在 宅 介 護 支 援 セ ン タ ー に お け る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト 実 践 と ソ ー シ ャル サ ポ ー ト・ネ ッ トワ ー ク の 形 成(1)
副 田 あけみ 1在 宅 介 護 支 援 セ ンタ ー
1)在 宅 介 護 支 援 セ ン タ ー に た い す る研 究 関 心
在 宅 介 護 支援 セ ンタ ーは 、1989年12月 に出 され た 「高 齢者 保 健 福 祉 推 進10ケ 年 戦 略(ゴ ール ドプ ラ ン)」 で そ の創設 が 提 唱 され 、1990年 度 か らそ の 事業 が 開 始 され た。 ゴー ル ドプ ラ ンで は、1999年 度 末 まで に この在宅 介 護 支援 セ ンターを 全 国 で10000ケ 所 整 備 す る予定 にな って い るが 、1993年 度 末現 在 で まだ1239ケ 所 の設 置 で あ る。 今 後 、市 町村 自治 体 は急速 な勢 いで そ の数 を ふ や して いか な け れ ば な らな いわ け で あ るが、 この在 宅 介護 支 援 セ ンター(以 下 、 支 援 セ ンタ ー
と略記 す る)に か ん す る研 究 関 心 は、大 き くわ けて2つ あ る と考 え られ る。
ひ とっ は、福祉 行政 論 や福祉 組織論 か らの関 心、も うひ とつ は援 助実 践 論(ソ ー シ ャル ワー ク論)か らの 関心 で あ る。 前 者 は、 社 会 福祉 制 度 上 の 改正 と地 域 に お け る保 健 ・福 祉 サ ー ビスの 多様 化 、充 実 化 政 策 の もとで の 関心 と い って よ い。
1990年6月 の福 祉 関 連8法 の改 正 によ って 、市 町 村 自治 体 に よ る地 域 福 祉 サ ー ビ スの 統 合 的運 営 が期 待 され る こ とに な り、 サ ー ビス利用 にか ん す る調 整組 織 の あ りよ うが重 要 とな って きた。 これ に よ り、 主 と して 民 間 の サ ー ビス 提 供 組織 (特 別 養護 老 人 ホ ー ムや 老 人保 健 施設 、病 院 な ど)に 委 託 され る支援 セ ンタ ーの サ ー ビス調 整 責 任 と行 政 の サ ー ビス提 供 責 任 との 関連 や 、支 援 セ ンタ ー と今 後 さ らに増 加 す る他 の 民 間 非 営 利 お よび営 利 サ ー ビス提 供 組織 との 連携 ・調 整 シ ス テ ム が問 題 に な って きて お り、 サ ー ビス提 供 組 織、 サ ー ビス調 整 組 織 の ア ド
ミニ ス トレー シ ョン、 システ ム化 な どへ の 関心 が 高 ま って い る1)O
後 者 の関 心 は、 支 援 セ ンタ ーが 相談 、 お よ びニ ー ズ と保 健 ・福 祉 サ0ビ ス の 媒 介 、複 数 のサ ー ビス提 供 組 織 や サ ー ビス 決 定機 関 な ど との 連 絡 ・調 整 と い っ
134 在 宅 介 護 支 援 セ ン タ ー に お け る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト 実 践 と ソ ー シ ャル サ ポ ー ト ・ネ ッ トワ ー ク の 形 成(1)
た福 祉 援 助 実 践 、 っ ま りソー シ ャル ワー クを お こな う こ とを 期 待 され て い る こ と に よ る。 こ う した機 能 を果 たす専 任職 員 と して 、 支 援 セ ンタ ー に は ソー シ ャ ル ワー カーか保 健 婦 、介 護福 祉 士 の資格 を もつ ケ ア ワーカ ーか 看護 婦 の2名 が国 基 準 で は配 置 され る こ とに な って い る。 ソー シ ャル ワーカ ー と して は社 会福 祉 士 の 資格 を もつ もの の配 置 が 期 待 され て お り、 ソー シ ャル ワ ー クの専 門 家(エ
キ スパ ー ト)が 活 躍 で き るあ た ら しい実 践 の場 が 拡 大 され つ つ あ る といえ る。 そ こで の援 助 実 践 の 実 態 の 研 究 は、 わ が国 にお け る在 宅 ケ ア に焦 点 を あて た ソー シ ャル ワー ク実 践 の あ りか たや 、 そ れ を規 定 す る制 度 的 条件 な ど を検 討す るの に 、 ま た、 ソー シ ャル ワ ー カ ーの専 門性 を考 察 して い くの に も、 貴 重 な情 報 を 提 供 して くれ る はず で あ る2)。
筆 者 は、 後 者 の 関 心 か ら、 都 下 に あ るふ た っ の 支 援 セ ンタ ー に お いて 、職 員 の援 助 実 践 の状 況 を 、 主 に ケー ス記 録 か ら得 た情 報 の分 析 と、 支 援 セ ンター職 員 や 他 機 関 ・組織 の 職 員 に た いす る ヒヤ リング とい う方 法 を用 いて 調査 し始 め
た と ころで あ る。
2)在 宅 介 護 支 援 セ ン タ ー の 機 能
支援 セ ンター の 目的 は、そ の実施 要 綱 につ ぎの よ うに記載 され て い る。 「在 宅 介 護 支 援 セ ンタ ー運 営 事 業 は、 在 宅 の要 援 護 老 人 の介 護 者 な どに対 し、在 宅 介 護 に関 す る総 合 的 な相 談 に応 じ、在 宅 の要 援 護 老 人 及 び その 介 護 者 の 介護 等 に 関 す るニ ー ズ に対応 した 各種 の保 健 、福 祉 サ ー ビスが 、総 合 的 に受 け られ るよ うに、 市 町 村 等 関係 行政 機 関、 サ ー ビス実 施 機 関 等 との連 絡 調整 等 の便 宜 を供 与 し、 も って 、地 域 の要 介護 老 人 及 び その 家 族 の 福 祉 の 向上 を 図 る こ とを 目的 とす る。」 そ して、以 下 の事 業 を地 域 に積 極 的 に 出向 き、 また は支 援 セ ンタ ーに お いて お こな う こ と と規 定 され て い る。
ア 地域 の要 介護 老 人 の実 態等 の把握 、公 的保 健 福 祉 サ ー ビス の広報 、およ び その 積極 的利 用 に っ いて の啓 発 を お こ な う
イ 在 宅 介 護 にか んす る各 種 の相 談 に た い し、電話 ・面 接 相談 等 に よ り総合 的 に応 じる
ウ 地 域 の要 援護 老 人 や そ の他家族 の公 的 保 健福 祉 サ ー ビスの利 用 申請手 続 き の便 宜 を図 る等 、公 的福 祉 サ ー ビス適 用 の 調 整 を お こな う
工 市 町村 の公 的保 健福 祉 サ ー ビス の円滑 な適用 に資す るた め、個 別 の要 援護 老 人 お よ びその 世帯 の介護 ニ ーズ等 の評価 を お こな うと と もに、処 遇 の あ
り方 につ いて の諸 資 料 を作 成 す る
オ 要援 護 老人 を抱 え る家族 等 か らの相談 や在宅 介 護相 談協 力 員 か らの 連絡 を 受 けたば あ い、訪 問 な ど によ り在 宅 介護 の 方 法等 にっ いて の指 導 、助 言 を お こな う
力 介護 機 器 の展 示 、利 用 対 象者 の身 体状 況 を 踏 ま えた介 護機 器 の紹 介 、選定 お よ び具 体 的 な使 用方 法 な らびに高齢 者 向 け住 宅へ の増 改築 にか んす る相 談 、助 言 を お こな う
キ 相 談 協 力員 に た いす る定期 的 な研修 会 、お よ び支 援 セ ンター と相 談協 力員 との情 報交 換 お よび相 談協 力員 相互 の情報 交 換 、親 睦等 を図 るため の相談 協 力 員 懇話 会 の開催 、な らび に相 談 協力 員 との 日常 的 な連絡 調 整 を お こな
う こと
ク 在 宅 介 護 支 援 セ ン ター運 営 協 議会 を定 期 的 に 開 催 す る
(平 成5年6月 社 会局 長 通知 「在 宅 老 人 福 祉 対 策 事 業 の実 施 及 び推 進 にっ いて 」別 添4老 人 デ イ サ ー ビス運 営 事 業 実施 要 綱 の2在 宅 介護 支 援 セ ン ター運 営 事 業)
これ らの 内容 か らわ か る よ うに、支 援 セ ンタ ー と して期 待 され て い る明 示 的 な社 会 的機 能 は、 ① 在 宅 介 護 にか ん す る地 域 の ニ ー ズ 発見 機 能 、 ② 公 的 サ ー ビ ス にか ん す るア クセ ス を高 め る ため の情 報 提 供機 能 、 ③ 在宅 介 護 にか ん す る総 合 的 な相 談 機 能 、 ④ 公 的 サ ー ビスへ の ア クセ ス を 高 め るため の 申請 手 続 きの便 宜 を 図 る(申 請 代 行 な どの)機 能 、 ⑤ 公 的 サ ー ビスの 適 用 を 図 る調 整 機 能 、 ⑥ 相 談 に た いす る紹 介 や指 導 ・助 言 機 能 、 ⑦ 地 域 の公 的 社 会 資 源 との連 絡 調 整 機 能 で あ る。
