九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
効率的な肺ガン特異的ヒト型モノクローナルIgG抗体 の取得に関する研究
川原, 浩治
九州大学農学研究科食糧化学工学専攻
https://doi.org/10.11501/3075469
出版情報:Kyushu University, 1993, 博士(農学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
第9章 新しい細 胞固定法を応用したEL I S A法の開発
第1節 緒言
\ イブリ ドー マの産生するモ ノ ク ロ ー ナ ル抗体が、 特 異抗体であるか否かを検討するために、 従来から種々 の
ス ク リー ニ ン グ法が行われてきた 36)。 特に、 酵素標識 した抗体を用いる酵素抗体法は、 簡便かっ迅速に測定で
きるため、 幅広く利用されている。
とこ ろで 、 著者は従来より、 ガ ン特異抗体を ス ク リー ニ ン グする際に、 ガ ン細胞をグルタルアルデヒ ドで固定 した抗原を用い てきた。 グルタルアルデヒ ドは、 強固に タ ン パクを架橋するため、 細胞の形態は良好に保持され るものの、 分子レ ベルに おける物質の修飾や変性等によ る抗原性の消失が心配されている83)。 こ うした欠点を 排除するため、 化学的な細胞固定法ばかりでなく、 物理 的な固定 法を用い る こ とを試みた 84)。
近年、 MayersやL0 g i nらによ っ て、 電子線すなわち マ イク ロ ウ ェ ー ブ(Mi crowave; M W)を用い て、 細胞固定 する方法が考案された 85 )、 86 )。 こ の固定法の原理は、
検体への電子線照射に より瞬間的な熱凝固が生じる こ と
にあると されてい る。 こ の電子線は、 厚みのある検体で
さえ短時間に透過するため、 手術後摘出された組織の固
定に有効に利用され得るo HarunaらやMurotaniらは、 こ
うした点から、 組織染色標本やガ ン抗原の固定にMWを
用い てい ると報告してい る 87)、 8830
そ こ で、 著者は、 ハイブリ ドー マの一次 ス ク リー ニ ン
グの際に、 利用可能な系として、 抗原となる培養ガ ン細
胞をMW固定し、 その反応性を従来まで行 っ てきた固定
法と比較検討する こ とにした。
- 148 -
第 2節 細胞固定に必要な電子線照射時間 の検討
電子線源としては、 家庭用調理器具である電子レ ン ジ を用いた。 電子線出力は、 5 0 0 Wであり、 テ ーブルは、 ほ
ぼ10秒で一回転する回転式にな っ ている。 組織片の固定 のための照射時間は、 2 0秒程度であり、 固定液 の目安の 温度として400Cに設定して行 っ た こ とが、 報告されてい る83 }。 と こ ろで、 著者の目的は、 9 6穴培養プレ ー トに 培養している細胞の固定である。 なぜならば、 ハイブリ ドー マの 1次 ス ク リー ニ ン グで一度に多数の検体測定に 用いるた めである。 従 っ て、 リ ン酸緩衝生理食塩水
( P B S )を満たした9 6穴培養プレ ー トに電子線を照射し、
種々 の穴の位置に おける温度 のばらつきを検討した。
Fig.9-1に、 電子線照射条件と温度測定した9 6穴培養 プレ ー ト の穴の位置を示した。 Table 9-1に測定結果を 不した。 照射後の液温度は、 9 6穴培養プレ ー ト の中央部 と周辺部で、 1 0 oC以上もばらつきが生じた。 また、 こ の ばらつきを少なくするため、 電子線照射窓、 に高さ調節し たり、 向きを調節したも のの、 大きな相違はなか っ た。
ただし、 高さ調節すると、 短い照射時間で液温上昇が認
められ、 検鏡に よ る細胞の固定状態が良好であ っ た。 ま た、 液温が400Cであ っ ても、 MW固定後、 4 oCに保存す ると細胞の器壁からの剥離が観察され、 これは不十分な 固定に起因するものと考えられた。 従 っ て、 こ うした細 胞の消失がない固定温度を検討し たと こ ろ、 液温5 0--
600Cが有効である ことが判明した。 以上の結果から、 条 件Eが最も良好な固定方法であると思われ、 以後の実験 に 用いた。
- 150 -
D.
40 sec.
�
c.
30 sec.
勿修復多
B.
40 sec.
�多
A.
30 sec.
Z勿�
H.
30 sec.
G.
40 sec
l _ -- l
�多
F.
30 sec.
1 1 _ �. 5 cm l
�多
E.
50 sec.
��
J.40sec.
1.
30 sec.
ロ一@0000
00@ 日一0 000 000 0 200 000
000
9一 O OGOO@
00
8一0 00 0000 0 7一0 000 0000 600 00
00 00
50 000 0000 4δ00@OO@ 0 3一0
00@OO@0
2500000oo
--@000000@
A B
C
D E F G H
Fig.9・1
Positional conditions for the MW ÎIXation and the position of the wells where liquild temperatures were determined
A丘er emission of MW under仕le positional conditions from A to J,
仕le liquid temperatures of the wells in a 96-well culture plate were determined by a thermometer.τhe results were shown加Table 9-1.
