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雑誌名 精密工学会学術講演会講演論文集

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Academic year: 2022

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(1)

ばねとワイヤを用いた吊り下げ機構によるロボット アームの省エネ駆動

著者 可知 美胤, 宮西 太一郎, 関 啓明, 辻 徳生, 疋津

正利

著者別表示 Kachi Yoshitsugu, Miyanishi Taichirou, Seki Hiroaki, Tsuji Tokuo, Hikizu Masatoshi

雑誌名 精密工学会学術講演会講演論文集

巻 2016 Autumn

号 G14

ページ 361‑362

発行年 2016

URL http://doi.org/10.24517/00050026

doi: 10.11522/pscjspe.2016A.0_361

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

ばねとワイヤを用いた吊り下げ機構によるロボットアームの省エネ駆動

金沢大学 ○可知美胤,宮西太一郎,関啓明,辻徳生,疋津正利

Energy-saving of Robot Arm by Suspending Mechanism Using Spring and Wire

Kanazawa University Yoshitsugu KACHI, Taichirou MIYANISHI, Hiroaki SEKI, Tokuo TSUJI and Masatoshi HIKIZU Nowadays, it is necessary to save energy of industrial robot arms. Some weight compensation mechanisms have been proposed, however, they are complex and difficult to attach to industrial robots. This paper proposes the method to save energy of robot arm by attaching a simple mechanism, which consists of a wire and springs. The mechanism pulls robot arm up and reduce its joint torque.We showed energy saving effect in experiments with using industrial robot arm with the mechanism, however, the mechanism is large. Therefore, we propose compact mechanism and show that this mechanism has similar energy saving effect as the previous one.

1, 緒言

昨今社会の省エネルギ化が一層望まれており,産業用ロボット アームも例外ではない.従来アームの自重を補償する機構がいろ いろ考えられているが,構造が複雑で既存の産業用ロボットアー ムに組み込みにくく,把持物による負荷もあまり考慮されていな

(1)(2).また取り付けやすさを優先し,完全でなくある程度の自重

補償であっても十分省エネ効果が得られると考えられる.そこで,

既存のロボットアームを上方からワイヤとばねからなる吊り下げ

機構で吊ることである程度自重を補償する方法を提案する.

これまでの研究でシミュレーションや実験により吊り下げ機構 の省エネ効果が確認できた(3).しかし,機構が大きくなってしまう 問題があった.そこで本稿では機構のコンパクト化とそれによる 省エネ効果の変化を示す.

2. 吊り下げ機構の原理

Fig.1に示す実際の産業用多関節型ロボットアーム(三菱電機製MELFA

RV-1A)を対象例とする.アーム手先部の3関節は姿勢の変化が負荷

トルクに及ぼす影響が少ないと考え,手先部を一塊とみなし,アー ムの全自由度は3自由度(J 1軸~J 3軸)として議論を進める.

Fig.2に吊り下げ機構の原理を示す.これらは旋回軸J 1上に取り付け

る.ロボットの手先部(点A)にワイヤを取り付け,ワイヤの他端はプ ーリーを介してその先に引張ばねを取り付ける.吊り下げ機構からアシ ストされるJ 2, J 3軸のトルクτTは関節から点AまでのベクトルHと 張力ベクトルTを使って次のように求めることができ,各関節トルク τから差し引かれる.旋回軸J 1軸には機構は作用しない.

) 1 ( T

τ

T

H

 

, p s p0 s (2)

Tk xr

x   

ここで,kはばね定数,pは基準座標から見た点Aの位置,sはワイ ヤが経由するプーリー位置,rはワイヤを巻き取るモータに付属するプ ーリー半径,θはプーリーの巻き取り角である. p0J 2, J 3軸を動か したとき点Aとプーリーが最接近する場所とした.ばねの先にはワイ ヤとそのワイヤを巻き取るモータがあり,ばねの伸縮をモータで調節す ることで初期張力を変更する.ばねの張力を調整するモータは作業前に 適切な張力となるよう動かし,アームの作業中は止めておく.モータには

※マニュアルより引用

Fig.1 対象例とする産業用ロボットアーム (MELFA RV-1A)

Fig.2 吊り下げ機構の原理 Fig.3 吊り下げ機構のコンパクト化

ウォームギアを使用し,電源を切っても逆回転しないようにしておく.ロ ボットに与える作業が決まると把持物を含めた適切な初期張力が動力 学計算によるシミュレーションから求まる.なおばね定数は,把持物の ない状態でロボットの可動範囲についてJ 2, J 3軸を10度刻みで 変化させ,それぞれにおけるJ 2, J 3軸のモータの消費電流をアー ムの静力学から計算し,その総和を求め,総和が最小になるばね定数 を採用する.このロボットの場合,ばね定数が250[N/m]の時に吊り下 げ機構がない場合に比べ63.9%電流が削減でき,最も省エネとなった.

