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t 平成29年度の北海道地区スモン検診結果

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Academic year: 2021

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(1)

A. 研究目的

平成 29 年度の北海道地区スモン検診の結果から、

北海道のスモン患者の現況を明らかにする。 また、 病 院・集団検診群と訪問検診群とで検診結果の比較を行っ て訪問検診の意義を確認する。

B. 研究方法

「スモン現状調査個人表」 に基づいて問診と診察を 実施した。 研究班員または協力研究者が常勤あるいは 非常勤の病院で 19 名の検診を行った。 また公益財団 法人北海道スモン基金と地域保健所の協力により、 道 内 3 か所で集団検診を実施した (16 名)。 長期入院中

あるいは施設入所中の患者と身体的あるいは地理的な 問題で病院・集団検診に参加できない在宅患者には訪 問検診を実施した (14 名)。 集団検診・訪問検診には 理 学 療 法 士 も 参 加 し 、 リ ハ ビ リ 指 導 を 行 っ た 。 平 成 29 年度の検診場所を図 1に示した。

C. 研究結果

平成 29 年度検診開始時点の北海道のスモン患者総 数 は 53 名 で あ っ た 。 平 成 29 年 度 の 検 診 受 診 者 は 49 名で、 検診受診率は 92%である。 検診患者数がはじ め て 50 名 を 割 り 込 み 、 10 年 前 の 約 半 数 に 減 少 し た (図 2)。 検診場所での内訳は研究班員または協力研究

― 50 ―

平成 29 年度の北海道地区スモン検診結果

藤木 直人 (国立病院機構北海道医療センター神経内科) 矢部 一郎 (北海道大学医学研究科神経内科学)

佐々木秀直 (北海道大学医学研究科神経内科学) 森若 文雄 (北祐会神経内科病院)

津坂 和文 (釧路労災病院神経内科) 高橋 光彦 (日本医療大学保健医療学部)

竹内

男 (北海道保健福祉部健康安全局地域保健課) 松本 昭久 (渓仁会定山渓病院神経内科)

丸尾 泰則 (市立函館病院神経内科) 川島 淳 (さっぽろ神経内科クリニック) 橋本 修二 (藤田保健衛生大学医学部衛生学講座)

研究要旨

平成 29 年度検診開始時点での北海道内のスモン患者は 53 名であり、 検診受診者は 49 名、

検診率は 92%である。 49 名の検診場所での内訳は病院受診検診が 19 名、 集団検診が 16 名、

訪問検診が 14 名 (入院中の病院または入所中の施設:9 名、 在宅:5 名) である。 検診患者 数がはじめて 50 名以下となり、 10 年前の約半数に減少した。 集団検診数、 訪問検診数とも に減少しているが、 高齢者、 歩行不能者、 極めて重度の患者数が減少していることから長期 入院あるいは入所中の重症患者の死亡が主たる原因と思われる。 一方で重症度が中等度の患 者も昨年から急速に減少しており、 全般的な重症化傾向の反映と考えられる。 介護保険は 49 名中 30 名が判定を受けており、 判定結果と Barthel Index にはある程度相関関係があると思 われる。

(2)

者が常勤あるいは非常勤の病院での検診が 19 名、 集 団検診参加者が 16 名、 訪問検診 14 名である。 訪問検 診での訪問先は入院中の病院または入所中の施設 9 名、

在宅 5 名であった。

受診者の年齢構成は全体では 64 歳以下が 3 名 (6.1

%)、 65-74 歳が 8 名 (16.3%)、 75-84 歳が 22 名 (44.9

%)、 85-94 歳が 15 名 (30.6%)、 95 歳以上が 1 名 (2.0

%) で 、 85 歳 以 上 の 患 者 が 昨 年 よ り 6 名 減 少 し て い

る 。 訪 問 検 診 群 で は 75-84 歳 が 4 名 (28.6%)、 85-94 歳が 8 名 (57.1%)、 95 歳以上が 1 名 (7.1%) と大半 が 75 歳以上であった (図 3)。

