帯要素の 樹木花粉 で特徴づ け られる。 このこ とは

,前

述 の泥炭層の14C年代や 火山灰 層の形成年代 か らみた

ウル ム氷期の堆積物 であるとの推定 と矛盾するものではない。

)Pれ 俗 属一 〇″

/ S属

群 集

この群集は76‑7‑7か 76‑7‑1に まで認 め られる。

P′

″お 属 (″″ ′ary′"型は未確認)

Q″

″σお (と くに

Cメ

ObaJ 9お ′S亜属 )の 優 占によつて特徴づ け られ る。

他の樹木 としては

,■

̀θ

S属

,rs

,Crかθ″″′α属,Sε

:励

ク′

rys属 ,Cα

イル

26属

,

醐 榛 ′S属

C

α″α属′ 郷 属―

,fノ

θ″属な どが伴 う。草本ではCJram ineae が特に多 く,COrnpositaeが それに次 ぐ。 またシダ植物の単条溝型胞子の多産 も日立つ。

この群集は,さ らに細分で きる。

a)P′S属‑0″ S(C″ ο洸′″ηお

jS)亜

群集

76‑7‑7〜 76‑7‑3試 料が属す る。本亜群集は,P′s属

Cメ

Jaレ ′d

JS亜

属の圧倒的 な多産で特徴づけ られ

,若

千の ■b′θS属,Cお

属一

αS勉 お ′S属を伴 う。草本類では

,Gr a―

mineaeの

多いほか,Tノ ノ物属や

Sagli″

α ″′ α属などの湿地性植物も目立つ。また

,こ

の亜群集に

は水性 シ ダ植物 の

紹 ′ψ ′′だ

S属

S al宙

niaceaeの

胞 子 や マ ス ラが数 多 く含 まれ てい る こ とも特 徴 的 で あ る。

b)Cη ノο ′α属―

O″

π鶴 θ′′あ洸′α%S)属亜群集

76‑7‑2, 76‑7‑1が これに属する。Pれ間 属

, Cメ

ο[爾

JS亜

属の優占するものの,

C型

ガο″ヴ′α属

,L″

力滋′α″

s亜

属が増加する。また

,Sε

oメ

ガ 属や

B″

π′α属も日立つ,

草本類ではGramineae´が多産するほか

,■

γ″グs′α属やγノμα属もみられる。また

,両

試料から栽 培植物のF亀切崚ノ′″(ソ)の花粉も認められる。

76‑■ 5(大和郡 山市稗田)

本試料 も14C年代 の測定結果 と

,古

墳時代後期〜中世 を示す土器 片の産出から

,そ

の堆積年代 を推

定す るこ とがで きるものの一つで ある。 しか し, 76‑13‑3試 料 を除 いては

,花

粉化石 をほ とん

ど得 られなか つた。76‑13‑3で

C丼

aba′"お

JS亜

属が優 占 し,Abjθ s属,rtta属が多 く,

I′ 属が伴 われている。草 本類 は比較的少ない。 以上の群集か ら判断 して,この試料は76‑7で

Pれ

郷 属一 〇″″"S属群集 の,P″パ 属一

Q″

κ郷

(C″

θ滋′α お ′S)属亜群集に対応す ると考 えられ る。

‑77‑

(11)

口  

︼  

AP        NAP FS

4図

 76‑13試 料 の花粉 ・胞 子群集 の組成

77‑4(大 和郡 山市東奈 良 口町 )

花粉 分析 用試料 は3点よ り採 取 した。77‑4‑2は ,泥 (草 )で あ るが

,同

定 に た えるよ うな 大形遺 体 は得 られ ていな い。 しか し

,花

粉 等の微化石 は豊 富 で

,良

好 な保 存状態 であ った。 ぃず れの 試料 ともBο′′α属′O″″ 餡 属 (乙

do″

厖協

s亜

属 )を 主 と し

,ほ

ぼ 同 じ程度 にPi慾属 (〃α―

ノ οη ′ を含 む),r棚多 属

,P′

ε″ 属 が産 し

,4わ

′θs属′ 五励鶴 属,F偲体 属

,Cο

η ノκ 属,

‑   1     0・ eSS than l%

   AP        NAP   FS

5図

 77‑4試 料の花粉・胞子群集の組成

Φ

α

ρ

‑78‑

(12)

θ ″属が伴なわれていう。草本類では

, Cyperaceaeが

豊産し

,G rarrlineae,C"■pttiね

e (C″ J

解型が多い),メ″″解お″ 属が多い。 また

,M′

η協′力′S属 ,S″g″sογ

"属の産出も

注 目される。77‑4‑1で は■εθγ属が より多い。 また, 77‑4‑2で は■ル容 が他の試料 よ り 多少多 い。 この泥炭層は

,寺

川流域の泥炭層 とくらべて

,シ

ダ植物の胞子が比較的少 ないことと落葉 広葉樹類が よ り多い こ とが注 目される。

以上のよ うに この試料の花粉群集 は

,冷

温帯要素の植物 を

11と

,多少の亜高山帯要素 を混 じえて るのが特徴であろ う。

77‑0(大 和郡 山市稗 田)

