最適成長理論は︑現実の経済環境を十分に考慮した上で達成可能な多数の経済成長パターンの中から︑なんら
かの経済的厚生を最大化するような成長パターンを論理的に追求していく理論である︒それゆえに最適性基準と
して最大化の対象となる目的関数の選択や︑最適成長の実現に必要となる各経済主体の行動原理︑そのための経
済政策諸手段への論及も最適成長理論の一部をなすことになる︒
これはその起源において伝統的な厚生分析であり︑その展開においては伝統的厚生分析の動学的発展としての
normativedyロaヨ{aであり︑その成果として計画分析dynamic programmingと密接な連係をもっている︒
最適成長理論はケンブリッジの哲学者F・P・ラムゼイの古典的論文をもって嚆矢とする︒ラムゼイは今日に
233 −
研究ノート
は じ め に 新古典派定理と最適成長 小 島 照 男
おいてもなお基本的には不変であるようなフレームワークを構築している︒このラムゼイ論文は各期の消費水準
が社会的厚生に影響する場合の最適成長問題に関するもので︑その論理的帰結として最適貯蓄の探究を中心とす
るものであった︒
他方︑最適資本蓄積の問題はフォン・ノイマンの論文からレオンチェフの統計的分析を経て︑ターンパイク理
論として結実した︒フォン・ノイマン・レイとして知られる長期均衡径路︵ターンパイク︶は︑﹁第一級の数学
者による傑出した分析﹂の成果であり︑それを継承したドーフマン︑サムエルソン︑ソローは︑DOSSO型タ
ーンパイク定理︵生産のターンパイク定理︶を提唱して最終資本ストック最大化の最適成長径路を論じたのである︒
ターンパイク定理は瞬時に世界中の経済学者を刺激し︑MIT︑カルフォルニア︑大阪の討議を経て彫琢され
た︒このドラマティックな展開はヒックスの遍歴として既に知られている︒
ハロッドは﹃経済動学﹄において従来の自然成長率概念を一歩進めて︑自然成長率によって与えられる効用の
極大化を問題にし時間選好理論に基づく最適成長率概念を展開した︒この最適成長率は消費の全部効用の極大化
を実現する投入一人当りの消費の自然成長率であり︑それを可能ならしめる最適利子率の探求に連なっている︒
おそらくハロッドの最適利子率の導出は苦渋に満ちた試みであったと思われるが︑この分析が所得分析的な線に
沿うものでなく効用分析の動学化といえる新しい分析的分野の開拓を意図しているかのように思われることは︑
最適成長理論の流れの中で注目すべきことであると考える︒
六〇年代に成長分析の枢要な一部分となった最適成長理論の発展コースの中で︑理論的に興味深いものは﹁新
古典派定理﹂︵資本蓄積の黄金律︶と呼ばれるものである︒この新古典派定理はE・S・フェルプスのソローピア王
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国の寓話のなかで樹立された定理である︒
思い切って単純化された話である寓話は社会科学における認識の一手段として変らぬ位置を占めてきたように
思われる︒フォン・チューネンの﹃孤立国﹄︑マンドヴィルの﹃蜂の寓話﹄︑ケインズの﹁未亡人の壷の寓話﹂な
ど︑寓話に仮装した単純モデルの展開は明確なある経済上の関係に光を投げかけてきた︒もちろんその妥当範囲
は極めて限られているから厳しい前提条件や過度の単純化には十分な配慮がなされねばならない︒
本稿は︑フェルプスの仮想国ソロービアの最適成長問題に論及し︑新古典派定理を明らかにするとともにその
含意を考察せんとするものである︒
−235 −
一 フェルプス﹁寓話﹂の世界
仮想国Soloviaモデルの分析的枠組みは︑ソロービア王国の経済実態に関する調査委員会の報告という形で提
−236−
示されている︒それらは次の七項目にまとめることができる︒
① 人口も労働力もγの率で指数的に増加する︒したがってt時の労働力人口を篤で示すと︑
② 天然資源はボトルネック要因にならない︒
③ 稀少な生産要素は労働と資本であり︑これらは単一完全充足財︵a si品le。 all‑satisfying commodity︶の生産
に用いられる︒
④ 経済は完全競争的で︑労働と資本との効率的な完全利用を実現する︒
⑤ 規模に関する収穫一定である︒
⑥ 資本と労働とは十分に代替的であり︑技術的失業は発生しない︒