今 の と こ ろ、 支援 セ ンタ ーの ほ とん どは、 民 間 の 医療 、保 健 、 福 祉 サ ー ビス 提 供 組 織 に併 設 す る形 で 設 置 され て い る(特 別 養 護 老 人 ホ ーム併 設891、 老 人保 健施 設 併 設176、 病 院 併 設108、 その他64‑1993、3月 末 現 在)。 それ ぞれ の
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在 宅 介 護 支 援 セ ンタ ー・に お け る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト 案 践 と ソ ー シ ャ ル サ ポ ー ト ・ネ ッ トワ ー ク の 形 成(1)支援 セ ンタ ーは 、上 記 の よ うな社会 的機 能 を設 立 当初 か らまん べ ん な く遂 行 し て い る とい うよ りは 、 それ ぞれ の 組織 上 の特 徴 や 、支 援 セ ンタ ーが 置 か れ て い る地域 の サ ー ビス提 供 組 織 との 連 携 状 況 また 、 サ ー ビス量 そ の もの な ど に規 定 され っ っ 、 その 発展 の段 階 に お いて 、 どれ か の機 能 に よ り比 重 を か け なが ら事 業 全 体 の 目的 達 成 の ため に諸 機 能 を遂 行 して い る とい うの が実 情 で あ ろ う。
支 援 セ ンタ ー に は介護 の総 合 相 談 に応 じる職 員 を専 任 で お く、 また、 併 設 施 設 の協 力 を 得 て24時 間 の相 談 体制 を とる、 とい う こ とにな って い る。 こう した こ とか ら理解 で き るよ うに、支 援 セ ンターで は、上記 の機能 の なか で も、③ 、④ 、
⑤ 、⑥ の 遂 行が よ り期 待 され て い る とい って よ い。
これ らの機 能 は、実 際 には職 員 の具体 的 な諸 行 為 に よ って は たされて い く。 こ の 諸 行 為 は、介 護 に かん す るあ らゆ る相 談 に応 じ、 サ ー ビス や機 器 の紹 介 、 助 言 ・指導 を お こな った り、要 援護 高 齢者 と介 護者 の在宅 介 護 にか んす る介護 ニ ー ズを 多 面 的 に ア セス メ ン トし、 ケ ア プ ラ ンを 作 成 して 必要 な サ ー ビスが 利 用 で きる よ う他 の機 関 ・組織 と連 絡 しなが ら調 整 を図 って い くとい った もので あ る。
これ は、 ソ ー シ ャル ワー ク論 の ジ ェネ ラ リス ト ・ア プ ロー チで い う問題 解 決 の た め に ワー カ ーが とるべ き技 法 と、 援 助 内容(イ ンタ ーベ ン シ ョ ン)に 他 な ら な い3)。これ らの諸行 為 が ソー シャル ワ ーカ ーで は な く、保 健 婦 や 看護 婦 によ っ て お こなわ れ た と して も、 医療 や看 護 のニ ー ドに加 え て、 介 護 を 必 要 とす る人 の在宅 生 活 全 般、 また、そ の生 活 を支 え る介 護 者 、家 族 の生 活 全般 にっ いて 、多 面 的 、 総 合 的 にニ ーズ を把 握 して 多様 な援 助 行 為 を お こな って い くとい う原 則 に従 って いれ ば、それは ソー シャル ワー ク機 能 の遂 行 とい って よ い と考 え る。 だ か ら、 支 援 セ ンタ ーの職 員 の一 連 の 諸行 為 の実 態 を把 握 す る こ とは、 そ こで お
こなわ れて い る ソー シャル ワー ク実 践 の実 態 を理 解 す る こ とに な る。
だが 、 支 援 セ ンタ ーで の こ う した 機能 遂 行 にか ん して は、 ソー シ ャル ワー ク よ りもケ ース マネ ジメ ン トの用語 が用 い られ る ことの ほ うが 多 い4)。支援 セ ンター は、 ケ ー スマ ネ ジメ ン トの実 施 機 関 、 「ケ ース マ ネ ジ メ ン ト援 助 の 明確 な拠 点 」
と して設 置 され る ことにな った とい う認 識 もあ る5)。これ に従 えば 、支援 セ ンタ ー で の 職 員 の援 助 実 践 を ソー シ ャル ワ ー ク と して理 解 す るよ り も、 ケ ー スマ ネ ジ メ ン トの用 語 を 用 いて理 解 す る ほ うが 適切 か も しれ な い。 そ うす る と、 わ が 国
の大 多 数 の社 会 福 祉援 助 実 践 の現 場 で用 い られ るべ き実 践 方 法 は、 ク リニカ ル ・ ソー シ ャル ワー ク よ り もまず ジ ェネ ラ リス ト ・ソー シ ャル ワー クで あ り、 支 援 セ ンタ ー にお け る援 助 実 践 は、 わ が 国 に お け る ソー シ ャル ワー ク実 践 の有 力 な 発展 方 向で あ る と考 え る筆 者 と して は、 ソー シ ャル ワー ク とケ ー スマ ネ ジメ ン トとの 関 係 にっ いて 多少 な りと も検 討 して お か ね ば な らな い。 本 稿 で は そ う し た検 討 を まず お こな い た い。 そ の作 業 を とお して 、 支 援 セ ンタ ー にお け る職 員 の援助 実践 の 実 態 を 分 析 す る枠 組 み を作 成 して い く。
また 、 わ が 国 の ソ ー シ ャル ワー ク論 で は 、近 年 、 サ ポー トネ ッ トワー ク論 が さか ん にな りつ つ あ る。 ケ ー ス マ ネ ジメ ン トの 議 論 に お いて も、 ソー シ ャル サ ポー ト ・ネ ッ トワー クの形 成 ・強 化 が そ の 目標 で あ る とい う主 張 が な され て い る。 これ らの議 論 は、援 護 ・介 護 を要す る人 の 在 宅生 活 を成 り立 たせ るた め に、
また、 そ の人 を援 護 ・介 護 す る人 々を 支 援 して い くた め に、 人 々の ネ ッ トワ ー クの形 成 が 重 要 で あ る こ とを論 じて い る。 支 援 セ ンタ ー事 業 の 目的 は 「地 域 の 要 介 護 老 人及 び その 家 族 の福 祉 の 向上 を 図 る こ と」 で あ るか ら、支 援 セ ンタ ー に お け る実 践 内 容 を 、 この サ ポ ー トネ ッ トワー クの形 成 ・強 化 とい う視 点 か ら 分 析 す るこ と も必 要 と思 わ れ る。 そ こで 、 この サ ポ ー トネ ッ トワ ー ク論 につ い て も若 干 の検 討 をお こな い、実 態 を分 析 して い くさ いの視 点 、枠 組 み を探 って み た い。
本 稿 は、 実 態 調 査 の 分 析枠 組 み ・視 点 を導 くた め の 、上 記 の点 にか ん す る検 討 作 業 の 結 果 を報 告 す る もの で あ る。調 査 の 分析 結 果 と考 察 につ いて は 、稿 を
改 めて 報 告 す る。
2ケ..̲̲ス マ ネ ジ メ ン ト と ソ ー シ ャ ル ワ ー ク
1)「 ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト ・シ ス テ ム 」 と 「ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト 実 践(ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト ・サ ー ビ ス)」
ケ ー ス マ ネ ジメ ン トは 、「 専 門 ソ ー シ ャル ワ ー クの 一 様 式 」6)であ る と か 、「ソ ー
シ ャル ワ ー ク に お い て は 中核 と な る技 能 」7)と い う と らえ か た が 、 近 年 の ソ ー シ
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ヤル ワー ク論 の なか で は 一般 的 に な って きて い る。 しか し、 ケ ー スマ ネ ジメ ン トと い う概 念 は 、 ア メ リカ に お いて もイギ リス にお いて も、 ソー シャル ワ ー ク 理論 や ソー シャル ワー ク技 法 の発展 の なかで生 み 出 され て きた もの で はな い。 そ れ は、 障 害 者 や 要 介 護 高 齢者 の在 宅 生 活 を促 進 して い く うえ で 、 か れ らに とっ て 効 果 的 な福祉 ・保 健 サ ー ビス の統 合 的 供 給 シス テ ムの 構 築 を模 索 す る行 政 上 の試 み と して 、 ま た 、医 療 ・福 祉 サ ー ビス に か か る社 会 的 費 用 を抑 制す る こ と を 目標 と した効 率 的 なサ ー ビス供 給 シス テ ム の構 築 とい う政 策 上 の試 み の なか で、 主 と して 公 的 機 関 に お いて登 場 し、発 展 して きた。
