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犬糸状虫の虫体抽出液投与によるショックに関する研究

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Title

犬糸状虫の虫体抽出液投与によるショックに関する研究( 内

容の要旨 )

Author(s)

鬼頭, 克也

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(獣医学) 乙第045号

Issue Date

2001-03-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2029

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 鬼 頭.克 也 (愛知県) 博士(獣医学) 獣医博乙第45号 平成13年3月13日 ■学位規則第4粂第2項該当 犬糸状虫の虫体抽出液投与によるショックに関する 研究 主査 岐 阜 大 学・教 授 佐々木 副査 帯広畜産大学 教 授 藤 崎 副査 岩.手 大 学 教 授 内 藤 副査 東京農工大学 教 授 岩 崎 副査 岐 阜 大 学教 授 小 森 論 文 の 内 容 の 要 旨 英 蔵 久 郎一 条 幸 善利 成

犬糸状虫による犬糸状虫症ならびに回旋糸状虫,バンクロフト糸状虫あるい

はマレー糸状虫による人糸状虫症の治療や予防の際に,ショックが発症するこ

とはよく知られている。重症例では死に至るため,治療や予防の推進に重大な

障害になっている。これらのショックは,成虫や子虫の死亡または損傷■により

漏出した虫体成分が,宿主に何らかの影響を与えることによって発生すると考

えられている。しかし,ショックの発症機序や原因物質は未だ明らかではない。

本研究は,犬糸状虫成虫の虫体抽出液(抽出液)を用いてショックを誘発し,

犬糸状虫によるショック(珊ショック)の病態および発症機序を解明するとと

もに,その原因物質を明らかにすることを目的とした。

耶ショックの病態:抽出液を犬に静脈内投与してショックを誘発レ,臨床所

見ならびに病理所見について検討した。その結果,Ⅰ珊ショッケは,犬糸状虫の

寄生の有無に関わらず50例中39例(78%)に発症した。臨床所見では,抽出液

投与5から30分後に血圧が著しく低下し,虚脱,可視時膜蒼白,心音微弱などの

症状が観察された。発症時には,.末梢血液中の白血球および血小板が減少し,

alanine transaminase,alka.1ine phosphataseなどの血清酵素活性が上昇した。

また,.病理所見と循環動態かち,耶シ畠ックは,腹部内臓血管床に血液が貯留

して静脈還流量が減少し,その結果血圧が低下した血液分配異常性ショックで

あることが明らかになった。Ⅰ珊ショックのこれらの特徴は,犬のアナフィラキ

(3)

-290-シーショックやエンドトキシンショックの所見と多くの類似点が認めちれた。

したがって,HWショックの発症機序の解明には,これらのショックの発症機序 との比較が有用であると考えられた。 Ⅰ珊ショックの発症機序:はじめに,fⅣショックの発症とアナフィラキシー反

応との関連について検討した。その結果,HWショックは,・SpeCific

patho.gen-free(SPF)■犬でも発症した。また,SPF犬と犬糸状虫非寄生犬の抽出液投与前

の血清は,すべてウサギ受動皮膚アナフィラキシー反応が陰性であった。.した

がって・HWショ.ックの発症には抗犬糸状虫抗体は関与していなしiことが確認で きた。しかし,HWショックの発症時には血祭ヒスタミン濃度が上昇し,また,

抽出液はラット摘也腹膜の肥満細胞や犬粘膜型肥満細胞を直接脱顆粒した。し

たがって,抽出液は非抗体依存性に肥満細胞を脱顆粒する物質を含むことが明

らかにされ,これが酬ショックの発症の一因となフていることが考えられた。 つぎに,エンドトキシンショックの病態発生に中心的な役割を果たす腫瘍壊 死因子(TNトα)が,馴ショックの発症に関与しているか否かを検討した。そ

