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橙色の屋根のお家:コミュニケーションに障害を持つ児童向けのデジタル教材

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(1)情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2014-UBI-43 No.8 2014/7/28. 橙色の屋根のお家: コミュニケーションに障害を持つ児童向けのデジタル教材 渡辺 柚佳子†1 岡田 佳子†1 . 大澤 博隆†2 . 菅谷みどり†1. 子どもの学習障害,発達障害は,学習面のみならず,対人関係や運動面においても生じる様々な困難 を緩和するために日常的に社会的なスキルを育成するための訓練を行う必要がある.従来訓練は,専門 知識を持ったセラピストの同席,高価な機材が必要とされることが多く,頻繁に行えない問題がある. 本研究では,伝統的なプレイセラピーをセンサーと CG の連携によりデジタルデバイスとして拡張し た新しい訓練デバイスを提案する.本デバイスは,コミュニケーションの中でも特に話すこと聞くこと を子どもに自然に促し,専門家でなくても話す聞くスキルを育成しやくすることを目的とした.本論文 では,事前に開発した教材のプロトタイプをもとに,発達心理学の専門家と有用性を議論し,また,デ バイスの機能の評価の指針と方法を議論した内容について述べた. Children who are suffering on learning and developmental disabilities need daily trainings for social skills. However, such daily training is not provided occasionally because it requires interactive helps from therapists. In this paper, we propose a digital dollhouse that extended the traditional psychological play therapy equipped with digital sensors and computer graphics. This device aimed at raising especially the speaking and hearing skills also in communication even if the superintendent of training is not a therapist. We have developed proposed digital play therapy device. Based on the device, we discussed the usefulness of the device with the therapist, and the policy and metrics for the evaluation of the functionalities that are expected for the skill’s training.. 1. は じ め に. す力を引き出すことを目的としている.こうした社会的ス . キルを訓練するためには,ごっこ遊びという形で没入する. 学習障害,発達障害においては,脳をはじめとする中枢. ことで,より状況に適した言葉を選ぶ力を得ることに適し. 神経に何らかの機能障害があることが推定され,学習面の. ていると考えたためである.. みならず,対人関係や運動面においても様々な困難が生じ. 我々は,議論の第一段階として,心理学の専門家との議. る.こうした困難を緩和するためには,日常的に,その困. 論を通じて,こうしたデバイスへの要求をまとめ,プロト. 難を緩和させるための社会的スキルの育成の訓練を行うこ. タイプ,および評価指標を作成した.本論文の構成は以下. とが重要である[1] [2] .. の通りである. 2 節で課題, 3 節にて提案および設計と実装,. 訓練では,能力を安定化させることを目的とするため,. 4 節にて評価指針と方法,5 節にて課題, 6 節にてまとめを. 繰り返し行うことが重要である[3] .一方,訓練は,専門. 示す.. 知識を持った指導者やセラピストの同席,高価な機材が必 要とされることが多く,頻繁に行えない問題がある. 日常的に訓練を行うためには,訓練機材は大掛かりでは. 2. セ ラ ピ ー デ バ イ ス の 課 題. なく,かつ,子どもが自発的に関わりたいと思えるような. 2.1 課 題 . 題材であることが望ましい.. 子どもの学習障害,発達障害は,学習面のみならず,対. こうした要求をふまえ,我々はデジタルデバイスを用い. 人関係や運動面においても生じる様々な困難を緩和するた. たプレイセラピーを提案する.プレイセラピーは,広い意. めに日常的に社会的なスキルを育成するための訓練を行う. 味での「遊び」を通じて,社会的スキルなどを養うことを. 必要がある.ここでの訓練とは,言語,コミュニケーショ. 目的としており,訓練のために広く利用されている.我々. ンの指導を通じて,脳の機能を訓練することを指す. 言語,. は,家の模型を用い,かつデジタル要素を追加することで,. コミュニケーションの指導では,主に,話す,聞く,の二. より,効果を高める手法をデジタルセラピーと呼び,その. つの領域がある.今回,我々は特に,これらの訓練ではそ. ためのデバイスを提案する.具体的には,家の形の模型を. の効果が得やすい幼児期から小学校低学年の子どもを対象. センサーにより拡張し,かつ部屋の中を CG で PC に表示. とする.我々はまず,これら二つの社会的スキルを育成す. し,訓練者と子どもの感覚の共有を促進するものである.. るために必要なセラピーおよびそこで利用されるデバイス. 本提案は,特に発達障害の訓練で重要とされる,聞く,話. を検討した. 特に,小学校低学年までの子どもについては,同じよう. †1 芝浦工業大学 情報工学科 Shibaura Institute of Technology, Information Science and Engineering †2 筑波大学 情報工学研究科 University of Tsukuba. ⓒ 2014 Information Processing Society of Japan. な状況で,繰り返し練習する必要がある.それを促すため には,子どもの表現したい,楽しい,やってみたいと思う 気持ちや,飽きさせない工夫などが必要である. . 1.