陀ヌヌ死認y�:
96 well
plate �【物勿多 :
Turn table, J
Table 9-1
Liquid temperature of the wells measured after emission of micro wave
Well Temperature
(・C)
A
BC D
EF G H J
A-1 25 29 29 28 40 24 29 29 27 27 H-1 27 31 30 29 38 27 31 30 28 30 A-12 31 32 30 32 39 31 31 30 32 30 H-12 31 32 30 31 40 30 32 30 31 31 D-3 28 40 40 44 53 35 35 40 34 36 D-4 30 42 40 45 58 35 36 37 34 36 G-3 30 40 35 40 60 34 35 35 30 34 G-4 30 40 35 40 58 34 34 35 31 34 C-9 33 43 37 43 55 34 35 35 36 40 F-9 33 44 38 43 56 34 36 33 36 40
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第3節 細胞の固定法の違いによ る反応性の変化
MW固定法と、 従来のグルタル アルデヒ ド(G A )固定法 との反応性における相違を検討した。 実験は、 次の手/1債 で行 っ た。 9 6穴培 養プレ ー トに ヒ ト肺ガ ン細胞株A 5 4 9
を、 5 x 1 0 5細胞/m 1でまきこ み、 1 日培養後、 O. 0 5 %グル
タル アルデヒ ドを含むPBSで1 5分間固定したプレ ー トと PBSを満たし、 4 5秒間MW照射して固定したプレ ー トを 用意した。 こ のそれぞれのプレ ー トを、 全く同様にEL 1 S A法に従 っ て (第7章、 第4節参照)抗体の反応性試 験を試みた。 用いたモ ノ ク ロ ー ナ ル抗体は、 肺ガ ンに反 応する と ト型抗体である、 B D 9 D 1 2 ( 1 g G ) 、 AE6F4 、 A D 2 ( 1 g M )の 3種であり、 コ ン ト ロ ー ル として ヒ ト血清1 g G もしくは1 g Mを使用した。
Fig.9-2に、 抗体のA 549細胞との反応性を示した。 3 穫のモ ノ ク ロ ー ナ ル抗体は、 いずれもG A固定した細胞 と反応しており、 1 μ g/mlの抗体濃度で吸光度約o . 5を
与えた。 一方、 MW固定細胞を用いた場合、 A D 2および B D 9 D 1 2抗体の反応性は、 G A固定細胞との反応性とほと
んど変化はなか っ たが、 AE 6 F 4抗体の反応性は、 飛躍的
に向上した。 なお、 コ ン ト ロ ー ルである ヒ ト血清IgGお
よびIgMは、 G A固定、 MW固定のいずれも反応し なか
っ た。 つづいて、 G A、 MW固定細胞とA E 6 F 4抗体との
反応部位を検討するため、 EL 1 S A法の最終段階における
基質に ジ ア ミ ノ ベ ン ジ ジ ン(D A B )を用い、 そ の反応を顕
微鏡観察したo Fig.9-3に 示すように、 G A固定細胞の
場合、 分裂期に近い細胞と思われる、 ク ラ ン プ状の細胞
塊に反応が認められ、 しかも、 反応部位は細胞質がほと
んどであ っ た。 一方、 MW固定細胞の場合、 存在する細
胞全般にわた っ て広く反応が認められ、 特に、 細胞膜か
ら細胞質まで、 反応していることが観察された。 以上の
結果から、 MW固定法は、 G A固定法に比較して、 抗原
の保持状態が良好であり、 従来のG A固定細胞では検出
不能だ っ た膜抗原に対する抗体取得に有効であることが
示唆された。
- 154 -
<MW>
o
0.1 0.3 1
Antibody conc. (μg/ml) 1.0
0.5
。
ロ目的O叩.凸.0
<GA>
1.0
0.5
。
回目的C叩.Q.。
1 Antibody conc. (μg/r凶)
Fig.9-2
0.3
。
0.1
Reactiviザof monoclonal antibodies against glutaraldehyde- or micro wave-fixed A549 cells
Reactivities were measured by ELISA. A549 cells used as antigens were fixed
wi仕1glutaraldehydeくGA> or rnicro waveくMW>. e, AE6F4; Â ,AD2; 11, BD9D12;
口,IgG
O,IgM;
<GA>
<MW>
Fig.9・3
Detection of the reaction of monoclonal antibody,
AE6F4, against glutaraldehyde- or micro wave
fixed A549 cells
The detection reaction was done with the substrate solution containing diaminobenzidine tetrahydrochloride
