橙色の屋根のお家:コミュニケーションに障害を持つ児童向けのデジタル教材
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(2) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2014-UBI-43 No.8 2014/7/28. 2.2. 従 来 研 究 . を行い,その状況についてセラピストと子どもが相互にや. 小学校低学年で聞く力に困難のある子どもの場合,その. りとりを繰り返すことで訓練を促すことが一般的である.. 認知発達の段階は多くの場合発達心理学者のピアジェの発. しかし,このような方法で訓練を行おうとする際には,子. 達段階[4]によるところの前操作期にあたる.前操作期の子. どもの想像力だけで設定をイメージすることが難しいため,. どもは頭の中だけで物事を論理的に考えて操作することが. セラピストは状況設定を詳細に説明する必要がある.この. 難しく,指導の際には具体的な物事を通した経験が重要で. ように,子どもが自発的に言葉を発したり,耳を傾けて訓. ある.小学校低学年以下の子どもに「聞く」ことを練習さ. 練に没頭させるように,誘導するために高い経験や技術が. せるためには,聞く力が必要とされるゲーム(旗揚げゲー. 必要となり,家庭で気軽に使うことに障害があった. . ム,スリーヒントゲーム等)や聞く力の要素が入ったソー. これに対して,我々は,家の模型を用いることで,触れ. シャルスキルトレーニング(すごろくトーク,お話作り等). られるデバイスを提供するだけではなく,家の中の状況を. がよく行われている[5][6][7].これらの指導の中で使用さ. CG により PC 上に表示し,画像により補うことで,高度な. れるゲームや課題は,一般的な遊びでも使用されるもので. 経験と知識をもつセラピストではなくても,気軽に訓練を. あり手軽に取り組むことができる.一方で,子どもの力を. できるのではないかと考えた. . 意識的に訓練していくためには,教材,課題に含まれる聞. また,触ることによりもたらされる変化を感じられるよ. く力の要素を理解している必要があり,言語学や聴覚認知. うに,家の模型にセンサーを取り付け,その変化を CG によ. に関する知識を有する専門家や教師による指導が望ましい.. り表現できるようにした.具体的には,まず,温度センサ. コミュニケーションに障害を持つ子どもに対するアプ. ーや,光センサーにより,天気や,温度を CG で表現された. ローチとしてプレイセラピーや箱庭療法が用いられること. 部屋に反映した.屋根をあけると明るくなる,電気を消す. もある[8][9].プレイセラピーや箱庭療法では具体的な事物. と暗くなる,といった動作を,CG 画面を通じて体感する. . に触れる経験ができるメリットがある一方で,専門的知識. CG のコンピュータ画面は,子どもが現在感じている寒暖,. を有するセラピストによる実施が必要であり,また,実施. 明暗などの外界の情報を,分かり易く表現することで,子. にあたっては例えばトランポリンやセラピーボールといっ. どもが共感を持ち,客観的な立場で言葉を選ぶことにより,. た大掛かりな用具や,高価な箱庭などの用具が必要となる.. 訓練が促されると考えた.次に,積極的に聞く,話す力を. 近年ではコンピュータ(PC,iPad,携帯ゲーム機等)を. 育てるためには操作に対してリアクティブな仕組みを提供. 使用した支援教材も開発されているが,多くは刺激教材が. するものとした.具体的には,センサーやスイッチにより,. 画面上に提示され,子どもにキーボードや直接画面に触れ. 家の中の様子を変化させるものとした.子どもが行った操. ることによる反応を求めるものである[10][11].これらは,. 作の影響により状況が変わることで,その感動を伝えたい. 書字や視機能の反復訓練などにおいては効果的である一方. という気持ちを育て,言葉につなげることを目指した.最. で,コミュニケーションの支援に活用しようとする際には. 後に,季節の移り変わりを CG 内の窓に再現するものとした.. 情報が2次元で提示されるため,前操作期の子どもにとっ. 季節は,温度や光量などの微妙な変化により変化する.こ. ては,イメージが持ちにくく,コミュニケーションに対す. うした変化に気づき,その変化を表現する訓練を行えるこ. る動機づけが上がりにくいという面もある.. とを目指した. . 