(2) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2014-UBI-43 No.8 2014/7/28. 2.2. 従 来 研 究 . を行い,その状況についてセラピストと子どもが相互にや. 小学校低学年で聞く力に困難のある子どもの場合,その. りとりを繰り返すことで訓練を促すことが一般的である.. 認知発達の段階は多くの場合発達心理学者のピアジェの発. しかし,このような方法で訓練を行おうとする際には,子. 達段階[4]によるところの前操作期にあたる.前操作期の子. どもの想像力だけで設定をイメージすることが難しいため,. どもは頭の中だけで物事を論理的に考えて操作することが. セラピストは状況設定を詳細に説明する必要がある.この. 難しく,指導の際には具体的な物事を通した経験が重要で. ように,子どもが自発的に言葉を発したり,耳を傾けて訓. ある.小学校低学年以下の子どもに「聞く」ことを練習さ. 練に没頭させるように,誘導するために高い経験や技術が. せるためには,聞く力が必要とされるゲーム(旗揚げゲー. 必要となり,家庭で気軽に使うことに障害があった. . ム,スリーヒントゲーム等)や聞く力の要素が入ったソー. これに対して,我々は,家の模型を用いることで,触れ. シャルスキルトレーニング(すごろくトーク,お話作り等). られるデバイスを提供するだけではなく,家の中の状況を. がよく行われている[5][6][7].これらの指導の中で使用さ. CG により PC 上に表示し,画像により補うことで,高度な. れるゲームや課題は,一般的な遊びでも使用されるもので. 経験と知識をもつセラピストではなくても,気軽に訓練を. あり手軽に取り組むことができる.一方で,子どもの力を. できるのではないかと考えた. . 意識的に訓練していくためには,教材,課題に含まれる聞. また,触ることによりもたらされる変化を感じられるよ. く力の要素を理解している必要があり,言語学や聴覚認知. うに,家の模型にセンサーを取り付け,その変化を CG によ. に関する知識を有する専門家や教師による指導が望ましい.. り表現できるようにした.具体的には,まず,温度センサ. コミュニケーションに障害を持つ子どもに対するアプ. ーや,光センサーにより,天気や,温度を CG で表現された. ローチとしてプレイセラピーや箱庭療法が用いられること. 部屋に反映した.屋根をあけると明るくなる,電気を消す. もある[8][9].プレイセラピーや箱庭療法では具体的な事物. と暗くなる,といった動作を,CG 画面を通じて体感する. . に触れる経験ができるメリットがある一方で,専門的知識. CG のコンピュータ画面は,子どもが現在感じている寒暖,. を有するセラピストによる実施が必要であり,また,実施. 明暗などの外界の情報を,分かり易く表現することで,子. にあたっては例えばトランポリンやセラピーボールといっ. どもが共感を持ち,客観的な立場で言葉を選ぶことにより,. た大掛かりな用具や,高価な箱庭などの用具が必要となる.. 訓練が促されると考えた.次に,積極的に聞く,話す力を. 近年ではコンピュータ(PC,iPad,携帯ゲーム機等)を. 育てるためには操作に対してリアクティブな仕組みを提供. 使用した支援教材も開発されているが,多くは刺激教材が. するものとした.具体的には,センサーやスイッチにより,. 画面上に提示され,子どもにキーボードや直接画面に触れ. 家の中の様子を変化させるものとした.子どもが行った操. ることによる反応を求めるものである[10][11].これらは,. 作の影響により状況が変わることで,その感動を伝えたい. 書字や視機能の反復訓練などにおいては効果的である一方. という気持ちを育て,言葉につなげることを目指した.最. で,コミュニケーションの支援に活用しようとする際には. 後に,季節の移り変わりを CG 内の窓に再現するものとした.. 情報が2次元で提示されるため,前操作期の子どもにとっ. 季節は,温度や光量などの微妙な変化により変化する.こ. ては,イメージが持ちにくく,コミュニケーションに対す. うした変化に気づき,その変化を表現する訓練を行えるこ. る動機づけが上がりにくいという面もある.. とを目指した. . 3. デ ジ タ ル プ レ イ セ ラ ピ ー. 3.2 シ ス テ ム 構 成. 3.1 研 究 の 目 的. 