(DAB)
at 仕le end of the ELISA process. A549 cells fixed with glutaraldehydeくGA> or micro waveくMW>, were used as antigens.- 156 -
第4節 MW固定した種々 の細胞株に対する抗体の反応 性の比較
種々 のG A固定細胞とMW固定細胞を用いて、 3種の
ヒ ト型モ ノ ク ロ ー ナ ル抗体BD9D12、 AE6F4、 AD 2との反応
性を比較検討した。 固定のためのガ ン細胞は、 ヒ ト肺腺
ガ ン細胞株A54 9、 p C - 9、 肺扇平上皮ガ ン細胞株QG -5 6、
肺小細胞ガ ン細胞株QG-90、 乳ガ ン細胞株MCF-7、 胃ガ ン
細胞株MKN-45、 正常繊維芽細胞Wト3 8を用いたo T a b 1 e
9 - 2に 示すように、 A 5 4 9細胞と反応性の高 か っ たAE 6 F 4
抗体は、 その他の肺ガ ン細 胞株と反応していたo 一方
で、 G A固定した乳ガ ン細胞株MCF-7とよく反応してい
たにもかかわらず、 MW固定細胞ではほとんど反応しな
か っ た。 また、 AD2抗体は、 G A固定した細胞株も、 M
W固定した細胞株のどちらも同程度の反応性を示してい
たo BD9D12抗体の反応性は、 G A固定した細胞株では、
全体的に 高い反応性を示していたにもかかわらず、 MW
固定細胞とは、 弱い反応性しか示さなか っ た。
が っ て、 従来のG A固定細胞と併用し て、 ハイプリドー
マの 1次スクリーニン グに用い る ことに より、 細胞質成 分に反応する抗体や、 細胞膜成分に反応する抗体など、
より幅広い有用なガン特異抗体の取得に役立つものと思 われる。
Table 9-2
Reactivities of three human monoclonal antibodies against glutaraldehyde- or micro wave-fixed vartous human cell lines
BD9D12 (IgG) AE6F4 (IgM) AD2 (IgM) Cell lines
GAa MWb GA MW GA MW
Lung adenocarcinoma
A549 0.423 0.427 0.483 0.962 0.596 0.609 PC-9 0.101 0.292 0.244 0.181 0.191 0.427 Lung squamouscarcinoma
QG-56 0.432 0.181 0.250 0.077 0.287 0.274 Lung small cell carcinoma
QG-90 0.302 0.300 0.257 0.173 0.256 0.384 Breast cancer
MCF-7 1.585 0.307 1.380 0.187 0.548 0.167 Stomach cancer
MKN-45 0.250 0.154 0.223 0.046 0.093 0.159 Norma1 fibroblast
WI-38 0.049 0.165 0.159 0.059 0.070 0.149
aTested with glutaraldehyde-fixed cells bTested with micro wave-fìxed cells
-158-
第5節 考察
細胞の固定法は、 従来から数多くの研究者によ っ て報 告されてきた B4 )。 これらは、 いずれも研究対象に従 つ て使い分けねばならない。 例えば、 ア セ ト ン ー メ タ ノ ー ル固定は、 細胞の膜脂質を溶解し、 細胞膜に穴を開けて
しまうため、 細胞質成分の検索や同定には適しているけ れども、 目的成分が糖脂質 であると、 この固定法では検 出不能にな っ てしまう。 また、 ホ ル マリ ン やグルタル ア ルデヒ ドのように、 タ ン パク架橋剤を用い ると、 細胞成 分の消失は少ないが、 架橋による抗原修飾や凝集のよう に抗原性の変化が全く ないわけではない。 従 っ て、 ガ ン 抗原のように、 もともと細胞に多量に存在するとは考え られない成分と反応する抗体を検索するには、 単一の 細 胞固定法を用いた ス クリー ニ ン グのみでは、 十分 でない と考えられる。
本研究で用いたMW固定は、 比較的簡単な操作で、 細 胞固定が可能 である。 細胞によ っ ては、 器壁に接着力の 弱い もの があるが、 これらは、 0. 0 1 %の G A を含むPBS を用い てMW照射する ことで良好な固定が行わ れる。 従
っ て、 従来のG A固定細胞と併用して、 ハイ ブリ ドー マ
の 1次 ス ク リー ニ ン グに用い る こ とに より、 細胞質成分
に反応する抗体や、 細胞膜成分に反応する抗体など、 よ
り幅広い有用なガ ン特異抗体の取得に役立つものと思わ
れ る。
- 160 -
第6節 小括
ハイブリ ドーマの抗体特異性 ス ク リー ニ ン グのために
用いるガン細胞の固定法として、 従来から用いてきた グ
