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著者 喜屋武 龍二

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Academic year: 2022

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(1)

N‑アリール基に着目した高活性イミダゾリリデン触 媒の創製とジアステレオ選択的γ‑ブチロラクトン 合成法の開発

著者 喜屋武 龍二

発行年 2020‑12

出版者 静岡大学

URL http://doi.org/10.14945/00028251

(2)

(課程博士・様式9) 審 査 要 旨

専攻 光・ナノ物質機能 学籍番号 55745007 学生氏名 喜屋武 龍二 論文題目 N-アリール基に着目した高活性イミダゾリリデン触媒の創製とジアステレオ選択的γ- ブチロラクトン合成法の開発

(1,000字程度)

本学位論文は、含窒素複素環式カルベン (NHC) 触媒の反応性や選択性に重要な役割を果た す N-アリール基に着目し、N-アリール基の効果を利活用した高活性イミダゾリリデン触媒 の創製とジアステレオ選択的な化合物合成法の開発についての研究成果をまとめたもので ある。

第1章は序論であり、これまでに報告されているNHC触媒反応についてまとめ、NHC触 媒反応における N-アリール基の役割の重要性について研究事例を示しながら整理し、本研 究の位置づけと目的を述べている。

第2章では、N-アリール基と触媒活性の構造活性相関研究について述べている。イミダゾ リウム環の窒素原子上に様々な置換基を導入したアリール基を有する種々イミダゾリウム 塩を合成し、その触媒活性をホモエノラート等価体による触媒的ラクトン化反応において精 査した。その結果、高い触媒活性を有する IBEtCl を見出した。また、各種反応機構解析や 物性評価の結果から、N-アリール基が律速段階の水素移動を制御する構造因子になることを 明らかにした。さらに、計算化学的手法を用いて律速段階の遷移状態を解析することで、N- アリール基と塩基で生じる van der Waals 相互作用が活性化エネルギーの低下に重要である ことを明らかにした。

第3章では、N-アリール基に律速段階の加速機能を有する新規高活性NHC触媒の創製に ついて述べている。N-アリール基にルイス塩基性官能基を導入した種々イミダゾリウム塩を 設計・合成し、その触媒活性を速度論的に評価した。その結果、N-アリール基のオルト位に メトキシエチル基に導入することで触媒活性が向上することを見出した。さらに、X線結晶 構造解析や詳細な速度論的解析の結果から律速段階の水素移動が酸素原子の近接効果によ って加速されることを明らかにした。また、NHCとα,β-不飽和アルデヒドによって形成され る四面体中間体化合物の単離・同定にも成功した。

第 4 章では、4,5-trans 選択的なγ-ブチロラクトン合成法の開発について述べている。α,β-

不飽和アルデヒドと芳香族アルデヒドを基質とし、N-アリール基のオルト位にジフェニルメ チル基を有するイミダゾリリデン触媒を用いたところ、対応するラクトンが最高収率91%、 4:96 dr (cis:trans) の高4,5-trans選択性で得られることを見出した。

以上のように本学位論文は、N-アリール基の効果を利活用するNHC触媒の新たな触媒分子 設計と、それに基づく新規触媒反応の開発に有用な基礎的知見を提供するものである。また、

これらの興味深い知見は、今後の有機合成化学、特に触媒化学研究の発展に資するものであ り、学術的に有用な研究成果である。したがって、本論文は博士(工学)の学位論文として ふさわしいものと認められる。

参照

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