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気候変動問題に新しい光をあてる ICOS同位体比測定

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Academic year: 2021

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2011.7 Laser Focus World Japan

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 2007年夏の北極海氷の劇的な減少 は予測不可能なことであり、何人かの 科学者によれば、科学モデルで評価す ることもできなかった(1)。永久凍土層 や海洋の温度上昇によって放出される メタンや二酸化炭素といった気体の定 量分析は、大気圏に対する全炭素負荷 量を決定するために必要だ。しかし、 メタンが放出される速度と、メタンを 生成する有機物の発生源およびその時 期ははっきり分かっていない。  既存のリモートセンシングとフラッ クスモデルは、広い北極圏領域の気体 の正確な空間的・時間的分布を測定す るには不十分である。また人間の活動 によって大気中に放出される年間8Gt の炭素に加えて2000Gtもの多量の炭 素が北極圏の土壌と海洋に含まれてい る。このことから米ハーバード大学の 研究チームは、分光同位体比測定を使 ってより正確な炭素測定を実施し、国 家的な炭素モニタリングネットワーク 基盤の構築を提案している(2)

ICOS法

 ハーバード大学で開発された軸外し 集積キャビティ出力分光法(ICOS)技 術と球形ヘリオットセルを使用した炭 素計器は、メタン(12CH413CH4)または 二酸化炭素(12CO213CO212CO18O)の 安定同位体の同時測定を可能にした(3) ( 2 1 素 炭 、 ば え 使 を 体 位 同 の ら れ こ 12C) に対する炭素13(13C)の比、いわゆる δC13を計算することもできる。このδC13 値は、天然ガスや石炭のような炭素源 を人工的に燃焼するのと、沼沢地や動 物、細菌放出など自然の生命活動によ って発生したものとで異なる。そして ICOS法を使って1秒で1.0‰(パーミ ルまたは1000分の1)、200秒で0.1‰ の精度で測定できる。この精度は大気 中の炭素源を正確に同定するのに必要 な精度である1.0‰よりも高い(図1)。  このシステムの経路長の10から100 倍の増加によるICOS法の感度と時間 応答のブレークスルーによって、飛行 中の航空機からの同位体炭素の測定が 可能になった。ICOS計器は、浜松フ ォトニクス社製の7.7μm連続波量子カ スケードレーザからの光を閉じ込める ための2枚の高反射率(99.967%)セレ ン化亜鉛ミラー(直径10cm、曲率半径 140mm)から構成される、高フィネス 光共振器を備えている。1から10μsの

気候変動問題に新しい光をあてる

ICOS同位体比測定

キャビティリングダウン分光法

world

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-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 -350 -400 -300 -250 -200 -150 -100 -50 0 生命活動による発生 (細菌による発生) 水田 反芻 シロアリ 北風湿地帯 熱帯湿地帯 淡水 ごみ廃棄場 対流圏平均 ガスハイドレート 海洋 空中メタン生成 沼地 ごみ廃棄場 バイオガス発生器 バイオマス燃焼 石炭 1996 フォルクスワーゲン 1993 日産 不完全燃焼 2002 ホンダ 天然ガス 熱発生 δ13CH(‰ PDB)4 δ D CH4 (‰ SMOW) 図1 同位体比測定は、大気 中の異なる炭素源の区別に利 用することができる。正確な 測定のためには1‰よりよい 精度が必要であり、集積キャ ビティ出力分光法(ICOS)計 器を使えば 200s の測定時 間で0.1‰の精度が可能であ る。(資料提供:ハーバード大 学)

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Laser Focus World Japan 2011.7

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オーダーでの有効経路長は50cmのミ ラー間距離の1000倍になる。航空機 の特別な吸気口から取り込んだ周囲大 気に対して、対象となるスペクトル吸 収特性にわたってこのレーザで走査 し、共振器内の光の強度を測定する。 強度変化は2枚の共振器ミラー間を通 る光の吸収と損失による。キャビティリ ングタウン分光法(CRDS)の一種であ るICOSでは、対象となるスペクトルの 特性を隠してしまう可能性がある分極 干渉の影響を最小化するため、レーザ は「軸外し」にした。  メタンの同位体比測定に加えて、研 究チームは二酸化炭素の同位体比を測 定するための分光計も開発した。この 炭素計器を、気体の濃度だけでなく表 面からの流束を測定するために、NOAA (米海洋大気庁)の開発した最適な乱気 流(BAT)プローブと組み合わせた。  ハーバード大学のジェームズ・アンダ ースン教授率いるチームのデイビッド・セ イヤーズ研究員は、「われわれはこれら の測定において、NOAAや航空機を操 縦するオーロラフライトサイエンシズ と共に働けることに興奮している。北 極の永久凍土層の融解によって放出さ れるメタンと二酸化炭素は、人為的放 出による大気中炭素負荷をさらに増大 させる可能性がある。気候変動および 化石燃料の削減のタイミングとその量 に関する政策決定に深い影響を及ぼす であろうから、この放出量と原因を知 ることは緊急の課題である。われわれ の最初のフライトは2011年の夏後半 にアラスカのノーススロープで開始し、 翌年の春、夏、秋へと続く予定だ。わ れわれの使う手法は、米国内と外国に おける炭素放出を監視する最初のステ ップであり、実際の炭素放出条約に必 要なものとなるだろう」と語っている。 (Gail Overton) 参考文献

(1) J. Boe et al., Nature Geoscience, 2, 341 (2010).

(2) D.S. Sayres et al., Multi-Regional Scale Aircraft Observations of Methane and Carbon Di ox ide Isotopic Fluxes in the Arctic, proposal for consideration to NSF(March 2011).

(3) M.F. Witinski et al., Appl. Phys. B, 102, h c r a M ( 5 7 3 2010).

LFWJ

参照

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