ルタルアルデヒ ド(G A )固定法と新しくマイク ロ ウ ェ ー プ (MW)固定法を用いて、 その相違を比較検討した。 まず、
ヒ ト肺ガン細胞株A5 4 9を用いて両固定法を実施し、 すで
に樹立されているモ ノ ク ロ ーナ ル抗体 BD9D12 、 AE6F4 、
A D 2を反応させたとこ ろ、 AE 6 F 4抗体のみ、 反応性が上昇
することがわか っ た。 また、 種々 のガン細胞株をG A 、
MW固定して、 同様に抗体を反応させたとこ ろ、 両固定
細胞の聞に は、 抗体の反応性に明かな変化があり、 それ
は、 ガン細胞の抗原性に関与しているものと思われた。
したが っ て、 今後、 ハイブリ ドーマの ス ク リー ニ ン グ に
これら2種の固定法を用いることに より、 従来になか っ
た新しい反応性を持 っ たガン特異的なモ ノ ク ロ ーナ ル抗
体 が取得でき るものと期待され る。
第1 0章 ハイ プリ ドー マの抗体生産とその高産生株の 分 取に関する検討
第 1節 緒言
抗原特異的な ヒ ト型モ ノ ク ロ ー ナ ル抗体産生ハイブリ ドー マが取得された場合、 そのハイブリ ドー マを大量に 培養し、 得られる培養上清中の抗体を分離 ・ 精製する必 要がある。 一般に、 マ ウ ス ハイブリ ドー マから得られる マ ウ ス モ ノ ク ロ ー ナ ル抗体は、 106細胞当り 培養上清中 に数μ g"""数十μ g/mlの濃 度で検出される。 しかし なが ら、 ヒ ト型の 場合、 この濃度の十分のーから百分の一程 度しか検出されないことが多い。 従 っ て、 ヒ ト型の抗体 をより容易に取得するためには、 抗体高生産ハイブリ ド ー マを取得するこ とが有効であると考えられる。
従来から、 抗体産生と細胞周期との相関に ついて種々
の報告がなされてきた89)-91)。 これらは、 細胞の チ ミ ジ ン処理等に より、 い づれも細胞周期のG 1期や初期S 期に向調培養を行うことで明かにされてきた。 しかしな
がら、 こうした同調培養法では、 細胞の生理状態を強制
- 162 -
的に変化させる こ とになり、 通常の培養条件下に おける 細胞状態を正確に反映していないと思われる。 そ こ で、
著者は、 継代培養した ヒ ト型ハイブリ ドー マを蛍光標識 抗ヒ ト イ ム ノ グ ロ プリ ン抗体を用いて染色し、 さらに細 胞核内DNAを蛍光染色する こ とに よ っ て、 同調培養せず に細胞の抗体産生と細胞周期との関係を検討した。 さら に、 得られた結果から抗体の高生産性株の分離法に つい て考察した。
第2節 細胞膜面 に存在する抗体量と細胞周期との関係
ヒ ト型ハイ プリ ド ー マHB4C5 、 BD9D12細胞を用い て、
細胞膜面に存在する抗体を フ ルオ レ セ イ ンイ ソ チ オ シ ア
ネー ト(FITC)標識抗ヒ トイム ノ グ ロ プリ ン抗体で染色し
て、 フ ロ ーサ イ ト メ ト リーに より測定した。 染色法や測
定法は、 第4章に従 っ たo Fig.10-1に示すようにハイブ
リ ドー マHB4C5の集団の中には、 細胞表面に抗体が少な
く存在する場合(A )と多く存在する場合(B )とで、 蛍光強
度では5倍の差を生じていた。 そ こで、 これらの2 つの
集団(A ) 、 (B )をそれぞれ分取して、 そのDNA含量を測定
し、 さらに、 分取した細胞を培養した場合の分泌抗体と
表面抗体の抗体量比較を行 っ た。 DNA含量は、 細胞をプ
ロ ピ ジ ウ ム ア イオ ダイ ド(P 1 )で染 色して測 定した。
Table 10-1に示すように、 HB4C5細胞では、 分取前の コ
ン ト ロ ー ルの集団に比較して、 ( A )の集団で細胞周期の
G 1期に相当する細胞が多く 認められ、 ( B )の集団でS
およびG 2期の細胞が多く認められた。 一方、 分泌抗体
量は(A )と(B )で、 1. 4倍の差が認められた。 従 っ て、 抗
体産生は細胞周期のG 1期よりも、 むしろSやG 2期で
- 164 -
よく合成される ことが示唆された。 しかしながら、 細胞
表面の抗体量は、 ( A )と(B)とで、 5倍以上の差があるに
もかかわらず、 分泌量では1 . 4倍の差しかなか っ た。 一
方、 別のハ イブリ ドー マであるBD9D12では、 細胞表面抗
体量が1 0倍異なるにもかかわらず、 分泌抗体量には差
は認められなか っ た( T a b 1 e 1 0 -2 )。 これらの結果から、
細胞表面の抗体量と分泌抗体量は必ずしも相関しない こ
とが示 唆 された。
hω 門戸gロロ Control
jill1111仰111
,
L�)' n
ー1411J
fliL11
、.E,B
4Ea-
-Jnlide
s
--' ーー e M叶
It F
川均
ロ ωω
Fluorescence intensities
Fig. 10・1
Flow cytometric analysis of antibody locating on the cell surface of hybridomas
22211fr:J2123ロi:口出;川町C co吋ugated