ア メ リカ にお いて は、1960年 代 、70年 代 に公 的機 関 が そ れ ぞれ各 種 のサ ー ビ ス ・プ ログ ラ ム を発 展 させ て い った が 、 多様 な問題 や ニ ー ズ を もつ人 々は こ う したサ ー ビス ・プ ロ グラ ム を うま く利 用 す る こ とが で きず 、 適 切 なサ ー ビス を うけ る こ とが で きな い状 況 が認 識 されて きた。 こう した なか で 、71年 に、保 健 ・ 教 育 ・福 祉 省 が 、州 や地 方 自治 体 にお いて 、 連邦 政 府 の サ ー ビス ・プ ログ ラム の コーデ ィネ ー シ ョンを改 善す るため に、各 種 の ア プ ロー チ を試 す 「サ ー ビス ・ イ ンテ グ レー シ ョン」とよば れ るプ ロ ジェ ク トに補助 金 を 出す ことにな った。 そ の プ ロ ジ ェ ク トで は 、州 や地 方 自治 体 の 諸 機 関 間 の結 合 シス テ ム の検 討 が焦 点 とされ た。 そ して、 「クライエ ン ト分類 システ ム(ク ラ イエ ン ト・トラ ッキ ング ・ シス テ ム)、 情 報 と リフ ァー ラル ・シス テ ム 、複 数 機 関 に よ るプ ラニ ング とサ ー ビス供 給 合 意 シス テ ム 、 資源 目録 の コ ン ピュ ー タ入 力化 、 マ ネ ジメ ン ト再 組 織 化 プ ロ ジェ ク ト」 と い った技 法 が 開発 され た。 また 、多 くの プ ロ ジェク トで は 、
「シス テ ム ・エ ー ジ ェ ン ト」 とよ ばれ るケ ー ス マ ネ ジ ャーを 専 任 と して配 置 し、
クラ イエ ン トの た め に各 種 の 資 源 を コー デ ィネ イ トして諸 サ ー ビスの統 合 的供 給 に責 任 を もつ こ とが そ の役割 と して期 待 され た8)。
ま た、50年 代 の半 ばか らの精 神 保健 や知 的障 害 者福 祉 の分 野 にお け る脱施 設 化 運動 が 、 在宅 ケ ア のサ ー ビス ・プ ログ ラム の拡 大 が み られ るよ うに な った に もか か わ らず そ れ らが 分 断 され て い る こ とに た い して、 統 合 的 な サ ー ビス の供 給 によ るア フ タ ーケ アを 強 く求 め て きた。 これ に た い し、 国 立 精 神 保健 研 究 所 は サ ー ビス統 合 の ネ ッ トワー クづ く りを 目的 と した 「コ ミュニ テ ィ ・サ ポー ト・
システ ム(CSS)」 とよばれ るプ ロ ジ ェ ク トの実施 を各州 に提 案 し、70年 代 に19
の州 の特 定 機関 が 助 成 金 を うけて、 プ ロ ジェ ク トを 実施 した。 これ らの機 関 は 、 サ ー ビス提 供 諸 機 関 とサ ー ビス 供給 に か ん す る合 意 を形 成 して公 式 の 契約 を結
び、 ケ ー ス マ ネ ジ ャ ーを 専 任 で 配 置 して 地 域 の精 神 障 害 者 の ニ ー ズ を アセ ス メ ン トさせ、 ケ ー ス マ ネ ジ ャーが コー デ ィネ イ トと した諸 サ ー ビス を す み やか に 供 給 させ る とい う シス テ ムを採 用 した9)。
さ らに、 高 齢 者 ケ ア の 分 野 に お いて は 、 ナ ー シ ング ホー ム入 所 に と もな う公 的 医療 費 削減 の た め に、 地域 長 期 ケ アモ デ ル事 業 が 開始 さ れ た。72年 か らの ウ ェイバ ー ・プ ログ ラ ム は 、 メデ ィケ イ ドを所 管 す る保 健 ・福 祉 省 の 医療 ケア財 務 課 が 財 源 を 出 して お こな わ れ た。 これ は、 ナー シ ングホ ー ム 入 所者 にか か る 費 用 の 一定 割 合 を 越 え な い範 囲 で 、 コ ミュニ テ ィを基 盤 と した ケ アサ ー ビス を コ ーデ ィネ イ トす る権 限 を ケ ー スマ ネ ジ ャー に与 え 、 メ デ ィケ イ ドの 資格 要 件 を満 た して い る60歳 以 上 の クライ エ ン トに対 す るケ アプ ラニ ングの作 成 とそ の 実 施 を求 め る もの で あ った。 同様 の(81年 か らの)メ デ ィケ イ ド特 例 実験 プ ロ ジェ ク トにつ いて は 、効 果 研 究 もお こなわ れ た1。)。Austinに よ る と、 こう した モデ ル 事業 は ケ ー ス マ ネ ジメ ン トの サ ー ビス マ ネ ジメ ン ト ・モ デ ル と よべ る も ので 、 特定 の予 算 の 枠 内 に お いて ケ ア プ ラ ンを作 成 して い くこ と、 よ り低 い コ ス トで ク ライ エ ン トが 地 域 で暮 らせ るよ うサ ー ビス供 給 を検 討 す る こ とが そ の 目標 で あ る。 そ して 、 近 年 の医 療 分野 を 中心 と した マ ネ ジ ッ ドケ ア とい うモ デ ル は、 予算 の先 払 い方 式 に よ って、 サ ー ビス 提供 組 織 に コス トの 統制 、予 防的 サ ー ビスの促 進 、 低 コス トのサ ー ビス に よ る代替 な どを追 求 させ る こ とを 目標 と して お り、 ク ラ イエ ン トに た いす るケ アサ ー ビス の リス トが ふ え て いか な い よ うケ ース マ ネ ジ ャー に 、 ゲ ー トキ ーパ ー(門 番)的 役 割 を は たす こ とを 求 め て い る11)0
以 上 の よ うに 、 ケ ー ス マ ネ ジメ ン トは 分 断 化 され て い る公 私 の サ ー ビスを統 合す る シス テム を模 索 す る組 織 の運 営 ・管 理 方 式 と して 、 さ らに は、 全 体 と し て の 医療 費 ・福 祉 費 な ど公 的費 用 の増 加 を抑 制 す るた め の サ ー ビス供 給 シス テ ム と して、 行政 上 、 政 策 上 の要 請 か ら発 展 して き たわ けで あ る。 が 、 その シス テ ム の枠 内 にお いて 、 実 際 に ケ ア プ ラ ンを作 成 し、必 要 な サ ー ビス を コーデ ィ ネ イ トした り、 費 用 計 算 した りす る役 割 は ケ ース マ ネ ジャ ーの 仕 事 で あ る。 そ
140 在 宅 介 護 支 援 セ ンタ ー に お け る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト 実 践 と ソ ー シ ャル サ ポ ー ト ・ネ ッ トワ ー ク の 形 成(1)
の 仕 事 内 容 に つ い て は 、 た ん に ケ ー ス マ ネ ジ メ ン トと い う よ り、 ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト ・サ ー ビス あ る い は ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト実 践 と い う用 語 で と ら え た ほ う が わ か りや す い 。
0℃onnorは 、81年 に 開 か れ た社 会 福 祉 全 国 会 議 で の最 終 レポ ー トで も、 ケ ー ス マ ネ ジ メ ン トが 「サ ー ビス 供 給 の 運 営 ・管 理 上 の 活 動 な の か 、 ケ ー ス マ ネ ジ ャ ー と ク ラ イ エ ン トと の 相 互 作 用 な の か 」 決 定 さ れ ず 、 ケ ー ス マ ネ ジ メ ン トの 本 質 は不 明 確 な ま ま で あ っ た と い い、前 者(サ ー ビス 供 給 の 運 営 ・管理)を 「ケ ー ス マ ネ ジメ ン ト ・シス テ ム 」、 後 者(ケ ー ス マ ネ ジ ャ ー と ク ラ イ エ ン トとの 相 互 作 用)を 「ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト実 践 」 と し、 用 語 を わ け て 使 う こ とを 提 案 して
い る12)。
た だ し、0℃onnorは 「ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト ・シ ス テ ム 」 の 構 成 要 素 と して 、 ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト実 践 が お こな わ れ る組 織 内 の ス タ ッ フ の 地 位 、機 能 、役 割 、 焦 点 と タ ー ゲ ッ ト、 技 法 に っ い て 論 じて お り、 組 織 と組 織 外 の 多 様 な サ ー ビス 提 供 機 関 ・組 織 と の 関 係 と い う、 そ の 対 象 とす る地 域 に お け る全 体 と して の サ ー ビス 供 給 シス テ ム の あ りよ う に つ い て は 述 べ て い な い。Austinに よ る と、 ア メ リカ で は ケ ー ス マ ネ ジ メ ン トが ひ と っ の サ ー ビス 提 供 組 織 内 の サ ー ビ ス コ ー デ ィネ ー シ ョ ン ・メ カ ニ ズ ム と して 理 解 さ れ る こ と もあ る と い う こ とだ13)。だ か ら、
