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(中嶋遥美)論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(中嶋遥美)論文内容の要旨

主 論 文

Age, Symptomatic Metastatic Disease, and Malignant Pleural Effusion as Predictors of Poor Prognosis in Patients with Differentiated Thyroid Carcinoma

Treated with Lenvatinib.

題名和訳:年齢、症候性転移病変、癌性胸水は、レンバチニブで治療された分化型甲 状腺癌患者の予後不良因子である。

著者名:中嶋遥美、安藤隆雄、野崎彩、伊藤文子、堀江一郎、今泉美彩、宇佐俊郎、

川上純

雑誌名:Acta Medica Nagasakiensia・63 巻・2 号 71-77 2020 年

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科先進予防医学共同専攻

(主任指導教員:川上 純教授)

緒 言

放射性ヨウ素内用療法(RAI)抵抗性の分化型甲状腺癌(DTC)の予後は、10 年生存 率約 10%と不良である。これまで RAI 抵抗性 DTC の治療選択肢は限られていたが、甲 状 腺癌 の遺 伝的背 景 が解 明 されて き たこと で 分 子標 的治療 薬 :Tyrosine kinase inhibitor(TKI)が開発され、本邦においても 2014 年にソラフェニブ、2015 年にレン バチニブが根治切除不能な甲状腺癌に対して保険適応となった。プラセボと比較し、

ソラフェニブ(DECISION 試験)の PFS 延長は 5 ヵ月、全奏効率は 12.2%、レンバチニブ (SELECT 試験)の PFS 延長は 14.7 ヵ月、奏効率は 64.8%であり、抗腫瘍効果はレンバ チニブがより強い印象である。一方、TKI 治療の開始にはその有害事象の重大さから 慎重を要し、NCCN のガイドラインでは急速な増大または症状を有する場合に TKI 治療 を考慮すべきとされる。対照的に、症状出現後に治療を開始した場合、TKI 治療の効 果が限定的となることを示唆する報告もある(Endocr J.2018;65:299-306)。

本研究の目的は、レンバチニブ治療を受ける DTC 患者の転帰に関与する臨床的因子、

適切な治療開始時期を明らかにすることである。

対象と方法

対象:2017 年 10 月時点で死亡または半年以上生存していた、当院でレンバチニブ治 療を受けた DTC 症例。

方法:レンバチニブ開始時の臨床的因子(年齢、性別、初回手術からの期間、症候性 転移病変、頸部病変、肺転移、癌性胸水、肝転移、骨転移、脳転移、RAI 治療などレ ンバチニブ開始前の治療歴)、開始後の腫瘍の縮小率、再増大するまでの期間、サイ

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ログロブリン(Tg)低下率、Tg 再上昇までの期間、と転帰の関係を後ろ向きに検討した。

結 果

対象はレンバチニブ治療を受けた進行 DTC16 症例、平均年齢は 73.1±7.6 歳、男:

女=5:11、死亡転帰 7 例、レンバチニブ開始後平均観察期間は生存群 13.0±2.0 ヵ月、

死亡群 8.9±6.1 ヵ月だった。治療開始時年齢は死亡群 76.7±6.5 歳、生存群 68.6±

6.6 歳で、死亡群で有意に高齢だった(p=0.03)。Kaplan-Meier 生存解析において、

癌性胸水(p=0.017)、症候性転移病変(p=0.039)は有意に死亡転帰と関連していた。Cox 比 例 ハ ザ ー ド モ デ ル を 用 い た 多 変 量 解 析 で は 、 年 齢 (p=0.012, HR 1.150, CI 1.030-1.320)と症候性転生病変(p=0.014, HR 8.069, CI 1.503-61.34)が死亡転帰に 関連した。レンバチニブ開始後の腫瘍縮小率、再増大までの期間、Tg の低下率は 2 群間で差はなかったが、Tg 再上昇までの期間は生存群でより長かった(6.43±4.55 vs.

2.17±1.39 ヵ月, p=0.025)。

考 察

進行 DTC においてレンバチニブ治療開始時の年齢、癌性胸水、症候性転移病変が死 亡転帰に関連した。高齢では、特に肺転移を有する症例や RAI 治療後に肺転移が出現 し た 症 例 は 予 後 不 良 で あ る こ と が 報 告 さ れ て い る (Clin Endocrinol(Oxf).2018;88:318-326)。癌性胸水を伴う例では、他臓器の転移も進行し て い る こ と が 多 く 、 中 央 生 存 期 間 は 約 1 年 と 予 後 不 良 で あ り (Endocr J.2016;63:257-261)、症候性転移病変を有する症例では通常、病状は高度に進行して いる。ほとんどの症例で有害事象のため経過中にレンバチニブの減量が必要となるこ とも考慮すると、癌性胸水や症候性転移病変を来す以前の治療開始がより有益である 可能性が示唆された。

レンバチニブ開始後、早期に腫瘍は縮小し(Endocr J.2017;64:819-826)、腫瘍倍 加 時 間 の 延 長 は 疾 患 特 異 的 生 存 率 の 改 善 に 寄 与 す る (Clin Endocrinol(Oxf).2019;90:617-622)ことが報告されている。本研究では、腫瘍縮小 率や再増大までの期間に 2 群で有意差はなかったが、症例数が少ないためと考えられ た。

Tg は病状の進行に先行して上昇し(Cancer Treat Rev.2018;69:164-176)、レンバ チニブ開始後の Tg の低下は腫瘍の縮小に先行すること(Thyroid.2011;21:707-716)

から、Tg はレンバチニブ治療の効果の指標となり得る。本研究では、生存群と死亡群 でレンバチニブ開始後の Tg の低下率には差がなかったが、Tg 再上昇までの期間は生 存群において有意に長く、より長期にレンバチニブの効果が発揮されることが示唆さ れた。

本研究の Limitations としては、後ろ向き研究であること、症例数が少ないこと、

レンバチニブ開始時の条件は個々の医師の判断で決定したため均一ではないことな どが挙げられる。

参照

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