鉄鋼スラグ由来陰イオン除去材の排水処理および汚 染土壌処理への適用
その他のタイトル Application of anion removal agent derived from iron and steel slag to treatment of waste water and contaminated soil
著者 村山 憲弘
雑誌名 理工学と技術 : 関西大学理工学会誌 =
Engineering & technology
巻 24
ページ 23‑26
発行年 2017‑12‑20
URL http://hdl.handle.net/10112/12458
関西大学
J I i l : I
学 会 誌 理 工 学 と 技 術 V o I . 24 (2 0 1 7)解 説
鉄鋼スラグ由来陰イオン除去材の排水処理および汚染土壌処理への適用
村 山 盟,: 弘*
A p p l i c a t i o n of a n i o n removal a g e n t d e r i v e d from i r o n and s t e e l s l a g t o t r e a t m e n t o f waste water and c o n t a m i n a t e d s o i l
Nor i h i r o MURAY AMA
1 . は じ め に
様々な分野で発生する)
i
む梨物や屈lj廂物のリサイクル ゃ介効利川が求められている。節者の研究対象は、 j ̲: に無機系の廃棄物や/,¥lj槌物である。この楊合、たとえ ばf t
金属やレアメタルなどのイ「価物が含まれているよ うな対象物と、1 1 1 1
収すべきイ{ i f l l i
物は含まれないが必大 な枯が発,,.す る 対 象 物 と に 大 別 で き る と 考 え て い る, 。 後者の例として、鉄銀製造過程で)(Ji(に, / ¥ 1 ] ' 1 = .
する鉄鋸 スラグ(翡炉スラグや製鉗l
スラグ)があげられる。こ れらは、セメント用材、追路川材、 土木 1:•Jj.用材、コンクリート)
1 1
骨 材などとして利J J I
されている。公共;J‑i 業に依イfする割合が翡く、 i怜在 (Iりな,/,~:災にはイ~M淀な 要 索 が人きいのも現実である。この よ う な 出;しから、 安定した ・,1,;:災が見込める新しい再1 f i i
原化技 術 の 開 発 が 竿まれている。当研究室では、鉄鉗スラグを原料に)IJいて
1
杓状似水 酸 化 物 (LayeredDouble I lydroxidc、LOH)をJ : .
I戊 分 と す る 陰 イ オ ン 除 去 材 (以 下 、 ス ラ グLOH)を非 加熱条件で合成する)j法(I)や、ス ラ グLOHによって 水 浴 液 中のイ{'.心陰イオンを除去する)n 1
叶i)を検討してきた。LOHとは2f1lliと3価 の 金 屈 イ オ ン か ら 構成 さ れ る 複 水 酸 化 物 料 が
f l ' t h ' 1
された無機化合物である。 一般式は [M~.1 ‑ , M 3 .
,(OIi)』 x+ ·[(A"),n · mH心]•と表される。
N
仔 とM
いは、それぞ れ2
価と3
価の金 属イオン、A"はnf1lliの陰イオンである。2価と 3イ1lli の 金 屈 イ オ ン の 組 み 合 わ せ と し てMg‑Al系、Ca‑Al 系のLOHは、それぞれハイドロタルサイト様化合物、})味'・,j;受 付 .,: 成,
2 9
年l O J J 2 I I
*閑榜都市」ー..学部エネルギー ・閑 槌
T
学 科 教 授ハ イ ド ロ カ ル マ イ ト 様 化 合 物 と 呼 ば れ る。LDHは無 機陰イオン父換体の・つであり、付)111価 値の研い機能 性 材 料 で あ る(3)。スラグLOHIJf」発の),炉本的なコンセ
プトは、
i 1 H 4
炉 で す で に 解 説している。飯 近 で は 、 具 体 的 に ど の ような分野で ス ラ グLOH を川いるかを検討している。たとえば、ヒ
i i
やホウ索、六価クロムといった水浴液中で陰イオン種を形成する
ィ―"iヽ,I;:物 竹 の 除 去 材 と し て ス ラ グLOHを利用すること ができる。
L :
壌i J r
に含まれる上述のイf : , I ; ‑
陰イオンの固 定化にも適/ I J
できるU F
能性がある。束以オリンピック のl l F ! f m
やリニア新幹線の!Jljj』を控えて1
彫辿する公共T ' J f
が,n・,rlrjされる中、安価かつ簡便な方法で自然'"米の 七棋に含まれるイi
布イオンを除去 ・固定化する技術, m
発は、 111:今注l―Iを集めている。
現 在、スラグの再
1 f ti i
屈化 (ス ラ グLOilの合成)と 卯距争化(イi
布陰イオンを含む排水 ・汚 染t
壌 の 処. f l l D
の述成と、幼率の良い布・
. ' I , ‑ ;
陰イオンの処fillプロセスの 確、i :
をI I
指 し た1
心川段階 に 位i i ' , ' .