0℃onnorの よ うな 「ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト ・シス テ ム 」 の 理 解 が あ って も不 思 議 で は な い。 だ が 、 ケ ー ス マ ネ ジ メ ン トの 用 語 が 出 現 して き た そ の 背 景 は 、 そ も そ も多 様 な サ ー ビス 提 供 機 関 ・組 織 が 分 断 化 さ れ て い る状 態 の 中 で 、 い か に諸 サ ー ビ ス を 統 合 して い くか そ の 方 法 を 探 る と い う こ とで あ った の だ か ら、 「ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト ・シス テ ム 」 の 用 語 は 、 ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト実 践 組 織 と他 の 多 様 な サ ー ビス提 供 機 関 ・組 織 との 有 機 的 な 関 連 性 に つ い て 用 い るの が よ りよ い
と思 わ れ る 。
っ ま り、 地 域 全 体 の 諸 機 関 ・組 織 の サ ー ビ ス 統 合 と か サ ー ビ ス コ ー デ ィ ネ ー シ ョ ンを め ざ した サ ー ビス 管 理 ・運 営 シ ス テ ム と い う意 味 で の 、 あ る い は ま た 、 公 的 サ ー ビス の 費 用 抑 制 を め ざ した サ ー ビス 供 給 ・調 整 シ ス テ ム と い う意 味 で
の 「ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト ・シス テ ム 」 の も と で 、 ケ ー ス マ ネ ジ ャ ーが ア セ ス メ
ン ト、 ケ ア プ ラ ニ ン グ 、 イ ン タ ー ベ ン シ ョ ン(サ ー ビス の 媒 介 、 コ ー デ ィ ネ シ
ヨ ン、購 入 な どを含 む多 様 な援助 内 容)、 モ ニ タ リング、再 ア セ ス メ ン ト、終 結 とい った基 本 的 課 題 を 遂 行 して い くのが 「ケ ー ス マ ネ ジメ ン ト実 践(ケ ー ス マ ネ ジメ ン ト ・サ ー ビス)」 で あ る と と らえ る のが よ い と考 え る。
Austinに よ る と、ア メ リカで は今 日、 ケ ー ス マ ネ ジメ ン トは た いへ ん ポ ピュ ラ ー な もの にな って お り、 公的 機 関 にお け る経 済 給 付 、 メデ ィケ イ ド、 児 童福 祉 、 高 齢 者 福 祉 、 障害 者 福 祉、 精 神 保 健 、 青 少 年 福 祉 な どに お いて 実 施 され て い る他 、料 金 制 に も とつ く組 織 や プ ライ ベ ッ ト・プ ラ クテ ィ ス(私 的 実 践)に お いて も実 施 され て い る14)。この よ うにケ ー ス マネ ジメ ン トが 広範 に受 け入 れ ら れ る よ うに な った の は 、 ケ ー ス マ ネ ジメ ン トが サ ー ビス提供 組 織 間 の構 造 的 関 連 性 とそ の財 源 パ タ ンを基 本 的 に変 え る こ と な く、 供 給 シス テム を統 合 で き る 機 能 とみ な され たか らで あ る15)。Kaneに よ れ ば、今 日で は多 くの組 織 が ケ ー ス マネ ジメ ン トを お こな いたが って いて 、行 政 機 関 が 窓 ロを一 本化 した 「ケ ー ス マネ ジメ ン ト ・シス テ ム 」 を創 る こ とに抵 抗 を して い た りす る。 だ が 、 サ ー ビ ス提 供 組 織 が そ れ ぞ れか って に ケ ー スマ ネ ジ メ ン トを お こな うこ とで 、分 断化 され た サ ー ビス の統 合 と い う当 初 の ケー ス マ ネ ジメ ン トにた いす る期 待 とは反 対 に、サ ー ビス提 供 の 分 断化 が 進 む とい う皮 肉 な結 果 もお こ りかね な い。 また、
サ ー ビス提 供 組 織 が ケ ース マ ネ ジメ ン トをお こな う こ とで 、 ケ ー ス マ ネ ジ ャー が所 属 す る組織 の サ ー ビス を必 要 とす る人 た ち だ け を対 象 とす るよ うに な って ゆ く恐 れ が あ る16)。
実 際 、 ア メ リカ にお いて は 、 ケ ー ス マ ネ ジメ ン トの基 本 的 課 題 にか んす る合 意 は あ る ものの 、 か な り多 様 な 「ケ ー ス マ ネ ジメ ン ト ・シス テ ム」 が 存 在 して い る。Austinは そ の 多様 性 を整 理 す る ため に、 「サ ー ビス指 向 の ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト」 と 「システ ム指 向 の ケー スマ ネ ジメ ン ト」 とい う用 語 を用 いて い る。多 様 性 の ひ とつ の 極 に 「サ ー ビス 指 向 の ケ ー ス マ ネ ジメ ン ト」 が あ り、 も う一 方 の極 に 「システ ム指 向 の ケ ー ス マネ ジメ ン ト」 が あ る。実 際 の ケ ース マ ネ ジメ ン トは この連 続 上 に位 置 す るが 、 どの位 置 に くるか は、 サ ー ビス と シス テ ムの それ ぞ れ の特 徴 の混 合 に よ って 決 ま る。 「サ ー ビス指 向 の ケ ー ス マ ネ ジメ ン ト」
プ ログ ラム は、 クライ エ ン トの ニ ーズ に焦点 を あて 、伝 統 的 な ア ドボ カ シー(代 弁)の 技 法 と活 動 を 強調 し、 ケ ー ス マネ ジ ャー は主 に仲 介 者 、 ケ ア プ ラ ンのデ
142 在 宅 介 護 支 援 セ ン タ ー に お け る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト 実 践 と ソ ー シ ャル サ ポ ー ト ・ネ ッ トワ ー クの 形 成(1)
ザ イ ン、 実 行 、 交 渉 役 と して 機 能 す る。 他 方 、 「シ ス テ ム 指 向 の ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト」 プ ロ グ ラ ム で は 、 ケ ー ス マ ネ ジ ャ ー が サ ー ビス を 購 入 した りそ れ を 終 了 した りす る 権 限 を も ち 、 ア ドボ カ シ ー や サ ー ビス の コ ー デ ィ ネ イ トもお こ な う が ゲ ー トキ ー パ ー 的 課 題 に よ り責 任 を もっ 。80年 代 の 保 健 、 福 祉 領 域 の 著 しい 財 政 削 減 策 の も と、 こ の シス テ ム 指 向 の 強 い サ ー ビス マ ネ ジ メ ン ト ・モ デ ル や マ ネ ジ ッ ドケ ア ・モ デ ル の ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト ・プ ロ グ ラ ム が 医 療 や 高 齢 者 の 長 期 ケ ア 関 連 の 分 野 で 目立 って きて い る17}。
Austinの い う 「サ ー ビス 指 向 の ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト」 と 「シス テ ム指 向 の ケ ー一 ス マ ネ ジ メ ン ト」 と い う用 語 、Kaneの 表 現 で は 「ク ラ イ エ ン トの ア ドボ カ シ ー を 強 調 す る ア プ ロ ー チ 」 と 「資 源 配 分 を 強 調 す る ア プ ロ ー チ 」18》 は 、 ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト ・プ ロ グ ラ ム を 分 類 す る も の で あ っ て 、 必 ず し も先 に述 べ た 「ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト実 践 」 と 「ケ ー ス マ ネ ジメ ン ト ・シ ス テ ム 」 と い う ケ ー ス マ ネ ジ メ ン トを 理 解 す る さ い の ふ た つ の 次 元 に つ いて 述 べ た もの で は な い。 た だ し、「シ ス テ ム 指 向 の ケ ー ス マ ネ ジメ ン ト」 プ ロ グ ラ ム は 、 ケ ー ス マ ネ ジ ャ ー が サ ー ビ ス 供 給 に か ん す る権 限 を もち 、 サ ー ビス 提 供 組 織 の 裁 量 を 減 じ る こ と に よ っ て サ ー ビス提 供 組 織 間 の 相 互 依 存 関 係 を強 くす る と い う影 響 を あ た え る こ とが オ ー ソ ラ イ ズ さ れ て い る。 だ か ら、 こ の シス テ ム レベ ル の 要 因 に よ っ て ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト実 践 レベ ル の 内 容 が よ り強 く規 定 さ れ る と考 え られ る。