身体状況のうち歩行に着目すると、 病院・集団検診 群では一本杖がもっとも多く、 35 名中 21 名 (60.0%) と 6 割が杖歩行か独歩であるが、 訪問検診群では 14 名 中 10 名 (71.4%) が 不 能 あ る い は 車 椅 子 、 要 介 助 で あ り 、 杖 歩 行 ま た は 独 歩 は 3 名 (2.1%) の み で 両 群間で大きな差がみられた (図 4)。

外出については、 「車椅子で独力」 「近くまで」、 「遠 く ま で 」 を 合 わ せ て 外 出 が 一 人 で 可 能 と 答 え た の は 49 名中 13 名であった (図 5)。

診察時の重症度に関しては、 全体では極めて重度 7

― 51 ―

0 5 10 15 20 25

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図 3 年齢分布

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図 4 歩行障害

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図 5 外出

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図 6 診察時の重症度 㞟ᅋ᳨デᐇ᪋ᆅ༊

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図 1 平成 29 年度の検診場所

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

図 2 検診患者数の推移

(3)

名 (14.6%)、 重 度 が 27 名 (56.3%)、 中 等 度 が 10 名 (20.8%)、 軽度が 4 名 (8.3%) であったが、 中等度と 軽度のほとんどは病院・集団検診群であり、 訪問検診 群では極めて重度が 4 名 (28.6%)、 重度が 5 名 (35.7

%) と大半が重度以上であった (図 6)。 北海道では もともと軽度の患者が非常に少ないが、 本年は中等度 の患者が昨年より 6 名も減少したのが目立っている。

Barthel Index については、 全体および病院・集団 検 診 群 で は 80-90 点 に ピ ー ク が あ り 、 35 名 中 28 名 (80.0%) が 60 点以上であるが、 病院・集団検診群で は 55 点 以 下 が 7 名 (20.0%) で あ る の に 対 し て 訪 問 検診群では 60 点以上が 4 名 (28.6%) のみで、 10 名 (71.4%) が 55 点以下であり、 訪問検診群での顕著な ADL 低下が示された (図 7)。

介護保険の認定を受けているのは、 49 名中 30 名で

要支援 1 が 2 名、 要支援 2 が 3 名、 要介護 1 が 6 名、

要介護 2 が 9 名、 要介護 3 が 7 名、 要介護 4 が 3 名、

要介護 5 が 0 名であった (図 8)。 図 9に介護判定結果 と Barthel Index の比較を示した。

D. 考察

北海道では昭和 56 年度からスモン検診が開始され、

公益財団法人北海道スモン基金の全面的な協力により 高い検診率を維持してきた。 訪問検診も初期から実施 されている。 図 1に示した通り北海道では広域に患者 が点在しており、 地理的な問題で集団検診に参加でき ない患者の自宅を訪問することが初期には多かったと 思われるが、 平成に入ってからはスモン患者の高齢化 と重症化が進行し、 都市部での長期入院患者、 施設入 所患者に対する訪問検診が増加し、 病院検診の患者数 が減少してきた1) 2)。 検診患者数を過去 5 年間で比較す ると、 病院検診の受診数はあまり変わっていないが、

集団検診、 訪問検診の受診者が徐々に減少している。

(図 10)。 集団検診の減少分が訪問検診数の増加とし て現れないのは、 長期入院・入所中であった重症患者 の死亡が主たる原因と思われる。 年齢分布で 85 歳以

― 52 ―

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図 8 介護保険申請者の認定区分

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図 7 Barthel Index

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BI 0-20 2 1

BI 25-40 2 1

BI 45-60 1 1 3 3 1

BI 65-80 1 2 5

BI 85-100 2 1 3 1

図 9 介護判定と Barthel Index

0 5 10 15 20 25 30

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図 10 検診数内訳 (5 年間の比較)

