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奈良盆地における中心地の階層序列とその分布パターン

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(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

奈良盆地における中心地の階層序列とその分布パタ ーン

著者 西田 和夫, 織田 照子

雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学

21

1

ページ 69‑81

発行年 1972‑11‑15

その他のタイトル A STUDY ON THE CENTRAL PLACE SYSTEM IN NARA BASIN

URL http://hdl.handle.net/10105/2814

(2)

69

奈良盆地における中心地の階層序列とその分布パターン

西 田 和 夫・織 田 照 子

(地理学教室) (奈良女子大学大学院)

は じ め に

中心地は、都市とは別の概念である Christallerがその著書で「我々が考察するのは、都市 という全体的な現象ではなく‑ グラ‑トマンが奄都市の主たる機能守 と名付けているもの、す なわちもそれを囲む地方的な環境の中心点となり、外界との地方的交通の媒介者となることであ る.卑」 ̀日 と言っているように、中心地とは機能面からの立地点、換言すれば中心的な機能の 立地点であり、中心地理論は、その根底から機能的なのである。

周辺地域に対して、その中心地がどれだけの機能を果しているのかOつまりそのffrO地がどれ だけ活気に充ちあふれ、どれだけの重要性を果しているか。これらすべてが中心地の規模であ り、それは中心地の住民の働きの総体である。中心的な機能に従事する住民数が多ければ多い 程、その中心地は高次なものとなる。

この論文では、階層理論を骨子として、奈良盆地における恥山地の階層序列とその分布パター ンを明確にしていく。もちろんこれらの序列とパタ‑ンは、 1969年7月という一時期の静的なも の、つまり長い歴史の流れからみれば瞬間の考察になる。 … このような時点研究の積み重ね が、必ずしも動態の解明にはならないが、均衡状態という仮説を立てれば、静的な現象からでも 動態的な現象を考察する事もできるO {り しかし、複雑な地表面の現象を、たとえそれが静的な

ものであるにせよ分析可能なsocial mapの上に表示できる事は、意義のある事であり、現象

‑の分析的解明の第一歩として、静的な分布と序列パターンを開示しようと思う。

中心地の抽出方法

中心地の分類法(階層区分)には、周辺調査法と中心調査法がある(4)

。周辺調査法tりは、

居住人の行動に重点を置くアンケート方法であり、行動分析には最適である。しかし数十の機能 について消費者選択を調べる場合など、機能の選択が主観的になり易いし、労力と費用が膨大に なるなど、幾つかの欠点をもっているoそこで、この研究では中心調査法を利用したoさらに、

階層区分を出釆る限り客観的にする為川、階層理論の二つの仮説に基づいて奈良盆地の中心地の 階層区分をした。仮説(1)中心地のすべての性質は、階層における中心地のレベルに応じて指数 的に変化する。̀7'仮説(2)中心地機能は、階層に応じてピラミッド構造になる。つまり、上位 階層の中心地は、一段低い階層のFJ3iL>地機能をすべて含むO仮説(1)に基づき、中心地の人口と 中心地機能数との相関、事業所数と中心地機能数との相関について調べてみた。又、仮説(2)に 基づいて、すべての恥も機能について中心地の[和む地機能数を指標とした機能間の複合的特性を

(3)

70 奈良盆地における中心地の階層序列とその分布パターン(西田・織田) みつけていった。 (‖

調査対象地域は奈良盆地、具体的には等高線100m以下の平地部で、特に低次階層の秩序と序 列に考察の中心を置いたので、都市化が激しく、著しく規模の大きい奈良市街地周辺部は省い た。出釆る限り自然条件を均一にする為、平坦部に調査対象地域を絞ったが、馬見丘陵は対象地 域に入れた。

各市町村乃至は県庁で収集した昭和44年度事業所統計調査対象名簿と住民基本台帳登録人口調 査表が主な資料である。

資料は、まず大字毎に集計したO奈良盆地の大字は音のムラつまり自然村に大体一致し、共同 体としての結束が強い。更に景観的にも奈良盆地では集村型をなし、一つの居住単位体になり