橙色の屋根のお家を利用する場合の具体的なイメージを. 我々は,子どもが表現をしたいという最初の欲求をかき. 図 1 に示した.. たて,自然な形で学習に取り組むための教材を提供するこ とを目的とし,伝統的なプレイセラピーを応用した,新し いデジタルプレイセラピーを提案する.身近な家でおまま ごとをする環境はなじみがあり,ごっこ遊びという形で没 入することで,より状況に適した言葉を選ぶ力を得ること に適していると考えた. 対象と想定する前操作期段階の子どもは,具体的な事物 を通して直観的に思考する段階であり,“実際に見て触る” という動作に対して関心を抱きやすい.そのため,具体物 を使いながら訓練を行うプレイセラピーは,広く行われて いる[12].ただし,箱庭などを用いたプレイセラピーによ. 図 1 PC 画面を通じた,視覚と触覚の共有. って話す力や聞く力を育てるためには,何らかの状況設定. ⓒ 2014 Information Processing Society of Japan. 2.

(3) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2014-UBI-43 No.8 2014/7/28. 橙屋根の小さなお家(前面). 図 4 窓の外の時間帯と季節 橙屋根の小さなお家(背面). (左上:春,右上:夏,左下:秋,右下:冬). 図 2 デバイスの写真(上:前, 下:背面). 図 3 家の中の様子(左: 電気 ON, 右:電気 OFF) 図 5 デバイス内部のボード,センサー構成 本デバイスは、スイッチ・光センサー・温度センサーの 3 つのセンサーから値を取得し,マイコンボードを介して,. い,温度を取得する.また,光センサ(Photoresistor)は,. これらの値を取得できるものとした.マイコンボードとし. 光の強度を検知するセンサ.入射する光の強度が増加する. ては,Arduino[13] を利用した,Arduino のマイコンボード. と電気抵抗が低下することで,光量を数値化し,現在の部. では,センサーからのアナログ入力を読み込み,その状態. 屋の明るさに対応して,CG 内部の部屋の明るさを調整で. をプログラム上で操作することが可能である.そこで,我々. きるものとした.. は,これらのセンサーの値をその組み合わせに応じた 4 通 りの状態に分岐させ,その状態に応じた CG を PC 画面上 に表示するものとした.. 3.3 ソ フ ト ウ エ ア 構 成 本システムのソフトウエア構成を図 3 に示した.フロー. この 4 通りの状態はそれぞれ現実世界における家の中の. チャートに記載したように,本プログラムは外界からの情. 状態を表している.. 報を読み取るために,プログラム実行中は常にセンサーか. !. 屋根の有無. らの入力を読み取る(loop).スイッチ 1,2 もしくは温度,光. !. 電気の ON/OFF. センサーから値を取得する.光センサー,温度センサーか. !. エアコンの ON/OFF. ら入力値その値を CG 画面に加工して表示する.温度セン. !. 室内温度. サーからの値は,センサーから取得した値を実際の現実的. また,変化の状態は,これらのセンサーの組み合わせに. な温度に対応付けた. 光センサーの値は,事前に実行環境. よって決まる.屋根の有無は光センサー,室内温度は温度. 下で外界の情報を取得し,取得した値とその時の環境の状. センサー,電気・エアコンの ON/OFF はそれぞれに一つず. 態を元に 2 つの値域を設定,実稼動時に取得した値がどち. つ割り当てられたスイッチに対応付けるものとした.これ. らの値域に属しているかによって CG を分岐させられるよ. とは別に,窓の外の季節を適時春/夏/秋/冬のうちのい. うにした. 最後にスイッチにより,PC 画面上の部屋の中. ずれかに変更することが可能である.. の電気をつけたり,消したりするよう,変更できるように. 使用したセンサーは LM35 の温度センサー,摂氏に比例. した.. したアナログの電圧を出力する IC 温度センサー,出力され る温度の変換式(Vout_LM35(T) = 10mV/℃×T℃)に従. ⓒ 2014 Information Processing Society of Japan. 3.