⑦ 資本効率はλの率で︑労働効率はμの率で増大する︒したがって生産関数はZ時の産出量を瓦︑利用可能
資本ストックを瓦︑労働投入量を篤と示せば︑
①?⑦で示される寓話モデルの体系が新古典派成長モデルを前提とした体系であることは容易に感得できるで
あろう︒
⑦の前提は技術進歩を示し︑それが労働増加的でしかも資本増加的であることを意味する︒ところが資本増加
的技術進歩の存在は⑤の規模に関する収穫不変の仮定のもとで︑恒常的成長径路からの乖離をひきおこす︒なぜ
ならば︑一定の貯蓄率のもとで資本産出比率が完全雇用︵もしくは一定失業率︶を維持する限り増大しつづけ︑利
― 237 −
潤率も低下しつづけることになるからである︒
したがって︑⑦の仮定は更にyHO︑もしくは心鼎⁚0で生産関数がコブ・ダグラス型であることを保証し︑専ら
労働増加的技術進歩が存存するだけであることを明示しておかねばならない︒これは﹁懐疑論者の推計﹂によっ
てソロービア王国の生産関数がコブ・ダグラス型であったという﹁事実﹂で保証されている︒
さて︑このような経済体系においてγ︑λ︑μが外生的に所与の一定なパラメーターであると成長の戦略的要
因は投資だけとなる︒なぜならば︑一定の資本労働比率の維持によって一人当り産出量は技術進歩部分だけ増大
し︑それ以上の成長には資本の継続的増大が必要となるからである︒もちろん資本深化が進展すると資本利潤率
が逓減するから資本成長にはその面からの制約が課せられる︒効率単位の労働量で考えられるとこの体系の技術
進歩は吸収されてしまい︑結局問題は資本労働比率の増加率の値いかんということになる︒すなわち︑効率単位
の労働一単位当りの資本装備率の成長率をいかに設定するかという最適投資率の問題に直面するのである︒
投資率の時間形態が問題になると分析は複雑な定差方程式体系となるために︑投資率の時間形態は時間を通じ
て定常的なものに限定されている︒このような限定がなされると︑恒常的成長径路のなかの最適解の論究という
極めて制約的な分析に向うことになる︒
つまり︑﹁あらゆる時点で産出量のうちから固定的割合が蓄積さ八牡﹂と仮定してそのような固定比率の最適
値を追求するのである︒この仮定は次式で示される︒すべてのtについて︑
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これはもちろんt斯の貯蓄Jがすべて投資右として次期の資本ストックの増加にあてられることを意味してい
る︒新古典派の世界では明確に投資関数を設定する必要がなく︑ハロッドの意味の保証成長率らはいかなる率で
あろうとも実現することになる︒
しかも︑このらは新古典派体系では究極的に自然成長率らに収束するのであるから︑前述の投資率成長率の問
題は欠落し︑固定的な最適投資率だけが問題として残ってくるわけである︒
ソロービア・モデルの前提とその分析対象の明示がなされた︒フェルプス・モデルの議論に進む前に︑らがら
に収東するという︑⑥を前提とした新古典派成長理論の主張に言及しておかねばならない︒次節においてこれを
論考しておこう︒
−239 −
二 ﹁黄金時代均衡Lの主張
資本投入量をK︑労働投入量をyと表し︑生産関数を次のように設定する︒
規模に関する収穫不変を仮定すると︑T一yをy︑K一yをy″で示し︑労働一人当りの産出量yを労働一人当りの
資本ストックゐの関数として捉えることができる︒なお単純化のために技術進歩は捨象する︒すなわち︑
さらに︑資本および労働の限界生産力は常に正で逓減的であり︑正の産出量について資本も労働も不可欠である
とすれば︑
jであるから︑第I図に示したようなが曲線を得ることができる︒
次に貯蓄性向をsとすると貯蓄投資均衡条件から保証成長率らを導出できる︒
また労働人口の成長率を刄とすれば︑自然成長率らは︑
−240−
そこで︵いぐ旦yが成立するような恒常的均衡成長径路では
これは新古典派資本集約度方程式といわれる関係である︒第1図の勺゛曲線はこの関係を図示したものであ
る︒sもがも外生的に所与の一定率であるから︑原点からの半直線となる︒
そこで︑≒︑︵o︶V小咄である限り︑すなわち作なる生産関数をもつ経済
が成長経済である限り︑作曲線と勺s曲線とはゐの正領域の唯一の点バベ
