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Expression of cell competition markers at the interface between p53 signature and normal epithelium in the human fallopian tube

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Academic year: 2021

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氏 名 ・(本籍) 木藤 正彦(秋田県)

専 攻 分 野 の 名 称 博士(医学)

学 位 記 番 号 医博甲第 918 号 学 位 授 与 の 日 付 平成 28 年 9 月 27 日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項該当 研 究 科 ・ 専 攻 医学系研究科医学専攻

学 位 論 文 題 名 Expression of cell competition markers at the interface between p53 signature and normal epithelium in the human fallopian tube (p53 signature とヒト正常卵管上皮細胞の境界面における

細胞競合マーカーの発現)

論 文 審 査 委 員 (主査) 教授 柴田 浩行

(副査) 教授 大森 泰文 教授 本山 悟

Akita University

(2)

学 位 論 文 内 容 要 旨

論 文 題 目 :

Expression of cell competition markers at the interface between p53 signature and normal epithelium in the human fallopian tube

( 論 文 題 目 の 和 訳 ):p53 signature と ヒ ト 正 常 卵 管 上 皮 細 胞 と の 境 界 面 に お け る 細 胞 競 合 マ ー カ ー の 発 現

申 請 者 氏 名 木 藤 正 彦

研 究 目 的

1970 年 代 に シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ を 用 い た 実 験 に よ り 、 変 異 細 胞 と 隣 接 す る 正 常 上 皮 細 胞 が 互 い の 生 存 競 争 の た め に 競 合 し あ う 現 象 が 観 察 さ れ る こ と が 報 告 さ れ 、 こ れ は 細 胞 競 合 (現 象 )と 呼 ば れ て お り 、 現 在 、 様 々 な 分 子 生 物 学 的 手 法 に よ り こ の 現 象 の 検 証 が な さ れ て い る 。 近 年 で は 上 皮 に お け る 発 癌 の 超 早 期 段 階 に こ の 概 念 が 導 入 さ れ 、 周 囲 正 常 細 胞 が 癌 細 胞 を 排 除 す る よ う な 細 胞 競 合 現 象 を 癌 抑 制 機 能 と し て 捉 え ら れ 、2010 年 に は Ras 変 異 細 胞 や Src 変 異 細 胞 を 用 い た 検 証 に よ り 、 周 囲 正 常 細 胞 の 変 異 細 胞 側 に お け る ビ メ ン チ ン や フ ィ ラ ミ ン の 発 現 亢 進 が 報 告 さ れ て い る 。 こ れ ら の 報 告 は 癌 研 究 に と っ て 新 た な 視 点 を 与 え る 有 用 な も の で あ る と 考 え ら れ る が 、 ヒ ト の 組 織 内 で 実 際 に 観 察 さ れ る 現 象 で あ る か の 検 証 は い ま だ な さ れ て い な い 。

我 々 は こ れ ら の 細 胞 競 合 マ ー カ ー と す べ き ビ メ ン チ ン や フ ィ ラ ミ ン A の 発 現 亢 進 が ヒ ト の 組 織 内 で 実 際 に 観 察 さ れ る か ど う か の 検 証 を 目 的 と し て 、 卵 巣 漿 液 性 腺 癌 の 前 駆 病 変 と 推 測 さ れ て い る 、 ヒ ト 卵 管 上 皮 に 観 察 さ れ る p53 signature や 卵 管 漿 液 性 上 皮 内 病 変 (STIL)に 注 目 し た 。p53 signature は 異 型 を 示 さ な い 卵 管 上 皮 細 胞 と し て 観 察 さ れ る 、12 個 以 上 の p53 変 異 細 胞 列 と 定 義 さ れ 、STIL は こ れ よ り 腫 瘍 に 近 い p53 陽 性 上 皮 内 病 変 と さ れ て い る 。 こ れ ら は 免 疫 組 織 学 的 に 同 定 可 能 で あ り 、 ま た 発 癌 の 超 早 期 段 階 モ デ ル と 考 え う る た め 、 こ れ ら の 卵 管 病 変 を 用 い て 細 胞 競 合 現 象 の 検 証 を 行 っ た 。

研 究 方 法

2014 年 か ら 2015 年 の 間 に 本 学 附 属 病 院 産 婦 人 科 に て 婦 人 科 疾 患 の た め 卵 管 を 含 ん だ 組 織 摘 出 術 が 施 行 さ れ た 約 100 症 例 に 対 し て 、 卵 管 全 割 全 包 埋 に 準 じ て 切 出 を 行 い 、 既 報 の 卵 管 早 期 病 変 の 診 断 ア ル ゴ リ ズ ム に 従 っ て HE 染 色 や p53、 Ki-67 な ど の 免 疫 組 織 化 学 染 色 を 施 行 し た 。 そ の 過 程 で 同 定 さ れ た 17 ヶ 所 の p53 signature、4 ヶ 所 の STIL を 対 象 に 細 胞 競 合 マ ー カ ー 発 現 の 検 討 を 行 っ た 。具 体 的 に は ビ メ ン チ ン 、 フ ィ ラ ミ ン の 免 疫 組 織 化 学 を 施 行 し た 。 ま た 、 2014 年 に 卵 管 発