3. デ ジ タ ル プ レ イ セ ラ ピ ー. 3.2 シ ス テ ム 構 成. 3.1 研 究 の 目 的. 橙色の屋根のお家を利用する場合の具体的なイメージを. 我々は,子どもが表現をしたいという最初の欲求をかき. 図 1 に示した.. たて,自然な形で学習に取り組むための教材を提供するこ とを目的とし,伝統的なプレイセラピーを応用した,新し いデジタルプレイセラピーを提案する.身近な家でおまま ごとをする環境はなじみがあり,ごっこ遊びという形で没 入することで,より状況に適した言葉を選ぶ力を得ること に適していると考えた. 対象と想定する前操作期段階の子どもは,具体的な事物 を通して直観的に思考する段階であり,“実際に見て触る” という動作に対して関心を抱きやすい.そのため,具体物 を使いながら訓練を行うプレイセラピーは,広く行われて いる[12].ただし,箱庭などを用いたプレイセラピーによ. 図 1 PC 画面を通じた,視覚と触覚の共有. って話す力や聞く力を育てるためには,何らかの状況設定. ⓒ 2014 Information Processing Society of Japan. 2.
(3) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2014-UBI-43 No.8 2014/7/28. 橙屋根の小さなお家(前面). 図 4 窓の外の時間帯と季節 橙屋根の小さなお家(背面). (左上:春,右上:夏,左下:秋,右下:冬). 図 2 デバイスの写真(上:前, 下:背面). 図 3 家の中の様子(左: 電気 ON, 右:電気 OFF) 図 5 デバイス内部のボード,センサー構成 本デバイスは、スイッチ・光センサー・温度センサーの 3 つのセンサーから値を取得し,マイコンボードを介して,. い,温度を取得する.また,光センサ(Photoresistor)は,. これらの値を取得できるものとした.マイコンボードとし. 光の強度を検知するセンサ.入射する光の強度が増加する. ては,Arduino[13] を利用した,Arduino のマイコンボード. と電気抵抗が低下することで,光量を数値化し,現在の部. では,センサーからのアナログ入力を読み込み,その状態. 屋の明るさに対応して,CG 内部の部屋の明るさを調整で. をプログラム上で操作することが可能である.そこで,我々. きるものとした.. は,これらのセンサーの値をその組み合わせに応じた 4 通 りの状態に分岐させ,その状態に応じた CG を PC 画面上 に表示するものとした.. 3.3 ソ フ ト ウ エ ア 構 成 本システムのソフトウエア構成を図 3 に示した.フロー. この 4 通りの状態はそれぞれ現実世界における家の中の. チャートに記載したように,本プログラムは外界からの情. 状態を表している.. 報を読み取るために,プログラム実行中は常にセンサーか. !. 屋根の有無. らの入力を読み取る(loop).スイッチ 1,2 もしくは温度,光. !. 電気の ON/OFF. センサーから値を取得する.光センサー,温度センサーか. !. エアコンの ON/OFF. ら入力値その値を CG 画面に加工して表示する.温度セン. !. 室内温度. サーからの値は,センサーから取得した値を実際の現実的. また,変化の状態は,これらのセンサーの組み合わせに. な温度に対応付けた. 光センサーの値は,事前に実行環境. よって決まる.屋根の有無は光センサー,室内温度は温度. 下で外界の情報を取得し,取得した値とその時の環境の状. センサー,電気・エアコンの ON/OFF はそれぞれに一つず. 態を元に 2 つの値域を設定,実稼動時に取得した値がどち. つ割り当てられたスイッチに対応付けるものとした.これ. らの値域に属しているかによって CG を分岐させられるよ. とは別に,窓の外の季節を適時春/夏/秋/冬のうちのい. うにした. 最後にスイッチにより,PC 画面上の部屋の中. ずれかに変更することが可能である.. の電気をつけたり,消したりするよう,変更できるように. 使用したセンサーは LM35 の温度センサー,摂氏に比例. した.. したアナログの電圧を出力する IC 温度センサー,出力され る温度の変換式(Vout_LM35(T) = 10mV/℃×T℃)に従. ⓒ 2014 Information Processing Society of Japan. 3.