うる条件がそろっている。集合的レベルにあたる行政資料では、現実の地域ではない異質の行政 地域が形成される億向があり、単元的レベルにおいてみられるべき中心地の階層性が、集合的レ

ベルでは明確にでてこない。出来る限り現実の地域構造に接近する為、大字によって代表される 最小居住単位体に重点を置いた。大字別集計は、大和国町村誌集(明治14年)の大字と現実の大 字とを比較して修正を加え、現在市街地として土地的に連続していると思われる所は、数個の 大字を合計した。このようにして、すべての資料は地図を参照しながら空間的最小居住単位毎に 集計され、集計された最小居住単位体で、申心機能を一つ以上含むものは、全体で217である.

なお、工業機能に関しては、立地傾向が中心地のそれとは異なるので、申心機能には含めなかっ

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階層の指数関係

このようにして集計された各中心地の中心地機能の質と量から、 Ffc'fr地の階層区分を試みた。

前項で、中心地の諸性質は、階層毎に指数的な関係があると仮定しているので、中心地機能の質 と量に関する様々な相関グラフを作成する事によって、階層の区分を行なった。

この中心地機能の質と量の指数関係に関しては、 Berryのモデル「階層の異なったレベルに おける特色(この場合は中心地機能数)の発展には、 DKW 1という方程式が成立する。」川 があ るが、奈良盆地の場合、 DとKが未知であり、この方程式をすぐさま利用する事はできない。

Berryは、機能分析から中心地の階層区分をするのではなく、人口によってIowa州の中心地 階層をvillage‑town‑city‑regional capitalの四階層に区分し、 (1り 階層間における中心地機 能の質と量に関する特色を指摘している Berryの立場にたつのなら、中心地機能が、 FP'O地 住民の機能である限り、中心地の人口と中心地機能数には相関関係がある筈だし、更に中心地人 口の不連続は、中心地機能数の不連続と一致しなければならない。そこで図1 (中心地機能数と 中心地人口との相関)を作成した。このグラフは、縦軸に対数目盛を、横鰍こ普通目盛をとって いる。 ('り 図1からもわかるように、中心地の人口は、下位の中心地を除けば大体直線的に増加 するo この事は、両軸普通目盛では指数関係になっている事を意味しており、 fP‑0地の人口は、

上位になるにつれて指数的に増加していると言える。そして、下位にいく程分散がみられる。し かし、これら下位中心地にみられる人口相関の分散は、特殊機能による人口増加として殆どが説 明できる。中心地機能数10種から40種に位置する中心地は橿原市を中心とする都市化による住宅 地や、広陵町・香芝町・大和高田市・御所市にみられるメリヤス・サンダル加工業、ゴム、ボタ

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奈良盆地における中心地の階層序列とその分布パターン(西田・織田) 71

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(檀) 図1中心地機能数と中心地人ロ

ン加工業などの農村工業的特殊機能をもった中心地である。周辺地域との関係が薄い故に、人口 の割には中心機能が低くなっているOたとえば御所市小林(中心地機能数12種) ・元町(Ff'O地 機能数16種)はゴム、プラスチック工業中心地であるし、橿原市の新口(中心地機能数15種) や山之坊(中心地機能数17種) ・新賀(中心地機能数20種)は住宅中心地、広陵町大塚・橿原市 兵部(FfrO地機能数23種)や香芝町瓦口・別所(中心地機能数13種)はメリヤス工業中心地であ る。また中心地機能数に比べて人口の低い御所市東松本は、国道24号線に沿った集落で、ドライ ブインやガソリンスタンドなどの自動車道路指向性の中心地機能が多い。

中心地の人口は、中心地機能の増加に応じて滑数的に増加しているけれども、連続的にではな

(5)

72

事業所数

奉艮盆地隼おける中心地の階層序列とその分布パターン(西田・織田)

(50×20)