- 166 -
Table 10-1
COlllparison between the aI110unts of secreted antibody and surface antibody of HB4C5 hybridollla
Relative sIg production Antibody secretion
( ng/ 104 cells ) Cell cycle (0/0)
S G2 G1
lHm41
10.1 2.5 15.2
74.7 Control
1 5.0 Area
1.9 2.65 4.9
25.1 15.6
23.0 79.5
51.9 (A)
( B )
Table 10・2
COIllparison between the aIIlounts of secreted antibody and surface antibody of BD9D 12 hybridoIlla
Relative sIg production Antibody secretion
( ng/
104cells ) Cell cycle (0/0)
Area
l Hm∞1
S G2 G1
5.3 4.6
10.0 15.3
9.5
24.4 4.7
22.3 19.2
29.1 62.4
71.3 46.5
Control
(A)
( B )
第3節 細胞内抗 体量と細 胞周期 の関係
\ イプリ ドー マの細胞膜面に存在する抗体重と培養液
中に分泌される抗体量は、 必ずしも相関しない ことが前
節で示唆された。 そこで、 次に細胞内抗体量と細胞周期
を検討することで、 細胞膜面に存在する抗体量と細胞内
抗体量を 比較検討した。 実験は、 1 g M産生ヒ ト型ハイブ
リ ドー マ HB4C5を、 冷却した70%エ タ ノ ー ル液で60分間
固定し、 F1 T C標識抗ヒ ト1 g M抗体とP 1 溶液で60分間染色
した。 ハイブリ ドー マのも っ てい る細胞内 抗体は、 F 1
TCで標識され、 細胞内の核酸はP1で標識される。 この細
胞検体を フ ロ ーサイ ト メ トリー分析することに よ っ て、
核酸含量と細胞内抗体量の比較が可能である。 フ ロ ーサ
イ ト メ ト リーでは、 前方散乱光( L S )と側方散乱光( 9 0
L S )を測定して、 検体の均一な集団のみを蛍光測定したo
Fig.10-2に結果を示した。 サイ ト グ ラ ム の縦軸は、 F 1
TCの蛍光強度、 すなわち細胞内抗体量を示しており、 横
軸はP1の蛍光強度、 すなわち核酸含量を示してい る。 細
胞の核酸含量が増加するにしたが っ て、 細胞内抗体量も
増加するが、 その比率は細胞周期G 1期を1 とすると、
G 2期で1 . 6倍程度であ っ た。 一方で、 細胞表面の抗体
量はG 1期とG 2期で5倍程度の差が認められた こ とか
ら、 細胞膜面の抗体量と細胞内抗体量に は比例関係はな
い と考え られた。
一 170 -
J
;:ij約
M内H
・∞
(b)
, ,
�説 明 ! 日::::': ・
i:' ••, ,
ー . ... .. ..,
. . . . ....
. . .. .
凶l(a)1 I I FITC
•
• • • •
••
90LS
Gl S G2PI
Fig.lO・2
Relation of the amounts of intracellular antibody with the cell cycle of HB4C5 hybridoma
(a); Cytogrむn consisted ofLS and 90LS data. (b); Cytogram consisted of FITC and PI data. Intracellular antibody
and DNA contents were detected with FITC labeled anti-human immunoglobulin antibody and propidium iodide, respectively.
第4節 抗体生産性の高いハイブリ ドー マク ロ ー ン を取 得す るための方法の提案
今まで述べてきたことから、 ハイブリ ドー マの抗体産
生は、 細胞周期に依存しており、 G 1期よりもS期、 G
2期によく産生されることが示された。 一方で、 細胞表
面 に存在する抗体量が、 細胞内抗体量や培養培地に分泌
される抗体量と 量的な相関があるか否かに ついて検討を
行 っ た。 Table 10-3に示す ように、 Fig.10-1の( A )と
( B )の領域に位置する細胞集団を分取し、 ク ロ ー ニ ン グ
した とこ ろ、 培養上清中の分泌抗体量には顕著な相違が
認め ら れなか っ た。 このことは、 細胞表面抗体が2倍増
加しでも、 分泌抗体量が2 {きになることはない、 すなわ
ち細胞表面の抗体量と分泌抗体量とが比例関係にはない
ことを示唆していた。 従 っ て、 細胞膜表面の抗体量の増
減は、 膜の透過性に関わ っ ている可能性が示唆された。
G 1期の細胞膜は、 細胞増殖のための形態変化に ほとん
どさらされないため、 安定した膜構造を保持している。