(4) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2014-UBI-43 No.8 2014/7/28. (S>79Mʘ¿¨Ǟ=[gVʼnN.M@;,9 ɀ¯*S3ʙ. ɺč. . Bʘęǃ# 20 ĹǯĹ@üåʘȻȋȓ#Ɖ"%=6. 3?;¢ h[mlʜʖʅƴʗh[mlʝʖ^Ydʗ. Rüå;ʘCG :ie#ƴǃ>åU09ʘ. ɱĨ@Ǵ>Ɵ#ŷRƧďVǨ.üåVƲɜ.Rʙ(@üåʘ. ǃĹie¹ie"P³Vâʼn. OQ1@Ēǽ@ŕëV¿¨Ǟ>[g.R(;#:$Rʙ h[mlVŢ,3üå>ʘɱĨ@` "P@ɤʏ@Ƨ. . ǃĹ ie @³V. ďVȱ9ʘɱĨ@ǃĹ##R=<ʘȜÈ@Ŵª>OQǏ. CG ǘʆ>ȫǨ. ė#ĂU63Q.RƧďV CG ǘʆVɥ-9Ƥ,K(;# :$RʙCG >ORȫǏAʘ(@O>Ǐė@¿¨Ø:M Qʘ1@ťľMãș:Rʘ1SVŴª:$RŴªŖNʘ. h[mlʜ@. ¾Ə,ʘťľ.RƤ,*Vðɗ.R(;#:$R;Ȓ. ³# 1. Yess. No. SRʙǍ>ʘŴª@Y`fVʘťľ,3ǏėʖCGʗ Á:ȲȳǞ>ǧɆ:$R(;AɲȰ:R;Ȓ. ¹ie@³. PSRʙ. (,3ǦDzA Blended Reality[14]=<AŬƞ*S9R. #³ú . es Yes. P. #ʘI4ÚÈ:A=ʙ. No. 4. G + 8 K h[mlʝ@. h[mlʝ@. 4.1 G + 5 K. ³# 1. ³# 1. ƓǦDz>!9ʘď<M@șÓ@ǜɭƱɾ;1S>ĠŎ. Yes. No. Yes. No. .Rou[h@ƭș@ɀ¯>Aʘȸɉd~sbf ǜɭhbʖLanguage Communication Developmental Scaleʡ ʘʥʣhbʗVǓ3[15]ʙLC hb; AʘÀøǞ=ǜɭV,9Rď<M#ʛưʦʠư@ɻ>Ǩ .ʘȵĞãș=ȸɉd~sbfȩ×>ƺ63 %7"@ɌʍVǓŕ,ʘǜɭƱɾVYihp.R3L @hb:RʙLC hbVǓR(;:ď<M@. õ6. ie;ȫǨ@ƥȰ. șÓ@ǜɭƱɾ;Ȼȋ@3L@ou[h>ōȰ;*SRƭ șVĘȵǞ>ɀ¯:$R;Ȓ. 3.4. (. PSRʙLC hb:Aʘ. ď<M@ǜɭƱɾ>Ġ.Rʞ7@ɀ¯ɚ#ĖȐ*S9Rʙ. G+JI. Ŭƞ,3ou[h@zpk[zVªŘ,ʘ1SVÌǓ. ʞ7@ɀ¯ɚA 1)ȸɉȫÇʖɃ.(;ʗ, 2) ȸɉǐȶʖȕ. ,3ohpfVȩʘ(@ƧďVM;>Ōǐ. %(;ʗʘ 3) d~sbfʖNQ;Q.R(;ʗ;. ē@Ģɹě;ɑɏV,3ÁĜ>79ɢGRʙ. ĖȐ*S9!Qʘ1@5@ 1)ȸɉȫÇʘ2)ȸɉǐȶVȸ. 1). ɉʊú;,ʘ3)d~sbfVɼɦʊú;,9Rʙ. ě@Ʃø@ÌǓ. ò@Ġɔ;*SRÏŴªƒƱɾ@ď<MAʘ¿¨Ǟ=. ʝ7@ȸɉʊú@ɀ¯ɚ@¦ʊú;,9ĖȐ*S9R. njVɥ,9ǠȵǞ>ŐȒ.RƱɾ:Qʘ ėɿ>ȱ9ȷ. @# 1) ɉŁʖəɠ=Nnj@çǭ"PţɔǞ=ɉŁFʗʘ. R
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(6) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2014-UBI-43 No.8 2014/7/28. 要であるためである.これらの意識化は具体物を用いて相. 出す ②子ど. 互作用をする訓練よりも,しりとりやなぞなぞ,拍数に合. もが問題を出. わせてすごろく上のコマを動かす「拍数すごろく」といっ. す.大人がわ. た言葉遊びの方が適しているためである.. ざと間違えて. 4.2 評 価 方 法. 子どもに間違. 