(6)

奈良盆地における中心地の階層序列とその分布パタ‑ン(西田・給田) 73

く段階的にである事がわかる。それは、大体三つのゲル‑プに分けられる。第一グループは 10,464人‑24,000人、中心地機能数102‑135種、第二グル‑プは2,351人‑5,823人、中心地機能 数48‑89種、第三グループは90人‑3,210人、中心地機能数1‑41種である。第一、第二グルー プに関してそれらのグループの限界Ff'O地機能数48、 102種の間には、大体DKW 1の方程式が 成立しているOつまり、 50×20、 50×21 (w‑1を第二階層、 W‑2を第一階層とする)に一致 しているO しかし、第三グル‑プについては、このグラフからでは明確な関係はでてこないo こ れは、中心地の人口が特殊機能によりふくらんでいるからであり、この事は図2(1!> における中 心地機能の修正を見ればより明確であるO中心地の階層区分をする時、 ffrfr地の人口に分析の中 心を置いた場合、様々な問題が生じてくると言えるo低次中心地においては、 #<&地の人口のみ による分類は不可能である。ここで第‑グループを第一階層、第二グループを第二階層と呼ぶ事 にする.各々の中心地数は第‑階層6個、第二階層12個であるO しかし、このグラフからでは第

‑、第二階層は分類できるが、第三ゲル‑プを一つの階層にまとめる事は無理であるO中心地の 人口と中心地機能数との相関グラフで見られたFfrO地機能数の指数的増加関係が、本当に妥当な

ものであるかどうかを調べる為には、他の中心地の特性と中心地機能数との関係においても成立 するかどうかを調べれば良い。そこで、事業所数と中心地機能数との関係を調べてみた。図2が それである.このグラフにおいて、 FftjQv地機能数の指数的増加の方程式50× 2W 1が、図1より も明確に示される。この事は第一、第二階層に関してこの方程式の妥当性を表わしている故に第 一、第二階層に区分可能な事を裏付けている。そしておもしろいことに図1では不明確であった 第三グループが、中心地機能数25種を境にして二つにグル‑ビングされる事であるO も しこの 25種を50×2W 1の方程式にあてはめるなら、 50×2‑1になる。また、 50×2w‑iの関係は第 三、第四階層が明確に区分されるなら25× 2W 1と書きかえられるだろうO もちろんWは第三階 層を1として計算しなければならないが。

図1と図2から奈良盆地における上位階層FflO地は、第一階層中心地と第二階層中心地に明瞭 に区分する事ができる。しかし、第三階層以下と思われる下位階層中心地に関しては、明確な階 層区分をする事はできない。第一階層と第二階層において限界中心地機能数は、 50×20、 50×21 という方程式のもとに存在する。もしこの関係が下位階層にも作用しているのなら、 FfliO地機能 数25種、 12‑13種、 6‑ 7種の所を限界中心地機能数とする下位階層の分類が予想される。この 事をふまえて仮説(2)にそって申心機能のピラミッド構造の分析を行ない、申心機能の複合的特 性から、 fpiO機能の立地限界規模(限界中心地機能数)をみつけようとした。

中心機能の立地限界規模とピラミッド構造

図1 ・図2から分類した第一・第二階層間には、中心地機能数においても、人口・事業所数に おいても明確な断層がみられた。中心地の階層区分が妥当な限り、第一・第二階層に関して、中 心地機能に関するピラミッド構造が成り立っていなければならない。つまり第二階層の申山地の 殆どが有している申心機能に関しては、第一階層は100%に近いFf=lj[>機能保有率をもっていなけ ればならない。第一階層ではかなり高い申心機能保有率を示していても、この種のff'O機能が第 二階層にはあまりない場合、この中心機能の立地限界規模̀13'は第一階層と考えられるo このよ うな観点から、それぞれの申心機能̀川 について第一・第二階層中心地のfflifr機能保有率を検討

(7)

奈良盆地における中心地の階層序列とその分布パターン(西田・織田)