5 4 3 3 3

14 16

13 9 8

26 22

21 23 22

18 20

21 22

16

ᖹ ᡂ25ᖺ 26ᖺ 27ᖺ 28ᖺ 29ᖺ

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75-84ṓ

65-74ṓ

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図 11 年齢分布の推移

(4)

上 が 急 速 に 減 少 し て い る こ と も こ れ を 裏 付 け て い る (図 11)。

昨年までの研究で訪問検診群と病院・集団検診群と の比較を行い、 訪問検診群での高齢化、 障害度の重症 化、 移動能力の低下、 Barthel Index の低下を明らか に し て き た1) 2)。 本 年 も 同 様 に 訪 問 検 診 群 と 病 院 ・ 集 団検診群との比較を行った。 その結果は先に示した通 り昨年までと同様の結果であった。 歩行障害の推移を 過去 5 年間でみると、 独歩可能な患者が徐々に減少し ている一方、 歩行不能、 車いす使用もやはり減少して いる (図 12)。 Barthel Index でも 60〜90 点の比較的 ADL のよい患者が減少している一方で、 20 点以下の

患者数の減少も目立っている (図 13)。 さらに重症度 では極めて重度の患者数が減少している一方で中等度 患者の減少が著しい (図 14) が、 昨年の中等度から 変化した症例を調べると併発症による重度への移行と 死亡であった。 これらの結果から言えるのは、 長期入 院・入所者の死亡によって重症者の実数は減少してい るが、 中等度患者の減少という形で全般的な重症化の 進行が示されている、 ということである。

介護保険の認定区分についてであるが、 全体的な傾 向は昨年までと同様で要介護 1 から 3 の判定が多く、

要介護 4, 5 は少なかった。 しかし認定を受けているの は 49 名中 30 名と少なく、 この判定結果がスモン患者 の全体像を反映しているとは言い難い。 図 9に示した 通り、 Barthel Index と介護判定結果にはある程度の 相関が認められると思われた。

E. 結論

北海道のスモン患者 49 名のスモン検診を実施した (検診率 92%)。 うち 14 名には訪問検診を実施して、

訪問検診群と病院・集団検診群とで結果を比較した。

検診患者数がはじめて 50 名を切り、 10 年前の約半数と なった。 検診結果を経時的にみると、 「85 歳以上」 「歩 行不能」 「極めて重度」 「Barthel Index 20 以下」 の患者 数と、 「独歩可能」 「中等度」 「Barthel Index 60〜90」

の患者数がともに減少している。 高齢の重症患者の死 亡と全般的な重症化傾向を反映した結果と考えられる。

H. 知的財産権の出願・登録状況 なし

I. 文献文献

1 ) 松本昭久ほか:北海道地区のスモン検診 (平成 21 年度) ―集団検診例と訪問検診例での療養現状の比 較―, 厚生労働科学研究費補助金 (難治性疾患克服 事業) スモンに関する調査研究班・平成 21 年度総 括・分担研究報告書, p 33-36, 2010

2 ) 藤木直人ほか:北海道地区のスモン検診の総括, 厚生労働科学研究費補助金 (難治性疾患克服事業) スモンに関する調査研究班・平成 20〜22 年度総合 研究報告書, p 15-18, 2011

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0 10 20 30 40 50 60 70

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図 12 歩行障害の推移

9 10 7 7 5

5 4 7 5 5

5 6 4 6 7

13 13

11 12

8

21 21

19 17

16

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6 7

4

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4 3

3

0 10 20 30 40 50 60 70

ᖹᡂ25ᖺ 26ᖺ 27ᖺ 28ᖺ 29ᖺ

100 95 80䡚90 60䡚75 45䡚55 25䡚40 0䡚20

図 13 Barthel Index の推移

11 11 9 8 7

28 28 28 29 27

21 19

17 16

10

3 4

4 4

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図 14 重症度の推移

参照

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