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青年期の友人関係と対人ストレスコーピングの関連

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Academic year: 2021

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青年期の友人関係と対人ストレスコーピングの関連

―獲得的レジリエンスに着目して―

16007PCM 勇輝

問題

青年期は他の年代以上に,友人との関わりを 希求し,自己の安定や成長に関連づけるとされ てきた。青年期後期(高校生後期・大学生期)

には知的・情緒的成熟に伴いお互いの違いを受 容しつつ,相手との信頼・自己開示・相手への 忠誠に基づいた親密で有意義な友人関係が維持 されていると考えられている(Atwater, 1992) 一方,近年こうした内面的友人関係を避け,友 人から低い評価を受けないように警戒したり,

互いに傷つけ合わないよう,表面的に円滑な関 係を志向する傾向(現代的友人関係)が指摘さ

れ(千石, 1991),実証的研究においても,こう

した友人関係のあり方が見出されてきている。

岡田(1995)はこうした関係は表面的で快活な 関係を求める傾向,内面的関係を避ける傾向,

相手に気を遣う傾向に分類され,それぞれの特 徴を強くもつ青年群(群れ関係群,関係回避群,

気遣い関係群)が見られるとしている。現代の 青年は適応の程度が低く,自己の発達において 未熟な特徴を示すと考えられる。このような現 代的友人関係は,対人関係上においてストレス を避ける傾向にあると考えられる。それはコー ピングの適応が上手くいってないからであると 考えられる。

コーピングとは,ストレスに対してなされる 認知的・行動上の努力であると Lazarus

1991)によって定義され,安定したスタイル や個人のもつ特性ではなく,状況によって絶え ず変化し意識的な努力を必要とするものである。

中でも,対人ストレスで生じた心理的ストレス 反応を低減するために行われるコーピングのう ち,対人関係をターゲットとして行われるもの は対人ストレスコーピングと呼ばれる(加藤, 2000)。それらのコーピングは「ポジティブ関 係コーピング」(積極的に関係を改善し,より良

い関係を築こうと努力する),「ネガティブ関係 コーピング」(関係を放棄・崩壊する),「解決先 送りコーピング」(時間が解決するのを待つ)の 3つに分類される。

レジリエンス(resilience)とは,“困難で脅 威的な状態にさらされることで一時的に心理的 不健康の状態に陥っても,それを乗り越え,精 神病理を示さず,よく適応している”(小塩・中 谷・金子・長峰, 2002)状態のことを指す概念 である。平野(2010)は先天的に獲得している「個 人要因」と後天的に獲得される「獲得される要 因」の明確な違いを明らかにした。レジリエン スは精神的健康指標においても使われており,

レジリエンスは青年の成熟を促す指標になるの ではないだろうか。

研究1 1.目的

質問紙調査による数量的な分析によって,友 人関係および対人ストレスコーピングとレジリ エンスの関連を明らかにすることを目的とする。

2.方法

調査対象者:A県内の私立大学に在籍する174 (男性5名,女性169)を対象に質問紙法調 査を行った。

質問紙の構成:質問紙は友人関係を測定する尺 度,対人関係コーピングを測定する尺度,レジ リエンスを測定する尺度,フェイスシート,面 接調査への協力依頼,面接調査への協力に同意 した場合の連絡先記入欄の6つで構成された。

3.結果と考察

友人関係において,ネガティブ関係コーピン グは「気遣い高・関係回避高」群が「気遣い低・

関係回避低」群より有意に高くなった(p < .05)。

解決先送りコーピングは「気遣い高・関係回避 高」群が「気遣い高・関係回避低」群および「気 遣い低・関係回避低」群より有意に高くなった

(2)

p < .05)。ポジティブ関係コーピングでは有 意差は見られなかった。資質的レジリエンスは

「先送り」群が「ポジティブ回避」(p < 05)「コ ーピング低」(p < .01)よりも有意に高くなった。

「コーピング高」群が「コーピング低」群より も有意に高くなった(p < .05)。「ポジティブ」

群が「ポジティブ回避」群よりも有意に高くな

った(p < .05)。「ポジティブ」群が「コーピン

グ低」よりも有意に高くなった(p < .01)。獲 得的レジリエンスでは「ポジティブ」群が「ポ ジティブ回避」群よりも有意に高くなった(p

< .05)。「ポジティブ」群が「コーピング低」群

よりも有意に高くなった(p < .01)。

研究2

対人ストレスを経験した青年がどのようなコ ーピングを用いてどのようなプロセスでレジリ エンスを獲得するのかを質的に検討する。

2.方法

調査対象者:10名(男性1名,女性9名) 質問紙に回答した者のうち,個別の面接調査へ の協力に同意した協力者に対して,個別に半構 造化面接を行った。

3.結果と考察

本研究では,獲得的レジリエンスが得られる プロセスにおいて,試行錯誤と内省が獲得的レ ジリエンスに影響していることが示唆された。

また,コーピングの選択や成功の有無に関わら ず,どのような人にも獲得的レジリエンスは得 られた。それは,ストレスに直面し,対処に失 敗した時に「どうしていいかわからない」とい う相手に対する疑問や自分に対する無力感が共 通している。横山(2015)は,コーピングの選 択は今取り組んだ場合に取り組むための気力が 十分にあるかという点と,今取り組んだ場合と 先延ばしにした場合それぞれどのような結果が 予測されるかという点が影響しているとしてい る。つまり,自分がどのくらいできるのかを考 えることが自己理解であり,その上で自分の中 で適切なコーピングを実行し,コーピング使用 し,ストレス状況を乗り越えていると考えられ る。このことから,コーピングの成功,失敗に 関わらず,ストレス場面に直面し,問題につい

て考えることこそが獲得的レジリエンスに繋が るのではないだろうか。

4.総合考察

研究 1 では,「ポジティブ」群が「ポジティ ブ回避」群,「コーピング低」群よりも獲得的レ ジリエンスが大きくなるという結果になった。

この2つの差に共通しているのはポジティブ関 係コーピングの高さであり,獲得的レジリエン スにはポジティブ関係コーピングが正の関係が あるという結果になった。研究2では,獲得的 レジリエンスはコーピングの成功の有無に関わ らず,ストレス体験に対して試行錯誤や内省を 行うことで獲得されることが示唆された。また,

その思考錯誤において,他者からのサポートが 有効であることが示された。しかし,語りを分 析したところ,ネガティブ関係コーピングが獲 得的レジリエンスに影響を与えており,研究 1 とは違う結果になった。その理由として,コー ピングの選択理由が考えられる。鈴木(2006 は,問題焦点型を前向きに選択するもの(前向 き取り組み型)はその他の認知パターンを示す ものより心理的ストレス反応が顕著に低いと述 べており,研究2においては,自ら望んでネガ ティブ関係コーピングを使用している。そのた め,ネガティブ関係コーピングであったとして も,選択理由が自発的である場合には有効であ ることが考えられる。

以上のことから,現代青年はあまり内面的に 踏み込まず,密接し過ぎない程度の友人関係を 保っていることが考えられる。SNSの普及もあ り,日常生活においても繋がりを必要とする現 代青年の内面に踏み込まない付き合い方は対人 距離の密接さを避けるための手段なのではない だろうか。反対に,対人関係を自分で判断し,

拒否できず,周囲に巻き込まれる人は現代にお いて傷つきを体験しやすく,非適応的な側面が あるのではないだろうか。そのような現代青年 がストレス場面に直面した時に,どのように対 処したか,どういう意図があるか,これからど うしていきたいか,対処してどうだったかを考 えることによってレジリエンスの獲得を促すこ とができると考えられる。

参照

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