してみた.表111日 がそれである。この表から上述のピラミッド構造が明確にみられるoまた、

第一階層立地限界規模の申心機能も明確に読みとれる。

表1階層毎の主なFfyfr機能と恥Eh機能保有率        (%) 機能名1。2完41‑41

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第 3 階 層

4 K

(8)

奈良盆地における中心地の階層序列とその分布パターン(西田・織田) 75

申心機鱈の立地限界規模、ピラミッド構造の概念は、階層理論の根底である。故に図1 ・図2 では不明確であった下位中心地について、第三階層或は第四階層の区別が明確に出来るかもしれ ないO 申心機能の立地限界規模が、どれ程の中心地機能数をもったffc'fr地にあるのかを調べてみ た。表1より第二階層で高い中心機能保有率を示している申心機能について中心地のffilfj地機能 数を指標として、申心機能保有率を計算した。すると申心機能の中に三つの複合的傾向がみられ た.それは表1に示しているO殆どの中心機能は、中心地機能数41、 29、 24種で断層をもってい る。更に良く見ると、 29種で断層をもった申心機能の中には、更に17種にも断層をもつものとそ うでないものの二種類がある。同様の事は、 24種で断層をもつ中心機能に関しても、 9種で断層 をもつものとそうでないものに分れていると言える。これらの現象は中心地機能数48、 30、 25種 を階層限界規模とする。つまり、これらの中心地機能数以上を有する中心地には立地できても、

それ以下の中心地機能数を保有するff'O地へは立地不可能となる、申心機能の立地限界規模を表 している。たとえば、銀行(申心機能)は、中心地機能数48種以上のFpjfr地では100‑92%保有 されているが、中心地機能数が41種以下のFP.fr地では5 %しか保有されない。銀行の立地限界規 模は、中心地機能数48種であると言える。申心機能保有率から第三、第四階層が区分できる。し かし、それは‑種類でなく、二種類の階層区分になる。表2にこの現象をまとめてみた。

表2 下位階層の規模とK

Berryの方程式とKについて

以上において階層理論の二つの仮説のもとに奈良盆地の中心地を分析してきた Ffrjft機能の立 地限界規模とピラミッド構造の概念は、中心地の階層理論の根底uu である。中心地の発展が指 数的に上昇するという概念は、 Christallerの中心地の幾何的体系から出てきたものであり、本 研究では特にffiO地機能数に関するBerryの方程式̀川を応用した。上位階層中心地が、規模の 一段低い中心地をK個含むような勢力をもっている時、それはKの体系(Kの幾何的体系(U)¥で あり、 ffrft地の大きさは、 Kを底とする指数関数的に増加していく  Berryの方程式は、階層 理論の幾何的体系を端的に示したものに他ならない。中心地の機能数に関して、 DKW 1の方程 式を使用すれば、 Dは最下位階層の立地限界#'0地機能数、 Kは上位階層中心地が、階層的に一 段低いFflJ│>地をいくつ勢力下に入れているかの割合、 Wは最下位階層中心地をN0. 1とした時の 階層序列番号になるIowa州におけるBerryの研究では、 D‑24、 K‑2、つまり24× 2w‑i という方程式にそって中心地の発展がみられたo奈良盆地においては、第三階層以下に二種類の 階層区分がみられたが、第一・第二階層間には50× 2W 1t川(25× 2w‑i)の関係があった。

Berryの方程式に従う限り、奈良盆地はK‑2の中心地序列をもつ事になる。それならば、

(9)

76      奈良盆地における中心地の階層序列とその分布パターン(西田・織田)

つまり Berry のいうよう に、上位階層が一段低い下 位階層中心地を含む割合を

Kとするならば、階層毎の 中心地の数は、 2の等比級 数状に並ばなければならな い。そこで、階層毎の中心 地数を計算してみた。それ が表3である。この表から 第一・第二階層はK‑2の Berryのモデルと一致する が、第三階層になるとK‑

