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細胞生理学・分子病理学ハイライト

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Academic year: 2021

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(1)

─193─

(  )

細胞生理学・分子病理学ハイライト

1 東医大誌 70 (2)

: 193-195, 2012

ミニレビュー

No. 1

視床下核(STN)への深部脳刺激療法(DBS)

Deep brain stimulation to the subthalamic nucleus

(STN-DBS)

細胞生理学講座 : 宮崎 武文 Takefumi MIYAZAKI

進行したあるいは薬剤が作用し難いパーキンソン 病 の 治 療 方 法 と し て、 視 床 下 核(subthalamic nucleus, STN)に対する深部脳刺激療法(deep brain stimulation, DBS : STN

-

DBS) が 注 目 さ れ て い る。

1950 年代に行われた深部脳破壊治療は、治療効果 が大きい反面副作用が大きく、ドーパミン補充療法 が発展するにつれて、行われなくなっていた。1990 年代後半より、臨床適用されている低電流・高頻度 の深部脳刺激療法は副作用が少なく、有望な治療法 として考えられている。一方、1980 年代後半から 基底核の神経回路網の解析が進んできた。STN は 基底核(basal ganglia : 線条体(尾状核と被殻)、淡 蒼球、視床下核、黒質で構成)を構成する小さな神 経核である。基底核には 3 つ「運動系ループ(運動 機能) ・辺縁系ループ(感情や動機付け) ・連合系ルー プ(認知機能)」の並行する神経回路網が形成され ていることが組織学的に明らかにされている。実際、

STN

-

DBS によるパーキンソン病治療に伴い運動障 害のみではなく、うつ状態や認知症状の改善も報告 されている(逆に憎悪させるという報告もある)。

研究の進んでいる運動系ループで提唱されている 古典的な基底核の二経路モデルでは、視床下核 ニューロンは間接路のリレイニューロンと考えられ てきた。基底核出力核(淡蒼球内節と黒質網様部)

への直接路入力と間接路入力のバランスが間接路入 力に偏ってしまうことがパーキンソン病の原因であ るとするのが二経路モデルである。実際、パーキン ソン病あるいはモデル動物では視床下核ニューロン の活動が高まり、20〜30 Hz 程度(ȕ 帯域)の振動 性群発放電を起こしていることが報告されている。

破壊治療からの類推で、間接路のリレイ部である視 床下核を高頻度電気刺激によって不活性化すれば、

出力核ニューロンへの興奮性入力が減少し、二経路 のバランスが正常に戻り、運動障害が改善されるだ ろうというのが STN

-

DBS の根拠である。しかし、

STN

-

DBS の出力核の活動への影響は、未だに議論 の在るところである。パーキンソン病モデルラット から作成したスライス標本における単一出力核(黒 質網様部)ニューロンレベルでは、約 7 割のニュー ロンで活動電位の放電頻度増加が、約 3 割のニュー ロンで放電頻度低下が報告されている

1)

。そこでは 出力核ニューロンへの興奮性・抑制性シナプス入力 のバランスが刺激電極位置や刺激電圧により変化 し、その結果として放電頻度の増加・低下が決まっ ているであろうと強調されている。このように STB

-

DBS の運動障害への治療効果を説明するため には、さらなる基礎研究を必要とする。

基底核の辺縁系ループおよび連合系ループに関す る報告では、STB

-

DBS を受けたパーキンソン病患 者に様々なタスクを課し解析した結果が報告されて いる

2)3)

。視床下核内刺激電極の位置によって効果 が異なること

2)

や(図)、L

-

ドーパの補充療法とは 異なる効果が得られることが報告されている

3)

かしながら、これらの治療効果を説明するための根 拠は、未だに少ないと言わざるを得ない。これらの 非運動系ループへの STB

-

DBS の効果を簡単にまと めた総説

4)

が最近出版された。

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(2)

東 京 医 科 大 学 雑 誌

─194─

70

巻 第

2

(  ) 文   献

1) Bosch C, Degos B, Deniau J-M, Venance L : Subthalamic nucleus high-frequency stimulation generates a concomitant synaptic excitation-inhibi- tion in substantia nigra pars reticulata. J. Physiol., 589, 4189-4207, 2011

2) Hershey T, Cambell MC, Videen TO, Lugar HM, Weaver PM, Hartlein J, Karimi M, Tabbal SD, Perl- mutter JS : Mapping Go-No-Go performance within

the subthalamic nucleus region. Brain, 133, 3625- 3634, 2010

3) Mure H, Tang CC, Argyelan M, Ghilardi M-F, Kap- litt MG, Dhawan V, Eidelberg D : Improved se- quence learning with subthalamic nucleus deep brain stimulation : evidence for treatment-specific network modulation. J. Neursci., 32, 2804-2813, 2012 4) Baunez C, Yelnik J, Mallet L : Six questions on the

subthalamic nucleus : lessons from animal models and from stimulated patients. Neurosci., 198, 193- 204, 2011

No. 2

乳がんの進展におけるマイクロ RNA

Breast cancer progression defined by microRNA 分子病理学講座 : 黒田 雅彦

Masahiko KURODA

 今月のミニレビューは、がん領域のハイライトと 題して、最近のマイクロ RNA のトピックスをお届 けします。

 マイクロ RNA(microRNA)は、ゲノムから転写 される長さ 20 から 25 塩基ほどの 1 本鎖 RNA で、

他の遺伝子の発現を調節する機能を有すると考えら れている。ヒトでは、1,000 種類存在し、遺伝子よ りも種を超えて保存されているのが特徴である。こ の小さな RNA は、生体の様々な生理活動に関与す

るが、疾患においては、がんの発生に深く関連する ことが多く報告されている。

 臨床的に乳癌の予後予測をすることは、治療薬の 選択を含めて大変重要である。実際の臨床現場でも、

アメリカでは、オンコタイプ Dx やマンマプリント が標準治療に組み込まれつつある。オンコタイプ DX は、ER(エストロゲン・レセプター)陽性、リ ンパ節転移陰性の患者さんに対して、再発に関連す る 21 個の遺伝子から治療法ごとに再発リスクが計 算される。一方で、非浸潤性乳管癌(DCIS)から 浸潤性乳管癌(IDC)に進展していく過程の分子プ ロファイルは不明であった。このような背景の中、

Volini らは、最近発表されたマイクロ RNA の deep

-

sequencing のデータセット

1)

を用いて、88 症例の臨 床検体を用いて、DCIS から IDC に移行する際に変

2

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1 乳がんの発生と進展に関与するマイクロRNA

参照

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