平成 31 年度 東京都内湾水生生物調査 8 月鳥類調査 速報
●実施状況
令和元年 8 月 20 日に鳥類調査を実施した。天候は晴れで、気温 32.3~34.9℃、南の風が 2.9
~5.7m/sec であった。調査当日は中潮で、干潮が 13 時 29 分(61cm)、満潮は 19 時 44 分
(189cm)であった(気象庁のデータ)。各地点の概況を下表に示す。
お台場海浜公園 森ヶ崎の鼻 葛西人工渚
作業時刻 12:07-12:45 13:11-13:48 10:06-11:32
天候 曇→晴 晴 晴
気温(℃) 32.3 32.4 34.9
風向 南 南 南
風速(m/sec) 4.1 5.7 2.9
備考 海浜公園側はオリンピック 会場の試験中のため、今回 に限り観察範囲を縮小。
多摩川豪雨による流入の影 響もあり、水が濁っていた。
漁船が一隻停泊していた。
干潟が干出。風は弱く、波も穏 やかであった。
●主な出現種等
お台場海浜公園 森ヶ崎の鼻 葛西人工渚
数が多かった 鳥類上位 2 種
カワウ(222 羽) ウミネコ(254 羽) ウミネコ(1874 羽) アオサギ(21 羽) カワウ(169 羽) カワウ(1522 羽) その他
の鳥類
ダ イ サ ギ 、 コ サ ギ 、 イ ソ シ ギ、ウミネコ、オオタカ
カ ル ガ モ 、 サ ギ 類 ( コ サ ギ 等)、ムナグロ 、メダ イチド リ、キアシシギ、イソシギ、
ユリカモメ、オオセグロカモ メ、トビ、ハクセキレイ
カルガモ、スズガモ、サギ類(コ サギ等)、クロツラヘラサギ、チ ドリ類(ダイゼン等)、シギ類(ア オアシシギ等)、オオセグロカ モメ、ハクセキレイ
備考 ・重要種として 4 種を確認 (ダイサギ、コサギ、イソシ ギ、オオタカ)。
・第六台場でカワウやサギ 類を確認したが、営巣は見 られなかった。
・鳥の島の護岸でカワウとイ ソシギが休息。
・重要種として 7 種を確認 (ダイサギ、コサギ、ムナグ ロ、メダイチドリ、キアシシ ギ、イソシギ、トビ)。
・干潟でカワウ、ユリカモメ、
ウミネコが休息。
・干潟でムナグロが採餌、メ ダイチドリが休息。
・護岸でキアシシギとイソシ ギが採餌。
・トビが干潟上空を飛翔。
・重要種として 17 種を確認(ダ イサギ、チュウサギ、コサギ、
クロツラヘラサギ、ダイゼン、
コチドリ、シロチドリ、メダイチ ドリ、セイタカシギ、チュウシャ クシギ、ダイシャクシギ、ホウ ロクシギ、アオアシシギ、キア シシギ、ソリハシシギ、イソシ ギ、キョウジョシギ)。
・汀線付近の干潟でスズガモ が休息。
・干潟や汀線付近でカワウ、ク ロツラヘラサギ、ウミネコ、オ オセグロカモメが休息。サギ 類は採餌と休息。
・干潟でチドリ類とシギ類が採 餌。
●出現種と個体数
第 六 台 場
鳥 の 島
公 園 側合計範 囲 内沖合合計
第 六 台 場
鳥 の 島
公 園 側合計範 囲 内沖合合計
第 六 台 場
鳥 の 島
公 園 側合計範 囲 内沖合合計 1カモカモカルガモ25717711239951313 2ホシハジロ33 3スズガモ121210101212留 4カイツブリカイツブリカンムリカイツブリ44留 5カツオドリウカワウ6851783866103214122336697297599968624126361417832221691477451522 6ペリカンサギゴイサギ222 7ササゴイ1CR 8アオサギ22931312121210226888132193838 9ダイサギ22288222303033112222VU 10チュウサギ111133NTVU 11コサギ1717166332774411616VU 12トキクロツラヘラサギ11ENCR 13チドリチドリムナグロ1VU 14ダイゼン2211VU 15コチドリ22211122VU 16シロチドリ35454VUVU 17メダイチドリ422国際NT 18ミヤコドリミヤコドリ25251919EN 19セイタカシギセイタカシギ11VUEN 20シギチュウシャクシギ331111VU 21ダイシャクシギ11CR 22ホウロクシギ2222国際VUCR 23アオアシシギ441515NT 24キアシシギ1234232311111VU 25ソリハシシギ3322VU 26イソシギ166344VU 27キョウジョシギ52181499VU 28カモメユリカモメ332 29ウミネコ4822843323066312154102541853211874 30オオセグロカモメ151526666 31コアジサシ223956610066VUEN 32タカタカトビ1NT 33オオタカ11NTCR 34ブッポウソウカワセミカワセミ1VU 35スズメセキレイハクセキレイ11222113444 8種5種4種10種12種18種3種19種6種4種3種9種12種12種3種13種6種4種2種7種15種24種2種24種0種2種7種26種 ※種の分類・配列は「日本鳥類目録 改訂第7版」(日本鳥学会,2012)に従った。 A:大型カモメに分類されるセグロカモメが確認されているので「大型カモメ」は確認種数には数えない。 *1文化財保護法: *2種の保存法: 国際:国際希少野生動植物 *3環境省レッドリスト: VU:絶滅危惧Ⅱ類、NT:準絶滅危惧 参照:http://www.biodic.go.jp/rdb/rdb_f.html 環境省自然環境局野生生物課. 2019年. 環境省第4次レッドリスト. *4東京都レッドリスト2010: CR:絶滅危惧ⅠA類、EN:絶滅危惧ⅠB類、VU:絶滅危惧Ⅱ類、NT:準絶滅危惧、留:留意種 東京都環境局自然環境部.2010年.東京都の保護上重要な野生生物種(本土部)~東京都レッドリスト~2010年版.