する/Jif究 を 行ってい る。, p .
なるイf ' h
陰イオンの除去材の開発にとどまらず、在,l;:j岱イオンの除去.,~ii 定化プロセスの設計に爪要な 指 針をり・える鍵因
f
の把拙を且指している。到江 系 の 学 生 の 特 さ ん が 研 究 概災を理解できるよう に、1 i 1 j
やi I ' "
の統紺に位
' i i . ' ,
す る 解 説,t i ' . ' H
を まとめた。2 .
これまでの経緯と現在の検討事項2 0 0 9
年より第者らと人手鉄銅メーカーとの共l i i J f i J f
究 にて、スラグから LOHを合成す る た め の 技 術 開 発 に 滸手した。初 期 の 段 階 で は 、 ス ラ グ か ら のLDH合成 試験と得られたLDIIによる有・,;;:陰イオン種の簡i易 除 去 試 験 を 実 施 し た Ca‑Al系LDIIや:Mg‑Al系LOH の粉体が得られること、スラグLDI‑Iを)l l
いてヒ索やクロム、ホウ索などの陰イオン種を除去できることを 明らかにした 1,.,21.151。スラグ
LOH
は陰イオン除去材 として1
秘れた性能を持っている反l f i l
、実川化に向けて 検討すべき数多くの工学的課題が1リ1
確になった。現イI: は、スラグL O I i
の優位性を発揮できる具体的な利J I I
方法を検討する段階に全つている。1 i i i
述のごとく、スラグLOH
の布沼なJ I I
途として、イ
T
布陰イオン種を含む排水 ・汚染土壌処則を考えてい る。この分野への適川をどえる楊合、単なる陰イオン の除去性能だけではなく、実際の採作条件や利)nm1>~
も
l
力 とが屯災である。 本~-:;では、 ①イi
古陰イオンを保持したスラグLOH
からのイi ' , i ; ‑
ィオン の再浴出性、 2カラム法と呼ばれる採作)j法でのイi
祁 陰イオンの除去特性について湖べた1 1 . l :
近の研究結果を 紹介する。布杏陰イオンを除去した後のスラグ
L O I i
をどう処 理すべきかは、 「.学的に爪災な課題である。スラグLOH
の中に取り込まれた‑ ; ( T ' , I ; ‑
陰 イ オ ン が1
り冷"ffLL¥しな いように不溶化する方法について検討している。コス トやエネルギーを考慇しつつ、いくつかの方法を試み ている。一案として、イ{ ' , i ; ‑
イオンを取り込んだスラグ LOHに対して)~II熱処理を行うことにより、スラグLOH
と布 ,杯物質との間で1 , ' ; l i
容体を形成させて有: 1 ; :
物 質のイ対脊化を図る方法がある。具 体 的 に は 、 ス ラ グLOH
内のイオン種の再沿I I ¥ : ,
しにおよぼす然処理温j父
およぴ力I I
然時H I !
の影評について検討を行っている。1 立
終的には、イT ' . , l f
陰イオンの希博水浴液や汚染l
戎襄に対して排水基準値や浴出)訊I¥値に適応できるような除去 プロセスの確ヽ
i :
をI I
指しているn
然J i I
来のイ{',';'.物を含む十.壌処則の一つとして、「吸がi : k 1 r
法 」 がi : l
11されている。対象となるI ・ .
壌から浴 出するイf
杏イオンを下部に設V i
された吸‑ . ? f h ' 1
に取り込 むことにより、イ{'占イオンの外部への拡散を防ぐ方法 である( I
又I
1参照)。一)i
、我々の分野では、カラム と は 円 箭 状 の 容 器 な ど を 指 す。カ ラ ム 内 に ス ラ グLOH
を充禎し、その中に介害陰イオンを含む浴液が 述統的に注人 ・排出される。カラム法を適川すること により、汚染l
媒処理におけるイi
む物の吸沿肘を校倣 した性能評価を行うことができる。さらには、布布陰 イオンを除去した後のスラグLO H
や不浴化処理され たスラグLOH
をカラムに允槙し、酸性1 : 1 : i
を想定した 浴出液を投入することにより、)~II辿試験による有忠陰 イオン種の再溶1111性などを評価することにも応)I I
でき る。このようなI I
的で、カラム法による様々な連絞除 去 ・浴I I ¥
試験を実施している。道路面
賓官イオン含有土壌 : As. Cr. Seなど)
地下水
図1 吸lf~'1T 法の概'災
3 .
