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学習主体としての個人と自由への着眼:

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Academic year: 2021

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図書館運営委員からの寄稿

 学習者の主体性とその学習支援を前提として、

図書館サービスの諸側面についての近接領域を 毎回紹介しています。前回は、ドロシー・レナー ド(Dorothy A. Leonard)が提唱した「ディー プスマート(Deep Smarts)」という概念に即 しながら実践活動が持つInformal性に着眼しま した。このことは、我々が日常生活の中で形成 する知恵や知識などの総体として現れる経験知 の1部であるディープスマートは、人間の内面の 最も深い部分に根差しているものであるという ことです。そのため、そこへは厳格な手続きに 則った定型教育としてのFormal性よりも、寧ろ、

臨機応変で柔軟性に富む(それ故、定型的なカ タチが存在しない)Informalな側面への着眼の必 要性を強調するものでした。

 同時に、ここ数回に渡り継続して、図書館で の学習活動やレファレンスサービスなどでの経 験を通した学びの在り方や専門性形成などに関 して言及してきましたが、1つの大きなトピック としてまとめることができますので、今回から 話題を変えたいと思います。

 1984年に発足する臨時教育審議会というのが あります。これは内閣総理大臣の諮問機関です が、80年代の日本全体の課題として教育に取り 組む必要性があったことを意味します。その臨 時教育審議会第1次答申(1985年)の中に「個性 重視の原則」として「個人の尊厳、個性の尊重、

自由・自律、自己責任の原則」として示される この「原則」は、教育の全分野を根底で貫く指 針として「個人、社会、国家間のすべてに通ず る不易の理想である」と位置付けられています。

 似たように個人や自由・自立の尊重の理念を 更に大きく捉えたものには、第14次国民生活審 議会(1995年)で提出された『個人の自立と社会 参加』という報告書があります。ここでは従来 の社会構造を政府主導の経済社会システム、集 権型の行政システム、企業中心社会として特徴 付けており、それらが現在は「制度疲労を起こし、

個人生活に歪みをもたらす」に至ったと言及し ています。

 そこでこれらに対置されるのが「個人生活を 重視する社会」であり、それは「生活の豊かさ」

の実現だけではなく、高齢社会や地球環境問題 への対応に於いても最重要視されるべきもので あると強調されています。教育や福祉、国際貢 献などの課題に対応するためには、「個人一人一 人が経済、社会そして世界の問題を自分のこと として受けとめ、その解決、改善に参加、協力 する姿勢が求められる」ことが必要であり、「社 会を支える責任ある市民であるという市民意識 や自己責任の確立」がその素地となるからです。

 この報告書の中で上記を支えるものとして生 涯学習政策の重要性が位置付けられています。

その中では、学習情報サービスの提供が強調さ れており、「誰でも、いつでも、どこでも、学び たいことを自由に学ぶことができる」ような学 習基盤があってこその「自立した個人の自由な 学び」に最大の価値が置かれています。

 宮原誠一がその著書『教育の本質』(1949年)で 示したように、「人間の物質的生活条件と人間の 精神や性格とを切り離そうとする」観念論を批 判し、社会的生活そのものによる人間の形成を 主張したことは、後に今日的教育課題に取り組 んだ臨時教育審議会や国民生活審議会などの潮 流と一致しているということができます。

 宮原誠一が捉える個性の尊重としての主体化・

人間化とは自由になることを前提としています。

『経済と教育』(1950年)では、人間の本質は自由 であること、そして歴史的・社会的に形成され た環境の中で自由に生きることは、その法則性 を認識し、意識的に働きかけることによって可 能になるという論理が展開されています。

 国立国会図書館の理念に「真理は我らを自由 にする」というのがあります。自由になること によって何がもたらされるのか、そしてそのた めには何が必要なのかを再確認させてくれる本 質的な教育の流れの一端が示されています。

えだもと ますひろ(准教授・図書館学・教育学)

図書館の徹底活用術㉔

枝元 益祐

学習主体としての個人と自由への着眼:

教育政策と教育学の潮流を巡って 学習主体としての個人と自由への着眼:

教育政策と教育学の潮流を巡って

参照

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