叉することになる︒これが心点である︒ら点はジョン・ロビンソンの定義した
LrOiaen Age均衡︑すなわちQ=Qs=︵yが成立するような︵経済的至福
状態9state oi economic bliss)﹂の実現を示していることになる︒
このような黄金時代均衡が安定均衡であることは次のようにして主張され
る︒ 資本労働比率ゐの運動は︑
<第1図〉
−241−
sは正であるからゐの増減は≒︵きぶly″に応じて芯ことなる︒したがってG点の左方ではゐが増加し︑G
点の右方ではゐが減少することになり︑結局ら点への収束と均衡資本労働比率炉の実現が主張できるのである︒
このようなゐの均衡化メカニズムをさらに立ちいたって考察してみょう︒
第Ⅱ図は周知の等生産量曲線を示した図である︒
率に求めざるを得ない︒生産関数が要素間に十分な代替性をもち︑それ故に伸縮的価格変化があれば︑資本労働
比率も可変的になるはずである︒ TIT曲線は新古典派が前提する可変係数型生産関数であり︑限 界代替率逓減を仮定して示されている︒相対的要素価格yを所与と すれば最適要素投入量は瓦︑罵である︒ ここで︑技術革新などにより資本投入量が現に︑労働投入量が篤 に増大した場合を想定しよう︒初期の資本労働比率眺のもとでは︑ 匹の労働量は用いられず︑篤の労働量の完全雇用には瓦←現の一層 の資本成長が必要である︒ ところが資本成長がsという外生的所与の一定率を基礎としてい る限りこのような状態は実現しない︒そこで調整機能は資本労働比
― 242 ―
均衡化メカュズムは︑資本労働比率が凧から眺に変化することにょって保証される︒そのような変化は︑例え
ば価格の伸縮性のもとで資本が相対的に高くなると価格線がyに移動し︑資本労働比率が低下して眺となり均衡
点が瓦←瓦にシフトすることで物語られている・資本労働比率が固定的であれば均衡化メカニズムは進展せず︑
体系は生産フロンティア内のX点で非効率な生産活動を余儀なくされる︒ハロッド・モデルの不安心飢が支配的
となるであろう︒
以上の均衡化メカニズムが当然視されていることは︑フェルプスの寓話モデルの前提④と⑥によって成立して
いる︒さて︑再びフェルプスのソロービア王国の寓話に立ち戻り︑フェルプス理論を追跡することにしよう︒
三 涯てしなき黄金時代(boundless golden age)
人口成長率と技術進歩率とが一定で外生的に所与であるような体系では︑唯一の成長戦略変数は投資率︵貯蓄率
乙である︒あるいはらの動向である︒そこで単純化のために一定の投資率sを仮定し︑すなわち恒常的保証成
長径路を設定すると︑体系は可変的なゐのもとに黄金時代成長径路に到達する︒黄金時代成長径路上では均衡資
本労働比率が成立しているから資本成長率も労働力成長率も産出量成長率もともに同じ率で成長する︒
― 243 −
かくして成長率の問題がドロップしてしまい︑資本労働比率も議論の舞台から消滅する︒問題は均衡決定条件
の吟味に移り資本の限界生産力の把握へと連なる︒ところがこれについては体系が生産関数上のどこに位置して
いるかが重要なポイントになる︒
以上の予備的考察のもとに再び寓話モデルの理論的流れに入っていこう︒
まず﹁黄金時代﹂を定義して﹁産出量と資本とが同率で指数的に成長し︑したがって資本産出比率が長期的に
一定であるような動的均衡﹂とする︒さらに二つの仮定を設定する︒
L ソロービアは黄金時代成長能力をもっている︒つまり一つの均衡資本産出比率が存在する︒
z 黄金時代産出量成長率gは投資率とは無関係である︒
1の仮定は︵QIぁ︶式から簡単に導出される︒すなわち黄金時代成長状態では
よって︑一定率のs︑刄のもとではKyも一定になるはずである︒これは均衡資本労働比率のもとでの均衡資
本産出比率である︒また2の仮定は黄金時代の概念から直ちに出てくる︒
以上の仮定から︑初期の産出量を玖で表し︑
気の決め力が重要ポイントであることは既に述べた︒
−244−
ここでフェルプスは﹁涯てしなき黄金時代﹂という概念を導いて︑以後の分析をこの檻の中で展開する︒これ
は﹁明確な出発点のない黄金時代﹂と定義される︒つまりそのような世界では初期条件を絶対量で捉えろ必要が
なくなり︑Tに付随的ないろいろな比率関係だけが重要なものとなる︒しかしながらこの分析装置は動学分析か