最近の研究結果について3 . 1
有害陰イオンの再溶出性と加熱処理の効果 スラグL O I i
が取り込んだAs ( I I I )
やC r ( V I )
、B
やF
の,f,浴化について検討を行った。イドじ陰イオンを保 持したスラグL D H
に対して)111 熱処理を施し、布内•物 の再浴1 1 1 1 " 1 :
やLO H
の構造安定性を溝べた。紙1 / i i
の 都 合上、イi ' ,
り陰イオンの不浴化メカニズムの考察ば削愛し、実験粘果を説明するだけに止めておく。
既 報"に従って、
2
種 類 の 製 鉗 ス ラ グ か ら 合 成 さ れたスラグLOH (‑ 2mm SUS s l a g
、‑0.15mmSUS s l a g :
粒径と組成が異なるスラグ粉砕物)を陰イオン 除去材に)l l
いた。As( I I J )
およびCr ( V I )
の 初 期i
農殷 をそれぞれ5 0 0
およぴ400mg / dm 3 ( ppm
と同じ)とし、NaOH
を)I J
い てp l ‑ 1 1 0
に 湖 節 し た。1
月 液 比 を0 . 3 g : 30cm 3
とし、縦型振厳機を)1 1
いて2 h
.J: 尉位した。j , ' ; J
液分 離後、r ¥ s ( I I I )
およぴCr ( V I )
の残留涙度を測定した。得られた
l , ' ; J
体残液 (布古陰イオンを取り込んだスラグLDH )
を7 0
℃ で2 4 h
乾媒した (以ド、乾媒物と記載)。‑)'j、
A s ( I I I )
とC r ( V I )
を保 持した他媒物に対して100700
℃ で1
時J I i l
然処則を行った 熱処理後のサン プルを蒸留水に加え (固液比0 . 3g : 30cm
り、2 h
の縦Iり 振 枇 に よ る 再 溶I I , '
採 作 を 行 っ た。固液分離後、As ( I I I )
お よ びC r ( V I )
の 浴l I l
批をil[IJ定した。物 質 収 支より、スラグL D I I
からの再浴/ L I , ;
しを籾出した。種々のスラグ
L D I I
によるAs ( U l )
、C r ( ¥ ' I )
の除去 お よ び 印 叡"'を行った結栄の例を1叉I2
にぷす。(1)■
は布害イオンの除去採作後の値、 (2)●および (3)•は 再浴出採作
1 i 1 i
後での値である。実 線( 4 )
は再浴/ I I
採 作 時の物質収支を満たす線を示している。 図中の":~;温線 は、既料四から引)l l
したものである。スラグLDH
に よる陰イオン種の再浴/ 1 ¥
が11f逆的なイオン交換反}心に)&づくと仮定すれば、すなわち除去時と再浴
I I ¥
時の等 温線が一致すれば、再溶l l ' i
時の吸,,咋;,t
と残留漑度の、,:,,:は等温線と実線(4) との父•.'、[となる。 再浴出採作後の
. 1
‑ ¥ s ( I I J )
の保持址は約25mg / g
であり、等温線と( 4 )
と の父点から得られる絨と比べて約25%
高いf f / (
を示す。再 浴
I I ' .
さ れ な い 形 態 でAs( I I I )
の一祁 が ス ラ グLOH
内 に 取 り 込 ま れ た こ と を 示 し て い る。一)i
、C r ( V I )
吸苅{,しは1 ‑ .
述の父、•.'.(に近い所に位 ii1i'. しており、As ( l I I )
と比べ てC r ( V I )
は再浴出されや す い こ と が わかる。40 30 20
10
( a ) A s ( l l 1 )
‑2mm SUS s l a g ‑ L O H
・・2) ・・・・・・・・<: ・・・・・・・ペ・・・・・・・・
ミ
.1 .
ー9 ,
` ` ‑
Y
↑
.4
\
. .
2.
K .
0 0 0 1 3 2
[ 6/5
E]
一unoE e
UO
!) dJ OS P¥ f
\
( b ) C r ( V I )
‑ 0 . 1 S m m SUS s l a g ‑ L O H
(4)
\ M u r a y a m a
et al.2015
゜ 100 200
E q u i l i b r i u m c o n c e n t r a t i o n [ m g / d m 3 ]
図2
スラグLDII
からのイi ' , l ; : 1
唸イオンの再浴/I',熱 処
R I !