(4) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2014-UBI-43 No.8 2014/7/28. (S>79Mʘ¿¨Ǟ=[€ŽgVʼnN.M@;,9 ɀ¯*S3ʙ. ɺč.  ­. Bʘęǃ# 20 ĹǯĹ@üåʘȻȋȓ#Ɖ"%=6. 3?;¢ h[mlʜʖʅƴʗh[mlʝʖ^Yd‹ʗ. Rüå;ʘCG :i‹eŽ#ƴǃ>åU09ʘ. ɱĨ@Ǵ>Ɵ#ŷRƧďVǨ.üåVƲɜ.Rʙ(@üåʘ. ǃĹi‹e޹i‹eŽ"P³Vâʼn. OQ1@Ēǽ@ŕëV¿¨Ǟ>[€Žg.R(;#:$Rʙ h[mlVŢ,3üå>ʘɱĨ@`Ž Ž"P@ɤʏ@Ƨ.  . ǃĹ i‹eŽ @³V. ďVȱ9ʘɱĨ@ǃĹ#‘#R=<ʘȜÈ@Ŵª>OQǏ. CG ǘʆ>ȫǨ. ė#ĂU63Q.RƧďV CG ǘʆVɥ-9Ƥ,K(;# :$RʙCG >ORȫǏAʘ(@O>Ǐė@¿¨Ø:M Qʘ1@ťľMãș:Rʘ1SVŴª:$RŴªŖNʘ. h[mlʜ@. ¾Ə,ʘťľ.RƤ,*Vðɗ.R(;#:$R;Ȓ. ³# 1. Yess. No. SRʙǍ>ʘŴª@†Y`f„‹Vʘťľ,3ǏėʖCGʗ Á:ȲȳǞ>ǧɆ:$R(;AɲȰ:R;Ȓ. ¹i‹eŽ@³. PSRʙ. (,3ǦDzA Blended Reality[14]=<AŬƞ*S9R. #³ú . es Yes. P. #ʘI4ÚÈ:A=ʙ. No. 4. G + 8 K h[mlʝ@. h[mlʝ@. 4.1 G +  5 K. ³# 1. ³# 1.  ƓǦDz>!9ʘď<M@șÓ@ǜɭƱɾ;1S>ĠŎ.   Yes. No. Yes. No. .Rou[h@ƭș@ɀ¯>Aʘȸɉd~ƒsbŽf„ ‹ǜɭhbއʖLanguage Communication Developmental Scaleʡ ‘ʘʥʣhbއʗVǓ3[15]ʙLC hbއ; AʘÀøǞ=ǜɭV,9Rď<M#ʛưʦʠư@ɻ>Ǩ .ʘȵĞãș=ȸɉd~ƒsbŽf„‹ȩ×>ƺ63 %7"@ɌʍVǓŕ,ʘǜɭƱɾVYih€‹p.R3L @hbއ:RʙLC hbއVǓR(;:ď<M@. õ6. i‹eŽ;ȫǨ@ƥȰ. șÓ@ǜɭƱɾ;Ȼȋ@3L@ou[h>ōȰ;*SRƭ șVĘȵǞ>ɀ¯:$R;Ȓ. 3.4. (. PSRʙLC hbއ:Aʘ. ď<M@ǜɭƱɾ>Ġ.Rʞ7@ɀ¯ɚ#ĖȐ*S9Rʙ. G+JI.  Ŭƞ,3ou[h@z‰pk[zVªŘ,ʘ1SVÌǓ.  ʞ7@ɀ¯ɚA 1)ȸɉȫÇʖɃ.(;ʗ, 2) ȸɉǐȶʖȕ. ,3o‹hpˆŽf„‹Vȩʘ(@ƧďVM;>Ōǐ. %(;ʗʘ 3) d~ƒsbŽf„‹ʖNQ;Q.R(;ʗ;. ē@Ģɹě;ɑɏV,3ÁĜ>79ɢGRʙ. ĖȐ*S9!Qʘ1@5@ 1)ȸɉȫÇʘ2)ȸɉǐȶVȸ. 1). ɉʊú;,ʘ3)d~ƒsbŽf„‹Vɼɦʊú;,9Rʙ. ě@Ʃø@ÌǓ.  šò@Ġɔ;*SRÏŴªƒƱɾ@ď<MAʘ¿¨Ǟ=. ʝ7@ȸɉʊú@ɀ¯ɚ@‘¦ʊú;,9ĖȐ*S9R. –njVɥ,9ǠȵǞ>ŐȒ.RƱɾ:Qʘ ėɿ>ȱ9ȷ. @# 1) ɉŁʖəɠ=™Nnj@çǭ"PţɔǞ=ɉŁFʗʘ. R