ら巧みに時間的要因を捨象してしまい︑根本的には静学分析の檻の中ヘモデルをおし込めてしまうことになる︒
さてboundless golden ageで考え得る黄金時代成長径路は単一の指数径路であり︑その産出量成長率gは資
本成長率 工瓦と均等している︒
㈲式は均衡資本産出比率が涯てしなき黄金時代全般にわたって一定の投資率sに依存することを意味してい
る︒これは均衡資本産出比率が生産関数とは独立であることをも示している︒
涯てしなき黄金時代においては︑体系はいかなる時点においても恒常的均衡成長状態にあり︑瓦は生産諸条件
とは独立にsで決定されてしまうことになる︒
したがって
sの値が大きいと産出資本比率は小さく生産関数上の瓦の位置は高くなっていく・資本の限界生産力逓減ある
いは産出量の資本弾力性が1より小という安定性条件を仮定すれば︑産出資本比率が小さいほど︑産出量と資本
ストックはその水準が高いはずである︒
−245 −
すなわち︑`︒︑︵きVO
涯てしなき黄金時代において︑任意のsに対応する黄金時代成長径路が必ず存在し︑その初期条件はsに応じ
て決定される︒したがってsの値とともに多数の黄金時代成長径路が考えうるのであるが︑任意のsの中からい
かなる値が選択されるかについてはいまだ不決定である︒この問題に答えるには選択基準としてなんらかの最適
性基準を設定しなければならない︒フェルプスの寓話モデルが採用したものは時点消費極大化基準である︒この
基準設定とともに最適成長分析に歩を進めることになるのである︒
四 新古典派定理
恒常的均衡成長径路のなかの最適成長径路を確定する目的関数として各径路のもたらす消費量を考えよう︒こ
の場合も分析的枠組みは涯てしなき黄金時代であり時間形態で定鴬的なsが全時間視野を支配している︒
f時点の消費量Gは︑㈲︑㈲式より
― 246 −
㈲式を満すsはt時点の消費量を極大化する︒ところが一で㈲式を除せばt時点に関する項は消え︑時点消費量
極大化を実現するsは涯てしなき黄金時代の全時間にわたって最適たりうるのである︒これはフェルプスの寓話
モデルで﹁補助定理︷︸eョ︷g︸﹂として示されている︒
一定のsのもとでは消費性向も一定であり消費は産出量と同率で指数的に成長する︒黄金時代成長率がgであ
れば︑この径路にそって消費もgの率で成長する︒したがってすべての付随的消費径路は相互に決して交わらな
い︒フォン・ヴァイゼッカーの﹁追い越し﹂基準︵the overtaki品criter影などによって消費径路の順序づけを
模索する必要がなくなり︑あらゆる時点で一様に最も高い消費径路が存在するのである︒
sが涯てしなき黄金時代において一義的に全時間にわたって最適であることは明らかにされたが︑そのような
最適投資率は自動的に初期産出量水準を導き出す︒したがってsはどのように高くてもよいことになる︒しか
し︑最適貯蓄率sが高すぎると消費はあまりに低くなる︒そこでこれを決定する条件が必要である︒
㈲式を変形して sに関して微分しゼロとおけば︑
左辺は最適投資消費比率であり︑右辺は最適投資率sのもとでのゼロ時の黄金時代産出量の弾力性である︒
― 247 −
つまり最適投資率から自動的に導出される瓦は生産関数上のある均衡産出水準でありヽ涯てしなき黄金時代成
長径路は第1図のような図には現われてこないが︑瓦の諸条件︵その付随的比率関係︶のもとに恒常的にとどま
っていることを意味する︒したがって︑黄金時代成長径路上でこの弾力性は一定でありそれを生産関数の与える
情報から明らかにすれば︑sに関する決定条件が現われてくるはずである︒
生産関数︸、o=fis)=FiKo。 No)において㈲式の黄金時代資本産出関係を考慮すれば︑K。^sYJg=sf(s)/g
であるから︑
㈲式をsに関して微分し︑ゼロ時の資本の限界生産力を`g(̀り・kE)で示すと︑
整理して再び㈲式を用いて原関係になおせば︑
?・︑I式より
″はゼロ時め資本分配分であり︑利潤所得比率である︒涯てしなき黄金時代において資本産出比率は一定であ
−248 −
り︑それ故分配率もブ定である︒すなわち最道役資率のもとで産出量弾力性は㈲式から全時間にわたって同一で
あり︑利潤所得比率もそれ故にある特定径路に沿って同一である︒