評価にあたり,デジタルセラピーで提案するデバイスの. えを指摘させ. 機能と,LC スケールの対応づけを行った.これは,提案. る ※子ども. する機能が LC スケールによりどの領域を訓練するものに. の発達に合わ. なりうるかを明確にするためである.また,その結果を専. せて徐々に動. 門家と議論した内容を指標としていくつかの例を次にまと. 作の連鎖を長. め、教材としての機能の評価を行った(表1). 表1 デバイスの機能とその利用方法の一例. くする デバイス. ③談話・. 上位概念. 季節の概. ①質問の内容. 総合. 語操作領. の理解,. 念を理解. を理解して返. 域. 推論【聞. する.複. 答する「とい. 教材での具体. くこと】 . 数のヒン. うことは、お. ールの領. 的なトレーニ. 状況画の. トから語. 家の外は、い. 域. ング方法. 理解. を推論す. まどんな季節. る.. なのかな?」. デバイス. LCスケ. の機能. スキル. 内容. 光センサ. ①語彙領. 位置の理. 位置を表. ①「屋根をお. 【話すこ. ー:周辺. 域. 解【聞く. す言葉で. うちの上にの. と】. 環境の明. こと】. 要求す. せてあげて」. 状況画を. /冬だね!」. るさを検. 動作指示. る,その. などという指. 説明す. ②「どうして. 知(屋根. の理解. 要求を理. 示を子どもに. る.. 春/夏/秋/. の有無. 【聞くこ. 解する. 出す。②対応. 冬だと思った. 等). と】. するリアクシ. の?」. 「春/夏/秋. ョンを子供に 要求する. 上記の表は本デバイスの4つの機能(光センサー/温度. 温度セン. ①語彙領. 数量を表. 数を表す. ①「いま何度. センサー/スイッチ/デバイス総合)にそれぞれ対応する. サー:周. 域. す語彙の. ことばを. かな?」など. 3つの訓練領域(語彙領域/語連鎖・統語領域/談話・語. 辺環境の. 理解【話. 理解する. と子どもに質. 操作領域)を割り当てたものである.今回は円滑な評価を. 気温を検. すこと】. 問し、数量を. 行っていくために一つの機能につき領域を一つのみ割り当. 知. 【聞くこ. 量や性質. 表す言葉の表. ててあるが,あくまでも一例であるため,他の利用方法も. と】. を表すこ. 出を促す. 存在する.. とばを理. ②「温度を“少. 光センサーには主に家の模型の屋根の有無を検知する機. 解する. し”上げて」. 能があることから,屋根を通じて物の位置の理解と動作指. など量を表す. 示の理解を促す訓練を行うことができると考え,語彙領域. 言葉を使って. の訓練を行うことを想定した.温度センサーには周囲の環. 子どもに指示. 境のその時々の気温を検知する機能があることから,気温. をだす. をたずねることで数量を表わす語彙の理解を促進できると. スイッ. ②語連. 語連鎖の. 複雑な指. ①「スイッチ. 考え,こちらでも語彙領域の訓練を行うことを想定してい. チ:部屋. 鎖・統語. 理解と表. 示の理解. を入れて部屋. る.. の明かり. 領域. 出【聞く. (命令ゲ. を明るくして. スイッチには PC 画面上に表示されている部屋内部の CG. をつける. こと】 【話. ーム). から,部屋の. 画像において部屋の電気やエアコンの ON/OFF を切り替. /消す・. すこと】. 温度を 25 度に. える機能があり,それだけで様々な操作を行えることから,. エアコン. してくださ. 複雑な指示を理解するための訓練が行えると考え,語連. の ON/. い」などとい. 鎖・統合領域との対応付けを行っている。. OFF. った複雑な指. デバイス総合としてデバイス全体を見ると,部屋内部の. 示を子どもに. CG 画像中の窓の外の景色を春/夏/秋/冬に変化させる 機能はこれらの微妙な変化を理解し分類することを促すた. ⓒ 2014 Information Processing Society of Japan. 5.
