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:内面への着眼に基づく「暗黙知」と「経験知」を巡って

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Academic year: 2021

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 皆さんの学習支援の為に、図書館サービスの 有用な活用方策についての近接領域を毎回紹介 しています。前回は、公教育に於ける学力論を 巡って梶田叡一が提唱した「氷山の一角モデル」

に着眼しました。そこでは、学力観を水に浮か んでいる氷山に喩え、水面の上に表出している 部分を「見える学力」(例えば、「知識・理解」「技 能」)とし、水面下の隠れた部分を「見えにくい 学力」(「例えば、思考力・判断力・表現力」「関心・

意欲・態度」)として学力の在り方を提唱してい ます。

 この水面に浮かぶ氷山の喩えによって、僅か に水面に「見える学力」を「見えにくい学力」が、

その水面下で膨大な質量として支えているとい うことが強調されています。このことは、「知識・

理解」や「技能」といった客観的に可視化して 測定できる部分の学力と、「関心・意欲・態度」

や「思考力・判断力・表現力」といった単純に は測定不可能な内面的な要素を含む学力観を念 頭にしていることを示唆しています。

 このような一連の見方を下敷きにして図書館 でのサービスを念頭に置くと、利用者である学 習者の目に見えている、換言すると、可視化さ れているサービスの部分と可視化されてはい ないが、見えているサービスの質を水面下で支 えている部分があると云うことができます。そ こを意識化する為に、今まで幾度かに渡り「対 話 」 に 着 眼 し て き ま し た。 例 え ば、『GAIDAI BIBLIOTHECA 185号』では、ドナルド・ショー ン(Donald A. Schön)が提唱する「行為の中の 省察」の観点から学習支援に於ける「対話」の 重要性について言及してきました。また、続く

『GAIDAI BIBLIOTHECA 186号』では、「対話」

を学習経験として位置づけて、その経験を生成 する「行為の中の省察」を支援する図書館サー ビスの在り方に着眼しました。

 この「対話」を巡っては、同様に『GAIDAI BIBLIOTHECA 189号』でブルーナー(Bruner) の著書である『可能世界の心理』に着眼して「論

理実証モード」と「ストーリーモード」を下敷き にして内面行為としての省察に焦点を当てまし た。このことは、バフチン(Mikhail Bakhtin) の云う「対話」を通した学びへの経験への着眼

(『GAIDAI BIBLIOTHECA 190号』を参照され たい)であり、ペスタロッチ(Pestalozzi)が云う 生活の中の経験を通した学びへの着眼(『GAIDAI BIBLIOTHECA 191号』を参照されたい)でもあ ると云うことができます。

 これらのスタンスに共通してい云えること は、経験からの学びへの着眼であり、その経験 は日常生活の中に存在する活動、謂わば、学び への実践活動と云う可視化できない内実にアプ ローチしようとする試みであると云うことがで きます。このことは、マイケル・ポランニー

(Michael Polanyi)『暗黙知の次元』(『GAIDAI BIBLIOTHECA 187号』を参照されたい)で言及 されたことを内包しています。

 Polanyiが云う「暗黙知」に類似した知の側 面を捉えた概念として、ドロシー・レナード

(Dorothy A. Leonard)はその著書『「経験知」

を伝える技術:ディープスマートの本質』に於 いて、職業も含んだ生活経験で展開される実践 活動から生成する「経験知」に着眼しています。

これは「暗黙知」と同様に、可視化された「形 式知」と対照されることで浮かび上がる知の在 り方として措定されています。そしてこの「経 験知」が他者へ伝承されるプロセスに関して言 及しているのですが、その際に重要になるのが、

ディープスマート(Deep Smarts)として人間 の内面に根ざした匠の技のようにミメーシスと して身体化され会得された知の在り方に焦点を 当てていることです。

 そこで次回はこのDeep Smartsに関して深化 されると共に図書館サービスとの関連に言及し ていきたいと思います。

えだもと ますひろ(准教授・図書館学・教育学)

図書館の徹底活用術⑳

枝元 益祐

学習支援に於ける対話と図書館サービスの質を可視化する試みに関する考察

:内面への着眼に基づく「暗黙知」と「経験知」を巡って

学習支援に於ける対話と図書館サービスの質を可視化する試みに関する考察

:内面への着眼に基づく「暗黙知」と「経験知」を巡って

図書館運営委員からの寄稿

参照

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