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(6) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2014-UBI-43 No.8 2014/7/28. 要であるためである.これらの意識化は具体物を用いて相. 出す ②子ど. 互作用をする訓練よりも,しりとりやなぞなぞ,拍数に合. もが問題を出. わせてすごろく上のコマを動かす「拍数すごろく」といっ. す.大人がわ. た言葉遊びの方が適しているためである.. ざと間違えて. 4.2 評 価 方 法. 子どもに間違. 評価にあたり,デジタルセラピーで提案するデバイスの. えを指摘させ. 機能と,LC スケールの対応づけを行った.これは,提案. る ※子ども. する機能が LC スケールによりどの領域を訓練するものに. の発達に合わ. なりうるかを明確にするためである.また,その結果を専. せて徐々に動. 門家と議論した内容を指標としていくつかの例を次にまと. 作の連鎖を長. め、教材としての機能の評価を行った(表1). 表1 デバイスの機能とその利用方法の一例. くする デバイス. ③談話・. 上位概念. 季節の概. ①質問の内容. 総合. 語操作領. の理解,. 念を理解. を理解して返. 域. 推論【聞. する.複. 答する「とい. 教材での具体. くこと】 . 数のヒン. うことは、お. ールの領. 的なトレーニ. 状況画の. トから語. 家の外は、い. 域. ング方法. 理解. を推論す. まどんな季節. る.. なのかな?」. デバイス. LCスケ. の機能. スキル. 内容. 光センサ. ①語彙領. 位置の理. 位置を表. ①「屋根をお. 【話すこ. ー:周辺. 域. 解【聞く. す言葉で. うちの上にの. と】. 環境の明. こと】. 要求す. せてあげて」. 状況画を. /冬だね!」. るさを検. 動作指示. る,その. などという指. 説明す. ②「どうして. 知(屋根. の理解. 要求を理. 示を子どもに. る.. 春/夏/秋/. の有無. 【聞くこ. 解する. 出す。②対応. 冬だと思った. 等). と】. するリアクシ. の?」. 「春/夏/秋. ョンを子供に 要求する. 上記の表は本デバイスの4つの機能(光センサー/温度. 温度セン. ①語彙領. 数量を表. 数を表す. ①「いま何度. センサー/スイッチ/デバイス総合)にそれぞれ対応する. サー:周. 域. す語彙の. ことばを. かな?」など. 3つの訓練領域(語彙領域/語連鎖・統語領域/談話・語. 辺環境の. 理解【話. 理解する. と子どもに質. 操作領域)を割り当てたものである.今回は円滑な評価を. 気温を検. すこと】. 問し、数量を. 行っていくために一つの機能につき領域を一つのみ割り当. 知. 【聞くこ. 量や性質. 表す言葉の表. ててあるが,あくまでも一例であるため,他の利用方法も. と】. を表すこ. 出を促す. 存在する.. とばを理. ②「温度を“少. 光センサーには主に家の模型の屋根の有無を検知する機. 解する. し”上げて」. 能があることから,屋根を通じて物の位置の理解と動作指. など量を表す. 示の理解を促す訓練を行うことができると考え,語彙領域. 言葉を使って. の訓練を行うことを想定した.温度センサーには周囲の環. 子どもに指示. 境のその時々の気温を検知する機能があることから,気温. をだす. をたずねることで数量を表わす語彙の理解を促進できると. スイッ. ②語連. 語連鎖の. 複雑な指. ①「スイッチ. 考え,こちらでも語彙領域の訓練を行うことを想定してい. チ:部屋. 鎖・統語. 理解と表. 示の理解. を入れて部屋. る.. の明かり. 領域. 出【聞く. (命令ゲ. を明るくして. スイッチには PC 画面上に表示されている部屋内部の CG. をつける. こと】 【話. ーム). から,部屋の. 画像において部屋の電気やエアコンの ON/OFF を切り替. /消す・. すこと】. 温度を 25 度に. える機能があり,それだけで様々な操作を行えることから,. エアコン. してくださ. 複雑な指示を理解するための訓練が行えると考え,語連. の ON/. い」などとい. 鎖・統合領域との対応付けを行っている。. OFF. った複雑な指. デバイス総合としてデバイス全体を見ると,部屋内部の. 示を子どもに. CG 画像中の窓の外の景色を春/夏/秋/冬に変化させる 機能はこれらの微妙な変化を理解し分類することを促すた. ⓒ 2014 Information Processing Society of Japan. 5.