(7) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2014-UBI-43 No.8 2014/7/28. めの訓練に用いることができることから,談話・語操作領. 持っている.子どもは,家の中で遊んでいる感覚をもちな. 域を割り当てた.. がら,CG 画面に表示された内容の変化を確認し,聞く, 話すこと自然に行うことを目的とした.こうしたデバイス. 5. 課 題. を作成し,専門家と議論を行い,その内容をまとめた. 今後は,これらの議論をふまえて,実際の評価指標の作. 本研究では,4節にて議論した評価方針をふまえて評価. 成と評価を行いさらにデバイスの有効性の検証,発展など. を行う.また,ここまでの議論をふまえて,今後の課題を. につなげる予定である.また,評価方法として,センサー. 次にまとめた. や CG によるデジタル補助がある場合と,ない場合の二つ. 1) 補 助 機 能 の 提 供. の実験を行い,子どもがどちらにより興味がもてたかとい. 我々は実験に先立ち,数名に対してデバイスの試用セン. うことを比較すること,さらに話す力を訓練するための新. サーを行った.結果,デバイスと CG の連携だけによって. しい方法などを検討する.. 表出された言語は感嘆を表わすものばかりで,意味のある. 参考文献. 言葉を返してもらうことはできなかった.これについては, コミュニケーションに障害を持つ子どもが使用するとして も同様の結果が想定される. しかし, 言語領域の訓練を行っていくうえでこれは致命 的であり,克服のためには質問の内容を具体的な言葉を返 してもらえるように工夫する必要がある.そのため専門家 でない者が効果的な誘導を行うためには, “子ども一人一人 の発達の度合いに合わせたデバイスの使用方法の処方箋を 専門家に作成してもらい,家庭ではそれに沿って親子で訓 練を行う”などといったことが必要になるだろう. また今後の課題として,LCスケールや専門家の知見を もとに訓練のフローチャートを作成し,それを用いた支援 アプリの作成も検討している. 2) キ ャ ラ ク タ ー に よ る , 拡 張 現 実 と 共 感 の 育 成 さらに今後の中で,より積極的な子どもの働きかけを促 すためには,キャラクターを設定し,それに語りかけるこ とを通じて,話す力だけでなくコミュニケーション領域の 力も伸ばすことができるのではないかという議論が出た. 例えば,あるキャラクターが寒そうにしていたら「寒い?」 といった言葉を語りかけることで,子どもが相手の気持ち を理解して,言葉を発するというコミュニケーション領域 の訓練にもなるということである.このように,気温や季 節感などを共感できるような語りかけにつなげさせるよう な機能として発展させることが重要であるとされた. このように,今後はさらに,キャラクターなどを設置す ることで,そのキャラクターとの対話を通じて子どもの表 現したい要求を喚起することで,話す力だけでなくコミュ ニケーション領域の力を訓練することも考えられる.. 6. ま と め 今回,言語やコミュニケーションに障害を持つ子どもに. 1) 文部省:学習障害児に対する指導について(報告),学習障害及 びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に関 する調査研究協力者会議(1999). 2) 文部科学省:特別支援教育を推進するための制度の在り方につ いて(答申),中央教育審議会(2005). 