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緒論

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Academic year: 2021

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(1)

長崎大学教育学部自然科学研究報告第28号23‑27 (1977)

電子線または中性子照射を受けたZnO結晶のX線的観察

富山哲之・久保為久麿

長崎大学教育学部物理学教室 (昭和51年10月31日)

X‑Ray Study of ZnO Crystal Irradiated with Electrons or Neutrons

Noriyuki TOMIYAMA and Ikumaro KUBO

Dep. of Phys., Fac. of Educ., Nagasaki Univ., Nagasaki

(Received October 31, 1976)

23

Abstract

X‑ray diffraction photographs of ZnO crystal which had been irradiated with 1.20 x

102KeV electrons or 1.41 × 10MeV neutrons were taken.

The X‑ray dot patterns corresponding to electron irradiation were regular, while those corresponding to neutron irradiation were irregular.

This shows that the former gives no effects, while the latter gives appreciable distortion to the crystal in lattice configulation.

緒論

J. M. Cowley15は結晶の電子疎放鏡観察から,電子線照射または中性子照射量が×1020nvt の中性子照射を受けたBeO結晶では,六方晶のC臥a軸, 〔1120〕方向が,それぞれ正方晶 のa粕, b軸, C軸に変化するがZnO微粒子では電子回折像の変化は確認されなかったこ とを報告している。

我々は電子のエネルギーが4.8‑12.0×lOKeVの電子線照射によるZnOの結晶の変化2)に ついての電子疎微鏡観察からZnO結晶のa‑ZnO≠β‑ZnO,相変態を示唆した0

本論文では電子線または中性子照射を受けたZnO結晶の格子定数をⅩ線回折法により調べ たりとについて報告する。

(2)

24 富山哲之・久保為久麿

実験の装置と要領

〔1〕 実験試料としてのZnO結晶は久保の方法3)によって作成した。電子線照射装置並び に電子線被照射試料の作成の要領は前報2)による。電子線照射には,後のX線写真撮影に用い るX線のビーム径(0.5mmφ)以上の試料の照射面積を得るために,前報2)のFig.2に示され る電子顕微鏡の照射系に付属する第一収束レソズ部の可動絞りは挿入しない。更に試料台と連 動の試料移動装置を用いることで, 電子線はZnO結晶(0001)面に満遍なく照射される。照 射電子の加速電圧125KV,電子線電流37μA,照射時間3.6,14.4×103secの下で照射を受 けたZnO結晶を用いた。

〔2〕 中性子照射に供する試料の大きさ は0.1×0.1×1.Ocm3の結晶である。ZnO 結晶の中性子照射は長崎大学医学部付属原 爆後障害医療研究施設に設置されている中 性子発生装置,Fig.1を用いて行った。

図のように一本のZnO結晶を破断するこ とによって得られた一対の破断面と,この 発生装置に付属するターゲット末端を等間

       TARGET  SPECl納EN        ↓       一・》∈ヨ・一

3H+2H→4He+n

         り レ

         下巨

        閥EUTRON  FLUX

Fig・1 中性子発生装置と中性子発生の模式図・

隔にし,それぞれ0.1×0。1cm2の広さの面に垂直な方向から中性子を照射した。

 中性子は3H(d,n)4He核反応4)によって発生した強度が1.41×10MeVの高速中性子であ る。中性子の照射量はこの装置を格納しているコソクリートブ・ック室の外部で遠隔制御でき るようになっているo

 ZnO結晶の中性子照射量はそれぞれ1.1,2.6×1010nvt,照射時間1×103secであった。

 照射されたZnO 結晶a軸方向の周期性をX線振動結晶法により調べた。X線振動写真は ZnO結晶のa軸を回転軸(振動角300)としてX線管電圧30KVで発生するCuKα線(λ一