(7) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2014-UBI-43 No.8 2014/7/28. めの訓練に用いることができることから,談話・語操作領. 持っている.子どもは,家の中で遊んでいる感覚をもちな. 域を割り当てた.. がら,CG 画面に表示された内容の変化を確認し,聞く, 話すこと自然に行うことを目的とした.こうしたデバイス. 5. 課 題. を作成し,専門家と議論を行い,その内容をまとめた. 今後は,これらの議論をふまえて,実際の評価指標の作. 本研究では,4節にて議論した評価方針をふまえて評価. 成と評価を行いさらにデバイスの有効性の検証,発展など. を行う.また,ここまでの議論をふまえて,今後の課題を. につなげる予定である.また,評価方法として,センサー. 次にまとめた. や CG によるデジタル補助がある場合と,ない場合の二つ. 1) 補 助 機 能 の 提 供. の実験を行い,子どもがどちらにより興味がもてたかとい. 我々は実験に先立ち,数名に対してデバイスの試用セン. うことを比較すること,さらに話す力を訓練するための新. サーを行った.結果,デバイスと CG の連携だけによって. しい方法などを検討する.. 表出された言語は感嘆を表わすものばかりで,意味のある. 参考文献. 言葉を返してもらうことはできなかった.これについては, コミュニケーションに障害を持つ子どもが使用するとして も同様の結果が想定される. しかし, 言語領域の訓練を行っていくうえでこれは致命 的であり,克服のためには質問の内容を具体的な言葉を返 してもらえるように工夫する必要がある.そのため専門家 でない者が効果的な誘導を行うためには, “子ども一人一人 の発達の度合いに合わせたデバイスの使用方法の処方箋を 専門家に作成してもらい,家庭ではそれに沿って親子で訓 練を行う”などといったことが必要になるだろう. また今後の課題として,LCスケールや専門家の知見を もとに訓練のフローチャートを作成し,それを用いた支援 アプリの作成も検討している. 2) キ ャ ラ ク タ ー に よ る , 拡 張 現 実 と 共 感 の 育 成 さらに今後の中で,より積極的な子どもの働きかけを促 すためには,キャラクターを設定し,それに語りかけるこ とを通じて,話す力だけでなくコミュニケーション領域の 力も伸ばすことができるのではないかという議論が出た. 例えば,あるキャラクターが寒そうにしていたら「寒い?」 といった言葉を語りかけることで,子どもが相手の気持ち を理解して,言葉を発するというコミュニケーション領域 の訓練にもなるということである.このように,気温や季 節感などを共感できるような語りかけにつなげさせるよう な機能として発展させることが重要であるとされた. このように,今後はさらに,キャラクターなどを設置す ることで,そのキャラクターとの対話を通じて子どもの表 現したい要求を喚起することで,話す力だけでなくコミュ ニケーション領域の力を訓練することも考えられる.. 6. ま と め 今回,言語やコミュニケーションに障害を持つ子どもに. 