Austinに よ る と 、 公 的 な ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト ・プ ロ グ ラ ム に お い て は 、 シ ス テ ム 指 向 の 強 い ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト ・プ ロ グ ラ ム に な る傾 向 が 強 い。 そ の た め 、 そ の プ ロ グ ラ ム に お け る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト実 践 は 、 直 接 的 な サ ー ビス 提 供 以 上 に 財 政 上 の 責 任 と ク ラ イ エ ン トの 環 境 に た い す る 介 入 を 強 調 し、 ゲ ー トキ ー パ ー 的 役 割 を 求 め るか ら、 カ ウ ンセ リ ン グ な ど の 専 門 性 指 向 の 強 い ソ ー シ ャル
ワ ー カ ー に と って 魅 力 的 な 仕 事 とな って い な い19)。
Nettingも ま た 、 そ の 点 を 指 摘 して い る 。 「シ ス テ ム 指 向 の 強 い ケ ー ス マ ネ
ジ メ ン ト」 で あ る 「マ ネ ッ ジ ドケ ア ・モ デ ル は 、 資 源 の 効 果 的 利 用 の た め に サ ー
ビス を モ ニ タ ー す る ゲ ー トキ ー ピ ング 機 能 を 伴 う、 医 療 モ デ ル に も とつ くプ ラ
イ マ リー ケ ア を 目 的 と した ケ ー ス マ ネ ジメ ン トモ デ ル の 典 型 例 で あ る」。 そ こで
は 「ケ ー ス マ ネ ジ ャ ー は 問 題 解 決 者 、 代 弁 者 、 仲 介 者 、 プ ラ ンナ ー 、 コ ミュ ニ
テ ィ ・オ ー ガ ナ イ ザ ー 、 多 くの 機 関 ・組 織 の 橋 渡 し役 、 サ ー ビス ・モ ニ タ ー 、記 録 管 理 者 、 評 価 者 、 コ ンサ ル タ ン ト、 コ ラ ボ レイ タ ー 、 カ ウ ンセ ラ ー 、 サ ー ビ
ス 供 給 係 り と い っ た 多 くの 役 割 の い くつ か を 組 み 合 わ せ て 遂 行 す る。 ク ラ イ エ ン トの 代 弁 機 能 とゲ ー トキ ー ピ ン グ機 能 と の バ ラ ンス を と る こ と は 、 ケ ー ス マ ネ ジ ャ ー の も っ と もむ ず か し い課 題 で あ る」x。)。
た だ 、 ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト実 践 を 実 際 に お こ な って い る組 織 の ケ ー ス マ ネ ジ ャー や ス ー パ ー バ イ ザ ー に た い して お こ な っ たSeecombeら の オ レ ゴ ン州 で の 調 査 に よ る と 、 ケ ー ス マ ネ ジ ャ ー た ち は 平 均 的 に い う と 、 と くに 介 護 費 用 の 抑 制 と か 低 コ ス ト化 を 考 慮 して ケ ア プ ラ ンを た て て い る わ け で は な か っ た 。 や は り まず は 高 齢 者 の 介 護 ニ ー ズ の て い ど 、 そ して 二 番 目 に 高 齢 者 と介 護 者 の 長 期 的 な 福 祉 の て い ど、つ ぎ に 介 護 が ふ た り以 上 の 人 で お こ な わ れ て い るか ど うか 、介 護 者 の 介 護 動 機 は な に か 、 と い っ た 点 を 順 次 考 慮 に 入 れ て 、 つ ま り ク ラ イ エ ン
トや 家 族 の 代 弁 役 割 を よ り重 視 して 、ケ ア プ ラ ンを 作 って い る と回 答 して い る2')。
も っ と も調 査 者 た ち は 、 費 用 抑 制 や 低 コ ス ト化 は 自明 の こ と と して ケ ー ス マ ネ ジ ャー た ち が と く に取 りあ げ な か っ た の で は な い か と解 釈 して い る。 い ず れ に して も、 ケ ー ス マ ネ ー ジ ャー が ふ た つ の 機 能 を 実 際 に 遂 行 して い く とな る と、そ れ は 「そ の 仕 事 に ス トレス と不 確 か さ を 与 え る と と も に 、 倫 理 的 ジ レ ンマ を も た らす 可 能 性 が 高 い 」zz)と想 像 す る こ と は で き る 。
この ワ ー カ ー の 仕 事 内 容 、 つ ま りケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト実 践 上 の 諸 役 割 に つ い て 、Austinは 、社 会 福 祉 の学 部 教 育 で 教 え られ て い る ソ ー シ ャル ワ ー クの ジ ェネ ラ リス ト・ア プ ロ ー チ の それ とほ とん ど0致 して い る と い う23)。Rubinも ま た 、ケ ー ス マ ネ ジ メ ン トの 用 語 は 最 近 発 展 して き た け れ ど も、 そ の 実 践 の 構 成 要 素 は 職 業 リハ ビ リテ ー シ ョ ンや 保 健 婦 活 動 、 ソ ー シ ャ ル ワ ー ク な ど の 知 識 に お い て 知 られ て き た もの で 、 別 に 新 し い考 え 方 で は な い 、 ソ ー シ ャル ワ ー ク の 知 識 で い え ば 、 ミナ ハ ン ら の 統 合 理 論 を 発 展 さ せ て い っ た ジ ェ ネ ラ リス ト ・ソ ー シ ャ ル ワ ー ク の 考 え 方 とパ ラ レル で あ る と い って い る24)。さ らに 、O℃onnorは 上 級 ジ ェ ネ ラ リス ト実 践 の 方 法 と して と らえ て い る25)。
た だ し、 ジ ェ ネ ラ リス ト ・ア プ ロ ー チ に お け る ワ ー カ ー の 役 割 ・技 法 に は 、 コ
ス ト計 算 や 予 算 コ ン トロー ル の 権 限 の 行 使 と い った もの は 含 ま れ て は い な い 。 だ
144 在 宅 介 護 支 援 セ ンタ ー に お け る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト 実 践 と ソ ー シ ャル サ ポ ー ト ・ネ ッ トワ ー ク の 形 成(1)
か ら、 正 確 に い え ば 、 ジ ェ ネ ラ リス ト ・ア プ ロ ー チ の 役 割 ・技 法 と一 致 す る の は サ ー ビス 指 向 の 強 い ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト ・プ ロ グ ラ ム の ほ う と い うべ き だ ろ う。 ソ ー シ ャル ワ ー クの ジ ェ ネ ラ リス ト ・ア プ ロ ー チ よ り も ク リニ カ ル ・ソ ー シ ャル ワ ー ク へ の 関 心 が 、 教 育 す る側 に も受 け る側 に も相 当 根 強 くあ る ア メ リ カ の ソ ー シ ャル ワ ー ク界 に お い てzs)、ど の よ うに ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト実 践 の 教 育 を 浸 透 さ せ て い くか 、Austinは い くつ か の 提 案 を お こ な っ て い る。 ま た 、 ケ ー ス マ ネ ジ メ ン トは ソ ー シ ャ ル サ ー ビス の 費 用 削 減 と い う事 態 に よ って 発 展 して き た 面 が あ り、 これ に よ って サ ー ビス 供 給 に お け る構 造 的 問 題 が 実 質 的 に改 善 さ れ る こ と は な い こ と を 忘 れ ず 、 ケ ー ス マ ネ ジ メ ン トに 過 大 な 期 待 を か け る べ き で は な い と い う こ と も指 摘 して い る27)。
こ の 点 に っ い て は 十 分 承 知 した うえ で な お 、 ク ラ イ エ ン トの ニ ー ズ に 焦 点 を あ て た 諸 サ ー ビス の 媒 介 ・調 整 を 重 視 す る実 践 方 法 と して の ケ ー ス マ ネ ジ メ ン
トを 検 討 す る こ と の 意 義 は 大 き い と考 え る。 わ が 国 に お い て も、 増 加 して き た サ ー ビス と サ ー ビ ス 提 供 組 織 の 分 断 化 状 況 、 ま た 、 ク ラ イ エ ン トの ニ ー ズ よ り もサ ー ビス の 受 給 資 格 に焦 点 を あ て た サ ー ビス 供 給 決 定 過 程 が 存 在 して い るの で あ る か ら。