2ではなく、 K‑2.6とK

‑1.6、第四階層ではK‑

3.06とK‑2.31になり、 K

≒2の配列とK≒3の配列 の二つの配列(中心地数の) がある事がわかる。以上か ら BerryのK‑2のパタ ーンは上位階層(第一・第 二階層)に関しては適合す るが、第三・第四階層の下 位階層には適合しないと言 える。ここにみられた下位 階層*'&地の二系統は、何 を意味するのであろうか。

Berryは、 Iowa州にお ける格子状の中心地構造か らK‑2を幾何的に説明し ている。 Kの概念が幾何的 なものであるから当然の事 である。第三階層までしか 図示していない Berry と 違って、第四階層まで含む 格子状中心地構造の模式図 を書いてみた。それが図3 である。

図3の(イ)において、交 通路が格子状に発達してい る奈良盆地では、 Christa‑

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図3 四角形網パターン

(10)

奈良盆地における中心地の階層序列とその分布パターン(西田・枯田)

表3 中心地数の配列(序列)

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Herの言うように交通原理が優位に支配しているとすれば、 #'&>地は主要道路上の二地点間の中 間点に立地するのが一番合理的であるOつまり二つのAの中間点に階層的に一段低いBが立地す

るO一つのB地点は、同時に二つのA地点の支酉己下にあるから、一つのA地点は与Bだけを支配 する事になる。しかし、一つのA地点から四本の主要道路が出ているからこのようなB地点を四 つ含む事になり、全体として与Bx4‑2BになるOつまり、一つのA地点は、階層的に一段低 い二つのB地点を支配している。同様にA地点とB地点の中間点に、 B地点よりは一段低いC地 点が立地するとすれば、 A地点は全体として四つのC地点を支配している。更にA地点とC地点 の中間点に、又C地点とB地点の中間点に、 C地点より階層的に一段低いD地点が立地するとす れば、 A地点は全体として八つのD地点を支配する事になる。結局一つのA地点に対してB地 点:C地点:D地点はそれぞれ1 : 2 : 4 : 8というK‑2の等比級数的に増加する。

図3の(ロ)において、同様の交通原理が支配していると考えるのなら、一つのA地点は二つの B地点を支配する B‑B地点を結ぶ支線道路を加えれば、二本のB‑B地点線の交点に一つの C地点が立地する。ここにできたC地点は、同時に四つのA地点から支配をうけるから、一つの A地点は1‑C地点を支配するにすぎないO しかし、一つのA地点の周囲にこのような支線道路交 点に立地した四つのC地点が見出されるから、一つのA地点は、 i‑Cx 4‑Cで、一つのC地点 を支配する事になる。更に図3の(イ)と同様に、このA地点は四つのC地点を支配しているか ら、全体として一つのA地点は、 C+4C‑5Cで、五つのC地点を支配する事になる。 D地点 に関しても、 B‑C地点間の中間点に、叉A‑C地点間の中間点に立地する以外に、四つのB‑

B地点線上のC地点で囲まれた範囲内に総計16個立地する事になるO 図3の(ロ)に関して、一 つのA地点に対してB地点:C地点:D地点はそれぞれ1 : 2 : 5 :16という割合で支酉己され

る。

理論的には、 1‑2‑4‑8というK‑2の数列と、 1‑2‑5‑16というKが一定でない数 列の二種類が考えられる。今、この数列(序列)を奈良盆地の経験的データと比較したのを表3 に示しておいた。この理論的な二系列(序列)は、奈良盆地の序列K≒2とK≒3に一致するo

Berryは第三階層をvillage段階として一つの階層にまとめ、図3(イ)をIowa州の実証的 研究でつかみながらも、第一、第二階層に分析の中心を置いていたが故に、下位中心地における Kの分化現象に気付かなかった。

(11)

78 奈良盆地における中心地の階層序列とその分布パターン(西田・織田)

国4 奈良盆地の申心地分布

(12)

