Title
高濃度ブドウ糖によるヒト冠状動脈血管平滑筋細胞アポト
ーシスの抑制 -- Bcl-2ファミリー発現量変化を中心に --( 内
容の要旨(Summary) )
Author(s)
佐久間, 博也
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第496号
Issue Date
2002-03-25
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14621
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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 佐久間 博 也(愛知県) 博
士(医学)
甲第 496 号 平成14 年 3 月 25 日 学位規則第4条第1項該当高濃度ブドウ糖によるヒト冠状動脈血菅平滑筋細胞アポトーシスの抑制
tBcト2ファミリー発現量変化を中心に-(主査)教授 安 田 圭 吾 (副査)教授 岡 野 幸 雄 教授贋
瀬 論 文 内 容 の 要 .冠動脈疾患に代表される動脈硬化症(大血管合併症)は,糖尿病性網膜症,糖尿病性腎症,糖尿病性神経障害な どの細小血管合併症とならんで糖尿病の代表的な合併症である。糖尿病状態は他の多くの危険因子とともに動脈 硬化症の発症進展を促進する。動脈硬化症の進展においては,血管の中膜肥厚過程が最も重要で,その主体は血 管平滑筋細胞の増殖であることが知られている。動脈硬化巣における血管平滑筋細胞の過剰な増殖は,アポトー シスと細胞増殖とのバランスの破綻による。従来,多くの研究は糖尿病状態による血管平滑筋細胞の増殖に主眼 をおいており,血管平滑筋細胞でのアポトーシスの調節機序を解明した論文は少ない。我々も含め,すでに高濃 度ブドウ糖が培養血管平滑筋細胞め増殖を促進することを報告しているが,高濃度ブドウ糖による血管平滑筋細 胞のアポトーシス調節に対する影響やそのメカニズムについては十分に検討されていない。 アポトーシス関連遺伝子や関連蛋白の発現量の変化は,その機能変化も意味し,なかでもbcl-2蛋白はアポトー シスの重要な調節因子と考えられている。高濃度ブドウ糖の血管平滑筋細胞アポトーシスならびにアポトーシス 関連遺伝子・関連蛋白の発現への影響については未だ不明な点が多い。今回,我々は,糖尿病状態の冠状動脈粥 状硬化巣形成促進機序に対する影響を明らかにするため,ヒト冠状動脈血菅平滑筋細胞を用い,そのアポトーシ スの変化とbcl-2ファミリーの発現に対する高濃度ブドウ糖の影響を検討した。 1,研究方法 ヒト冠状動脈血菅平滑筋細胞(CASMC)を正常濃度ブドウ糖環境下で培養,正常濃度ブドウ糖(5.5mmol/Lglucose),高濃度ブドウ糖(25mmol/L glucose),浸透圧コントロール(5.5 mmol/L glucose+19.5
mmol/L mannitol)の各条件で所定時間培養しアポトーシス発現の変化を検討した。さらにBcl-2ファミリー
(bcl-2,bcl-XL,bfl-1/Al,bax)の蛋白とmRNA発現量の変化をWestern blot法とReverse Transcription-PolymeraseChain Reaction(RT-PCR)を用いて検討した。アポトーシスは,AnnexinV-FITC及びpropidium iodideを用いたフローサイトメトリーとBurton法によるDNA断片化率で測定した。RT-PCRは,高純度の mRNA(Poly A+)を抽出しcDNAを作成後,Bcl-2,Bcl-XL,Bfl-1/Al,βアクチンの特異的プライマーを用い てPCRを行い,βアクチンをコントロールとし半定量した。 2,研究結果 72時間培養後のDNA断片化率は,正常濃度ブドウ糖下の培養に比して高濃度ブドウ糖下では有意にアポトー シスが減少した。 しかし,浸透圧コントロール培養においては正常濃度ブドウ糖に比べ有意な変化を認めなかっ た(5.5 mmol/L glucose;23.9±2.4%,25 mmol/L glucose;16.5±1,8% b<0.01),5.5 mmol/L
glucose+19.5mmol/L mannitol;20.8±1.8%)。フローサイトメトリー解析でも,高濃度ブドウ糖下で早期 アポトーシスの発現が抑制されたがi浸透圧コントロール下ではアポトーシス抑制を認めなかった(5.5
鵬41-mmol/Lglucose;50.8±9.7%,25mmol/Lglucose;39.9±6.7%b<0.05),5.5mmol/L glucose+19.5
mmol/L mannitol;57.9±8.0%)。Western blot法では,高濃度ブドウ糖刺激によってアポトーシスに対して 抑制的に働くbcl-XLおよびbfl-1/Alの発現量が増加した。しかしbax発現量に有意な変化を認めなかった。浸透 圧コントロール培養ではbfl-1/Al,bcl-ⅩL,baxの発現量は変化しなかった。高濃度ブドウ糖により蛋白レベル に変化の見られたbcl-ⅩL,bfl-1/AlについてmRNAレベルの発現をRT-PCRによって検討すると,bfl-1/Alと bcトⅩLのmRNAレベルは正常濃度ブドウ糖下に比して高濃度ブドウ糖下で有意に増加していたが,高浸透圧コ ントロール下では差がなかった。 3,考察 血管の再構築(remodeling)は,アポトーシス発現と細胞増殖のバランスによる結果であり,アポトーシス調 節は血管の再構築に重要な役割を果たしている。動脈硬化巣のように構成細胞数が増加する血管病変においては,