の結果,HWショックでは血清丁肝-α濃度はほとんど上昇しなかった。また,血

祭中にエンドトキシンは検出されず,体温も上昇しなかった。これに対して,

リボ多糖の投与によりエンドトキシンショック.を発症した犬では,血清丁肝-α

濃度は投与30から180分後まで著しく上昇し,40℃以上の発熱が見られた。した

がって,HWショックはエンドトキシンショックと発症機序が異なることが明ら

かになった。

耶シ畠ックの発症例には血衆ヒスタミン濃度がほとんど上昇しない例も・認め

られたので,犬の腹部大動脈摘出標本を用いて抽出掛こよる張力変化について

検討した。'その結果,抽出液は血管内皮細胞依存性に一酸化窒素を介して弛緩

する物質および血管平滑筋に直接作用して収縮する物質を含むことが証明され

た。また,これらはいずれも分子量10kDa以上の異なる物質であることが明らか

になった。

以上の所見から,脚ショックの発症機序として,1)抽出液に含まれる肥満細

胞脱顆粒誘発物質が肥満細胞を直接脱顆粒し,-その結果遊離したヒスタミンが

㌣ヨツクを誘発する,2)抽出液に含まれる血管弛緩物質あるいは血管収結物質

が腹部動脈または静脈を弛緩あるいは肝静脈を収縮し,腹部内臓血管床に血液

を貯留してショックを誘発する,という2つの機序が考えられた。 シ.ヨツク原因物質の分離:疎水性相互作用,.陰イオン交換およびゲル濾過の

3種類のクロマトグラフィーを用いて,抽出液からショック原因物質を分離精製

したところ,ショック原因物質は分子量66kDaの蛋白質であることが明らかにな

(4)

った。 まとめ:耶ショックは,腹部内臓血管床に血液が貯留して発症する血液分配 異常性ショックであることが明らかになった。また,抽出液は非抗体依存性に

肥癌細胞を脱顆粒する作用や血管を弛緩あるいは収縮する作用を有することが

明らかになり,これらが耶ショックの発症機序に強く関与していることが示唆

された。さらに,分子量66kDaの蛋白質をショック原因物質として分離した。

審 査 結 果 の 要 旨 犬における犬糸状虫症ならびに人の・回旋糸状虫症,バンクロフト糸状虫症あるいはマレ ー糸状虫症などの治療や予防の際に,ショックが発症することが知られている。これらの ショックの原因は,成虫や子虫の死亡または損傷により漏出.した虫体成分と考えられてい る。しかし,ショックの発症機序や原因物質は未だ明らかにされていない。本駅究は,犬 糸状虫成虫の虫体抽出液(抽出液)を用いてショックを誘発し,犬糸状虫によるショック (HWショ'ック)の病態および発症接序を解明するとともに,その原因物質を明らかにす ることを巨的とした。 EWショックの病態:抽出液を犬に静脈内投与すると,50例中39例(78%)に、

抽出液投与5から30分後に血圧の著しい低下,蜃脱,可視粘膜蒼白,心音微弱などのシ

ョック症状が観察され、末梢血液中の白血球および血小板の減少,AUr,ALPなどの血清

酵素活性の上昇を認めた。なお、このショックの発生は犬糸状虫の轟生の有無とは関係な

かった。病理所見と循麺動態から、腹部内臓血管床に血液が貯留して静脈還流量が減少す る血液分配異常性ショックであることが明らかになった。

HW㌢ヨツクの発症機序:HWショックを発症したspecificpathogen・free(SPF)犬

と犬糸状虫非寄生犬の抽出液翠与前の血清を用いて犬糸状虫抗原に対するウサギ受動皮膚

アナフィラキシー反応を行った結果、全例陰性であった。したがって,HWショックの発 症には抗犬糸状虫抗体は関与していないことが確認できた。しかし,.ショック発症時には 血旋ヒスタミン濃度が上昇していた。また,抽出液はラット摘出腹膜の肥満細胞や犬粘膜 型肥満細胞を直接脱顆粒した。したがって,抽出液には非抗体依存性に肥満細胞を脱顆粒 する物質を含むことが明らかにされ,これがショックの発症の一因となっていることが考

えられた。HWショックでは血清腫瘍壊死因享(TNF・α)濃度はほとんど上昇しなかっ

た。また,血姫中にエンドトキシンは検出されず,体温も上昇しなかった。これに対して, リボ多糖の投与によりエンドトキシンショックを発症した犬では,血清TNF・α濃度は投 与後に著しく上昇し,40℃以上の発熱が見られた。したがって,HWショックはエンドト キシンショックと発症披序が異なることが明らかになった。HWショックの発症例には血 奨ヒスタミン濃度がほとんど上昇しない例も認められたので,犬の腹部大動脈摘出標本を