しかし、 S、 G 2期では、 増殖に伴う形態変化が生じ、
膜構造が不安定 にな っ て、 物質の膜透過性が変化をきた
- 172 -
すためであろう。 従 っ て、 可能性のある高生産性株の分
離方法としては、 -ß_、 変異原物質等で細胞を処理し 、
しかる後細胞のク ロ ー ニ ン グと培養上清中の抗体価を測
定する ことに より高生産性細胞を分取する方法(変異株
の誘発) や、 生きたまま細胞質内の抗体を蛍光染色する
方法を開発し、 これを用いてリア ルタイ ムiこ セル ソ ー テ
イ ン グする こ と (自然変異 株の分取) が考えられよ う。
Table 10・3
Correlation between Ig secretion and cell surface Ig of hybridoma clones 、 obtained by cell clon註19
Ig productivity ( ng/ml・104 cells) n o u e vi、,F門」'aA釦'川
dn vdg b( U 知 No.of
growせ1 wells No.of
seeded wells Cell number
Area
1.11 2.0
X105
22.2
+11.2 85 26
(A)
l -4品l
1.38 1.8
X105
24.8
+5.2 35
88
( B )
第5節 小括
\ イブリ ドー マの抗体産生に ついて、 その細胞周期と 産生抗体重および抗体高産生株の分離法を検討した。 細 胞の抗体産生量のパラ メータとして、 細胞表面に存在す る抗体と細胞内に存在する抗体、 および培養培地中に分 泌される抗体を測定した。 その結果、 細胞表面に存在す る抗体量は、 細胞周期に依存しており、 G 1期の細胞は S 、 G 2期の細胞より、 低い抗体量を示した。 一方、 細 胞内抗体および分泌抗体量は、 細胞周期に依存している ものの、 細胞膜面に存在する抗体より、 その差はわずか
で、 顕著な相関が認められなか っ た。 これらのことは、
細胞膜面に存在する抗体量の変化は、 細胞周期に伴 っ て 生じる膜透過性の変化に起因する可能性が考えられた。
従 っ て、 高生産株を取得するには、 細胞膜面の抗体量を マー カーにするよりも、 細胞の最も抗体生産性の高いG
2期以上に高い産生量を示す細胞を分取することが必要 であると考えられ た。
第1 1 章 総括
悪性腫蕩であるガ ンは、 現代の ヒ ト の難治疾患の代表 である。 その中でも、 特に肺ガ ンは手術に よる摘出措置 をしても予後の最も悪い疾患として知られている。 この 肺ガ ンの診断は、 主として胸部X線写真、 R客疾細胞診、
気管視鏡が行われてきた 92)。 しかしながら、 胸部X線 写真や暗夜細胞診は、 ガ ン患部がある程度の大きさでな ければ、 判定がつきにくく、 診断の確定ができない。 ま
た、 気管視鏡は患部の細胞を直接採取 ・ 観察可能である ため確実な診断が可能であるが、 手軽に操作ができない ため普及していない。 最近では、 医用電子機器の進歩に より、 X線断層撮影や超音波診断 ・ 核磁気共鳴イ メー ジ
ン グ法などの新しい診断が行われており良好な診断成績 をあげているが、 細胞レ ベルの診断が不可能でつきにく い問題点が残されている 93)。 一方で、 肺ガ ンの治療は
1 9 5 0年代に外科手術が、 6 0年代に放射線療法が、 7 0年代
に抗ガ ン剤を用いた化学療法が主体であ っ た。 しかし、
これらの単独治療では十分な成績をあげる ことができず に、 近年では、 こうした治療法を組み合わせて行う集学
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的治療がなされるようにな っ た。 これらの診断 ・ 治療技
術の伸展により、 1 9 6 0年には2 5 %だ っ た肺ガ ン患者の5
年生存率は、 1 9 8 0年以降45%程度まで上昇した。 しかし
ながら、 乳ガ ンは約80%、 胃ガ ンは60%程度と生存率が高
く、 肺ガ ンがま だガ ンの中で最も治療成績の悪い ことは
確かで あ る。
それでは、 なぜ肺ガ ンの治療が難しい のか。 肺は呼吸
器の重要な臓器であり、 酸素交換のため血液が豊富に存
在してい る。 ガ ン細胞がこの血液に混入すると転移を引
き起こし、 手術不能になる。 また、 患部が心臓に近か っ
たり、 大きい場合にも同様に手術不能である。 このよう
に、 他の臓器ガ ンと異なり、 手術の可能性が限定される
ために、 肺ガ ンの治療成績が低いものと考えられる。 従
っ て、 手術で患部が摘出可能な状況での早期診断やガ ン
転移を細胞レ ベルで検出し徹底的に排除する新たな治療
法の開発が望まれよう。
こ うした問題の解決に、 ガ ン特異的ヒ ト型モ ノ ク ロ ー
ナ ル抗体は重要な役割を果たすことが期待されてきた。
モ ノ ク ロ ーナ ル抗体は、 単一の抗原特異性を持 っ てい る
た め、 目的抗原に対する反応性が高く、 かっそ の抗体産
生ハイブリ ドー マを培養することで、 大量に取得する こ
とが可能である。 しかも、 ヒ ト型の抗体はヒ ト の体内に
