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加齢とDNA損傷との関係に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

加齢とDNA損傷との関係に関する研究( 内容の要旨

(Summary) )

Author(s)

橋本, 和之

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(獣医学) 甲第262号

Issue Date

2008-09-12

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/33574

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本籍) 学

の 種 類 学

記 番 号 学位授与年月 日

学位授与の要件

研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学

論 文 題 目

査 委

橋 本 和 之(群馬県) 博士(獣医)

獣医博甲第262号

平成20年9月12日

学位規則第3条第1項該当

連合獣医学研究科

獣医学専攻

岩手大学

加齢とDNA損傷との関係に関する研究

主査 岩手大学 教 授 津 副査

帯広畜産大学

教 授 石 副査 岩手大学

授 古 副査

東京農工大学

教 授 副査

岐阜大学

授 石 治 明 久 敏 隆 修 利 和 国

井濱

黒 論 文 の 内 容 の

旨 加齢の原因としてDNA損傷が示唆されている。また,DNAは活性酸素(ROS).に常にさらさ・ れ,加齢と共にROSにより生成される8-ハイドロキシグアニン(8-OH-dG)がDNA損傷として蓄 積すると考えられている。DNA損傷の蓄積には,DNA損傷の生成量とその修復能とのバランスが・ 重要である。しかしながら,加齢時における8-OH-dG以外のDNA損傷の評価やDNA修復に関し てほとんど報告がない。また,DNA損傷が与える生体機能への影響についても明らかにされてい ない。このことから,加齢時でのDNA損傷およびDN^損傷と生体機能変化との関連について検 討した(第l章)。抗酸化物質であるグルタチオン(GSH)は加齢依存的に減少するが,DNA損傷 および生体機能との関連については明らかになっていないので,GSHのDNA損傷および生体機能 への影響について検討した(第2章)。加齢と同様に,ROSが増加している糖尿病でも,DNA損傷 およびDNA損傷と生体機能変化との関連について検討されていないことから,高血糖時でのDNA 損傷と生体機能変化について検討を行った(第3章)。 【第1章)若齢および加齢の雄性F344ラットの肝臓および腎臓についてDNA損傷を8-OH-dG アッセイおよびコメットアッセイ(pH9,12.1および13)で評価した。コメットアッセイはpHを

変化させることで,アルカリ脆弱部位,DNAl本鎖切断および2本鎖切断を検出することができ

る方法である。その結果,若齢ラットと比較し,加齢ラットの肝臓あるいは腎臓において,g-OH-dG またはDNA移動(pH13)が高値を示し,pH9や12・1では差がなかったことから,8-OH-dGとア ルカリ脆弱部位が加齢ラットにおいて蓄積していると考えられた。メチルメタンスルホネート (MMS:80mg/kg,i.p.)の投与3および24時間後,若齢および加齢ラットの肝臓および腎臓の DNA移動(pH12.1および13)は増加した。したがって,MMSによって1本鎖切断およびアルカ リ脆弱部位が惹起されたと考えられる。また,若齢ラットに比較し加齢ラットでのDNA移動の増 加は小さく,投与3時間後に対する24時間後のDNAの減少も小さかった。N一ジュチルニトロソ アミン(160mg/kg,i.p.)は若齢ラットの肝臓および腎臓のDNA移動(pH12・1および13)を投与 3および24時間後に増加させたが,加齢ラットでは投与24時間後のみで腎臓のDNA移動(pH12.1 および13)を増加させた。加齢ラットにおいてアスパラギン酸アミノトランスフエラーゼ(AST),

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-117-アラニンアミノトランスフエラーゼ(AIJ),総ビリルビン(T.BIL),総コレステロー/レ(T.CHO), 総タンパク質,アルブミン,グロブリン,クレアチニン(CRE)およびCIは増加し,-アルカリフ ォスファターゼ(ALP),アルブミン/グロブリン(A/G)および無機リン(JP)は減少した。ニれ らのパラメpタ.-は8-OH-dGまたはDNA移動(pH13)と相関していた。以上の結果から.加齢 ラットではDNA修復能が低下している一方で,代謝括の減弱により間接作用型変異原物質のDNA 損傷誘発が抑えられることが示唆され,また,加齢に伴うDNA損傷の蓄稽が生体機能に影響を与 える可能性が示唆された。 【第2章】若齢の雄性F344ラットと比較して,加齢の雄性F344ラットの肝臓および腎臓の GSH含量は低値を示し,DNA移動は高値を示し,またGSH含量とDNA移動との間に負の相関が あった。L-buthionine(S,R)-Su]foximine(BSO:5および20mM)は,若齢ラットの心臓,肝臓,肺, 腎臓および胸晩加齢ラットの心臓,肝鳳肺および腎臓におけるGSH含量を減少させた。BSO はDNA移動,血液化学および組織病理学的所見に影響を与えなかった。以上の結果から,加齢時 のDNA損傷とGSHとの間に負の相関は認められたが,BSOによるGSH減少がDNA損傷に直接 的に関連している可能性は低く,血液イヒ学への影響も小さいと考えられた。