用いて抽出液による張力変化にういて枚討した。その結果,抽出液■は血管内皮細胞依存性

に一酸化窒素を介して弛緩する物質および血管平滑筋に直接作用して収縮する物質を含む ことが証明された。また,これらはいずれも分子量10kDa以上の異なる物質であること

(5)

-292-が明らかになった。 これらの所見から,HWショックの発症機序として,1)抽出液に含まれる肥満細胞脱顆 粒誘発物質が肥満細胞を直接脱顆粒し,その結果達鮎したヒスタミンがショックを誘発す る,2)抽出液に含まれる血管弛緩物質あるいは血管収縮物質が腹部動脈または静脈を弛緩

あるいは肝静脈を収縮し,腹部内臓血管床に血液を貯留してショックを誘発する,という

2つの披序が考えられた。

ショック虜囚物質の分臥:疎水性不日互作用,陰イオン交換およびゲル渡過の3種類のクロ

マトグラフィーを用いて,抽出疲からショック原因物質を分離精製したところ,ショック

原因物質は分子量66kDaの蛋白質であることが明らかになった。 本研究により、犬糸状虫の虫体抽出液によるショックは、血液が腹部内臓血管床に貯 留することによる血液分配異常性ショックであること、抽出液中には非抗体依存性に肥満

細胞を脱顆粒する作用や血管を弛緩あるいは収縮させる物質が含まれていることが明らか

にされ、これらがHWショックの発症に強く関与していることが示唆された。また、ショ ック原因物質として分子量66kDaの蛋白質が分離された。

以上について、審査委員会全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論

文として十分価値あるものと認めた。 学位論文の基礎となる学術論文 1.XITOH,E.',VWOH,E.,CHAYA,K.,KITAGAWA,・H.and SASAXI,Y(1994). Clinical,hematologic,andbiochemicalfindingsindogsafterinductionofshockby injectionofheartwormextract.Am.J俺t.R益55:1535・1541. 2.EITOH,K,WOH,K,ⅩITAGAWA,H.and SASAm,Yl(1994).Blood coagulopathyindogswith$hockindtlCedbyinjectiopof・heartwormextract.Am・J 俺f.点e且55:1542-1547. 3.EITOH,Ⅹ.,ⅩエTAGAWA,H.andSASAKI,Y(1998).Pathologic丘nding$indogs Withshockinducedbyintravenousadministrationofheartwormextract‥Am・J l包L属e且59:1417・1422. 4.EITOH,Ⅹ.,MIXAMI,C.,KITAGAWA,H・andSASAEI,Y(2001).Hemodynamic

aLlterationsin dogs withshockinduced byintravenousinjection ofheartworm

extract.J掩£腸di5kL(ippress).

5.KITOH,K.,EATOH,H.,ⅢTAGAWA,H.,,NAGASE,M.,SASAEI,N.andSASAエロ,

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(2001).'Relaxingandcontractingactivitiesofh去artwormextTaCtOni$Olatedcanine

abdominaladrta.J触sitoLGnpress).

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既発表学術論文 1.林 隆敏,鬼頭真也,迫 倍,山根乙彦(1984).Simplateを応用した犬の出血時間 測定法の検討.日獣会誌37:366・369. 2.北川 均,佐々木条英,鬼頭克也,竹橋史雄,牧 秀雄,松井昭秀,草野健一,古田 哲也(1992).ミルベマイシンオキシムのコ■リーに対する安全性.日獣会誌45:953-955. 3.EImGAWA,H.,SASAEI,Y,ⅩUMASAEA,J.,MIM,C.,E珪OH,K.and EUSANO・K・(1993)・Chnicalandlaboratory chan写e8afteradministrationof milbemycinoximeinheartworm・freeandheartworm・infecteddogs.Am.JT包よ触 54:520-526. 4.西村由香里,鬼頭克也,和藤賢治,木原ゆかり,北川 均,佐々木柴英,草野健一(1994).. 低ミネラル特別療法食の猫尿中ストラバイト結晶溶解および予防効果.日獣会誌47: 197・201.. 5.木原ゆかり,鬼頭克也,和藤賢治,北川 均,佐々木条英(1994).ラテックス凝集反 応による犬糸状虫成虫抗原の検出.日獣会誌47:583・586.

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13・HTAGAWA・H・・ⅢTOH・KっIW冬SAxI,T・an4SASAXI・Y(1997)・Co皿Pafisonof

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