奈良盆地における中心地の階層序列とその分布パターン(西田・給田) 79

表3から二系列の申心機能について検討してみると、 K≒2の酉己列に属する中心機能が、何か しら交通指向的な感がする。たとえば、自動車小売業、燃料小売業、食堂、レストランなどは、

主要道路に立地する方が合理的であろうし、また、食肉、鮮魚は商品の新鮮さなどから言って、

交通の便利な所に立地する方が経済的であろう。 K≒3の酉己列に属する申心機能は、何かしら消 費者指向的な傾向が強い。たとえば、一般診療所、美容院、理容業、医薬品、化粧品小売業な

ど。しかし、これは推測の域でしかない。

奈良盆地の中心地に関して二系列の階層区分が存在したが、消費者にすべての財を供給すると いう事を前提とすれば、 1‑2‑5‑16の比率で増加するKが一定でない中心地の体系を奈良盆 地における代表的中心地序列パターンとみるのが適切である。図4は奈良盆地における中心地の 分布図である。

結    論

申心機能の立地限界規模による階層区分から計算された中心地数の序列は、四角形網の理論的 配列によるfJi[>地数の序列と一致した。つまり、理論的な配列は、実際の中心地の配列を説明し ている。この事は、中心地間における階層的支配関係を理論的に実証した事になる。

奈良盆地では、明確な中心地の階層構造が存在したo そして殆どの中心地は、中心を結ぶ道路 上に立地していた。それは、何かしらChristallerの交通原理による階層構造のようである。

しかし、奈良盆地がIowa州と同じような均一構造の地域co)である限り、 Loschの理論でも

*心地の階層が存在する事になる Christallerの交通原理にしても、 Loschにすれば、経済 原理̀2日 のK‑2、 K‑4‑‥・・の一つのパターンにすぎない事になる。更に、中心地の四角形棉

で中心地の配列を論ずる時、 Christallerの交通原理によって中間点に階層の一段低い*<&地を 立地させていったが、 LoschのいうK‑2、 K‑4の均一構造の場合でも、中心地は道路上の

中間点に立地する事になる。四角形の市場圏を考えた場合もそうである。上位階層には交通原理 が支配的であり、下位階層では供給原理が支配的であるというように、 Christallerの三原理を 使って、奈良盆地の中心地の階層構造を簡単に説明することはできない。 明確に言える事 は、 K≒2、 K≒3の立地指向をもつ申心機能が存在し、それが立地限界規模に応じて階層を構 成しているということ、また、上位階層では下位階層にみられたK≒2、 K≒3による分化がみ

られないが、それは上位階層の立地限界規模が大きい故に、すべて含まれてしまうからであると いう事である。

各々の階層における中心地の勢力ェリアは、幾何数列から計算する事ができる。第一階層中心 地の勢力ェリア:第二階層中心地の勢力ェリア:第三階層中心地の勢力ェリア:第四階層中心地 の勢力ェリアが、 1 :舌:i:与の場合と1 :喜:与:嘉の場合の二つがある。更に周辺調査法 をすすめる事によって、 b‑a√訂桝の法則にそっtz Loschの可能市場圏の集積、あるいは 又、 Christallerの三原理のどちらが、奈良盆地における中心地の体系を説明しうるかがわかる であろう。しかし、この研究で、我々の所期の目的はある程度達成された。

奈良盆地における中心地は第‑‑第四階層に分けられる.それぞれの中心地の主な申心機能 は、四角形網状における中心地の立地限界規模に応じたものである。 tipfo地のパターンは四角形 網で、中心地は主要道路上に立地している.中心地の数は、上位階層から下位階層へ1‑2‑5

(13)

80 奈良盆地における中心地の階層序列とその分布バク‑ン(西田・織田)

‑16の比率に応じて規則正しい配列を示す。

本稿作成にあたって御助言をいただいた奈良教育大学の林宏・菊地一郎両先生、中心集落の 問題で御教示を賜わった奈良女子大学の西村睦男先生に深く御礼申し上げます。また資料貸与 などで御世話になった奈良県庁統計課、各市町村役場の統計担当者に深く感謝致します。

註及び参考文献

(1) Christaller, W.,江沢讃爾訳:都市の立地と発展、大明堂、 1969、 P.19.