サ ー ビス 指 向 の 強 い ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト ・プ ロ グ ラ ム に お け る ケ ー ス マ ネ ジ
ャ ー の 諸 役 割 の 遂 行 過 程 、 つ ま りケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト実 践 の プ ロ セ ス と、 そ こ
で 遂 行 さ れ る べ き基 本 的 課 題 の 用 い られ る べ き技 法 の か な りの 部 分 は 、 ソ ー シ
ャル ワ ー ク の ジ ェネ ラ リス ト ・ア プ ロ ー チ の そ れ と ほ ぼ 同 じで あ る。 だ か ら、 そ
の 意 味 で は 、 ケ ー ス マ ネ ジメ ン ト実 践 の 技 法 は ソ ー シ ャ ル ワ ー ク の 中 核 的 技 法
の ひ と っ と い っ て も よ い 。 ア メ リカ の ソ ー シ ャル ワ ー ク雑 誌 を 散 見 す る と、 十
代 の 未 婚 の 母 親 に た い す る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン トとか 、 ア ル コ ー ル 依 存 症 者 に た
いす る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト、 精 神 障 害 者 に た いす る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト ・サ ー
ビ ス と い っ た タ イ トル が 目 に 入 る28)。こ れ ら の ク ラ イ エ ン ト ・カ テ ゴ リ ー は 、 ど
ち らか と い え ば 、 従 来 、 治 療 的 な ク リニ カ ル ・ソ ー シ ャ ル ワ ー クが 対 応 して い
た もの で あ る。 こ れ らの ク ラ イ エ ン トに た い す る 多 様 な サ ー ビス の 発 展 と、 ク
ラ イ エ ン トの 精 神 面 だ け で は な く社 会 環 境 の 要 因 に 働 きか け る こ とを 重 視 す る
統 合 理 論(そ の 発 展 と して の ジ ェ ネ ラ リス ト ・ア ブmチ)の 発 展 とが 、 ク ラ
イ エ ン トの物 理 的 、精 神 的 な生 活 の安 定 、生 活 の質 の 向上 の た め に、諸 サ ー ビ ス を コー デ ィネ イ トす る方法 と して の ケ ー ス マ ネ ジメ ン トに 関心 を 向 け させ る こ とにな った の だ と思 わ れ る。 これ らの論 文 で は 、 と くに ケ ー ス マ ネ ジメ ン ト の 用語 を用 い な いで も、 ジ ェネ ラ リス ト ・ソー シ ャル ワ ー クの用 語 で 説 明 可 能
と判 断 で きるの だが 、 ひ と りの ケ ー ス マ ネ ジ ャー、 も しくはキ ー ワ ー カ ーが ク ライエ ン トの ニ ーズ を アセ ス メ ン トし、ま た、それ を代弁 して諸 サ ー ビス の コー デ ィネ イ トを お こな って い く点 を よ り強 調 す るため に、 ケ ー スマ ネ ジメ ン トの 用語 を用 いて い る よ うにみ え る。
1節 で 、支 援 セ ンター にお いて 社会 的 に期 待 され て い る職 員 の援助 実 践 は、 ジ ェネ ラ リス ト ・ソー シ ャル ワー クで あ る と指 摘 した。 本 稿 で は 「ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト実 践 」、 と くに サ ー ビス指 向が 相 対 的 に強 い ケ ース マ ネ ジメ ン ト・プ ロ グ ラ ムの実 践 は、 ジェネ ラ リス ト ・ソー シ ャル ワー ク実 践 の 内容 と ほぼ 同 じで あ る こ とが 確 認 で きた。 た だ し、 ジ ェネ ラ リス ト・ソー シ ャル ワー ク論 は、 そ れ が お こなわ れ る場 や 実 践 す るワ ー カ ー の雇 用 組 織 、 あ る い は それ 以 外 の外 部 組 織 の諸 要 因 が 、 そ の実 践 内容 を いか に規 定 して い るか と い う点 に か んす る関 心 が 薄 い。 それ に た い して 、 ケ ー スマ ネ ジメ ン トは、 その 実 践 が シス テ ム(組 織 の制度 的諸 要 因 お よ び組 織 外 の サ ー ビス提 供 機 関 ・組 織 との機 能 的 関連)に よ って枠 づ け られ て い る と い う観 点 を明 確 に も って い る。 そ こで、 本 稿 で は、 支 援 セ ンター に お け る ソー シ ャル ワー ク実 践 を ケ ー ス マ ネ ジメ ン ト実 践 と して理 解 し、 その実 践 内容 が シス テ ム に よ って どの よ うに規 定 さ れ て い るの か を あ き
らか にす る枠 組 を検 討 す る。
2)ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト実 践 を 規 定 す る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト
・ シ ス テ ム
で は 、 ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト実 践 を 規 定 す る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト ・シス テ ム の 諸 要 因 と は ど の よ う な も の か 。 今 度 は イ ギ リス に お け る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト研 究 か ら、 そ れ を 拾 って み た い。 が 、 そ の 前 に イ ギ リス に お け る ケ ー ス マ ネ ジ メ
ン トと ソ ー シ ャ ル ワ ー ク の 関 係 に つ い て も若 干 み て お こ う。
146
在 宅 介 護 支 援 セ ン タ ー に お け る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト 実 践 と ソ ー シ ャル サ ポ ー ト ・ネ ッ トワ ー クの 形 成(1)ケ ン ト州 で お こな わ れ た公的 機 関 に お け る コ ミュニ テ ィ ・ケ ア方式 のケ ー ス マネ ジメ ン トに参 加 し、 その 評価 研 究 を お こな ったChallisら に よ ると、 この評 価 の対 象 は、 大 き く分 け て 「社 会 的 ケ ア の効 率 性 にか んす る もの 」 と 「ソー シ ャル ワー ク実 践 の変革 と改善 」のふ たっ で あ った。前 者 は、 「費 用効 果 にか んす る問 題 」 で あ って 、 この方式 が 通 常 の範 囲 の サ ー ビス利 用 と比 較 して どの よ う な効 果 が あ るか 、 ケ ア の費用 は ど うか 、 この方 式 の供 給 が も っと も適 切 な資 源 の利 用 とな るの は どの よ うな高 齢者 か と い った こ とを あ き らか にす る こと、 後 者 は 「社 会 的 ケ ア過 程 にか んす る問 題 」 で あ づて 、資 源 の管 理 と柔軟 な運用 の 機 会 が 与 え られ た と き、 実践 者 の チ ー ム は どの よ うに対 応 したか 、 どのよ うな ケ ア戦 略 が 多 様 な環 境 の 高齢 者 に も っ と も適 当 で あ ったか と い った こ とを あ き らか にす る ことで あ った29)。
っ ま り、 費用 効 果 をあ げ るた め の 資 源 の管 理 と柔 軟 な運用 の機 会 の設定 とい うケ ース マ ネ ジメ ン ト ・システ ムを 設 定 し、 そ の もとで ソー シ ャル ワーカ ーが よ り適 切 な ケ ア プ ラ ンを作 成 し実 行 す る こ とで 、 費 用 効 果 を高 め る こと。 そ し て 、児 童 や 家族 問題 にた いす る ソー シ ャル ワ ー クよ り も専 門 性 や地 位 が低 い と み な され て専 門 資格 を もった ソー シ ャル ワ ー カ ーが や りたが らな い、主 にケ ア サ ー ビスを コー デ ィネ イ トして い く高 齢 者 分 野 の ソー シ ャル ワー ク実践 を変 革 、 改善 す る こ と。 これ らが コ ミュニ テ ィ ・ケ ア 方式 の ケ ー スマ ネ ジメ ン トの 目的 で あ った。 こ こで もケー スマネ ジメ ン ト実践 は ジェネラ リス トの ソー シャル ワー クと して と らえ られ て い る。Challisら は 、「効 果 的 なケ ー スマ ネ ジメ ン ト、ア セ ス メ ン ト、 ケ ア計 画 、 モ ニ タ リングお よ び家 族 援 助 の業 務 は 、原 理 的 には ソー