葛西人工渚 計 8目13科35種
No.目科種名
重要種 選定基準 文化財*1 保護法種の*2 保存法
環境省*3 RL 2019 鳥類
東京都*4 RL 2010 (区)
森ヶ崎の鼻
お台場海浜公園8月 お台場海浜公園 森ヶ崎の鼻 5月 葛西人工渚6月 お台場海浜公園 森ヶ崎の鼻
葛西人工渚
<お台場海浜公園>
○調査地点の状況
第六台場・鳥の島ではカワウ、サギ類の営巣は終了して いた。
〇出現種(カワウ)
第六台場、鳥の島いずれも繁殖活動は終了しており、使用中 の巣は見られなかった。第六台場の樹林や鳥の島の護岸で 成鳥・幼鳥の群れが観察された。
〇出現種(アオサギ、ダイサギ、コサギ)
第六台場でアオサギ、ダイサギ、コサギ、
鳥の島でアオサギが確認された。繁殖活 動は終了しており、使用中の巣は確認で きなかった。
アオサギ ダイサギ
コサギ
〇その他の出現種(カワウ)
アオサギ 鳥の島で休むカワウ
右端の 1 羽が成鳥、他は幼鳥
カワウ
〇出現種(イソシギ)
鳥の島の護岸で合計 6 羽が採餌、休息。本種 は東京都レッドリストで 絶滅危惧Ⅱ類(VU)に 指定されている。
〇出現種(オオタカ)
第六台場の樹上で休 息後、飛び去る。本種 は環境省レッドリストで 準絶滅危惧(NT)、東 京都レッドリストで絶滅 危惧ⅠA 類(CR)に指 定されている。
<森ヶ崎の鼻>
〇調査地点の状況
最干潮時刻のため干潟は干出していたが、雨の影響で 干潟周辺の海は濁っていた。
〇出現種(ムナグロ、メダイチドリ)
干潟で 2 種のチドリ類が確認された。ムナグロは 1 羽が干潟で採餌。本種は干潟の他、水田、畑、草地に生息し、
東京都レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている。メダイチドリは 4 羽が干潟で休息。本種は干潟や砂 浜に生息し、種の保存法で国際希少野生動植物種、東京都レッドリストで準絶滅危惧(NT)に指定されている。
〇出現種(ゴイサギ)
岸辺の矢板上で 2 羽が休息。留鳥として湖沼、河川、海岸、
水田に生息する。森ヶ崎での記録は稀で、昭和 60 年、62 年 に続き 3 例目となる。
〇干潟利用状況
干潟ではカワウとウミネコの群れが休息。サギ類は干潟で休息の他、一部の個体が浅瀬で採餌していた。
メダイチドリ
ダイサギ カワウとウミネコ
ムナグロ
<葛西人工渚>
〇調査地点の状況 干潟が広く干出していた。
〇出現種(ダイシャクシギ、ホウロクシギ、チュウシャクシギ)
干潟でダイシャクシギ 1 羽、ホウロクシギ 2 羽、チュウシャクシギ 1 羽が確認された。このうちダイシャクシギとホ ウロクシギは干潟中央付近で採餌。チュウシャクシギは翼を負傷している様子で飛び立つことができなかった。
〇干潟利用状況
干潟や汀線付近でカワウとウミネコが群れで休息していた。また、汀線付近の浅瀬でアオサギやダイサギ、チュ ウサギ、コサギが採餌、スズガモが休息。干潟でクロツラヘラサギ 1 羽が休息。クロツラヘラサギは環境省レッド リストで絶滅危惧ⅠB 類(EN)、東京都レッドリストで絶滅危惧ⅠA 類(CR)に指定されている。
西側の地点より南西方向を見る
チュウシャクシギ
スズガモ カワウとウミネコ
ダイシャクシギ ホウロクシギ 白い腰がホウロク
シギとの識別点
クロツラヘラサギ
<その他>
○ウミネコの繁殖
平成 31 年 5 月 22 日、6 月 19 日の調査で繁殖を確認した構造物上では、今回ウミネコは確認されず、繁殖は 終了していた。構造物上で古巣を確認したのみ。
<トピックス>
- セイタカシギ -
セイタカシギは環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類(VU)、東京都レッドリストで絶滅危惧ⅠB 類(EN)に指定されて いる希少種である。8 月調査では葛西人工渚において、干潟で休息する 1 羽が観察された。葛西人工渚では比較的 稀で、近年では平成 16 年度に次ぐ記録となる。
葛西臨海公園鳥類園内の池では過去に繁殖記録があり、平成 19 年に 3 羽の雛が育った。以後は平成 20 年、平成 22 年、平成 23 年、平成 26 年に産卵したものの、捕食や巣の水没により孵化に至っていない。
繁殖が確認された構造物
セイタカシギ
ウミネコの古巣