癌 モ デ ル マ ウ ス (mogp-Tag mouse)が 報 告 さ れ て お り 、 こ の マ ウ ス の 卵 管 早 期 病 変 に 対 す る 検 討 も お こ な っ て い る 。

細 胞 競 合 マ ー カ ー の 発 現 を 観 察 す る た め 、 各 々 の ヒ ト 卵 管 早 期 病 変 に 対 し 、 免 疫 組 織 学 的 蛍 光 二 重 染 色 を 施 行 し た 。 観 察 は 共 焦 点 顕 微 鏡 を 使 用 し 、 得 ら れ た 各 画 像 の 細 胞 接 合 面 に お け る 細 胞 競 合 マ ー カ ー の 最 高 発 現 強 度 を 測 定 し た 。 測 定 の 対 象 は 、p53 変 異 細 胞 と 非 変 異 細 胞 間 、ま た 背 景 に 観 察 さ れ る 非 変 異 細 胞 同 士 の 接 合 面 と し 、 背 景 に お け る マ ー カ ー の 発 現 強 度 の 平 均 値 か ら 、 細 胞 競 合 面 と す べ き 細 胞 接 合 面 の 発 現 強 度 を 相 対 的 に 算 出 し た 。 次 に 、 各 画 像 か ら 得 ら れ た マ ー カ ー の 相 対 的 な 発 現 強 度 を 統 計 的 に 解 析 し た 。

研 究 成 績

免 疫 組 織 学 的 に 、 各 卵 管 早 期 病 変 を 含 ん だ 上 皮 細 胞 に お い て 、 ビ メ ン チ ン の 発 現 は 観 察 さ れ た が 、フ ィ ラ ミ ン の 発 現 は ほ ぼ 観 察 さ れ な か っ た た め 、 p53、ビ メ ン チ ン を 蛍 光 二 重 染 色 の 対 象 と し た 。

p53 signature に お い て 明 瞭 に 観 察 さ れ た 非 変 異 細 胞 と の 接 合 面 は 48 個 、 STIL の 接 合 面 は 8 個 あ っ た 。 得 ら れ た 各 画 像 に お け る 、 背 景 の 非 変 異 上 皮 細 胞 間 の 平 均 個 数 は p53 signature で は 26.0 個 、 STIL で は 20.2 個 で あ っ た 。 各 接 合 面 と 、 そ の 背 景 に み ら れ る 非 変 異 細 胞 間 の 接 合 面 に お け る ビ メ ン チ ン 強 度 を 測 定 し 統 計 処 理 、p53 signature に お け る 非 変 異 細 胞 と の 接 合 面 で の 相 対 的 な ビ メ ン チ ン 発 現 強 度 は 1.076 (95% 信 頼 区 間 0.9412-1.211) 、 STIL で は 0.9790(95% 信 頼 区 間 0.7206-1.237)で あ っ た 。

mogp-Tag マ ウ ス の 卵 管 病 変 に つ い て は 、 p53 変 異 細 胞 に お い て Ki-67 の 発 現 上 昇 が 観 察 さ れ 、ヒ ト に お け る STIL 相 当 の 病 変 と 考 え ら れ た 。ビ メ ン チ ン 、フ ィ ラ ミ ン の 発 現 に つ い て も 観 察 し た が 、卵 管 上 皮 組 織 に お け る 発 現 は 部 分 的 で あ っ た 。

結 論

本 研 究 で は 卵 巣 癌 に お け る 前 駆 病 変 と さ れ る p53 signature や STIL を 対 象 と し て 、p53 異 常 を 示 す 病 変 部 の 細 胞 と 正 常 細 胞 と の 境 界 部 に お け る 細 胞 競 合 マ ー カ ー の 発 現 を 検 討 し た が 、 背 景 の 正 常 卵 管 上 皮 細 胞 間 の 発 現 と 比 較 し て 有 意 な 強 度 の 上 昇 は 見 ら れ な か っ た 。 す な わ ち 、 ヒ ト 病 理 組 織 検 体 に お い て 細 胞 競 合 現 象 の 実 証 が で き な か っ た 。 し か し 、 こ れ は 対 象 と し た 病 変 が p53 異 常 を 示 す 病 変 で あ っ て 、 既 報 に あ る よ う な Src 異 常 病 変 や Ras 異 常 病 変 で は な か っ た た め か も し れ な い 。 ま た 、 ホ ル マ リ ン 固 定 に よ る 影 響 で 、 生 体 内 で 起 き て い る 細 胞 競 合 現 象 を 再 現 で き な か っ た 可 能 性 も あ る 。