シャル ワー ク実 践 の 本来 的 な一部 とみ る こ とが で きる」3。)ともい って い る。
88年 にDHSSの 補 助金 を うけて お こな われ たケ ースマ ネ ジメ ン トの28の デモ ンス トレ0シ ョ ン ・プ ロ ジェ ク トを組 織 要 因 の観 点 か ら考 察 したCambridgeは 、 ケ ー ス マ ネ ジメ ン トに は多 様 な モデ ルが あ る けれ ど も、要 す るに、 ケ ー スマ ネ ジメ ン トとは、 費 用 効 果 を高 め る こ と と、 これ まで の ソー シ ャル ワー クの 改善 を図 る ことを 含 ん だ つ ぎの よ うな国 の コ ミュニ テ ィ ・ケ ア政 策 の 目標 を達 成 す るた めの方 法 だ と して い る。aソ ー シ ャル ケ ア の混 合経 済 化(非 営利 、営 利 の ケ ア ・サ ー ビス選 択 の 道 を作 り、 全面 的 な公 的 ケ アサ ー ビス供 給 か らの転換 を図
る)、b消 費 者 主 義 と選 択 の促 進(予 算 を個 人 に割 り当 て る とい うメ カニ ズ ム の もとで 、IPP[個 別 プ ログ ラム ・プ ラ ンづ く り」 に利 用 者参 加 を進 め る。専 門 家 に よ る代弁 、市 民 に よ る代弁 を伴 い なが ら、 クラ イエ ン ト中 心 の ワー クを お こ な う)、c費 用 効 果(予 算 配 分 の権 限 を マ ネ ジ ャー に委 譲 す る こ とに よ って、 マ ネ ジ ャー の責 任 性 と創 造 性 を高 め 、柔 軟 で効 率 的 なサ ー ビス供 給 を 図 る)、d公 正 性(ア セ ス メ ン トやIPPを とお して の サ ー ビス の コ ーデ ィネ イ トに よ って よ
り公 正 なサ ー ビス の分 配 を お こな う)、eマ ク ロ組 織分 断化 の克 服(多 職 種 、多 機 関 の 代 表 の チ ー ム に よ るアセ ス メ ン トや 協 議 を経 た サ ー ビスの コ ー デ ィネイ
トを とお して、 専 門 職 間 や組 織 間 の橋 渡 しを お こな う)31)
で は 、 こ う した 目的 を もつ ケ ース マ ネ ジメ ン トの シス テ ム は どの よ うに な っ て い た のか 。 ケ ン トで の コ ミュニ テ ィ ・ケ ア方 式 で は、従 来 の高 齢 者 を対 象 と した ソー シ ャル ワ ー クを実 践 して い る組 織 体 制 の 問題 点 を改 善 す るた め に、 っ ぎの よ うな改革 を お こな った。
① キ ー ワー カ ー の 配 置(ケ ー ス をめ ぐるネ ッ トワー ク全 体 にわ た る調 整 者 と して働 くこ とを期 待 され 、継 続 的 なケ ース 責任 を担 う)、 ② 担 当 ケ ー ス量 の限定 (通 常 よ り も少 な く25か ら30ケ ース の範 囲 と し被 虐待 児 童 を対 象 とす るス タ ッフ と同 じて い どにす る)、 ③ 予算 執行 権 限 の 委譲(こ の権 限委 譲 によ り、 ワー カ ー の ア セ ス メ ン ト内容 の 向上 の意 欲 や 、他 関 連 機 関 との協 力 ・折 衝 能 力 を高 め る と と もに、地域 資 源 の 開発 ・有 効 活用 を促 進 す る)、 ④ 高 度 の訓 練 と経 験 を もつ ス タ ッフの確 保 、 ⑤ 他 の サ ー ビス提 供 機 関 と同 じサ ー ビス対 象地 域 の設定(こ れ に よ り、相 互 尊 重 と相互 認識 に根 ざ した よ い協 力 関係 を育 て る)、 ⑥体 系 的記 録 シス テ ム の開 発 、 ⑦ ワー カ ー間 の ピア レ ビュー 方 式 の 採用(個 別 ワ ーカ ー の 実践 を 同僚 に よ って 相 互 検 討 しケ ア の質 を高 め る と と もに、社 会 的 公 平性 を確 保す る)鋤
ま た、Cambridgeの 論 文 か ら、 ケ ース マ ネ ジ メ ン ト実践 に直 接 影 響 を与 え る と 考 え られ る組 織運 営 上 の要 因 を拾 いだ してみ る と、つ ぎの よ うな もの にな る。 そ れ に は 、 ケ ース マ ネ ジメ ン ト実 施 機 関 内 の制 度 的要 因 だ け で な く、外 部 の諸 組 織 との 関連 要 因 も含 まれ て い る。
① 組 織 の 特性(ケ ース マ ネ ジメ ン トが どの よ うな サ ー ビス提 供 に か か わ って
148 在 宅 介 護 支 援 セ ン タ ー に お け る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト 実 践 と ソ ー シ ャル サ ポ ー ト ・ネ ッ トワ ー ク の 形 成(1)
い る組 織 に お いて お こな われ るか 、 保 健 ・医 療 領 域 の 組織 な のか 福 祉 領 域 の組 織 な のか 、 それ と も両方 の組 織 が 合 同 で お こな うのか)、 ② 多職 種 に よ るチ ー ム 実 践 か ど うか(ケ ー ス マ ネ ジメ ン ト実 践 が特 定 の職 種 の ワー カ ー 、 あ る いは そ の チ ー ム によ って お こな わ れ るのか 、 多 職 種 の実 践 家 たち に よ るチ ー ム に よ っ て お こなわ れ るのか 、 そ の 多職 種 は それ ぞ れ の所 属 組 織 ・部 署 に籍 を お いた ま ま、 ア セス メ ン トや ケ ア計 画 、 サ ー ビス調 整 に か ん して チ ー ム対 応 を して い る のか 、ケ ー スマ ネ ジメ ン ト実 施 組織 に多 職 種 が統 合 されて い るの か)、 ③ 予算 執 行 権 限 の委譲 の有 無 、 て い ど(こ の ば あ い、 コス ト ・イ ンフ ォー メ シ ョン とコ
ス ト・モニ タ リングが必 要)、 ④ 情 報 の共 有 システ ムの有無 、 ⑤ リフ ァー ラ ルの システ ム(ア ウ トリーチ ・チー ム に よ るケ ー ス発見 や関 連機 関 で つ くる リフ ァー ラル委 員 会 の設 置 、 リフ ァー ラル ・プ ロセ ス を 促 進 す る責任 を もつ リー ダ ー役 割 の設 定 な ど)、 ⑥他 のサ ー ビス提 供 組織 との 関係(と くに予算 執 行 権 限 が委譲 され な いで 他 組 織 の サ ー ビス を 媒 介 した り、 組 織 間 の調 整 ・協 働 を もた らす に は 、 そ れ らの組 織 間 レベ ルや 、 ス タ ッフ間 レベ ルで の 力関 係 や 信 頼 関 係 が 重要 にな って くる)、 ⑦ ケ ー ス マ ネ ジ ャー とキ ー ワーカ ー の分離(ク ラ イエ ン トと相 互 作 用 し直接 ケ ア ・サ ボ0ト の 責 任 を もっ こ とは キ ー ワー カ ーが お こな い、 マ ネ ジャー は効 果 的 、 効 率 的 なサ ー ビス決 定 の 責 任 と公平 性 の 管 理 な どを お こな う)⑧ ワー カ ーが担 当す る ケ ー ス量 、 ⑨IPPな どの シス テ マ テ ックな記 録 方 法 や レ ビュー ・シス テ ムの 有 無 、 ⑩IPPへ の 利 用 者 、 親族 の参 加 体 制 の あ りか た (マ ネ ジ ャー と クライ エ ン トとのパ ワ ー ・イ ンバ ラ ンス を是正 す るため)33)
3支 援 セ ン タ ー に お け る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト実 践 調 査 研 究 の 枠 組 み
1)ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト実 践 を 規 定 す る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト ・ シ ス テ ム の 諸 要 因
支 援 セ ンターで の ケ ー スマ ネ ジメ ン ト実 践 の実態 を調査 す るに あ た って、2節 で 考 察 したケ ー スマ ネ ジメ ン トを 実施 して い る組織 内外 の諸要 因 を参 考 に して 、
わ が 国 の支援 セ ンター で の ケ ー スマ ネ ジメ ン ト実 践 を規 定 す ると考 え られ る諸 要 因 を 組 織外 要 因(支 援 セ ンタ ー とそれ 以 外 の機 関 ・組 織 との関 係 にか ん す る 要 因)と 、組 織 内要 因(支 援 セ ンタ ー組 織 内 の要 因)に わ けて整 理 して み る(先 述 した よ うに支 援 セ ンタ ー は数 の うえか らは、 公 立 の もの はわ ず か で あ って 民 間組 織 に委 託 され る もの が 圧 倒 的 に多 いの で 、 民 間 組 織 を念 頭 に置 い て記 す)。