副作用なく投与可能であり、 新しい ガ ンの診断 ・ 治療薬
となりうる思われる 9 4 )。 これらの観点から、 著者は、
肺ガ ン特異的ヒ ト型モ ノ ク ロ ー ナ ル抗体を効率的に取得
す る方法 の確立を試みた。
ヒ ト型モ ノ ク ロ ー ナ ル抗体産生ハイプリ ドー マの作製
は、 1 9 8 0年以降多くの報告がなされてきた 4 )。 細胞融合
法に関しては、 すでに有効な方法がいくつか開発され 、
利用されている。 しかしながら、 特異抗体の取得に関し
ては、 現在のとこ ろ、 ハイブリ ドー マの親細胞株の融合
効率のみに依存しており、 効率的か っ実際的な取得法は
存在しない。 また、 その親細胞株の融合効率もヒ トの場
合、 マウ ス の系に比較して5分のlから1 0分のl程度と
極めて低い値を示していた。 さらに、 リ ン パ球の免疫に
関しては、 マウ ス は抗原を体内に直接投与できるため確
実な免疫誘発が可能であるが、 ヒ トでは抗原に感作を受
けていると思われる患者由来のリ ン パ球を用いるため、
量的な確保が難しく、 必ずしも抗原感作を受けていると
は限らないという疑問が残る。 これらの問題を解決する
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ため、 著者は、 いくつかの新しい知見をもとに研究を行 っ fこ。
まず、 第2章では、 効率的なハイ ブリ ドー マ作製のた め、 ポリ エ チ レ ン グリ コ ー ル(P E G )法と電気融合法の 2 つの細胞融合法を比較検討した95〉0 その結果、 融合効 率の低い親細胞株を用いた場合は、 電気融合法が有効で あるけれども、 融合効率の高い親細胞株を用いた場合は
むしろPEG法が有効であると思われた。 しかしながら、
融合に供する細胞数が少ない場合は、 電気融合法に明か に利点があ っ た。 従 っ て、 一概にどちらの方法が有効か 決定できないと思われた。 著者は、 実験条件と操作の簡 単なPEG法を用いて、 研究をすすめる ことにした。
次に、 第3章でIgG型のモ ノ ク ロ ー ナ ル抗体作製用の 親細胞株の樹立に成功した96)、 97)。 従来か ら報告され てきた ヒ ト型のモ ノ ク ロ ーナ ル抗体は、 1 g M型がほとん どでIgG型の特異抗体を得ることが困難であ っ た。 この
原因 として、 ハイ ブリ ドー マの親細胞株が、 もともと IgM産生株であることに起因しているものと考えられた。
そ こ ではG産生親細胞株の樹立を行い、 その結果、 高効 率でIgG産生ハイ プリ ドー マの取得が可能にな っ た。 さ
らに、 この研究からハ イブリドー マの性質、 すなわち、
融合効率や増殖特性、 抗体産生および抗体産生の安定性 は、 用いる親細胞株の性質に依存していることを明らか
iこ しfこ。
つづいて、 第4章では既存の肺ガ ン特異的モ ノ ク ロ ー ナ ルIgM抗体産生ハイブリドー マHB4C5を用いて、 そのク ラ ス ス イ ッ チ変異体を検出 ・ 分取した 9 8 )。 この実験に 先だ っ て、
っ た 9 9 )。
フ ロ ーサイト メト リーの測定条件の検討も行 この結果、 培養細胞は自家蛍光なく測定可能 にな っ た。 また、 ハイブリドー マのク ラ ス ス イ ッ チは、
通常の継代培養中でも103 細胞に 1 ク ロ ン程度の割合 で生じていることが明かにな っ た。 特に1 g MからIgGへの ク ラ ス ス イ ッ チは、 セル ソ ー ターを用いて分取すること に より、 分取前の10倍以上に変異細胞を濃縮することが 可能であることが分か っ た。 しかしながら、 分取した変 異細胞の抗体産生は不安定で、 2週間程度の培養で ス イ ッ チした抗体は消失した。 このことから、 1 g M型の抗体 産生と1 g G型の抗体産生機構が、 異なることが示唆され
Tこ。
第5章では、 抗体非産生親細胞株の樹立に成功した。
- 180 -
\ イプリ ドー マの増殖や抗体産生の性質は、 親細胞株に 依存していること、 さらにはM型と1 g G型の抗体産生機構 が異な っ ているという知見が得られた。 そこで、 より効 率的に特異抗体産生ハイブリ ドー マを取得するために、
もともと抗体産生に関係ないヒ ト T細胞由来の親細胞株 を樹立した。 この細胞を用いることで、 得られたハイブ
リ ドー マは、 IgG型、 1 gM型の両ク ラ ス の抗体を産生し、
しかもその抗体産生は安定していた。 そこで、 肺ガ ン患 者由来のリ ンパ球を用いてハイブリ ドー マを作製し、 肺 ガ ン特異的ヒ ト型モ ノ ク ロ ー ナ ル抗体を取得した。
第6章では、 ヒ トリ ンパ球の体外 免疫法を確立した。
効率的に特異抗体を取得するには 2 つの方法が考えられ る。 一方は、 ハイブリ ドー マ 作製用の親細胞株の融合効 率を高くすることであり、 他方はハイプリ ドー マのパー
ト ナ ーであるリ ンパ球を免疫感作させることである。 今 回、 この後者であるリ ンパ球の抗原感作を体外で行うこ とに成功した1 0 0 )。 免疫賦活剤である、 OK-432やム ラ 、