3, 吊り下げ機構のコンパクト化

直接ワイヤとばねをつなぐと,アームの駆動範囲をカバーする モータの電力

[W]

J 1 50 J 2 J 3 J 4

15 J 5 J 6

2016 年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集

Copyright Ⓒ 2016 JSPE

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G14

(3)

のに長いストロークが必要になり機構が大きくなってしまう.そ

こで Fig.3 のように大小二つのプーリーを減速機として使用しス

トロークを短くすることで機構のコンパクト化を図る.ロボット アームに加わるワイヤの張力Tは減速比(直径比)をn ,ばね定数を k’とすると

) 3 ( )

2

( x nrn

k  

T

となる.今回,減速比nを2とした.したがって減速プーリーを 用いない場合(n=1)に比べて同じ張力を与えるためのばねは 4 倍 のばね定数が必要となる.そこで今回はばね定数888[N/m]のばね を使用した. Fig.4にコンパクト化を行った吊り下げ機構を示す.

Fig.4 コンパクト化後の吊り下げ機構

4, 実験による検証

吊り下げ機構による省エネ効果の評価は,今回用いた産業用ロ ボットに用いられているACモータの電圧が一定であるため各関 節軸の消費電流値で行う.したがってモータの電流を電流センサ によって測定する.

減速プーリーを用いない場合との省エネ効果の変化について Pick&Place作業(Fig.5)を対象として示す.初期姿勢を(1)とし,(2) で物体を掴み,移動させ(4)で物体を置き初期姿勢(1)に戻るという 一連の作業である.把持物がない場合で測定したJ 2軸, J 3軸のモ ータ電流の絶対値の時間応答をそれぞれFig.6, Fig.7に示す.また 各関節軸の消費電流値削減率をTable.1に示す. アームを下す動作 の際には消費電流値は上がるが全体的には電流値が削減されてい ることがわかる.機構がない場合に対して電流値削減率はコンパ

クト化前 23.8%コンパクト化後 18.9%であった.コンパクト化後

も同様に省エネ効果が得られることがわかる.

把持物がある場合は,初期張力を増加させることにより把持物 に対応する.モータを回転させることでワイヤを巻き取り,初期 張力を増加させる.各初期張力におけるJ 2軸, J 3軸の消費電流

値をFig.8に示す.なおこのばねは自然長の時,初張力48Nであ

った.

(1)スタート (2)物体把持 (3)移動 (4)物体リリ-ス

Fig.5 Pick&Place作業の動作内容

Fig.6 測定したJ 2軸の電流値の絶対値

Fig.7 測定したJ 3軸の電流値の絶対値

Table.1 各関節軸の電流値削減率[%]

電流値削減率[%]

関節軸

全体

J 1 J 2 J 3

減速比 n=1 5.3 36.4 17.4 23.8

減速比 n=2 4.7 30.4 10.6 18.9

Fig.8 各初期張力における消費電流値

Fig.8より把持物を持った作業において適切な初期張力を与え

ると省エネ効果がさらに高まることがわかる.

5, 結言

本研究では既存の産業用ロボットアームに付加的に取り付けら れる,ワイヤと減速プーリーを用いたコンパクトな吊り下げ機構 を提案した.実験を行い,吊り下げ機構による電流値の削減率が 減速プーリーを用いない場合より少し低下したが省エネ効果は同 様に得られることを示した.

参考文献

1) 武居直行,省エネ・安全のための重力補償機構,日本ロボット学会誌, 29, 5, pp.508-511, 2002.

2) 森田寿郎,自重補償機構の設計原理と動作支援技術への応用,バイオメ カニズム学会誌,30, 4, pp.200-204, 2006.

3) 長橋光之 他, 可変張力機構によるロボットアームの省エネ駆動, 2015年

度精密工学会春季大会学術講演会論文集pp.933-934,2015 0.65

0.7 0.75 0.8 0.85 0.9 0.95

0(48) 50 60 70 80 90 100 110 120

消費電流値の絶対値[As]

初期張力[N]

J2軸 J3軸

A

B

1 2 3 4

0.2 0.4 0.6 0.8

0

時間[s]

J3軸電流値の絶対値[A]

機構なし

1 2 3 4

0.2 0.4 0.6 0.8

0

J 2 軸電流値の絶対 [A]

時間 [s]

減速比n =1 減速比n =2 機構あり

1 2 3 4

0.2 0.4 0.6 0.8

0

時間 [s]

J 3軸電流値の絶対値[A] 減速比n =1 減速比n =2 機構あり

1 2 3 4

0.2 0.4 0.6 0.8

0

時間[s]

J2軸電流値の絶対値[A]

機構なし

2016 年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集

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