(2) Christaller, W. : op. cit., P.105.,水津一朗:社会集団の生活空間、古今書院、 P.173.

( 3) Michael, J. W. : Energy Flow and Spatial Order, Geogr. Rev. 1969, P.563‑570.

(4)森川  洋:広島県における中心集落の分布とその遷移、地理評32、 1959.

(5)この方法をBerryはIowa州で使用している。

(6)森川洋は仮説(2)によって中心集落の抽出をしている。

(7) Berry, B. J. L. : Geography of Market Centers and Retail Distribution. Prentice‑

hall, Ltd. 1967, P.79‑80.

(8)この方法には、森川・渡辺 Brushなどの先駆的研究がある。しかし、この方法を独自的に修正し た。段階的な機能の性質に対して連続的な折れ線を利用するのは不適当だと思われるからである。

(9) Berry, B. J. L言op. cit. P.35‑39. D 人口密度によって変化する最下位階層の特質(この場合 なら*jjj>地機能数) 、 K :上位階層が下位階層の中心地を含む割合、 W :階層秩序。

(10) Berry, B. J. L.:op. cit., P.13‑25.

(ll) Berry, B. J.L.:op. cit., P.36.

(12)特殊機能をもつ中心地は、特殊機能を引いた値を破線で示した。

(13) Christaller, W. : op. citリP.72‑73.

(14) 、中心機能の分類は、すべて昭和44年度事業所統計分類番号による0

(15) 41種から30種にかけては、 FfllO地数の極端に少ない所があり、必ずしも一様とは言えないが、全体的 に大体一致していた。

(16) Christaller, W. : op. cit., P.72‑73.

(17) Berry, BJ.L. : op. cit., P.35‑40.

(18) Christaller, W. : op. cit., P.87‑104.

(19)階層区分のつけ方を上位から第一、第二としたが、このWの階層番号では逆にしなければならない。

(20) L∂sen, A.,篠原泰三訳.'レッシュ経済立地論、大明堂、 1968、 P.153‑155.

(21) LQsch, A. : op. cit., P.563‑570.

(22) Michael, J. W. : op. cit., p.563‑570.

(23) Losch, A. : op. cit., P.131‑142. a:都市間の距離、 m:居住地数O

(1972年5月30日受理)

(14)

81

A STUDY ON THE CENTRAL PLACE SYSTEM IN NARA BASIN

Kazuo Nishida

Department of Geography, Nara University of Education, Nara, Japan

Oda, Teruko

Post-graduate Course, Nara Women's University, Nara, Japan

It is in the present decade that the study of some general laws concerning the

spatial regularities of various phenomena on the earth begins to achieve a remarka-

ble development based on a new view-point in geography. As we are interested in

such one, we have studied on the central place system in Nara Basin in 1969 to

make clear the central place hierarchy and to find out some regularities in it.

The total number of retail and service establishments, business types and popu- lation in the central places are totalled by "Daizi", using "The Establishment Census of Japan in 1969" as principal data. Then we assume two things that are based on Christaller's theory for the sake of the classification of central places.

They are as follows.

(1) AH attributes of the central places, such as population, the number of bu-

siness types and retail and service establishments, increase exponentially according to the level of the central places.

(2) The higher level central places provide not only the higher order functions, but also the retail and service functions of the lower level.

On the first assumption, the relationship between the population and the number of business types, in addition to between the number of business types and retail

and service establishments in the central places, is examined, then the central functions are analyzed on the second assumption.

It follows as the consequence that central places in Nara Basin are classified in

four classes, they operate according to their size, and that the progression of

central places by size class runs 1-2-5-16 (Fig. 3) and the settlement pattern

(central places pattern) of Nara Basin forms a rectangular net.

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