ル ペプチ ドと1 L -2、 1 L -6 を組み合わせて、 抗原である ヒ トガ ン細胞株とヒ ト正常リ ンパ球を共存培養すること に より 免疫が生じた。 この免疫法は、 肺ガ ン ばかりでな
く乳ガ ンや胃ガ ン等の細胞株でも有効である ことが分か っ た。 一方で、 著者の開発した体外免疫法は、 種々の報
告で述べられてきた ポリク ロ ー ナル活性化とは異なり、
特異的 な免疫反応を賦活 す る ことが明かと な っ た。
さらに、 第7章ではヒ ト肺ガ ン細胞を用いてリ ン パ球
を体外免疫し、 肺ガ ン特異的ヒ ト型モ ノ ク ロ ー ナル抗体
を効率的に取得した。 この特異抗体取得効率は従来のガ ン患者由来リ ン パ球を用いた場合の2 0倍以上に上昇して
おり、 マウ ス の系に匹敵するかそれ以上であ っ た。 さら
に、 得られたモ ノ ク ロ ー ナル抗体は1 g G型もIgM型も存在
していた。 従 っ て、 体外免疫は従来の患者由来のリ ン パ
球を用いた場合の抗原感作とは、 明かに異なる免疫が生
じてい る こ とが示唆された。
また、 第8章では得られた肺ガ ン特異 抗体の種々のガ
ン細胞に対する反応性をより詳細に検討し、 これら抗体
がガ ンの診断 ・ 治療に役立つこ とを示した。 まず、 肺ガ
ン、 乳ガ ン、 胃ガ ン、 大腸ガ ン、 正常細胞と特異抗体を
反応させ、 その反応 ス ペクトルを検討した結果、 肺ガ ン
細胞株に主として反応する抗体や、 全てのガ ン細胞に反
応する抗体、 正常細胞にも反応する抗体が検出された。
- 182 -
また、 生細胞状態の肺ガン細胞株と反応する抗体も存在
しており、 この抗体はガン細胞膜抗原を認識していると
考えられた。 さ らに、 肺ガン患者由来で組織型の異なる
種々 のガン組織とこれら抗体を反応させた結果、 腺ガン
と主として反応する抗体、 全く反応しない抗体が検出さ
れた。 ガ ン細胞株では反応し、 ガン組織では反応しない
抗体が 存在したことから、 これらの抗原性の違いが明か
にな っ た。 また、 これらの抗体の中からガン細胞と反応
性 の高か っ た抗体 の認識す る抗原検索を行 っ た結果、
40 K Dと50 K Dの抗原が検出された。 しかし、 これらの抗体
の中には、 ガン細胞株とガン組織で、 異な っ た分子量の
抗 原を認識するものも存在した。
また、 第9章では、 抗体の特異性 ス ク リー ニ ング法に
関して、 抗原となるガン細胞 のグルタル ア ルデヒ ド
( G A )固定法とマイク ロ ウ ェ ープ(M W )固定法とを比較検討
し、 G A固定細胞とMW固定細胞の両方を用いることに
より、 種々 の特異性を示す抗体が取得可能であることを
示した。 まず、 MW固定法の条件を検討するため、 9 6
穴培養プレ ー トをPBSで満たして電子線照射したところ、
液温60 OC程度で、 最も効率よく細胞固定が生じることを
確認したo つづいて、 この条件で固定した肺ガ ン 細胞株
とG A固定した同細胞株を、 肺ガ ン特異抗体と反応さ せ
たとこ ろ、 G A固定とMW固定細胞とで、 異なる反応性
を示す場合が認められた。 また、 種々 の細胞株をMW固
定して、 特異抗体と反応させたとこ ろ、 G A固定細胞と
異なる反応性が検出され、 このことは、 ハイブリ ドー マ
の ス ク リー ニ ン グにG A、 MWの両方を用いるこ とで、
従来iこ なか っ た特異抗体を検索できる可能性を示唆して
し\ t.こ。
最後に、 第1 0章では、 ハイブリ ドー マ当りの抗体生
産性とその高生産株の分離に関して検討したとこ ろ、 ハ
イブリ ドー マの抗体産生は細胞周期に依存しており、 細
胞膜面に存在する抗体量と細胞質内抗体、 分泌抗体量と
は、 必ずしも相関しないことが示唆された。 従 っ て、 抗
体産生量の多い株を分離 するには、 変異株を取得する方
法が現在のとこ ろ有効であると思われた。
以上の結果か ら、 著者は肺ガ ン特異的ヒ ト型モ ノ ク ロ
ー ナ ル1 g G抗体を、 従来にない高い効率で取得可能にする
ことに成功した。 また、 得られたハイブリ ドー マの抗体
産生の性質につい て、 いくつかの知見を与えたo 今後、
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さらに種々 の抗原に対して特異的なモ ノ ク ロ ー ナ ル抗体 産生ヒ ト型ハ イ ブリ ドー マ作製に応用される こ とが期待 されよ う。
謝 辞
本研究を遂行するにあたり、 終始御懇篤なる御指導、
御鞭縫を賜りました九州大学村上浩紀教授に衷心より感 謝申し上げます。
また、 終始有益なる御助言、 御指導を賜りました九州 大学白畑賓隆助教授に厚く御礼申し上げます。
また、 本研究に御協力い た だきました細胞制御工学教 室の皆様に厚く感謝い たします。
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引 用 文 献
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