3) 西岡有香:言語・コニュニケーションの指導〔Ⅱ〕指導,特別 支援教育士視覚認定協会(編),S.E.N.S 養成セミナー 特別支援教 育の理論と実践 Ⅱ指導,金剛出版,pp.44-58(2007). 4) Piaget,J.:La naissance de l'intelligence chez l'enfant,Paris, Delacchaux et Niestlé(1936).(谷村覚,浜田寿美男(訳):知能の誕 生,ミネルヴァ書房(1978).) 5) 太田信子,西岡有香,田畑友子:LD児サポートプログラム, 日本文化科学社(2000). 6) 上野一彦,岡田智:特別支援教育〔実践〕ソーシャルスキルマ ニュアル,明治図書(2006). 7) 本田恵子:キレやすい子へのソーシャルスキル教育 教室ででき るワーク集と実践例,ほんの森出版(2007). 8) 山内加奈子,田中美紗,加藤匡宏,大西 美智恵:早期英語教育 によって表出性言語障害となった幼児に対する遊戯療法の効果, 香川大学看護学雑誌,Vol.12,No1,pp.65-75(2008). 9) 外山 美樹,高塚 智行,十川 奈緒子:コミュニケーション能力 の全体的な発達の遅れを示す男児に対する遊戯療法の過程:第2 報,筑波大学発達臨床心理学研究 Vol.13,pp1-14(2001). 10) 内田真弓:発達障害児の指導における通級指導教室と通常学 校の連携: ICT 活用を媒介として,日本教育情報学会第 28 回年会, pp.332-335(2012). 11) 芳野 可奈子,高田 雅美,天白 成一,城 和貴:ニンテンド ーDS を用いた書字学習トレーニングソフトの開発,情報処理学会 研究報告,Vol.2007-MRS-63,No.21,pp.81-84(2007). 12) Dale, M.A., & Lyddon, W. J. Sandplay: investigation into a. child’s meaning system via the self-confrontation method for children. Jounal of Constructivist Psychology, 16, pp. 17-36. 13) ARDUINO http://www.arduino.cc/ 14) Robert, David and Breazeal, Cynthia, Blended Reality. Characters, Proceedings of the Seventh Annual ACM/IEEE International Conference on Human-Robot Interaction (HRI’12), 2012, pp.359-366. 15) 大伴潔,林安紀子,橋本創一,池田一成,菅野敦:LC スケ ール 言語・コミュニケ—ション発達スケール 増補版, 2013, 学苑 社.. 対して,遊びながら繰り返し,聞く,話す力を訓練するた めのデバイスとして,橙色のお家を提案した.橙色のお家 は,温度や光センサー,スイッチなどを搭載しており,現 実世界の情報を収集し,これを CG 画面に表示する機能を. ⓒ 2014 Information Processing Society of Japan. 6.
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【対応者】 :David M Ingram 教授(エディンバラ大学工学部 エネルギーシステム研究所). Alistair G。L。 Borthwick
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