1.541A)を用いて撮影した。

 X線実験は東京大学物性研究所結晶第二部門に設置されているX線回折装置を利用して行っ

た。

〔1〕 電子線照射前のZnO結晶(0001)面のX線振動結晶法による写真を,Fig.2に示す。

 Fig.3は加速電圧125KV,照射時間3。6×103secで照射された(0001)面のX線振動結晶 法による写真である。

 Fig.4は加速電圧125KV,照射時間14.4×103secで照射された(000f)面のX線振動結 晶法による写真である。

 これらのX線振動写真にはZnO結晶の回折斑点は0次層線と1次層線上に配列しており,

h層の面間距離の変化は見られない。これより計算される結晶のa軸方向の格子間隔は3.24

(土4×10鰯3)Aとなり,ASTMカード所載のZnO結晶のa軸方向の格子間隔3.25Aとほぽ 一致している。 この結果からは電子線照射によるZnO結晶の変化につ》ての手がかりは得ら れない。

〔2〕 中性子照射前のZnO結晶面{0001}のX線振動結晶法による写真,Fig.5を示す。

(3)

電ヂ線また,。柔中性f・照射を受け,妃ZI1()結晶グ)X線的観察 25

Fig.2 電f線照射前のZnO結晶グ)X線振動写貞、

Fig. 3 電子線照射(照射llll 間3.6×1〔)3sec)後び)ZnO結晶グ)X線   振動写真

Fig。 1 電f・線照射Gl員射鴫問11,1×1(1:〜sec 後のZnO結晶のX線

  /辰上勧 ゲ貞

(4)

26 ?丼 !1! {な 二と。ク\ /呆  為ク\1寳

Fig。5 中性子・照射自i∫び)ZnO糸,il晶グ)X線振動写真

Fig.6 中性f照射dll蚤射埴IL1×1(llonvt)後グ)ZnO結1,rIIのX線

  ま辰重力 与涯㌧

Fig.7 中1牛f』照射!.昭身川2.6〆川1りnvt、

/辰重ガゲ貞

ZnO 蚤占  ・ノ)X辛泉

(5)

電子線または中性子照射を受けたZnO結晶のX線的観察 27 この結晶の回転軸はASTMカードのZnO結晶の周期性からa軸に対応していることがわか ったo

 :Fig.6は中性子照射量1.1×1010nvtで照射された{0001}のX線振動結晶法による写真で ある。Fig.7は中性子照射量2。6×1010nvtで照射された{0001}のX線振動結晶法による写

真である。

 Fig.5に見られるように0次層と1次層は平行を成している。一方Fig・6,Fig・7に見ら れる,それぞれの回折斑点は各層線から著しく外れた位置に不規則に配列している。これより ZnO結晶のa軸方向の周期性は決定されない。

 このような結晶の周期性の乱れは明らかにZnO結晶の中性子による照射効果を顕わしている。

〔1〕 電子照射前後のZnO結晶のa(b)軸方向の格子定数には変化は見られない。

〔2〕 」.M.Cowley1)の結果に反して,中性子照射により顕われる回折斑点の不規則性は ZnO結晶の単結晶構造に変化が生じたと解釈できる。この変化が何を意味しているかを調べる ために目下実験継続中である。

 本実験を進めるに当たり,X線回折装置利用の便宜を与えて頂き有益なご助言を賜った東京 大学物性研究所教授星埜禎男博士並びに種々ご教示頂いた同研究室佐久間隆氏に深く感謝しま す。また中性子発生装置の使用に付きご助言を賜った長崎大学医学部原研部門の法村俊之氏に 謝意を表します。

参考文献

1)J.M.Cowley:Acta Cryst.21(1966)192.

2)N.Tomiyama and I.Kubo:Sci.BulL Fac.Educ.,Nagasaki Univ。,No。27(1976)9.

3)1.Kubo:J.Phys.Soc.Japan,16(1961)2358.

4)0.Hahn:1〉EVV ATOMIS,Elsevier Inc.,New York(1950)64.

参照

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