【第3章】雄性KK一句′マウス(高血糖動物)では,雄性C57BL/6Jマウス(正常血糖動物)と

比較し,血糖値は高値を示し,肝臓あるいは腎臓における8-OH-dGおよびDNA移動が高値を示し た。酢酸d-α-トコフェロール(0.01および0.1%添加飼料)あるいは酢酸d_α_トコフェロール+ア スコルビン酸(0・01および0.1%添加飼料)は,KK一郎マウスの腎臓のDNA移動を減少させたが, 血糖値および血液化学には影響を与えなかった。スルフォニル尿素系糖尿病治療薬であるグリクラ ジド(20および50mgmg/day)あるいはグリメビリド(0・5および5mg/kg/day)により,KR-Ayマ ウスの血糖値は減少し,肝臓あるいは腎臓の8-OH-dGの減少傾向と共にDNA移動の減少が観察さ れた。C57BL/6Jマウスに比べ,KK-Ayマウスで高値を示したASTおよびAIJは,グリメビリド によって減少した。KK一句′マウスで肝細胞における脂肪蓄積,尿細管腔中の硝子円柱および尿細

管上皮細胞の再生が認められたが,いずれの処置によっても影響を受けなかった。以上の結果から,

KJ(-AyマウスにおけるDNA損傷の少なくとも一都には高血糖に起因したROSが関与しているこ とが示唆された。血液化学的変化は高血糖に依存している可能性が示唆されたが,ROSの関与は 明らかではなく,また組織病理学的変化へのROSの関与は本研究で証明することはできなかった。 以上の結果をまとめると,加齢時にはROSによるDNA損傷が蓄積することおよびDNA修復 能が低下していることが示唆され,血液化学パラメーターの変化と加齢時のDNA損傷との関連性 が認められた。加齢時のDNA損傷とGSHに負の相関が認められたものの,BSOによるGSH減少 が加齢時のDNA損傷の増加あるいは血液化学パラメーターの変化に直接的に関与している可能性 は低いと考えられた。また,高血糖時にも加齢と同様に,ROSによって臓器でのDNA損傷が増加 することが明らかになった。 審 査 結 果 の

旨 加齢の原因としてDNA損傷が示唆されている。また,加齢と共に活性酸素により生成される8_ ヒドロキシグアニン(8-OH-dG)がDNA損傷として蓄積する。しかしながら,加齢時における 8-OH・dG以外のDNA損傷やDNA修復に関してほとんど報告がない。また,DNA損傷と生体機能 の関係についても十分に明らかにされていない。そこで、まず加齢時におけるDNA損傷およびそ の血液化学的検査値との関連について検討した。次に,グルタチオンのDNA損傷への影響につい て検討した。さらに,加齢性疾患である糖尿病について,モデル動物でのDNA損傷について検討

した。1.若齢および加齢ラットの肝臓と膏臓についてDNA損傷を評価し,血液化学的検査を行

った結果,加齢ラットの肝臓や腎臓で8-OH-dGとアルカリ脆弱部位が蓄積し,加齢に伴うDNA損 傷の蓄積が血液化学検査値に影響を与えることが示唆された。メチルメタンスルホネートおよび N-ジュチルニトロソアミンを用いDNA修復能および薬物代謝活性を検討した結果,加齢ラットで はDNA修復能が低下している一方で,薬物代謝活性の低下により間接作用型変異原物質のDNA 損傷誘発が抑えられることが示唆された。2.加齢ラットの肝臓および腎臓のグルタチオン含量は 低値を示し,DNA移動は高値を示した。プチオニンスルフォキシミンは,種々の臓器のグルタチ

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ー118-オン含量を減少させたが,DNA移動,血液化学的検査値および組織病理学的所見には影響を与えな かったc3.KK-Ayマウスでは,血糖値は高値を示し,肝臓と腎臓における8-OH-dGおよびDNA 移動が増加した。酢酸d-α-トコフェロールとアスコルビン酸の同時投与は腎臓のDNA移動を減少 させたが,血糖値および血液化学的検査値には影響を与えなかった。グリクラジドやグリメビリド により血糖値は減少し,肝臓と腎臓の8-OH-dGの減少傾向と共にmA移動の減少が観察された。 KK-Ayマウスで高値を示したAST・tALrはグリメビリドにより低下した0以上の結果から,KR-Ay マウスにおけるDNA損傷の少なくとも一部には高血糖に起因した活性酸素が関与していること, 血液化学的変化は高血糖に依存している可能性が示唆された。このように加齢とDNA損傷の関係 を総合的に研究した本研究は,加齢の機序に関する今後の研究に重要な知見を提供したものと思 われる。 以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論文とし て十分に価値があると認めた。 基礎となる学術論文 1)題 目 :DNAdamagemeasuredbycometassayand8-OH-dGformationre]atedtoblood ChemicalanalysISinagedrats 著 者 名 :Hashimoto,K.,Thkasaki,W.,Sato,I.andTsuda,S・ 学術雑誌名 :TheJournalofTbxico]oglCalSciences 巻・号・頁・発行年:32(3):249-259,2007 2)題 目 :EfftctofGSHdepletiononDNAdamageandbloodchemistrylnagedandyoung 著 者 名:Hishimoto,K.,Tbkasaki,W.,Yimamoto,T.,Manabe;S.,Sato,I.andTsuda,S・ 学術雑誌名 :TheJournalofTbxico]oglCalSciences 巻・号・頁・発行年:iIlpreSS,2008

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