Akita University

(3)

学 位 ( 博 士 — 甲 ) 論 文 審 査 結 果 の 要 旨

主 査:柴田浩行 申請者:木藤正彦

論文題名:

Expression of cell competition markers at the interface between p53

signature and normal epithelium in the human fallopian tube

p53 signature

とヒト 正常卵管上皮細胞との境界面における細胞競合マーカーの発現)

要旨

近年、変異細胞と正常上皮細胞とが生存競争を行う「細胞競合現象」は発癌の超早期 にも見られ、癌細胞を生体から排除する癌抑制機能であると理解されている。

In vitro

の実験系で

Ras

Src

癌遺伝子に変異のある癌細胞周囲の正常細胞においてはビメンチ ンやフィラミンといった中間径線維蛋白質やアクチン結合蛋白質の発現が増加している。

特にビメンチンの発現誘導は、この「細胞競合現象」に必須であるとされている。本研 究では「細胞競合現象」がヒトの臨床的な腫瘍においても起きているかを確認する目的 で手術的に切除された卵管を用いてビメンチンによる「細胞競合現象」を分子病理学的 に解析した。

秋田大学婦人科において手術により卵菅を含む組織摘出を受けた

100

例の患者に由来す る卵管全割全包埋標本を用いて調査を行った。

12

個以上の変異

p53

を有する上皮細胞 の列からなる

p53 signature

と呼ばれる病変は、ごく早期の卵巣癌の前癌病変であると 考えられている。また、卵管漿液性上皮内病変(

STIL

)はさらに進んだ状態の病変で ある。

100

例の検体のうち、

17

カ所から

p53 signature

が見出され、4カ所に

STIL

が見出された。

この

p53 signature

STIL

と、その周辺の正常細胞との境界面においてビメンチンや

フィラミンの発現を調査した。臨床検体ではフィラミンの発現は観察されなかったが、

ビメンチンの発現が確認された。

p53 signature

と正常細胞との境界面と正常細胞間の 境界面におけるビメンチンの相対発現強度は

1.07

95%

信頼区間

: 0.9412 - 1.211

)であ った。また、

STIL

の場合は、正常細胞間のビメンチンの相対発現強度は

0.979

95%

信頼区間

: 0.7206 - 1.237

)であった。さらに、卵管癌モデルマウスを用いた実験からは

STIL

相当病変と正常細胞との境界面ではビメンチンやフィラミンの発現は部分的にし か認められなかった。卵管癌の早期病変の

p53 signature

STIL

においてはビメンチ ンが関与する「細胞競合現象」は認められなかった。

1)

研究の斬新性

ショウジョウバエや

in vitro

の細胞実験で示されている「細胞競合」という現象は生 体から特定の細胞群を駆逐するメカニズムであるが、これが実際のヒトの癌で起きてい るのか?この検証を試みたという点は極めてユニークである。生体では、かなりの頻度 で癌細胞が誕生している。しかし、それらは主として免疫担当細胞で除去されていると 考えられているが、本当にそれだけだろうか?本研究は免疫担当細胞以外の癌からの防 衛システムについて検討したという点において十分な斬新性が認められる。

2)

研究の重要性

本研究は卵管癌の極早期における「細胞競合」をビメンチンの発現から解析しようと 試みた。結果はネガティブであったが、卵管癌の極早期における「細胞競合」はビメン チン非依存性である可能性が示唆された。また、

p53 signature

というような極早期が んが意外に高頻度に認められることも同時に明らかなった。しかし、ヒトの検体で、経 時的な観察が必要な「細胞競合」や駆逐される癌細胞のような対象を追うのは極めて難 しい。そこに敢えて挑戦したことは高く評価される。

3)

研究方法の正確性

本研究では各種抗体を用いた免疫組織化学で多数の臨床検体を解析している。また、

卵管癌マウスモデルを用いた実験、データの統計学的処理などは正確に行われたと評価 される。また、臨床検体の解析はガイドラインや倫理指針に則って実施された。

4)

論旨の明瞭性

本論文「

Expression of cell competition markers at the interface between p53 signature and normal epithelium in the human fallopian tube

」は論旨に矛盾や錯誤、

また結果解釈の誇張はなく、データに沿って明瞭に記載されている。本論文は

PlosONE

誌に投稿、受理されるなど外部査読においても十分な評価を得ている。

以上の観点から、本論文は学位を授与するに十分な条件を備えているものと判定された。

Akita University

参照

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