論文内容要旨
論文題名
Can an increase in the pulmonary vein volume measured by three-dimensional computed tomography predict the presence of atrial fibrillation?
(3 次元 CT によって測定された肺静脈容積の増加は心房細動の存在を 予測できるか?)
掲載雑誌名 Journal of Arrhythmia 2019 年 掲載予定
専攻名 生理系 生化学 倉田 征昭
内容要旨 目的:
左房径の拡大と心房細動(Atrial fibrillation : AF)は関連しているこ とが知られている。AF は 90%が肺静脈(Pulmonary vein : PV)起源から の期外収縮が原因であることが知られている。左房、肺静脈の筋組織は伸 展すると期外収縮を出しやすくなることも知られている。しかし PV の拡 大と AF の罹患、左房拡大との関係性は明確にはなっていない。AF を認め ない患者、AF 罹患患者において PV と左房の容積を検討した。
方法:
AF を認めない症例、AF に対し経皮的カテーテルアブレーション治療予定 の症例に対し心臓 3 次元 CT を施行した連続 155 症例を登録した。AF なし 群 (Non-AF 群)、発作性心房細動 (Paroxysmal AF : PAF)群、持続性心房 細動 (Persistent AF : PeAF)群に分け解析した。Non-AF 群は植え込み型 デバイス(ペースメーカー、植込み型徐細動器、植え込み型心臓モニター)
を植え込み後に、一度も AF の指摘がないことを確認した(平均観察期間 59±37 ヶ月)。PV の容積は造影 CT を施行後、ボリュームアナライザー
(VINCENT®)で測定し、各々の PV の入口部から第一分枝までと定義した。
心臓手術後、アブレーション術後の症例は除外した。基準を満たし、
VINCEN®で計測可能であった 93 症例について検討した。
結果:
3 群間では年齢、性、体重、体表面積、高血圧の既往、糖尿病の既往に有
意な差は認めなかった。PeAF 群で高身長、脳性ナトリウム利尿ペプチド
(Brain natriuretic peptide : BNP)が高値の患者が多かった。心エコ ー所見では左房径(Left atrial dimension : LAD)、左房容積係数(Left atrial volume index : LAVI)は Non-AF 群、PAF 群では拡大を認めなか ったが、PeAF 群で有意に拡大を認めた。PV 容積は Non-AF 群では拡大を認 めなかったが、PAF 群、PeAF 群では有意に拡大を認めた (中央値; 14ml, 21ml, 24ml: p < 0.01)。PV 容積を体表面積で補正した後も同様の結果と なった。
考察:
PV 容積は AF が存在すると拡大を認めるが、AF が持続することでの変化は 認めなかった。LAD,LAVI は PAF の時点では有意な拡大を認めないが、AF が持続すると拡大した。AF が持続することで心房の電気的、構造的リモ デリングが進行し AF を維持しやすい状態となる。PV 入口径の拡大は AF 罹患と関連していることも報告されている。PV でも電気的、構造的リモ デリングにより容積が拡大し、期外収縮が頻回に起こりやすい状態となり、
AF へ移行するものと考えうる。心房細動の罹患に関して、PV の容積を評 価しているものは過去の文献でも報告はない。本研究では心エコーで認め る左房の拡大無く、肺静脈の拡大を認める時期は心房細動の早期を示して いる可能性がある。
結論:
肺静脈は心房細動を認めた時には拡大しており、心房細動が持続しても更 なる拡大は認めなかった。3 次元 CT で計測する PV 容積の拡大は心エコー での左房拡大前に生じ、AF の存在を予測した。