したがって投資率︵貯蓄率︶と利潤率とが均等するような恒常的均衡成長径路が最適成長径路であることにな
る︒
㈲式の関係が︑フェルプスにょって﹁資本蓄積の黄金律the golden rule of accumulationjとよばれたもの
であり︑これが貯蓄率に関する新古典派定理である︒次節において新古典派定理の経済的意味を強調することに
しよう︒ 五 新古典派定理の経済的意味
一般的に新古典派定理は次のように簡単に説明される︒
所得恒等式からt≪l時において
−249−
さらにt時の労働力人口を篤で示すと︑
フロー型線型同次の生産関数を仮定して
労働力人口が外生的所与の一定率″で成長していくと仮定すると︑kE=kぢー
労働者一人当りの投資は
恒常的黄金時代成長径路上に体系があるとすると恥︑Q︑あはt時点に無関係に労働力成長率刄と同率で成長
し均衡資本労働比率が成立するのでゐの変動はなくなる︒したがって
― 250 −
4は均衡成長径路上の一人当り投資である・この関係を図示したものが第Ⅲ図である・匹は一人当り産出量曲
線︑蝕は一人当り均衡投資曲線である︒
ごを最大にするゐ`は ︵5‑5︶式をみについて微分しゼロとおけば得られる︒
すなわち︑f︵k*︶=n ︵?6︶
り 幾何学的には活ヽの傾きがJ一の傾きと一致する点が消費量極大化点であることが f り
容易に見てとれる︒ところで作は資本の限界生産力であるから︑最適成長径路
が成長率=資本の限界生産力を特徴とする均衡成長径路であることがわかる︒
以上の新古典派定理は次のようにいい換えることができる︒
L 一人当り消費と労働の限界生産力とが均等する︒ ︵︵5‑5︶︒︵?`︶式より
c=f︵k︶‑f︵k︶kまた︵?Q︶式よりlz︵おS︶=心yll聯・袖=/︵*︶‑
2. 貯蓄と利潤所得とが等しい︒︵限界生産力説によれば︑1の表現は︑消費=賃金所得を意味し︑国民所得は︑賃金
所得と利潤所得の和である︒︶
3. 貯蓄性向と利潤分配率とは均等する︒つまり︑資本家は利潤をことごとく投資し︑労働者は賃金をすべて
消費する︒
恒常的富裕化心心として捉えられるに径路とら径路とが大きく乖離することなく安定的な黄金時代均衡へ収束
するという新古典派世界の帰結はまさにバラ色のパラダイムを印象づけた︒黄金時代均衡では一定のoverallな
<第Ⅲ図〉
−251 −
貯蓄率sのもとで均衡成基一万は外生的所与の一定率gとなり貯蓄率から独立である︒どのような貯蓄率から出発
しても均衡成長率はgとなる︒この中から消費量極大化をもたらすという意味で最適な貯蓄率を特定化しようと
して追求された条件が﹁新古典派定理﹂であり︑フェル六万︑J・ロビン八八︑ス八万らにょって相次いで論証
された︒
さて3で示されるような帰結は極端で不合理であるかのように思われるが︑トラクターモデル︵トラクターに
よってトラクターがつくられる単純モデルあるいはスミス的な小麦賃金︶の工夫を援用すれば黄金律条件の示す全く特
殊な状態も次のように考え直す余地を残している︒
つまり︑フェルプスが前提③でa single。 all‑satisfying commodityと述べた単純化が効力を発揮するのであ
︵6︶ ︵7︶ る︒このような単一財がヒックスの﹁流動資本財﹂であるならば︑この財を﹁労働に喰ませる﹂ことによってこ
の財自体が再生産されることになり︑賃金はその社会の消費の中に吸収され尽す︒﹁賃金は賃金からなされる消
費と同一視してよいものとなり︑貯蓄の唯一の源泉は利潤となる︒L成長率の極大化のためには利潤からの貯蓄
が極大化しなければならない︒結局利潤はことごとく投資︵貯蓄︶されねばならない︒かくして︑このような特
殊な状態は逆に︑経済が最適状態で運行していることを表すものであるという意味で新古典派定理は興味深いの
である︒
他方︑このような帰結は︑労働者は貯蓄しないという例のカルドア流のケンブリッジ貯蓄関数を想起させろ︒
しかし︑新古典派定理の意味するところはむしろパシネッティの議論に近く︑労働者の貯蓄を考慮する場合には
利潤所得から対応的な消費があると解釈されるべきであろう︒
−252−
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