■0'

6図

 77‑0試 料の花粉 0胞 子群集の組成

本試料は

,下

水道管埋設工事現場か ら得たスポ ッ ト試料 である。 この花粉分析結果は第

6図

に示 した 如 くで,P′%S属 (″ ψ′ο〃 ′ を含 む),rsar属

,Oπ

″εパ 属 (ι θpl励レJ22お 亜属

)が

優 占

,ス

わ′as属,P jε″ 属が多産す る。これ らの特徴は

,P′

σ″ 属―TW多属一 〇″π″S(L″″ ―

め″郷 )属 群集の ものであ り, 14C年

(27,200± 575B,Po Y。

)と も矛盾 しない。ただ し, この試料は76‑7‑9,76‑7‑10に くらべ てNAP,FSが 少 な く注 目され る。

(松 岡数充 。金原正明)

分 析 法

分析に供 した試料が少ないので ,稀 量分割せず

,全

量を処理 した。各試料の容積は ,お およそ 30

〜 8 0 CCで 5 0 CC内 外が最も多かつた。試料は湿つたまま

, 8%過

酸化水素水で泥化させ

ピロ燐酸 ソ

ーダ 3gを 加 え 80℃ で 1時 間加温 した後

,全

量が

2,0 00CCに

なるように水 を加える。

 24時

間放置 した後

,上

澄液を捨て

,次

いで注水 した後 , 12時 間後に上澄液を捨てるというような操作 を繰 返 し

,

静置時間 3時 間 を下限 として ,粘 土や有機質泥 を洗い流 しシル トな いし細砂部分 を濃縮 した。次にこ れをビーカーに移 し

, 6時

間以上放置 した後

,沈

澱物上部の薄層部分を遊離 させて回収 し ,遠 心沈澱 機で粒度 フラクションを細分 し ,珪 藻遺体の集中帯をつ くる。収量は湿 つた状態でおおよそ

0.2〜 1 ccで

あり ,経 験上の回収率は

70%(+15%,‑10%)で

ある。

濃縮試料 を水で 10〜 20倍 にうすめ, 0.5∝ づつスライ ドグラ ス上に展開 し

, P le肛

CaeaXで

封 じた。計数は

10X40の

顕微鏡で 3直 線視野法に したが つて ,種 別に出現個体数を数えた。

α

ξ

‑79‑

(13)

カバ ーグラスが 22z″ 角であるからフ リス トではlo″プ 内の総個体数 に対す る百分比 で示 されている。

不完全個体は二次堆積 の可能性 も考 えられるので,別途 に計数 し

,物

理的 な破損の認め られるものに は *を

,ま

た化学的 な溶失の認め られるものには*ネ を付けて示 した。 出現個体総数 が25以下 のも

のは

,+, r, vrの

相対比で示 してあるが ,こ の場合十は

50%以

, rは 25%以

, vrは

25%

未満の占有度を示す。この方法は今後も支障のない限 り継続させる。

珪 藻 分 析

現世堆積物 と現生群集の調査 ,文 献資料

,珪

藻の殻構造 ,実 験的な遺体の堆積速度 と水系条件など によって

,次

の様なことが考えられる。

a)湖

沼や海洋での円心目の合有比は

,汀

線からの距離に比例し

,湖 (海

)底 原では

75%を

える。

b)河 川 での円心 目の比は,流速 と逆比例的で,流量 とは正の相関関係にある。

C)恒 久性 プランク トンの分布は

,水

域 の広 が りとほぼ一致 し

,底

生種の生育場所 と堆積場所は,     ,

距離的 にそれほ ど大 きな差はな い。

d)環 境 条件 に よる最適種 またはタクサは存在する力ヽ 一般に低水温・貧栄養水域であるほ ど顕 著に表 われる。

分析 した試料 は76‑3が 19個, 76‑7が 10侃  76‑1′ が 1個,76‑8が

2個

の合計

32

個 であつた。

76‑3(田 原本町鍵)