な お 、 これ らの要 因 の うち、 ケ ー スマ ネ ジ ャー の権 限 の問 題 は重 要 な要 因 の ひ とっ で あ るの で、 これ につ いて 先 に触 れ て お きた い。 社 会 的 ケ ア に か か る費 用 を抑 制 し、 そ の費 用 効 果 を高 め る こ とを 重 視 す るケ ース マ ネ ジメ ン ト ・プ ロ
グラ ム(「 シス テ ム指 向 の ケ ース マ ネ ジメ ン ト」)に お いて は、 ケ ー ス マ ネ ジメ ン ト ・システ ム の要 因 と して 、 ケ ー スマ ネ ジ ャ ー にた いす る予 算 執 行 の権 限 の 委 譲 は も っ と も重 要 な要 因 と考 え られ て い る。 だ が 、 必 ず し もそれ を 強 調 しな いケ ース マ ネ ジメ ン ト・プ ログ ラ ム(「 サ ー ビス指 向 のケ ースマ ネ ジメ ン ト」)で も、 ケ ー スマ ネ ジャ ー に一 定 の権 限 は必 要 で あ る。 と い うの も、 それ が な けれ ば、 ケ ー スマ ネ ジャー が 他機 関 の サ ー ビス や そ の他 の 資源 を コー デ ィネ イ トし て ケ ア プ ラ ンを作 成 し実 施 して い く責任 性 が 制 度 的 に保 障 され な い。 それ が な けれ ば 、 ケ ース マ ネ ジ ャーが クライ エ ン トの た め に適 切 な サ ー ビスを 手 に入 れ るため に、 他機 関 ・組織 の サ ー ビス 担 当者 を 「説 得 す る、交 渉 す る、 善 意 に頼 る」しか な く34)、ケー スマ ネ ジ ャーの クライエ ン トに た いす る責 任性 はマネ ジ ャ0 の個 人 的特 性 、 あ る い は マ ネ ジ ャー と他 機 関 ・組 織 の ス タ ッフ との イ ンフ ォー マ ル な関 係 によ る とい う恣 意 的 な もの に な って しま う。Nettingは 、 ケ ース マ ネ ジャー の サ ー ビス提 供 組 織 へ の コ ン トロ ール カ が 制 度 化 され て いな い仲 介 モ デ ル の ケ ー ス マ ネ ジメ ン トで は、 仲 介 す るサ ー ビス の良 質 保 障(ク ォ リテ ィ ・ア シュア ラ ンス)の メカ ニ ズ ムが な い と して い る35)。制 度 化 され て い る権 限 と して は、予 算執 行 の権 限 や 法 的 権 限 が も っ と も有 力 な もの で あ る。
支援 セ ンター事 業 で は、 予 算 執 行 権 限 も法 的 権 限 も認 め られ て い な い。 しか し、 この事 業 を委 託 され て い る民 間 の支 援 セ ンター と行 政 の あ いだ で は、 支 援 セ ンタ ーの職 員 が お こな った ア セ ス メ ン トや ケ ア プ ラ ニ ング は妥 当 な もの 、 正 当 な もの で あ る と い う理 解 の もとに、 行 政 のサ ー ビス担 当者 が これ に も とつ い て 公 的 サ ー ビス の提 供 決 定 を お こな う、 とい う実 態 も見 られ る(こ の 実 態 は 自
150 在 宅 介 護 支 援 セ ン タ ー に お け る ケ ー ス マ ネ ジ メ ン ト 実 践 と ソ ー シ ャル サ ポ ー ト ・ネ ッ トワ ー ク の 形 成(1)
治体 にお いて異 な るで あ ろ う)。 こ う した支援 セ ンタ ー と行政 との関係 は、支 援 セ ンター の職 員 の サ ー ビス コー デ ィネ イ トの実 質 的 な権 限 を 不十 分 で は あ るが 保 障 して い る と いえ る。 支 援 セ ンタ ーの 申請 代 行 を認 め る と い う ことの実 質 的 な意 味 は 、 こ う した保 障 の制 度 化 に あ るの で は な いか 。 た だ し、 公 的 サ ー ビス 以外 の民 間 サ ー ビス提 供 組 織 にか ん して は、 支 援 セ ンター の職 員 はそ う した実 質的 な権 限 を もつ こ とを保 障 され て お らず 、「説 得 す る、交 渉す る、善 意 に頼 る」
か 、実 践 の なか で特 定 の ケ ー ス をめ ぐって連 絡 ・調 整 しあ うな かで恒 常 的 な協 働体 制 づ く りをお こな う36)、あ るい は 日頃 の職 員 の働 きを とお して職 員 の専 門性 にた いす る外部 の評 価 を高 め オ ー ソ リテ ィを あ げ て い く、 と い った こ とで クラ イエ ン トに た いす る責 任 性 を高 めて い く しか な い の で は な いか。
*支 援 セ ンタ ー組織 外 の諸 要 因
a母 体 組 織 の特 性(特 別 養 護老 人 ホ ー ム、 デ イサ ー ビス セ ンター、福 祉 公 社 な どの福 祉 施 設 か 、 病 院 、老 人 保 健 施 設 と い った 医療 施設 か)
b他 組 織 の専 門職 や ス タ ッフ も加 わ った チ ー ム に よ るアセ ス メ ン ト、 ケア 計 画 、 サ ー ビス調 整 、 モニ タ リングの制 度 化 の 状 況(ひ と月 とかふ た月 に1回 とい った高 齢 者 サ ー ビス調 整 チ ー ムの 定 例 会合 の他 に、チ ー ム参 加 メ ンバ ーが 必 要性 を行 政 に申 し出 る とチ ー ム に よ るケ ー ス ・カ ンフ ァ ラ ンス を開 け る よ うな体 制 に な って い る、 ケー ス マ ネ ジ メ ン ト実 施 機 関
と特 定 の関 係 機 関が 連 絡 を と りあ って 、双 方 の ス タ ッフに よ る合 同 アセ ス メ ン トや ケ ア計 画 を す る こ とが 慣 習 とな って い る、 な ど)
Cサ0ビ ス ・コー デ ィネ イ トにかん す る実 質 的 な権 限 の て い ど(支 援 セ ン タ ーで お こな った アセ ス メ ン トとサ ー ビス利 用 のケ ア計 画 を信 頼 して了 承 し、行政 や他 の サ ー ビス提 供組 織が サ ー ビス提供 を決定 す る、行政 サ ー ビス にか ん して は申請 代 行 を認 め、支 援 セ ンタ ーに よ るア セス メ ン トを 踏 まえ た意 見 書 を っ けて 申請 され れ ば行 政 は これ を追 認 しサ ー ビス の決 定 を お こな うな ど)
d関 係 機 関 ・組 織 の あ いだ の リフ ァー ラ ル ・シス テ ムの あ りよ う(各 支 援 セ ンターヘ クライ エ ン トを リフ ァーす るさ いの基 準 、 その基準 にか んす
る各機 関 ・組 織 間 の 合 意 の 有無 、合 意 作 成 の た め の委 員 会 の 設 置 な ど) e関 連 機 関 ・組織 間 の情報 共 有 システ ム の有 無(行 政 、 その他 サ ー ビス 提 供 組 織 や相 談 機 関 な ど との ケ ース にか んす る情 報 の共有 にっ いて 、特 定 の手 段 を と って い るか ど うか)
f行 政 な らび に他 のサ ー ビス提 供 組織 との関 係(支 援 セ ンター は地域 にお いて は後 発 の福 祉 組織 で あ る。 だ か ら行政 や と りわ け他 の サ ー ビス提 供 組 織 の セ ンタ ー理 解 度 ・協 力度 、セ ンター職 員 と行 政 や他 組 織 の ス タ ッ
フ との相 互 理解 ・相 互 信頼 度 、専 門 家 と して の評 価 、個人 的 な人柄 評 価 が 重 要 とな る)
g同 じサ ー ビス対 象地 域 を もつ サ ー ビス提 供 組 織 の 有無(母 体組 織 の サ ー ビス ・エ リア と支 援 セ ンタ ーの エ リアが 同 じとか 全市(町 村)で ひ とっ の支 援 セ ンター、 ひ とっ のデ イ サ ー ビス ・セ ンタ ー、特 別養 護 老 人 ホー ム 、病 院 、 保健 所 な どが あ るよ うな小規 模 な 自治 体 な ど)
h地 域 内 の ケア サ ー ビス、そ の他 の社 会 資 源 の 量 、質 の状 況(公 的 サ ー ビ ス だ けで な く、社 会 福祉 協 議 会 や福 祉 公社 な どの非 営 利 サ0ビ ス 、その 他 の ヴ ォラ ンタ リー な非営 利組 織 の サー ビス、業 者 に よ る営 利サ ー ビス、
民 生 委 員 、 自助 グル ー プ、 ボ ラ ンテ ィア な ど)
*支 援 セ ンタ ー組 織 内 の諸 要 因
iス タ ッフの数 、福 祉 の バ ッ クグ ラ ウ ン ドを も った ス タ ッフ と保 健 ・看 護 の バ ック グ ラ ン ドを もった ス タ ッフの割 合
jス タ ッフの チー ム に よ るケ ー ス マ ネ ジメ ン ト実 践 か 個 々の ス タ ッフに よ る独立 した実践 か
k担 当 ケ ー ス量
1ス タ ッフの経 験 度 、 資 質 m体 系 的 記録 シス テ ム の有 無
nス タ ッフ によ る相 互 検 討(ピ ア ・レ ビュ ー)、 ケ ー ス カ ンフ ァラ ンス の 実 施 の有 無
0個 別 の ケ ア計 画 づ く りに高 齢者 や家 族介 護 者 を 参 加 させ る方 針 を と って