サンプルからのCr ( V I )
の 再 浴/ 1 ¥ ' f
を1
又1 3
に 示す。ここでの再浴出率とは、スラグLOH
に保持さ れているCr ( V T )
址を100%
と し て 如I ¥
した1
直である。7 0
℃ の 熱 処 理 で は 約15%
のCr ( V I )
が 再 溶出された。300℃での再浴出吟;は約 6°o まで減少しており、)~II 然 処
J I i l
によるイ濱i
容化効果が確認、できた。3 0 0
℃ 以 上 の 場 合、再浴/ I P
がは人輻に坪i J J I I
した。過度な然処理によりLOH
の 結 晶 構 造 が 崩 壊 す る こ と に 起I J : . I
すると考えら れる。5 0 4 0 3 0 2 0 1 0 0 [浚 ] UO
!l n1 os SP ! (I
> ︶ ﹂
3
7 0 1 0 0 3 0 0 5 0 0 T e m p e r a t u r e
[℃] 図3
300
7 0 0 Cr(V I )
の心容化におよ(ます然処J
哨温疫の彩押3 . 2
カラム法による有害陰イオンの連続除去内 径
2 0 1 1 1 1 1 1
の ガ ラ ス カ ラ ム にー0
」5 1 1 1 1 1 1SUS s l ag‑
LOH 0 . 3g ( 0 . 9 c 1 1 1
りとグラスウールI . Og
のi l l
合 物( L D I ‑ I
含イけ以真物)を湿澗状態で允槙した。允JJ't物をカラム 内で固定するために、その上部とl
く部にグラスウールl . O g
を詰めた。試 料 諮 液 と し て4 3 1 1 1 g / dn
け( p l ‑ I 1 0 )
のCr ( V I )
水浴液をI l l
いたS ¥ " =9 ( l h
あたり、允槙物 休秋の9 1
行の液を流人)でカラム堺頂から水浴液を通 液 し 、 フ ラ ク ション コ レ ク タ ー で 採 取 し た 浴 出 液 のC r ( V I ) i J ; i J
虻を測定した。‑0 . 1 5 1 1 1 1 1 1 SUS s l a g ‑ LOH
を知具したカラムを川い てCr ( V I )
の連続除L
を行った結呆をI > < ! L I
に示す。縦 軸のC I C ,
は、ある時、•.'.(での ifJJ父 C と初浪)父 C。との比 を表している。すなわち、C / C o = 1
と は ス ラ グLOH
にC r ( V I )
がt i l l
捉 さ れ ず 、 そ の ま まCr ( V I )
が 通 過 す ることを滋味している。浴/ J ' i
液設炭0 . 5 1 1 1 g / dn
廿を基準 伯 (破過/.(:Cr(VI )
がi M
れ 始 め た と 見 な す. ' . ' . O
とす ると、通液凩3 8 c
面 で 破 過.点に到達することがわかる。 この点を)訊「;にすると、スラグL OH
の体積に対して 約4 2
倍のCr ( V I ) i
脊液を処理できると,n
符 さ れ る。既 報(2 によれば、C r ( V I )
の泣大除去:1
しは約l 8 1 1 1 g / g
で ある。 図枡分により求めた破過、•.'.(までの除 1油しを考え ると、 l1iA除 1~:,tに対する -,i;rJ 合は約 28% であると見秘 もられる。図に示していないが、初期浪)父
5 0 1 1 1 g / dm 3
のB
浴液 のJ‑));合、L O H ' I ' .
成 物lg( 3cn
廿)、りたり約5 0 c n
廿のB
浴液を辿液処刑できることがわかった。[
︐
︸
0' J/ 'J
0.8 0.6
0.4
I. B r e a k t h r o u g h 0 . 2 ぽ ゜ 5
Inm
tg / c m 3
゜
図
4
50 100 150 E f f l u e n t volume [ cm3 ]
カラム法によるCr(V I )
の辿紐除去4 .
・O r,
。
200
ま と め
鉄鋸スラグのイ
i
炒)利)T l
に関する! i J f
究について、研究 の経綽とl
立近の研究粘呆を簡単に紹介した 鉄鉗スラ グの介効利)l l
は、俗に 「水辿の課題」とも口われてい る。両期的な研究成果がなかなか得られないことを1 i ' f i
感している。研究 ス タ ッ フ や 学lj:̲とともに、 H仮検討
を屯ねてゆく所存である。
<謝辞>
本研究の一部は、文部科学省私立大学戦略的研究基 盤形成支援事業(平成
24 28
年1
文)および関西大学・ オ',:手研究者育成経牝の助!&金によって行われた。ここ に,氾して感謝の慈を表す。 •JI き続き、科学研究股補助 金・甚盤研究( C)( l 7 1 ( 0 0 6 3 0
、平成29 31
年度・予定)にて1見辿研究が行われている。
く参考文献>
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