76‑3‑1  淡水 カイ メンの一軸型の骨片

76‑3‑2 P′ ″π′″ ′αの縦溝帯 とカイメン針骨

76‑3‑3, ‑4  珪藻類の細片

以 上

4試

料中には食パ ン状,,棒 状の植物珪酸体がおびただ しく含 まれている。

76‑3‑5〜 19については第

3表

に示 してあるが, 76‑3‑5〜 ‑9までの5試料中には

,珪

藻遺体 が少 な く

,ほ

とん どが破片か中央帯部分のような溶失残存物 で

,植

物珪酸体の密集 した中に点 々 と見かけるにす ぎない。76‑3‑10は 発泡 した火山 ガラス を含む。第

7図

76‑3‑10〜

19の珪藻古生態 グラフを示 したが

,連

続性に乏 しい。76‑3‑19〜 ‑15につぃては

,泥

炭質の     

湿地 に生息す る

E″

0″αが30%前後出現 して安定であるが

,P ttz′

″ ′αの ような池沼底で生活する

Facultative P latttOnと

漢流中の岩石表面に固着 して生活す るF Ic前

Water typeの

S脚″ 物    

とは逆相関的に出現 し

,浅

くなるにつれて後者 の増加がめだつ。76‑3‑14〜 ‑10につぃては,

E″ο″αは

10%以

下 で 目立 たな い。上記の もの とは生活の場 を異にす るBmmosの含有状況は不安

定 であるが

,常

BenthOs in BrOckま

た は

Benthos in Marshが 50%ま

たは

75%前

後 を占め,

優 占タクサ を構成す る。 Cerltralesは 全体に少な く

,最

大値で

15%内

外 であるが,この部分は石英 質砂層で静水域の堆積物 と考 えられない点 と合せ,興味 がある。

以上の結果か ら

,古

環境の推察 はとうてい難 しいが

,今

後の研究推進のために大胆な推定 をするな ら次の如 くに言 えょ う。76‑3‑19〜 ‑15は河川に沿 う滞水域

,あ

るいは沼沢地性の堆積物 で,

比較的安定 した環境下 と考 え られる。76‑3‑14〜 ‑10は この河川の増水・減水が激 しくな った

‑80‑

(14)

,主

流域 の移動 が激 しくなつたか,と もか く供給水量に変化 の多い時期の河岸沼沢性堆積物 とみ ら れ る。76‑3‑9〜 ‑1は,時 としては水 を被 る程度 で

,安

定 した水域 の広 が りの無 くな つた後の 河川敷 のススキや アシ原の ような所の堆積物 か

,あ

るいは堆積物 の厚 いこ とに注 目すれ

,堆

積後早

期に千上 つて しま つたか

,地

下水位 とか泥炭 の腐敗 とかの後成的要因によつて,珪藻遺体が溶失 した

3表 76‑3コ アと

76‑1′

試料中の珪藻群集

.単

位はパー セン ト.

﹇.

∞  

∞.

〇︒ い   一. いH

.け 一

一.

∞・ HH                   い︒ 劇

〇︒ い劇  

﹇︒ い 0. Q

.卜 0

0 m・      卜

.H H

﹇   ∞

∞.

〇 い︒      い

︒ H︒ い   H. m   m︒ ぃ 0

.卜 H 卜 0.

一. H          ぃ︒ N         

∞.H

  Q.m い︒ い   H.

∞  

.﹇

∞ 卜.

卸              一ぃ︒

     一. H   卜

.卜

︹ い︒

∞︹    Ю.

∞︻   

.卜 一﹇    H. H   

∞. めぃ    H.0 つ︒

ぃ     卜. H 卜. 一

.卜O H   ∞ オ︒     0 計︒ め︒い   け.∞   卜.封 H. い 0.∞

﹇.∞   m.∞   り︐ぃ   0.m

∞.劇

︻   Q

.∞ H   ﹇

.H

∞   卜

.∞                       ∞

.H m. めい    つ︒ α

け︒ 卜     H. O     H. H∝   

.H

∞    

.め∞ い︒ い

着︒ つm   

.m∞

H   H ぃ︒ ぃ   ぃ

.0 着   着 一︒ 責   ぃ N︒ H   卜

.O     N

∞︒ H

∞. N

∞. H

.     Ю ぃ︒    鋼 

.卜     ∞ い︒

0. 着

.卜H Э﹁o     ド

.H                                  計.ぃ     ∞

.コ     ぃ 一︒ ぃ   ︑ ト

Ю

α

ηυ

υ

ω

︱コ

錮訓﹁湘

﹁ =劇﹁﹁川 Ч ︲引 H酬 ︲コ﹁劇﹁ ︲H︲酬

^ ︲明引

︲ ︲劇引剖︲︲

⁚ ︲湘﹁

︲︲い︻︲

﹇  N

HI﹇  H HIい  0

﹇lm   い︱﹇  

∞ ⁚  め  トlm

0 lm  ぃ

︐ ぃ

η

-8 l_-

図    版   I 胞 子 群 集 ε ̀物 ′ ο 〃″′ s sp. Figs。   1〜 6  極観   X540 7〜 8  ややななめか らの赤道観    x540 9〜 10  条溝の拡大  X1300 1lB Sal宙 niaceaeの マス ラ     x270 胞 子 は 76‑7‑4〜 5の 試料 か ら ‑84‑
図    版    Ⅲ 胞 子群 集 と試 料 の採取 状況 Figs.   1̲8  Salviniaceae l― ξ   マス ラ   X270 5〜 6:  マス ラ縁辺部の小胞子 (5 X450,6 X54o) 7〜 8:三 条溝型小胞子  X54o Figs.  9〜 10  三 条溝型胞子 (未 同定 )    x540 Figs.  1l   z理 。 mataceaeの 胞子      x540 Figs.  12    ε″多 σ″ ノ ″グ θ卵 ノ′ s sp.      x540

参照

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