1) 文部省:学習障害児に対する指導について(報告),学習障害及 びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に関 する調査研究協力者会議(1999). 2) 文部科学省:特別支援教育を推進するための制度の在り方につ いて(答申),中央教育審議会(2005). 3) 西岡有香:言語・コニュニケーションの指導〔Ⅱ〕指導,特別 支援教育士視覚認定協会(編),S.E.N.S 養成セミナー 特別支援教 育の理論と実践 Ⅱ指導,金剛出版,pp.44-58(2007). 4) Piaget,J.:La naissance de l'intelligence chez l'enfant,Paris, Delacchaux et Niestlé(1936).(谷村覚,浜田寿美男(訳):知能の誕 生,ミネルヴァ書房(1978).) 5) 太田信子,西岡有香,田畑友子:LD児サポートプログラム, 日本文化科学社(2000). 6) 上野一彦,岡田智:特別支援教育〔実践〕ソーシャルスキルマ ニュアル,明治図書(2006). 7) 本田恵子:キレやすい子へのソーシャルスキル教育 教室ででき るワーク集と実践例,ほんの森出版(2007). 8) 山内加奈子,田中美紗,加藤匡宏,大西 美智恵:早期英語教育 によって表出性言語障害となった幼児に対する遊戯療法の効果, 香川大学看護学雑誌,Vol.12,No1,pp.65-75(2008). 9) 外山 美樹,高塚 智行,十川 奈緒子:コミュニケーション能力 の全体的な発達の遅れを示す男児に対する遊戯療法の過程:第2 報,筑波大学発達臨床心理学研究 Vol.13,pp1-14(2001). 10) 内田真弓:発達障害児の指導における通級指導教室と通常学 校の連携: ICT 活用を媒介として,日本教育情報学会第 28 回年会, pp.332-335(2012). 11) 芳野 可奈子,高田 雅美,天白 成一,城 和貴:ニンテンド ーDS を用いた書字学習トレーニングソフトの開発,情報処理学会 研究報告,Vol.2007-MRS-63,No.21,pp.81-84(2007). 12) Dale, M.A., & Lyddon, W. J. Sandplay: investigation into a. child’s meaning system via the self-confrontation method for children. Jounal of Constructivist Psychology, 16, pp. 17-36. 13) ARDUINO http://www.arduino.cc/ 14) Robert, David and Breazeal, Cynthia, Blended Reality. Characters, Proceedings of the Seventh Annual ACM/IEEE International Conference on Human-Robot Interaction (HRI’12), 2012, pp.359-366. 15) 大伴潔,林安紀子,橋本創一,池田一成,菅野敦:LC スケ ール 言語・コミュニケ—ション発達スケール 増補版, 2013, 学苑 社.. 対して,遊びながら繰り返し,聞く,話す力を訓練するた めのデバイスとして,橙色のお家を提案した.橙色のお家 は,温度や光センサー,スイッチなどを搭載しており,現 実世界の情報を収集し,これを CG 画面に表示する機能を. ⓒ 2014 Information Processing Society of Japan. 6.

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